JPH07114392A - 能動型騒音制御装置及び能動型振動制御装置 - Google Patents

能動型騒音制御装置及び能動型振動制御装置

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JPH07114392A
JPH07114392A JP5262706A JP26270693A JPH07114392A JP H07114392 A JPH07114392 A JP H07114392A JP 5262706 A JP5262706 A JP 5262706A JP 26270693 A JP26270693 A JP 26270693A JP H07114392 A JPH07114392 A JP H07114392A
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JP
Japan
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vibration
sound
detection signal
source
control
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Application number
JP5262706A
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English (en)
Inventor
Akio Kinoshita
明生 木下
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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  • Filters That Use Time-Delay Elements (AREA)
  • Cable Transmission Systems, Equalization Of Radio And Reduction Of Echo (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】複雑な音場でも確実に騒音低減効果が得られる
ようにする。 【構成】エンジン2からこもり音が伝達される車室3内
に制御音発生可能にラウドスピーカ4を配設し、そのラ
ウドスピーカ4から制御音の波長より短い距離だけ車室
3の内側に入った位置にマイクロフォン6を配設し、ラ
ウドスピーカ4のスピーカコーンの振動状態を検出する
速度センサ5が出力した速度検出信号u(n)及びマイ
クロフォン6が出力した音圧検出信号p(n)をコント
ローラ10の適応処理部12に供給し、そして、クラン
ク角センサ7が出力した基準信号x(n)を適応ディジ
タルフィルタWでフィルタ処理することにより駆動信号
y(n)を生成するとともに、適応処理部12は各信号
x(n),u(n)及びp(n)に基づきラウドスピー
カ4から車室3の外側に音響インテンシティが向かうよ
うに適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数を更新す
るようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、騒音源から伝達され
る騒音に制御音を干渉させることにより制御対象として
の空間内の騒音低減を図る能動型騒音制御装置及び振動
源から伝達される振動に制御振動を干渉させることによ
り制御対象としての構造体の振動低減を図る能動型振動
制御装置に関し、特に、複雑な音場や振動場であっても
確実に騒音低減効果や振動低減効果が得られるようにし
たものである。
【0002】
【従来の技術】この種の従来の技術としては、英国特許
第2149614号や特表平1−501344号に記載
のものがある。これら従来の装置は、航空機の客室やこ
れに類する閉空間に適用される能動型騒音低減装置であ
って、閉空間の外部に位置するエンジン等の単一の騒音
源は、基本周波数f0 及びその高調波f1 〜fn を含む
騒音を発生するという条件の下において作動するもので
ある。
【0003】具体的には、閉空間内の複数の位置に設置
され音圧を検出するマイクロフォンと、その閉空間に制
御音を発生する複数のラウドスピーカとを備え、騒音源
の周波数f0 〜fn 成分に基づき、それら周波数f0
n 成分と逆位相の信号でラウドスピーカを駆動させ、
もって閉空間に伝達される騒音と逆位相の制御音をラウ
ドスピーカから発生させて騒音を打ち消している。
【0004】そして、ラウドスピーカから発せられる制
御音の生成方法として、PROCEEDINGS OF THE IEEE,VOL.
63 PAGE 1692,1975,“ADAPTIVE NOISE CANCELLATION :
PRINCIPLES AND APPLICATIONS ”で述べられている‘WI
DROW LMS’アルゴリズムを多チャンネルに展開したアル
ゴリズムを適用している。その内容は、上記特許の発明
者による論文、“A MULTIPLE ERROR LMS ALGORITHM AND
ITS APPLICATION TOTHE ACTIVE CONTROL OF SOUND AND
VIBRATION ”,IEEE TRANS.ACOUST.,SPEECH,SIGNAL PRO
CESSING,VOL.ASSP −35,PP.1423−1434,1987 にも述べ
られている。
【0005】即ち、LMSアルゴリズムは、適応ディジ
タルフィルタのフィルタ係数を更新するのに好適なアル
ゴリズムの一つであって、例えばいわゆるFilter
ed−X LMSアルゴリズムにあっては、ラウドスピ
ーカからマイクロフォンまでの伝達関数をモデル化した
伝達関数フィルタを全てのラウドスピーカとマイクロフ
ォンとの組み合わせについて設定し、騒音源の騒音発生
状態を表す基準信号をそのフィルタで処理した値と各マ
イクロフォンが検出した残留騒音とに基づいた所定の評
価関数の値が低減するように、各ラウドスピーカ毎に設
けられたフィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタの
フィルタ係数を更新している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の技術にあっては、マイクロフォンが検出した残留騒
