JPH07199969A - 能動型騒音制御装置 - Google Patents

能動型騒音制御装置

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JPH07199969A
JPH07199969A JP5337021A JP33702193A JPH07199969A JP H07199969 A JPH07199969 A JP H07199969A JP 5337021 A JP5337021 A JP 5337021A JP 33702193 A JP33702193 A JP 33702193A JP H07199969 A JPH07199969 A JP H07199969A
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JP
Japan
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filter
noise
signal
drive signal
digital
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Application number
JP5337021A
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English (en)
Inventor
Akio Kinoshita
明生 木下
Yoshiharu Nakaji
義晴 中路
Tsutomu Hamabe
勉 浜辺
Koji Yamada
耕治 山田
Mitsuhide Sasaki
光秀 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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  • Soundproofing, Sound Blocking, And Sound Damping (AREA)
  • Filters That Use Time-Delay Elements (AREA)
  • Cable Transmission Systems, Equalization Of Radio And Reduction Of Echo (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】制御音源を駆動する駆動信号を生成する処理に
おける演算負荷の軽減を図る。 【構成】騒音の発生状態を表す基準信号xをフィルタ処
理して制御音源を駆動する駆動信号yを生成するフィル
タを、フィルタ係数固定のディジタルフィルタWfと、
フィルタ係数可変のディジタルフィルタWvとで構成す
る。そして、ディジタルフィルタWvのフィルタ係数
を、基準信号xを伝達関数フィルタC^でフィルタ処理
した値rと残留騒音信号eとに基づき適応アルゴリズム
に従って逐次更新するフィルタ係数更新部12を設け
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、騒音源から伝達され
る騒音に制御音源から発せられる制御音を干渉させるこ
とにより騒音の低減を図る能動型騒音制御装置に関し、
特に、騒音の騒音発生状態を表す基準信号をフィルタ処
理することにより制御音源を駆動する駆動信号を生成す
るとともに、前記基準信号及び騒音の低減状態を表す残
留騒音信号に基づいて前記フィルタ処理する手段の特性
を変化させる適応制御を実行するようになっている能動
型騒音制御装置において、その適応制御における演算量
が低減されるようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】この種の従来の技術としては、英国特許
第2149614号や特表平1−501344号に記載
のものがある。これら従来の装置は、航空機の客室やこ
れに類する閉空間に適用される能動型騒音低減装置であ
って、閉空間の外部に位置するエンジン等の単一の騒音
源は、基本周波数f0 及びその高調波f1 〜fn を含む
騒音を発生するという条件の下において作動するもので
ある。
【0003】具体的には、閉空間内の複数の位置に設置
され音圧を検出するマイクロフォンと、その閉空間に制
御音を発生する複数のラウドスピーカとを備え、騒音源
の周波数f0 〜fn 成分に基づき、それら周波数f0
n 成分と逆位相の信号でラウドスピーカを駆動させ、
もって閉空間に伝達される騒音と逆位相の制御音をラウ
ドスピーカから発生させて騒音を打ち消している。
【0004】そして、ラウドスピーカから発せられる制
御音の生成方法として、PROCEEDINGS OF THE IEEE,VOL.
63 PAGE 1692,1975,“ADAPTIVE NOISE CANCELLATION :
PRINCIPLES AND APPLICATIONS ”で述べられている‘WI
DROW LMS’アルゴリズムを多チャンネルに展開したアル
ゴリズムを適用している。その内容は、上記特許の発明
者による論文、“A MULTIPLE ERROR LMS ALGORITHM AND
ITS APPLICATION TOTHE ACTIVE CONTROL OF SOUND AND
VIBRATION ”,IEEE TRANS.ACOUST.,SPEECH,SIGNAL PRO
CESSING,VOL.ASSP −35,PP.1423−1434,1987 にも述べ
られている。
【0005】即ち、LMSアルゴリズムは、適応ディジ
タルフィルタのフィルタ係数を更新するのに好適なアル
ゴリズムの一つであって、例えばいわゆるFilter
