JPH06115935A - 超電導体およびその製造方法 - Google Patents

超電導体およびその製造方法

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JPH06115935A
JPH06115935A JP4265076A JP26507692A JPH06115935A JP H06115935 A JPH06115935 A JP H06115935A JP 4265076 A JP4265076 A JP 4265076A JP 26507692 A JP26507692 A JP 26507692A JP H06115935 A JPH06115935 A JP H06115935A
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layer
superconductor
cuo
film
substrate
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JP4265076A
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Takeshi Horiuchi
健 堀内
Hitoshi Nobumasa
均 信正
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E40/00Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

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  • Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】高い超電導転移温度を有する超電導体およびそ
の製造方法を提供する。 【構成】式(Ca1−αSrαβCuOγ(ただし、
α、β、γは0≦α≦1.0、0.8≦β≦1.1、
1.6≦γ≦2.2)で表される酸化物の層を繰り返し
単位とし、この繰り返し単位の間に、式(Ca1−δ
δεCuOζ(ただし、δ、ε、ζは0≦δ≦1.
0、1.8≦ε≦2.2、2.6≦ζ≦3.3)で表さ
れる少なくとも1個の酸化物の層を介在させてなる超電
導体を、レーザーアブレーション法によって製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、核融合炉、電磁流体
発電機、加速器、回転電気機器(電動機、発電機等)、
磁気分離機、磁気浮上列車、核磁気共鳴測定装置、磁気
推進船、電子線露光装置、各種実験装置等のマグネット
コイル用材料として適し、また、送電線、電気エネルギ
ー貯蔵器、変圧器、整流器、調相器等の電力損失が問題
になる用途に適し、さらに、ジョセフソン素子、SQU
ID素子、超電導トランジスタなどの素子として適し、
さらにまた、赤外線探知材料、磁気遮蔽材料等の機能材
料として適した超電導体に関する。
【0002】
【従来の技術】一連の銅複合酸化物超電導体は、“Zeit
schrift fur Physik B-condensed Matter ”Vol.83、
第7〜17頁(1991)に記載されるように、超電導
電流が流れるCu−O2 面と、このCu−O2 面の間に
あってCu−O2 面の−2価の電荷を中和するメディエ
ーティング層と、これらCu−O2 面とメディエーティ
ング層とをサンドイッチ状に挟み込んでいるブロッキン
グ層とからなる層状構成をしており、Cu−O2 面の数
によって、1層系、2層系、3層系に分類されている。
【0003】たとえば、1層系のものとしては、(L
a,Sr)2 CuO4 、Bi2 Sr2CuO6 、(N
d,Ce)2 CuO4 などがあり、2層系のものとして
は、(La,Sr)2 CaCu2 6 、YBa2 Cu3
7 、Bi2 Sr2 CaCu2 8 、Pb2 Sr2 (C
a,Y)Cu3 8 などがあり、また、3層系のものと
しては、(Bi,Pb)2 Sr2 Ca2 Cu3 7 、T
2 Ba2 Ca2 Cu3 10などがある。
【0004】ところで、このような銅複合酸化物超電導
体においては、結晶内にドープされる電荷担体の量、特
にCu−O2 面1層当りの電荷担体の量(以下、キャリ
ア濃度という)によって、超電導転移温度(以下、Tc
という)が変わる。そして、このキャリア濃度が0.0
5〜0.32の範囲にあるときに超電導特性を発現し、
特に、0.12〜0.23の範囲にあるときにTcが最
大になる。また、キャリア濃度が上記範囲にある銅複合
酸化物超電導体においては、ブロッキング層間のCu−
2 面の数が増加するにしたがってそのTcも上昇する
という経験則が成立している。このようなことから、C
u−O2 面とメディエーティング層とを反復して形成し
た、いわゆる無限層構造の物質を超電導体とすることが
検討されている。
【0005】たとえば、“Nature”、Vol.334、第2
31〜232頁(1991)には、組成が(Ca0.86
0.14)CuO2 で、単一相構造の焼結体が提案されて
いる。しかしながら、この組成では、電荷担体をドープ
することができないので超電導体にはならない。
【0006】また、“Nature”、Vol.351、第541
頁(1991)には、無限層構造の、組成が(Sr,N
d)CuO2 や(Sr,La)CuO2 の物質に電荷担
体として電子をドープしてなる、Tcが40K程度の超
電導体が記載されている。しかしながら、この超電導体
は、NdやLaを含んでいるため、製造の過程でより安
定なNd2 CuO4 相やLa2 CuO4 相を生成するこ
とが多く、そのため、Tcをより高くすることは難し
い。
【0007】一方、“応用物理”、第61巻、第503
〜507頁(1992)には、原料たる酸化物粉末を、
温度1173〜1473K、圧力6GPa で高圧合成する
ことによって、組成が(Ca0.4 Sr0.6 )CuO2
無限層構造の超電導体が得られることが記載されてい
る。この超電導体は、Cu−O2 面間にSrが欠損して
いる層が不規則に介在しているため、そのSr欠損層か
らCu−O2 面に空孔が供給される、すなわち、結果的
に電荷担体として正孔がドープされたものになってい
る。しかしながら、この超電導体は、高温下における高
圧合成を必要とする。また、電荷担体供給層として機能
するSr欠損層は、その介在の仕方が不規則であるた
め、製造時における超電導特性の再現性があまりよくな
いうえに、正孔の量、すなわちキャリア濃度を意識的に
制御することが難しいため、Tcはせいぜい110Kに
とどまる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、無
限層構造を有する、電荷担体が正孔である銅酸化物超電
導体において、制御されたキャリア濃度と高いTc値を
有する超電導体およびその製造方法を提供するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明は、式(Ca1−αSrαβCuO
γ(ただし、α、β、γは0≦α≦1.0、0.8≦β
≦1.1、1.6≦γ≦2.2)で表される酸化物の層
と、式(Ca1−δSrδεCuOζ(ただし、δ、
ε、ζは0≦δ≦1.0、1.8≦ε≦2.2、2.6
≦ζ≦3.3)で表される酸化物の層とが層状をなして
いる超電導体を提供する。
【0010】また、この発明は、上記超電導体を製造す
る方法として、式(Ca1−αSrαβCuOγ(た
だし、α、β、γは0≦α≦1.0、0.8≦β≦1.
