JPH07206903A - 超分子構造型集合体 - Google Patents

超分子構造型集合体

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JPH07206903A
JPH07206903A JP6005776A JP577694A JPH07206903A JP H07206903 A JPH07206903 A JP H07206903A JP 6005776 A JP6005776 A JP 6005776A JP 577694 A JP577694 A JP 577694A JP H07206903 A JPH07206903 A JP H07206903A
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JP
Japan
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polysaccharide
sterol
supramolecular
bound
supramolecular structure
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JP6005776A
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English (en)
Inventor
Junzo Sunamoto
順三 砂本
Kazunari Akiyoshi
一成 秋吉
Jun Sato
純 佐藤
Susumu Iwasa
進 岩佐
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Takeda Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】難水溶性の含窒素複素環化合物の薬効を安定的
に効率よく発現させうるドラッグデリバリーシステムを
提供する。 【構成】ステロールを結合させた多糖類に難水溶性の含
窒素複素環化合物を包埋させてなる超分子構造型集合
体。 【効果】難水溶性の含窒素複素環化合物の血中滞留時間
を増大させ、また、速やかに標的臓器へ効率的に運搬さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、徐放性製剤などとして
有用な、多糖類-ステロール誘導体に難水溶性の含窒素
複素環化合物を包埋させてなる超分子構造型集合体に関
する。
【0002】
【従来の技術】生理活性物質はヒトないしは動物などの
疾病の治療に有効であるが、一方で投与法・投与量を誤
ると疾病が治療できないばかりでなく、重篤な副作用を
惹起することがある。また有用な生物活性を有している
にもかかわらず、各種溶媒に対する溶解性に難点がある
ため臨床応用の困難な生理活性物質も数多く見い出され
ている。従って、ヒトないしは動物などの疾病を治療す
る目的で生理活性物質を生体に投与する時、まず該生理
活性物質を生体に投与可能な形態に剤型化し、次いで必
要量を標的部位に適当な時間だけ存在させることを考慮
しなければならない。そのためには幾つかの方法が取ら
れるが、例えば、(i)投与法・投与量を制御し至適条
件を設定する、(ii)生理活性物質本体の構造を改変し
最適化を図る、さらには、(iii)生理活性物質の製剤
処方を工夫する、などが挙げられる。(i)の投与法工
夫の例としては、静脈内投与・皮下投与・筋肉内投与・
経口投与など、投与ルートを変更させることなどが可能
であるが、薬物の分布あるいは血中半減期そのものを変
えることは困難である。(ii)の生理活性物質本体の構
造を改変する場合には、生体内半減期・分布・代謝ある
いは溶解性などの性質を変えることはできるが、生理活
性物質本体の薬理作用が質・量共に変化し薬物としての
有用性が失われることがある。また、(iii)の製剤処
方に依る例として、リポソームやマイクロカプセルなど
の利用が挙げられる。いずれも薬物ないしは薬物溶液を
内封させた例である。この場合、難水溶性の化合物を対
象とすることも可能であるが、薬物そのものの半減期や
分布を変えることは容易ではなく、その実用例は必ずし
も多くない。
【0003】一方、抗真菌活性を有するポリエン系抗生
物質(例.アムホテリシンB、ナイスタチンなど)、イ
ミダゾール系化合物(例.ケトコナゾール、ミコナゾー
ルなど)、トリアゾール系化合物(例.フルコナゾー
ル、イトラコナゾールなど)が、カンジダ属・クリプト
コッカス属およびアスペルギルス属真菌感染症患者の治
療に使用されている。このような真菌症は近年急速に増
加する傾向にあり、例えば臓器移植患者、抗生物質・抗
癌剤あるいはステロイド剤の長期多量投与患者、エイズ
患者、さらには白血病や癌の末期患者の深在性真菌症の
合併が大きな問題となっている。これらの薬物の中で
は、アムホテリシンBが顕著な効果を示すため頻用され
ているが、消化管・腎臓および肝臓への障害作用が強い
ためしばしば休薬を余儀なくされる。またフルコナゾー
ルは比較的毒性が小さいが、薬効が必ずしも十分でな
く、薬効用量においてはやはり肝臓や腎臓への機能障害
・発疹・発熱・悪心・嘔吐・下痢・倦怠感・好酸球増多
などの副作用が時として生ずる。また、これらは難水溶
性の化合物が多く、投与法や生体内代謝に関し臨床応用
上各種の問題を抱えている。
【0004】現在、このような種々の生理活性物質の性
質を改善し、臨床治療に役立たせる目的で多くの試みが
成されている。例えば、(i)全投与量を変えずに投与
回数を増やしたり、あるいは点滴静注のように持続注入
することにより、血中での作用時間を伸ばす[K.Ootsu
et al.:Cancer Immunol.Immunother.,30,71(1989)]、
(ii)薬物にポリエチレングリコール(以下、PEGと略
記することがある)を結合させ、血中半減期を増大させ
る[特開昭60-226821号公報、特開昭63-152393号公報、
N.Katre et al.:PCT/US86/01252(WO8700/056A)]、ま
た、(iii)リポソームを用いて生理活性物質を包埋する
[佐藤智典ら:Drug Delivery System,4,7(1989)]、な
どの方法が挙げられる。特に抗真菌剤では、アムホテリ
シンBをリポソームに配合したDDS製剤がヨーロッパ
では既に認可され上市されている。本剤は米国のベスタ
ー社が開発したものであるが、アムホテリシンBの強い
毒性を軽減する点において成功した唯一のリポソーム製
剤である[G.Lopez-Beresteinら:J.Infect.
