JP2002363820A - 熱可塑性合成樹脂からなるフラットヤーンの製造方法 - Google Patents

熱可塑性合成樹脂からなるフラットヤーンの製造方法

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JP2002363820A
JP2002363820A JP2001170579A JP2001170579A JP2002363820A JP 2002363820 A JP2002363820 A JP 2002363820A JP 2001170579 A JP2001170579 A JP 2001170579A JP 2001170579 A JP2001170579 A JP 2001170579A JP 2002363820 A JP2002363820 A JP 2002363820A
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laser
heat treatment
yarn
synthetic resin
thermoplastic synthetic
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Yoshiji Funatsu
義嗣 船津
Masato Kuroda
正人 黒田
Atsushi Taniguchi
敦 谷口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 省スペース、省エネルギーであり、かつ品位
に優れる熱可塑性合成樹脂からなるフラットヤーンの製
造方法を提供すること。 【解決手段】 下記条件で、走行糸条にレーザ光を照射
し、加熱処理を施すことを特徴とする熱可塑性合成樹脂
からなるフラットヤーンの製造方法。 5≦χin≦25 0.85≦vout/vin≦1.15 400≦vout 5≦χout−χin ただしχin :レーザ加熱処理域直前の繊維の結晶化度
[%] χout:レーザ加熱処理域直後の繊維の結晶化度 [%] vin :レーザ加熱処理域直前の糸条速度 [m/min] vout:レーザ加熱処理域直後の糸条速度 [m/min]

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱可塑性合成樹脂か
らなるフラットヤーンの製造方法に関するものであり、
詳しくは省スペース、省エネルギーであり、かつ品位に
優れる熱可塑性合成樹脂からなるフラットヤーンの製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルやポリアミドに代表される
熱可塑性合成繊維は、力学特性、寸法安定性においてバ
ランスよく優れた特性をもち、かつ溶融紡糸・延伸さら
には高速紡糸法などにより安価に製造できるため、衣料
用途のみならず、産業用途にも広く使用されている。
【0003】一般に、このような熱可塑性合成繊維の製
造方法においては、溶融吐出した樹脂を引き取り、紡糸
あるいは延伸工程において繊維を引き伸ばすことでその
力学特性を高め、最終的に高温加熱処理を施すことで力
学特性、寸法安定性を向上させる。特に加熱処理工程は
繊維を構成する高分子の結晶成長および非晶部の緩和を
行う工程であり、強度や収縮率といった繊維の基本特性
はこの工程において決定されると言っても過言ではな
い。
【0004】熱処理手法としては加熱ローラーに繊維を
周回させて接触加熱を行うことが一般的に広く採用され
ている。しかしこの手法では、生産性向上のため延伸速
度を高速化した場合、繊維の加熱ローラーへの接触時間
を維持するためローラー上への多周巻き付けあるいはロ
ーラー大径化が必要となり、ローラーのためのスペース
が広く必要となる問題があることに加え、ローラー表面
速度が上昇することによりローラー加熱効率が悪化する
という問題がある。
【0005】加えて、高速化した場合ローラーへの接触
による擦過からか繊維の力学特性、特に強度が低下する
ことがあり、毛羽や単糸切れの発生に至ることもある。
【0006】このような問題を改善するため、ホットロ