1、1.6≦γ≦2.2)で表される少なくとも1個の
酸化物の層を形成し、次いで、その酸化物の層の上に、
式(Ca1−δSrδεCuOζ(ただし、δ、ε、
ζは0≦δ≦1.0、1.8≦ε≦2.2、2.6≦ζ
≦3.3)で表される少なくとも1個の酸化物の層を形
成する、超電導体の製造方法を提供する。
【0011】さらに、この発明は、式(Ca1−αSr
αβCuOγ(ただし、α、β、γは0≦α≦1.
0、0.8≦β≦1.1、1.6≦γ≦2.2)で表さ
れる酸化物の層を繰り返し単位とし、この繰り返し単位
の間に、式(Ca1−δSrδεCuOζ(ただし、
δ、ε、ζは0≦δ≦1.0、1.8≦ε≦2.2、
2.6≦ζ≦3.3)で表される少なくとも1個の酸化
物の層を介在させてなる超電導体を提供する。
【0012】さらにまた、この発明は、かかる超電導体
を製造する方法として、式(Ca −αSrαβCu
γ(ただし、α、β、γは0≦α≦1.0、0.8≦
β≦1.1、1.6≦γ≦2.2)で表される少なくと
も1個の酸化物の層を形成し、その酸化物の層の上に、
式(Ca1−δSrδεCuOζ(ただし、δ、ε、
ζは0≦δ≦1.0、1.8≦ε≦2.2、2.6≦ζ
≦3.3)で表される少なくとも1個の酸化物の層を形
成する操作を反復する、超電導体の製造方法を提供す
る。
【0013】銅複合酸化物超電導体における超電導電流
は、Cu−O2 面内を流れる。したがって、上記いずれ
の超電導体も、Cu−O2 面を有する、式(Ca1−α
SrαβCuOγで表される酸化物の層が超電導層と
なっており、Cu−O鎖のみの、式(Ca1−δ
δεCuOζで表わされる酸化物の層はブロッキン
グ層になっているものと考えられる。以下においては、
式(Ca1−αSrαβCuOγで表わされる酸化物
の層を超電導層と呼び、式(Ca1−δSrδεCu
ζで表わされる酸化物の層をブロッキング層と呼ぶ。
【0014】さて、上記の超電導層において、(Ca
1−αSrα)からなるメディエーティング層では、C
aやSrの欠損を起こさせないということからすると、
β=1ということになるが、βを1よりも大きい値とす
るような状態でこの超電導層を形成すると、Cu−O2
面のCuサイトに欠損を生ずることがある。そして、こ
のCu欠損量が多くなりすぎると、Cu−O2 面に超電
導電流が流れなくなることがある。したがって、βには
上限値が存在し、その値は1.1とする。
【0015】また、超電導層の形成時には、(Ca
1−αSrα)サイトに若干の欠損が含まれることがあ
る。この欠損量が過大になると、メディエーティング層
の上下に位置しているCu−O2 面における酸素原子相
互間の静電反発が強くなり、Cu−O2 面相互の距離が
長くなる。この面間距離が長くなると、“Physica C
”、Vol.167、第515〜519頁(1990)に
記載される、結晶構造中において最も近接するCu−O
2 面の面間距離が短いほどTcが高くなるという経験則
から、超電導体として好ましくない状態になる。したが
って、βには下限値も存在し、その値は0.8とする。
【0016】結局、超電導層内におけるメディエーティ
ング層の割合βは、上述した理由から0.8≦β≦1.