音の二乗和が最小となるように適応ディジタルフィルタ
のフィルタ係数を更新するようなアルゴリズムであるた
め、マイクロフォンの配設位置における音圧のエネルギ
和が低減するように適応ディジタルフィルタのフィルタ
係数が更新されるので、各マイクロフォンの配設間隔に
比べて波長が充分に長い低周波帯域の騒音が発生してい
る状況では制御空間内の略全域で騒音低減効果を得るこ
とができるが、波長が短くなる高周波帯域の騒音が発生
している状況ではマイクロフォン配設位置の騒音は低減
されてもその他の位置では増音してしまう可能性がある
という問題点がある。
【0007】また、同様に残響の多い即ち反射波成分の
多い拡散音場においては、ラウドスピーカから発せられ
た制御音が何回も壁面で複雑に反射してしまうため、ラ
ウドスピーカを駆動する駆動信号の僅かな誤差が大きく
増幅されて制御効果に多大な影響を与えてしまい、高精
度の制御を行い難いという問題点もある。つまり、この
ような複雑な音場においては、マイクロフォン周囲の僅
かな領域においてのみ騒音低減効果が期待できる結果と
なる。
【0008】なお、このような問題点に対し、本出願人
が先に提案した特開平3−203494号公報に記載さ
れるように、制御の評価関数として音響インテンシティ
を用いる、つまり音場の中の進行波成分のみを抽出しそ
の成分に基づいて適応ディジタルフィルタのフィルタ係
数を更新することにより、より複雑な音場においても確
実な騒音低減効果を得るようにした従来技術も存在す
る。しかし、この従来技術にあっても、ラウドスピーカ
から離れた位置で音響インテンシティを計測する構成で
あったため、さらに音場が拡散音場的な特性になり複雑
さが増したときには、やはり音響インテンシティを測定
する手段から離れた位置では騒音低減効果が得難くなる
のである。
【0009】そして、上述した問題点は、特に騒音を低
減するための能動型騒音制御装置に固有のものではな
く、振動源から伝達される振動に制御振動を干渉させる
ことにより振動低減を図る能動型振動制御装置にも当て
はまるものである。そこで本発明は、このような従来の
技術が有する未解決の課題に着目してなされたものであ
って、極めて複雑な音場や振動場であっても確実に騒音
低減効果や振動低減効果を得ることができる能動型騒音
制御装置及び能動型振動制御装置を提供することを目的
としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る発明である能動型騒音制御装置は、
騒音源から騒音が伝達される空間に制御音を発生可能な
制御音源と、前記騒音源の騒音発生状態を検出し基準信
号として出力する基準信号生成手段と、前記基準信号を
フィルタ処理して前記制御音源を駆動する駆動信号を生
成するフィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタと、
前記制御音源から前記制御音の波長よりも短い距離だけ
前記空間の内側に入った位置の音圧を検出し音圧検出信
号として出力する音圧検出手段と、前記制御音源の振動
状態を検出し振動状態検出信号として出力する振動状態
検出手段と、前記音圧検出信号及び前記振動状態検出信
号に基づき前記制御音源から前記空間の外側に音響イン
テンシティが向かうように前記適応ディジタルフィルタ
のフィルタ係数を更新する適応処理手段と、を備えたも
のである。
【0011】また、上記目的を達成するために、請求項
2に係る発明である能動型騒音制御装置は、騒音源から
騒音が伝達される空間に制御音を発生可能な制御音源
と、前記騒音源の騒音発生状態を検出し基準信号として
出力する基準信号生成手段と、前記基準信号をフィルタ
処理して前記制御音源を駆動する駆動信号を生成するフ
ィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタと、前記空間
の外郭を構成する境界面上の所定位置から前記騒音の波
長よりも短い距離だけ前記空間の内側に入った位置の音
圧を検出し音圧検出信号として出力する音圧検出手段
と、前記境界面上の前記所定位置の振動状態を検出し振
動状態検出信号として出力する振動状態検出手段と、前
記音圧検出信号及び前記振動状態検出信号に基づき前記
境界面上の前記所定位置から前記空間の外側に音響イン
テンシティが向かうように前記適応ディジタルフィルタ
のフィルタ係数を更新する適応処理手段と、を備えたも
のである。
【0012】そして、上記目的を達成するために、請求
項3に係る発明である能動型振動制御装置は、振動源か
ら振動が伝達される構造体に制御振動を発生可能な制御
振動源と、前記振動源の振動発生状態を検出し基準信号
として出力する基準信号生成手段と、前記基準信号をフ
ィルタ処理して前記制御振動源を駆動する駆動信号を生
成するフィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタと、
前記制御振動源から前記制御振動の波長よりも短い距離
だけ前記構造体の内側に入った位置の振動を検出し振動
検出信号として出力する振動検出手段と、前記制御振動
源の加振力の発生状態を検出し加振力発生状態検出信号
として出力する加振力発生状態検出手段と、前記振動検
出信号及び前記加振力発生状態検出信号に基づき前記制
御振動源から前記構造体の外側に振動インテンシティが
向かうように前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係
数を更新する適応処理手段と、を備えたものである。
【0013】さらに、上記目的を達成するために、請求
項4に係る発明である能動型振動制御装置は、振動源か
ら振動が伝達される構造体に制御振動を発生可能な制御
振動源と、前記振動源の振動発生状態を検出し基準信号
として出力する基準信号生成手段と、前記基準信号をフ
ィルタ処理して前記制御振動源を駆動する駆動信号を生
成するフィルタ係数可変の適応ディジタルフィルタと、
前記構造体の外郭を構成する境界面上の所定位置から前
記振動の波長よりも短い距離だけ前記構造体の内側に入
った位置の振動を検出し振動検出信号として出力する振
動検出手段と、前記境界面上の前記所定位置の伝達力の
発生状態を検出し伝達力発生状態検出信号として出力す
る伝達力発生状態検出手段と、前記振動検出信号及び前
記伝達力発生状態検出信号に基づき前記境界面上の前記