ール温度を高めたり、高温の非接触加熱ヒーターを用い
たりする技術なども提案されている。確かにこの手法で
ある程度加熱領域を短くすることは可能であるが、温度
をさらに高め、加熱領域をさらに短くしようとした場
合、糸条外層の単糸のみが急速に加熱されるため単糸間
の加熱ムラや延伸ムラ発生による力学特性の低下を招
き、場合によっては単糸の融着や単糸切れによる毛羽発
生が起こることもある。このためヒーターを高温化して
も、糸条全体を均一に熱処理するためにある程度の時間
が必要であり、延伸速度が速い場合にはある程度の長さ
が必要となる。加えて非接触ヒーターは基本的に長尺物
であり、長さによっては加熱ローラーよりも広いスペー
スを必要とすることもあるため、省スペース化を妨げて
しまうこともある。
【0007】このように従来の手法では熱可塑性合成繊
維の生産性を向上するため延伸速度を高速化するとスペ
ースを広く必要とし、加えて加熱効率の悪化からエネル
ギー負荷が大きく増加し生産性が低下するという背反す
る問題を抱えていた。さらに高温による急加熱を施した
場合は毛羽や糸切れの発生により製品の品位が悪化する
という問題があった。これは繊維を熱処理する際の加熱
手法が十分考慮されていないためである。
【0008】ところで、繊維加工処理の加熱源としてレ
ーザ光を用いる技術が知られている。レーザ光は単色光
であり直進性に優れることから、繊維を効率よく非接触
加熱できる可能性がある。
【0009】例えば特開昭60-94619号公報、特開昭61-7
5811号公報等や成形加工シンポジア'99,p.185(1999)お
よびFiber Preprints,Japan,Vol.55,No.1,p.30(2000)、
さらにはFiber Preprints,Japan,Vol.55,No.3,p.38(200
0)等では繊維を延伸する際の加熱源としてレーザ光を用
いる技術が示されている。しかしこれらは繊維にレーザ
光を照射し比較的遅い速度で高倍率延伸することを目的
としており、高速での熱処理による繊維の結晶化度の増
加をねらいとする本発明とは目的を異にしている。
【0010】また「熱処理」という観点でレーザ光を用
いている例も見られるが、これらは非対称加熱による潜
在捲縮、潜在嵩高性を得ること(特公昭56-11762号公
報、特開昭61-97435号公報等)や間欠的にレーザ光を照
射することで繊維軸方向に太細や染色特性差を有させる
こと(特開昭59-157310号公報、特開昭59-157313号公報
等)に用いられており、糸条全体を均一に熱処理し、フ
ラットヤーンを得る技術については何ら示唆されていな
い。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
従来技術の問題点を解消し、省スペース、省エネルギー
であり、かつ品位に優れる熱可塑性合成樹脂からなるフ
ラットヤーンの製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、レーザ加
熱による熱可塑性合成繊維の均一な熱処理について鋭意
検討を重ねてきた。その中でレーザ加熱処理域前後での
速度および速度比と結晶化度がある一定条件を満たすこ
とによって従来技術の欠点を解消できることを見いだし
本発明に到達したものである。
【0013】すなわち、本発明は下記条件で、走行糸条
にレーザ光を照射し、加熱処理を施すことを特徴とする
熱可塑性合成樹脂からなるフラットヤーンの製造方法を
提供するものである。
【0014】5≦χin≦25 0.85≦vout/vin≦1.15 400≦vout 5≦χout−χin ただしχin :レーザ加熱処理域直前の繊維の結晶化度
[%] χout:レーザ加熱処理域直後の繊維の結晶化度 [%] vin :レーザ加熱処理域直前の糸条速度 [m/min] vout:レーザ加熱処理域直後の糸条速度 [m/min]
【0015】
【発明の実施の形態】本発明でいう熱可塑性樹脂は特に
限定するものではないが、後述するレーザ種にもよる
が、炭酸ガスレーザを用いる場合には、吸光度の観点か
らカルボニル基を有する熱可塑性合成樹脂を用いること