ed−X LMSアルゴリズムにあっては、ラウドスピ
ーカからマイクロフォンまでの伝達関数をモデル化した
伝達関数フィルタを全てのラウドスピーカとマイクロフ
ォンとの組み合わせについて設定し、騒音源の騒音発生
状態を表す基準信号をそのフィルタで処理した値と各マ
イクロフォンが検出した残留騒音とに基づいた所定の評
価関数の値が低減するように、各ラウドスピーカ毎に設
けられたフィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタの
フィルタ係数を更新している。
【0006】ここで、騒音源及びマイクロフォン間の伝
達関数をG、ラウドスピーカ及びマイクロフォン間の伝
達関数をC、適応ディジタルフィルタをWとすると、上
記従来の能動型騒音制御装置は単チャンネルで考えれば
図14に示すようなブロック図で表現することができ
る。そして、騒音源から発せられ伝達関数Gの伝達系を
伝わってマイクロフォンMPに到来する騒音を、直列関
係にある適応ディジタルフィルタW及び伝達関数Cによ
って決まる制御音によって打ち消すように適応ディジタ
ルフィルタWのフィルタ係数を更新するのであるから、
適応ディジタルフィルタWの最適値は、 W=−GC-1 となり、この最適値に収束した時点で、図15に示すよ
うに、伝達関数Gと、適応ディジタルフィルタW及び伝
達関数Cの直列の伝達関数WCとが正負反転の関係とな
り、マイクロフォンMP配設位置の騒音が低減するので
ある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような従来の能動型騒音制御装置は、例えば車両に適
用し路面及び車輪間の騒音源で発生するランダム・ノイ
ズであるロード・ノイズを低減させる場合等に、適応デ
ィジタルフィルタのフィルタ長(タップ数)が長くなっ
てしまい、その適応ディジタルフィルタのフィルタ係数
の更新演算量が膨大になってしまうという問題点があっ
た。
【0008】これを具体的に説明すると、適応ディジタ
ルフィルタWを有限インパルス応答型のフィルタで構成
した場合、そのフィルタ長は、上記適応ディジタルフィ
ルタWの最適値(−GC-1)の周波数特性を逆フーリエ
変換したインパルス応答関数の長さ分必要となるため、
仮に伝達関数Cの分を無視しても、伝達関数Gつまりサ
スペンション振動及び車室内音圧間の伝達系の共振特性
分必要となり、その共振の減衰に必要な時間Tに比例し
て適応ディジタルフィルタWのフィルタ長が増大してし
まうのである。
【0009】そして、適応ディジタルフィルタWのフィ
ルタ長が増大すると、適応アルゴリズムにおける更新の
対象であるフィルタ係数の個数が多量になり、更新演算
量が膨大になってしまうのである。本発明は、このよう
な従来の技術が有する未解決の課題に着目してなされた
ものであって、上述した共振の減衰に必要な時間Tが長
くなっても更新演算量が膨大になることを避けることが
できる能動型騒音制御装置を提供することを目的として
いる。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る発明は、騒音源から騒音が伝達され
る空間に制御音を発生可能な制御音源と、前記騒音源の
騒音発生状態を検出し基準信号として出力する基準信号
生成手段と、前記空間内の所定位置の残留騒音を検出し
残留騒音信号として出力する残留騒音検出手段と、前記
基準信号をフィルタ処理して前記制御音源を駆動する駆
動信号を生成する駆動信号生成用フィルタと、前記基準
信号及び前記残留騒音信号に基づいて前記空間内の騒音
が低減するように前記駆動信号生成用フィルタのフィル
タ特性を制御する能動制御手段と、を備えた能動型騒音
制御装置において、前記駆動信号生成用フィルタを、フ
ィルタ特性固定の第1のフィルタ及びフィルタ係数可変
の第2のフィルタで構成するとともに、前記能動制御手
段は、適応アルゴリズムに従って前記第2のフィルタの
フィルタ係数を逐次更新するようにしたものである。
【0011】また、請求項2に係る発明は、上記請求項
1に係る発明において、第1のフィルタを、駆動信号生
成用フィルタとして必要なフィルタ特性のうちの低周波
成分に基づいて設定されるローパス・フィルタとしたも
のである。そして、請求項3に係る発明は、上記請求項
1又は請求項2に係る発明において、第1のフィルタ及
び第2のフィルタを並列に設けたものであり、請求項4
に係る発明は、上記請求項1又は請求項2に係る発明に
おいて、第1のフィルタ及び第2のフィルタを直列に設
けたものである。
【0012】
【作用】請求項1に係る発明にあっては、制御音源を駆
動する駆動信号は、第1のフィルタ及び第2のフィルタ
によって生成されるため、その両方のフィルタ特性が加
味された信号となる。従って、第1のフィルタ及び第2
のフィルタのそれぞれのフィルタ特性によって騒音低減
制御の精度が決まってくるのであるが、第1のフィルタ
のフィルタ特性は固定であるのに対し、第2のフィルタ
はそのフィルタ係数が可変であるためフィルタ特性が可
変となっている。
【0013】そして、能動制御手段が、基準信号及び残
留騒音信号に基づき、適応アルゴリズムに従って空間内
の騒音が低減するように第2のフィルタのフィルタ係数
を逐次更新するため、この第2のフィルタのフィルタ係
数は、第1のフィルタのフィルタ特性によって決まる駆
動信号と、騒音を低減し得る理想的な駆動信号との差を
補償するような特性に向かって逐次更新されることにな
る。
【0014】そこで、第2のフィルタを、最適な状態に
ある場合の駆動信号生成用フィルタの各周波数成分のう
ち、フィルタ長を増大させる原因となる成分であって且
つ変動する可能性の小さい成分に基づいて設定すれば、