所定位置から前記構造体の外側に振動インテンシティが
向かうように前記適応ディジタルフィルタのフィルタ係
数を更新する適応処理手段と、を備えたものである。
【0014】
【作用】請求項1に係る発明にあっては、音圧検出手段
が制御音源の直ぐ内側の音圧を検出するとともに、振動
状態検出手段が制御音源の振動状態を検出し、そして、
適応処理手段が、音圧検出信号及び振動状態検出信号に
基づき、制御音源から空間の外側に音響インテンシティ
が向かうように適応ディジタルフィルタのフィルタ係数
を更新するため、基準信号を適応ディジタルフィルタで
フィルタ処理した駆動信号によって駆動する制御音源
は、適応ディジタルフィルタのフィルタ係数が適宜収束
した後は、空間から音響エネルギを吸収するように作用
することになる。
【0015】しかも、音圧検出手段は、音響エネルギを
吸収する制御音源から大きく離れた位置ではなく、制御
音源から制御音の波長よりも短い距離だけ空間の内側に
入った位置の音圧を検出するようになっているため、空
間内の音場が複雑な反射波を含んでいてもその悪影響を
受けることがない。また、請求項2に係る発明にあって
は、音圧検出手段が空間の外郭を構成する境界面上の所
定位置の直ぐ内側の音圧を検出するとともに、振動状態
検出手段がその境界面上の所定位置の振動状態を検出
し、そして、適応処理手段が、音圧検出信号及び振動状
態検出信号に基づき、その境界面上の所定位置から空間
の外側に音響インテンシティが向かうように適応ディジ
タルフィルタのフィルタ係数を更新するため、適応ディ
ジタルフィルタのフィルタ係数が適宜収束した後は、そ
の境界面上の所定位置に空間内の音響エネルギが吸収さ
れるように作用する。
【0016】そして、この請求項2に係る発明において
も、音圧検出手段は、音響エネルギを吸収する境界面上
の所定位置から大きく離れた位置ではなく、その所定位
置から騒音の波長よりも短い距離だけ空間の内側に入っ
た位置の音圧を検出するようになっているため、空間内
の音場が複雑な反射波を含んでいてもその悪影響を受け
ることがない。
【0017】一方、請求項3に係る発明にあっては、振
動検出手段が制御振動源の直ぐ内側の振動を検出すると
ともに、加振力発生状態検出手段が制御振動源の加振力
発生状態を検出し、そして、適応処理手段が、振動検出
信号及び加振力発生状態検出信号に基づき、制御振動源
から構造体の外側に振動インテンシティが向かうように
適応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新するた
め、基準信号を適応ディジタルフィルタでフィルタ処理
した駆動信号によって駆動する制御振動源は、適応ディ
ジタルフィルタのフィルタ係数が適宜収束した後は、構
造体から振動エネルギを吸収するように作用することに
なる。
【0018】しかも、振動検出手段は、振動エネルギを
吸収する制御振動源から大きく離れた位置ではなく、制
御振動源から制御振動の波長よりも短い距離だけ構造体
の内側に入った位置の振動を検出するようになっている
ため、構造体内部の振動場が複雑な反射波を含んでいて
もその悪影響を受けることがない。さらに、請求項4に
係る発明にあっては、振動検出手段が構造体の外郭を構
成する境界面上の所定位置の直ぐ内側の振動を検出する
とともに、伝達力発生状態検出手段がその境界面上の所
定位置の伝達力の発生状態を検出し、そして、適応処理
手段が、振動検出信号及び伝達力発生状態検出信号に基
づき、その境界面上の所定位置から構造体の外側に振動
インテンシティが向かうように適応ディジタルフィルタ
のフィルタ係数を更新するため、適応ディジタルフィル
タのフィルタ係数が適宜収束した後は、その境界面上の
所定位置に構造体内部の振動エネルギが吸収されるよう
に作用する。
【0019】そして、この請求項4に係る発明において
も、振動検出手段は、振動エネルギを吸収する境界面上
の所定位置から大きく離れた位置ではなく、その所定位
置から振動の波長よりも短い距離だけ構造体の内側に入
った位置の振動を検出するようになっているため、構造
体内部の振動場が複雑な反射波を含んでいてもその悪影
響を受けることがない。
【0020】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。図1は本発明の第1実施例の全体構成を示す図
であって、この実施例は、本発明に係る能動型騒音制御
装置を、車両の騒音源としてのエンジン2から空間とし
ての車室3内に伝達される騒音の低減を図る車両用能動
型騒音制御装置1に適用したものである。
【0021】先ず、構成を説明すると、この車両用能動
型騒音制御装置1は、例えば図1に矢印Aで示すように
エンジン2から車体等を伝搬し空間3内に放射される騒
音としての“こもり音”に、能動的に発生させた制御音
を干渉させることによりその車室3内の騒音レベルを低
減させる装置であって、車室3内の壁面の所定位置に
は、その車室3内に向けて音波を放射可能に制御音源と
してのラウドスピーカ4が配設されている。
【0022】このラウドスピーカ4には、その振動状態
としてのスピーカコーンの振動速度を検出する速度セン
サ5が配設されていて、かかる速度センサ5が出力する
振動状態検出信号としての速度検出信号u(n)がコン
トローラ10に供給されるようになっている。また、車
室3内であってラウドスピーカ4の正面に対向した位置
には、音圧検出手段としてのマイクロフォン6が配設さ
れていて、かかるマイクロフォン6が出力する音圧検出
信号p(n)もコントローラ10に供給されるようにな
っている。ただし、マイクロフォン6は、ラウドスピー
カ4から遠く離れた位置ではなく、そのラウドスピーカ
4から発せられる制御音の波長よりも短い距離だけ、ラ
ウドスピーカ4から車室3内に入った位置に配設されて
いる。なお、ラウドスピーカ4から発せられる制御音の
周波数は発生しているこもり音の周波数に応じて変化す
ることから、ラウドスピーカ4及びマイクロフォン6間
の距離は、制御音が採り得る最も短い波長に基づいて決
定する。
【0023】一方、エンジン2には、基準信号生成手段
としてのクランク角センサ7が設けられていて、そのク
ランク角センサ7が出力する基準信号x(n)がコント
ローラ10に供給されるようになっている。ここで、例
えばレシプロ4気筒エンジンの場合にはこもり音はクラ
ンク軸の1/2回転に同期して発生することから、クラ
