JP3109192B2 - バル−ンインヒュ−ザ− - Google Patents

バル−ンインヒュ−ザ−

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JP3109192B2
JP3109192B2 JP03328102A JP32810291A JP3109192B2 JP 3109192 B2 JP3109192 B2 JP 3109192B2 JP 03328102 A JP03328102 A JP 03328102A JP 32810291 A JP32810291 A JP 32810291A JP 3109192 B2 JP3109192 B2 JP 3109192B2
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徳寛 比恵島
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は所定量の薬液を体内に、
注入するためのバル−ンインフュ−ザ−に関し、更に詳
しくは、バル−ン内に加圧状態で貯蔵した薬液を、一定
速度で短時間に患者に注入することができるバル−ンイ
ンフュ−ザ−に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、抗生物質、抗ガン剤、麻酔剤
等の薬液を血管、膀胱等に少しずつ注入する手段とし
て、弾性材料からなるバル−ンに薬液を収納し、バル−
ンの収縮力を利用して薬液を長時間にわたって人体に持
続注入する器具(特開平2-11160号公報)が知られてい
る。該公報に記載されているバル−ンインヒュ−ザ−
は、バル−ンを収納するバル−ン部と、微細孔パイプか
らなる流量制御部を有するチュ−ブを主体とする薬液流
出アセンブリとからなり、バル−ン部の薬液注入流出部
に設けられた栓体に薬液流出アセンブリの端部に設けた
薬液注入針を刺しこんでバル−ン内の薬液を流出したり
している。
【0003】バル−ンインヒュ−ザ−の使用に際して
は、まず注射器の注射針を栓体に刺しこんでバル−ン内
に薬液を注入し、所定量の薬液の充填が終わると注射針
を栓体から抜きとる。次いで薬液流出アセンブリの端部
に設けた薬液注入針を該栓体に刺しこんでバル−ン内の
薬液を患者の体内に注入する。しかしこのバル−ンイン
ヒュ−ザ−は栓体への針の刺しこみ方によって針外面か
ら薬液が洩れる欠点がある。更に、このバル−ンインヒ
ュ−ザ−はバル−ンの内部に設けたバル−ンの支持軸で
ある外軸の一端より薬液を流出させているので外軸内部
と内軸外面との間にクリアランスがあり、バル−ンが完
全に収縮してもある程度の薬液がどうしても外軸内に残
ってしまうことがあり、薬液が塩酸モルヒネ、抗ガン剤
等のように高価な場合には残液が多いことは経済的に大
きな問題である。
【0004】本発明者等はこれらの欠点を解決したバル
−ンインヒュ−ザ−として、図11および図12に示すバル
−ンインヒュ−ザ−を発明し特許出願(特願平第2−21
6621号)した。図11は該バル−ンインヒュ−ザ−の全体
説明図であって、連通パイプがハウジングの接続具に嵌
合または螺合していない状態を示しており、図12は図11
に示すハウジングのバル−ンに薬液を充填した時の状態
を示す拡大断面図である。図11および図12のバル−ンイ
ンヒュ−ザ−は、バル−ン46を収納するハウジング47か
らなるバル−ン部cと、薬液の流量を調節するための流
量制御部48を有する薬液流出アセンブリdとからなって
いる。バル−ン46は図12に示す棒状内軸50と、該内軸50
に滑動自在に外装されてなる円筒状外軸51と、前記内軸
50の一端であって外軸51が外装される側と反対側の端部
に内軸と一体に形成された内軸受け52と、前記内軸50お
よび外軸51を被覆するようにこれら両軸の外部に設けら
れ、その一端が内軸50に密着固定され、他端が外軸51に
密着固定された弾性材料製バル−ン46とからなってい
る。またハウジング47の一端には薬液出入部であるアダ
プタ−53が形成され、内軸受け52内部を介して薬液通路
54と連通している。薬液通路54内には、バル−ン46内部
への薬液注入時にバル−ン内の薬液が流出するのを阻止
