JP2641472B2 - 感染症治療剤 - Google Patents

感染症治療剤

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はリポソームの内部に抗生物質を封入したリポ
ソームに関し、具体的にはリポソーム内部にアンピシリ
ン、ミノサイクリン等の抗生物質を封入し、そのリポソ
ームの表面を天然由来多糖誘導体で被覆したリポソーム
に関する。
さらに詳細に述べれば、本発明は特にリポソーム内部
に封入した抗生物質の生体内投与における利用性(バイ
オアベイラビリティー)を有効ならしめ、かつリポソー
ム表面を特異的な天然由来多糖誘導体で被覆することに
より、内部に封入された抗生物質の自然流出抑制を図
り、リポソームの細胞移行効率を向上せしめたリポソー
ムに関する。
(従来の技術とその問題点) 天然由来の脂質を水中に再分散させたときに形成され
るリポソームは、細胞膜構造を有する人工細胞モデルと
して極めて近似度が高く、組織指向性薬物運搬体(ドラ
ッグキャリヤー)、人工赤血球、細胞修飾剤および酵素
固定化基剤等の医薬用材料として生体適合性がよく、こ
れまでにも医薬、薬学の巾広い分野での利用の可能性が
提案されてきている。
しかしながら、従来のリポソームを上述の目的に適用
したとしても、現実の使用に耐え得る成果が得られてい
ないのが現状であった。その理由としては、第1点に、
従来のリポソーム自体は本来非共有結合性相互作用によ
る天然脂質のアッセンブリー(集合体)であるため、生
体適合性は良好であったとしても、実用化に際して要求
されるリポソーム自体の構造的安定性が欠如されるこ
と、ならびに第2点としてドラッグキャリヤーとして最
も重要である特異的目的細胞または目的組織指向性がほ
とんど発揮されない、という点が挙げられている。
そのため本発明者らは、これら上述の欠点を改善すべ
く検討を加え、リポソームの表面を多糖誘導体で被覆処
理を行なうことにより、生理的条件下におけるリポソー
ムの機械的強度を向上せしめ、またこのように処理した
リポソームを生体に投与したときに目的臓器を選択的に
指向し得る能力が発揮されることを見出し、これらの点
についてはすでに特許出願を完了している[例えば特開
昭61−69801号(特願昭59−189746号)]。
このように、リポソームの表面をある種の多糖誘導体
で被覆処理する技術は、これまで実用化が困難視されて
いたリポソームの利用分野に多大な光明を与えるものと
考えられており、その応用技術の開発が強く望まれてい
た。
ところで、細菌の抗生物質の開発は、ペニシリン系抗
生物質、セファロスポリン系抗生物質をはじめとし、め
ざましいものがあり、これまで治療が困難とされていた
病原菌に起因する疾患に種々適用されるようになってき
ている。しかしながら、これら抗生物質の開発に伴い、
逆に抗生物質が全くと言っていいほど効かなくなった疾
患も散見される事態が生じている。例えば細胞内で増殖
する病原菌に対しては、抗生物質そのものを従来の経口
投与あるいは静脈内注射投与しても有効に作用しないこ
とが確認されている。
特に、リステリア モノキュートジェネス(Listeria
monocuytogenes)に起因するリステリア症は、食細胞
(マクロファージ)中で増殖する細菌が原因となる疾患
であって、肺炎から髄膜炎、敗血症(リステリア敗血
症)などを起こし、その死亡率も可成り高いものであ
り、難治性疾患の一つとなっている。
このリステリア症の有効な治療法を考えた場合、食細
胞内で増殖する、例えばL.monocuytogenesに抗生物質が
直接作用し、その場でかかる病原菌を殺菌あるいは静菌
してやれば良いのであるが、これまで食細胞のみへ抗生
物質を有効に投与する手段の確立がなされていないのが