ンク角センサ7が生成し出力する基準信号x(n)がク
ランク軸の1/2回転に同期したパルス信号やクランク
軸の1/2回転を1周期とした正弦波状の信号等であれ
ば、コントローラ10に供給される基準信号x(n)と
車室3内に伝達されるこもり音との相関はこもり音の周
波数において“1”となる。従って、クランク角センサ
7は、そのようなパルス信号又は正弦波状の信号を生成
し基準信号x(n)としてコントローラ10に供給する
ようになっている。なお、パルス信号の場合は、コント
ローラ10内で改めて同期した正弦波を生成しこれを基
準信号x(n)とするような構成としてもよい。
【0024】そして、コントローラ10は、具体的には
図示しないマイクロコンピュータや必要なインタフェー
ス回路等を含んで構成されており、機能的には図1に示
すように、基準信号x(n)をフィルタ処理することに
よりマイクロフォン6を駆動する駆動信号y(n)を生
成し出力するフィルタ係数可変の適応ディジタルフィル
タWと、この適応ディジタルフィルタWが出力した駆動
信号y(n)を適宜増幅してマイクロフォン6に供給す
るアンプ11と、基準信号x(n),速度検出信号u
(n)及び音圧検出信号p(n)に基づき所定の適応ア
ルゴリズムに従って適応ディジタルフィルタWの各フィ
ルタ係数Wi (i=0,1,2,…,I−1:Iは適応
ディジタルフィルタWのタップ数である。)を更新する
適応処理手段としての適応処理部12と、を有してい
る。
【0025】ここで、適応処理部12は、速度検出信号
u(n)及び音圧検出信号p(n)に基づいて求められ
るラウドスピーカ4配設位置の音響インテンシティが、
そのラウドスピーカ4から車室3の外側に向かうよう
に、つまり車室3内の音響エネルギがラウドスピーカ4
を通じて外部に放出されるように、適応ディジタルフィ
ルタWの各フィルタ係数Wi を更新するように構成され
ている。
【0026】即ち、音響インテンシティとは、任意の点
における“音圧”と“空気の粒子速度”とを掛け合わせ
ることにより求められる値であり、本実施例にあって
は、ラウドスピーカ4の配設位置における音響インテン
シティは、近似的に、速度検出信号u(n)及び音圧検
出信号p(n)を掛け合わせることにより求められる。
これは、ラウドスピーカ4及びマイクロフォン6間の距
離が充分に短いため、速度センサ5配設位置における音
圧とマイクロフォン6配設位置における音圧とを等しい
と考えて差し支えないからである。
【0027】そして、ラウドスピーカ4から車室3の外
側に音響インテンシティが向かうということは、そのラ
ウドスピーカ4の配設位置におけるラウドスピーカ4か
ら車室3方向の音響インテンシティを最小化することと
等価である。そこで、音響インテンシティの平均値E
[p・u]を評価関数とし、その評価関数Eが最小化す
るように適応処理部12内の制御アルゴリズムを考え
る。
【0028】即ち、音圧検出信号p(n)は、 と表される。ただし、(n)が付く項はサンプリング時
刻nにおける値であることを表し、p0 (n)はエンジ
ン2等から車室3内に伝達される騒音の音圧であり、r
p は、 と定義される値である。なおこの(2)式中、C^
pjは、適応ディジタルフィルタWの出力側からマイクロ
フォン6に至る間の伝達関数Cp を有限インパルス応答
関数の形でモデル化した伝達関数フィルタC^p のj番
目(j=0,1,2,…,Jp−1:Jpは伝達関数フ
ィルタC^p のタップ数)のフィルタ係数である。
【0029】同様に、速度検出信号u(n)は、 と表される。ここで、u0 (n)は制御を行わない時の
速度検出信号である。ただし、ru は、 と定義される値であり、この(4)式中、C^ujは、適
応ディジタルフィルタWの出力側からラウドスピーカ4
の速度センサ5に至る間の伝達関数Cu を有限インパル
ス応答関数の形でモデル化した伝達関数フィルタC^u
のj番目(j=0,1,2,…,Ju−1:Juは伝達
関数フィルタC^u のタップ数)のフィルタ係数であ
る。
【0030】そして、上記(1),(3)式で表される
音圧検出信号p(n)及び速度検出信号u(n)を掛け
合わせた値を評価関数としてLMP(Least Mean Produ
ct)アルゴリズム(「日本音響学会平成5年度春季研究
発表会 講演論文集417〜418頁」、或いは、「J.
Hald,"A Power Controlled Active Noise Cancellation
Technique,"Proceedings of International Symposium
on Active Control of Sound and Vibration,p.285-29
0(1990) 」に詳しい。)を適用すれば、適応ディジタル
フィルタWのフィルタ係数Wi の更新式は、収束係数を
αとして下記の(5)式のようになる。
【0031】 Wi (n+1)=Wi (n) −α[rp (n−i)u(n)+ru (n−i)p(n)] ……(5) 以上から、適応処理部12の具体的な機能構成は、図2
に示すように、基準信号x(n)をフィルタ処理する伝
達関数フィルタC^p 及びC^u と、伝達関数フィルタ
C^p の出力rp (上記(2)式参照)と速度検出信号
u(n)とを掛け合わせる乗算部13と、伝達関数フィ
ルタC^u の出力ru (上記(4)式参照)と音圧検出
信号p(n)とを掛け合わせる乗算部14と、乗算部1
3及び14の結果を加算する加算部15と、加算部15
の出力を増幅する増幅率αの増幅部16と、を含んで構
成され、増幅部16の出力が、適応ディジタルフィルタ
Wの各フィルタ係数Wi の更新量ΔWi (=α[r
p (n−i)u(n)+ru (n−i)p(n)])と
なり、現在のフィルタ係数Wi (n)から更新量ΔWi
が減じられて新たなフィルタ係数Wi (n+1)がセッ
トされるようになっている。
【0032】なお、以上においてマイクロフォン6の位
置がラウドスピーカ4から離れていくと、一波長の長さ
以下であっても音圧検出信号p(n)及び速度検出信号
u(n)の位相がずれることがある。その場合、評価関
数である音響インテンシティが正確に検出できなくなる
可能性があるため、適宜位相補正を行うことが望まし
い。具体的にはマイクロフォン6とラウドスピーカ4と
の間隔に対応する音波の伝達時間Δτの分、片方をずら
せばよい。本実施例の場合、車室3よりラウドスピーカ
4側に進行波を発生させる構成としているため、音圧検
