JPH07206437A - 超電導体およびその製造方法 - Google Patents

超電導体およびその製造方法

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JPH07206437A
JPH07206437A JP6002004A JP200494A JPH07206437A JP H07206437 A JPH07206437 A JP H07206437A JP 6002004 A JP6002004 A JP 6002004A JP 200494 A JP200494 A JP 200494A JP H07206437 A JPH07206437 A JP H07206437A
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JP
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superconductor
cuo
target
superconducting
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JP6002004A
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English (en)
Inventor
Hitoshi Nobumasa
均 信正
Takeshi Horiuchi
健 堀内
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 式(Sr1−δBaδεCuOζ(ただ
し、δ、ε、ζは0<δ≦1.0、1.8≦ε≦2.
2、2.6≦ζ≦3.3)で表される酸化物の層と、式
(Ca1−αSrαβCuOγ(ただし、α、β、γ
は0≦α≦1.0、0.8≦β≦1.1、1.6≦γ≦
2.2)で表される酸化物の層とが層状をなしている超
電導体。 【効果】 有毒な元素や高価な元素や重金属を含まず、
アルカリ土類金属と銅の酸化物から形成され、かつ高い
Tc値を有する超電導体が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、核融合炉、電磁流体
発電機、加速器、回転電気機器(電動機、発電機等)、
磁気分離機、磁気浮上列車、核磁気共鳴測定装置、磁気
推進船、電子線露光装置、各種実験装置等のマグネット
コイル用材料として適し、また、送電線、電気エネルギ
ー貯蔵器、変圧器、整流器、調相器等の電力損失が問題
になる用途に適し、さらに、ジョセフソン素子、SQU
ID素子、超電導トランジスタなどの素子として適し、
さらにまた、赤外線探知材料、磁気遮蔽材料等の機能材
料として適した超電導体に関する。
【0002】
【従来の技術】一連の銅複合酸化物超電導体は、“Zeit
schrift fur Physik B-condensed Matter ”Vol.8
3、第7〜17頁(1991)に記載されるように、超
電導電流が流れるCu−O2 面と、このCu−O2 面の
間にあってCu−O2 面の−2価の電荷を中和するメデ
ィエーティング層と、これらCu−O2 面とメディエー
ティング層とをサンドイッチ状に挟み込んでいるブロッ
キング層とからなる層状構成をしており、Cu−O2
の数によって、1層系、2層系、3層系に分類されてい
る。
【0003】たとえば、1層系のものとしては、(L
a,Sr)2 CuO4 、Bi2 Sr2CuO6 、(N
d,Ce)2 CuO4 などがあり、2層系のものとして
は、(La,Sr)2 CaCu2 6 、YBa2 Cu3
7 、Bi2 Sr2 CaCu2 8 、Pb2 Sr2 (C
a,Y)Cu3 8 などがあり、また、3層系のものと
しては、(Bi,Pb)2 Sr2 Ca2 Cu3 7 、T
2 Ba2 Ca2 Cu3 10などがある。
【0004】今までに発見されている超電導体の中で、
転移温度の高い物質としては、いわゆるHg系超電導体
(Tcは134K)、Tl系超電導体(Tcは125
K)、Hg系超電導体のHgをAgに置換した超電導体
(Tcは117K)、Bi系超電導体(Tcは107
K)などがあるが、これらはいずれも毒性の強いHgや
Tl元素を含んでいたり、高価なAgを含んでいたり、
重金属のBiを含んでおり、実用的ではなかった。
【0005】また、アルカリ土類と銅の酸化物のみから
形成される物質として(Ca0.4 Sr0.6 )CuO2
無限層構造の超電導体が得られることが知られている
が、この超電導体は、高温下における高圧合成を必要と
するうえに、Tcはせいぜい110Kにとどまる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、有
毒な元素や高価な元素や重金属を含まず、アルカリ土類
金属と銅の酸化物から形成され、かつ高いTc値を有す
る超電導体およびその製造方法を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明は、式(Sr1−δBaδεCuO
ζ(ただし、δ、ε、ζは0<δ≦1.0、1.8≦ε
≦2.2、2.6≦ζ≦3.3)で表される酸化物の層
と、式(Ca1−αSrαβCuOγ(ただし、α、
β、γは0≦α≦1.0、0.8≦β≦1.1、1.6
≦γ≦2.2)で表される酸化物の層とが層状をなして
いる超電導体を提供する。
【0008】また、この発明は、上記超電導体を製造す
る方法として、式(Sr1−δBaδεCuOζ(た
だし、δ、ε、ζは0<δ≦1.0、1.8≦ε≦2.
