JPH07206743A - 二酸化炭素によって酸性有機化合物をその塩から放つ方法 - Google Patents

二酸化炭素によって酸性有機化合物をその塩から放つ方法

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JPH07206743A
JPH07206743A JP7002607A JP260795A JPH07206743A JP H07206743 A JPH07206743 A JP H07206743A JP 7002607 A JP7002607 A JP 7002607A JP 260795 A JP260795 A JP 260795A JP H07206743 A JPH07206743 A JP H07206743A
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ユルゲン・クルペ
Heinz Strutz
ハインツ・シュトルッツ
Hans-Martin Rueffer
ハンス−マルティン・リュッファー
Siegbert Rittner
ジークベルト・リットナー
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 酸性有機化合物をそれらの塩の水溶液から二
酸化炭素によって放つ方法を提供する。 【構成】 本質的に水に不溶性の有機溶剤の存在下で、
酸性有機化合物をそれらの塩の水溶液から二酸化炭素に
よって放つ方法であって、有機相を二酸化炭素を含有す
る水で再抽出することを含む、上記の方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、本質的に水に不溶性の
有機溶剤の存在下で、酸性有機化合物をそれらの塩の水
溶液から二酸化炭素によって放つ方法に関する。
【0002】
【従来の技術】カルボン酸、スルホン酸またはホスホン
酸のような酸性有機化合物は、有機化学のあらゆる分野
において重要なものである。例えば、芳香族カルボン酸
およびまた芳香族ヒドロキシル化合物は、ポリエステル
またはポリアミドの製造のような多くの工業的用途に対
する出発物質である。ポリエステルはまた、自己縮合に
よってヒドロキシカルボン酸から製造することもでき
る。芳香族スルホン酸は、例えば、染料および顔料の製
造に用途の多い中間体である。
【0003】芳香族ヒドロキシル化合物、カルボン酸お
よびスルホン酸の製造は、従来技術に属する。これは、
生成物の分離に中和または酸性化工程を必要とするアル
カリ性反応相をしばしば通過する。同じことは、ヒドロ
キシル化合物から出発するいわゆるコルベ−シュミット
反応によって一般に製造される芳香族ヒドロキシカルボ
ン酸に適用される。この場合、相当するヒドロキシル化
合物のアルカリ金属塩を二酸化炭素と高温で反応させ
て、相当するヒドロキシカルボン酸のアルカリ金属塩を
形成する。これは鉱酸を加えることによって放ちかつ単
離することができる。この場合、ヒドロキシカルボン酸
のグラム原子当たり、使用した鉱酸のアルカリ金属塩が
2グラム原子形成される。鉱酸のアルカリ金属塩は他の
反応に再使用することはできず、従って廃棄しなければ
ならない塩の製造が避けられないことを示している。
【0004】芳香族酸性化合物をそれらの金属塩から放
つ際に、この生態学的および経済学的に好ましくない不
可避な塩の製造を避けることが望ましい。
【0005】多くのプロセスにおいて、鉱酸の代わりに
二酸化炭素が炭酸の気体状酸無水物として有機酸の分離
に用いられる。この方法の利点は、鉱酸とは対照的に、
炭酸をその金属塩から容易に再分離するこができ、金属
塩基は有用物質として回収することができることであ
る。これはときには、温度の上昇によって金属酸化物の
形成と共に容易に達成されることがある。
【0006】二酸化炭素を炭酸の無水物として酸−塩基
反応に用いる際、見掛け解離定数(pKs)の存在が問
題になる。この見掛け解離定数は水性炭酸溶液の減少し
た酸濃度を特徴づける。見掛け解離定数は炭酸の実際の
第1段階解離定数、および物理的に溶解された二酸化炭