1の範囲になる。
【0017】一方、(Ca1−αSrα)からなるメデ
ィエーティング層におけるCaとSrとの存在比は、上
述したCu−O2 面相互の距離とTcとの経験則からす
ると、イオン半径の小さいCaを多量に含ませることに
よって上記距離を短くするのがよく、しかも、Caのみ
(α=0)によっても超電導層を形成することができる
ので、αの下限値は0とする。しかしながら、製造時
に、たとえばSrTiO3 単結晶基板を使用すると、そ
の単結晶のa軸長は0.390nmと長いため、Caの存
在比が高い場合に基板との不整合性から超電導層を形成
することができないことがある。そのため、Srの存在
比を高めて超電導層の結晶を成長させることが必要にな
る。結局、超電導層のメディエーティング層におけるC
aとSrの比は0≦α≦1.0とする。
【0018】ところで、銅複合酸化物超電導体の場合、
その結晶中の酸素は唯一の陰イオンである。したがっ
て、上述したSrやCaの欠損の場合と同じように、結
晶中の酸素の存在量は、全体のキャリア濃度に大きく影
響する。超電導層においては、Cu−O2 面内の酸素は
Cuとの結合が強固であるため欠損しにくい。仮に、欠
損するような条件で超電導層が形成された場合でも、そ
の上下に位置する(Ca1−αSrα)からなるメディ
エーティング層には酸素がほとんど存在していないと考
えられる。かかる状態、すなわち、Cu−O2 面内の酸
素欠損が多い状態では、そのCu−O2 面に超電導電流
が流れなくなる。したがって、γの下限値が1.6とな
るような条件とすることでCu−O2 面内の過度の酸素
欠損を防ぎ、超電導特性を確保する。
【0019】一方、酸素を取り込みやすい条件下で超電
導層を形成した場合には、Cu−O2 面内での酸素欠損
はほとんど起こらず、しかも、メディエーティング層に
も酸素が導入される。しかしながら、メディエーティン
グ層への酸素導入量が過多になると、そのメディエーテ
ィング層の上下に位置するCu−O2 面におけるCu間
の相互作用が強くなりすぎ、結局、全体は超電導体には
ならなくて絶縁体になってしまう。したがって、γの上
限値が2.2となるようにすることで超電導特性を確保
する。
【0020】結局、γは1.6≦γ≦2.2なる条件を
満足しなければならないが、キャリア濃度への影響の大
きさを考えると、高いTcを持つ超電導体を作成するた
めには2.0≦γ≦2.2であることが好ましい。
【0021】次に、ブロッキング層を形成する酸化物
は、表面のモルフォロジーがよく、これと超電導層を組
み合わせることで結晶性のよい超電導体を得ることがで
きる。δが0≦δ≦1.0の範囲において、同じ結晶構
造を保ちつつ、SrとCaのイオン半径の違いにより、
結晶の軸長のみが変化していく。超電導体の製造時に
は、このブロッキング層が上述した超電導層を挟み込む
ことから、超電導層を構成する酸化物との格子の大小の
整合性が重要な因子となる。したがって、この整合性を
考えて、さらに好ましくは0.5≦δ≦1.0とする。
【0022】式(Ca1−δSrδεCuOζで表さ
れる酸化物の層は、(Sr,Ca)2 2 層とCuO鎖
から構成されているので、この式において、ε、ζ、
は、本来は、それぞれ、ε=2、ζ=3である。しかし
ながら、製造時には、(Sr,Ca)サイト、Cuサイ
ト、酸素サイトに欠損を含む場合がある。そして、酸素
サイトの欠損が0.4よりも大きくなると目的とする結
晶構造を形成することができなくなり、また、(Sr,
Ca)サイト、Cuサイトの欠損が多くなりすぎてしま
っても同様に目的とする結晶構造を形成することができ
なくなる。したがって、この組成において、εは、1.
8≦ε≦2.2の範囲、ζは、2.6≦ζ≦3.3の範
囲にする。
【0023】さて、超電導層とブロッキング層との接合
を考えると、式(Ca1−αSrαβCuOγで表さ
れる酸化物はCu−O2 層で接合し、式(Ca1−δ
δεCuOζで表される酸化物はSrO層で接合す
るのが好ましい。この接合において、式(Ca1−α
αβCuOγで表される酸化物に陽イオン欠損がで
きたのと同じことになり、正孔に基ずくキャリアが導入
される。
【0024】この発明の超電導体においては、超電導層
の間にブロッキング層が挿入された構造になっている
が、このブロッキング層の挿入に関しては、規則性を問
うものではない。ランダムに挿入されていてよい。しか
しながら、超電導特性における再現性を考慮すると、規
則性を持たせるのが好ましい。
【0025】また、超電導電流が流れる層は超電導層で
あり、ブロッキング層はあくまでも相互作用の次元性
や、キャリアを供給する層であり、上述したCu−O2
面の数が多いほどTcが高くなるという経験則からする
と、超電導層の単位格子数が多いほうが好ましい。ここ
でいう単位格子数とは、結晶学的に定義されたc軸方向
の最小単位数である。以下にあげる”単位格子数”も同
じ意味である。
【0026】また、超電導層をn単位格子数(nは1以
上の整数)とする繰り返し単位の間にブロッキング層を
介在させた構造の場合、nを大きくすると、上述した経
験則によれば、Cu−O2 面の数が増加してTcは上昇
することになる。しかしながら、nをあまり大きくする
と正孔に基くキャリア濃度が低くなるので、nは、2〜
4の範囲にするのが好ましい。特に、キャリア濃度の適
性化と結晶構造の作りやすさからは、3か4であるのが
好ましい。
【0027】mは、大きくするとモルフォロジーや超電
導体全体の結晶性がよくなる。しかしながら、あまり大
きくすると超電導体中の超電導層の割合が少なくなり、
臨界電流密度が小さくなるので、1〜4の範囲であるの
が好ましい。さらに好ましいのは、1か2である。
【0028】さて、超電導層からなる繰り返し単位とブ
ロッキング層との相互関係は、n、mによる規則性だけ
ではなく、たとえば、n単位格子数の超電導層からなる