2、2.6≦ζ≦3.3)で表される少なくとも1個の
酸化物の層を形成し、次いで、その酸化物の層の上に、
式(Ca1−αSrαβCuOγ(ただし、α、β、
γは0≦α≦1.0、0.8≦β≦1.1、1.6≦γ
≦2.2)で表される少なくとも1個の酸化物の層を形
成する操作を反復する、超電導体の製造方法を提供す
る。
【0009】また、この発明は上述した超電導体におい
て、その表面が無機材質の保護層で覆われている超電導
体を提供する。
【0010】銅複合酸化物超電導体における超電導電流
は、Cu−O2 面内を流れる。したがって、上記いずれ
の超電導体も、Cu−O2 面を有する、式(Ca1−α
SrαβCuOγで表される酸化物の層が超電導層と
なっており、Cu−O鎖のみの、式(Sr1−δ
δεCuOζで表わされる酸化物の層はブロッキン
グ層になっているものと考えられる。以下においては、
式(Ca1−αSrαβCuOγで表わされる酸化物
の層を超電導層と呼び、式(Sr1−δBaδεCu
ζで表わされる酸化物の層をブロッキング層と呼ぶ。
【0011】さて、上記の超電導層において、(Ca
1−αSrα)からなるメディエーティング層では、C
aやSrの欠損を起こさせないということからすると、
β=1ということになるが、βを1よりも大きい値とす
るような状態でこの超電導層を形成すると、Cu−O2
面のCuサイトに欠損を生ずることがある。そして、こ
のCu欠損量が多くなりすぎると、Cu−O2 面に超電
導電流が流れなくなることがある。したがって、βには
上限値が存在し、その値は1.1とする。
【0012】また、超電導層の形成時には、(Ca
1−αSrα)サイトに若干の欠損が含まれることがあ
る。この欠損量が過大になると、メディエーティング層
の上下に位置しているCu−O2 面における酸素原子相
互間の静電反発が強くなり、Cu−O2 面相互の距離が
長くなる。この面間距離が長くなると、“Physica C
”、Vol.167、第515〜519頁(1990)に
記載される、結晶構造中において最も近接するCu−O
2 面の面間距離が短いほどTcが高くなるという経験則
から、超電導体として好ましくない状態になる。したが
って、βには下限値も存在し、その値は0.8とする。
【0013】結局、超電導層内におけるメディエーティ
ング層の割合βは、上述した理由から0.8≦β≦1.
1の範囲になる。
【0014】一方、(Ca1−αSrα)からなるメデ
ィエーティング層におけるCaとSrとの存在比は、上
述したCu−O2 面相互の距離とTcとの経験則からす
ると、イオン半径の小さいCaを多量に含ませることに
よって上記距離を短くするのがよく、しかも、Caのみ
(α=0)によっても超電導層を形成することができる
ので、αの下限値は0とする。しかしながら、製造時
に、たとえばSrTiO3 単結晶基板を使用すると、そ
の単結晶のa軸長は0.390nmと長いため、Caの存
在比が高い場合に基板との不整合性から超電導層を形成
することができないことがある。そのため、Srの存在
比を高めて超電導層の結晶を成長させることが好ましい
場合がある。結局、超電導層のメディエーティング層に
おけるCaとSrの比は0≦α≦1.0とする。ただ
し、上述したように、超電導性を重視し、好ましくは0
≦α≦0.5である。
【0015】ところで、銅複合酸化物超電導体の場合、
その結晶中の酸素は唯一の陰イオンである。したがっ
て、上述したSrやCaの欠損の場合と同じように、結
晶中の酸素の存在量は、全体のキャリア濃度に大きく影
響する。超電導層においては、Cu−O2 面内の酸素は
Cuとの結合が強固であるため欠損しにくい。仮に、欠
損するような条件で超電導層が形成された場合でも、そ
の上下に位置する(Ca1−αSrα)からなるメディ
エーティング層には酸素がほとんど存在していないと考
えられる。かかる状態、すなわち、Cu−O2 面内の酸
素欠損が多い状態では、そのCu−O2 面に超電導電流
が流れなくなる。したがって、γの下限値が1.6とな
るような条件とすることでCu−O2 面内の過度の酸素
欠損を防ぎ、超電導特性を確保する。
【0016】一方、酸素を取り込みやすい条件下で超電
導層を形成した場合には、Cu−O2 面内での酸素欠損
はほとんど起こらず、しかも、メディエーティング層に