第1のフィルタのフィルタ長を増大させる必要はない。
また、第1のフィルタは、変動する可能性の高い周波数
成分を担うことになるが、そのフィルタ係数は能動制御
手段によって逐次更新されるため特に問題にはならな
い。
【0015】ここで、単純な振動系として、 m・d2 x/dt2 +c・dx/dt+k・x=0 という運動方程式で表される系を考える。なお、mは質
量、cは減衰定数、kはバネ定数、xは質量mの物体の
変位である。この運動方程式の解は、 x=x0 exp(−ζω0 t)・A の形をもち、初期変位x0 が減衰項 exp(−ζω0 t)
の影響によって徐々に小さくなる振動をすることが判
り、その減衰の速度は、減衰比ζ(=c/c0 :c 0
臨界減衰係数であって、c0 =2(mk)1/2 であ
る。)に乗じられた形で取り込まれている固有振動数ω
0 に比例するのである。もっと簡単に述べれば、減衰比
ζは、振動波形の一山毎に何分の一に振幅が小さくなる
かを表しており、その値は同一条件下であれば周波数成
分によらず一定であるから、単一時間内に振動波形の山
の数が多い程、早く減衰するのである。
【0016】以上から、角振動数ω0 の小さい低周波成
分の影響によって、駆動信号生成用フィルタのフィルタ
長が長くなってしまうことが判る。そして、駆動信号生
成用フィルタのフィルタ係数の変動は、高周波側では激
しいが、低周波側では小さいといえる。即ち、伝達関数
Gの周波数特性は振幅及び位相の両者で表されるが、特
に制御で問題となるのは位相の方であり、位相は0Hz
から始まる連続関数で表現できる。従って、低周波帯域
では位相特性に影響を与える共振,反共振の数も少なく
その変動は極めて小さいが、高周波帯域では、0Hzか
らの共振,反共振の累積数が多く低周波帯域における位
相特性の僅かな変動が大きく増幅されてしまうのであ
り、このようなことから、低周波成分に限ってはフィル
タ特性は固定でも構わないといえる。
【0017】そこで、請求項2に係る発明のように、フ
ィルタ特性固定の第1のフィルタを設定すれば、第2の
フィルタに要求されるのは、位相特性が変動し易いがフ
ィルタ長が短くて済む高周波成分だけとなる。なお、第
1のフィルタ及び第2のフィルタの結合は、請求項3に
係る発明のように並列としてもよいし、請求項4に係る
発明のように直列としてもよいが、並列とすれば、複数
のフィルタで駆動信号生成用フィルタを構成しても特に
時間遅れ等の弊害は生じないし、直列とすれば、第1の
フィルタと第2のフィルタとが掛け算の形になるので第
2のフィルタによる補償作用が効率良く行われる。
【0018】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。図1及び図2は本発明の第1実施例の構成を示
す図であって、この実施例は、本発明に係る能動型騒音
制御装置を、車両2の車室3内の騒音の低減を図る車両
用能動型騒音制御装置1に適用したものである。
【0019】先ず、構成を説明すると、図1に示すよう
に、この車両用能動型騒音制御装置1は、騒音源として
の前輪2a及び路面間から、空間としての車室3内に伝
達される騒音としてのロード・ノイズの低減を図る装置
であって、前輪2a側のサスペンションには、前輪2a
の上下方向の振動を感知する基準信号生成手段としての
加速度センサ5が固定されており、その加速度センサ5
の出力が、後に詳細に説明するマイクロコンピュータや
A/D変換器,D/A変換器等の必要なインタフェース
回路を含んで構成されるコントローラ10に基準信号x
として供給されるようになっている。
【0020】一方、車室3内には、車室3内に残留する
騒音の音圧を測定する残留騒音検出手段としてのマイク
ロフォン8と、車室3内に制御音を発生する制御音源と
してのラウドスピーカ9とが配設されていて、マイクロ
フォン8が測定した残留騒音の音圧が、残留騒音信号e
としてコントローラ10に供給されるようになってい
る。
【0021】そして、コントローラ10は、供給される
各信号x,eに基づいて所定の演算処理を実行し、前輪
2a側から車室3内に伝達されるロード・ノイズが打ち
消されるような制御音がラウドスピーカ9から発せられ
るように、ラウドスピーカ9に駆動信号yを供給するよ
うになっている。コントローラ10は、その機能構成を
ブロック図で表した図2に示すように、基準信号xが入
力されるフィルタ特性固定の第1のフィルタとしてのフ
ィルタ係数固定のディジタルフィルタWfと、基準信号
xが入力されるフィルタ係数可変の第2のフィルタとし
てのディジタルフィルタWvと、それらディジタルフィ
ルタWf及びWvの出力を加算して駆動信号yとして出
力する加算部11と、を有している。従って、本実施例
では、基準信号xをディジタルフィルタWfでフィルタ
処理(具体的には、畳み込み積分)した駆動信号y
f と、基準信号xをディジタルフィルタWvでフィルタ
処理した駆動信号yv とを重畳した信号が、駆動信号y
(=yf +yv )として出力されるようになっている。
【0022】また、コントローラ10は、ディジタルフ
ィルタWvの各フィルタ係数Wvi(i=0,1,2,
…,Iv −1:Iv はディジタルフィルタWvのタップ
数)を後述するFiltered−X LMSアルゴリ
ズムに従って更新するフィルタ係数更新部12を有して
いて、このフィルタ係数更新部12には、基準信号xを
伝達関数フィルタC^でフィルタ処理した処理信号r
と、マイクロフォン8から供給される残留騒音信号eが
入力されるようになっている。なお、伝達関数フィルタ
C^は、ラウドスピーカ9と、マイクロフォン8との間
の伝達関数Cを有限インパルス応答関数の形でモデル化
したディジタルフィルタである。
