JPH0719911A - 超音波トランスデューサ - Google Patents

超音波トランスデューサ

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JPH0719911A
JPH0719911A JP18920193A JP18920193A JPH0719911A JP H0719911 A JPH0719911 A JP H0719911A JP 18920193 A JP18920193 A JP 18920193A JP 18920193 A JP18920193 A JP 18920193A JP H0719911 A JPH0719911 A JP H0719911A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 圧電薄板とすだれ状電極とから成る超音波デ
バイスを非圧電基板に設けて成る超音波トランスデュー
サを提供する。 【構成】 すだれ状電極1を入力用として用いた場合、
すだれ状電極1に電気信号を入力するとその電気信号の
周波数のうちすだれ状電極1に対応する中心周波数とそ
の近傍の周波数の電気信号のみが弾性表面波に変換され
て圧電磁器薄板2を速度VSで伝搬する。この弾性表面
波のうち速度VSがアクリル板3単体における横波の速
度VATよりも大きいという関係を満たすものがバルク波
に変換されてアクリル板3中を伝搬する。このバルク波
はアクリル板3と液体との界面において速度VWの縦波
に変換されて液体中に放射される。 【効果】 効率よく液体中へ超音波を放射できるととも
に、液中超音波を電気信号として検出することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は圧電薄板とすだれ状電極
とから成る超音波デバイスを非圧電基板に設けて成る超
音波トランスデューサに関する。
【従来の技術】液体中に超音波を励振する場合、従来は
圧電薄板上にすだれ状電極を設けて成る超音波トランス
デューサが利用されてきた。このような超音波トランス
デューサを用いることにより、液体中に漏洩レイリ−波
や漏洩ラム波などを励振させることができる。漏洩レイ
リ−波は速度に対し周波数が一定値を示すことから、構
成は簡単ではあるがデバイス設計の自由度が小さく、し
かもすだれ状電極を含む板面が液体と接触する側にある
という問題点を有している。前記超音波トランスデュー
サを音響撮像などに利用する場合、分解能を向上させる
ために高周波化を促進したり、被測定物の焦点の位置を
微細に制御するために多モード、多周波数での駆動が必
要とされることがある。このことから、速度分散性を有
する複数のモードが存在する漏洩ラム波の使用が有力で
あると考えられるが、高周波化に伴う圧電薄板のさらな
る薄型化を必要とし、薄型化すればするほど脆弱性を伴
うという問題を残す。このようにして、従来の液体中へ
の超音波の励振手段では超音波トランスデューサの構造
そのものにも限界があり、従って、このような超音波ト
ランスデューサでは液体中への超音波の発生、検出に応
用域が限られていた。
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、低消
費電力で効率良く超音波を液体中に励振することができ
るだけでなく、液体中に存在している超音波を効率良く
電気信号に変換することができ、応答時間が短く、感度
が良く、加工性や量産性に優れた超音波トランスデュー
サを提供することにある。
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の超音波
トランスデューサは、圧電薄板とすだれ状電極とから成
る超音波デバイスを非圧電基板の一方の板面F1に設け
て成り、前記非圧電基板のもう一方の板面F2に接触さ
れた液体L1に超音波を放射するか、または前記非圧電
基板の前記板面F2に液体L2を接触させて該液体L2
中を伝搬する超音波を受信する超音波トランスデユ−サ
であって、前記すだれ状電極は前記圧電薄板における2
つの板面P1,P2のうちの板面P1に設けられてい
て、前記圧電薄板の厚さは前記すだれ状電極の電極周期
長以下であって、前記非圧電基板単体を伝搬するバルク
波の速度は前記圧電薄板単体を伝搬する弾性表面波の速
度よりも小さいことを特徴とする。請求項2に記載の超
音波トランスデューサは、前記液体L1に超音波を放射
する手段が前記すだれ状電極を入力用とし、該すだれ状
電極に電気信号を入力することにより前記非圧電基板と
前記超音波デバイスとの界面Bに零次対称モードまたは
高次モードの弾性表面波を励振し、該弾性表面波を前記
非圧電基板中にバルク波としてモード変換させ、該非圧
電基板中の該バルク波を縦波として前記液体L1中に放
射し、前記圧電薄板は前記板面P2を介して前記非圧電