現状下であった。
そこで本発明者らは、この種の難治性疾患の治療手段
を提供するべく検討を加え、前記したリポソームの表面
をある種の多糖誘導体で被覆処理した場合に、該リポソ
ームの特異的細胞移行性が向上する特異的技術に着目し
た。
すなわち、かかる被覆処理したリポソーム内部に抗生
物質を封入してやれば、該リポソームが被覆に使用した
多糖の末端糖鎖構造に由来して特異的細胞指向性を有す
るドラッグキャリヤーとなって食細胞中に取り込まれ、
その場でリポソームが崩壊し、内部に封入されている抗
生物質が放出し、食細胞内の病原菌を直接攻撃できると
ともに、他の正常細胞に対してはほとんど害を及ぼさな
いことにより、上述の難治性疾患の有効な一治療手段を
提供し得るものと考え鋭意検討を加え、その結果本発明
を完成したのである。
すなわち本発明は、リポソーム内部に抗生物質を封入
し、リポソーム表面を食細胞に対する親和性の高い多糖
類で被覆処理することによりドラッグキャリヤーとして
の構造安定化を図るとともに細胞移行性をも向上せし
め、更に、リポソーム内部に封入した抗生物質の毒性を
低減せしめ、これまであまり検討されていなかった抗生
物質自体をミサイル的治療に応用し、難治性疾患の治療
に有効に適用し得るものである。
(発明の構成) かかる上述の目的を達成する本発明は、具体的には; リポソームの内部に抗生物質を封入し、該リポソーム
の表面を天然由来多糖誘導体で被覆した、ことを特徴と
するリポソームに関する。
以下に本発明の構成についてさらに詳細に説明する
と、本発明で提供するリポソーム自体は、従来公知の方
法により製造することができるが、リポソーム膜がリン
脂質またはリン脂質とコレステロールより構成される従
来公知のリポソームが使用し得る。かかるリン脂質とし
ては、卵黄リン脂質例えば卵黄レシチン、大豆リン脂質
例えば大豆レシチンの他に、ホスファチジルコリン、ホ
スファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリ
ン、スフィンゴミエリン、ジセチルリン酸、ステアリル
アミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン
酸、ホスファチジルイノシトール等を挙げることがで
き、これらは単独あるいは2種以上の混合物で使用し得
る。
なお、本発明のリポソームは少なくとも上述のリン脂
質から構成されるが、更に後述する内部に封入する抗生
物質の種類、被覆する天然由来多糖誘導体の種類いかん
によりコレステロールまたは糖タンパクを含有させるこ
ともできる。
また、本発明の前記リポソームの表面を被覆する天然
由来多糖誘導体は、例えばプルラン、アミロペクチン、
アミロース、デキストラン、マンナン等の水溶性の天然
由来多糖の誘導体である。なかでも本発明が目的とする
食細胞との特異的相互作用を考慮した場合、マンナンお
よびアミロペクチンを用いるのが好ましい。
本発明はかかる水溶性の天然由来多糖を特異的誘導体
となし、該誘導体をリポソーム表面に被覆するのである
が、かかる誘導体としては以下の誘導体である。すなわ
ち、リポソーム表面の非共有結合性相互作用による上記
の水溶性多糖類の被覆効果を高め、かつリポソームの構
造的強化ならびに食細胞指向性を達成させるためには、
該多糖類を構成する単糖(グルコース)の100単位あた
り0.5ないし5程度の第1級アルコール基が次式: −OCH2CONHCH2CH2NHR (Rはコレステリルオキシカルボニル基を表わす) によって示される基で置換されている多糖誘導体が好ま
しい。
この場合の上記置換基においてRとしてコレステリル
オキシカルボニル基が好ましいとされる理由は、リポソ
ームを被覆した場合にコレステロール基がリポソームの