し、バル−ン46からの薬液流出時には前記薬液通路54の
開放側端部から薬液流出アセンブリdの端部に設けられ
た連通パイプ55が挿入されて、弁が開口する逆止弁56が
設けられた構造をしている。
【0005】
【発明が解決しょうとする課題】しかしながら、かかる
バル−ンインヒュ−ザ−の使用に際しては薬液の流量を
調節するための流量制御部48は、静脈針等を接続する接
続具57と患者の腕に絆創膏等で固着されて患者の体内に
薬液の注入が行われるので、薬液の流速が患者の体温に
よって影響を受ける問題がある。そして患者の腕の体温
は、個人差およびその時の患者の状態によって32℃〜40
℃まで異なるので所望する時間で薬液を患者の体内に供
給するように調節したバル−ンインヒュ−ザ−を製造す
るには、その状態に応じた多くの品種のバル−ンインヒ
ュ−ザ−を予め準備しなければならない問題がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等はこれらの課
題を解決するために鋭意研究した結果、薬液流出アセン
ブリにおける流量制御部を患者の体温の影響を受けない
位置に設置することによって解決することを見出し本発
明に到達した。すなわち、本発明は円筒状外軸と、該外
軸内に内装された内軸と、これらの両軸を被覆するよう
に該両軸の外部に設けられ、その一端が外軸に密着固定
され、他端が内軸に密着固定された弾性材料製バル−ン
と、該バル−ンの内部と連通する薬液の注入と流出を行
うための共通の薬液通路と、該薬液通路の開放側端部に
は嵌合型または螺合型接続具のアダプタ−が形成され、
かつ薬液通路内にはバル−ン内部への薬液注入時にバル
−ン内の薬液が流出するのを阻止し、バル−ンからの薬
液流出時には前記薬液通路の開放側端部から挿入される
連通パイプによって弁の開口可能な逆止弁が設けられて
なるバル−ン部と、チュ−ブ後端には体内に薬液を注入
するための接続具が設けられ、チュ−ブ先端にはバル−
ン内部に連通しうる長さの連通パイプを備えた嵌合また
は螺合可能なコネクタ−が設けられてなる薬液流出アセ
ンブリとからなるバル−ンインヒュ−ザ−において、薬
液量を制御するための流量制御部が連通パイプとチュ−
ブ先端との間、または該チュ−ブの実質的に先端で該チ
ュ−ブ内部に設けられてなるバル−ンインヒュ−ザ−で
ある。また、本発明は前記バル−ンインヒュ−ザ−にお
いて、薬液中の微小物質を除去するためのフイルタ−が
連通パイプと流量制御部の端部との間に設けられてなる
バル−ンインヒュ−ザ−である。更に、本発明は前記バ
ル−ンインヒュ−ザ−において、流量制御部の薬液流量
が少なくとも20ml/時になるように制御されたバル−ン
インヒュ−ザ−である。
【0007】図1は本発明のバル−ンインフュ−ザ−の
一実施例の説明図であって、バル−ン部を薬液流出用ア
センブリ部に接続していない状態を示す説明図、図2は
バル−ンに薬液を充填したときのバル−ン部の拡大断面
図、図3は図1に示す薬液流出用アセンブリ部のコネク
タ−とバル−ン部のルア−テ−パ−状アダプタ−の拡大
断面図、図4は図3に示すコネクタ−をルア−テ−パ−
状アダプタ−に挿入したときの状態を示す説明図、図5
はシリンジ内薬液をバル−ンに注入する際の説明図であ
ってシリンジとバル−ン部が接続していない状態を示す
説明図、図6は図5に示すシリンジから薬液をバル−ン
内へ充填しているときの説明図、図7および図8はバル
−ン内の薬液の排出時間に対する排出量の関係を示す
図、図9および図10は図1の連通パイプを有するコネク
タ−付近の拡大断面図である。
【0008】図1は本発明のバル−ンインフュ−ザ−の
一実施例の説明図であって、バル−ン部aと薬液流出用
アセンブリ部bとから構成されている。バル−ン部aは
薬液が収容される部分であるとともに、該薬液を人体の
注入箇所へ移動せしめる駆動部分であり、棒状内軸1
と、該内軸1に滑動自在に外装されてなる円筒状外軸2
と、これらの両軸の外部に設けられたバル−ン3と、内
軸1と一体に形成された内軸受け4とで構成されてい
る。外軸2の一端であって、内軸1に外装される側と反
対側の端部には傘状部材5が固着されている。
【0009】バル−ン3は筒状または球状の形状をして
おり、内軸1および外軸2を被覆するようにこれら両軸