素が炭酸となる先行する水和平衡よりなる。この見掛け
解離定数は、その解離定数の炭酸の第1解離定数と比較
することにより、放たれることができるはずの酸が実際
には放たれることができないという意味を持つ。実際問
題として、見掛けの解離定数との比較をしなければなら
ず、その結果、ほんの少しの酸性有機化合物がそれらの
塩から炭酸によって完全に放たれるにすぎない。非平衡
反応の場合、水和平衡にするには、圧力の上昇によって
促すことができることが記されている(Ang.Che
m.103(1991)、1689)。
【0007】完全な変換は、二酸化炭素の作用によって
酸として形成された生成物が反応し、これが平衡から除
かれるならば可能である。
【0008】炭酸と有機酸のアルカリ金属塩との反応で
は、アルカリ金属炭酸水素塩が形成され、これは水溶液
のpHを緩衝して、達成される最低pHを制限する。こ
れはJP−A 50/01099では、形成された炭酸
水素塩の溶解度を減じるように、水に混和性の有機溶剤
を溶液に加えることによって避けている。その結果、炭
酸水素塩は沈殿し、平衡から除かれる。炭酸水素カリウ
ムの分離のみが約80%となるに過ぎないことが欠点で
ある。有機酸をそれらの塩から水に不混和性の炭化水素
を加えることによって二酸化炭素で単離することはJP
−A 55/00322に記載されている。この方法の
欠点は、有機酸が炭化水素に十分に可溶性でなければな
らないことであり、これは例外的な場合にすぎないこと
である。
【0009】US−A 4,282,323には、二酸
化炭素での酸性化および酸のt−ブタノールのような極
性有機溶剤での抽出による、水性発酵溶液からの低分子
有機酸の除去および濃縮についての記載がある。
【0010】この方法の欠点は、低収率であることおよ
び得られる酸が塩で汚染されていることである。従っ
て、この方法は原則として、蒸留によって簡単に分離お
よび精製することができる酸に適しているにすぎない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、本質的に水
に不溶性の有機溶剤の存在下で二酸化炭素により、酸性
有機化合物をそれらの塩の水溶液から放つ方法を提供す
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】このたび意外なことに、
遊離酸の水性相からの抽出に使用した極性有機溶剤を、
二酸化炭素圧の下で水で再抽出すると、酸性有機化合物
を高純度および良好な収率で得ることができることを見
いだした。
【0013】本発明は、本質的に水に不溶性の有機溶剤
の存在下で、酸性有機化合物をそれらの塩の水溶液から
二酸化炭素によって放つ方法であって、有機相を二酸化
炭素を含有する水で再抽出することよりなる上記の方法
に関する。
【0014】本発明では、酸性化合物は相当する塩から
完全に放たれる。すなわち有機溶液には塩が含まれな
い。
【0015】生成物は有機溶液から一般的な方法、例え
ば蒸発または結晶化によって単離することができる。水
性相に保持された炭酸の金属塩は、出発塩基としてプロ
セスに直接戻してもまたは蒸発、乾燥、および必要なら
ば焼成後に戻してもよく、あるいは他の様々な方法に利
用してもよい。使用溶剤を完全に循環しうることが、特
に生態学的におよび経済的に重要なことである。
【0016】本発明における酸性有機化合物は、金属で
置き換えることができる酸性プロトンを含む全ての有機
化合物である。それらの例はカルボン酸、スルホン酸、
ホスホン酸であり、またフェノール、ナフトールおよび
脂肪族アルコールである。
【0017】酸性有機化合物はpKsが2−10、特に
好ましくは3−6のものが好ましい。カルボン酸、ヒド
ロキシカルボン酸およびアミノ酸を本発明の方法でそれ
らの塩から放つのが特に好ましく、非常に好ましいのは
6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、3−ヒド
ロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、サリチル酸、パラ
ヒドロキシ安息香酸およびPh−SO2−N(CH3)−