脂質層に楔形に配向することが実証され(Biochem.Biop
hys.Acta,857 265−270(1986))、かかる置換基が特
に適切なものであると考えられる。
なお、上記の特異的天然由来多糖誘導体は基本的には
多糖類を構成する単糖の100単位あたり0.5ないし5程度
の第1級アルコール基が次式: −OCH2CONHCH2CH2NH2 によって示される基で置換されているものに、クロロ蟻
酸コレステリルエステルを反応させて得られる。
上述の如く構成される本発明のリポソームの内部に封
入する抗生物質としては、本発明の特異的リポソームの
使用目的により種々のものを挙げることができるが、ペ
ニシリン系抗生物質、セファロスポリン系抗生物質、テ
トラサイクリン系抗生物質等が使用可能である。しかし
ながら、前述した難治性疾患であるリステリア症の治療
のためには、ペニシリン系抗生物質であるアンピシリ
ン、テトラサイクリン系抗生物質であるミノサイクリン
をリポソーム内部に封入したものが好ましい。
(本発明の特に好ましい態様) しかして本発明は、抗生物質封入リポソームに関し、
特に好ましい態様としては; リポソーム内部にミノサイクリンあるいはアンピシリ
ンを封入し、該リポソーム表面をコレステロール基置換
アミノペクチンで被覆したリポソームである。
(作用等) 以下、本発明をその製造手段、作用等とともにより詳
細に説明する。
1.リポソーム 本においてリポソームとは、リン脂質例えば前述した
卵黄リン脂質、大豆リン脂質、ホスファチジルコリン等
の単独、あるいはこれらリン脂質とコレステロールより
構成される単層リポソームおよび多重層リポソームであ
り、リポソームの製造法としては従来公知の製造方法に
より得られたものである。例えばかかるリポソームの製
造法の一手段としては、ナス型フラスコに適当な溶媒と
ともに卵黄レチシンあるいは大豆レシチンを入れ、溶媒
を減圧下留去するとともにフラスコ壁にリン脂質の薄膜
を形成し、次いで該薄膜をガラスビーズおよび適当な緩
衝液(例えばpH7.4、0.1MのNaClを含む0.01Mリン酸緩衝
液:PBS緩衝液)等を加えて剥離し、リポソーム膜を形成
し、超音波処理後セファデックスあるいはセファローズ
カラムを通してリポソーム分画を集め、溶媒留去するこ
とにより得られるリポソームなどが含まれる。
なお、溶媒留去には例えば凍結乾燥手段を適用するこ
とができ、かかる手段によりリポソームを粉末状として
取り出すことができる。
本発明のリポソームにあっては、前記リポソーム内部
に所望の抗生物質が封入されたものであるが、該抗生物
質の封入手段は例えば上述のリポソーム形成方法におい
てリポソームの膜構成成分(リン脂質単独あるいはリン
脂質とコレステロール)とともに所望の抗生物質を共存
させ、同様に処理することにより抗生物質封入リポソー
ムを得ることができる。
例えば本発明の好ましい態様においては、ナス型フラ
スコ内に卵黄リン脂質あるいは大豆リン脂質とともにア
ンピシリンあるいはミノサイクリンを入れ、クロロホル
ムを加えて一旦溶解し、ロータリーエバポレーターを用
いて減圧下溶媒留去しつつ薄膜を形成し、乾燥後、PBS
緩衝液にて膨潤ガラスビーズとともに撹拌し、リポソー
ムを形成することができる。
2.天然由来多糖誘導体 本発明で使用する天然由来多糖誘導体は、前項で選ら
れた抗生物質封入リポソームの表面を被覆するものであ
るが、前記した如く、特に水溶性の天然由来多糖の単糖
の100単位あたり、0.5ないし5程度の第1級アルコール
基がコレステロール誘導体によりエステル化されたもの
である。
かかるエステル化は概略以下のとおり実施することが
できる。
すなわち、天然由来多糖例えばプルラン、アミロペク
チン、アミロース、デキストラン、マンナン糖にモノク