出信号p(n)をΔτ遡らせたp(n−Δτ)を改めて
p(n)と置き、上記(5)式を実行すればよい。この
ような操作は、車室3がある程度自由音場に近い性質を
有するときに有効である。
【0033】また、この理由により、マイクロフォン6
とラウドスピーカ4の間隔は、一波長よりさらに短い方
がよいことは言うまでもなく、例えば一波長より1/1
0程度以下とすることがより望ましい。マイクロフォン
〜ラウドスピーカ間の距離が短いほど望ましい、という
以上の内容については、本例の他明細書に示す以下の例
にもあてはまる。
【0034】次に、本実施例の動作を説明する。エンジ
ン2が駆動状態となると、クランク軸回転の所定次数成
分に同期して生じるエンジン振動が車体を伝搬し、これ
が車室3内に放射されてこもり音となり騒音レベル悪化
の原因となる。一方、クランク角センサ7は、エンジン
2のクランク軸回転に応じてこもり音と相関係数“1”
の基準信号x(n)を生成し、その基準信号x(n)が
コントローラ10に供給される。
【0035】コントローラ10では、その供給される基
準信号x(n)が適応ディジタルフィルタWでフィルタ
処理されて駆動信号y(n)が生成され、その駆動信号
y(n)がアンプ11で適宜増幅されてラウドスピーカ
4に供給される。すると、ラウドスピーカ4からは基準
信号x(n)即ちこもり音に相関のある制御音が発生す
ることになるが、制御開始直後は適応ディジタルフィル
タWの各フィルタ係数Wi が最適値に収束しているとは
限らないので、必ずしもラウドスピーカ4から制御音が
発生することによって車室3内の騒音レベルが低減する
とはいえない。
【0036】一方、速度センサ5がラウドスピーカ4の
スピーカコーンの振動速度を検出し速度検出信号u
(n)として出力するとともに、マイクロフォン6がそ
の配設位置の音圧を検出し音圧検出信号p(n)として
出力すると、それら検出信号がコントローラ10の適応
処理部12に供給され、また、適応処理部12には基準
信号x(n)も供給されている。
【0037】適応処理部12は、基準信号x(n)を伝
達関数フィルタC^p 及びC^u でフィルタ処理するこ
とによりrp 及びru を演算するとともに、出力rp
速度検出信号u(n)とを乗算部13で掛け合わせ、出
力ru と音圧検出信号p(n)とを乗算部14で掛け合
わせ、それら乗算部13及び14の出力を加算部15で
加算し、その加算結果を増幅部16で増幅して適応ディ
ジタルフィルタWのフィルタ係数Wi の更新量ΔWi
演算し、その更新量ΔWi に基づいて適応ディジタルフ
ィルタWのフィルタ係数Wi を更新する。そして、かか
る更新処理は、所定サンプリング・クロック毎に逐次実
行される。
【0038】従って、適応ディジタルフィルタWのフィ
ルタ係数Wi は、コントローラ10が制御を開始してか
らある程度の時間が経過すれば最適値に収束するように
なり、その場合の最適値とは、上記(5)式を導き出す
際の前提条件であったラウドスピーカ4周囲の音響イン
テンシティが最小になるような値である。そして、ラウ
ドスピーカ4周囲の音響インテンシティが最小化すると
いうことは、負の音響インテンシティが最大化すること
に相当する。つまり、適応処理部12の機能構成を上記
(5)式に従って図2に示すようにした結果、適応ディ
ジタルフィルタWのフィルタ係数Wi が適宜収束した状
態では、ラウドスピーカ4は、図3に概念的に示すよう
に、車室3内の音響エネルギを矢印Bで示すように吸収
するように作用するのである。
【0039】このため、この車両用能動型騒音制御装置
1は、マイクロフォン6配設位置周辺などの狭い範囲だ
けではなく、車室3全体の騒音レベルを低減することが
できるのである。しかも、本実施例では、マイクロフォ
ン6をラウドスピーカ4の直ぐ内側の音圧を検出するよ
うに配設しているため、車室3内の音場がいかに複雑な
反射波を含んでいてもその悪影響を受けることがないか
ら、音の環境を選ばずに常に安定した騒音低減効果を得
ることができるのである。従って、例えば温度変化等に
より音速が変化し車室3内の共鳴モードの周波数や形状
が変わる等しても、全く問題なく騒音低減効果が得られ
るのである。特に、従来の能動型騒音制御装置にあって
は、マイクロフォンがラウドスピーカから離れた位置に
配設されていたため、そのラウドスピーカ及びマイクロ
フォン間の伝達関数の変化が制御精度に与える影響が無
視できず、例えば伝達関数の同定を制御実行中に頻繁に
行う必要があったのに対し、本実施例の構成であれば、
そのような不具合もないのである。
【0040】また、ラウドスピーカ4やマイクロフォン
6の個数も、制御効果を向上させるために従来の能動型
騒音制御装置のように複数設けなくてもよいから、少な
い要素で充分な効果が得られる能動型騒音制御装置とす
ることができ、全体として安価な構成となる。なお、上
記(5)式の右辺第2項のかっこ内の値は時間的に変動
する性質を有するため、複数回のサンプリング処理にお
ける平均値(例えば、過去N回の処理の和をNで割った
単純な平均値でもよいし、重み付けをして求めた平均値
でもよい。)又は累計をフィルタ係数Wi の更新量ΔW
i として用いるように適応処理部12を構成してもよ
い。
【0041】図4は本発明の第2実施例を示す図であ
り、この実施例も上記第1実施例と同様に本発明に係る
能動型騒音制御装置を、車両の騒音源としてのエンジン
2から空間としての車室3内に伝達される騒音の低減を
図る車両用能動型騒音制御装置1に適用したものであ
る。なお、上記第1実施例と同様の構成には同じ符号を
付しその重複する説明は省略する。
【0042】即ち、本実施例では、上記第1実施例でラ
ウドスピーカ4のスピーカコーンに設けていた速度セン
サ5に代えて加速度センサ20を設けたものであり、加
速度センサ20から出力された加速度検出信号du
(n)/dtがコントローラ10に供給されるようにな
っている。そして、コントローラ10は、供給される加
速度検出信号du(n)/dtを積分する積分器21を
有しており、かかる積分器21から出力された振動状態
検出信号としての速度信号u(n)が適応処理部12に
供給されるようになっている。
【0043】ここで、本実施例の適応処理部12は上記
第1実施例と同様に図2に示すような機能構成を有する
が、本実施例では積分器21を設けているため、伝達関
数フィルタC^u は、図4に示すように、適応ディジタ