(CH25−COOHである。
【0018】本発明の方法で使用する出発化合物は一般
に、相当する酸性有機化合物の金属塩である。アルカリ
金属塩およびアルカリ土類金属塩を使用するのが好まし
く、特に好ましいのはリチウム塩、ナトリウム塩および
カリウム塩であり、特に非常に好ましいのはナトリウム
塩およびカリウム塩である。
【0019】本発明の方法で用いるのに適した酸性有機
化合物の塩は、多量の他の塩との混合物の形で少量存在
していてもよい。そのような塩の混合物は、GB−A
1155 1776およびUS−A 3 655 74
4に記載のような、例えばコルベ−シュミット反応およ
び関連反応で生じる。
【0020】6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン
酸(以後HNAと呼ぶ)の製造を例にして説明すること
ができる。HNAの製造では、HNAの二カリウム塩の
他に、3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸(B
ONS)、BONSの二カリウム塩、カリウム2−ナフ
トレート、6−ヒドロキシ−2,7−ナフタレンジカル
ボン酸(HNDA)のカリウム塩、炭酸カリウムおよび
ギ酸カリウムを含む反応混合物が生じる。
【0021】例えばUA−A 4,282,322に記
載のような発酵溶液が同様に適している。
【0022】使用金属塩は二酸化炭素によって相当する
遊離の酸性有機化合物および炭酸水素金属塩に変えられ
る。手順は一般に二酸化炭素圧下、好ましくは1−70
バール、特に好ましくは1−20バール、特に非常に好
ましくは2−6バールで行う。
【0023】二酸化炭素は、例えば固定ガス導入装置、
中空軸ガス導入撹拌装置を経て、液面を経て、または一
方もしくは両方の液相の予備飽和によって供給すること
ができる。
【0024】二酸化炭素による酸性化で放たれた酸性有
機化合物は、本質的に水に不溶性の有機溶剤での抽出に
よって反応平衡から除く。
【0025】本発明において、本質的に水に不溶性と
は、相境界によって分離された2相が選択された抽出条
件下で形成されることを意味する。
【0026】極性有機溶剤は例えばアルコール、ケト
ン、エステルおよびエーテルが適している。好ましい溶
剤は1−ブタノール、高級アルコール、第2および第3
アルコールである。HNAの場合、1−ブタノールが特
に都合のよい抽出媒質であることが証明された。
【0027】抽出は連続的に行っても断続的に行っても
よい。抽出に必要な条件を維持することができるどのよ
うな装置も本発明の方法に適している。向流方式の連続
多段液−液抽出装置、例えば、従来技術によるミキサー
沈降タンク、遠心分離抽出器およびカラム抽出器が好ま
しい(例えば、Ullmann’s Encyclop
aedia of Industrial Chemi
stry、第B3巻、1988参照)。
【0028】本発明の方法は一般に、溶液の凝固点と1
50℃との間、好ましくは−10ないし100℃、特に
好ましくは10ないし60℃で実施する。
【0029】本発明では、上記の抽出で得られる有機相
を二酸化炭素含有水で再抽出する。
【0030】この間、二酸化炭素圧を、好ましくは1−
70バール、特に好ましくは1−20バール、特に非常
に好ましくは2−6バールの二酸化炭素圧を一般に用い
る。
【0031】再抽出は一般に、溶液の凝固点と150℃
との間、好ましくは−10ないし100℃、特に好まし
くは10ないし60℃で行う。
【0032】これは連続的に行っても、断続的に行って
もよい。連続再抽出には、例えば向流方式で操作される
ミキサー沈降タンクまたは抽出カラムが適している。
【0033】上記の温度および圧力条件下での操作に適
したどのような容器も、本発明の実施に用いることがで
きる。
【0034】本発明の方法を実施しうる方法を、6,2
HNAを例として以下に説明する:本質的に水に不溶性
の有機溶剤をまず初めに、水性状態でまたは水に溶解し
た状態で生じた塩または塩の混合物(HNAの場合:H
