JPH07207514A - 紡糸口金 - Google Patents

紡糸口金

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JPH07207514A
JPH07207514A JP256194A JP256194A JPH07207514A JP H07207514 A JPH07207514 A JP H07207514A JP 256194 A JP256194 A JP 256194A JP 256194 A JP256194 A JP 256194A JP H07207514 A JPH07207514 A JP H07207514A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 数万〜数十万の高ドラフト紡糸を安定に行え
る紡糸口金を提供する。 【構成】 図1-(A)は、本発明の一実施例である紡糸口
金の側面断面図である。また、図1-(B)は連続的に拡大
する吐出孔面からポリマーが流れてくる方向に吐出孔を
見たときの吐出孔形状を示す。これらの図1-(A)及び図
1-(B)において、1は紡糸口金に穿設された吐出孔のポ
リマー導入孔部、2は吐出孔が拡大を開始する直前の小
さく絞られた最小孔径部、3はポリマーの吐出方向に沿
って連続的に拡大する吐出孔、そして、4はポリマーの
吐出方向に沿って刻設された6本の縦溝である。そし
て、θは拡大吐出孔の片テーパー角度である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱可塑性ポリマーを溶
融紡糸するための紡糸口金に関し、さらに詳しくは、高
ドラフト紡糸を行うことができる紡糸口金に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ポリマーの配向結晶化を制御
するために、古くから行われている代表的な方法とし
て、高ドラフト紡糸を挙げることができる。この技術
は、紡糸口金に穿設された大孔径の吐出孔より溶融した
ポリマーをゆっくりとした速度で押し出し、紡糸口金と
引き取りローラとの間で大きなドラフトを発生させ、得
られる繊維の配向結晶化を促進させようとするものであ
る。このような目的を達成するために、今日では5,0
00〜7,000m/分の高速で紡糸し、紡出糸を引取
ることが普通に行われるようになってきた。
【0003】この高速紡糸は、延伸工程の省略、高速化
による生産性の向上、といった利点を持っている。ま
た、通常のFOYに比べて結晶が大きく、非晶部がルー
ズであるなど繊維構造自体が異なるため、易染性、ドレ
ープ性、易起毛性などの特長を有し、これらの特長を活
かした差別化商品の開発も進められている。
【0004】このような目的を達成するための試みの一
つとして、特開平5−132810号公報に、ポリマー
の吐出孔径が平坦かつ連続的に拡大する紡糸口金を使用
することによって、数万〜数十万の高ドラフト紡糸をす
るための紡糸口金が提案されている。
【0005】この紡糸口金は、図3-(A)及び図3-(B)に
示すような吐出孔を持っている。ここで、該吐出孔は、
ポリマーの流動方向に沿ってポリマー導入孔(1)を持
ち、その後、最小吐出孔径(2)部を経て、片テーパー
角(θ)で連続的に孔径が拡大する。そして、最終的に
ポリマーが紡糸口金の吐出面から離れる時点で最大の吐
出孔径(3)になる。
【0006】このような紡糸口金において、前記の最小
吐出孔径(2)は、0.05mmφ以上で、1.0mm
φ以下であることが必要である。もし、0.05mmφ
未満であれば、前述のように背圧が大きくなり過ぎ、紡
糸口金パックの耐圧強度面から問題があり、しかも、小
さな異物が入って詰まりが発生する。また、1.0mm
φを超える場合には、背圧上昇効果が十分でなく、吐出
斑の原因となる。
【0007】さらに、前記の断面積が連続的に拡大する
吐出孔の最大吐出孔径(3)が、少なくとも3.0mm
以上であることが、高ドラフト紡糸を実現する上で重要
である。該孔径は、大きいほど高ドラフト紡糸という観
点からは、4.0mmφ以上が好ましく、5.0mmφ
以上であれば特に好ましい。ここで、該孔径の上限につ
いては、例えば、15.0mmφを超えると1ホール当
たりの吐出孔径が大きくなるため、多ホールの紡糸口金