Dis.,151, 704 (1985)]。しかし
ながら、例えば、(i)の方法では、全投与量が変わら
ないため副作用の軽減効果として多くを期待できなかっ
たり、あるいは患者のコンプライアンスが得られにくい
症例が多いこと、(ii)の方法では、PEG修飾により
薬物自身の生理活性を著しく減少させ、またホモジニア
スな製剤を得にくいこと、(iii)の方法では、難水溶
性の薬物の包埋も可能となるが、リポソームが生体内の
細網内皮系の細胞、例えばマクロファージなどに貪食さ
れたり、あるいはリポソームそのものの安定性に未だに
問題を有していること、などの欠点を有することから、
生理活性物質、特に含窒素複素環化合物の体内動態の改
善に有効な簡便な方法は十分に得られていないのが現状
である。
【0005】また、多糖類-コレステロール誘導体が、
リポソームの多糖被覆剤として使用することによりリポ
ソームを物理的に安定化させること[越智章ら:Drug De
livery System,5,261(1990)]や、あるいは蛋白質およ
び疎水性の高い化合物と相互作用してそれらを包埋する
こと[K.Akiyoshi et al.:Chem.Lett.,1263(1991)]、
などが最近報告された。しかしながら、これら蛋白質を
はじめとする薬物と疎水性化多糖との複合体における、
薬物そのものの血中動態へ与える影響については何ら知
られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、徐放性や標
的指向性などが賦与された、多糖類-ステロール誘導体
に難水溶性の含窒素複素環化合物を包埋させてなる超分
子構造型集合体を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、難水溶性
の含窒素複素環化合物の薬効を効果的に発現させるた
め、各種溶媒に対する溶解性を改善し、さらに徐放性や
標的指向性を賦与することについて鋭意研究した結果、
超分子構造型のキャリアとしての多糖類-ステロール誘
導体に、難水溶性の含窒素複素環化合物を包埋して疎水
性化多糖複合体を作製することによって、該含窒素複素
環化合物の血中滞留時間を増大させうることを見い出し
た。さらに、該疎水性化多糖複合体によって、特定臓器
へ該含窒素複素環化合物を効率良く移行させることがで
きることを見いだした。すなわち本発明は、(1)ステ
ロールを結合させた多糖類に難水溶性の含窒素複素環化
合物を包埋させてなる超分子構造型集合体、(2)ステ
ロールをリンカーを介して多糖類に結合させてなる上記
(1)記載の超分子構造型集合体、(3)認識素子糖を
さらに結合させた多糖類である上記(1)記載の超分子
構造型集合体。(4)認識素子糖をリンカーを介して多
糖類に結合させてなる上記(3)記載の超分子構造型集
合体、(5)ステロールを結合させた多糖類と難水溶性
の含窒素複素環化合物とを水溶液中で共存させることを
特徴とする上記(1)記載の超分子構造型集合体の製造
法、(6)(a)ステロールおよび認識素子糖とを結合
させた多糖類と(b)難水溶性の含窒素複素環化合物と
を水溶液中で共存させることを特徴とする上記(3)記
載の超分子構造型集合体の製造法、および(7)ステロ
ールを結合させた多糖類に難水溶性の含窒素複素環化合
物を包埋させてなる超分子構造型集合体を含有してなる
徐放性製剤である。
【0008】本発明における難水溶性の含窒素複素環化
合物としては、約10〜30℃(好ましくは15〜25
℃)で、該化合物1gもしくは1mlを溶解するために
100ml以上の水を要する難水溶性のものが挙げられ
る。特に、該化合物1gもしくは1mlを溶解するため
に10L以上の水を要する含窒素複素環化合物が好まし
い。
【0009】本発明における難水溶性の含窒素複素環化
合物としては、生理活性を有する物質であれば特に限定
されない。該含窒素複素環としては、環系を構成する原
子(環原子)として、少なくとも1個の窒素原子を含
み、さらに酸素、硫黄のうち少なくとも1個をヘテロ原
子として含んでいてもよい芳香族複素環、飽和あるいは
不飽和の非芳香族複素環(脂肪族複素環)が挙げられる
が、好ましくは芳香族複素環である。該芳香族複素環と
しては、芳香族単環式複素環(例、ピロール、オキサゾ
ール、イソオキサール、チアゾール、イソチアゾール、
イミダゾール、ピラゾール、1,2,3−オキサジアゾー
ル、1,2,4−オキサジアゾール、1,3,4−オキサ
ジアゾール、フラザン、1,2,3−チアジアゾール、
1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾ
ール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリア
ゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミ
ジン、ピラジン、トリアジン等)及び芳香族縮合複素環
(例:インドール、イソインドール、1H−インダゾー
ル、ベンズイミダゾール、ベンゾオキサゾール、1,2
−ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、1,2
−ベンゾイソチアゾール、1H−ベンゾトリアゾール、
キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キ
ノキサリン、フタラジン、ナフチリジン、プリン、プテ
リジン、カルバゾール、α−カルボリン、β−カルボリ
ン、γ−カルボリン、アクリジン、フェノキサジン、フ
ェノチアジン、フェナジン、フェナントリジン、フェナ
トロリン、インドリジン、ピロロ〔1,2−〕ピリダ
ジン、ピラゾロ〔1,5−〕ピリジン、イミダゾ
〔1,2−〕ピリジン、イミダゾ〔1,5−〕ピリ
ジン、イミダゾ〔1,2−〕ピリダジン、イミダゾ
〔1,2−〕ピリミジン、1,2,4−トリアゾロ