繰り返し単位/m単位格子数のブロッキング層/n’単
位格子数(n’≠n)の超電導層からなる繰り返し単位
/m単位格子数のブロッキング層/……といったように
さらに複雑な規則性であってもよい。要するに、ある繰
り返し単位の間にブロッキング層が周期的に介在してお
ればよい。また、電荷担体をCu−O2 面に供給するこ
とからすると、この超電導体を形成する元素のほかに、
Li、Na、Kなどのアルカリ金属を部分的に混在させ
てもよい。さらに、半導体の分野でみられるように、た
とえば、絶縁層や帯電導層で仕切られた多層構造になっ
ていてもよい。
【0029】この発明の超電導体は、テープ状、線状、
繊維状、シート状など、いろいろな形態で使用すること
ができる。また、炭素繊維やアルミナ、ジルコニアなど
のセラミックス、または、金や銀などの金属からなる補
強材の上に形成して使用できる。さらに、これらセラミ
ックスまたは金や銀を被覆して使用できる。さらにま
た、銅などをマトリクスとする多芯線構造の超電導線材
として使用できる。また、Si、MgO、LaGa
3 、LaAlO3 、NdGaO3 、NdAlO3 、L
aSrGaO4 、Y2 3 、SrTiO3 、Al
2 3 、イットリウム部分安定化ジルコニアなどの基板
上に薄膜として形成し、いろいろな素子として、また
は、LSIの配線として使用できる。
【0030】この発明の超電導体を基板の上に形成する
際には、あらかじめ、基板の上に超電導体と結晶系が似
ており、かつ、膜として形成した場合の表面平滑性に富
むBi2 Sr2 CuO6 やBi2 Sr2 Ca1 Cu2
8 などの、いわゆるBi系超電導体などを1〜20単位
格子数形成しておくのが好ましい。ただ、この場合、超
電導体を形成するときの基板温度は、Bi系超電導体を
1〜20単位格子数形成していない基板を使用する場合
にくらべて10〜200℃ほど高くなる。超電導体の形
成後に、これらの、いわゆるBi系超電導体などを被覆
することも好ましい。
【0031】基板の表面状態は、そこに超電導体を形成
するときに重要である。具体的には、不純物が付着して
おらず、かつ、エピタキシャル成長ができるように、あ
らかじめ高真空中で表面付着物を焼き飛ばしておくのが
よい。特に、基板としてSrTiO3 単結晶を使用する
場合、約1000℃までの熱処理で表面にTiが多く形
成されるため、超電導体をこの上に形成するときは、ま
ずSrを、次にCuを、その後、目的とする超電導体の
層を形成していくのが好ましい。これらの基板の上に超
電導体を形成するときの基板の加熱方法としては、基板
に直接通電して加熱するのが発熱の均一性、安定性の面
から最もよく、たとえば、SrTiO3にNbをドープ
させるなどして基板に適度な導電性を持たせて通電加熱
するのが好ましい。
【0032】この発明の超電導体は、いろいろな方法に
よって製造することができるが、式(Ca1−α
αβCuOγで表される酸化物の層と、式(Ca
1−δSrδεCuOζで表される酸化物の層とを原
子オーダーで制御することができる積み上げ法を使用し
て製造するのが好ましい。
【0033】この積み上げ法としては、たとえば、レー
ザーアブレーション法、分子線エピタキシー法、電子ビ
ーム蒸着法や、各種のスパッタ法などの物理的蒸着法を
使用することができ、特にレーザーアブレーション法が
好適である。たとえば、レーザーアブレーション法によ
る場合、次のようにする。
【0034】まず、CuOのターゲットを製造する。す
なわち、CuOの粉末をペレットに成形し、その成形体
を800〜1000℃の温度で1〜12時間焼成して焼
結し、ターゲット(ターゲット1)にする。同様に、S
rのターゲット(ターゲット2)とCaのターゲット
(ターゲット3)とを用意する。
【0035】次に、ターゲット1、2、3をチャンバー
の回転式ホルダーに別々にセットするとともに、これら
のターゲットに対向し、かつ、5〜150mm離れた位置
に基板をセットする。チャンバー内のNO2 やオゾン等
の酸化性物質の分圧を1×10-2〜1×10-4Paにした
後、基板を400〜600℃、好ましくは450〜55
0℃に加熱する。そして、ホルダを回転させてターゲッ
ト1、ターゲット2、3に、ArF、KrF、XeCl
を使用したエキシマレーザーを交互に照射し、基板の上
に各ターゲットの構成物質を堆積させていく。このと
き、基板やその周辺にレーザーを照射すると、得られる
薄膜の結晶性を上げたり、酸化ガスによる酸化力を強く
したりすることができる。なお、ターゲット上の照射位
置におけるレーザー1パルス当たりのエネルギー密度
は、アブレーションが起こる大きさ以上であることが必
要だが、1kJ/cm2 以下であるのが好ましい。これより
も大きいと、薄膜の形態が悪くなることがある。照射す
るエキシマレーザーのパルス周波数は、使用するターゲ
ットの種類や、所望するアブレーション励起種の種類に
よっても異るが、高すぎると、基板表面において、アブ
レーションされて飛来してきた原子の再配列が不完全に
なって結晶性の低下を引き起こすことがある。したがっ
て、パルス周波数は1〜80Hzの範囲にするのが好まし
い。
【0036】また、ターゲットと基板との距離が5mm未
満であると、レーザー照射に対して基板が障害物とな
り、ターゲットに対するエキシマレーザーの照射角度を
非常に小さくせざるを得なくなってターゲットのアブレ
ーションが起こりにくくなる。また、150mmを超える
と、堆積速度が著しく遅くなるので実用的であるとはい
えない。
【0037】チャンバー内を酸化性雰囲気にするために
は、NO2 やオゾンのほかに、酸素やN2 Oを使用した
り、酸素雰囲気中に紫外線などを照射してオゾンや活性
酸素を生成させたりしてもよい。
【0038】また、チャンバー内の酸化性雰囲気の分圧
を1×10-4Paよりも低くすると、得られる結晶構造内