が好ましく、ポリエステルやポリアミドを用いることが
特に好ましい。更に好ましくはポリエチレンテレフタレ
ート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート、ポリヘキサメチレンアジパミドまたはポ
リカプラミドである。
【0016】また本発明でいう熱可塑性樹脂には発明の
主旨を損ねない範囲で他の成分が共重合されていても良
く、さらに艶消剤、難燃剤、滑剤等の添加剤を少量含有
しても良い。実施可能な熱可塑性樹脂の重合度は特に限
定されない。例えば、ポリエステルであれば固有粘度
0.5以上、ポリアミドであれば硫酸相対粘度2.4以
上が好ましい。
【0017】また本発明で言うフラットヤーンとは単繊
維の長手方向での繊維物性が本質的に同一であり、かつ
マルチフィラメントの場合単繊維間での繊維物性が本質
的に同一であることを指す。ここでの本質的に同一とは
繊維物性が計測誤差の範囲でほぼ同一であることを意味
する。
【0018】熱処理に供する糸条の、レーザ加熱処理域
直前の結晶化度(χin)は5≦χin≦25であり、好まし
くは10≦χin≦25である。5%未満ではレーザ光の
高温処理によって溶断が発生し、25%を超えると繊維
構造が固定されているためレーザ光による熱処理効果が
発現しない。熱処理に供する糸条の結晶化度を高める手
法としては特に限定されるものではないが、紡糸速度の
増加、レーザ加熱処理の前の延伸による配向結晶化等の
手法がある。なお繊維の結晶化度は種々の方法で求める
ことができるが、本発明においては実施例に記載してい
る密度勾配管による浮沈法によって求められる値とす
る。
【0019】また熱処理に供する糸条は、その力学特性
を高めるために熱処理前に分子配向が十分に進んでいる
ことが好ましく、ポリエステルを用いる場合の分子配向
の指標である複屈折率△nはレーザ加熱処理域直前で
0.060以上、好ましくは0.080以上であること
が好ましい。
【0020】なお本発明におけるレーザ加熱処理域直前
・直後の繊維物性は、処理域直前・直後で走行糸条を挟
み取り、これを測定することにより得られる値とする。
【0021】本発明で用いるレーザ光の種類は特に限定
されないが、大出力が得られること、比較的安価なこと
から炭酸ガスレーザやYAGレーザを用いるのが好まし
く、特に炭酸ガスレーザが好ましい。
【0022】レーザ光の出力は次項に示す照射方法や糸
条走行速度、糸条形態(繊度、フィラメント数、断面形
状、表面状態)によって異なるが、その強度は照射位置
で繊維の結晶化温度を超え、かつ融点以下となるのに十
分なエネルギーとする必要があり、糸条が溶断しない程
度まで高めることが好ましい。
【0023】レーザ光照射方法は特に限定されないが、
出力や糸条走行速度によって、糸条に対し幅広くあるい
は多方面から照射することが好ましく、走行糸条に対し
W≧0.15・D1/2(W:走行糸条に垂直な方向のレー
ザ照射域の幅[mm]、D:レーザ照射域入りでの糸条の繊
度[dtex])となる条件で照射することや、走行糸条に対
し2方向を超える多数の方向からレーザ光を照射するこ
とが特に好ましい。
【0024】なお、走行糸条に垂直な方向のレーザ照射
域の幅とは、レーザスポットが円形の場合はその直径で
あるが、非円形の場合は糸条に対しレーザを照射してい
る領域の糸条に垂直方向の最大長さを指す。
【0025】このような条件でレーザを照射することに
より、レーザスポット径程度(数mm程度)という極めて小
さい領域を加熱し、走行糸条を均一に高温加熱できるた
め、従来の加熱ローラーや非接触加熱ヒーターに比べ省
スペース化が達成できる。また光ファイバ等を用いるこ
とでレーザ発振機を糸条から離れた場所に設置すること
も可能であり、さらに省スペース化を図ることもでき
る。加えて、加熱する領域が極めて小さく、さらにレー
ザ光の照射によって糸条を直接加熱できるため加熱効率
も高く、これらの相乗効果として熱処理に必要なエネル
ギーは小さくなるため、従来の手法に比べ大幅な省エネ
ルギー化が達成できる。
【0026】本発明ではレーザ光を用いて繊維を加熱処
理するが、その際下記条件を満たすことが必要である。