も酸素が導入される。しかしながら、メディエーティン
グ層への酸素導入量が過多になると、そのメディエーテ
ィング層の上下に位置するCu−O2 面におけるCu間
の相互作用が強くなりすぎ、結局、全体は超電導体には
ならなくて絶縁体になってしまう。したがって、γの上
限値が2.2となるようにすることで超電導特性を確保
する。
【0017】結局、γは1.6≦γ≦2.2なる条件を
満足しなければならないが、キャリア濃度への影響の大
きさを考えると、高いTcを持つ超電導体を作製するた
めには2.0≦γ≦2.2であることが好ましい。
【0018】次に、ブロッキング層を形成する酸化物
は、表面のモルフォロジーがよく、これと超電導層を組
み合わせることで結晶性のよい超電導体を得ることがで
きる。δが0<δ≦1.0の範囲において、同じ結晶構
造を保ちつつ、BaとSrのイオン半径の違いにより、
結晶の軸長のみが変化していく。超電導体の製造時に
は、このブロッキング層が上述した超電導層を挟み込む
ことから、超電導層を構成する酸化物との格子の大小の
整合性が重要な因子となる。したがって、この整合性を
考えて、好ましくは0.5≦δ≦1.0とする。
【0019】式(Sr1−δBaδεCuOζで表さ
れる酸化物の層は、(Sr,Ba)2 2 層とCuO鎖
から構成されているので、この式において、ε、ζ、
は、本来は、それぞれ、ε=2、ζ=3である。しかし
ながら、製造時には、(Sr,Ba)サイト、Cuサイ
ト、酸素サイトに欠損を含む場合がある。そして、酸素
サイトの欠損が0.4よりも大きくなると目的とする結
晶構造を形成することができなくなり、また、(Sr,
Ba)サイト、Cuサイトの欠損が多くなりすぎてしま
っても同様に目的とする結晶構造を形成することができ
なくなる。したがって、この組成において、εは、1.
8≦ε≦2.2の範囲、ζは、2.6≦ζ≦3.3の範
囲にする。
【0020】さて、超電導層とブロッキング層との接合
は、結晶構造が保たれるように行われなければならな
い。式(Ca1−αSrαβCuOγで表される酸化
物はCu−O2 層で接合し、式(Sr1−δBaδε
CuOζで表される酸化物は(Sr,Ba)O層で接合
するのが好ましい。
【0021】この発明の超電導体においては、超電導層
の間にブロッキング層が挿入された構造になっている
が、このブロッキング層の挿入に関しては、規則性を問
うものではない。ランダムに挿入されていてよい。しか
しながら、超電導特性における再現性を考慮すると、規
則性を持たせるのが好ましい。
【0022】また、超電導電流が流れる層は超電導層で
あり、ブロッキング層はあくまでも相互作用の次元性
や、キャリアを供給する層であり、上述したCu−O2
面の数が多いほどTcが高くなるという経験則からする
と、超電導層の単位格子数が多いほうが好ましい。ここ
でいう単位格子数とは、結晶学的に定義されたc軸方向
の最小単位数である。以下にあげる”単位格子数”も同
じ意味である。
【0023】また、超電導層をn単位格子数(nは1以
上の整数)とブロッキング層をm単位格子数(mは1以
上の整数)を積み上げた構造の場合、nを大きくする
と、上述した経験則によれば、Cu−O2 面の数が増加
してTcは上昇することになる。しかしながら、nをあ
まり大きくすると正孔に基くキャリア濃度が低くなるの
で、nは、2〜4の範囲にするのが好ましい。特に、キ
ャリア濃度の適性化と結晶構造の作りやすさからは、3
か4であるのが好ましい。
【0024】mは、大きくするとモルフォロジーや超電
導体全体の結晶性がよくなる。しかしながら、あまり大
きくすると超電導体中の超電導層の割合が少なくなり、
臨界電流密度が小さくなるので、1〜4の範囲であるの
が好ましい。さらに好ましいのは、1か2である。
【0025】さて、超電導層を形成する単位格子数とブ
ロッキング層を形成する単位格子数との相互関係は、
n、mによる規則性だけではなく、たとえば、n単位格
子数の超電導層/m単位格子数のブロッキング層/n’
単位格子数(n’≠n)の超電導層/m単位格子数のブ
ロッキング層/……といったようにさらに複雑な規則性
を持って反復されていてもよい。また、電荷担体をCu
−O2 面に供給することからすると、この超電導体を形
成する元素のほかに、Li、Na、Kなどのアルカリ金
