JPH0720379Y2 - 内燃機関用点火装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、コンデンサ放電式の内燃機関用点火装置に関
するものである。

［従来の技術］ 周知のように、コンデンサ放電式の内燃機関用点火装置
は、点火コイルの１次側に設けられてエキサイタコイル
により充電される点火エネルギー蓄積用コンデンサの電
荷を放電制御用スイッチを通して点火コイルの１次コイ
ルに放電させることにより、該点火コイルの２次側に点
火用の高電圧を得るようにしたものである。

この種の点火装置として、エキサイタコイルが正の半サ
イクルの出力を発生している期間に該エキサイタコイル
に対して並列に接続された昇圧用スイッチを導通状態か
ら遮断状態にすることにより該エキサイタコイルに誘起
させた高い電圧で点火エネルギー蓄積用コンデンサを充
電するようにしたものがある。

特開昭59-113260号の発明では、点火コイルの１次側に
放電制御用スイッチと昇圧用スイッチとを兼ねるトラン
ジスタを設け、エキサイタコイルの出力の正の半サイク
ルの期間に該トランジスタを導通させた後遮断させるこ
とによりエキサイタコイルに高い電圧を誘起させ、該電
圧により点火エネルギー蓄積用コンデンサを充電する。
そしてエキサイタコイルの負の半サイクルの期間に該ト
ランジスタを導通させてコンデンサを点火コイルの１次
コイルに放電させ、これにより点火コイルの２次コイル
に高電圧を誘起させて点火プラグに火花を生じさせる。

［考案が解決しようとする課題］ 従来の点火装置では、エキサイタコイルの出力の正の半
サイクルの機関にトランジスタを導通させた後エキサイ
タコイルの両端の電圧が設定レベルに達したときにトラ
ンジスタを遮断状態にして該エキサイタコイルの両端に
コンデンサ充電用の電圧を誘起させるようにしていた
が、この様に構成した場合には、機関の低速時にエキサ
イタコイルに誘起するコンデンサ充電用の電圧が不足す
る傾向になるため低速時に十分な点火性能を得ることが
難しく、始動回転数（点火動作が開始される回転数。）
が高くなるという問題があった。

本考案の目的は、低速時の点火性能の向上を図ったコン
デンサ放電式の内燃機関用点火装置を提供することにあ
る。

［課題を解決するための手段］ 本考案の点火装置は、点火コイルと、内燃機関に取り付
けられた磁石発電機内に設けられたエキサイタコイル
と、点火コイルの１次側に設けられた点火エネルギー蓄
積用コンデンサと、エキサイタコイルに対して並列に接
続されると共に導通した際に点火エネルギー蓄積用コン
デンサの電荷を点火コイルの１次コイルに放電させるよ
うに点火エネルギー蓄積用コンデンサ及び１次コイルに
接続された半導体スイッチと、エキサイタコイルの正の
半サイクルの出力で半導体スイッチのトリガ信号入力端
子にトリガ信号を与えるトリガ信号供給回路と、導通し
た際に半導体スイッチに供給されるトリガ信号を該半導
体スイッチから側路するように設けられ、エキサイタコ
イルの正の半サイクルの出力で導通信号が与えられて導
通するようにエキサイタコイルに接続されたトリガ信号
側路用イッチング素子と、導通した際にトリガ信号側路
用スイッチング素子から導通信号を側路するように設け
られ、ベースがピーク検出用コンデンサを介してエキサ
イタコイルの一端に接続されてエキサイタコイルの正の
半サイクルの出力でピーク検出用コンデンサを通してベ
ース電流が与えられて導通するトランジスタスイッチ
と、ピーク検出用コンデンサの充電完了によりトランジ
スタスイッチが遮断する位置より位相が遅れた位置で半
導体スイッチのトリガ信号入力端子にトリガ信号を与え
る点火位置決定用トリガ回路とにより構成される。

