JPH072035A - 自動車の乗員保護装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 インストルメントパネル内に乗員の膝を保護
するニープロテクタを備えた自動車において、該ニープ
ロテクタに空気調整用機器等が接近配置されていても、
ニープロテクタの作動を確実なものにする。 【構成】 インストルメントパネル１の乗員の膝Ｘに対
応する位置にグローブボックス８を取り付けると共に、
ステアリング支持部材１０に左右一対のニープロテクタ
メンバ１４を取り付けて、膝Ｘがグローブボックス８に
当たったときに該グローブボックス８によってニープロ
テクタメンバ１４を変形させて、衝撃吸収を行うように
構成する一方、左右のニープロテクタメンバ１４に後退
阻止部材１８を固着して、空気調整用エバポレータ２０
が後退しようとしても、該後退阻止部材１８によって阻
止できるように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車の乗員保護装置
に関し、詳しくは、乗員の膝がインストルメントパネル
に当接した際に変形して衝撃吸収を行うことにより該膝
を保護する装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】自動車においては、急制動時等において
乗員を保護するためにシートベルト、エアバック等の種
々の安全対策が講じられているが、たとえば実開平４−
２４８５２号公報には、図７に示すようにインストルメ
ントパネルＡのコアのうち、乗員の膝に対応する高さの
部位の下部コアＢを硬質コアから構成する一方、インス
トルメントパネルＡ内に保持バーＣを配設して、この保
持バーＣに一対のニープロテクタメンバｄ（図では一方
側のみを示している）からなるニープロテクタＤを固定
し、乗員の膝がインストルメントパネルＡに当つたとき
に下部コアＢによってニープロテクタＤを矢印方向に変
形させることによって衝撃を吸収し、上記膝を保護する
技術が開示されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、自動車には
車室内の空気調節用等のために各種の機器が搭載され
る。すなわち、これらの機器はブローユニット、クーラ
ユニット、ヒータユニット、エンジンなどのコントロー
ルユニツト、ＣＤチェンジャなどの音響機器であるが、
その場合、これらの各ユニットはスペース的な関係か
ら、通常はインストルメントパネル前方のダッシュロア
パネル上に車体幅方向に並べて配置されることになり、
これらのユニットと上記の保持バーＣならびニープロテ
クタＤとが接近配置されることになる。そのため、なん
らかの理由によってダッシュロアパネルが車体後方側に
位置ずれするような事態を想定すると、たとえばクーラ
ユニットが上記のニープロテクタＤに接近し、該ニープ
ロテクタＤの変形量が制限されるような事態が起きるこ
とも考えられる。

【０００４】そこで本発明は、ニープロテクタと他の車
載機器とが接近配置されていても、ニープロテクタの変
形量が制限されることがない自動車の乗員保護装置の提
供を課題とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】即ち、本発明の請求項１
に記載の発明（以下、第１発明と称す）は、インストル
メントパネル内において車体幅方向に配設された剛性バ
ーに、乗員の膝に対応して位置するニープロテクタが固
定され、このニープロテクタに、乗員側からの荷重を受
ける膝受け部と、該荷重を受けたときにニープロテクタ
が変形する変形促進部とが形成されていると共に、上記
ニープロテクタの車体前方側に、車載機器が配置され、
かつ該機器がニープロテクタ側に後退することを規制す
る後退規制部材が上記剛性バー側に設けられていること
を特徴とする。

【０００６】また、請求項２に記載の発明（以下、第２
発明と称す）は、車載機器がダッシュパネルに固定され
ていることを特徴とする。

【０００７】また、請求項３に記載の発明（以下、第３
発明と称す）は、車載機器が車室内の空気調整を行う空
気調整ユニットであることを特徴とする。

【０００８】また、請求項４に記載の発明（以下、第４
発明と称す）は、ニープロテクタは、剛性バーに一端が
固定されたそれぞれが略Ｕ字状の左右一対のニープロテ
クタメンバから構成され、後退規制部材がこれらニープ
ロテクタメンバの上記剛性バーに固定されている基部間
にわたって架け渡されて固定されていることを特徴とす
る。

【０００９】さらに、請求項５に記載の発明（以下、第
５発明と称す）は、ニープロテクタは、剛性バーに一端
が固定されたそれぞれが略Ｕ字状の左右一対のニープロ
テクタメンバから構成されると共に、後退規制部材がこ
れらニープロテクタメンバの間に位置する状態で剛性バ
ーに取り付けられていることを特徴とする。