にCu2 Oが安定相として生成し、超電導体が得られな
いことがある。また、1×10-2Paよりも高くすると、
形成されている銅複合酸化物中に不純物が混入しやすく
なったり、得られる薄膜のモルホロジーが低下すること
がある。
【0039】さらに、基板温度を400℃よりも低くす
ると、基板上に堆積するターゲット物質の結晶化が起こ
りにくくなり、一方、600℃よりも高くすると、超電
導体が得られなくなることがある。
【0040】各ターゲットをアブレーションする場合、
形成される超電導層やブロッキング層の厚みを、直接、
膜圧計でモニターしたり、標準試料をアブレーションし
たときの時間と厚みとの関係をあらかじめ求めておき、
実際の時間を測定してその値から厚みをモニターし、所
望の厚みになったところでエキシマレーザーの照射対象
を別のターゲットに切り換えたりするようにする。
【0041】また、この方法は、超電導層の1単位格子
が、Sr(Ca)が1原子層厚み、CuOが1原子層厚
みで、また、ブロッキング層の1単位格子が、Sr(C
a)が2原子層厚み、CuOが1原子層の厚みで構成さ
れていることから、これを逆に利用して、それぞれの層
の1単位格子を2〜3原子層厚みづつの積層に分割して
作る。そのため、各原子層厚みの制御に関して、反射高
速電子線回折法(RHEED)を利用し、それによって
得られる画像上で回折格子点の強度をモニターし、その
振動パターンから、原子層厚みを推定し、所望の厚みに
なったときに別のターゲットにエキシマレーザーの照射
を切り換える方法を採用するとよい。ただ、この方法に
よる場合、層の厚みが厚くなると画像上における回折格
子点の強度が弱くなり、実際問題として制御ができなく
なる。そのため、ターゲットのアブレーション開始後、
最初の10単位格子数程度まではRHEEDによる1原
子層形成に要する時間を測定し、それ以後は、その時間
を基本にして各層が所望の単位格子数になるように操作
を続ける。
【0042】また、各層の形成後、1秒〜15分程度の
インターバルを置くと、各層の結晶性がより確かなもの
になるので好ましい。また、インターバルは最初は長く
とり、単位格子数が増してくると短くするといったよう
に、随時または逐次に変化させてもよい。
【0043】このようにして基板上に層を形成し、厚み
が所望の値になったところでレーザーの照射を停止し、
基板を約200〜450℃まで約5〜20℃/分の速度
で冷却する。このとき、チャンバー内の酸化性ガスの分
圧を上げたり、200〜400℃の温度域におけるある
温度で1〜60分保持したりすると、酸素の取り込みを
より完全なものにすることができる。同様に酸素の取り
込みをより完全なものにするために、200〜400℃
の温度で1〜300分、0.1〜1気圧中で酸素アニー
ルしたり、同様の温度条件で、1気圧よりも高く、40
0気圧以下の酸素分圧下で熱間等方圧加圧処理法(HI
P法)を使用して処理するのも好ましいことである。
【0044】以上においては、Cu、Sr、Caのそれ
ぞれについて、各1個づつのターゲットを使用する場合
について説明したが、SrとCaを所望のモル比で混
合、焼成してなる1個のターゲットを使用することもで
きる。たとえば、(SrαCa1−α)の原子層を形成
するとき、Sr:Caが、モル比で、α:1−αである
1個のペレットを使用することができる。
【0045】
【実施例】
実施例1 CuO粉末をペレットに成形し、その成形体を空気中に
て900℃で10時間焼成した後徐冷し、ターゲット1
を得た。一方、Srのペレットを用意し、ターゲット2
とした。
【0046】次に、これらのターゲットをチャンバーの
回転式ホルダーに別々にセットするとともに、これらの
ターゲットに対向し、かつ、それぞれのターゲットから
75mm離れた位置に、表面が(100)面であるSrT
iO3 基板を置き、チャンバー内の酸化性雰囲気(NO
2 )の分圧を1×10-4Paに調整し、基板を550℃に
加熱し、約30分保持した。その後、基板を480℃ま
で冷却してその温度に保持し、チャンバー内の酸化性雰
囲気の分圧を5×10-4Paに調整した。
【0047】次に、基板表面のRHEED像を観察し、
表面の結晶性、平滑性が十分であることを確認するとと
もに、回折点の強度をモニターした。以下、形成操作中
このモニターを続け、1原子層づつ形成できていること
を確認した。なお、この確認は、以下の実施例において
も同様に行う。
【0048】レーザーとしては、波長193nmのArF
エキシマレーザーを使用した。レーザーパルスのエネル
ギー密度は、カロリーメーターによって測定したとこ
ろ、約300mJ/cm2 であった。なお、以下の実施例に
おいても同様である。
【0049】まず、ターゲット2に3Hzのレーザーを照
射し、RHEEDの回折点強度が確実に1回振動するの
に要する時間を測定した。35秒であった。次に、ホル
ダーを回転させ、ターゲット1に3Hzのレーザーを照射
し、同様にRHEEDの回折点強度が確実に1回振動す
るのに要する時間を測定した。40秒であった。このよ
うにして、各Sr、CuOの1原子層厚みを形成するの
に要する時間を決定した。Caの同厚みを得るのに要す
る時間は、CaはSrと同程度のアブレーション堆積速
度をもつため、Srの時間を採用した。なお、この測定
は、以下の実施例においても同様に行う。
【0050】次に、表1に示す条件のステップ1〜4を
この順序で行う操作aを3回繰り返して膜を形成した。
【0051】
【表1】 また、この操作aによる膜を別に形成し、プラズマ発光
分光分析法(ICP法)によってその組成を調べたとこ
ろ、ほぼSr1.0 Cu1.0 2.0 であった。このことか
ら、操作aによって、この組成の膜が3単位格子数形成
されているとの推定ができる。これが繰り返し単位にな
る。
【0052】次に、上記膜の上に、表2に示す条件のス