〔4,3−〕ピリジン、1,2,4−トリアゾロ
〔4,3−〕ピリダジン等)が挙げられるが、なかで
もイミダゾール、ジアゾールおよびトリアゾール系化合
物などが好ましい。該非芳香族複素環としては、例え
ば、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、テトラヒド
ロピロール、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン
等が挙げられる。
【0010】本発明における難水溶性の含窒素複素環化
合物における複素環化合物としては、例えば、抗真菌作
用、抗原虫作用、抗チューブリン作用、抗腫瘍作用など
を有する化合物が好ましい対象として挙げられる。
【0011】該抗真菌作用を有する化合物としては、イ
ミダゾール系誘導体(例、ケトコナゾール,ミコナゾー
ルなど)、トリアゾール系誘導体(例、フルコナゾー
ル,イトラコナゾール、2−[(1R,2R)−2−(2,4
−ジフルオロフェニル)−2−ヒドロキシ−1−メチル
−3−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)プロ
ピル]−4−[4−(2,2,3,3−テトラフルオロプロキ
シ)フェニル]−3(2H,4H)−1,2,4−トリアゾロ
ン(2-[(1R,2R)-2-(2,4-Difluorophenyl)-2-hydroxy-1-
methyl-3-(1H-1,2,4-triazol-1-yl)propyl]-4-[4-(2,2,
3,3-tetrafluoropropoxy)phenyl]-3(2H,4H)-1,2,4-tria
zolone))、さらにはマクベシンI,マクベシンIIおよ
びそれらの誘導体[S.Tanidaら:J.Antibiot., 33, 192
-204 (1980)]などが挙げられる。
【0012】本発明におけるステロールとしては、例え
ば、コレステロール,スチグマステロール,β−シトス
テロール,ラノステロール,エルゴステロールなどが挙
げられるが、好ましくは、コレステロールである。本発
明におけるステロールを結合させた多糖類における多糖
類としては、単糖残基が互いにグリコシド結合してでき
た高分子を意味するが、糖類成分は、単糖類(例、グル
コース,マンノース,ガラクトース,フコース)から、
または二糖類またはオリゴ糖類からも誘導できる。糖類
単位は1,2−、1,3−、1,4−または1,6−グ
リコシド結合していても、またα−またはβ−型結合の
いずれであってもよい。鎖は直鎖状でもまたは枝分かれ
していてもよい。糖類成分はグルコースであるものが好
ましい。該多糖類としては、例えば、天然または合成由
来のプルラン、アミロペクチン、アミロース、デキスト
ラン、ヒドロキシエチルデキストラン、マンナン、レバ
ン、イヌリン、キチン、キトサンなどが挙げられるが、
好ましくはプルランが使用される。
【0013】本発明において、ステロールはリンカーを
介して多糖類に結合していてもよく、該リンカーとして
は、ステロールを多糖類に結合させることができれば特
に限定されないが、好ましくは、式(I) −(CH2mCONH(CH2nNH−CO−O−
(I) 〔式中、mは0または1を、nは任意の正の整数をそれ
ぞれ示す〕で表されるものが挙げられる。式(I)中の
nとしては任意の整数でよいが、10以下が好ましく、
さらに好ましくは2〜6である。本発明におけるステロ
ールを結合させた多糖類において、ステロールは、多糖
類を構成する糖単位100個あたり、0.2〜20個、
好ましくは0.5〜5個結合させるのが好ましい。本発
明におけるステロールを結合させた多糖類としては、多
糖類を構成する糖単位における1級水酸基が式 −O−(CH2mCONH(CH2nNH−CO−O−
R 〔式中、Rはステロール残基を、mは0または1を、n
は任意の正の整数をそれぞれ示す〕で表されるものがよ
り好ましい。本発明におけるステロールを結合させた多
糖類は、さらに認識素子糖を結合させていてもよい。本
発明における認識素子糖とは、標的臓器,組織,細胞も
しくは腫瘍(例、肝臓,細網内皮系組織・細胞,活性化
血小板,白血病細胞,脳腫瘍)を認識し得るグリコシル
基であり、例えば、マクロファージと結合しうるガラク
トース、マンノース、フコース、肝実質細胞に対するガ
ラクトース、繊維芽細胞に対するマンノース−6−リン
酸、白血病細胞に対するフコース、接着蛋白セレクチン
を発現する活性化血管内皮細胞や血小板に対するシアリ
ル−ルイスxあるいはシアリル−ルイスa、などが挙げ
られる。
【0014】該グリコシル基の具体例としては、単糖
類、オリゴ糖類が挙げられる。該グリコシル基として
は、グリコフラノシル、グリコピラノシル、グリコセプ
タノシル基が挙げられるが、好ましくはグリコピラノシ
ル基である。該単糖類としては、例えば、ガラクトピラ
ノシル基、マンノピラノシル基、グルコピラノシル基、
フコピラノシル基のアルドヘキソースからなる基、2−
アミノ−2−デオキシガラクトピラノシル基、2−アミ
ノ−2−デオキシマンノピラノシル基、2−アミノ−2
−デオキシグルコピラノシル基、2−アミノ−2−デオ
キシフコピラノシル基のヘキソサミンからなる基、2−
アセトアミド−2−デオキシガラクトピラノシル基、2
−アセトアミド−2−デオキシマンノピラノシル基、2
−アセトアミド−2−デオキシグルコピラノシル基、2
−アセトアミド−2−デオキシフコピラノシル基のヘキ
ソサミン誘導体からなる基が挙げられる。好ましくは、
ガラクトピラノシル基、マンノピラノシル基、2−アセ
トアミド−2−デオキシガラクトピラノシル基、2−ア
セトアミド−2−デオキシマンノピラノシル基である。
更に好ましくは、ガラクトピラノシル基、2−アセトア
ミド−2−デオキシガラクトピラノシル基である。該オ
リゴ糖類としては、構成単位としての単糖類を2ないし
約10個有するものであり、かつその末端の構成単位の