の外部に設けられており、その一端は内軸1に、他端は
外軸2にO−リングなどのシ−ル手段6によって気密に
密着固定されている。バル−ン3は、患者への薬液注入
量、注入時間などに応じて種々の大きさ、肉厚のものを
用いることができ、本発明においては特に限定されるも
のでない。バル−ン3は薬液を充填することによって膨
張し、長方形状のバル−ンでは半径方向とともに長手方
向にも膨張しうる構造になっている。
【0010】外軸2はバル−ン3の動きに付随して内軸
1をガイドとして軸方向に移動し、その位置とバル−ン
3内に残っている薬液の量との関係は一定であるので内
軸1またはハウジング7に目盛りを設けることで薬液の
流出量を確認することができる。外軸2の一端であっ
て、内軸1に外装されている側と反対側の端部には、耐
水圧フイルタ−8が設けられている。この耐水圧フイル
タ−8は薬液注入時にバル−ン3内に残存している空気
を外部に追い出す役割を果たす部材であり、ポリエステ
ル、弗素樹脂またはこれらをラミネ−トしたものなどで
作製することができる。
【0011】バル−ン3は弾性材料からなり、その材料
としてはシリコ−ンゴム、ブチルゴム、ニトリルブタジ
ェンゴム、ポリ-1,4−ブタジェン、ポリイソプレン、ポ
リウレタン、ブタジェンスチレン共重合体、ポリスチレ
ンポリブタジエンブロック共重合体の水素添加物質など
の弾性重合体または天然ゴム、これらの重合体混合物、
またはこれらの物質の添加剤を除去したのち人体に無害
の酸化防止剤を添加した加工物質、またはラミネ−ト等
が挙げられる。
【0012】内軸1の一端であって、外軸2が外装され
る側と反対側の端部には、内軸受け4が該内軸1と一体
に形成されている。該内軸受け4は短円筒状部材であ
り、その内軸1側端部には薬液流出入口が形成されてい
る。薬液流出入口は内軸受け4内部を介してハウジング
7の薬液通路と連通している。ハウジング7はバル−ン
3が外部の鋭利な物体に触れて破損するのを防止すると
ともに、バル−ン自体のピンホ−ルなどの欠陥によって
バル−ン3から液洩れが発生した場合に外部に薬液が飛
散しないように薬液を密封する機能を果たす部分であ
る。ハウジング7の適宜の箇所には空気抜きの開口部10
が形成されており、該開口部10に空気は通過させるが薬
液は通過させない疎水性フイルタ−11を設けるのが好ま
しい。
【0013】ハウジング7の一端面はキャップ12により
閉じられており、該キャップ12の中央部分には薬液をバ
ル−ン3内に注入したり、該バル−ン3より薬液を所定
箇所に注入する際に薬液の流路となる薬液通路13が形成
されている。薬液通路13には、図2〜図4に示されるよ
うにバル−ン3側からダックビルタイプの逆止弁14、固
定デイスク15およびシ−ル手段16が設けられている。ダ
ックビルタイプの逆止弁14は弁の閉鎖端がカモノハシの
嘴のような尖った形状をしており、バル−ン3内部への
薬液の流通は許すが、その逆方向の流れは阻止する構造
となっている。逆止弁14としては、前記ダックビルタイ
プの弁のほかにも傘弁、フラップ弁、ポペット弁、ボ−
ル弁などを用いることができ、これらの弁材料としては
弗素樹脂、ナイロン、ポリオレフイン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリカ−ボネ−ト、シリコ−ン樹脂などが挙げられ
る。固定デイスク15は逆止弁14の基板を支持するもので
あり、中央部には薬液の流出流入のための開口部17が形
成されている。
【0014】接続具であるロックアダプタ−19と固定デ
イスク15により形成された環状凹所18内には、シ−ル手
段16たるO−リングが配設されている。このO−リング
の内径は連通パイプの外径と同一もしくはそれより小さ
く、これによって連通パイプを薬液通路13内に挿入した
ときのシ−ル性が高められるようになっている。ロック
アダプタ−19は内面がルア−テ−パ−状に形成されたほ
ぼ円筒状の接続具である。このロックアダプタ−19はキ
ャップ12に形成された凹所20内に嵌め込まれている。ロ
ックアダプタ−19の端部外周には薬液流出アセンブリb
を接続するためのネジ部21が形成されている。
【0015】薬液流出アセンブリbはロックアダプタ−