【0023】そして、フィルタ係数更新部12は、伝達
関数フィルタC^から供給される処理信号rと、マイク
ロフォン8から供給される残留騒音信号eとに基づき、
適応アルゴリズムとしてのFiltered−X LM
Sアルゴリズムに従ってディジタルフィルタWvのフィ
ルタ係数Wvi を逐次更新するようになっている。つま
り、処理信号rをFiltered−X信号、残留騒音
信号eをエラー信号としたFiltered−X LM
Sアルゴリズムが実行されるのであり、従ってディジタ
ルフィルタWvのフィルタ係数Wvi の更新式は具体的
には下記の(1)式のようになる。
【0024】 Wvi (n+1)=Wvi (n)−e(n)r(n−i) ……(1) なお、(n)が付く項はいずれも離散時刻nにおける値
であることを表し、また、処理信号rは、基準信号xを
伝達関数フィルタC^でフィルタ処理した値であるか
ら、伝達関数フィルタC^の各フィルタ係数をC^
j (j=0,1,2,…,J−1:Jは伝達関数フィル
タC^のタップ数)とすれば、下記の(2)式のように
表される。
【0025】 ここで、コントローラ10内のディジタルフィルタWf
及びWvはいずれも有限インパルス応答型のディジタル
フィルタであるが、一方のディジタルフィルタWfは、
上述したようにそのフィルタ係数Wfi (i=0,1,
2,…,If −1:If はディジタルフィルタWfのタ
ップ数)が固定であって、その周波数特性は、下記のよ
うな手順で設定される。
【0026】先ず、この車両用能動型騒音制御装置1が
適用される車両2に図2に示すようなコントローラ10
のうちからディジタルフィルタWfを除いたコントロー
ラを用いて、車室3内のロード・ノイズが充分に低減す
るまで即ちディジタルフィルタWvのフィルタ係数Wv
i が最適値に収束するまで騒音低減制御を実行する。た
だし、この実験の際には、ディジタルフィルタWvのタ
ップ数Iv は、車室3内の残響時間に充分対応できる値
(例えば、256タップ)とする。
【0027】そして、ディジタルフィルタWvの各フィ
ルタ係数Wvi が最適値に収束したら、その各フィルタ
係数Wvi をフーリエ変換して各周波数成分毎のフィル
タ係数Wvi (ω)とする。次に、時間領域におけるデ
ィジタルフィルタWvのフィルタ長(タップ数)を長く
している原因の周波数成分を求めて、その求められた周
波数成分に対応するフィルタ係数Wvi (ω)のみを逆
フーリエ変換し、その結果をフィルタ係数Wfi として
ディジタルフィルタWfを設定する。
【0028】つまり、最適値に収束したディジタルフィ
ルタWvのインパルス応答が例えば図3(a)に示すよ
うな波形であったとしても、これを低周波成分及び高周
波成分に分解してみると、例えば低周波成分は図3
(b)のようにインパルス応答の長い波形となり、高周
波成分は図3(c)のようにインパルス応答の短い波形
となる。そこで、そのようなインパルス応答の長い低周
波成分の特性をディジタルフィルタWfに持たせてコン
トローラ10内に記憶させるのである。
【0029】一方、ディジタルフィルタWvは、初期値
としては例えば図3(c)に示すような実験段階で最適
値に収束したディジタルフィルタWvのインパルス応答
の短い高周波成分の特性を持たせておけばよく、そのフ
ィルタ長は、その短いインパルス応答に対応できる長さ
であればよい。従って、ディジタルフィルタWvのタッ
プ数Iv は、ディジタルフィルタWfのタップ数If
比べてかなり小さな値となる。
【0030】図4はコントローラ10内で実行される処
理の概要を示すフローチャートであり、以下、図4に従
って本実施例の具体的な動作を説明する。即ち、図4に
示す処理は所定のサンプリング・クロックに同期して実
行されるようになっていて、先ず、そのステップ101
において、加速度センサ5から供給される基準信号xを
読み込んでこれを現在の時刻nにおける基準信号x
(n)として記憶する。
【0031】次いで、ステップ102に移行し、図4の
処理が実行されるたびに次々と生成される基準信号x
(n)とディジタルフィルタWfの各フィルタ係数Wf
i とを畳み込んで駆動信号yf を生成し、次いで、ステ
ップステップ103に移行し、今度は基準信号x(n)
とディジタルフィルタWvの各フィルタ係数Wvi とを
畳み込んで駆動信号yv を生成し、そして、ステップ1
04に移行して、それら駆動信号yf 及びyv を加算し
て駆動信号yを演算し、この駆動信号yを、ステップ1
05においてラウドスピーカ9に出力する。
【0032】駆動信号yを出力したら、ステップ106
に移行し、マイクロフォン8から供給されている残留騒
音信号eを読み込み、これを現時点nにおける残留騒音
信号e(n)として記憶する。そして、ステップ107
に移行し、基準信号x(n)と伝達関数フィルタC^の
各フィルタ係数C^j とを上記(2)式に従って畳み込
んで処理信号rを演算し、そして、ステップ108に移
行し残留騒音信号e(n)及び処理信号rに基づいて上
記(1)式に従ってディジタルフィルタWvの各フィル
タ係数Wvi を更新する。
【0033】このステップ108の処理を終えたら今回
の処理を終了し、次のサンプリング・クロックのタイミ
ングでステップ101から再び処理を実行する。ここ
で、本実施例にあっては、駆動信号yを生成するために
並列関係にある二つのディジタルフィルタWf及びWv
を用いているため、伝達関数G及びC(図1参照)を含
む系全体は、図5に示すように表すことができ、その図
5内の破線で囲まれた部分を新たな伝達関数G' と考え
れば、系全体は図6に示すように表され、従来のFil
tered−X LMSアルゴリズムによるフィルタ更
新により正しく適応できることが判る。