［作用］ エキサイタコイルが正の半サイクルの出力を発生する
と、ピーク検出用コンデンサを通してトランジスタスイ
ッチにベース電流が供給されるため、該トランジタスイ
ッチが導通し、トリガ信号側路用スイッチング素子への
導通信号の供給を阻止する。そのためトリガ信号側路用
スイッチング素子は導通せず、半導体スイッチにトリガ
信号が与えられる。従って該半導体スイッチが導通し、
エキサイタコイルから半導体スイッチを通して電流が流
れる。エキサイタコイルを流れる電流がピークに達し、
エキサイタコイルの両端の電圧がピークに達すると、ト
ランジスタスイッチへのベース電流の供給が停止される
ため、該トランジスタスイッチが導通状態から遮断状態
になり、トリガ信号側路用スイッチング素子に導通信号
が与えられる。これによりトリガ信号側路用スイッチン
グ素子が導通して半導体スイッチへのトリガ信号の供給
を阻止するため、該半導体スイッチが遮断状態になり、
エキサイタコイルを流れていた電流を遮断する。この電
流の遮断によりエキサイタコイルに高い電圧が誘起し、
該電圧により点火エネルギー蓄積用コンデンサが充電さ
れる。

点火エネルギー蓄積用コンデンサが充電された後、点火
位置決定用トリガ回路から半導体スイッチにトリガ信号
が与えられる。これにより半導体スイッチが導通し、点
火エネルギー蓄積用コンデンサの電荷が半導体スイッチ
と点火コイルの１次コイルとを通して放電する。この放
電により点火コイルの２次コイルに高電圧が発生し、点
火動作が行われる。

上記のように、本考案の点火装置においては、エキサイ
タコイルを流れる電流がピークに達して、該エキサイタ
コイルの両端の電圧がピークに達したときに半導体スイ
ッチを遮断させてエキサイタコイルに点火エネルギー蓄
積用コンデンサを充電させるための電圧を誘起させるた
め、機関の低速時にエキサイタコイルに誘起するコンデ
ンサ充電用の電圧を十分高くすることができ、低速時の
点火性能を向上させることができる。

［実施例］ 以下添付図面を参照して本考案の実施例を説明する。

第１図は本考案の実施例を示したもので、同図において
１は１次コイル1a及び２次コイル1bを有する点火コイ
ル、２は機関の気筒に取り付けられ、点火コイルの２次
コイルに接続された点火プラグである。３は一端が１次
コイル1aの一端に接続された点火エネルギー蓄積用コン
デンサ、４はコンデンサ３の一端にカソードが接続され
たダイオード、５は機関に取り付けられた磁石発電機内
に設けられてその一端がダイオード４のアノードに接続
され、他端が点火コイルの２次コイル1bの一端に接続さ
れたエキサイタコイルである。

６はエキサイタコイルに対して並列に接続されると共に
導通した際に点火エネルギー蓄積用コンデンサの電荷を
点火コイルの１次コイル1aに放電させるように設けられ
た半導体スイッチである。本実施例ではこの半導体スイ
ッチが電界効果トランジスタからなり、該電界効果トラ
ンジスタのドレイン及びソースがそれぞれコンデンサ３
の他端及び１次コイル1aの他端に接続されている。電界
効果トランジスタ６のゲート（トリガ信号入力端子）に
は、ダイオード７のカソードが接続され、ダイオード７
のアノードとエキサイタコイル５の一端との間に抵抗８
が接続されている。また電界効果トランジスタ６のソー
スと２次コイル1bの他端との間にダイオード９が接続さ
れ、エキサイタコイル５→抵抗８→ダイオード７→電界
効果トランジスタ６のゲートソース間→タイオード９→
エキサイタコイル５の回路により、エキサイタコイルの
正の半サイクルの出力で半導体スイッチにトリガ信号を
与えるトリガ信号供給回路が構成されている。

10はダイオード７のアノードと１次コイル1bの一端との
間に、アノードをダイオード７側に向けて接続されたサ
イリスタである。サイリスタ10はトリガ信号側路用スイ
ッチング素子を構成するもので、サイリスタ10が導通し
ている間は電界効果トランジスタ６に供給されようとす
るトリガ信号が該トランジスタ６から側路されるように
なっている。

11はサイリスタ10のゲートにカソードが接続されたダイ
オード、12はコレクタがダイオード11のアノードに接続
され、エミッタがエキサイタコイ５の他端に接続された
NPNトランジスタからなるトランジスタスイッチであ
る。トランジスタ12のエミッタは２次コイル1bの他端に
接続され、ベースはピーク検出用コンデンサ13の一端に
接続されている。コンデンサ13の他端は抵抗14を通して
エキサイタコイル５の一端に接続され、トランジスタ12
のベースとエキサイタコイル５の他端との間に抵抗15が
接続されている。トランジスタ12のコレクタは抵抗16を
通してエキサイタコイル５の一端に接続され、該エキサ
イタコイル５の一端と点火コイルの１次コイルの他端と
の間に、カソードをエキサイタコイル側に向けたダイオ
ード17が接続されている。またエキサイタコイルの他端
にツェナーダイオード18のカソードが接続され、ツェナ
ーダイオード18のアノードはダイオード19を通して電界
効果トランジスタ６のゲートに接続されている。ツェナ
ーダイオード18のカソードと電界効果トランジスタ６の
ソースとの間に抵抗20が接続されている。