属を部分的に混在させてもよい。さらに、半導体の分野
でみられるように、たとえば、絶縁層や帯電導層で仕切
られた多層構造になっていてもよい。
【0026】この発明の超電導体は、テープ状、線状、
繊維状、シート状など、いろいろな形態で使用すること
ができる。また、炭素繊維やアルミナ、ジルコニアなど
のセラミックス、または、金や銀などの金属からなる補
強材の上に形成して使用できる。さらに、これらセラミ
ックスまたは金や銀を被覆して使用できる。さらにま
た、銅などをマトリクスとする多芯線構造の超電導線材
として使用できる。また、Si、MgO、LaGa
3 、LaAlO3 、NdGaO3 、NdAlO3 、L
aSrGaO4 、Y2 3 、SrTiO3 、Al
2 3 、イットリウム部分安定化ジルコニアなどの基板
上に薄膜として形成し、いろいろな素子として、また
は、LSIの配線として使用できる。
【0027】基板の表面状態は、そこに超電導体を形成
するときに重要である。具体的には、不純物が付着して
おらず、かつ、エピタキシャル成長ができるように、あ
らかじめ高真空中で表面付着物を焼き飛ばしておくのが
よい。特に、基板としてSrTiO3 単結晶を使用する
場合、約1000℃までの熱処理で表面にTiが多く形
成されるため、超電導体をこの上に形成するときは、ま
ずSrを、次にCuを、その後、目的とする超電導体の
層を形成していくのが好ましい。これらの基板の上に超
電導体を形成するときの基板の加熱方法としては、基板
に直接通電して加熱するのが発熱の均一性、安定性の面
から最もよく、たとえば、SrTiO3にNbをドープ
させるなどして基板に適度な導電性を持たせて通電加熱
するのが好ましい。
【0028】この発明の超電導体は、いろいろな方法に
よって製造することができるが、式(Ca1−α
αβCuOγで表される酸化物の層と、式(Sr
1−δBaδεCuOζで表される酸化物の層とを積
み上げ法を使用して製造するのが好ましい。もちろん、
(Ca1−αSrαβCuOγで表される酸化物の層
と、式(Sr1−δBaδεCuOζで表される酸化
物の層とのいずれを先に形成してもよい。
【0029】この積み上げ法としては、たとえば、レー
ザーアブレーション法、分子線エピタキシー法、電子ビ
ーム蒸着法や、各種のスパッタ法などの物理的蒸着法を
使用することができ、特にレーザーアブレーション法が
好適である。たとえば、レーザーアブレーション法によ
る場合、次のようにする。
【0030】まず、(Ca1−αSrαβCuOγ
ターゲットを製造する。すなわち、CaCO3 、SrC
3 、CuOの粉末を混合し、その粉末を800〜90
0℃の温度で10分〜12時間焼成し、次に焼成した粉
末を再び粉砕、混合した後ペレットに成形し、その成形
体を800〜1000℃の温度で1〜12時間焼成して
焼結し、ターゲット(ターゲット1)にする。同様にし
て、(Sr1−δBaδεCuOζのターゲット(タ
ーゲット2)を用意する。
【0031】次に、ターゲット1、2をチャンバーの回
転式ホルダーに別々にセットするとともに、これらのタ
ーゲットに対向し、かつ、1〜150mm離れた位置に基
板をセットする。チャンバー内のNO2 やオゾン等の酸
化性物質の分圧を0.1〜10Paにした後、基板を50
0〜800℃、好ましくは600〜700℃に加熱す
る。そして、ホルダを回転させてターゲット1、2に、
ArF、KrF、XeClなどを使用したエキシマレー
ザーを交互に照射し、基板の上に各ターゲットの構成物
質を堆積させていく。なお、ターゲット上の照射位置に
おけるレーザー1パルス当たりのエネルギー密度は、ア
ブレーションが起こる大きさ以上であることが必要だ
が、1kJ/cm2 以下であるのが好ましい。これよりも大
きいと、薄膜の形態が悪くなることがある。照射するエ
キシマレーザーのパルス周波数は、使用するターゲット
の種類や、所望するアブレーション励起種の種類によっ
ても異るが、高すぎると、基板表面において、アブレー
ションされて飛来してきた原子の再配列が不完全になっ
て結晶性の低下を引き起こすことがある。したがって、
パルス周波数は1〜80Hzの範囲にするのが好ましい。
【0032】また、ターゲットと基板との距離が1mm未
満であると、レーザー照射に対して基板が障害物とな
り、ターゲットに対するエキシマレーザーの照射角度を
