JPH07207789A - 建物の躯体の構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】耐震構造の外壁パネルを有する建物において、
床を形成する際のモルタル工事を不要とし、コストダウ
ンを図る。 【構成】取付金具３は、大径のボルト孔６を有する立片
５を具え、外壁パネルＰは、前記ボルト孔６を通りかつ
ボルト孔６よりも小径のボルト７を用いて取付けられる
とともに、前記立片５の内面に、前記ボルト７に螺合す
るナット１０又は前記ボルトの頭である締部１１を空間
Ｓを有して覆いコンクリートＣの侵入を防止するコンク
リート止め具１２を設け、かつ梁材２上の床下地材１５
に床Ｆ形成用のコンクリートＣを外壁パネルＰの内面ま
で打設する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、耐震機能を有して梁材
に取付けられる外壁パネルの内面まで耐震機能を損なう
ことなく床形成用のコンクリートを連続して打設でき、
施工性を向上しうる建物の躯体の構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば図４に示すように、梁材ｈに固定
される取付金具ａを用いて該梁材ｈの外縁から外方に間
隙を隔てて外壁パネルｐを取付ける場合がある。又前記
取付金具ａは、梁材ｈ上面にボルト止めされる底片ａ１
と、この底片ａ１の外縁から立上がるとともに大径のボ
ルト孔ｂを有する立片ａ２とを具え、前記外壁パネルｐ
の内面から突出しかつ前記ボルト孔ｂよりも小径のネジ
軸ｃを該ボルト孔ｂに挿入した上、このネジ軸ｃにカラ
ーを介してナットｄを螺合することにより、ボルト孔ｂ
の範囲内で揺動可能に外壁パネルｐを取付けていた。

【０００３】一方、このように耐震機能が具備された外
壁パネルｐの内方には、従来、床形成用のコンクリート
ｅが、梁材ｈに固定されたコンクリート止め具ｆによっ
て流れ止めをしつつ打設されるとともに、このコンクリ
ート止め具ｆの外面と外壁パネルｐの内面との間は、前
記ナットｄが動けるように該ナットｄの位置でナットｄ
を露出させる凹部ｇ１を設けたモルタルｇが充填され、
これにより耐震機能を確保していた。なおコンクリート
ｅに前記凹部ｇ１を直接設けないのは、コンクリートの
成形性が良くないためである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながらこのよう
な従来のものにあっては、耐震機能の確保のためにコン
クリートｅに加えてモルタルｇを施工しなければなら
ず、この作業に手間を要し施工性に劣るとともに、コス
トも嵩む。

【０００５】本発明は、ナット又はボルトの頭である締
部を空間を有して覆いコンクリートの侵入を防止するコ
ンクリート止め具を用いることを基本として、モルタル
工事を不要とし施工性を向上しうるとともにコストの節
減を図りうる建物の躯体の構造の提供を目的としてい
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、梁材に固定さ
れる取付金具を用いて梁材の外縁から外方に間隙を隔て
て梁材と平行に外壁パネルを取付けるとともに、梁材上
にコンクリートの打設により床を形成する建物の躯体の
構造であって、前記取付金具は、梁材上に固定される底
片に前記梁材の外縁を外方にこえた位置で立上がるとと
もに大径のボルト孔を有する立片を具え、前記外壁パネ
ルは、前記立片の外面に接することにより梁材の外縁か
ら外方に前記間隙を隔て、しかも外壁パネルは、前記ボ
ルト孔を通りかつボルト孔よりも小径のボルトと立片の
内面に配されボルト孔を隠すカラーとを用いて取付けら
れるとともに、前記立片の内面に、前記カラーの内面に
接して前記ボルトに螺合するナット又は前記ボルトの頭
である締部を空間を有して覆いコンクリートの侵入を防
止するコンクリート止め具を設け、かつ梁材上の床下地
材に床形成用のコンクリートを外壁パネルの内面まで打
設する一方、コンクリート止め具は、前記立片の内面に
取付くフランジに前記締部を覆う容器部を設けている。

【０００７】なお前記コンクリート止め具は、前記立片
の内面に前記締部の両側で取付く脚片間に締部を跨がる
コ字部を有する止め金具と、この止め金具のコ字部両側
を閉じうる粘着テープとからなるようにすることも出来
る。