テップ5〜8をこの順序で行う操作bを2回繰り返し
た。
【0053】
【表2】 この操作で、組成がSr2.0 Cu1.0 3.0 である酸化
物の層が2単位格子数形成されているとの推定ができ
る。これがブロッキング層になる。
【0054】次に、上記層の上に、下記1〜3の操作を
順に行い、かかる操作を20回繰り返した。
【0055】1.操作aのステップ1 1回 2.操作a 3回 3.操作b 2回 かくして得られた膜の厚みは、約50nmであった。この
膜の帯磁率をSQUIDによって測定したところ、83
Kから超電導になったことを示す反磁性シグナルが現れ
始め、Tcは83Kであることを確認できた。また、こ
の膜の断面を高分解能透過型電子顕微鏡で観察したとこ
ろ、結晶構造は、図1のように、規則正しく積み上げら
れていた。なお、帯磁率による測定は、以下の実施例に
おいても同様である。
【0056】実施例2 実施例1と同様にCuOターゲット1、Srのターゲッ
ト2を用意し、さらにCaターゲット3を用意した。
【0057】次に、実施例1と同様にこれらのターゲッ
トをチャンバ内にセットし、SrTiO3 基板を置き、
チャンバー内の酸化性雰囲気(NO2 )の分圧を1×1
-5Paに調整し、基板を600℃に加熱し、約30分保
持した。その後、基板を480℃まて冷却してその温度
に保持し、チャンバー内の酸化性雰囲気の分圧を1×1
-3Paに調整した。
【0058】次に、表3に示す条件のステップ1〜4を
この順序で行う操作cを4回繰り返して膜を形成した。
【0059】
【表3】 また、この操作cからなる膜を別に形成し、ICP法に
よってその組成を調べたところ、ほぼSr1.0 Cu1.0
2.0 であった。このことから、操作cによって、上記
組成の膜が4単位格子数形成されているとの推定ができ
る。これが繰り返し単位である。
【0060】次に、上記薄膜の上に、表4に示す条件の
ステップ5〜8をこの順序で行う操作dを3回繰り返し
た。
【0061】
【表4】 この操作で、組成がCa2.0 Cu1.0 3.0 であるブロ
ッキング層が2単位格子数形成されているとの推定がで
きる。
【0062】次に、上記層の上に、下記1〜12の操作
を順に行った。
【0063】1.操作cのステップ1 1回 2.操作c 4回 3.操作d 3回 4.1〜3の操作を5回繰り返す 5.操作cのステップ1 1回 6.操作c 5回 7.操作d 2回 8.5〜7の操作を5回繰り返す 9.操作cのステップ1 1回 10.操作c 2回 11.操作d 4回 12.9〜11の操作を5回繰り返す かくして得られた膜の厚みは、約80nmであった。この
膜は、91Kから超電導になったことに対応する反磁性
シグナルが現れ始め、Tcは91Kであることが確認で
きた。
【0064】実施例3 実施例2と同様に銅酸化物ターゲット1、Srターゲッ
ト2、Caターゲット3を用意した。
【0065】次に、実施例1と同様にこれらのターゲッ
トをチャンバー内にセットし、SrTiO3 基板を置
き、チャンバー内の酸化性雰囲気(NO2 )の分圧を5
×10-4Paに調整し、基板を650℃に加熱し、約30
分保持した。その後、基板を480℃まで冷却してその
温度に保持し、チャンバー内の酸化性雰囲気の分圧を5
×10-3Paに調整した。
【0066】次に、表5に示す条件のステップ1〜4を
この順序で行う操作eを5回繰り返した後、10分間の
インターバルをとった。
【0067】
【表5】 また、この操作eからなる膜を別に形成し、ICP法に
よって組成を調べたところ、ほぼSr1.0 Cu1.0
2.0 であった。このことから、操作eによって上記組成
の膜が5単位格子数形成されているとの推定ができる。
【0068】次に、上記膜の上に、表6に示す条件のス
テップ5〜11をこの順序で行う操作fを2回繰り返し
た。
【0069】
【表6】 この操作で、組成が(Sr0.7 Ca0.3 2.0 Cu1.0
3.0 である酸化物が2単位格子数形成されているとの
推定ができる。
【0070】次に、上記層の上に、下記1〜3の操作を
順に行い、かかる操作を20回繰り返した。
【0071】1.操作eのステップ1 1回 2.操作e 5回 3.操作f 2回 かくして得られた膜の厚みは、約44nmであった。この
膜は、87Kから超電導になったことに対応する反磁性
シグナルが現れ始め、Tcが87Kであることが確認で
きた。
【0072】実施例4 実施例2と同様にCuOターゲット1、Srターゲット
2、Caターゲット3を用意した。
【0073】次に、実施例1と同様にこれらのターゲッ
トをチャンバー内にセットし、SrTiO3 基板を置
き、チャンバー内の酸化性雰囲気(NO2 )の分圧を1
×10-4Paに調整し、基板を550℃に加熱し、約30
分保持した。その後、基板を480℃まで冷却してその
温度に保持し、真空チャンバー内の酸化性雰囲気の分圧
を5×10-4Paに調整した。
【0074】次に、表7に示す条件のステップ1〜4を
この順序で行う操作gを6回繰り返した。
【0075】
【表7】 また、この操作gからなる膜を別に形成し、ICP法に
よってその組成を調べたところ、ほぼCa1.0 Cu1.0
2.0 であった。このことから、操作gによって、上記
組成の膜が6単位格子数形成されているとの推定ができ
る。これが繰り返し単位である。
【0076】次に、上記膜の上に、表8に示す条件のス
テップ5〜8をこの順序で行う操作hを3回繰り返し
た。
【0077】
【表8】 この操作で、組成がSr2.0 Cu1.0 3.0 である酸化
物が3単位格子数形成されているとの推定ができる。こ
れがブロッキング層である。
【0078】次に、上記層の上に、下記1〜3の操作を
順に行い、かかる操作を20回繰り返した。
【0079】1.操作gのステップ1 1回 2.操作g 6回 3.操作h 3回 かくして得られた膜の厚みは、約75nmであった。この