単糖類(非還元末端)として上記と同様な単糖類を有し
ていればよく、該末端単糖類以外の構成単位としての単
糖類はオリゴ糖類を形成できるものであれば特に限定さ
れない。また、個々の単糖類間のグリコシド結合はα
−、β−型のいずれであってもよい。ここで、オリゴ糖
類からなるグリコシル基の末端の構成単位の単糖類と
は、結合手とは反対側の構成単位の単糖類のことをい
う。例えば、ガラクトピラノシル基を末端単糖類とする
オリゴ糖類の場合、ガラクトピラノシル−グリコシル基
であり、2−アセトアミド−2−デオキシガラクトピラ
ノシル基を末端単糖類とするオリゴ糖類の場合、(2−
アセトアミド−2−デオキシガラクトピラノシル)−グ
リコシル基である。なかでも、該オリゴ糖類としては、
マンノピラノシル−マンノピラノシル基,(2−アセト
アミド−2−デオキシマンノピラノシル)−マンノピラ
ノシル基,(2−アセトアミド−2−デオキシグルコピ
ラノシル)−マンノピラノシル基,フコピラノシル−
(2−アセトアミド−2−デオキシグルコピラノシル)
基,ガラクトピラノシル−(2−アセトアミド−2−デ
オキシグルコピラノシル)基,ガラクトピラノシル−
(2−アセトアミド−2−デオキシマンノピラノシル)
基,ガラクトピラノシル−グルコピラノシル基などの二
糖類またはジ(2−アセトアミド−2−デオキシグルコ
ピラノシル)−マンノピラノシル基,ジ(ガラクトピラ
ノシル)−2−アセトアミド−2−デオキシグルコピラ
ノシル基などの三糖類が挙げられるが、さらに好ましく
は、ガラクトピラノシル−グルコピラノシル基,ガラク
トピラノシル−(2−アセトアミド−2−デオキシグル
コピラノシル)基が挙げられる。
【0015】本発明において、認識素子糖はリンカーを
介して多糖類に結合していてもよく、該リンカーとして
は、認識素子糖を多糖類に結合させることができれば特
に限定されないが、好ましくは、式(II) −CONH− (II) で表されるものが挙げられる。本発明におけるステロー
ルと認識素子糖とを結合させた多糖類において、認識素
子糖は、多糖類を構成する糖単位100個あたり、1〜
50個、好ましくは1〜30個、さらに好ましくは2〜
20個結合させるのが好ましい。本発明におけるステロ
ールと認識素子糖とを結合させた多糖類において、認識
素子糖を結合させた多糖類としては、多糖類を構成する
糖単位における1級水酸基が式 −O−CONH−X 〔式中、Xは認識素子糖残基を示す〕で表されるものが
より好ましい。
【0016】本発明におけるステロールと認識素子糖と
を結合させた多糖類としては、多糖類を構成する糖単位
100個あたり、0.5〜5個の糖単位における1級水
酸基が式 −O−(CH2mCONH(CH2nNH−CO−O−
R 〔式中、Rはステロール残基を、mは0または1を、n
は任意の正の整数をそれぞれ示す〕で表され、かつ2〜
20個の糖単位における1級水酸基が −O−CONH−X 〔式中、Xは認識素子糖残基を示す〕で表されるものが
より好ましい。本発明におけるステロールを結合させた
多糖類またはステロールと認識素子糖とを結合させた多
糖類は、多糖類を出発物質として従来公知の方法により
製造することができる。例えば、ステロールを多糖類に
結合させ、ステロール−多糖類誘導体を作製した後、ス
テロール−多糖類誘導体に認識素子糖を結合させてもよ
いし、また認識素子糖を多糖類に結合させ、認識素子糖
−多糖類誘導体を作製した後、認識素子糖−多糖類誘導
体にステロールを結合させてもよい。さらに、ステロー
ルと認識素子糖を多糖類に同時に結合させてもよい。ス
テロール−多糖類誘導体の合成方法としては、特開昭6
1−69801号公報に示されるように、多糖類とモノ
クロロ酢酸との反応によるカルボキシメチル化多糖類の
合成(ステップ1)、カルボキシメチル化多糖類とエチ
レンジアミンとの反応によるN−(2−アミノエチル)
カルバモイルメチル化多糖類の合成(ステップ2)、N
−(2−アミノエチル)カルバモイルメチル化多糖類と
コレステリルクロロホルメイトとの反応によるN−〔2
−コレステリルオキシカルボニルアミノ)エチル〕カル
バモイルメチル化多糖類の合成(ステップ3)の3ステ
ップからなる方法、または、特開平3−292301号
公報に示されるように、多糖類にステリル基を導入する
のに際し、アルカン類の一端α位にステリル基と他端ω
位にイソシアネート基とをもつ化合物とを直接多糖類と
反応させることを特徴とする1ステップ法などに準じた
方法が挙げられる。認識素子糖−多糖類誘導体の合成方
法としては、ガラクトサミンや1−アミノグルコースな
どのアミノ糖を水溶性カルボジイミド縮合剤存在下でカ
ルボキシメチル化多糖に導入する方法、あるいは上記の
アミノ糖やアミノエチル化糖をパラ−ニトロフェニル基
を導入して活性化した疎水性化多糖に反応させる方法な
どが挙げられる。
【0017】一例を挙げれば、コレステロールをヘキシ
ルジイソシアネートと反応させコレステリル−N−(6
−イソシアネートヘキシル)カーバメートを合成し、プ
ルランに添加することにより疎水性化多糖を作製する
[K.Akiyoshi et al.: Chem.Lett., 1263 (1991)]。次
いで、パラ−ニトロフェニルクロロホルメートと反応さ
せることでパラ−ニトロフェニル基の導入された活性化
された疎水性化多糖を取得し、最後にアミノエチル化糖
と反応させ糖鎖を導入する(森口信弘ら:日本化学会第
60秋季年会予稿集, II, 463 (1990))。本発明のステロ
ールを結合させた多糖類またはステロールと認識素子糖
とを結合させた多糖類に難水溶性の含窒素複素環化合物
を包埋させてなる超分子構造型集合体は、次のように製
造される。すなわち、本発明におけるステロールを結合
させた多糖類(疎水性化多糖誘導体)またはステロール
と認識素子糖とを結合させた多糖類(糖鎖修飾疎水性化
多糖誘導体)は、水溶液中で安定な自己集合体を形成す