NA二カリウム塩、3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカ
ルボン酸二カリウム塩、カリウム2−ナフトレート、H
NDA三カリウム塩、炭酸カリウムおよびギ酸カリウ
ム)に加え、そして相を撹拌することによって均質に混
合する。次に、混合物をpHが一定になるまで加圧下、
二酸化炭素によって酸性化する。pHは、例えば市販の
耐圧ガラス電極で測定することができる。
【0035】安定なpHとなった後、有機相を、好まし
くは加圧下で、分離し、そして不連続処理の場合、目標
化合物が水性相にまだ含まれているならば、抽出を繰り
返す。水性相は有機溶剤(HNAの場合、好ましくは1
−ブタノール)を飽和濃度で含有していてもよい。これ
は、蒸留(しばしば共沸法を用いて)することによって
回収することができる。その後、残っている塩溶液は合
成に再使用することができる。
【0036】断続操作の場合、適しているならば、有機
抽出物を一緒にする。HNAの場合、1−ブタノールの
他に、これらは水、ギ酸カリウム、微量の炭酸水素カリ
ウム、遊離ナフトール、並びに1分子当たり1−1.5
のカリウムを有するHNAおよびBONSを含有してい
る。
【0037】溶液は水性炭酸で再抽出する。この場合、
2つの相を均質に混合するために、混合物を激しく撹拌
するか、または別の適当な方法をとるのが都合がよい。
pHがもはや変化しないとき、有機および水性相を分離
する。断続操作の場合に適しているならば、有機相の塩
含有量が希望の値になるまで、この手順を繰り返す。
【0038】この抽出で生じる水相は少量の有機溶剤、
そしてさらに有機相からの炭酸水素塩の形の金属を含有
していてもよい。しかしながら、放たれた酸性有機化合
物のいくらかはまた水相中に同時抽出される。この部分
を失わないためには、水相をプロセスの出発点に導き、
塩混合物の溶解に用い、そして再循環させてもよい。
【0039】異なるpKsを有する異なる有機化合物の
塩が水溶液中に存在するならば、本発明のプロセスの後
に、化合物を選択的に放つことによってこれらの化合物
を分離することができる。これらは、例えば沈殿または
抽出によって分離することができ、抽出によるのが好ま
しい。次に、さらに供給を行うことによって、より強い
酸性化合物をその塩から放つことができ、そして単離す
ることができる。HNAの場合、例えば、まずKβ−ナ
フトレートとして存在するβ−ナフトールを選択的に分
離し、次いで、HNA自体を分離することが可能であ
る。
【0040】さらに、HNAの場合、製造の際に少量成
分として形成される6−ヒドロキシ−2,7−ナフタレ
ンジカルボン酸(HNDA)は、わずか1%未満のHN
DAが抽出されるに過ぎないような抽出条件を選ぶこと
によってHNA抽出を行った後、濾過することによって
うまく分離することができる。
【0041】本発明によって製造される遊離酸性有機化
合物は一般に、それ以上の精製工程を行うことなくさら
に反応または使用することができるほど純粋である。よ
り高い純度が望ましいならば、再結晶することによって
得られ、HNAの場合はこれらをブタノールから再結晶
する。特に、本発明によって製造されるHNAを反応さ
せると、例えば米国のヘキスト・セラニーズ社からVe
ctraの商標名で販売されているポリエステルを得る
ことができる。本発明を実施例によってさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0042】実施例において、反応容器は、ジャケット
によって温度調節される内容積2リットルのオートクレ
ーブからなる。オートクレーブは液体計量用ポンプ、内
部温度計、耐圧pH電極、下降管、および全長の半分の
ところに撹拌機ディスクを備えた中空軸ガス導入撹拌機
からなる。スターラーは駆動装置に磁気接続している。
pH測定では、フランクフルトのインゴールド社のIn
fit(商標)764−50タイプの耐圧電極を使用す
る。pH測定はマニュアル温度補正を採用した。
【0043】有機化合物の含有率、並びに炭酸塩および
ギ酸塩イオンの含有率は、高圧液体クロマトグラフィー
(HPLC)によって測定し、カリウム含有率はAAS