膜は、22Kから超電導になったことに対応する反磁性
シグナルが現れ始め、Tcは22Kであることが確認で
きた。
【0080】実施例5 CuOターゲット1、Caターゲット3を用意した。
【0081】次に、実施例1と同様にこれらのターゲッ
トをチャンバー内にセットし、SrTiO3 基板を置
き、チャンバー内の酸化性雰囲気(NO2 )の分圧を3
×10-4Paに調整し、基板を530℃に加熱し、約30
分保持した。その後、基板を450℃まで冷却してその
温度に保持し、真空チャンバー内の酸化性雰囲気の分圧
を5×10-4Paに調整した。
【0082】次に、表9に示す条件のステップ1〜4を
この順序で行う操作iを3回繰り返した。
【0083】
【表9】 また、この操作iからなる膜を別に形成し、ICP法に
よってその組成を調べたところ、ほぼCa1.0 Cu1.0
2.0 であった。このことから、操作iによって、上記
組成の膜が3単位格子数形成されているとの推定ができ
る。これが繰り返し単位である。
【0084】次に、上記膜の上に、表10に示す条件の
ステップ5〜8をこの順序で行う操作jを2回繰り返し
た。
【0085】
【表10】 この操作で、組成がCa2.0 Cu1.0 3.0 である酸化
物が2単位格子数形成されているとの推定ができる。こ
れがブロッキング層である。
【0086】次に、上記層の上に、下記1〜3の操作を
順に行い、かかる操作を20回繰り返した。
【0087】1.操作iのステップ1 1回 2.操作i 3回 3.操作j 2回 かくして得られた膜の厚みは、約44nmであった。この
膜は、31Kから超電導になったことに対応する反磁性
シグナルが現れ始め、Tcは31Kであることが確認で
きた。
【0088】実施例6 実施例2と同様にCuOターゲット1、Srターゲット
2、Caターゲット3を用意した。
【0089】次に、実施例1と同様にこれらのターゲッ
トをチャンバー内にセットし、SrTiO3 基板を置
き、チャンバー内の酸化性雰囲気(NO2 )の分圧を1
×10-4Paに調整し、基板を540℃に加熱し、約30
分保持した。その後、基板を450℃まで冷却してその
温度に保持し、真空チャンバー内の酸化性雰囲気の分圧
を5×10-4Paに調整した。
【0090】次に、表11に示す条件のステップ1〜4
をこの順序で行う操作pを5回繰り返した。
【0091】
【表11】 また、この操作pからなる膜を別に形成し、ICP法に
よってその組成を調べたところ、ほぼCa1.0 Cu1.0
2.0 であった。このことから、操作pによって、上記
組成の膜が5単位格子数形成されているとの推定ができ
る。これが繰り返し単位である。
【0092】次に、上記膜の上に、表12に示す条件の
ステップ5〜11をこの順序で行う操作qを3回反復し
た。
【0093】
【表12】 この操作で、組成が(Sr0.8 Ca0.2 2.0 Cu1.0
3.0 である酸化物が3単位格子数形成されているとの
推定ができる。これがブロッキング層である。次に、上
記層の上に、下記1〜3の操作を順に行い、かかる操作
を20回繰り返した。
【0094】1.操作pのステップ1 1回 2.操作p 5回 3.操作q 3回 かくして得られた膜の厚みは、約69nmであった。この
膜は、13Kから超電導になったことに対応する反磁性
シグナルが現れ始め、Tcは13Kであることが確認で
きた。
【0095】実施例7 実施例2と同様にCuOターゲット1、Srターゲット
2、Caターゲット3を用意した。
【0096】次に、実施例1と同様にこれらのターゲッ
トをチャンバー内にセットし、SrTiO3 基板を置
き、チャンバー内の酸化性雰囲気(NO2 )の分圧を5
×10-4Paに調整し、基板を560℃に加熱し、約30
分保持した。その後、基板を480℃まで冷却してその
温度に保持し、真空チャンバー内の酸化性雰囲気の分圧
を5×10-4Paに調整した。
【0097】次に、表13に示す条件のステップ1〜5
をこの順序で行う操作rを4回繰り返した。
【0098】
【表13】 また、この操作rからなる膜を別に形成し、ICP法に
よってその組成を調べたところ、ほぼ(Sr0.8 Ca
0.2 1.0 Cu1.0 2.0 であった。このことから、操
作rによって、上記組成の膜が4単位格子数形成されて
いるとの推定ができる。これが繰り返し単位である。
【0099】次に、上記膜の上に、表14に示す条件の
ステップ6〜9をこの順序で行う操作sを2回繰り返し
た。
【0100】
【表14】 この操作で、組成がSr2.0 Cu1.0 3.0 である酸化
物が2単位格子数形成されているとの推定ができる。こ
れがブロッキング層である。
【0101】次に、上記層の上に、下記1〜4の操作を
順に行い、かかる操作を20回繰り返した。
【0102】1.操作rのステップ1 1回 2.操作rのステップ2 1回 3.操作r 4回 4.操作s 2回 かくして得られた膜の厚みは、約50nmであった。この
膜は、124Kから超電導になったことに対応する反磁
性シグナルが現れ始め、Tcは124Kであることが確
認できた。
【0103】実施例8 実施例2と同様にCuOターゲット1、Srターゲット
2、Caターゲット3を用意した。
【0104】次に、実施例1と同様にこれらのターゲッ
トをチャンバー内にセットし、SrTiO3 基板を置
き、チャンバー内の酸化性雰囲気(NO2 )の分圧を1
×10-4Paに調整し、基板を550℃に加熱し、約30
分保持した。その後、基板を480℃まで冷却してその
温度に保持し、真空チャンバー内の酸化性雰囲気の分圧
を5×10-4Paに調整した。
【0105】次に、表15に示す条件のステップ1〜5
をこの順序で行う操作tを3回繰り返した。
【0106】
【表15】 また、この操作tからなる膜を別に形成し、ICP法に
よってその組成を調べたところ、ほぼ(Sr0.5 Ca