【0034】しかも、適応型のディジタルフィルタWv
の最適値は、 Wv=−G' C-1 となるが、その伝達関数G' 内には、既にディジタルフ
ィルタWfが含まれており、ディジタルフィルタWf
は、上述したように、駆動信号yを生成するためのフィ
ルタ全体が最適値に収束した際のインパルス応答が長い
周波数成分の特性を有するフィルタであるため、ディジ
タルフィルタWvは、それ以外の周波数成分の特性を実
現すればよい。
【0035】つまり、ディジタルフィルタWvのフィル
タ長(タップ数Iv )は、ディジタルフィルタWfのフ
ィルタ長(タップ数If )に比較してかなり短くてよい
のである。そして、ディジタルフィルタWfのフィルタ
係数Wfi を固定としてるため、駆動信号yを生成する
系の伝達関数のうち、ディジタルフィルタWfが担って
いる周波数帯域の成分は変化しないことになるため、例
えば伝達関数GやCの変動に伴って駆動信号yを生成す
る系の伝達関数を変更する必要が生じた状況において問
題となるのではないかとの懸念があるが、これは以下の
理由からほとんど問題とならない。
【0036】即ち、伝達関数G,Cの周波数特性は振幅
及び位相で表されるが、特に問題となる位相は図7に示
すように0Hzから始まる連続関数であり、これを連続
的に表現するとともに、2σ(σは標準偏差であり、2
σは約95%の確率で収まる範囲となる。)の確率で収
まる範囲の一例を示すと図8のようになり、高周波側ほ
ど幅が広くなり、大きな位相差が生じ易くなっているこ
とが判る。これは、低周波帯域では、位相特性に影響を
与える共振,反共振の数自体が少なく従って位相変動が
ほとんど生じないのに対し、高周波帯域では、0Hzか
らの共振,反共振の累積値が大きく低周波帯域での位相
特性の僅かな変動も高い周波数帯域では大きく増幅され
てしまうからである。
【0037】以上から、駆動信号yを生成する系に必要
な伝達関数のうち、低周波帯域についてはフィルタ係数
固定のディジタルフィルタWfが担当し、高周波帯域に
ついてはフィルタ係数可変のディジタルフィルタWvが
担当することとしても騒音低減制御にとって特に問題は
ないのである。ただし、低周波帯域及び高周波帯域の境
界は、能動型騒音制御装置の適用対象となる空間の共振
特性等に応じて決まってくるため、実験等に基づいて適
宜設定することになるが、要は、駆動信号yを生成する
系に必要な伝達関数のうち、インパルス応答波形が長く
且つ位相特性の変動し難い周波数成分を、ディジタルフ
ィルタWfとして設定すればよい。
【0038】そして、図4に示す処理が繰り返し実行さ
れると、ラウドスピーカ9にはサンプリング・クロック
の間隔で次々と駆動信号yが供給されるため、車室3内
にはその駆動信号yに応じた制御音が発生するようにな
るが、制御開始直後はディジタルフィルタWvの各フィ
ルタ係数Wvi が最適値に収束しているとは限らないの
で、ラウドスピーカ9から発せられる制御音によって、
前輪2a側から車室3内に伝達されるロード・ノイズが
低減されるとはいえない。
【0039】しかし、図4に示す処理が繰り返し実行さ
れると、フィルタ係数更新部12がLMSアルゴリズム
に基づきディジタルフィルタWvのフィルタ係数Wvi
を更新していくので、そのフィルタ係数Wvi がある程
度最適値に収束した後にはラウドスピーカ9から発せら
れる制御音によってこもり音が打ち消され、車室3内の
騒音が低減されるようになる。
【0040】さらに、本実施例にあっては、駆動信号y
を生成するために二つのディジタルフィルタWf及びW
vを設けるとともに、それぞれの役割を上述したように
分担したため、フィルタ係数を逐次更新する必要がある
ディジタルフィルタWvのタップ数Iv を同様の効果を
得るための従来の装置の場合に比較して極めて短くする
ことができ、ディジタルフィルタWvのタップ数Iv
小さくなれば、フィルタ係数更新部12による更新演算
(ステップ108の処理)の対象となるフィルタ係数の
個数が少なくなり、演算負荷が軽減されるという利点が
ある。
【0041】従って、一般に駆動信号yを生成するフィ
ルタのフィルタ長が長くなる傾向にあるロード・ノイズ
のような周期性の低いランダム・ノイズを低減する装置
であっても、特に高速処理が可能な高価な演算プロセッ
サを用いなくても実時間での処理が可能となるのであ
る。ここで、本実施例では、ディジタルフィルタWf及
びWvによって駆動信号生成用フィルタが構成され、フ
ィルタ係数更新部12,伝達関数フィルタC^及びステ
ップ106〜108の処理によって能動制御手段が構成
される。
【0042】なお、ディジタルフィルタWfは予め求め
ておいたフィルタ係数をメモリ内に貯えておき、ディジ
タルフィルタWvの係数を適応処理で計算した後にディ
ジタルフィルタWfを加算するようにしてもよい。その
場合、ディジタルフィルタWf,Wvは必ずしも別体の
ものでなくて済み、一つのディジタルフィルタ内に統合
できる。また、この際、フィルタ長をディジタルフィル
タWfに合わせて充分長くとっておき、ディジタルフィ
ルタWvで更新演算を行う係数は、そのうちの前側の一
部とすれば、可変フィルタを高周波成分対象とすること
による前述の効果を同様に得ることができる。
【0043】図9は本発明の第2実施例の構成を示す図
であって、コントローラ10の機能構成を示すブロック
図である。なお、本実施例も上記第1実施例と同様に本
発明に係る能動型騒音制御装置を車両の車室内に伝達さ
れるロード・ノイズの低減を図る車両用能動型騒音制御
装置に適用したものであり、上記第1実施例と同様の構
成には同じ符号を付しその重複する説明は省略するとと
もに、コントローラ10以外の構成は上記第1実施例と
同様であるため、その図示及び説明は省略する。