−分光分析によって測定した。固体の場合、水の含有率
はカール・フィッシャーによって測定した。炭酸塩イオ
ンと炭酸水素塩イオンとを区別することは不可能であっ
た。ギ酸塩および炭酸塩イオンの検出限界は0.01%
(m/m)であった。
【0044】
【実施例】
実施例1 6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸
(HNA)のその二カリウム塩からの解放 17.8gのHNA、12.77gの水酸化カリウム、
13.1gの炭酸カリウム、237gのギ酸カリウムお
よび350mlの水よりなる溶液をオートクレーブ中で
50℃に加熱する。500mlの1−ブタノールを水溶
液に加え、この2相系を激しく撹拌する。次に、反応器
の気体空間を5バールの二酸化炭素圧にする。1時間
後、撹拌を止めると、2つの液相が形成する。470m
lの水含有ブタノール相は、下降管を経て分離し、反応
器をドレインしそしてすすいだ後、ポンプでこれに戻
す。670mlの水をポンプで入れる。30分後、撹拌
を中断し、有機および水性相を分離し、有機相を反応器
に戻す。再抽出を660mlの水で繰り返す。相を分離
した後、365mlのブタノール相を単離する。溶剤を
真空中で蒸発させ、得られた残留物を一晩、50℃にて
<20ミリバールの真空中で乾燥する。9.26gのH
NAが純粋な白色粉末として単離される。水の含有率:
0.024%;融点:247−248℃;HPLC分析
によると生成物は、炭酸塩およびギ酸塩を検出しうる量
で含有していない。
【0045】 元素分析: 理論値:C 70.21 H 4.28 K 0 実験値:C 70.0 H 4.15 K 0.048 実施例2 3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸
(BONS)のその二ナトリウム塩からの解放 BONSの製造の際に生じるようなコルベ−シュミット
反応の水溶液を使用する。溶液はナトリウム2−ナフト
レート、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、6−ヒド
ロキシ−2−ナフタレンカルボン酸および3−ヒドロキ
シ−2−ナフトエ酸二ナトリウム塩を含有する。溶液の
pHは13.35である。800ml(≦837g)の
溶液を反応器に入れ、50℃に加熱する。二酸化炭素を
注意深く加えることによって、pHを10分間でpH9
に下げる。2−ナフトールおよび樹脂からなる固体7.
5gがこの間に沈殿する。これらを濾過によって分離す
る。500mlの1−ブタノールを加えた後、気体相を
5.45バールの二酸化炭素圧にする。75分後、撹拌
を止め、相を分離する。次に、25℃、二酸化炭素圧
5.5バールにて、各回220mlの水で有機相を3回
再抽出する。ブタノール相から、実施例1に記載のよう
に、BONS、2−ナフトールおよび<1%のHNAの
混合物よりなる黄褐色粉末13.7gを単離する。生成
物混合物のナトリウム含有率は<1%である。
【0046】実施例3 適した溶剤の存在下での選択的
酸化による2−ナフトールの分離 溶液は実施例2と同様であるが、反応を42℃で行う。
酸性化の前に、150mlのメチル t−ブチル エー
テルを加える。pHは7.75に下げる。生成物は真空
中で溶剤を蒸発させ、そして単離した固体を40℃、圧
力20ミリバールで一晩乾燥することによって単離す
る。7.3%のHNA、0.2gのBONSおよび9
1.8%の2−ナフトールよりなる6.4gの褐色粉末
を単離する。出発物質に基づいて、94.8%の2−ナ
フトールが単離される。
【0047】比較実施例: 有機溶剤なしでの2−ナフ
トールのpH選択的沈殿による分離 25.7gの84.2%純度の水酸化カリウム、6.2
gのナフトール、35.3gの6,2−HNA、2.7
gのBONS、16.7gの炭酸カリウムおよび45g
のギ酸カリウムを含む640mlの水の溶液を、反応器
中で50℃に加熱する。二酸化炭素を加えることによっ
て、pHを8.0に下げる。淡褐色固体が溶液中に沈殿
する。固体を吸引濾過し、水で洗浄し、乾燥する。2.