19に接続される接続具であるコネクタ−部30と、薬液量
を制御するための流量制御部31と、薬液注入チュ−ブ32
と、接続具33とで構成されている。コネクタ−部30の一
端にはロックアダプタ−19に接続されたときに、逆止弁
14を押し開いてバル−ン3内部に連通しうる長さを有す
る連通パイプ34が設けられている。この連通パイプ34は
ポリカ−ボネ−ト、ポリ塩化ビニル、ポリオレフインな
どの合成樹脂やステンレスなどの金属で作製することが
できる。連通パイプ34はコネクタ−部30の内周面に固着
されている。連通パイプ34の突出長さLは、図4に示さ
れるようにコネクタ−部30とロックアダプタ−19が接続
されたときにダックビルタイプの逆止弁14を押し広げう
る長さに設定されている。これにより逆止弁14の逆止効
果が強制的に解除されて、注入針を用いなくともバル−
ン3 内に充填された薬液の流出が可能になる。コネクタ
−部側のネジ部35はロクアダプタ−19に形成されたネジ
部21との螺合によりバル−ン部aと薬液流出アセンブリ
bとの接続が行われる。この接続は螺合以外に嵌合で行
うようにしてもよい。
【0016】流量制御部31は薬液の流量を制御する部分
であり、本出願人が既に出願した特開平1-135356号、特
開平2-11160号あるいは特開平3-140163号で提案した
下流側先端の閉塞されたパイプであって少なくとも1個
の微細孔を有するパイプ、多孔質ガラスパイプなどの
有孔パイプ、内径が小径のステンレスパイプ、合成樹
脂製パイプなどを用いることができる。流量制御部31は
チュ−ブ32の先端40と連通パイプ34との間、または該チ
ュ−ブ32の実質的に先端40で該チュ−ブ32の内部に設け
られる。流量制御部31はチュ−ブ32の先端40と連通パイ
プ34との間に設けられる場合には、たとえば流量制御部
31とチュ−ブ32とコネクタ−30は図9に示すように、流
量制御部31およびチュ−ブ32の外径より大きい内径を有
する外套部41で流量制御部31、チュ−ブ32およびコネク
タ−30を熱溶着して成形することができる。この場合に
は、流量制御部31は内径が小径の合成樹脂製パイプが好
ましい。また、流量制御部31は図10に示すようなチュ−
ブ32の実質的に先端40で該チュ−ブ32の内部にに設けて
もよい。この場合にはチュ−ブ32の先端40はコネクタ−
30の内部に熱溶着して成形することもできる。流量制御
部31の薬液流量は少なくとも20ml/時になるように制御
されるのが好ましい。薬液流量が20ml/時未満である
と、薬液流出アセンブリb内の空気抜きに時間を要する
傾向があるので好ましくない。
【0017】連通パイプ34と流量制御部31との間には、
バル−ン3内の薬液に含有されている微小物質を除去す
るためのフイルタ−42が設けられていてもよい。フイル
タ−42としては繊維状物、焼結物等が使用される。チュ
−ブ32は軟質ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエ
ステルなどからなり、その他端にはルア−テ−パ−状の
接続具33が設けられ、接続具33を介して静脈針やPSV
セットなどが接続される。接続具33には静脈圧などによ
り薬液が逆流するのを防止するための逆止弁(図示せ
ず)を装備してもよい。
【0018】次に、本発明のバル−ンインフュ−ザ−の
使用方法の一例について説明する。薬液のバル−ンへの
注入は、図5および図6に示すように薬液通路内に注射
器のシリンジを挿入し、このシリンジをロックアダプタ
−19のルア−テ−パ−状の内周面に押しつけるようにし
て行われる。このときシリンジ22の針基先端は逆止弁14
の入口側にある。挿入部は注入口が広くなった分だけ、
従来の注射針による場合に比較して充填圧が小さくな
り、注入が容易になるとともに短時間で注入操作を終了
させることができる。
【0019】薬液を充填するにつれて、バル−ン3は膨
張する。この際、バル−ン3内に残存している内部空気
は耐水圧フイルタ−8を通って外部に追い出される。ま
た、バル−ン3の拡張とともに内軸1に外装されている
外軸2は長手方向にスライドし、ハウジング7面に沿っ
て進んでいく。所定量の薬液充填が終わると注射器をロ
ックアダプタ−19から抜き取る。薬液充填完了時には、