【0044】即ち、本実施例にあっては、上記第1実施
例で用いていたディジタルフィルタWfに代えてフィル
タ特性固定の第1のフィルタとしてアナログフィルタW
f'を用いるとともに、そのアナログフィルタWf'
を、ディジタルフィルタWvの上流側に直列に配設した
点に特徴があり、それ以外の構成は上記第1実施例と同
一である。
【0045】従って、コントローラ10内における処理
は、図10に示すように、上記第1実施例と略同様であ
るが、ステップ101で基準信号xを読み込んだ後に、
ステップ201に移行し、基準信号xをアナログフィル
タWf' でフィルタ処理した結果である駆動信号yf
読み込み、次いでステップ202に移行し、その駆動信
号yf をディジタルフィルタWvでフィルタ処理して駆
動信号yを生成し、そして、その後にステップ105に
移行するようになっている。
【0046】このような構成であると、例えばアナログ
フィルタWf' の精度が伝達関数Gや伝達関数Cの変動
に伴って相対的に劣化した場合でも、ディジタルフィル
タWvがアナログフィルタWf' に対して掛け算の形で
修正を施すため、限られたダイナミックレンジで効率良
く所望の特性を得ることができるのである。また、周波
数軸上で見ると、ディジタルフィルタWvに対する適応
演算による修正の速度は、アナログフィルタWf' が有
するゲインに比例するため、ゲインの高い部分ほど早く
修正されることになり、より迅速で且つ的確なディジタ
ルフィルタWvの各フィルタ係数Wvi の適応が可能と
なる。
【0047】なお、二つのフィルタWf' 及びWvを直
列に接続すると時間遅れが懸念されるが、本実施例で
は、上流側に配設されるフィルタWf' がアナログフィ
ルタであるため、下流側のディジタルフィルタWvの演
算時間が確保され、特に時間遅れが問題とならないよう
になっている。その他の作用効果は上記第1実施例と同
様であるためその説明は省略する。
【0048】図11は本発明の第3実施例を示す図であ
り、本実施例の特徴を簡単に述べれば、上記第1実施例
の構成を多チャンネルとしたものである。即ち、車室3
内には、二つのマイクロフォン8A,8Bと、二つのラ
ウドスピーカ9A,9Bとが配設されており、各マイク
ロフォン8A,8Bから出力される二つの残留騒音信号
1 ,e2 がコントローラ10に供給されるようになっ
ている。また、ラウドスピーカ9A,9Bには、コント
ローラ10から個別に駆動信号y1 ,y2 が供給される
ようになっている。
【0049】マイクロフォン8A,8B及びラウドスピ
ーカ9A,9Bがそれぞれ二つずつ存在するため、ラウ
ドスピーカ及びマイクロフォン間の伝達関数Cは2×2
の四つ存在することになり、それら伝達関数をC11,C
21,C12,C22とする。なお伝達関数Clmの添字l,m
は、m番目(m=1,2,…,M:Mはラウドスピーカ
の個数であって、本実施例ではM=2である。)のラウ
ドスピーカと、l番目(l=1,2,…,L:Lはラウ
ドスピーカの個数であって、本実施例ではL=2であ
る。)のマイクロフォンとの間の伝達関数であることを
表している。
【0050】そしてコントローラ10内には、マイクロ
フォン9A,9Bの個数に対応して二つのフィルタ特性
固定の第1のフィルタとしてのディジタルフィルタWf
1 ,Wf2 と、同じく二つのフィルタ係数可変の第2の
フィルタとしてのディジタルフィルタWv1 ,Wv
2 と、同じく二つの加算部11A,11Bとが設けられ
ていて、加算部11Aは、ディジタルフィルタWf1
出力である駆動信号yf1及びディジタルフィルタWv1
の出力である駆動信号yv1を加算して駆動信号y1とし
てラウドスピーカ9Aに出力するようになっており、加
算部11Bは、ディジタルフィルタWf2 の出力である
駆動信号yf2及びディジタルフィルタWv2の出力であ
る駆動信号yv2を加算して駆動信号y2 としてラウドス
ピーカ9Bに出力するようになっている。
【0051】さらに、コントローラ10内には、二つの
ディジタルフィルタWv1 ,Wv2に対応して二つのフ
ィルタ係数更新部12A,12Bと、車室3内の各伝達
関数C11,C21,C12,C22に対応した伝達関数フィル
タC^11,C^12,C^21,C^22とが設けられてい
て、一方のフィルタ係数更新部12Aには、二つの残留
騒音信号e1 ,e2 と、伝達関数フィルタC^11の出力
である処理信号r11と、伝達関数フィルタC^21の出力
である処理信号r21とが供給され、他方のフィルタ係数
更新部12Bには、二つの残留騒音信号e1 ,e2 と、
伝達関数フィルタC^12の出力である処理信号r12と、
伝達関数フィルタC^22の出力である処理信号r22とが
供給されるようになっている。
【0052】各部の具体的な機能は対応する上記第1実
施例の各部と同様であるが、本実施例では、いわゆるM
ultiple Error Filtered−X
LMSアルゴリズムが実行されることになるため、フィ
ルタ係数更新部12A,12Bにおけるディジタルフィ
ルタWv1 ,Wv2 の各フィルタ係数Wv1i,Wv2i
更新演算は、収束係数をαとし、一般式で表せば、下記
の(3)式のようになる。
【0053】 ただし、処理信号rlmは、下記の(4)式のように表さ
れる。
【0054】 即ち、本実施例のように複数のマイクロフォン8A,8
B及びラウドスピーカ9A,9Bを有する装置にあって
は、上記(3),(4)式からも判るように単チャンネ
ルの場合に比較して極端に演算量が増大する傾向にある
ため、上記第1実施例で説明したように演算量の軽減が
図られる本発明を適用する必要性が大きいのである。換
言すれば、演算量の軽減が達成される本発明を適用すれ