るが、意外にもこの時難水溶性の含窒素複素環化合物が
共存すればこれとも強く相互作用しこれを安定に包埋
し、該含窒素複素環化合物を包埋させてなる超分子構造
型集合体が製造される。ここで、包埋とは、難水溶性の
含窒素複素環化合物分子が非共有結合的に複数の多糖分
子あるいはステロール分子と相互作用してその分子集合
体内に包まれる、あるいはその分子集合体とからまる状
態を指す。包埋条件としては、室温(約4〜40℃)で
水溶液中、約0.5〜48時間、好ましくは2〜3時間
のインキュベーションで十分である。水溶液としては、
リン酸緩衝液,ホウ酸緩衝液,トリス緩衝液,酢酸緩衝
液などの緩衝液が好ましく、また、反応のpHは約3〜
9、好ましくは6〜8である。このとき、0.3〜5分
間程度の軽い超音波処理を与えてやると、より短時間で
の作製が可能となる。このように非常に緩和な条件で薬
物包埋体を合成できるため、該薬物の生理活性を安定に
保持することができる。さらには、難水溶性の薬物を包
埋することも可能である。本発明の難水溶性の含窒素複
素環化合物を包埋させてなる超分子構造型集合体は、薬
学的に許容される担体、希釈剤などを用いて、錠剤、カ
プセル剤、顆粒剤、散剤などの固形製剤、またはシロッ
プ剤、注射剤などの液状製剤として、安全に使用するこ
とができ、経口的または非経口的(皮下、静脈内、筋肉
内または直腸内)に哺乳動物(例、サル、イヌ、ブタ、
ウサギ、マウス、ラット、ヒト)に投与することができ
る。
【0018】薬学的に許容される担体としては、製剤素
材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いら
れ、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊
剤;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等
張化剤、緩衝剤、無痛化剤などとして配合される。また
必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤など
の製剤添加物を用いることもできる。賦形剤の好適な例
としては、例えば乳糖、白糖、D−マンニトール、デン
プン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸などが挙げられ
る。滑沢剤の好適な例としては、例えばステアリン酸マ
グネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイ
ドシリカなどが挙げられる。結合剤の好適な例として
は、例えば結合セルロース、白糖、D−マンニトール、
デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロ
キシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン
などが挙げられる。崩壊剤の好適な例としては、例えば
デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメ
チルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリ
ウム、カルボキシメチルスターチナトリウムなどが挙げ
られる。溶剤の好適な例としては、例えば注射用水、ア
ルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ
油、トウモロコシ油などが挙げられる。溶解補助剤の好
適な例としては、例えばポリエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジ
ル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロー
ル、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸
ナトリウムなどが挙げられる。懸濁化剤の好適な例とし
ては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリ
ル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシ
チン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モ
ノステアリン酸グリセリンなどの界面活性剤;例えばポ
リビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキ
シメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒ
ドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子
などが挙げられる。等張化剤の好適な例としては、例え
ば塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトールなど
が挙げられる。緩衝剤の好適な例としては、例えばリン
酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液などが
挙げられる。無痛化剤の好適な例としては、例えばベン
ジルアルコールなどが挙げられる。防腐剤の好適な例と
しては、例えばパラオキシ安息香酸エステル類、クロロ
ブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコー
ル、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが挙げられる。抗酸
化剤の好適な例としては、例えば亜硫酸塩、アスコルビ
ン酸などが挙げられる。
【0019】本発明の難水溶性の含窒素複素環化合物を