非常に小さくせざるを得なくなってターゲットのアブレ
ーションが起こりにくくなる。また、150mmを超える
と、堆積速度が著しく遅くなるので実用的であるとはい
えない。
【0033】チャンバー内を酸化性雰囲気にするために
は、NO2 やオゾンのほかに、酸素やN2 Oを使用した
り、酸素雰囲気中に紫外線などを照射してオゾンや活性
酸素を生成させたりしてもよい。
【0034】また、チャンバー内の酸化性雰囲気の分圧
を0.1Paよりも低くすると、得られる結晶構造内にC
2 Oが安定相として生成し、超電導体が得られないこ
とがある。また、10Paよりも高くすると、形成されて
いる銅複合酸化物中に不純物が混入しやすくなったり、
得られる薄膜のモルホロジーが低下することがある。さ
らに、基板温度を500℃よりも低くすると、基板上に
堆積するターゲット物質の結晶化が起こりにくくなり、
一方、800℃よりも高くすると、超電導体が得られな
くなることがある。
【0035】各ターゲットをアブレーションする場合、
形成される超電導層やブロッキング層の厚みを、直接、
膜圧計でモニターしたり、標準試料をアブレーションし
たときの時間と厚みとの関係をあらかじめ求めておき、
実際の時間を測定してその値から厚みをモニターし、所
望の厚みになったところでエキシマレーザーの照射対象
を別のターゲットに切り換えたりするようにする。
【0036】また、反射高速電子線回折法(RHEE
D)を利用し、それによって得られる画像上で回折格子
点の強度をモニターし、その振動パターンから、結晶結
成の厚みを推定し、所望の厚みになったときに別のター
ゲットにエキシマレーザーの照射を切り換える方法を採
用するとよい。
【0037】また、各層の形成後、1秒〜15分程度の
インターバルを置くと、各層の結晶性がより確かなもの
になるので好ましい。
【0038】このようにして基板上に層を形成し、厚み
が所望の値になったところでレーザーの照射を停止し、
基板を約200〜550℃まで約1〜200℃/分の速
度で冷却する。このとき、チャンバー内の酸化性ガスの
分圧を上げたり、200〜550℃の温度域におけるあ
る温度で1〜60分保持したりすると、酸素の取り込み
をより完全なものにすることができる。同様に酸素の取
り込みをより完全なものにするために、200〜550
℃の温度域におけるある温度での1〜60分保持中に、
チャンバー内の酸化性雰囲気圧力を0.1〜1気圧に上
げてアニールしたり、チャンバーから取り出した後、同
様の温度条件で、1気圧よりも高く、400気圧以下の
酸素分圧下で熱間等方圧加圧処理法(HIP法)を使用
して処理するのも好ましいことである。
【0039】さらに、本発明による超電導体はアルカリ
土類元素を含むため、作製後、空気中に放置しておく
と、空気中の水分等と反応し、超電導特性が劣化してし
まうことがあるため、本超電導体の周囲は金属や酸化銅
などの無機材質膜で覆っておくことがより実用的であ
る。
【0040】
【実施例】
実施例1 CaCO3 、CuOの各粉末を、Ca:Cuがモル比で
1:1となるように秤量し、それらを混合したのちその
混合粉末を空気中にて800℃で5時間仮焼した。つい
で、その仮焼体を粉砕した後ペレットに成形し、空気中
にて950℃で10時間かけて焼結し、徐冷してターゲ
ット1とした。
【0041】また、BaCO3 、CuOの各粉末を、B
a:Cuがモル比で2:1となるように秤量し、それら
を混合したのちその混合粉末を空気中にて800℃で5
時間仮焼した。ついで、その仮焼体を粉砕した後ペレッ
トに成形し、空気中にて900℃で10時間かけて焼結
し、徐冷してターゲット2とした。
【0042】CuO粉末をペレットに成形し、その成形
体を空気中にて900℃で10時間焼成した後徐冷し、
ターゲット3を得た。
【0043】つぎに、ターゲット1、2、3を真空チャ
ンバ内に別々にセットするとともに、これらのターゲッ
トに対向し、かつ、それぞれのターゲットから25mm離
れた位置に、面方位が(100)面のSrTiO3 基板
を置き、チャンバ内の酸化雰囲気(5%オゾンを含む酸
素ガス)の分圧を1.5Paに調整し、基板を650℃
に加熱した。
【0044】ついで、各ターゲットに、波長193nm、
発振周波数1Hz、パルスエネルギー密度5J/cm2