ば、その分、チャンネル数を増加させることができ、マ
イクロフォンやラウドスピーカの個数が増えればそれだ
け良好な騒音低減制御が実行され、車室3内の騒音レベ
ルの低減が図られるのである。
【0055】なお、本実施例のように多チャンネルとし
た場合におけるディジタルフィルタWf1 ,Wf2 の設
定手順も、実質的には単チャンネルの場合と同様である
ためその説明は省略する。図12及び図13は本発明の
第4実施例の構成を示す図であって、この実施例は、車
両2の左右の前輪2a,2b及び左右の後輪2c,2d
のそれぞれと路面との間の騒音源で発生し車室3内に伝
達されるロード・ノイズの低減を図る車両用能動型騒音
制御装置1に本発明を適用したものである。なお、上記
各実施例と同様の構成には同じ符号を付し、その重複す
る説明は省略する。
【0056】ここで、本実施例は、車室3内の前部席側
と後部席側とを個別に制御するようになっており、二つ
のコントローラ10A,10Bを有していて、前部席側
に対応するコントローラ10Aは、前部席側足元位置の
車体幅方向中央位置に配設されたラウドスピーカ9Aに
対して駆動信号y1 を出力するようになっており、後部
席側に対応するコントローラ10Bは、後部座席のさら
に後方の車体幅方向中央位置に配設されたラウドスピー
カ9Bに対して駆動信号y2 を出力するようになってい
る。
【0057】ただし、マイクロフォン8は一つだけ設け
られていて、唯一のマイクロフォン8は、車室3の中心
部分の天井面に固定されていて、その配設位置における
残留騒音を検出し残留騒音信号eとしてコントローラ1
0A及び10Bの両方に供給するようになっている。ま
た、各車輪2a〜2dのそれぞれに対応するサスペンシ
ョンには、路面側から入力される上下方向の振動を感知
するための加速度センサ5a〜5dが配設されており、
前輪2a,2b側の加速度センサ5a,5bから出力さ
れる基準信号x1 及びx2 はコントローラ10Aに供給
され、後輪2c,2d側の加速度センサ5c,5dから
出力される基準信号x3 及びx4 はコントローラ10B
に供給されるようになっている。
【0058】コントローラ10A及び10Bの構成につ
いて説明するが、それらの構成は実質的に同一であるた
め、一方のコントローラ10Aについてのみ説明し、他
方のコントローラ10Bに関する説明は省略する。図1
3はコントローラ10Aの機能構成を示すブロック図で
あって、このコントローラ10A内には、入力される基
準信号x1 ,x2 の個数に対応して二つのフィルタ係数
可変のディジタルフィルタWv1 ,Wv2 と、同じく対
応して二つのフィルタ係数更新部12A,12Bと、ラ
ウドスピーカ9A及びマイクロフォン8間の伝達関数に
対応する二つの伝達関数フィルタC^1 と、一つのディ
ジタルフィルタWfと、基準信号x1 及びx2 を加算し
てディジタルフィルタWfに供給する加算部13と、デ
ィジタルフィルタWv1 ,Wv2 及びWfの各出力を加
算して駆動信号y1 として出力する加算部11とが設け
られている。
【0059】つまり、本実施例では、更新が必要なディ
ジタルフィルタWv1 及びWv2 は基準信号x1 及びx
2 の個数に対応した数だけ設けているが、更新が不要な
ディジタルフィルタWfを共通とした点に特徴があるの
である。即ち、図12に示したように、ラウドスピーカ
9A及びマイクロフォン8を騒音源としての車輪2a,
2bの両方から等距離の位置に配設しているため、前部
座席側に二つ存在する騒音源及びマイクロフォン8間の
伝達関数を等しいと考えることができ、これによってフ
ィルタを共通とする可能性を生み出しているのである。
ただし、伝達関数のうちの高周波帯域においては、左右
対象の構造であっても微妙な差が発生するため、図13
に示すように、低周波帯域に対応するディジタルフィル
タWfのみを共通としているのである。
【0060】これによって、前部座席側で騒音源を二つ
考えているにも関わらず、騒音源が一つの場合のフィル
タ数を二倍にしたよりも少ないフィルタ数でコントロー
ラ10Aを構成することができ、単純に多チャンネル化
した場合に比較して少ない演算量で騒音低減制御が実行
できるのである。また、本実施例では、前輪2a,2b
側から入力されるロード・ノイズは主として前方から前
部座席側に放射され、後輪2c,2d側から入力される
ロード・ノイズは主として後方から後部座席側に放射さ
れることに着目し、それら入力されるロード・ノイズの
方向に合わせてラウドスピーカ9A,9Bを配設して効
率良い騒音低減制御を可能とするとともに、前部座席及
び後部座席を個別に制御することとし、必要な伝達関数
フィルタの種類を減らしてシステムの簡略化を図ってい
る。
【0061】さらに、前輪2a,2b側から入力される
ロード・ノイズ及び後輪2c,2d側から入力されるロ
ード・ノイズには相関がないことに着目し、マイクロフ
ォン8を一つにしている。これによって伝達関数フィル
タの個数が減って必要なフィルタ処理の数が低減するか
ら、さらに演算量の軽減が図られるとともに、部品点数
も減るという利点がある。
【0062】その他の作用効果は上記第1実施例と同様
であるためその説明は省略する。なお、上記各実施例で
は、本発明に係る能動型騒音制御装置を車両2の車室3
内に伝達されるロード・ノイズの低減を図る装置に適用
した場合について説明したが、本発明の適用対象はこれ
に限定されるものではなく、車両2の他の部位で発生す
る騒音(例えば、ドアミラーにおいて発生する風切り
音)を低減する装置或いは車両2以外に適用される装置
であってもよい。
【0063】また、上記第1,第3及び第4実施例で
は、フィルタ特性固定のフィルタWf,Wf1 ,Wf2