包埋させてなる超分子構造型集合体は、該含窒素複素環
化合物を生体内において化学的に安定に保ち、持続的に
作用し、病巣指向的な性質を賦与することが可能であ
る。例えば、超分子構造型集合体は、皮下投与された
時、血中で緩やかに該超分子構造型集合体から難水溶性
の含窒素複素環化合物を放出することから、該含窒素複
素環化合物の血中濃度を長時間にわたって保持すること
ができる。したがって、本発明により難水溶性の含窒素
複素環化合物の薬効を持続させうる徐放型の製剤を得る
ことができ、低用量で含窒素複素環化合物による効果的
な治療が可能である。一例を挙げれば、難水溶性の2−
[(1R,2R)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−2
−ヒドロキシ−1−メチル−3−(1H−1,2,4−ト
リアゾール−1−イル)プロピル]−4−[4−(2,2,
3,3−テトラフルオロプロキシ)フェニル]−3(2H,
4H)−1,2,4−トリアゾロン(以下、化合物Aと称
することがある)を安定的に包埋し可溶化できるため、
注射による投与(特に、皮下、筋肉内投与が好ましい)
が可能となる。この場合薬物そのものは投与後持続的に
血中に存在する。また、本発明の難水溶性の含窒素複素
環化合物を包埋させてなる超分子構造型集合体は、該含
窒素複素環化合物を生体内において化学的に安定に保
ち、かつ標的臓器へ効率よく集積させうる。例えば、化
合物Aを速やかに肝臓へ移行させるという特徴を有する
ものである。さらに、本発明の難水溶性の含窒素複素環
化合物を包埋させてなる超分子構造型集合体は、該含窒
素複素環化合物分子そのものを直接に何ら修飾していな
いので、含窒素複素環化合物本来の生理活性に何ら影響
を与えるものではない。
【0020】本発明の含窒素複素環化合物を包埋させて
なる超分子構造型集合体は、持続的に含窒素複素環化合
物の薬効を発現させることができ、また標的臓器に効率
的に運搬されるので、低用量で治療効果をあげることが
できる。このため、発熱、悪寒などの副作用が少なく、
しかも低毒性であるので、公知の含窒素複素環化合物と
同様の目的に、同様な方法で、より安全に使用すること
ができる。例えば、化合物Aを、ステロールを結合させ
た多糖類に包埋させてなる超分子構造型製剤は、抗真菌
剤として用いられ、真菌血症・呼吸器真菌症・消化管真
菌症・尿路真菌症・真菌髄膜症の治療に効果がある。そ
の場合、化合物Aの量として約2〜800mg/日,好ましく
は、約50〜100mg/日で患者に投与される。さらに、 例え
ば、マクベシンIIを、ステロールを結合させた多糖類に
包埋させてなる超分子構造型製剤は、抗菌剤あるいは抗
原虫剤として用いられ、上記の各種真菌症やグラム陽性
菌による感染症の治療に効果がある。その場合、マクベ
シンIIの量として約10〜2000mg/日,好ましくは、約50
〜500mg/日で患者に投与される。
【0021】
【実施例】以下に実施例、実験例および製剤例を挙げ
て、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれ
らに限定されるものではない。 実施例1.プルラン-コレステロール誘導体の合成 (1)コレステリル N−(6−イソシアネートヘキシ
ル)カーバメートの合成500ml容のナスフラスコにトルエ
ン100ml、ピリジン4ml、1,6-ジイソシアネートヘキサン
48ml(300mmol)を添加し、室温で撹拌した。この混液
に、予めトルエン100mlに溶解したコレステロール7.80g
(20mmol)を撹拌しながら徐徐に加え、80℃に加温し48
時間反応させた。反応は、薄層クロマトグラフィー(固
定相:シリカゲル、展開溶媒:クロロホルム、発色試
薬:ヨード蒸気)で未反応のコレステロール(Rf=0.2
3)が検出されなくなるまで続けた。反応終了後、トル
エンおよび未反応の1,6-ジイソシアネートヘキサンを減
圧除去し、次いで600mlの石油エーテルを添加して冷凍
庫にて再沈させた。最初に析出する黄色オイル状の不純
物を除去し、再び石油エーテルにて再沈させた。この操
作を2回繰り返し得られた白色沈澱を濾別し、一夜30℃
で真空乾燥させた。収量4.97g、収率44%。 赤外吸収スペクトル:ν(N-H), 3260cm-1;ν(N=C=O),
2320cm-1;ν(C=O), 1680cm-1;ν(C-O-C), 1240,1130c
m-1
【0022】(2)プルラン-コレステロール誘導体(CH
P)の合成 300ml容のナスフラスコに、100mlのジメチルスルフォキ
シド(DMSO)に溶解したプルラン4.0gを入れ、さらに予
め8mlのピリジンに溶解したコレステリル N-(6-イソシ
アネートヘキシル)カーバメート0.34g(0.62mmol)を撹
拌しながら加え、80℃で8時間反応させた。反応は、薄
層クロマトグラフィー(固定相:シリカゲル、展開溶
媒:クロロホルム、発色試薬:ヨード蒸気)で未反応の
コレステリル N-(6-イソシアネートヘキシル)カーバメ
ート(Rf=0.50)が検出されなくなるまで続けた。反応
溶液に500mlのエタノールを添加し5℃で一夜再沈させ、
得られた沈澱を濾別し、2時間30℃で真空乾燥後シーム
レスセルロース膜(VISCASE SALES Corp.)を用いて透
析により精製した。透析終了後さらに凍結乾燥し白色の
粉体を取得した。収量3.81g、収率90%。コレステロール
基の置換度を1H-NMRおよび元素分析の結果から決定した
ところ、100単糖当り1.7残基のコレステロールが導入さ
れた(CHP-50-1.7)。ここで、プルラン-コレステロー
ル誘導体をCHP-X-Y(Xはプルラン部位の重量平均分子量
(1000単位)を、 Yはプルランの100単糖あたりのコレステ
ロール残基の置換度をそれぞれ示す)で表した。 すなわ
ち、 CHP-50-1.7とは分子量5万のプルラン(P)に100単糖