ルフィルタWから増幅器11及び加速度センサ20を介
して積分器21の下流側に至る間の伝達関数Cu を有限
インパルス応答関数の形でモデル化したディジタルフィ
ルタである。また、積分器21における積分演算による
時間遅れを実測しておき、その時間遅れ分を伝達関数フ
ィルタC^p 及びマイクロフォン6の出力にて補正され
るように構成する。このようにすることで、上記(5)
式の右辺第2項かっこ内の各数値の位相関係を揃えるこ
とができ、適応ディジタルフィルタWのフィルタ係数W
i の更新演算を上記第1実施例と同様にすることができ
る。
【0044】このような構成であれば、上記第1実施例
と同様の作用効果が得られるとともに、加速度センサ2
0として通常入手が容易な例えば圧電型加速度センサを
用いることができるから、より安価な構成とすることが
できる。ここで、本実施例では、加速度センサ20及び
積分器21によって振動状態検出手段が構成される。
【0045】図5は本発明の第3実施例の全体構成を示
す図であり、この実施例も上記第1実施例と同様に本発
明に係る能動型騒音制御装置を、車両の騒音源としての
エンジン2から空間としての車室3内に伝達される騒音
の低減を図る車両用能動型騒音制御装置1に適用したも
のである。なお、上記第1実施例と同様の構成には同じ
符号を付しその重複する説明は省略する。
【0046】即ち、本実施例では、上記第1実施例で設
けていた速度センサ5や上記第2実施例で設けていた加
速度センサ20を用いることなく、適応処理部12にお
ける更新演算を可能とした点に特徴がある。ここで、本
実施例のような一般的なラウドスピーカ4では、駆動信
号y(n)側から見たインピーダンスの主要成分は機械
的なインピーダンス即ちラウドスピーカ4のスピーカコ
ーンの運動に依存しており、音響側のインピーダンスの
影響は非常に小さいといえる。従って、スピーカコーン
の振動速度は、供給される駆動信号y(n)を観測して
いれば推定することができるのである。
【0047】そこで、本実施例では、コントローラ10
に、適応ディジタルフィルタWの出力である駆動信号y
(n)を入力としラウドスピーカ4のスピーカコーンの
振動速度を出力とした伝達関数を有限インパルス応答関
数の形でモデル化した伝達関数フィルタC* u を設けて
おき、駆動信号y(n)を伝達関数フィルタC* u でフ
ィルタ処理して得られる振動状態検出信号としての速度
推定信号u* (n)を適応処理部12に供給する構成と
している。
【0048】そして、適応処理部12にも、同様の伝達
関数フィルタC* u が設けられていて、基準信号x
(n)をその伝達関数フィルタC* u でフィルタ処理し
た値ruが乗算部14に供給されるようになっている。
このような構成であっても、上記第1実施例と同様の作
用効果を得ることができるとともに、速度センサや加速
センサが不要であるため、さらに安価で且つ信頼性の高
い構成とすることができる。
【0049】なお、適応ディジタルフィルタWの出力か
らラウドスピーカ4のスピーカコーンの振動速度に至る
間の特性の伝達ゲインが平坦で位相特性も直線状であれ
ば、コントローラ10及び適応処理部12内の伝達関数
フィルタC* u は、単純な遅延処理でも構わない。ここ
で、本実施例では、コントローラ10内で駆動信号y
(n)を伝達関数フィルタC* u を介して適応処理部1
2に供給する構成によって振動状態検出手段が構成され
る。
【0050】図7は本発明の第4実施例を示す図であ
り、この実施例も上記第1実施例と同様に本発明に係る
能動型騒音制御装置を、車両の騒音源としてのエンジン
2から空間としての車室3内に伝達される騒音の低減を
図る車両用能動型騒音制御装置1に適用したものであ
る。なお、上記第1実施例と同様の構成には同じ符号を
付しその重複する説明は省略する。
【0051】即ち、本実施例は、上記第1実施例の構成
を複数チャンネル化したものであって、車室3内には、
上記第1実施例と同様の配置関係にある二組のラウドス
ピーカ4A,4B、速度センサ5A,5B、マイクロフ
ォン6A,6Bが設けられていて、速度センサ5A,5
Bが出力した速度検出信号u1 (n),u2 (n)及び
マイクロフォン6A,6Bが出力した音圧検出信号p1
(n),p2 (n)がコントローラ10に供給されるよ
うになっている。そして、コントローラ10内には、二
組の適応ディジタルフィルタW1 ,W2 、アンプ11
A,11B、適応処理部12A,12Bを設けている。
【0052】ここで、本実施例のように複数チャンネル
化した場合、上述したLMPアルゴリズムを適用して適
応ディジタルフィルタW1 ,W2 のフィルタ係数W1i
2iの更新式を考えると、ラウドスピーカ4Aから発せ
られた制御音が速度センサ5B,マイクロフォン6Bに
与える影響及びラウドスピーカ4Bから発せられた制御
音が速度センサ5A,マイクロフォン6Aに与える影響
を考慮する必要があるため、それら更新式は下記の
(6),(7)式のようになる。
【0053】 W1i(n+1)=W1i(n) −α[rp 11(n−i)u1 (n)+ru 11(n−i)p1 (n) +rp 12(n−i)u2 (n)+ru 12(n−i)p2 (n)] ……(6) W2i(n+1)=W2i(n) −α[rp 21(n−i)u1 (n)+ru 21(n−i)p1 (n) +rp 22(n−i)u2 (n)+ru 22(n−i)p2 (n)] ……(7) ただし、rp11 ,ru11 ,rp12 ,ru12 ,rp21 ,r
u21 ,rp22 ,ru22は、上記(2),(4)式と同様
に、基準信号x(n)をそれぞれ下記の間の伝達関数を
有限インパルス応答関数の形でモデル化した伝達関数フ
ィルタC^p11〜C^u22 をフィルタ処理した値であ
る。
【0054】C^p11 :適応ディジタルフィルタW1
マイクロフォン6A C^u11 :適応ディジタルフィルタW1 →速度センサ5
A C^p12 :適応ディジタルフィルタW1 →マイクロフォ
ン6B C^u12 :適応ディジタルフィルタW1 →速度センサ5
B C^p21 :適応ディジタルフィルタW2 →マイクロフォ
ン6A C^u21 :適応ディジタルフィルタW2 →速度センサ5
A C^p22 :適応ディジタルフィルタW2 →マイクロフォ
ン6B C^u22 :適応ディジタルフィルタW2 →速度センサ5
B 従って、適応処理部12A,12Bには、それぞれ速度