をディジタルフィルタとしているが、これらはフィルタ
係数を更新する必要がないのであるから、アナログフィ
ルタであってもよく、アナログフィルタとすれば、コン
トローラ内のマイクロコンピュータの演算負荷が更に軽
減されるという利点がある。
【0064】さらに、ロード・ノイズにおいては、低周
波成分は前後輪入力の相関が高いことから、図13の加
算部13を省き、基準信号x1 又はx2 の一方をディジ
タルフィルタWfに入力するようにしてもよい。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
制御音を発生する制御音源に対する駆動信号を生成する
フィルタを、フィルタ特性固定の第1のフィルタと、フ
ィルタ係数可変の第2のフィルタとで構成し、その第2
のフィルタのフィルタ係数を適応アルゴリズムに従って
逐次更新する構成としたため、更新演算の対象となるフ
ィルタ係数の個数が少なくなり、演算負荷の軽減が図ら
れるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の全体構成図である。
【図2】第1実施例のコントローラの機能構成を示すブ
ロック図である。
【図3】二つのディジタルフィルタの役割分担に関する
説明図である。
【図4】第1実施例のコントローラ内で実行される処理
の概要を示すフローチャートである。
【図5】第1実施例の作用を説明するブロック図であ
る。
【図6】第1実施例の作用を説明するブロック図であ
る。
【図7】位相特性を説明する周波数特性図である。
【図8】位相特性を説明する周波数特性図である。
【図9】第2実施例のコントローラの機能構成を示すブ
ロック図である。
【図10】第2実施例のコントローラ内で実行される処
理の概要を示すフローチャートである。
【図11】第3実施例のコントローラの機能構成を示す
ブロック図である。
【図12】本発明の第4実施例の全体構成図である。
【図13】第4実施例のコントローラの機能構成を示す
ブロック図である。
【図14】従来の問題点を説明するブロック図である。
【図15】従来の問題点を説明する波形図である。
【符号の説明】
1 車両用能動型騒音制御装置 2 車両 3 車室(空間) 5,5a〜5d 加速度センサ(基準信号生成手段) 8,8A,8B マイクロフォン(残留騒音検出手段) 9,9A,9B ラウドスピーカ(制御音源) 10,10A,10B コントローラ 12,12A,12B フィルタ係数更新部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H03H 17/04 A 8842−5J 21/00 8842−5J (72)発明者 浜辺 勉 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 山田 耕治 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 佐々木 光秀 茨城県勝田市大字高場2520番地 株式会社 日立製作所自動車機器事業部内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 騒音源から騒音が伝達される空間に制御
    音を発生可能な制御音源と、前記騒音源の騒音発生状態
    を検出し基準信号として出力する基準信号生成手段と、
    前記空間内の所定位置の残留騒音を検出し残留騒音信号
    として出力する残留騒音検出手段と、前記基準信号をフ
    ィルタ処理して前記制御音源を駆動する駆動信号を生成
    する駆動信号生成用フィルタと、前記基準信号及び前記
    残留騒音信号に基づいて前記空間内の騒音が低減するよ
    うに前記駆動信号生成用フィルタのフィルタ特性を制御
    する能動制御手段と、を備えた能動型騒音制御装置にお
    いて、前記駆動信号生成用フィルタを、フィルタ特性固
    定の第1のフィルタ及びフィルタ係数可変の第2のフィ
    ルタで構成するとともに、前記能動制御手段は、適応ア
    ルゴリズムに従って前記第2のフィルタのフィルタ係数
    を逐次更新することを特徴とする能動型騒音制御装置。
  2. 【請求項2】 第1のフィルタを、駆動信号生成用フィ
    ルタとして必要なフィルタ特性のうちの低周波成分に基
    づいて設定されるローパス・フィルタとした請求項1記
    載の能動型騒音制御装置。
  3. 【請求項3】 第1のフィルタ及び第2のフィルタを並
    列に設けた請求項1又は請求項2記載の能動型騒音制御
    装置。
  4. 【請求項4】 第1のフィルタ及び第2のフィルタを直
    列に設けた請求項1又は請求項2記載の能動型騒音制御
    装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010119528A1 (ja) * 2009-04-15 2010-10-21 パイオニア株式会社 能動型振動騒音制御装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010119528A1 (ja) * 2009-04-15 2010-10-21 パイオニア株式会社 能動型振動騒音制御装置
JP5189679B2 (ja) * 2009-04-15 2013-04-24 パイオニア株式会社 能動型振動騒音制御装置
US8891781B2 (en) 2009-04-15 2014-11-18 Pioneer Corporation Active vibration noise control device

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