ロル酢酸ナトリウムを反応せしめてカルボキシメチル多
糖のナトリウム塩を得る。次いでこれをエチレンジアミ
ンン塩酸塩を反応せしめてアミノエチルアミノカルボニ
ルメチル多糖塩酸塩を得、これを無水ジメチルホルムア
ミドに溶解し、この溶液にクロロ蟻酸コレステリルエス
テルの無水ジメチルホルムアミド溶液を加え、ピリジン
を滴下して反応させれば本発明で使用する天然由来多糖
誘導体を得ることができる。
なお、かくして得られる天然油体多糖誘導体は、赤外
線吸収(IR)スペクトル、核磁気共鳴(NMR)スペクト
ル等により特定することができ、コレステロール基の導
入数も元素分析値および1H−NMRにおける多糖部分のプ
ロトン数とコレステロール部分のプロトン数との比によ
り測定することができる。
3.リポソームの被覆 本発明のリポソームにあっては、前第1項で製造され
た抗生物質封入リポソームを、第2項で得られた天然由
来多糖誘導体で被覆処理したものであるが、該被覆手段
は以下の如く行なうことができる。
すなわち、第1項に記載の如くして得られた抗生物質
封入リポソームが形成している水溶液に、第2項で得ら
れた誘導体含有水溶液を加えて撹拌することにより、目
的とする被覆処理を施すことができる。
なお、被覆処理にあたって使用する天然由来多糖誘導
体は、単一誘導体を使用すること以外に2種以上組合わ
せ使用することも可能である。
被覆処理の完了したリポソームは、凍結乾燥すること
により、粉末状として得ることができる。
(実施例) 以下に本発明のリポソームの調製例ならびにそのリポ
ソームを用いた薬理活性試験について説明する。
I.多糖誘導体:コレステロール基置換アミロペクチンの
調製 50mlのナス型フラスコ中でアミロペクチン(平均分子
量:50,000)1.0g(6.17×10-3mol糖単位)を1.35M−モ
ノクロロ酢酸ナトリウム水溶液18.5mlに溶解し、撹拌下
に10N−水酸化ナトリウム水溶液5.0mlを加え、更に蒸留
水で全量50mlに希釈し、25℃にて7時間反応する。その
後1M−リン酸二水素ナトリウム溶液5mlを加え、次いで5
N−塩酸水溶液でpH=7に調節して反応を停止させ、透
析チューブ(Visking)に移し透析後(トルエン飽和水
溶液に対し4日間、蒸留水に対し1日間)、溶液を約10
mlに減圧濃縮し、これをそのまま次の反応に供した。
なお、このものの凍結乾燥物のIRスペクトルにはカル
ボニル基の吸収が確認された。
次いで上記の如くして得た濃縮液を蒸留水にて15mlに
希釈し、撹拌下エチレンジアミン塩酸塩0.74g(5.56×1
0-3mol)および1−エチル−3−(3−ジメチルアミ
ノ)プロピルカルボジイミド塩酸塩0.21g(1.1010-3mo
l)を加え、更に1N−塩酸水溶液および1N−水酸化ナト
リウム水溶液にてpH=4.7に調節した。この溶液を25℃
にて7時間撹拌、反応後、透析(0.2M−塩化ナトリウム
に対し4日間、蒸留水に対し1日間)し、凍結乾燥を行
ない、アミノエチルアミノカルボニルメチル(1.4)−
アミロペクチンを0.75g得た。
上記の如くして得た凍結乾燥品0.54g(3.33×10-3mol
糖単位)を無水ジメチルスルホキシド14mlに加え、油浴
中70〜80℃で加熱溶解させた。次いでこの溶液に無水ピ
リジン3mlを加えた後、クロロ蟻酸コレステリルエステ
ル0.60g(1.33×10-3mol)の無水ジメチルスルホキシド
4ml溶液を加え、同温度にて7時間反応を行なった。反
応終了後、エタノールを加え生成した多糖誘導体を露取
し、エタノールおよびエーテルにて十分に洗浄後、少量
の水に溶解し凍結乾燥を行なうと、目的とするコレステ
ロール基置換(置換度1.33)−アミロペクチンを0.7g得
た。