あたり1.7個のコレステロール基が結合していることを
示す。 赤外吸収スペクトル:ν(O-H), 3400cm-1;ν(C=O), 28
50cm-1;ν(C-O-C), 1100cm-1;ν(C-N), 1000cm-1
【0023】実施例2.プルラン-コレステロール誘導
体のラクトース修飾 (1)活性化プルラン-コレステロール誘導体の合成 実施例1(2)で取得したCHPはそれ自体では反応性が低
いため、パラ-ニトロフェニルクロロホルメート活性化
法を用いて活性化CHPを合成した。CHP 501mgと4-ジメチ
ルアミノピリジン(DMAP)24mg(196μmol)とをDMSO/
ピリジンの1:1混合溶媒24mlに撹拌溶解させて氷水中
で0℃にし、さらに593mg(2.94mmol)のパラ-ニトロフ
ェニルクロロホルメートを添加して3時間反応させた。1
50mlのエタノールで再沈し、ガラスフィルターにより減
圧濾過して乾燥エタノールで洗浄した。得られた沈澱を
直ちに2時間30℃で減圧乾燥することにより白色粉末を
取得した。収量594mg、収率100%。パラ-ニトロフェニル
基の置換度は、上記生成物を0.5N NaOH水溶液で加水分
解後、遊離したパラ-ニトロフェノールを紫外吸収強度
により決定した。導入率は100単糖当り18.3個であっ
た。 赤外吸収スペクトル: ν(C=O), 1765cm-1;ν(NO2
対称伸縮), 1526cm-1;ν(ベンゼン環の骨格振動), 149
1cm-1;ν(NO2対称伸縮), 1350cm-1
【0024】(2)アミノエチルラクトース化プルラン
-コレステロール誘導体の合成上記のパラ-ニトロフェニ
ル基を導入したCHP 150mgをDMSO/ピリジンの1:1混合溶
媒20mlに溶解し、さらにDMAP 9mg(45μmol)とο-ヘプ
タアセチルラクトシルエタノールアミン181mg(267μmo
l)とを添加して2日間反応させた。減圧蒸留して溶媒を
濃縮後、乾燥エタノール100mlを用いて再沈(3日間)さ
せた。ガラスフィルターにより濾過洗浄後、3時間30℃
で減圧乾燥した。得られた生成物は主鎖のプルランが炭
酸結合により架橋されているので、これを切断するため
に0.01N NaOH水溶液でpHを12に保ちながら完全溶解さ
せ、次いですばやく1N HCl水溶液で中和後、透析した。
凍結乾燥により白色粉末が得られたが、さらにセファク
リルS-300カラムを用いて精製した。収量127mg、収率72
%。アミノエチルラクトースの導入率は100単糖当り16.9
個であった。 アミノエチルラクトース化プルラン-コレステロール誘
導体の合成経路は〔図1〕および〔図2〕に示した通り
であった。
【0025】実施例3.プルラン-コレステロール誘導
体のガラクトース修飾 100ml容のナスフラスコに乾燥DMSO/ピリジン1:1混液30m
lを添加し、次いで実施例2(1)で取得した活性化CHP
567mgを加えて撹拌溶解した。この溶液に23mgのパラジ
メチルアミノピリジン(DMAPアシル化触媒)と355mgの
テトラ-O-アセチルガラクトシルエタノールアミン(活
性基に対して1:2のモル比)とを加え、25℃で24時間反
応させた。反応溶液を150mlのエタノールに加えて5℃で
一晩再沈させたのち、得られた沈澱をガラスフィルター
を用いて減圧濾過し一晩30℃で減圧乾燥した。得られた
生成物に水酸化ナトリウム溶液を添加し、pH 12に保ち
ながら25℃で6時間撹拌して粉体を溶解した。1N塩酸溶
液で中和後、透析・凍結乾燥することにより白色粉体を
得た。赤外線スペクトルにより、アセチル基および炭酸
結合が含有されないことを確認した。さらにセファクリ
ルS-300カラム(2.6×90cm)を用いて精製後、凍結乾燥
した。1-アミノガラクトースの導入および置換度は1H-N
MRおよび元素分析により決定し、100単糖当り13個導入
されていることが判明した。収量287mg、収率42%(CHP
換算)。
【0026】実施例4.ガラクトース修飾プルラン-コ
レステロール誘導体による化合物A(2−[(1R,2R)
−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−2−ヒドロキシ
−1−メチル−3−(1H−1,2,4−トリアゾール−
1−イル)プロピル]−4−[4−(2,2,3,3−テトラ
フルオロプロポキシ)フェニル]−3(2H,4H)−1,
2,4−トリアゾロン)の包埋実施例3で作製したガラ
クトース修飾プルラン-コレステロール誘導体をPBSに溶
解し(5 mg/ml)、等容量の化合物A/0.5%メチルセルロ
ース懸濁液(10mg/ml)に添加した。次いで室温で12時
間インキュベーションすることによりガラクトース修飾
プルラン-コレステロール誘導体による化合物Aの包埋
体を調製した。実験例.化合物Aを包埋させてなる超分
子構造型集合体の徐放性実施例4で作製した化合物Aの
ガラクトース修飾プルラン-コレステロール誘導体包埋
体のメチルセルロース懸濁液をゾンデを用いて6週齢雄
性ラットへ胃内投与した(化合物Aとして10mg/ラッ
ト)。血中薬物濃度はYMC-Pack ODS-Aカラム(YMC社
製)を用いる高速液体クロマトグラフィーにより定量し
た。結果は〔図3〕に示した通りであった。投与24時間
後においても約2μg/mlの血中濃度を維持した。
【0027】製剤例本発明の含窒素複素環化合物を包埋
させてなる超分子構造型集合体は、例えば、次のような
処方によって製造することができる。 1.カプセル剤 (1) 実施例4で得た化合物A包埋体 10mg (2) ラクトース 90mg (3) 微結晶セルロース 70mg (4) ステアリン酸マグネシウム 10mg 1カプセル 180mg (1)、(2)と(3)の全量及び(4)の1/2を混和した
後、顆粒化する。これに残りの(4)を加えて全体をゼラ
