JPH0720420U - 固体潤滑ベアリング - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 固体潤滑材の凝着を防止し、内輪のスムーズ
な回転が得られる固体潤滑ベアリングを提供する。 【構成】 表面に固体潤滑材がコーィテングされた２つ
のアンギュラベアリング６，７間にカラー８及びスペー
サリング９を配設する。カラー８は両ベアリング６，７
の外輪６ａ，７ａどうしを連結し、スペーサリング９は
内輪６ｂ，７ｂに対し微小隙間を隔てて対向するように
形成する。またスペーサリング９は回転体１の外周面に
嵌合しかつ回転体１の軸方向にスライドできるように設
ける。これにより、回転体１の外周面に形成された段部
１ａとの衝突によるスラスト方向の負荷が加わったとき
には、内輪６ｂ，７ｂ間にスペーサリング９を挟んだ状
態でスラスト方向の負荷を受けるように構成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は磁気軸受式ターボ分子ポンプにおける回転体の保護ドライベアリン グ等として用いられる固体潤滑ベアリングに関し、特に固体潤滑材の凝着を防止 し、内輪のスムーズな回転が得られるようにしたものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来より、この種の磁気軸受式ターボ分子ポンプは図３に示すような回転体１ を磁気軸受（図示省略）で支持し、また回転体１の近傍には保護ドライベアリン グとして固体潤滑ベアリング２が配設されている。そして、固体潤滑ベアリング ２は停電時あるいは共振点通過時等のように磁気軸受による回転体１を定位置に 支持する制御が不安定となり、回転体１が振れ回ったり図中矢印の方向に落下す る際、回転体１の外周面に形成された段部１ａとの衝突（タッチダウン）による スラスト方向の負荷を受け、回転体１を保護するように構成されている。

【０００３】 固体潤滑ベアリング２は２つのアンギュラベアリング３，４から形成され、両 アンギュラベアリング３，４は外輪３ａ，４ａどうしが連結して一体に組み合わ せられ、かつ内輪３ｂ，４ｂは互いに対向しつつ独立して回転する、いわゆる正 面組合せ型の転がり軸受として構成されており、またこのような両アンギュラベ アリング３，４の表面には固体潤滑材がコーィテングされている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記のような従来の固体潤滑ベアリング２にあっては、内輪３ ｂ，４ｂどうしが互いに接触するのを防止する手段は何等設けられてなく、内輪 ３ｂ，４ｂは互いに対向しつつ独立して回転するように構成されているのみであ るため、回転体１の外周面に形成された段部１ａの衝突（タッチダウン）による スラスト方向の負荷が加わったとき、内輪３ｂ，４ｂどうしの摺接による固体潤 滑材の凝着が生じ、これらの内輪３ｂ，４ｂが多くの場合それぞれの回転中心が ずれた位置で一体に凝着固定され、内輪３ｂ，４ｂのスムーズな回転が妨げられ るので、大きな負荷が回転体１に加わり、回転体１の破壊を招く等の問題点があ る。

【０００５】 この考案は上述の事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは固体 潤滑材の凝着を防止し、内輪のスムーズな回転が得られる固体潤滑ベアリングを 提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、この考案は、外輪どうしが連結して一体に組み合 わせられかつ固体潤滑材がコーィテングされた複数の転がり軸受から形成される 固体潤滑ベアリングにおいて、上記複数の転がり軸受間に凝着防止手段を設けた ことを特徴とする。

【０００７】

【作用】

この考案によれば、回転体の衝突によるスラスト方向の負荷が加わったときに は、各転がり軸受の内輪間に凝着防止手段を挟んだ状態でスラスト方向の負荷を 受ける。

【０００８】

【実施例】

以下、この考案に係る固体潤滑ベアリングの実施例について図１及び図２に基 づき詳細に説明する。

【０００９】 図１に示す固体潤滑ベアリング５は転がり軸受として２つのアンギュラベアリ ング６，７を有し、両アンギュラベアリング６，７間には凝着防止手段としてカ ラー８及びスペーサリング９が配設されている。

【００１０】 カラー８は両アンギュラベアリング６，７の外輪６ａ，７ａ間に位置し、かつ 外輪６ａ，７ａどうしを連結するように構成されており、また両アンギュラベア リング６，７の内輪６ｂ，７ｂはカラー８分の隙間を隔てて互いに離隔されてい る。