エキサイタコイル５→ツェナーダイオード18→ダイオー
ド19→電界効果トランジスタ６のゲートソース間→ダイ
オード17→エキサイタコイル５の回路により点火位置決
定用トリガ回路が構成されている。

次に第２図の波形図を参照して第１図の実施例の動作を
説明する。機関が回転すると、エキサイタコイル５が第
２図に示すような交流電圧VEを出力する。このエキサイ
タコイルの正の半サイクルの電圧（第１図に示した矢印
方向の電圧VE）が立ち上がると抵抗14とピーク検出用コ
ンデンサ13とを通してトランジスタ12にベース電流が供
給される。このとき抵抗16とダイオード11とを通してサ
イリスタ10のゲートにもエキサイタコイルの出力が印加
される。しかしコンデンサ13はエキサイタコイルの負の
半サイクルの出力（図示の矢印と反対方向の電圧）で抵
抗15を通して図示の極性と逆の極性に充電されているた
め、エキサイタコイルの正の半サイクルの電圧が立ち上
がったときにはほとんどの電流がコンデンサ13側に流
れ、サイリスタ10のゲート側にはほとんど電流が流れな
い。従ってエキサイタコイルの正の半サイクルの出力電
圧が立ち上がったときにはトランジスタ12がサイリスタ
10よりも先に導通して該サイリスタ10の導通を阻止し、
エキサイタコイル５→抵抗８→ダイオード７→電界効果
トランジスタ６のゲートソース間→ダイオード９→エキ
サイタコイルの経路で電界効果トランジスタにトリガ信
号が与えられるのを許容する。これにより電界効果トラ
ンジスタ６が導通し、エキサイタコイル５から電界効果
トランジスタ６及びダイオード９を通して短絡電流が流
れる。エキサイタコイル５を流れる短絡電流がピークに
達して該エキサイタコイルの両端の電圧がピークに達す
るとコンデンサ13の充電が終了するため、トランジスタ
12にベース電流が供給されなくなり、トランジスタ12が
遮断状態になる。従ってエキサイタコイル５から抵抗16
とダイオード11とを通してサイリスタ10に導通信号が与
えられ、該サイリスタ10が導通して電界効果トランジス
タ６に供給されるトリガ信号を該電界効果トランジスタ
から側路する。そのため電界効果トランジスタ６が遮断
状態になり、エキサイタコイル５から電界効果トランジ
スタ６を通して流れていた電流が遮断される。これによ
りエキサイタコイル５に高い電圧が誘起し、この電圧に
より、エキサイタコイル５→ダイオード４→コンデンサ
３→１次コイル1a→ダイオード９→エキサイタコイル５
の経路で点火エネルギー蓄積用コンデンサ３が図示の極
性に充電される。このコンデンサ３の電圧を第２図
（Ｂ）に示してある。

エキサイタコイル５に図示の矢印と反対方向の負の半サ
イクルの電圧が誘起すると、コンデンサ13が、コンデン
サ13→抵抗14→エキサイタコイル５→抵抗15→コンデン
サ13の経路で図示と逆方向の極性に充電される。またこ
のエキサイタコイルの負の半サイクルの電圧が所定のレ
ベルに達するとツェナーダイオード18が導通して、エキ
サイタコイル５→ツェナーダイオード18→ダイオード19
→電界効果トランジスタ６のゲートソース間→ダイオー
ド17の経路で電界効果トランジスタ６に第２図（Ｃ）に
示すトリガ信号VGが印加される。これにより電界効果ト
ランジスタ６が導通してコンデンサ３の電荷を点火コイ
ルの１次コイル1aを通して放電させ、点火コイルの２次
コイル1bに高電圧を誘起させる。この高電圧は点火プラ
グ２に印加されるため、該点火プラグに火花が生じ、機
関が点火される。