チンカプセルに封入する。 2.錠剤 (1) 実施例4で得た化合物A包埋体 10mg (2) ラクトース 35mg (3) コーンスターチ 150mg (4) 微結晶セルロース 30mg (5) ステアリン酸マグネシウム 5mg 1錠 230mg (1)、(2)と(3)の全量及び(4)の2/3及び(5)の1
/2を混和した後、顆粒化する。これに残りの(4)及び
(5)をこの顆粒に加えて錠剤に加圧成型する。 3.注射剤 (1) 実施例4で得た化合物A包埋体 10mg 1アンプル 10mg (1)を全量2mlになるように注射用生理食塩水に溶か
し、アンプルに封入する。全工程は無菌状態で行う。
【0028】
【発明の効果】本発明の難水溶性の含窒素複素環化合物
を包埋させてなる超分子構造型集合体は、哺乳動物に投
与されたとき、生体内において安定に保たれ、かつ血中
で該集合体から含窒素複素環化合物が徐々に放出される
ので、含窒素複素環化合物の血中滞留時間を該薬物単独
の場合より増大させることができ、また、速やかに標的
臓器へ効率的に運搬されるので、低用量で治療効果をあ
げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は実施例1で作製したプルラン-コレステロー
ル誘導体および実施例2で作製したアミノエチルラクト
ース化プルランコレステロール誘導体の合成経路を示
す。
【図2】は実施例1で作製したプルラン-コレステロー
ル誘導体および実施例2で作製したアミノエチルラクト
ース化プルランコレステロール誘導体の合成経路を示
す。
【図3】は実験例で作製した化合物A/ガラクトース修
飾プルラン-コレステロール誘導体包埋体の溶出パター
ンを示す。
【符号の説明】
●は、化合物Aの結果を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 47/36 Z C07D 249/12 505

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ステロールを結合させた多糖類に難水溶性
    の含窒素複素環化合物を包埋させてなる超分子構造型集
    合体。
  2. 【請求項2】ステロールをリンカーを介して多糖類に結
    合させてなる請求項1記載の超分子構造型集合体。
  3. 【請求項3】リンカーが −(CH2mCONH(CH2nNH−CO−O− 〔式中、mは0または1を、nは任意の正の整数をそれ
    ぞれ示す〕である請求項2記載の超分子構造型集合体。
  4. 【請求項4】多糖類を構成する糖単位における1級水酸
    基が式 −O−(CH2mCONH(CH2nNH−CO−O−
    R 〔式中、Rはステロール残基を、mは0または1を、n
    は任意の正の整数をそれぞれ示す〕で表される請求項1
    記載の超分子構造型集合体。
  5. 【請求項5】多糖類を構成する糖単位100個あたり、
    0.2〜20個のステロールを結合させた多糖類である
    請求項1記載の超分子構造型集合体。
  6. 【請求項6】認識素子糖をさらに結合させた多糖類であ
    る請求項1記載の超分子構造型集合体。
  7. 【請求項7】認識素子糖をリンカーを介して多糖類に結
    合させてなる請求項6記載の超分子構造型集合体。
  8. 【請求項8】リンカーが式 −CONH− である請求項7記載の超分子構造型集合体。
  9. 【請求項9】多糖類を構成する糖単位における1級水酸
    基が −O−CONH−X 〔式中、Xは認識素子糖残基を示す〕で表される請求項
    6記載の超分子構造型集合体。
  10. 【請求項10】多糖類を構成する糖単位100個あた
    り、1〜50個の認識素子糖を結合させた多糖類である
    請求項6記載の超分子構造型集合体。
  11. 【請求項11】多糖類がプルランである請求項1記載の
    超分子構造型集合体。
  12. 【請求項12】ステロールがコレステロールである請求
    項1記載の超分子構造型集合体。
  13. 【請求項13】難水溶性の含窒素複素環化合物が抗真菌
    剤である請求項1記載の超分子構造型集合体。
  14. 【請求項14】抗真菌剤がアゾール系化合物である請求
    項13記載の超分子構造型集合体。
  15. 【請求項15】アゾール系化合物が2−[(1R,2R)−
    2−(2,4−ジフルオロフェニル)−2−ヒドロキシ−
    1−メチル−3−(1H−1,2,4−トリアゾール−1
    −イル)プロピル]−4−[4−(2,2,3,3−テトラフ
    ルオロプロポキシ)フェニル]−3(2H,4H)−1,2,
    4−トリアゾロンである請求項14記載の超分子構造型
    集合体。
  16. 【請求項16】抗真菌剤がマクベシン類である請求項1
    3記載の超分子構造型集合体。
  17. 【請求項17】マクベシン類がマクベシンIIである請求
    項16記載の超分子構造型集合体。
  18. 【請求項18】ステロールを結合させた多糖類と難水溶
    性の含窒素複素環化合物とを水溶液中で共存させること
    を特徴とする請求項1記載の超分子構造型集合体の製造
    法。
  19. 【請求項19】(a)ステロールおよび認識素子糖とを
    結合させた多糖類と(b)難水溶性の含窒素複素環化合
    物とを水溶液中で共存させることを特徴とする請求項6
    記載の超分子構造型集合体の製造法。
  20. 【請求項20】ステロールを結合させた多糖類に難水溶
    性の含窒素複素環化合物を包埋させてなる超分子構造型
    集合体を含有してなる徐放性製剤。
  21. 【請求項21】皮下投与剤である請求項20記載の徐放
    性製剤。
  22. 【請求項22】筋肉内投与剤である請求項20記載の徐
    放性製剤。
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