0.5 1.0 Cu1.0 2.0 であった。このことから、操
作tによって、上記組成の膜が3単位格子数形成されて
いるとの推定ができる。これが繰り返し単位である。
【0107】次に、上記膜の上に、表16に示す条件の
ステップ6〜9をこの順序で行う操作uを2回繰り返し
た。
【0108】
【表16】 この操作で、組成がCa2.0 Cu1.0 3.0 である酸化
物が2単位格子数形成されているとの推定ができる。こ
れがブロッキング層である。
【0109】次に、上記層の上に、下記1〜4の操作を
順に行い、かかる操作を25回繰り返した。
【0110】1.操作tのステップ1 1回 2.操作tのステップ2 1回 3.操作t 3回 4.操作u 2回 かくして得られた膜の厚みは、約55nmであった。この
膜は、102Kから超電導になったことに対応する反磁
性シグナルが現れ始め、Tcは102Kであることが確
認できた。
【0111】実施例9 実施例2と同様にCuOターゲット1、Srターゲット
2、Caターゲット3を用意した。
【0112】次に、実施例1と同様にこれらのターゲッ
トをチャンバー内にセットし、SrTiO3 基板を置
き、チャンバー内の酸化性雰囲気(NO2 )の分圧を6
×10-4Paに調整し、基板を560℃に加熱し、約30
分保持した。その後、基板を420℃まで冷却してその
温度に保持し、真空チャンバー内の酸化性雰囲気の分圧
を6×10-4Paに調整した。
【0113】次に、表17に示す条件のステップ1〜5
をこの順序で行う操作vを3回繰り返した。
【0114】
【表17】 また、この操作vからなる膜を別に形成し、ICP法に
よってその組成を調べたところ、ほぼ(Sr0.7 Ca
0.3 1.0 Cu1.0 2.0 であった。このことから、操
作vによって、上記組成の膜が3単位格子数形成されて
いるとの推定ができる。これが繰り返し単位である。
【0115】次に、上記膜の上に、表18に示す条件の
ステップ6〜12をこの順序で行う操作wを2回繰り返
した。
【0116】
【表18】 この操作で、組成が(Sr0.6 Ca0.4 2.0 Cu1.0
3.0 である酸化物が2単位格子数形成されているとの
推定ができる。これがブロッキング層である。次に、上
記層の上に、下記1〜4の操作を順に行い、かかる操作
を30回繰り返した。
【0117】1.操作vのステップ1 1回 2.操作vのステップ2 1回 3.操作v 3回 4.操作w 2回 かくして得られた膜の厚みは、約66nmであった。図2
にその帯磁率測定の結果を示す。135Kから超電導に
なったことに対応する反磁性シグナルが現れ始め、Tc
は135Kであることが確認できる。
【0118】
【発明の効果】この発明は、結晶構造において、超電導
層からなる繰り返し単位の間にブロッキング層が介在し
ている超電導体を、原子単位の制御が可能な、レーザー
アブレーション法などによる、いわゆる積み上げ法によ
って製造するものであり、実施例にも示したように、キ
ャリア濃度を適正化することができてTcの高い超電導
体が得られる。また、いわゆる積み上げ法を採用するの
で、目的とする超電導体を設計基準に基いて製造するこ
とができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1に係る超電導体の結晶構造
を示す概念図である。
【図2】この発明の実施例9に係る超電導体の帯磁率の
測定結果を示すグラフである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式(Ca1−αSrαβCuOγ(ただ
    し、α、β、γは0≦α≦1.0、0.8≦β≦1.
    1、1.6≦γ≦2.2)で表される酸化物の層と、式
    (Ca1−δSrδεCuOζ(ただし、δ、ε、ζ
    は0≦δ≦1.0、1.8≦ε≦2.2、2.6≦ζ≦
    3.3)で表される酸化物の層とが層状をなしている超
    電導体。
  2. 【請求項2】基材と、その基材上に形成された、請求項
    1の超電導体の薄膜とからなる超電導体。
  3. 【請求項3】式(Ca1−αSrαβCuOγ(ただ
    し、α、β、γは0≦α≦1.0、0.8≦β≦1.
    1、1.6≦γ≦2.2)で表される少なくとも1個の
    酸化物の層を形成し、次いで、その酸化物の層の上に、
    式(Ca1−δSrδεCuOζ(ただし、δ、ε、
    ζは0≦δ≦1.0、1.8≦ε≦2.2、2.6≦ζ
    ≦3.3)で表される少なくとも1個の酸化物の層を形
    成する、超電導体の製造方法。
  4. 【請求項4】式(Ca1−αSrαβCuOγ(ただ
    し、α、β、γは0≦α≦1.0、0.8≦β≦1.
    1、1.6≦γ≦2.2)で表される酸化物の層を繰り
    返し単位とし、この繰り返し単位の間に、式(Ca
    1−δSrδεCuOζ(ただし、δ、ε、ζは0≦
    δ≦1.0、1.8≦ε≦2.2、2.6≦ζ≦3.
    3)で表される少なくとも1個の酸化物の層を介在させ
    てなる超電導体。
  5. 【請求項5】基材と、その基材上に形成された、請求項
    4の超電導体の薄膜とからなる超電導体。
  6. 【請求項6】式(Ca1−αSrαβCuOγ(ただ
    し、α、β、γは0≦α≦1.0、0.8≦β≦1.
    1、1.6≦γ≦2.2)で表される少なくとも1個の
    酸化物の層を形成し、その酸化物の層の上に、式(Ca
    1−δSrδεCuOζ(ただし、δ、ε、ζは0≦
    δ≦1.0、1.8≦ε≦2.2、2.6≦ζ≦3.
    3)で表される少なくとも1個の酸化物の層を形成する
    操作を反復する、超電導体の製造方法。
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