【0027】0.85≦vout/vin≦1.15 400≦vout ただしvin :レーザ加熱処理域直前の糸条速度 [m/mi
n] vout:レーザ加熱処理域直後の糸条速度 [m/min] vout/vinが0.85に満たない場合は糸条の走行が
不安定となり、繊維軸方向での加熱斑の発生や糸条の溶
断が懸念される。またvout/vinが1.15を超える
場合はレーザ加熱処理域内でネック延伸が発生する可能
性がある。ネック延伸が起こると、ネック点近傍での構
造変化が大きくなりすぎるため高出力でレーザ光を照射
した場合に溶断する可能性がある。これらに加えvout
を400m/minとすることで延伸速度の高速化と高張力
下での熱処理を同時に達成できる。
【0028】なおレーザ加熱処理域前後での糸条速度と
は、レーザ加熱処理域とその直前直後の速度規制装置
(ローラー等)との間の任意の位置で計測される糸条の速
度である。ただし速度規制装置とレーザ加熱処理域の間
にさらに速度を規制する可能性がある物体(糸道規制ガ
イド等)が存在する場合は、その物体よりもレーザ加熱
処理域に近い位置で測定される糸条速度を用いる。ま
た、これら速度規制装置近傍では延伸等の作用により糸
条速度が変化している可能性があるため、計測は速度規
制装置の糸離れ位置よりも5cm以上離れた位置で行う
ことが好ましい。
【0029】本発明の条件で熱処理を施した繊維の結晶
化度χoutとχinの差は5%以上、好ましくは10%以
上である。χoutとχinの差が5%に満たない場合、熱
セットが不十分であり、十分な力学特性や寸法安定性を
発現できない。なお本発明の熱処理手法により十分に結
晶化が進んだ、実用的な繊維が得られるが、さらなる力
学特性の向上および寸法安定性の向上のためにさらなる
熱処理を施しても良い。この場合には先にレーザ光によ
る熱処理を施すことで安定した繊維構造が形成されてい
るため、熱処理手法としては従来のホットロールなどの
手法を採用しても構わない。
【0030】本発明により400m/min以上の高速延伸
における熱処理の省エネルギー、省スペース化が達成で
きるが、糸条速度が高速であるほどレーザ光の効果を発
揮できるため、直接紡糸延伸は好適な実施形態である。
この場合、熱処理を施す場所は特に限定されるものでは
なく、一度引き取った原糸をローラー間で加熱延伸し、
その後別のローラー間でレーザ光を照射し熱処理を行っ
ても良いし、あるいは引取速度を高速化し、繊維をある
程度結晶化させたうえでローラ間でレーザ光を照射し熱
処理を行っても良いし、さらには高速で引き取る際に引
取ローラーよりも紡糸線上流側でレーザ光を照射し熱処
理を行っても良い。
【0031】
【実施例】以下実施例により、本発明を具体的かつより
詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に制限
されるものではない。なお、実施例中の物性値は以下の
方法によって測定した。 A.固有粘度(IV) オルソクロロフェノール中、25℃で測定した。 B.密度(ρ) 臭化ナトリウム水溶液による密度勾配管法で測定した。 C.結晶化度(χ) 密度勾配管法で測定した繊維の密度から以下の式を用い
て求めた。
【0032】χ=(ρc−ρ)/(ρc−ρa) なおポリエチレンテレフタレートの場合ρc=1.455g/cm
3、ρa=1.335g/cm3を用いた。 D.複屈折率(△n) OLYMPUS社製BH−2偏光顕微鏡コンペンセータ
ーを用い、通常の干渉縞法によって、レターデーション
と繊維径より求めた。 E.糸条速度(v) TSI社製レーザードップラー速度計LS−50を用い
測定した。 F.強度・伸度 オリエンテック社製テンシロン引張試験機を用い、初期
試料長200mm、引張速度200mm/minで測定した。 G.沸騰水収縮率 JIS−L1031に基づき測定した。
【0033】実施例1 紡糸速度3000m/minで得たIV=0.63の154dtex、36フィ
ラメントのポリエチレンテレフタレート未延伸糸を図1
のような延伸装置を用い、1HR(90℃、325m/min)−D
R(非加熱、600m/min)間で延伸を行い、かつ1HR−D