を製作する上でホール数の制限が生じる。しかし、モノ
フィラメント用の紡糸口金のように、ホール数が極めて
少ないときには、この限りではなくなる。
【0008】さらに、連続的に拡大する拡大吐出孔の片
テーパー角度(θ)は、5゜以上、40゜以下とする必
要がある。ここで、前記の片テーパー角度(θ)が、5
゜未満であれば、連続的に拡大する吐出孔の最大吐出孔
径(3)を実現するために、紡糸口金のランド長が極め
て大きくなり、紡糸口金自体が極めて厚くなるため実用
的でない。また、40゜を超える場合には、吐出孔内壁
からのポリマーの剥離が顕著になり、ポリマーの流れも
不安定になる。
【0009】このような吐出孔形状を持つ紡糸口金にお
いても、拡大吐出孔が平坦であるため、前記の最小吐出
孔径(2)が必要以上に大きくなった場合には、ポリマ
ーの流れが不安定となり易い。また、紡糸温度の微小な
変動、冷却斑、溶融ポリマーの混練斑などにより、安定
に流れていたポリマーが、吐出孔内壁から剥離すること
があった(それぞれ図4-(A)及び図4-(B)参照)。さら
には、拡大吐出孔の拡大が急であるときにも、ポリマー
が吐出孔内壁から剥離する。
【0010】このような剥離が生じると、紡糸張力やド
ラフト率が変動して伸度斑や染色斑等の品質斑が生じ
る。このため、常に安定して高ドラフト紡糸が行える紡
糸口金が切望されていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】以上に述べたように、
本発明が解決しようとする課題は、次のようなものであ
る。
【0012】すなわち、連続的に拡大する吐出孔が穿設
された紡糸口金を使用して、例えば、数万〜数十万の高
ドラフト紡糸を実施するに当たって、溶融ポリマーが吐
出孔内壁から剥離し易いという欠点を克服し、安定紡糸
が可能な紡糸口金を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、前記の
課題を解決する手段として、ポリマーの吐出孔断面積が
ポリマーの吐出方向に沿って連続的に拡大する内壁面が
平坦な拡大吐出孔形状を有し、下記の要件a〜c、すな
わち、 a.前記の断面積が拡大を開始する時点の最小吐出孔径
が0.05mmφ以上、1.0mmφ以下であり、 b.前記の断面積が拡大を終了した時点の最大吐出孔径
が、少なくとも3.0mmφ以上であって、且つ c.前記の断面積が連続的に拡大する拡大吐出孔の片テ
ーパー角度が、5°以上、40°以下であること。を同
時に満足する紡糸口金において、下記の要件dとe、す
なわち、 d.ポリマーの吐出方向に沿って、前記の拡大吐出孔の
平坦な内壁上に4本以上の縦溝群が刻設されており、且
つ e.該縦溝群の周長が吐出孔の全周長の40%以上、7
0%以下であること。を同時に満足することを特徴とす
る紡糸口金が提供される。
【0014】
【作用】本発明の紡糸口金を使用することによって、ポ
リマーが吐出孔の拡大部へ流入する直前の吐出孔径を絞
ることができる。このため、ポリマーはこの絞られた吐
出孔の最小孔径部を必ず通過しなければならないため、
ここで大きな通過抵抗を受けて、大きな圧力降下が生じ
る。この結果、紡糸口金内に大きな背圧が生じる。この
大きな背圧を利用することにより、紡糸口金内で背圧が
僅かに変動しても、変動前の背圧が十分に大きいため、
背圧変動率という面でみると、これを小さくできる。こ
の結果、ポリマーの吐出圧力の変動率も小さくすること
ができる。
【0015】これに対して、小さく絞られた最小吐出孔
径部を持たない紡糸口金は、背圧を大きくすることがで
きない。したがって、背圧が必然的に小さくなるため、
僅かな背圧変動が生じても、吐出圧力の変動率が大きく
なり、ポリマーの吐出斑を引き起こす。そして、この吐
出斑が得られた紡出糸条のデニール斑を惹起する。この
結果、紡糸口金内の背圧が僅かに変動しても吐出圧力の
変動を惹起していた。したがって、高ドラフト紡糸を行
うと、吐出斑が生じ易かった。
【0016】しかしながら、連続的に孔径が拡大する吐
出孔を持つ紡糸口金は、背圧を大きくできるという大き
な利点を持つ一方で、他方では吐出孔の拡大角度を大き
くすると、ポリマーが吐出孔の内壁に沿って安定に流れ
ずに、吐出孔内壁から剥離してしまうという問題を持つ
ていた。
【0017】この剥離を無くすために本発明の紡糸口金