なお、上記と同様の方法によりアミロペクチンの代り
にマンナン、デキストランを用い反応を行ない、コレス
テロール基置換マンナン、コレステロール基置換デキス
トランを得ることができた。
II.ミノサイクリン封入リポソームの調整 (a)卵黄レシチン30mgをナス型フラスコ内に採り、エ
チルエーテル3mlで溶解し、この溶液にミノサイクリン1
00mgおよび生理食塩水1mlを加え、バス型ソニケーター
を用い0℃、28KHzにて10分間超音波を照射することに
よりリポソーム分散液を得た。得られた分散液を350mmH
g減圧下、200rpmのロータリーエバポレーターでエチル
エーテルを除去後、生理食塩水3mlを追加し、ボルテッ
クスミキサーを用い振とう剥離し、更に700mmHg減圧
下、200rpmのロータリーエバポレーターで1〜2時間を
要しエーテルを完全に除去する。かくして得られたリポ
ソーム分散液を0℃にて20,000rpmの遠心分離(1時
間)処理を行ない、更に生理食塩水に洗浄し、同様の遠
心分離処理を2回行ない、ミノサイクリンを内包した大
きな一枚膜リポソーム(LUV)を得た。
(b)次いで以上のようにして調整されたリポソーム
に、上記Iで30mgのコレステロール基置換アミロペクチ
ンを加え、20℃で30分間インキュベートすることによ
り、本発明の目的物である、ミノサイクリン封入アミロ
ペクチン誘導体被覆リポソームを得た。
なお、ミノサイクリンの代りに同量のアンピシリンを
用いて同様処理することにより、アンピシリン封入アミ
ロペクチン誘導体被覆リポソームを得ることができた。
また、多糖誘導体として上記工程(b)で用いたアミ
ノペクチン誘導体の代りにマンナンを用い、対応する多
糖被覆リポソームを得た。
III.マウスにおける実験的リステリア感染症の治療 前述した如く、本発明のリポソームの内部に抗生物質
を封入して該リポソームの表面を天然由来多糖誘導体で
被覆した、抗生物質封入リポソームは、貧食細胞への指
向性が高く、ドラッグキャリヤーとなって食細胞中に取
り込まれ、その中でリポソームが代謝崩壊し、封入され
ている抗生物質が放出し、病原菌に対し作用することが
基礎実験的に証明されている。
したがって、本発明の抗生物質封入リポソームは食細
胞中で増殖する細菌に起因するリステリア敗血症の治療
に有効なものであるといえる。そこでマウスに実験的に
リステリア感染症を作成し、本発明の抗生物質封入リポ
ソームの治療効果を観察した。
1.リステリア感染症モデルの作成 (1)悪性リンパ腫に併発した敗血症者から分離したLi
steria monocytogenesを菌株として用い、マウス腹腔
内を5回通過させた後、血液寒天培地で24時間培養し、
pH7.4のリン酸緩衝液(PBS)に109CFU/mlオーダーに浮
遊させ、1.0mlずつ分けて−80℃に保存し、7日間以上
を経てから(108CFUオーダーを維持)必要量を使用し
た。
(2)リステリア感染症モデルは、ddY系のSPFマウス
(体重18〜20g,雄性)を用い、以下にのべる菌量の0.21
mlを尾静脈に接種して作成した。
L.monocytogenesのマウスに対するLD50は5.7×106CFU
/ml(1.4×105CFU/マウス)であることを事前に確認
し、この約10倍量(106CFU/マウス)を用いた。
2.感染症治療実験 (1)抗生剤の使用量と使用法 実験対象として、抗生剤単独投与群を以下のとおり行
ない、その治療効果より抗生剤の使用量を決定した。
LD50の10倍量のL.monocytogenesを経尾静脈的に注入
し、その後12時間目から,アンピシリン(一日量、40mg
/kgおよび200mg/kgの2群)およびミノサイクリン(一
日量、4mg/kgおよび20mg/kgの2群)を、午前9時、午