R間にレーザ加熱処理域を設け出力150W、スポット径
3.0mmの条件で炭酸ガスレーザ光を照射し、熱処理を行
った。レーザ加熱処理前の繊維物性、レーザ加熱処理域
前後の糸条速度、およびレーザ加熱処理後の繊維物性を
表1に示す。なお、レーザ加熱処理前の糸条の繊度は86
dtexであった(レーザ照射域の幅W>1.39mm)。
【0034】表1から分かるように延伸後にレーザ光を
用い熱処理を行うことで十分な力学特性、収縮特性を持
つ繊維を省エネルギー・省スペース(比較例1参照)で得
ることができる。
【0035】
【表1】 比較例1 レーザ加熱処理を行わず、1HR−DR間に2HR(140
℃、600m/min)を設けること(図2)以外は実施例1と同
様の手法で延伸、熱処理を行った。加熱処理前の繊維物
性、加熱処理後の繊維物性を表1に示す。なお加熱処理
前後の物性値は2HRの直前直後で走行糸条を挟み取
り、測定して得られたものである。
【0036】表1からHRを用いて熱処理を行うと、実
施例1に比べてスペース、エネルギーを多く必要とする
ことに加え、得られる繊維の強度もやや低いことが分か
る。
【0037】実施例2 紡糸速度4000m/minで得たIV=0.75の104dtex、12フィ
ラメントのポリエチレンテレフタレート未延伸糸を図1
のような延伸装置を用い、1HR(75℃、205m/min)−D
R(非加熱、400m/min)間で延伸を行い、かつ1HR−D
R間にレーザ加熱処理域を設け出力120W、スポット径
2.0mmの条件でミラーを用い反射させることにより走行
糸条に炭酸ガスレーザ光を3回照射し、熱処理を行っ
た。なお、レーザ加熱処理前の糸条の繊度は61dtexであ
った(レーザ照射域の幅W>1.17mm)。レーザ加熱処理前
の繊維物性、レーザ加熱処理域前後の糸条速度、および
レーザ加熱処理後の繊維物性を表1に示す。
【0038】このようにミラーを用い複数回レーザ光を
照射することにより効率的な熱処理が可能であり、スト
レッチ条件下で熱処理を行うことで十分な力学特性、収
縮特性を持つ高強度繊維が省エネルギー・省スペースで
得られることが分かる。
【0039】実施例3 紡糸速度3000m/minで得たIV=0.70の110dtex、12フィ
ラメントのポリエチレンテレフタレート未延伸糸を図3
のような延伸装置を用い、1DR(非加熱、400m/min)−
2DR(非加熱、800m/min)間にレーザ延伸域を設け出力
80W、スポット径2.5mmの条件で走行糸条に炭酸ガスレ
ーザ光を照射し延伸を行い、引き続き2DR−3DR
(非加熱、680m/min)間にレーザ加熱処理域を設け出力10
0W、スポット径2.0mmの条件でミラーを用い反射させる
ことにより走行糸条に炭酸ガスレーザ光を3回照射し、
熱処理を行った。なお、レーザ加熱処理前の糸条の繊度
は55dtexであった(レーザ照射域の幅W>1.11mm)。レー
ザ加熱処理前の繊維物性、レーザ加熱処理域前後の糸条
速度、およびレーザ加熱処理後の繊維物性を表1に示
す。
【0040】このようにリラックス条件下でレーザ光を
用い熱処理を行うことで高強度、低収縮繊維が省エネル
ギーで得られることが分かる。
【0041】実施例4 紡糸速度500m/minで得たIV=0.98の646dtex、36フィ
ラメントのポリエチレンテレフタレート未延伸糸を図4
のような延伸装置を用い、1HR(75℃、70m/min)−2
HR(135℃、330m/min)間で延伸を行い、引き続き2H
R−DR(非加熱、410m/min)間にレーザ加熱処理域を設
け出力120W、スポット径2.5mmの炭酸ガスレーザ光を2
方向から照射し、熱処理を行った。なお、レーザ加熱処
理前の糸条の繊度は115dtexであった(レーザ照射域の幅
W>1.61mm)。レーザ加熱処理前の繊維物性、レーザ加
熱処理域前後の糸条速度、およびレーザ加熱処理後の繊
維物性を表1に示す。
【0042】このように多方向からレーザ光を照射して
も効率的な熱処理が可能であり、χ inが25%未満の高
配向繊維を熱処理することで、高強度繊維が省エネルギ
ー・省スペースで得られることが分かる。