【０００８】

【作用】取付金具の立片に設けた大径のボルト孔に、小
径の外壁パネル取付用のボルトを挿通させるとともに、
前記立面の内面に、前記ボルトに螺合するナット又は該
ボルトの頭である締部を空間を有して覆いコンクリート
の侵入を防止するコンクリート止め具を設ける。従っ
て、コンクリートを外壁パネルの内面までモルタルを介
在させることなく連続してしかも耐震機能を損なうこと
なく打設でき、モルタル工事を不要とし、施工性を向上
しうるとともに、コストの節減を図りうる。

【０００９】

【実施例】以下本発明の一実施例を図面に基づき説明す
る。図１、図２において本発明の建物の躯体の構造は、
梁材２に固定される取付金具３を用いて梁材２の外縁か
ら外方に間隙Ｇを隔てて梁材２と平行に外壁パネルＰを
取付けるとともに、前記梁材２上にコンクリートＣの打
設により床Ｆを形成する。

【００１０】前記梁材２は、本実施例では図２に示すよ
うに、垂直なウエブ２Ａの上下に水平なフランジ２Ｂ、
２Ｃを設けたＩ形鋼からなり、建物の通し柱（図示せ
ず）間に水平に架け渡される。

【００１１】又前記取付金具３は、梁材２の上のフラン
ジ２Ｂ上にボルトを用いて固定される水平かつ矩形の底
片４と、前記梁材２の外縁を外方にこえた位置で前記底
片４の外端から立上がる垂直な立片５とからなるＬ字状
を呈する。

【００１２】なお取付金具３の前記立片５には、例えば
４つの大径のボルト孔６…が穿設されるとともに、この
立片５外面に外壁パネルＰの内面を当接させることによ
り、該外壁パネルＰは、梁材２の外縁から外方に前記間
隙Ｇを隔てて配設される。

【００１３】外壁パネルＰは、本実施例ではコンクリー
トパネルからなり、階上、階下の外壁を夫々形成する階
上、階下の外壁パネルＰＡ、ＰＢを含む。

【００１４】階下の外壁パネルＰＢの内面上部には、前
記立片５に設けた４つの前記ボルト孔６…の内、下の２
つのボルト孔６、６を通りかつ該ボルト孔６よりも小径
しかも階下の外壁パネルＰＢに埋設されるボルト７、７
のネジ軸７ａ、７ａが突設されており、このネジ軸７
ａ、７ａをボルト孔６、６に夫々挿通した上、前記立片
５の内面に配され該ボルト孔６、６を隠すカラー９、９
を前記ネジ軸７ａ、７ａに遊嵌ししかもこのカラー９、
９の内面に接してボルト７、７のネジ軸７ａ、７ａにナ
ット１０、１０である締部１１、１１を螺合することに
より、階下の外壁パネルＰＢは、前記ネジ軸７ａ、７ａ
がボルト孔６、６内で移動できる範囲内で摺動可能に取
付金具３を用いて前記梁材２に取付けられる。

【００１５】又階上の壁パネルＰＡ下端部も、４つの前
記ボルト孔６…の内、上の２つのボルト孔６、６を通り
かつ該ボルト孔６よりも小径のボルトのネジ軸２５、２
５と、立片５内面に配されるカラー２６、２６と、前記
ネジ軸２５、２５に螺合するナット２７、２７である締
部２９、２９とによって取付金具３に摺動可能に取付け
られる。

【００１６】このように耐震機能を具備した階上、階下
の外壁パネルＰＡ、ＰＢは、該階上、階下の外壁パネル
ＰＡ、ＰＢに埋設したナットに螺着するボルトの頭を前
記締部２９、１１として取付金具３に取付けることも出
来る。

【００１７】又前記ナット１０、２７として、前記ネジ
軸７ａ、２５にピン等を用いて緩み止めされるいわゆる
緩み止めナットを用いることが好ましい。

【００１８】前記立片５の内面には、前記締部１１を空
間Ｓを有して覆いコンクリートＣの侵入を防止するコン
クリート止め具１２が配設される。

【００１９】コンクリート止め具１２は、立片５の内面
に接着剤等を用いて取付く鍔状の矩形のフランジ１３
と、このフランジ１３から直角に折曲がり１つの前記締
部１１を覆う外開放の箱状をなす容器部１４とからな
る。なお前記容器部１４は、その内部の前記空間Ｓにお
いて前記ネジ軸７ａがボルト孔６内を自由に移動できる
ように、即ち該移動によって締部１１が容器部１４と衝
合しないように、その寸法が設定される。