には、ポリマーの吐出方向に沿って連続的に拡大する拡
大吐出孔に縦溝群を刻設している。このように、拡大吐
出孔に縦溝群を刻設することで、ポリマーと吐出孔との
間の接触面積が増大し、ポリマーと吐出孔内壁との濡れ
性が上がる。したがって、ポリマーと吐出孔内壁との濡
れ性が上がり、この結果、ポリマーは吐出孔内壁にしっ
かりと付着する。このため吐出孔の内壁からポリマーが
剥離するのを防止することができる。したがって、拡大
吐出孔に刻設された縦溝群は、吐出孔の拡大角度をポリ
マーが紡糸口金の吐出孔内壁からの剥離を抑制しながら
大きくできるという作用効果を持つ。
【0018】
【実施例】以上に述べた本発明について、図1及び図2
を参照しながら詳細に説明する。
【0019】図1において、図1-(A)は、本発明の一実
施例である紡糸口金の側面断面図である。また、図1-
(B)は連続的に拡大する吐出孔面からポリマーが流れて
くる方向に拡大吐出孔を見たときの形状を示す。これら
の図1-(A)及び図1-(B)において、1は紡糸口金に穿設
された吐出孔のポリマー導入孔部、2は吐出孔が拡大を
開始する時点の小さく絞られた最小孔径部、3は拡大吐
出孔の断面積が拡大を終了した時点の最大吐出孔径、そ
して、4はポリマーの吐出方向に沿って拡大吐出孔に刻
設された6本の縦溝である。
【0020】以上の様に構成された紡糸口金において、
溶融ポリマーは、紡糸口金に穿設された吐出孔のポリマ
ー導入孔(1)部に流入し、吐出孔が拡大を開始する直
前の小さく絞られた最小吐出孔径(2)部で流路が縮小
する。このため、溶融ポリマーが、この最小吐出孔径
(2)部を通過するときに大きな通過抵抗を受ける。し
たがって、この最小吐出孔径(2)部を境にして、該最
小吐出孔径(2)部への入口側に大きな背圧が生じる。
もし、このような最小吐出孔径(2)部を設けずに背圧
を大きくしようとすれば、吐出孔長を長くしなければな
らず、紡糸口金の厚さが大きくなり過ぎ、実用的でなく
なる。これは、最小吐出孔径をDとし、吐出孔長をLと
すれば、この部分を溶融ポリマーが通過することによる
圧力損失は、ハーゲン・ポアズイユの法則からDの4乗
に逆比例し、Lの1乗に比例することからも明かであ
る。
【0021】ところで、本発明においては、従来の平坦
な拡大吐出孔に刻設された縦溝群(4)が重要な役割を
果たすが、該縦溝群(4)は、図2-(A)及び図2-(B)に
示すように4本以上を吐出孔の中心軸に対して点対称に
等円周上にほぼ等ピッチで刻設することが好ましい。こ
れは、片寄った縦溝配置ではポリマーが吐出孔から出た
直後に曲がるベンディング現象を引き起こす可能性が高
くなるためである。また、縦溝の数は4本以上であれば
良いが、3本以下では溝深さが大きくなって、得られる
紡出糸の断面形状を異形化するため好ましくない。しか
しながら、この異形化が許容される場合には3本以上で
あっても良い。さらに、縦溝数の上限は、ポリマーとの
接触面積を増大させることができる限り制限はなく、吐
出孔の全周に亘って多数の縦溝を刻設しても良い。
【0022】また、縦溝の断面形状は、特に制限される
ものではなく、溶融ポリマーの表面張力、溶融粘度、紡
糸口金母材との濡れ性等に応じて、V字型、U字型、台
形型等の任意の形状とすることができる。ただし、全べ
ての縦溝群部の周長を合計した総周長は、拡大吐出孔の
全周長に対して40%以上、70%以下である必要があ
る。ただし、ここでいう周長とは、紡糸口金の吐出面に
おける最大吐出孔のポリマーとの濡れ縁長を指すものと
する。
【0023】前記の全縦溝群の総周長が拡大吐出孔の全
周長に対して40%未満では、ポリマーの吐出孔内壁か
らの剥離を抑制する効果が小さい。また、70%を超え
ると紡出糸条の異形化が進み、異形化繊維を積極的に製
造する場合以外は目的とする繊維の横断面形状が得られ
ず、好ましくない。
【0024】本発明の紡糸口金の吐出孔の断面形状に関
して、これまで丸型のものについて述べてきたが、その
断面形状は必ずしも丸型に限定されるものではない。例
えば、連続的に断面が拡大する三角断面形状、四角断面
形形状等の多角形断面形状、あるいは、連続的に断面形
状が拡大する中空形成能を有する吐出孔等、各種の異形
及び中空吐出孔に適用できることは言うまでもない。
【0025】また、本発明の紡糸口金に適用できる熱可