検出信号u1 (n),u2 (n),音圧検出信号p
1 (n),p2 (n)が入力されるようになっていると
ともに、その具体的な構成は図8,図9に示すようにな
る。
【0055】即ち、適応処理12Aは、図8に示すよう
に、基準信号x(n)が入力される伝達関数フィルタC
p11 , C^u11 ,C^p12 ,C^u12 と、伝達関数
フィルタC^p11 の出力rp11 及び速度検出信号u
1 (n)を掛け合わす乗算部13Aと、伝達関数フィル
タC^u11 の出力ru 11及び音圧検出信号p1 (n)を
掛け合わす乗算部14Aと、伝達関数フィルタC^p12
の出力rp12 及び速度検出信号u2 (n)を掛け合わす
乗算部25Aと、伝達関数フィルタC^u12 の出力r
u12 及び音圧検出信号p2 (n)を掛け合わす乗算部2
6Aと、乗算部13A,14A,25A,26Aの結果
を加算する加算部15Aと、加算部15Aの出力を増幅
する増幅率αの増幅部16Aと、を含んで構成され、増
幅部16Aの出力が、適応ディジタルフィルタW1 のフ
ィルタ係数W1iの更新量ΔW1i(=α[rp 11(n−
i)u1 (n)+ru 11(n−i)p1 (n)+rp 12
(n−i)u2 (n)+ru 12(n−i)p
2 (n)])となる。
【0056】一方、適応処理部12Bは、図9に示すよ
うに、基準信号x(n)が入力される伝達関数フィルタ
C^p21 ,C^u21 ,C^p22 ,C^u22 と、伝達関数
フィルタC^p22 の出力rp22 及び速度検出信号u
2 (n)を掛け合わす乗算部13Bと、伝達関数フィル
タC^u22 の出力ru 22及び音圧検出信号p2 (n)を
掛け合わす乗算部14Bと、伝達関数フィルタC^p21
の出力rp21 及び速度検出信号u1 (n)を掛け合わす
乗算部25Bと、伝達関数フィルタC^u21 の出力r
u21 及び音圧検出信号p1 (n)を掛け合わす乗算部2
6Bと、乗算部13B,14B,25B,26Bの結果
を加算する加算部15Bと、加算部15Bの出力を増幅
する増幅率αの増幅部16Bと、を含んで構成され、増
幅部16Bの出力が、適応ディジタルフィルタW2 のフ
ィルタ係数W2iの更新量ΔW2i(=α[rp 21(n−
i)u1 (n)+ru 21(n−i)p1 (n)+rp 22
(n−i)u2 (n)+ru 22(n−i)p
2 (n)])となる。
【0057】このような構成とすることにより、上記第
1実施例と同様の作用により、車室3内の音響エネルギ
が、ラウドスピーカ4A及び4Bの両方に吸収されるよ
うになるため、さらに大きな騒音低減効果を得ることが
できる。なお、本実施例では、ラウドスピーカ4Aから
発せられた制御音が速度センサ5B,マイクロフォン6
Bに与える影響及びラウドスピーカ4Bから発せられた
制御音が速度センサ5A,マイクロフォン6Aに与える
影響を考慮しているが、ラウドスピーカ4A及び4B間
の距離が遠ければそのような影響を無視することができ
るため、コントローラ10の適応処理部12A,12B
の構成を上記第1実施例で説明した適応処理部12と同
じ構成とすることができ、コントローラ10における演
算負荷の軽減が図られる。
【0058】また、本実施例では、2チャンネル化した
場合について説明したが、これは3チャンネル以上であ
ってもよいし、その場合でも、各ラウドスピーカ,マイ
クロフォン間の相互影響を無視することができれば、演
算負荷の大幅な増加を招かないで済む。そして、本実施
例では、上記第1実施例の構成を複数チャンネル化した
場合について説明しているが、上記第2実施例或いは第
3実施例の構成を複数チャネル化してもよい。
【0059】さらに、上記各実施例では、車室3内の音
響エネルギをラウドスピーカを通じて吸収する構成とし
ているが、音響インテンシティを評価関数とする考え方
に基づけば、車室3の外郭を構成する壁面の所定位置か
ら音響エネルギが吸収されるようにすることも可能であ
る。即ち、車室3の壁面の所定位置に速度センサ5を固
定するとともに、その速度センサ5から騒音の波長より
短い距離だけ車室3内側に入った位置にマイクロフォン
6を配設し、その他の構成を上記第1実施例と同様にす
れば、その壁面の所定位置から車室3内の音響エネルギ
が吸収される作用効果を得ることができる。特に、車室
3の壁面のうち、こもり音が放射される放射面自身から
音響エネルギが吸収されるようにすれば、騒音の放射を
もとから効果的に絶つことができる。つまり、この場
合、音響的には、放射面の音響インピーダンスを人為的
に非常に小さい値とし、かかる放射面が振動しても音響
エネルギが車室3内に入り込まないように操作すること
に相当する。
【0060】ただし、壁面の所定位置から音響エネルギ
が吸収されるような構成とすると、ラウドスピーカと制
御位置とが離れることになるが、音場が過度に複雑な場
合等のように問題となるときには、音響エネルギを吸収
する壁面位置に近接してラウドスピーカを配設するよう
にすればよい。またさらに、上記各実施例は、制御対象
を車室3内の音響エネルギとしているが、車室3以外の
空間内の騒音を低減する装置としてもよい。
【0061】そして、上記各実施例の構成は、制御対象
を構造体内の振動エネルギとしても同様に適用できるも
のである。即ち、ラウドスピーカに代えて加振器(制御
振動源)を設けるとともに、速度センサ及びマイクロフ
ォンに代えて、加振器の発生力を検出する力センサ(加
振力発生状態検出手段)及び加振器の加振部の振動を検
出する速度センサ(振動検出手段)を設け、速度センサ
の検出信号v(n)を速度検出信号u(n)に対応さ
せ、力センサの検出信号f(n)を音圧検出信号p
(n)に対応させ、その他の構成を上記第1実施例と同
様にすれば、加振器近傍の振動インテンシティが評価関
数となり、構造体内の振動エネルギが加振器に吸収され
る作用を得ることができる。
【0062】なお、このように振動を制御対象とする場
合でも、上記第2実施例又は第3実施例のような簡略化
した構成を採用することもできるし、第4実施例のよう
に複数チャンネル化することもでき、さらには、構造体
の外郭を構成する境界面上の所定位置から振動エネルギ
を吸収するような構成とすることもできる。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、本発明にあって
は、騒音低減及び振動低減の評価関数を制御音源,制御