2%のHNA、0.9%のBONSおよび93%の2−
ナフトールよりなる淡褐色粉末4.75gが単離され
る。これは、単離した2−ナフトールに基づいて、理論
値の71%である。
【0048】実施例4: 1−ナフタレンカルボン酸の
そのカリウム塩からの解放 500mlの1−ブタノールを、2リットルのステンレ
ス鋼オートクレーブ中の、20gの1−ナフタレンカル
ボン酸および10gの水酸化カリウムを含む500ml
の水のアルカリ性溶液に加え、5.0バールの二酸化炭
素でおおった一定圧で、混合物を激しく室温で撹拌し
た。オートクレーブは気体をエマルジョンに分散させる
自動中空軸撹拌機を備えている。1時間後、撹拌機のス
イッチを切ると、2つの相に分離する。なお加圧下、下
降管を用いて、2つの相を別々に分け、488gの軽い
相と411gの重い相を得る。軽い相の全部を1000
mlの水と共に、実施例1に記載のように1回抽出す
る。この場合、355gの軽い相が単離される。これは
溶剤を留去した後は、カリウム含有率が0.4%未満の
乾燥生成物18.72gを含む。
【0049】実験値: 収率:94% 酸性化:99% 実施例5: 安息香酸のそのカリウム塩からの解放 20gの安息香酸および20gの水酸化カリウムを含む
500mlの水のアルカリ性溶液を、実施例4と同じよ
うに処理した。再抽出を1回行った後に得られた366
gの軽い相は、溶剤を留去した後は、カリウム含有率が
1.2%の乾燥生成物23.32gを含む。
【0050】実験値: 収率:29% 酸性化:96% 実施例6: 1−ナフタレンスルホン酸のそのカリウム
塩からの解放 40gの1−ナフタレンスルホン酸および40gの水酸
化カリウムを含む500mlの水のアルカリ性溶液を実
施例4と同じように処理する。再抽出を1回行った後に
えられる366gの軽い相は、溶剤を留去した後は、カ
リウム含有率が7.9%の乾燥生成物2.32gを含
む。
【0051】実験値: 収率:5% 酸性化:55% 実施例7:
【化1】 のそのカリウム塩からの解放 20gのHostacor(商標)をアルカリ性にし、
12.5gの水酸化カリウム溶液(50%)を含む50
0mlの脱イオン水に溶解する。次に、溶液を500m
lのブタノールと共に1時間、4バールのCO2の下、
高速中空スターラーを備えた2リットルオートクレーブ
中で激しく撹拌する。相が分離した後、ブタノール相を
同じ条件下、500mlの脱イオン水で3回再抽出す
る。残っているブタノール相(360g)を蒸発によっ
て濃縮し、残留物を乾燥キャビネット中で乾燥する。
【0052】収率:70% 酸性化:95% (カリウム含有率=0.04%) 実施例8: 再抽出水の、塩混合物溶解への再使用 A) 25.7gの水酸化カリウム(純度84.2
%)、6.2gの2−ナフトール、2.8gの3−ヒド
ロキシ−2−ナフトエ酸、35.3gの6−ヒドロキシ
−2−ナフトエ酸、16.7gの炭酸カリウムおよび4
5gのギ酸カリウムを含む670mlの水の溶液を、オ
ートクレーブ中で50℃に加熱し、溶液のpHが8にな
るまで二酸化炭素を徐々にこれに加える。溶液を加圧フ
ィルターで濾過する。4.35gの淡褐色の固体が単離
される。これは89%を越える2−ナフトール(理論値
の63%)および2.3%のHNA(理論値の0.3
%)を含む。濾液をオートクレーブに戻し、400ml
の水性ブタノールを加え、混合物を24℃で5.3バー
ルの二酸化炭素圧でおおい、激しく撹拌する。pHが変
化しなくなったら、撹拌を止め、有機相を分離する。次
に、抽出を各250mlの水性ブタノールで3回繰り返
す。有機相を合わせ、5.3バールの二酸化炭素圧下、
各回200mlの水で4回再抽出する。次に、1053
gのブタノール相を単離する。溶剤を真空中で蒸発さ
せ、得られた残留物を一晩、50℃で<20ミリバール
の真空中で乾燥する。31.7gの淡褐色の粉末が単離
される。これは88.2%のHNA(理論値の79
%)、7.2%のBONS(理論値の81%)および
5.3%の2−ナフトール(理論値の27%)を含む。
カリウム含有率は0.8%未満である。
【0053】再抽出で単離されたより重い水に富んだ相
を合わせる。共沸混合物の蒸留によってブタノールを除
くと、700mlの水相が得られる。
【0054】B) 実施例8Aを繰り返し、実施例8A