【００１０】

【作用】上記の第１発明によれば、剛性バー側に後退規
制部材が設けられているので、機器が後退しようとして
も、その後退が阻止されることなって、ニープロテクタ
の変形量が制限されることがなくなる。

【００１１】また、第２発明によれば、ダッシュパネル
がなんらかの理由によって車体後方側に位置ずれしよう
としても、該ダッシュパネルに固定されている機器が後
退規制部材によって後退を阻止されるために、この機器
ならびにダッシュパネルの位置ずれが抑制され、ニープ
ロテクタの適正な変形量が確保される。

【００１２】また、第３発明によれば、空気調整ユニッ
トの後退が後退規制部材によって阻止されることになっ
て、ニープロテクタの適正な変形量が確保される。

【００１３】また、第４発明によれば、ニープロテクタ
メンバ間に取り付けられた後退規制部材によって、ニー
プロテクタメンバ間への機器の後退進入が阻止されて、
上記の作用が得られると共に、機器が後退しようとして
後退規制部材に当たったときの荷重が左右のニープロテ
クタメンバに分散されることになって、後退規制がより
確実に行える。

【００１４】さらに、第５発明によれば、剛性バーに取
り付けられた後退規制部材によって、ニープロテクタメ
ンバー間への機器の後退進入が阻止されて、上記の作用
が得られる。

【００１５】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき説明す
る。

【００１６】図１に示すように、車室前部に配置される
インストルメントパネル１には、オーディオ装置２が装
備されると共に、メータ取り付け部３が形成され、該メ
ータ取り付け部３にスピードメータをはじめとする各種
のメータ類が組み込まれ、さらに空調装置からのエアを
車室内に吹き込むエア吹き出し口４，４が装備される。

【００１７】上記のインストルメントパネル１には、助
手席側の下方位置にグローブボックス嵌め込み用の開口
部５（図２参照）が設けられ、この開口部５にリッド６
とケーシング７とから構成された各種小物類収納用のグ
ローブボックス８が嵌め込まれ、かつ該グローブボック
ス８の下部がインストルメントパネル１にヒンジ９によ
って引き出し可能に取り付けられる。その場合、上記グ
ローブボックス８の取り付け位置は、助手席に座ってい
る乗員の膝Ｘにほぼ対応する高さ位置とされ、かつまた
該グローブボックス８のケーシング７は薄肉のプラスチ
ックによって構成される。

【００１８】一方、インストルメントパネル１内には図
２に示すように、ステアリングコラム（図示せず）を支
持するパイプ形状のステアリング支持部材１０が車体幅
方向に配設される。その場合、ステアリング支持部材１
０は図４に示すように、両端部にフロントピラー部Ｐへ
の取り付け部１１を有するサイドブラケット１２，１２
が設けられて、これらのサイドブラケット１２，１２を
車体左右のフロントピラー部Ｐに連結して固定される。
また、上記のステアリング支持部材１１はその中央部に
設けられたセンタメンバ１３がフロアパネルのトンネル
部（図示せず）へ取り付けらると共に、該ステアリング
支持部材１０に左右一対のニープロテクタメンバ１４，
１４からなるニープロテクタ１５が取り付けられる。

【００１９】上記のニープロテクタメンバ１４は板金の
プレス加工品であって、図２に示すように、車体前後方
向においては、車体前方側の前端部から乗員の膝前方へ
延びた車体後方側の後端部にかけて略Ｕ字状に湾曲され
ており、上記前端部がステアリング支持部材１０に溶接
等の適宜の方法により固着され、上記の後端部が膝受け
部１６とされ、かつ前端部との間の屈曲部が変形促進部
１７とされている。

【００２０】さらに、上記のニープロテクタメンバ１
４，１４はそれぞれ下垂する状態でステアリング支持部
材１０に取り付けられており、前述のグローブボックス
８をインストルメントパネル１内に収納している状態で
は、該グローブボックス８におけるケーシング７が左右
のニープロテクタメンバ１４，１４の間にはいり、各ニ
ープロテクタメンバ１４，１４の変形促進部１７，１７
がケーシング７を跨がって、その外側部に位置し、また
グローブボックス８におけるリッド６の左右の端部がニ
ープロテクタメンバ１４，１４の膝受け部１６，１６に
対して、やや斜め下方から対面し、グローブボックス６
に図２の状態から助手席側から大きな荷重が加えられた
際に、リッド６が膝受け部１６に当たるように位置関係
が設定されている。