上記の実施例では、ピーク検出用コンデンサ13を図示と
逆方向の極性に充電するためにトランジスタ12のベース
とエキサイタコイル５の他端との間に抵抗15を接続した
が、第３図に示すようにトランジスタ12のベースとエキ
サイタコイル５の他端との間にアノードをエキサイタコ
イル側に向けたダイオード21を接続して、コンデンサ13
→抵抗14→エキサイタコイル５→ダイオード21→コンデ
ンサ13の経路でコンデンサ13を逆方向に充電するように
しても良い。

上記の実施例では、エキサイタコイル５の負の半サイク
ルの出力により電界効果トランジスタ６（半導体スイッ
チ）に点火位置決定用のトリガ信号を与えるように点火
位置決定用トリガ回路を構成しているが、このトリガ回
路は、ピーク検出用コンデンサ13の充電の終了によりト
ランジスタ12が遮断する位置よりも位相が遅れた位置で
半導体スイッチにトリガ信号を与える回路であれば良
く、上記実施例の回路に限定されない。

上記の実施例では、エキサイタコイルの通電電流の遮断
を行う昇圧用のスイッチ素子と点火エネルギー蓄積用コ
ンデンサの放電を行う放電用のスイッチ素子とを兼ねる
半導体スイッチとして電界効果トランジスタを用いた
が、ゲートターンオフサイリスタや、バイポーラ型のト
ランジスタ等の他の半導体スイッチを用いることもでき
る。

また上記の例ではトリガ信号側路用スイッチング素子と
してサイリスタ10を用いたが、このサイリスタに代えて
トランジスタを用いることもできる。

［考案の効果］ 以上のように、本考案によれば、エキサイタコイルを流
れる電流がピークに達して該エキサイタコイルの両端の
電圧がピークに達したときに半導体スイッチを遮断させ
てエキサイタコイルに点火エネルギー蓄積用コンデンサ
を充電させるための電圧を誘起させるようにしたため、
機関の低速時にエキサイタコイルに誘起するコンデンサ
充電用の電圧を十分高くすることができ、低速時の点火
性能を向上させることができる利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す回路図、第２図は第１図
の各部の電圧波形を示す波形図、第３図は本考案の他の
実施例の要部を示した回路図である。 １……点火コイル、２……点火プラグ、３……点火エネ
ルギー蓄積用コンデンサ、4,7,9,11,17,19……ダイオー
ド、５……エキサイタコイル、６……電界効果トランジ
スタ（半導体スイッチ）、8,14,15,16,20……抵抗、10
……サイリスタ（トリガ信号側路用スイッチング素
子）、12……トランジスタ、13……ピーク検出用コンデ
ンサ、18……ツェナーダイオード。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】点火コイルと、 内燃機関に取り付けられた磁石発電機内に設けられたエ
   キサイタコイルと、 前記点火コイルの１次側に設けられた点火エネルギー蓄
   積用コンデンサと、 前記エキサイタコイルに対して並列に接続されると共に
   導通した際に前記点火エネルギー蓄積用コンデンサの電
   荷を前記点火コイルの１次コイルに放電させるように前
   記点火エネルギー蓄積用コンデンサ及び１次コイルに接
   続された半導体スイッチと、 前記エキサイタコイルの正の半サイクルの出力で前記半
   導体スイッチのトリガ信号入力端子にトリガ信号を与え
   るトリガ信号供給回路と、 導通した際に前記半導体スイッチに供給されるトリガ信
   号を該半導体スイッチから側路するように設けられ、前
   記エキサイタコイルの正の半サイクルの出力で導通信号
   が与えられて導通するように前記エキサイタコイルに接
   続されたトリガ信号側路用スイッチング素子と、 導通した際に前記トリガ信号側路用スイッチング素子か
   ら導通信号を側路するように設けられベースがピーク検
   出用コンデンサを介して前記エキサイタコイルの一端に
   接続されて前記エキサイタコイルの正の半サイクルの出
   力で前記コンデンサを通してベース電流が与えられて導
   通するトランジスタスイッチと、 前記ピーク検出用コンデンサの充電完了により前記トラ
   ンジスタスイッチが遮断する位置より位相が遅れた位置
   で前記半導体スイッチのトリガ信号入力端子にトリガ信
   号を与える点火位置決定用トリガ回路と、 を具備したことを特徴とするコンデンサ放電式内燃機関
   用点火装置。