後7時の2回に分けて7日間経尾静脈より投与した。
治療効果としてその生存率の推移を第1図に示した。
第1図の結果から判明するように、アンピシリン200mg/
kgおよびミノサイクリン20mg/kg投与群(それぞれ一群1
0匹)では30%の生存率であった。
(2)抗生物質封入リポソームの静脈内投与 前記(1)の成績から判断すると、抗生物質封入リポ
ソームによる治療は、1日量としてアンピシリン40mg/k
gおよびミノサイクリン4mg/kgに該当する使用量で行な
うこととした。
これら抗生物質を各量含有するリポソームを用い、1
日2回に分け5日間マウス尾静脈より投与を行ない、感
染マウスの体重の変化および生存率を検討した。
3.結 果 その成績を第2図に示した。
第2図より明らかな如く、アンピシリン治療群では、
アンピシリン単独群の生存率70%、リポソーム封入群10
0%となり、両者間に有意差は認められなかったが、リ
ポソーム封入群の治療成績の方が全体的に優れた傾向を
示した。
一方、ミノサイクリン治療群では、ミノサイクリン単
独群の生存率20%、リポソーム封入群80%の結果とな
り、両者間に有意差(p<0.05)が認められ、リポソー
ム封入群の治療効果が特に優れた結果となっていること
が判明する。その他の指標として感染マウスの体重の変
化を記録したが、アンピシリン封入リポソーム群は経時
的に体重の増加がみられ、治療6日目は感染時平均20g
のものが24.5gとなった。その他の群では体重の減少が
著しいものから早期に死亡し、6日目まで生存していた
ものではアンピシリン単独治療群(8匹)ミノサイクリ
ン封入リポソーム群(10匹)は平均20gと不変であり、
ミノサイクリン単独治療による生存マウス(3匹)の平
均体重は18.5gと減少していた。この時点まででコント
ロール群(無治療群、リポソームのみの治療群)はすべ
て100%死亡した。
以下の結果を総合的に判断すると、本発明の抗生物質
封入リポソームは、難治性感染症に極めて有効であるこ
とが判明する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、リステリア感染症マウスに対する各種抗生物
質の治療効果を示す図であり、 第2図は、リステリア感染症マウスに対する本発明の抗
生物質封入リポソームの治療効果を示す図である。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リポソームの内部に抗生物質を封入し、そ
    して該リポソームの表面を、天然由来多糖を構成するグ
    ルコースの100単位あたり0.5ないし5の第1級アルコー
    ル基がコレステリルオキシカルボニル−アミノエチルア
    ミノカルボニルメチル基により置換された構造を有する
    天然由来多糖誘導体で被覆した抗生物質封入リポソーム
    からなることを特徴とする、貧食細胞内で増殖する細菌
    に起因する感染症の治療剤。
  2. 【請求項2】抗生物質がアンピシリンまたはミノサイク
    リンである特許請求の範囲第1項に記載の治療剤。
  3. 【請求項3】リポソーム膜がリン脂質またはリン脂質と
    コレステロール、多糖誘導体より構成される特許請求の
    範囲第1項に記載の治療剤。
  4. 【請求項4】天然由来多糖がプルラン、アミロペクチ
    ン、アミロース、デキストランおよびマンナンからなる
    群から選択される少なくとも1個である特許請求の範囲
    第1項に記載の治療剤。
  5. 【請求項5】感染症がリステリア症である特許請求の範
    囲第1〜4項のいずれかに記載の治療剤。
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