の抽出工程から戻した、ブタノールを含まない水700
mlを用いて、水酸化カリウム、ナフトール、3−ヒド
ロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−2−ナフト
エ酸、炭酸カリウムおよびギ酸カリウムを溶解する。再
抽出ブタノール相を処理することによって、36.9g
の淡褐色粉末が単離される。粉末は88.5%のHNA
を含み、これは実験で使用したHNAの量の92.5%
に相当する。粉末はさらに6.45%のBONS(理論
値の85%)および5.1%のナフトール(理論値の3
0%)を含む。
【0055】実施例9: 6−ヒドロキシ−2,7−ナ
フタレンジカルボン酸の分離 実施例8Aに記載の量の他に、5.4gの6−ヒドロキ
シ−2,7−ナフタレンジカルボン酸(HNDA)およ
び5.9gの水酸化カリウムを溶解し、そしてさらに上
記のように手順を続けると、HNDAの使用量のわずか
に1.1%がブタノール相の残留物中に見いだされる。
ブタノール抽出後に残る塩溶液を濾過することによっ
て、HNDAの使用量の80%を越える量を単離するこ
とができる。HNDAの使用量の約3%は溶液自体に残
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 63/38 65/11 303/44 7419−4H C08G 63/06 NLQ (72)発明者 ハンス−マルティン・リュッファー ドイツ連邦共和国デー−65719 ホフハイ ム,ビーネルシュトラーセ 10 (72)発明者 ジークベルト・リットナー ドイツ連邦共和国デー−64546 メルフェ ルデン,コルンブルメンヴェーク 5

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 本質的に水に不溶性の有機溶剤の存在下
    で、酸性有機化合物をそれらの塩の水溶液から二酸化炭
    素によって放つ方法であって、有機相を二酸化炭素を含
    有する水で再抽出することを含む、上記の方法。
  2. 【請求項2】 抽出および/または再抽出に二酸化炭素
    圧を用いる、請求項1の方法。
  3. 【請求項3】 二酸化炭素圧が1−70バールである、
    請求項1または2の方法。
  4. 【請求項4】 抽出および再抽出温度が溶液の凝固点と
    150℃との間である、請求項3の方法。
  5. 【請求項5】 有機溶剤がアルコール、エステル、ケト
    ンおよびエーテルよりなる群から選ばれる、請求項1−
    4のいずれかの方法。
  6. 【請求項6】 連続的に行う、請求項1−5のいずれか
    の方法。
  7. 【請求項7】 放たれる酸性有機化合物のアルカリ金属
    塩またはアルカリ土類金属塩を用いる、請求項1−5の
    いずれかの方法。
  8. 【請求項8】 酸性有機化合物の選択分離を抽出によ
    って行う、請求項1−7のいずれかの方法。
  9. 【請求項9】 6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボ
    ン酸の1種以上の塩を用いる、請求項1−8のいずれか
    の方法。
  10. 【請求項10】 請求項1−9のいずれかの方法によっ
    て製造された6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン
    酸の、ポリエステルの製造への使用方法。
JP7002607A 1994-01-13 1995-01-11 二酸化炭素によって酸性有機化合物をその塩から放つ方法 Pending JPH07206743A (ja)

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CA2140116A1 (en) 1995-07-14
DE59501942D1 (de) 1998-05-28
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EP0663381A2 (de) 1995-07-19
TW282411B (ja) 1996-08-01
EP0663381B1 (de) 1998-04-22
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