【００２１】上記ニープロテクタ１５においては、各ニ
ープロテクタメンバ１４，１４の変形促進部１１７より
もステアリング支持部材１０との前述の固着側前端部に
近い部位同士わたって、金属パイプ製の後退阻止部材１
８が架け渡されて、該後退阻止部材１８がそれぞれのニ
ープロテクタメンバ１４，１４に溶接等によって固着さ
れる。

【００２２】さらに、ニープロテクタメンバ１４，１４
においては、後端部の膝受け部１６，１６をむすんで金
属パイプからなる連結部材１９が固着される。この連結
部材１９は、ニープロテクタメンバ１４，１４の後述す
る変形時、グローブボックス８側からかかる荷重を両ニ
ープロテクタメンバ１４，１４に分散させるようにする
ものである。

【００２３】また、上記のステアリング支持部材１０お
よびニープロテクタ１５よりも車体前方位置に、これら
に接近して空気調整用エバポレータ２０が配置され、こ
の空気調整用エバポレータ２０がダッシュロアパネル２
１に、該ダッシュロアパネル２１側のブラケット２２と
空気調整用エバポレータ２０側のブラケット２３とをボ
ルト２４によって連結することで固定される。

【００２４】このようなニープロテクタ構造によれば、
急制動等によって乗員の膝Ｘがグローブボックス８に図
２における矢印方向に当接するような事態が生じると、
その荷重によってグローブボックス８にヒンジ９を中心
とする押し込み方向の回動を伴う動きが生起されて、該
グローブボックス８のリッド６がニープロテクタメンバ
１４，１４の膝受け部１６，１６に衝突し、その結果変
形促進部１７，１７が変形し、衝撃吸収がなされて膝Ｘ
が保護されることになる。その場合、上記グローブボッ
クス８の押し込み時、ケーシング７が空気調整用エバポ
レータ２０に当接することが考えられるが、このケーシ
ング７は先に述べたように薄肉とされているので、上記
当接によって変形等を起こすから、該当接はニープロテ
クタ１５による衝撃吸収の障害とはならない。

【００２５】ところで、図２に示すように空気調整用エ
バポレータ２０とニープロテクタ１５とが接近配置され
ているので、なんらかの理由により空気調整用エバポレ
ータ２０を支持しているダッシュロアパネル２１が車体
後方側へ移動すると、該空気調整用エバポレータ２０も
後退することになって、該空気調整用エバポレータ２０
の一部が左右のニープロテクタメンバ１４，１４の間に
進入し、このため上記のように乗員の膝がグローブボッ
クス８に当たったときのニープロテクタメンバ１４，１
４の変形量が制限され、かつまた空気調整用エバポレー
タ２０における角部２０Ａが上記膝Ｘに当たる事態が生
じる虞れがある。しかし、図２および図３に示すように
ニープロテクタメンバ１４，１４にわたって後退阻止部
材１８を固着しているから、空気調整用エバポレータ２
０は該後退阻止部材１９に衝突し、上記の進入が発生し
なくなり、膝Ｘがグローブボックス８に打ち当たる事態
が発生した際の、ニープロテクタメンバ１４，１４の適
正な変形量を確保され、また上記の角部２０Ａが膝Ｘに
当たることを回避することができる。

【００２６】また、後退阻止部材１８は上述のように左
右のニープロテクタメンバ１４，１４にわたって架け渡
されているので、後退しようとする空気調整用エバポレ
ータ２０が衝突したときの荷重は、左右のニープロテク
タメンバ１４，１４に分散されてステアリング支持部材
１０ならびにフロントピラー部Ｐおよびフロアパネルに
より受け止めることができる。したがって、一方側のニ
ープロテクタメンバ１４にのみ荷重がかかることによる
障害（たとえばニープロテクタメンバ１４の変形）をな
くすることができる。

【００２７】なお、上記のニープロテクタ１５は助手席
側のものについて説明したが、図４に示すように運転席
側には後退阻止部材１８や連結部材１９を有しない左右
一対のニープロテクタメンバ１４，１４が取り付けられ
る。

【００２８】図５および図６は本発明のニープロテクタ
１５の他の実施例を示し、ニープロテクタメンバ１１４
は一端がステアリング支持部材１０の上面に固着された
状態で、車体後方側に突出したのち、下方へ湾曲しつつ
他端側が車体前方側に戻される略Ｕ字形状とされ、上記
湾曲部が変形促進部１１７とされ、他端部が膝受け部１
１６とされると共に、上記変形促進部１１７の上方にお
いて左右のニープロテクタメンバ１１４，１１４にわた
り連結部材１１９が架け渡される。このような形状のニ
ープロテクタメンバ１１４の場合は、ステアリング支持
部材１０の下方に吊り下げ部材２５を介して後退阻止部
材１１８を固着し、この後退阻止部材１１８で空気調整
用エバポレータ１９がニープロテクタメンバ１１４の間
に進入するようなことを阻止することによって同様な効
果を得ることができる。