基板に固着されていることを特徴とする。請求項3に記
載の超音波トランスデューサは、前記非圧電基板がアク
リル板で成り、前記圧電薄板が圧電セラミックで成り、
該圧電セラミックの分極軸の方向は該圧電セラミックに
おけるすだれ状電極を有する板面と垂直であることを特
徴とする。請求項4に記載の超音波トランスデューサ
は、前記非圧電基板がアクリル板で成り、前記圧電薄板
がLiNbO3その他の単結晶で成ることを特徴とす
る。
【作用】本発明の超音波トランスデューサは、圧電薄板
とすだれ状電極とから成る超音波デバイスを非圧電基板
に設けて成る簡単な構造を有する。すだれ状電極を入力
用としこのすだれ状電極に電気信号を入力する構造を採
用することにより、圧電薄板に速度VSの弾性表面波を
励振させることができる。その上、超音波デバイスを非
圧電基板に固着させた構造を採用することにより、この
弾性表面波を非圧電基板にバルク波として漏洩する形で
モード変換させることができる。このとき漏洩される弾
性表面波の位相速度は非圧電基板単体中の横波の速度V
ATよりも大きい。つまり、圧電薄板に励振される弾性表
面波のうちVSがVATよりも大きいという関係を満たす
ものが非圧電基板に漏洩される。弾性表面波はバルク波
として非圧電基板に漏洩されるが、この漏洩弾性表面波
はバルク波にモード変換されて非圧電基板内を伝搬す
る。このようにして、圧電薄板に励振された弾性表面波
のうち、位相速度が非圧電基板単体中の横波の速度VAT
よりも大きく縦波の速度VALよりも小さい波は速度VAT
とほぼ等しい速度を有する波に効率よく変換されて非圧
電基板に漏洩される。また、圧電薄板に励振された弾性
表面波のうち、位相速度が非圧電基板単体中の縦波の速
度VALよりも大きな波は速度VATあるいは速度VALとほ
ぼ等しい速度を有する波に効率よく変換されて非圧電基
板に漏洩される。さらに、このようにして漏洩されたバ
ルク波の一部は非圧電基板における超音波デバイスが設
けられていない方の板面に液体が接触した場合、その液
体中に効率よく速度VWの縦波として放射される。この
ようにして、本発明の超音波トランスデューサは液体中
への超音波の効率的な放射を可能にする。本発明の超音
波トランスデューサは、すだれ状電極を出力用とする場
合には、非圧電基板における超音波デバイスが設けられ
ていない方の板面に液体が接触したとき、その液体中に
存在している超音波をそのすだれ状電極から電気信号と
して出力させることができる。非圧電基板と該液体との
界面において該液体中に励振されている速度VWの縦波
をVATあるいはVALとほぼ等しい速度を有する波に効果
的に変換する構造を採用することにより、該液体中に励
振されている速度VWの縦波を効率よく非圧電基板に伝
搬することができる。非圧電基板に伝搬した速度VAT
るいはVALとほぼ等しい速度を有する波は圧電薄板との
界面において速度VSの弾性表面波に変換されて圧電薄
板に伝搬し、すだれ状電極において電気信号に変換され
て出力される。このようにして、本発明の超音波トラン
スデューサは液体中に存在する様々な波長の超音波のう
ち目的の波長を有する超音波を電気信号として出力させ
ることなどが可能となる。たとえば、超音波レベルにお
ける水中の異常音の検出等が可能となる。圧電薄板の厚
さをすだれ状電極の電極周期長以下にする構造を採用す
ることにより、すだれ状電極に加えられる電気的エネル
ギーが弾性表面波に変換される度合を大きくすることが
できるだけでなく、圧電薄板と非圧電基板との界面での
音響インピーダンスの不整合等によって生じる反射等を
抑圧することができる。従って、弾性表面波の非圧電基
板への効果的な漏洩を促進させることができる。本発明
の超音波トランスデューサは、圧電薄板の厚さdを小さ
くすることに伴う脆弱性を圧電薄板を非圧電基板に固着
することによって克服している。すなわち、非圧電基板
は圧電薄板の脆弱性を克服するために重要な役割を果た
している。非圧電基板としてアクリル板を採用し、圧電
薄板として圧電セラミックを採用し、その圧電セラミッ
クの分極軸の方向が圧電セラミックにおけるすだれ状電
極を有する板面と垂直になるような構造を採用すること
により、圧電薄板に効率よく弾性表面波を励振すること
ができ、さらにその弾性表面波を非圧電基板に効率よく
漏洩することができる。非圧電基板としてアクリル板を
採用し、圧電薄板としてLiNbO3その他の単結晶を
採用することにより、圧電薄板に効率よく弾性表面波を
励振することができ、さらにその弾性表面波を非圧電基
板に効率よく漏洩することができる。圧電薄板としてP
VDFその他の圧電高分子フィルムを採用することによ
り、より高周波対応が可能な形で圧電薄板に効率よく弾
性表面波を励振することができ、さらにその弾性表面波
を非圧電基板に効率よく漏洩することができる。圧電薄