振動源又は境界面上の所定位置近傍の音響インテンシテ
ィ,振動インテンシティとしたため、空間内の音響エネ
ルギや構造体内の振動エネルギを確実に吸収することが
できるから、空間及び構造体全体に対して騒音低減効
果,振動低減効果を得ることができ、しかも音場や振動
場がいかに複雑な反射波を含んでいてもその悪影響を受
けることがないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の全体構成を示すブロック
図である。
【図2】第1実施例の適応処理部の機能構成を示すブロ
ック図である。
【図3】第1実施例の作用効果を説明する概念図であ
る。
【図4】本発明の第2実施例の全体構成を示すブロック
図である。
【図5】本発明の第3実施例の全体構成を示すブロック
図である。
【図6】第3実施例の適応処理部の機能構成を示すブロ
ック図である。
【図7】本発明の第4実施例の全体構成を示すブロック
図である。
【図8】第4実施例の一方の適応処理部の機能構成を示
すブロック図である。
【図9】第4実施例の他方の適応処理部の機能構成を示
すブロック図である。
【符号の説明】
1 車両用能動型騒音制御装置 2 エンジン(騒音源) 3 車室(空間) 4,4A,4B ラウドスピーカ(制御音源) 5,5A,5B 速度センサ(振動状態検出手
段) 6,6A,6B マイクロフォン(音圧検出手
段) 7 クランク角センサ(基準信号生
成手段) 10 コントローラ 12,12A,12B 適応処理部(適応処理手段) W,W1 ,W2 適応ディジタルフィルタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H03H 21/00 8842−5J

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 騒音源から騒音が伝達される空間に制御
    音を発生可能な制御音源と、前記騒音源の騒音発生状態
    を検出し基準信号として出力する基準信号生成手段と、
    前記基準信号をフィルタ処理して前記制御音源を駆動す
    る駆動信号を生成するフィルタ係数可変の適応ディジタ
    ルフィルタと、前記制御音源から前記制御音の波長より
    も短い距離だけ前記空間の内側に入った位置の音圧を検
    出し音圧検出信号として出力する音圧検出手段と、前記
    制御音源の振動状態を検出し振動状態検出信号として出
    力する振動状態検出手段と、前記音圧検出信号及び前記
    振動状態検出信号に基づき前記制御音源から前記空間の
    外側に音響インテンシティが向かうように前記適応ディ
    ジタルフィルタのフィルタ係数を更新する適応処理手段
    と、を備えたことを特徴とする能動型騒音制御装置。
  2. 【請求項2】 騒音源から騒音が伝達される空間に制御
    音を発生可能な制御音源と、前記騒音源の騒音発生状態
    を検出し基準信号として出力する基準信号生成手段と、
    前記基準信号をフィルタ処理して前記制御音源を駆動す
    る駆動信号を生成するフィルタ係数可変の適応ディジタ
    ルフィルタと、前記空間の外郭を構成する境界面上の所
    定位置から前記騒音の波長よりも短い距離だけ前記空間
    の内側に入った位置の音圧を検出し音圧検出信号として
    出力する音圧検出手段と、前記境界面上の前記所定位置
    の振動状態を検出し振動状態検出信号として出力する振
    動状態検出手段と、前記音圧検出信号及び前記振動状態
    検出信号に基づき前記境界面上の前記所定位置から前記
    空間の外側に音響インテンシティが向かうように前記適
    応ディジタルフィルタのフィルタ係数を更新する適応処
    理手段と、を備えたことを特徴とする能動型騒音制御装
    置。
  3. 【請求項3】 振動源から振動が伝達される構造体に制
    御振動を発生可能な制御振動源と、前記振動源の振動発
    生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手
    段と、前記基準信号をフィルタ処理して前記制御振動源
    を駆動する駆動信号を生成するフィルタ係数可変の適応
    ディジタルフィルタと、前記制御振動源から前記制御振
    動の波長よりも短い距離だけ前記構造体の内側に入った
    位置の振動を検出し振動検出信号として出力する振動検
    出手段と、前記制御振動源の加振力の発生状態を検出し
    加振力発生状態検出信号として出力する加振力発生状態
    検出手段と、前記振動検出信号及び前記加振力発生状態
    検出信号に基づき前記制御振動源から前記構造体の外側
    に振動インテンシティが向かうように前記適応ディジタ
    ルフィルタのフィルタ係数を更新する適応処理手段と、
    を備えたことを特徴とする能動型振動制御装置。
  4. 【請求項4】 振動源から振動が伝達される構造体に制
    御振動を発生可能な制御振動源と、前記振動源の振動発
    生状態を検出し基準信号として出力する基準信号生成手
    段と、前記基準信号をフィルタ処理して前記制御振動源
    を駆動する駆動信号を生成するフィルタ係数可変の適応
    ディジタルフィルタと、前記構造体の外郭を構成する境
    界面上の所定位置から前記振動の波長よりも短い距離だ
    け前記構造体の内側に入った位置の振動を検出し振動検
    出信号として出力する振動検出手段と、前記境界面上の
    前記所定位置の伝達力の発生状態を検出し伝達力発生状
    態検出信号として出力する伝達力発生状態検出手段と、
    前記振動検出信号及び前記伝達力発生状態検出信号に基
    づき前記境界面上の前記所定位置から前記構造体の外側
    に振動インテンシティが向かうように前記適応ディジタ
    ルフィルタのフィルタ係数を更新する適応処理手段と、
    を備えたことを特徴とする能動型振動制御装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002229572A (ja) * 2001-01-30 2002-08-16 Yoichi Suzuki 音場制御システム
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