【００２９】

【発明の効果】以上の記載によって明かなように、本発
明の第１発明によれば、剛性バー側に後退規制部材が設
けられているので、機器が後退しようとしても、その後
退が阻止されることなって、ニープロテクタの変形量が
制限されることがなくなるから、乗員の膝の保護が可能
となる。

【００３０】また、第２発明によれば、ダッシュパネル
がなんらかの理由によって車体後方側に位置ずれしよう
としても、該ダッシュパネルに固定されている機器が後
退規制部材によって後退を阻止されるために、この機器
ならびにダッシュパネルの位置ずれが抑制され、ニープ
ロテクタの適正な変形量が確保され、上記の効果が得ら
れる。

【００３１】また、第３発明によれば、空気調整ユニッ
トの後退が後退規制部材によって阻止されることになっ
て、ニープロテクタの適正な変形量が確保され、上記の
効果が得られる。

【００３２】また、第４発明によれば、ニープロテクタ
メンバ間に取り付けられた後退規制部材によって、ニー
プロテクタメンバ間への機器の後退進入が阻止されて、
上記の効果が得られると共に、機器が後退しようとして
後退規制部材に当たったときの荷重が左右のニープロテ
クタメンバに分散されることになって、後退規制がより
確実に行える。

【００３３】さらに、第５発明によれば、剛性バーに取
り付けられた後退規制部材によって、ニープロテクタメ
ンバー間への機器の後退進入が阻止されて、上記の効果
が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の第１実施例にかかる自動車のイン
ストルメントパネル部分の斜視図である。

【図２】 上記インストルメントパネルのニープロテ
クタ取り付け部分の拡大断面図である。

【図３】 上記ニープロテクタの車室側の正面図であ
る。

【図４】 上記実施例におけるステアリング支持部材
の斜視図である。

【図５】 本発明の第２実施例を示すニープロテクタ
の側面図である。

【図６】 上記第２実施例におけるニープロテクタの
車室側の正面図である。

【図７】 従来のニープロテクタの一例を示す図であ
る。

【符号の説明】 １ インストルメントパネル ８ グローブボックス １０ ステアリング支持部材 １４，１１４ ニープロテクタメンバ １５ ニープロテクタ １６，１１６ 膝受け部 １７，１１７ 変形促進部 １８，１１８ 後退阻止部材 ２０ 空気調整用エバポレータ Ｘ 膝

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 インストルメントパネル内において車体
   幅方向に配設された剛性バーに、乗員の膝に対応して位
   置するニープロテクタが固定され、このニープロテクタ
   に、乗員側からの荷重を受ける膝受け部と、該荷重を受
   けたときにニープロテクタが変形する変形促進部とが形
   成されていると共に、上記ニープロテクタの車体前方側
   に、車載機器が配置され、かつ該機器がニープロテクタ
   側に後退することを規制する後退規制部材が上記剛性バ
   ー側に設けられていることを特徴とする自動車の乗員保
   護装置。
2. 【請求項２】 車載機器がダッシュパネルに固定されて
   いることを特徴とする請求項１に記載の自動車の乗員保
   護装置。
3. 【請求項３】 車載機器が車室内の空気調整を行う空気
   調整ユニットであることを特徴とする請求項１または２
   に記載の自動車の乗員保護装置。
4. 【請求項４】 ニープロテクタは、剛性バーに一端が固
   定されたそれぞれが略Ｕ字状の左右一対のニープロテク
   タメンバから構成され、後退規制部材がこれらニープロ
   テクタメンバの上記剛性バーに固定されている基部間に
   わたって架け渡されて固定されていることを特徴とする
   請求項１ないし３のいずれかに記載の自動車の乗員保護
   装置。
5. 【請求項５】 ニープロテクタは、剛性バーに一端が固
   定されたそれぞれが略Ｕ字状の左右一対のニープロテク
   タメンバから構成されると共に、後退規制部材がこれら
   ニープロテクタメンバの間に位置する状態で剛性バーに
   取り付けられていることを特徴とする請求項１ないし３
   のいずれかに記載の自動車の乗員保護装置。