【0043】実施例5 IV=0.64のポリエチレンテレフタレートを紡糸温度29
0℃で孔数36の紡糸口金より42g/minで吐出し、口金下14
00mmで長さ2000mmの非接触加熱域に導入して加熱延伸し
た後1GR(非加熱、5200m/min)で引き取り、引き続き
1GR−2GR(非加熱、5000m/min)間にレーザ加熱処
理域を設け出力120W、スポット径3.0mmの条件でミラー
を用い反射させることにより走行糸条に炭酸ガスレーザ
光を4回照射し、熱処理を行った(図5)。なお、レーザ
加熱処理前の糸条の繊度は80dtexであった(レーザ照射
域の幅W>1.34mm)。レーザ加熱処理前の繊維物性、レ
ーザ加熱処理域前後の糸条速度、およびレーザ加熱処理
後の繊維物性を表1に示す。
【0044】このようにレーザ光を用いることで高速紡
糸でも10≦χout−χinとなる十分な熱処理が可能で
あり、十分な力学特性、収縮特性を持つ繊維を省エネル
ギー・省スペースで得ることができる。
【0045】実施例6 IV=0.64のポリエチレンテレフタレートを紡糸温度29
5℃で孔数36の紡糸口金より28g/minで吐出した後、図6
のような引き取り装置を用い、1HR(90℃、2900m/mi
n)−1DR(非加熱、5100m/min)間で延伸を行い、引き
続き1DR−2DR(非加熱、5130m/min)間にレーザ加
熱処理域を設け出力180W、スポット径4.0mmの条件で炭
酸ガスレーザ光を照射し、熱処理を行った。なお、レー
ザ加熱処理前の糸条の繊度は55dtexであった(レーザ照
射域の幅W>1.11mm)。レーザ加熱処理前の繊維物性、
レーザ加熱処理域前後の糸条速度、およびレーザ加熱処
理後の繊維物性を表1に示す。
【0046】このようにレーザの幅が糸条幅に対し十分
大きければ片面照射でも熱処理は可能であり、十分な力
学特性、収縮特性を持つ繊維が省エネルギー・省スペー
スで得られることが分かる。
【0047】実施例7 IV=1.18のポリエチレンテレフタレートを紡糸温度29
5℃で孔数36の紡糸口金より33g/minで吐出した後、図7
のような引き取り装置を用い、1HR(90℃、500m/min)
−2HR(140℃、2300m/min)間、2HR−DR(非加
熱、2650m/min)間で延伸を行い、DRとセパレートロー
ラー間にレーザ加熱処理域を設け出力150W、スポット
径3.0mmの炭酸ガスレーザ光を3方向から照射し、熱処
理を行った。なお、レーザ加熱処理前の糸条の繊度は12
5dtexであった(レーザ照射域の幅W>1.68mm)。レーザ
加熱処理前の繊維物性、レーザ加熱処理域前後の糸条速
度、およびレーザ加熱処理後の繊維物性を表1に示す。
【0048】このように多方向からレーザ光を照射して
も効率的な熱処理が可能であり、直接紡糸延伸において
高強度繊維が省エネルギー・省スペース(比較例2参照)
で得られることが分かる。
【0049】比較例2 レーザ加熱処理を行わず、2HR−DR間に3HR(210
℃、2650m/min)を設けること(図8)以外は実施例7と同
様の手法で延伸、熱処理を行った。得られた繊維にはと
ころどころ毛羽が見られた。加熱処理前の繊維物性、加
熱処理後の繊維物性を表1に示す。なお加熱処理前後の
物性値は3HRの直前直後で走行糸条を挟み取り、測定
して得られたものである。
【0050】表1からHRを用いて熱処理を行うと、実
施例7に比べてスペース、エネルギーを多く必要とする
ことに加え、得られる繊維の強度も低いことが分かる。
【0051】
【発明の効果】本発明の手法により、熱可塑性合成樹脂
からなるフラットヤーンの製造における省スペース、省
エネルギー化が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】、
【図3】〜
【図7】本発明の実施形態の例であり、図中で網がかか
っているローラーは加熱状態であることを表す。
【図2】、
【図8】従来の手法の例である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年7月6日(2001.7.6)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の例であり、図中の「レーザ