ArFエキシマレーザを、基板上に堆積される物質の厚
みを膜厚計でモニターしながら、ターゲット2による層
の厚みが5単位格子数になるように照射した。その後、
レーザ照射をターゲット1に切り換え、ターゲット1に
よる層の厚みが3単位格子になるようにレーザ照射を行
った。
【0045】上記した態様のレーザ照射を1サイクルと
する製膜操作を反復した。製膜操作の終了後、全体を、
同様の雰囲気中で、温度400℃、30分間アニールし
た後、室温まで徐冷した。
【0046】室温になったところで、ターゲット3に、
波長193nm、発振周波数10Hz、パルスエネルギー
密度10J/cm2 のArFエキシマレーザを照射し、約
50nmの酸化銅の保護膜を形成した。
【0047】基板の上には、総厚みが約200nmの薄膜
が形成された。この薄膜は、厚みが5単位格子で組成が
Ba2 CuO3 からなる層と、厚みが3単位格子で組成
がCaCuO2 からなる層とが交互に20回、図1のよ
うに積み重ねられたものであった。
【0048】次に、この薄膜に銀ペーストと金線を用
い、電極を形成し、いわゆる4端子法により電気抵抗の
温度依存性を測定したところ、超電導始まり温度が15
0Kの特性を得た。
【0049】実施例2 ターゲット1が、Ca:Sr:Cuをモル比で0.9:
0.1:1含む組成のもの、また、ターゲット2が、S
r:Ba:Cuをモル比で0.2:1.8:1含む組成
のもの、ターゲット2を用いて形成した層が10単位格
子であったことと、ターゲット1を用いて形成した層が
2単位格子であったことを除いては、実施例1と同様の
条件で製膜操作を行った。
【0050】製膜操作の終了後、全体を実施例1と同様
の条件でアニールしたのち室温まで徐冷し、さらに、実
施例1と同様に酸化銅の保護膜を形成した。
【0051】基板の上には、厚みが約330nmの薄膜が
形成された。この薄膜は、厚みが10単位格子で組成が
(Sr0.2 Ba1.8 )CuO3 からなる層と、厚みが1
単位格子で組成が(Ca0.9 Sr0.1 )CuO2 からな
る層とが交互に25回積み重ねられたものであった。
【0052】次に、実施例1と同様に電気抵抗の温度依
存性を測定したところ、超電導始まり温度が120Kの
特性を得た。
【0053】
【発明の効果】有毒な元素や高価な元素や重金属を含ま
ず、アルカリ土類金属と銅の酸化物から形成され、かつ
高いTc値を有する超電導体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる超電導体の結晶構造の一例を表
す図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01B 12/06 ZAA 13/00 565 D H01L 39/24 ZAA B

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式(Sr1−δBaδεCuOζ(ただ
    し、δ、ε、ζは0<δ≦1.0、1.8≦ε≦2.
    2、2.6≦ζ≦3.3)で表される酸化物の層と、式
    (Ca1−αSrαβCuOγ(ただし、α、β、γ
    は0≦α≦1.0、0.8≦β≦1.1、1.6≦γ≦
    2.2)で表される酸化物の層とが層状をなしているこ
    とを特徴とする超電導体。
  2. 【請求項2】基材と、その基材上に形成された請求項1
    記載の超電導体の薄膜とからなることを特徴とする超電
    導体。
  3. 【請求項3】式(Sr1−δBaδεCuOζ(ただ
    し、δ、ε、ζは0<δ≦1.0、1.8≦ε≦2.
    2、2.6≦ζ≦3.3)で表される少なくとも1個の
    酸化物の層を形成し、次いで、その酸化物の層の上に、
    式(Ca1−αSrαβCuOγ(ただし、α、β、
    γは0≦α≦1.0、0.8≦β≦1.1、1.6≦γ
    ≦2.2)で表される少なくとも1個の酸化物の層を形
    成する操作を反復することを特徴とする超電導体の製造
    方法。
  4. 【請求項4】請求項1または2記載の超電導体におい
    て、表面が無機材質の保護層で覆われていることを特徴
    とする超電導体。
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