傘状部材5とハウジング7の端部内面とが合致し、バル
−ン3膨張時の曲がりと振動によるバル−ンの破裂が防
止される。次に図4に示されるように薬液流出アセンブ
リ部bのコネクタ−部30とロックアダプタ−19内とを接
続する。この際、コネクタ−部30の連通パイプ34は逆止
弁14を押し広げて、バル−ン3内部と連通パイプ34とが
連通状態になる。その後は接続具33を介してPSVセッ
トなどに接続し空気抜きなどの所定の操作を行った後
に、バル−ン3内の薬液は流量制御部31によって流量を
制御されながら患者の体内に薬液の注入が行われる。
【0020】
【作用】本発明は薬液をバル−ン内に充填して膨張した
バル−ンの収縮力を利用して、バル−ン内の薬液を患者
に注入するものである。バル−ン内の薬液の流出速度を
制御する流量制御部は薬液注入チュ−ブの先端側でハウ
ジングに近接して設けられているので、被服のポケット
等の袋内に薬液入りバル−ンを含有したハウジングとと
もに収納される。その結果、流量制御部は身体に密着し
ないので体温の影響を受けないで所望する流速でバル−
ン内の薬液を流出することができる。また、本発明のバ
ル−ン内の薬液は内軸の端部から流出する構造になって
いるので従来のバル−ンインヒュ−ザ−の外軸端部から
薬液を流出させるものと比較してバル−ン内の薬液の残
液が少ない。更に、バル−ン部と薬液流出用アセンブリ
との接続はバル−ン部に設けた逆止弁を介して嵌合また
は螺合しているので、従来の栓体に注射針を突き刺して
薬液をバル−ンに注入する場合と比較して充填圧が小さ
く薬液の注入が容易であり、また注射針近辺からバル−
ン内の薬液が洩れることもない。
【0021】
【実施例】以下実施例で本発明の一例を説明する。
【実施例1】加硫された天然ゴム製管状体(小峰ゴム社
製)をアセトン・ヘキサン混合溶剤(混合容積比1:
2)でソックスレ−抽出を3時間行い、天然ゴム製管状
体中の添加剤を抽出除去した。次いで該管状体を1,
3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ
−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(以
下BHTという)をアセトン・ヘキサン混合溶剤(混合
容積比1:2)の溶液(濃度0.01g/ml)中に25℃の温度
で24時間浸漬し、該管状体中に酸化防止剤であるBHT
を含浸させた。その後管状体をエタノ−ルで洗浄し25℃
の温度で12時間乾燥させた。この処理済天然ゴム製管状
体を図1に示すバル−ンインフュ−ザ−に組み込み、10
0ml の水をバル−ン内に充填した。次いで極細のポリ塩
化ビニル製パイプ(外径 0.3mm、内径 0.114mm、長さ20
mm)からなる流量制御部を図9のように取りつけ、バル
−ン内の水を接続具に取りつけた静脈針から滴下した。
この時のバル−ン内の水の排出時間に対する排出量の関
係を図7に示す。
【0022】
【実施例2】実施例1で得た処理済天然ゴム製管状体を
図1に示すバル−ンインフュ−ザ−に組み込み、100ml
の水をバル−ン内に充填した。次いで極細のポリ塩化ビ
ニル製パイプ(外径 0.3mm、内径 0.13mm、長さ20mm)
からなる流量制御部を図10のように取りつけ、バル−ン
内の水を接続具に取りつけた静脈針から滴下した。この
時のバル−ン内の水の排出時間に対する排出量の関係を
図8に示す。図7および図8から明らかなように、バル
−ン内の水はほぼ一定の流速で滴下された。
【0023】
【発明の効果】本発明はバル−ン内の薬液の流出速度を
制御する流量制御部が薬液注入チュ−ブの先端側でハウ
ジングに近接して設けられているので、流量制御部は被
服の袋内に薬液入りバル−ンを含有したハウジングとと
もに収納される。そのために流量制御部は身体に密着せ
ず、個人差や健康状態によって異なる体温の影響を受け
ないで所望する流速でバル−ン内の薬液を流出すること
ができる。その結果、バル−ンインヒュ−ザ−は品種を
少なくして製造することができるようになった。また、
本発明のバル−ン内の薬液は内軸の端部から流出する構
造になっているので、バル−ン内の薬液を流出させた後
の残液量が少なく、高価な薬品を使用する場合には経済