加熱処理域」内でレーザ光を照射し加熱処理する。
【図2】従来の手法の例である。
【図3】本発明の実施形態の例であり、図中の「レーザ
延伸域」内でレーザ光を照射し延伸を行い、「レーザ加
熱処理域」内でレーザ光を照射し加熱処理をする。
【図4】本発明の実施形態の例であり、図中の「レーザ
加熱処理域」内でレーザ光を照射し加熱処理する。
【図5】本発明の実施形態の例であり、紡出された糸条
(「紡出糸」)を非接触加熱域を通過させた後、「レーザ
加熱処理域」内でレーザ光を照射し加熱処理する。
【図6】本発明の実施形態の例であり、紡出された糸条
(「紡出糸」)を図中の「レーザ加熱処理域」内でレーザ
光を照射し加熱処理する。
【図7】本発明の実施形態の例であり、紡出された糸条
(「紡出糸」)を図中の「レーザ加熱処理域」内でレーザ
光を照射し加熱処理する。
【図8】従来の手法の例である。
【符号の説明】 HR:加熱ローラー DR:非加熱ローラー W/D:巻取機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L035 BB31 BB33 BB79 DD02 4L036 MA04 MA05 MA06 MA20 PA18 UA25 4L045 AA05 BA01 BA12 DA15 DA41

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記条件で、走行糸条にレーザ光を照射
    し、加熱処理を施すことを特徴とする熱可塑性合成樹脂
    からなるフラットヤーンの製造方法。 5≦χin≦25 0.85≦vout/vin≦1.15 400≦vout 5≦χout−χin ただしχin :レーザ加熱処理域直前の繊維の結晶化度
    [%] χout:レーザ加熱処理域直後の繊維の結晶化度 [%] vin :レーザ加熱処理域直前の糸条速度 [m/min] vout:レーザ加熱処理域直後の糸条速度 [m/min]
  2. 【請求項2】走行糸条に対し下記条件でレーザ光を照射
    することを特徴とする請求項1記載の熱可塑性合成樹脂
    からなるフラットヤーンの製造方法。 W≧0.15・D1/2 ただしW:走行糸条に垂直な方向のレーザ照射域の幅
    [mm] D:レーザ照射域入りでの糸条の繊度 [dtex]
  3. 【請求項3】走行糸条に対し2方向を超える多数の方向
    からレーザ光を照射することを特徴とする請求項1また
    は2記載の熱可塑性合成樹脂からなるフラットヤーンの
    製造方法。
  4. 【請求項4】熱可塑性樹脂を溶融吐出し引き取った後、
    一旦巻き取ることなく連続的にレーザ光を照射し、加熱
    処理を施すことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1
    項記載の熱可塑性合成樹脂からなるフラットヤーンの製
    造方法。
  5. 【請求項5】レーザ光が炭酸ガスレーザであることを特
    徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の熱可塑性合
    成樹脂からなるフラットヤーンの製造方法。
  6. 【請求項6】熱可塑性合成樹脂がポリエステルまたはポ
    リアミドであることを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    か1項記載の熱可塑性合成樹脂からなるフラットヤーン
    の製造方法。
  7. 【請求項7】熱可塑性合成樹脂がポリエステルであり、
    レーザ加熱処理域直前の繊維の複屈折率△nが0.06
    0以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか
    1項記載の熱可塑性合成樹脂からなるフラットヤーンの
    製造方法。
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