塑性重合体としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリ
オレフィン等を挙げることができる。
【0026】次に、以上に述べた紡糸口金を使用して常
法に従って紡糸した実験結果について詳細に説明する。
なお、これらの実験において、各物性は下記の方法によ
って測定したものである。
【0027】[固有粘度(η)]35℃、o−クロロフ
ェノール中における測定によった。
【0028】[強伸度]島津製作所製のオートグラフ
(定速伸長型引張試験機)を用い、つかみ間隔の距離を
20cmとし、標準初荷重のもとで試料を取り付け、引
張速度100%/分で引っ張った。得られた荷伸曲線か
ら最大荷重点をもとめ、この点における値を試料の切断
強度及び伸度とした。なお、測定は5回実施し、この平
均値を採用した。なお、強度(g/デニール)はデニー
ル当たりの荷重値から計算した。
【0029】[紡糸ドラフト]巻取り速度(V)とポリ
マーの紡糸口金の吐出面での吐出線速度(T)との比V
/Tよりもとめた。
【0030】固有粘度(η)が0.64のポリエチレン
テレフタレートを溶融し、図1に示した吐出孔形状を持
つ紡糸口金(吐出孔数36)を使用して吐出量11.1
g/分で常法により紡糸した。この時使用した紡糸口金
の吐出孔形状は、最小吐出孔径0.2mmφ、最大吐出
孔径5.0mmφ、拡大吐出孔の片テーパー角度18.
3゜、縦溝群部周長/全周長=50%であった。この
時、紡糸口金から吐出された紡出糸条に紡糸口金面より
90〜500mmの位置までの間で、温度25℃、湿度
60%の冷却風を30cm/秒の線速度で吹き付けて冷
却固化させた。その後、オイリングローラで油剤を付与
し、1000m/分で巻取り、100デニール/36フ
ィラメントの未延伸糸を得た。この時の紡糸ドラフト
は、54,000であったが、極めて安定に紡糸でき、
5時間連続して巻取りを行ったが、この間糸切れは全く
発生しなかった。得られた未延伸糸の糸特性は、強度が
2.4g/de、伸度が125%であった。これらの糸
特性は、通常の吐出孔形状を持つ紡糸口金では3,00
0m/分以上の高速紡糸で得られる値に相当する。
【0031】次に、吐出量を33.3g/分、紡速を
3,000m/分とそれぞれ3倍に上げ、その他の条件
は変更せずに紡糸を行った。この結果、紡糸ドラフトが
54,000であっても安定に紡糸することができた。
この時得られた繊維の結晶サイズは、6,000m/分
以上の超高速紡糸でしか得られないものであった。
【0032】さらに、紡速を1000m/分とし、拡大
吐出孔に縦溝群部周長/全周長=60%となる縦溝を4
本刻設した以外の条件は変更せずに、拡大吐出孔のポリ
マー出口部における吐出孔内壁からのポリマーの剥離が
認められるまで吐出量を低下させていき、吐出量6.8
g/分での剥離の有無を調べた。
【0033】この時の結果が図5であり、図6は縦溝を
刻設しなかった従来の紡糸口金を使用して得られた結果
をグラフに示したものである。これらの図5及び図6の
グラフにおいて、縦軸に拡大吐出孔の片テーパー角
(θ)を採り、横軸に最大吐出孔径を採っている。これ
らのグラフにおいて、ポリマーが吐出孔内壁から剥離す
ることを次の3段階で評価した。
【0034】すなわち、 ○ ・・・ 全てのホール(36ホール)で剥離が発生
せず、安定にポリマーが流下していた。 △ ・・・ 1〜2ホールが吐出孔内でポリマーが部分
的に剥離していた。 × ・・・ 3ホール以上の吐出孔内でポリマーが部分
的に剥離していた。で評価した。
【0035】この結果、例えば、図5のグラフに示すよ
うに拡大吐出孔の片テーパー角(θ)が15゜、最大吐
出孔径が9mmφにおいて、縦溝群を刻設した本発明で
は、全く剥離が生じないで安定に紡糸できた。これに対
して、縦溝群を刻設しなかった従来の紡糸口金では、明
らかに部分的な剥離が発生しており、安定な紡糸ができ
なかった。
【0036】ただし、図5と図6のグラフは、拡大吐出
孔の片テーパー角を5〜15゜まで変化させ、これに対
応させて最大吐出孔径を3〜11mmφまで変化させた
場合のみを例示したが、これらの紡糸条件とは異なる別
の紡糸条件においては、これらのパラメータは当然変わ
ってくる。しかしながら、本発明の拡大吐出孔に縦溝群
を刻設した紡糸口金と縦溝群を刻設しない紡糸口金と比
較した場合において、本発明の構成条件内のいずれの条