的効果を有する。更に、バル−ン部と薬液流出用アセン
ブリとの接続はバル−ン部に逆止弁を設けて嵌合または
螺合しているので、従来の栓体に注射針を突き刺して薬
液をバル−ンに注入する場合と比較して充填圧が小さく
薬液の注入が容易であり、また注射針近辺からバル−ン
内の薬液が洩れることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のバル−ンインフュ−ザ−の一実施例の
説明図であって、バル−ン部を薬液流出用アセンブリ部
に接続していない状態を示す説明図。
【図2】バル−ンに薬液を充填したときのバル−ン部の
拡大断面図。
【図3】図1に示す薬液流出用アセンブリ部のコネクタ
−とバル−ン部のルア−テ−パ−状アダプタ−の拡大断
面図。
【図4】図3に示すコネクタ−をルア−テ−パ−状アダ
プタ−に挿入したときの状態を示す説明図。
【図5】シリンジ内薬液をバル−ンに注入する際の説明
図であってシリンジとバル−ン体が接続していない状態
を示す説明図。
【図6】図5に示すシリンジから薬液をバル−ン内へ充
填しているときの説明図。
【図7】バル−ン内の薬液の排出時間に対する排出量の
関係を示す図。
【図8】バル−ン内の薬液の排出時間に対する排出量の
関係を示す図。
【図9】図1の連通パイプを有するコネクタ−付近の拡
大断面図
【図10】図1の連通パイプを有するコネクタ−付近の拡
大断面図
【図11】特願平第2−216621号のバル−ンインヒュ−ザ
−の全体説明図であって、連通パイプがハウジングの接
続具に嵌合または螺合していない状態を示す。
【図12】図11に示すバル−ンに薬液を充填した時の状態
を示す拡大断面図。
【符号の説明】
a バル−ン部 b 薬液流出用アセンブリ部 1 内軸 2 外軸 3 バル−ン 7 ハウジング 14 逆止弁 19 ロックアダプタ− 30 コネクタ−部 31 流量制御部 32 チュ−ブ 34 連通パイプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−135360(JP,A) 特開 昭62−148668(JP,A) 特開 平2−95379(JP,A) 国際公開90/14115(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61M 5/168 A61M 5/142

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円筒状外軸と、該外軸内に内装された内
    軸と、これらの両軸を被覆するように該両軸の外部に設
    けられ、その一端が外軸に密着固定され、他端が内軸に
    密着固定された弾性材料製バル−ンと、該バル−ンの内
    部と連通する薬液の注入と流出を行うための共通の薬液
    通路と、該薬液通路の開放側端部には嵌合型または螺合
    型接続具のアダプタ−が形成され、かつ薬液通路内には
    バル−ン内部への薬液注入時にバル−ン内の薬液が流出
    するのを阻止し、バル−ンからの薬液流出時には前記薬
    液通路の開放側端部から挿入される連通パイプによって
    弁の開口可能な逆止弁が設けられてなるバル−ン部と、
    チュ−ブ後端には体内に薬液を注入するための接続具が
    設けられ、チュ−ブ先端にはバル−ン内部に連通しうる
    長さの連通パイプを備えた嵌合または螺合可能なコネク
    タ−が設けられてなる薬液流出アセンブリとからなるバ
    ル−ンインヒュ−ザ−において、薬液量を制御するため
    の流量制御部が連通パイプとチュ−ブ先端との間、また
    は該チュ−ブの実質的に先端で該チュ−ブ内部に設けら
    れてなるバル−ンインヒュ−ザ−。
  2. 【請求項2】 薬液中の微小物質を除去するためのフイ
    ルタ−が連通パイプと流量制御部の端部との間に設けら
    れてなる請求項1記載のバル−ンインヒュ−ザ−。
  3. 【請求項3】 流量制御部の薬液流量が少なくとも20ml
    /時になるように制御された請求項1または2記載のバ
    ル−ンインヒュ−ザ−。
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