【００１１】 スペーサリング９は両アンギュラベアリング６，７の内輪６ｂ，７ｂ間に位置 し、かつ内輪６ｂ，７ｂに対し微小隙間を隔てて対向するように形成されており 、また、このようなスペーサリング９は回転体１の外周面に嵌合し、かつ回転体 １の軸方向にスライドできるように設けられている。

【００１２】 つまり、上記のような両アンギュラベアリング６，７は、外輪６ａ，７ａどう しがカラー８を介し連結して一体に組み合わせられ、かつ内輪６ｂ，７ｂはスペ ーサリング９に対し微小隙間を隔てて対向しつつ独立して回転する、いわゆる正 面組合せ型の転がり軸受として構成されており、またこのような両アンギュラベ アリング６，７の表面には固体潤滑材がコーィテングされている。

【００１３】 なお、両アンギュラベアリング６，７の外輪６ａ，７ａはケース本体１０に固 定されている。

【００１４】 上記のように構成された固体潤滑ベアリングの作用について図１を基に説明す る。

【００１５】 この固体潤滑ベアリング５によれば、停電時あるいは共振点通過時等のように 磁気軸受による回転体１を定位置に支持する制御が不安定となり、回転体１が振 れ回ったり図中矢印の方向に落下したときには、回転体１の外周面に形成された 段部１ａが一方のアンギュラベアリング６の内輪６ｂに衝突（タッチダウン）す る。

【００１６】 このような衝突によるスラスト方向の負荷が一方のアンギュラベアリング６の 内輪６ｂに加わると、その内輪６ｂはスペーサリング９側にずれて接触しかつス ペーサリング９を押圧する。これにより、スペーサリング９は回転体１の軸方向 にスライドして他方のアンギュラベアリング７の内輪７ｂに接触しかつアンギュ ラベアリング７の内輪７ｂを押圧する。

【００１７】 このように、上記のような衝突によるスラスト方向の負荷が加わったときには 両アンギュラベアリング６，７の内輪６ｂ，７ｂ間にスペーサリング９を挟んだ 状態でスラスト方向の負荷を受ける。

【００１８】 したがって、上記実施例の固体潤滑ベアリングにあっては、回転体の外周面に 形成された段部の衝突によるスラスト方向の負荷が加わったとき、両アンギュラ ベアリングの内輪間にスペーサリングを挟んだ状態でスラスト方向の負荷を受け るので、内輪どうしが直接摺接せず、内輪どうしの摺接による固体潤滑材の凝着 を防止することができ、内輪のスムーズな回転が得られると共に、回転体に加わ る負荷が小さくなり、回転体の破壊を予防することができる。

【００１９】 なお、上記実施例では２つのアンギュラベアリング６，７間にカラー８及びス ペーサリング９を配設したが、図２に示すように、この２つのアンギュラベアリ ング６，７についてはその上下を逆に配置し、またカラー８はそのまま残しスペ ーサリング９だけを省略してもよく、このように構成した場合にあっても、上記 と同様に回転体１の外周面に形成された段部１ａの衝突（タッチダウン）による スラスト方向の負荷が加わったときには、両アンギュラベアリング６，７の内輪 どうしが接触せず、内輪どうしの摺接による固体潤滑材の凝着を防止することが でき、内輪のスムーズな回転が得られる。また、このように構成した場合にはア ンギュラベアリング６，７の玉抜けを防止する金具を設置するのが好ましい。

【００２０】

【考案の効果】

この考案に係る固体潤滑ベアリングにあっては、上記の如く複数の転がり軸受 間に凝着防止手段を設けたため、回転体の衝突によるスラスト方向の負荷が加わ ったとき、各転がり軸受の内輪間に凝着防止手段を挟んだ状態でスラスト方向の 負荷を受けるので、内輪どうしが直接摺接せず、内輪どうしの摺接による固体潤 滑材の凝着を防止することができ、内輪のスムーズな回転が得られると共に、回 転体に加わる負荷が小さくなり、回転体の疲労を予防することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案に係る固体潤滑ベアリングの一実施例
を示す断面図。

【図２】この考案に係る固体潤滑ベアリングの他の実施
例を示す断面図。

【図３】従来の固体潤滑ベアリングの断面図。

【符号の説明】

６，７ アンギュラベアリング ８ カラー ９ スペーサリング

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 外輪どうしが連結して一体に組み合わせ
   られかつ表面に固体潤滑材がコーィテングされた複数の
   転がり軸受から形成される固体潤滑ベアリングにおい
   て、 上記複数の転がり軸受間に凝着防止手段を設けたことを
   特徴とする固体潤滑ベアリング。