件においても、本発明の方がより少ない吐出量域まで剥
離が見られなかった。
【0037】
【発明の効果】本発明の拡大吐出孔に縦溝群が刻設され
た紡糸口金を使用することによって、数万〜数十万の高
ドラフト紡糸を溶融ポリマーが拡大吐出孔内壁から剥離
すること無く、安定にできる。このため、従来の紡糸口
金と比較して、より配向結晶化挙動がドラスティックに
変更された内部構造を持つ繊維を得ることができた。
【0038】例えば、ポリエチレンテレフタレートの溶
融紡糸においては、通常の紡糸口金を使用した場合、
6,000m/分以上の超高速紡糸で初めて達成できる
結晶サイズが大きく発達した内部構造を持つ繊維を3,
000m/分の中程度の紡糸速度で安定して容易に製造
することができる。このため、低伸度であって、耐熱性
に優れたポリエチレンテレフタレート繊維を得ることが
できた。
【0039】さらに、上記の低伸度、耐熱性のほかに、
屈折率も高く、染料にも極めて良く染まるため、他素材
と比較して鮮明感に劣るポリエチレンテレフタレート繊
維の色彩改良の極めて有効な手段となった。また、アル
キルスルホン酸ソーダ等を含む改質ポリエチレンテレフ
タレートを使用した制電性ポリエステル繊維の紡糸にお
いては、高ドラフト効果により、上記の剤が極めて細く
筋状に分布するため、制電制に優れた繊維を得ることが
できる。
【0040】しかも、本発明の紡糸口金を用いると、溶
融ポリマーの細化過程において、分子鎖の引き伸ばしを
を容易にできるため、通常の紡糸温度よりも、温度を下
げて紡糸することができる。このため、長時間に亘る紡
糸を経ても、紡糸口金面に付着する異物の量が少なく、
生産技術の面でも極めて大きな効果があった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1-(A)は、本発明の紡糸口金の一部を断面し
た側面図である。また、図1-(B)はポリマーの流下する
逆方向から拡大吐出孔を見たときの部分平面図である。
【図2】図2-(A)は縦溝が4本刻設された拡大吐出孔
を、そして図2-(B)は縦溝が8本刻設された場合の拡大
と出孔の部分平面図をそれぞれ表す。
【図3】図3-(A)は、縦溝が刻設されていない従来の紡
糸口金の一部を断面した側面図である。また、図3-(B)
は該口金の部分平面図である。
【図4】図4-(A)は、ポリマーが拡大吐出孔内壁から剥
離せずに正常に流れる状態を示し、図4-(B)は、剥離を
生じて流れる状態を示した側面断面図である。
【図5】本発明の拡大吐出孔に縦溝を刻設した紡糸口金
を使用した時の剥離状態を示したグラフである。
【図6】従来の拡大吐出孔に縦溝を刻設しない紡糸口金
を使用した時の剥離状態を示したグラフである。
【符号の説明】
1 ポリマー導入孔 2 最小吐出孔径 3 最大吐出径 4 縦溝 5 ポリマー θ 拡大吐出孔の片テーパー角

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリマーの吐出孔断面積がポリマーの吐
    出方向に沿って連続的に拡大する内壁面が平坦な拡大吐
    出孔形状を有し、下記の要件a〜c、すなわち、 a.前記の断面積が拡大を開始する時点の最小吐出孔径
    が0.05mmφ以上、1.0mmφ以下であり、 b.前記の断面積が拡大を終了した時点の最大吐出孔径
    が、少なくとも3.0mmφ以上であって、且つ c.前記の断面積が連続的に拡大する拡大吐出孔の片テ
    ーパー角度が、5°以上、40°以下であること。を同
    時に満足する紡糸口金において、下記の要件dとe、す
    なわち、 d.ポリマーの吐出方向に沿って、前記の拡大吐出孔の
    平坦な内壁上に4本以上の縦溝群が刻設されており、且
    つ e.該縦溝群の周長が吐出孔の全周長の40%以上、7
    0%以下であること。を同時に満足することを特徴とす
    る紡糸口金。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN117822138A (zh) * 2024-03-04 2024-04-05 常州德利斯护理用品有限公司 一种制备连续性异形喷熔纤维的组合式喷嘴
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