【００２０】又前記取付金具３の両側には、該取付金具
３の断面形状と略同形の断面形状を有する薄肉かつ長尺
なコンクリート止め板３０、３０が前記梁材２上から外
壁パネルＰ内面に亘って配されるとともに、梁材２の上
面かつ内方部には、折版状の床下地材１５の外端部が載
置され、この床下地材１５に床Ｆ形成用のコンクリート
Ｃを外壁パネルＰの内面まで打設する。

【００２１】なお前記コンクリートＣは、前記コンクリ
ート止め具１２、１２を埋入するとともに、その床Ｆを
なす上面は、前記階上の外壁パネルＰＡ取付用の前記ネ
ジ軸２５がボルト孔６内の範囲において移動可能とする
如く該ネジ軸２５に螺合する前記ナット２７下方に位置
する。

【００２２】このようにコンクリート止め具１２を用い
たため、コンクリートＣを外壁パネルＰ内面まで打設し
ても該外壁パネルＰの耐震機能を確保でき、従来のよう
なモルタル工事を不要とし、施工性を向上しうるととも
に、コストを削減できる。

【００２３】図３にコンクリート止め具の他の実施例を
示す。コンクリート止め具１７は、前記立片５の内面に
前記締部１１の両側、本例では上下で接する１対の脚片
１９、１９と、この脚片１９、１９間を継ぎかつ締部１
１を跨がるコ字部２０とからなる止め金具２１、及びこ
の止め金具２１のコ字部２０両側を閉じコンクリートＣ
の締部１１への付着を防ぐ粘着テープ２２からなる。

【００２４】このように粘着テープ２２によって簡単に
取付けられるコンクリート止め具１７を用いることによ
り、耐震機能を確保しつつコンクリートＣを外壁パネル
Ｐの内面まで打設できる。

【００２５】

【発明の効果】叙上の如く本発明の建物の躯体の構造
は、耐震機能を具備してナット又はボルトの頭である締
部により取付けられる外壁パネルを有する建物の床を、
前記締部を空間を有して覆うコンクリート止め具を用い
ることによって耐震機能を損なうことなくこの外壁パネ
ルの内面までコンクリートを打設することにより形成で
き、モルタル工事を不要とし、施工性を向上しうるとと
もに、コストの節減を図りうる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す断面図である。

【図２】その分解斜視図である。

【図３】他の実施例を示す部分斜視図である。

【図４】従来の技術を説明するための断面図である。

【符号の説明】

２ 梁材 ３ 取付金具 ４ 底片 ５ 立片 ６ ボルト孔 ７ ボルト ９ カラー １０ ナット １１ 締部 １２、１７ コンクリート止め具 １３ フランジ １４ 容器部 １５ 床下地材 １９ 脚片 ２０ コ字部 ２１ 止め金具 ２２ 粘着テープ Ｃ コンクリート Ｆ 床 Ｇ 間隙 Ｐ、ＰＢ 外壁パネル Ｓ 空間

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】梁材に固定される取付金具を用いて梁材の
   外縁から外方に間隙を隔てて梁材と平行に外壁パネルを
   取付けるとともに、梁材上にコンクリートの打設により
   床を形成する建物の躯体の構造であって、 前記取付金具は、梁材上に固定される底片に前記梁材の
   外縁を外方にこえた位置で立上がるとともに大径のボル
   ト孔を有する立片を具え、 前記外壁パネルは、前記立片の外面に接することにより
   梁材の外縁から外方に前記間隙を隔て、しかも外壁パネ
   ルは、前記ボルト孔を通りかつボルト孔よりも小径のボ
   ルトと立片の内面に配されボルト孔を隠すカラーとを用
   いて取付けられるとともに、 前記立片の内面に、前記カラーの内面に接して前記ボル
   トに螺合するナット又は前記ボルトの頭である締部を空
   間を有して覆いコンクリートの侵入を防止するコンクリ
   ート止め具を設け、 かつ梁材上の床下地材に床形成用のコンクリートを外壁
   パネルの内面まで打設する一方、 コンクリート止め具は、前記立片の内面に取付くフラン
   ジに前記締部を覆う容器部を設けたことを特徴とする建
   物の躯体の構造。
2. 【請求項２】請求項１の建物の躯体の構造において、前
   記コンクリート止め具は、前記立片の内面に前記締部の
   両側で取付く脚片間に締部を跨がるコ字部を有する止め
   金具と、この止め金具のコ字部両側を閉じうる粘着テー
   プとからなることを特徴とする建物の躯体の構造。