板をすだれ状電極を有しない方の板面を介して非圧電基
板に固着することにより、すだれ状電極に加えられる電
気的エネルギーを効率よく弾性表面波に変換することが
できる。
【実施例】図1は本発明の超音波トランスデューサの一
実施例を示す断面図である。本実施例はすだれ状電極
1、圧電磁器薄板2およびアクリル板3から成る。アク
リル板3における圧電磁器薄板2を有しない方の板面は
液体に接触されている。すだれ状電極1はアルミニウム
薄膜で成る。圧電磁器薄板2は厚さがdのTDK製10
1A材(製品名)で成る。アクリル板3の厚さ(TA
は2mmである。すだれ状電極1は圧電磁器薄板2上に
設けられ、圧電磁器薄板2はアクリル板3上に設けられ
ている。圧電磁器薄板2はエポキシ系樹脂によってアク
リル板3上に固着されている。すだれ状電極1は電極周
期長が2Pの正規型のものであり、10対の電極指を有
する。図1の超音波トランスデューサのすだれ状電極1
を入力用として用いた場合、すだれ状電極1に電気信号
を入力するとその電気信号の周波数のうちすだれ状電極
1に対応する中心周波数とその近傍の周波数の電気信号
のみが弾性表面波に変換されて圧電磁器薄板2を速度V
Sで伝搬する。もしも弾性表面波の速度VSがアクリル板
3単体中での横波の速度VATよりも大きく縦波の速度V
ALよりも小さいときには、この弾性表面波は速度VAT
横波に変換されてアクリル板3に漏洩される。圧電磁器
薄板2からバルク波が漏洩されるときの漏洩角θATはV
ATとVSとの比(VAT/VS)に相関する。アクリル板3
を伝搬するバルク波はアクリル板3と液体との界面にお
いて速度VWの縦波に変換されて液体中に放射される。
このときの放射角θWは速度VWとVAT との比(VW/V
AT)に相関する。図1では圧電磁器薄板2を伝搬する弾
性表面波がアクリル板3を経由し縦波として液体中に伝
搬されるまでの伝搬形態が示されている。すだれ状電極
1に入力する電気信号の周波数に応じて速度VSが変化
することから、その電気信号の周波数を変化させること
により漏洩角θATおよび放射角θWを変動させることが
可能となる。従って、液中に超音波を放射する場合、目
的や用途に応じて最も効果的な角度で放射することがで
きる。図2はすだれ状電極1を入力用として用いた場合
で、圧電磁器薄板2に伝搬する弾性表面波の速度VS
アクリル板3単体中での縦波の速度VALよりも大きい場
合の超音波の伝搬形態を示す図である。この場合、弾性
表面波は速度VATの横波および速度VALの縦波に変換さ
れてアクリル板3に漏洩される。圧電磁器薄板2からバ
ルク波として横波が漏洩されるときの漏洩角θATはVAT
とVSとの比(VAT/VS)に相関し、縦波の場合の漏洩
角θALはVALとVSとの比(VAL/VS)に相関する。ア
クリル板3を励振するバルク波はアクリル板3と液体と
の界面において速度VWの縦波に変換されて液体中に放
射される。このときの放射角θWは速度VWとVAT との
比(VW/VAT)または速度VWとVAL との比(VW/V
AL)に相関する。すだれ状電極1に入力する電気信号の
周波数に応じて速度VSが変化することから、その電気
信号の周波数を変化させることにより、速度VSを図1
のような条件(VAT<VS<VAL)に設定することもで
き、また図2のような条件(VAL<VS)に設定するこ
ともできる。また、それぞれの漏洩角θATおよびθAL
放射角θWを変動させることが可能となる。従って、液
中に超音波を放射する場合、目的や用途に応じて最も効
果的な角度で放射することができる。図1の超音波トラ
ンスデューサのすだれ状電極1を出力用として用いた場
合、液体中における速度VWの縦波をすだれ状電極1か
ら電気信号として出力することができる。液体中におけ
る速度VWの縦波は液体とアクリル板3との界面におい
て速度VATまたはVALのバルク波に変換されてアクリル
板3を伝搬し、さらにアクリル板3と圧電磁器薄板2と
の界面において速度VSの弾性表面波に変換され、速度
Sの該弾性表面波のうちすだれ状電極1の示す中心周
波数とその近傍の周波数の弾性表面波のみが電気信号に
変換されてすだれ状電極1から出力される。このように
して、すだれ状電極1の電極周期長を目的や用途に応じ
て変化させることにより、液中における所定の波長の超
音波を電気信号として出力させることが可能となる。図
3はアクリル板3とアクリル板3に接触された水との界
面付近での超音波の伝搬形態を示す断面図である。但
し、速度VSが図1の条件(VAT<VS<VAL)を満たす
ときのものである。アクリル板3を伝搬するバルク横波
が該界面に達すると、反射角θATを示す横波反射率
T、反射角θALを示す縦波反射率RLおよび縦波透過率
Lの3成分を生じる。このようにして、アクリル板3
を伝搬するバルク横波は前記界面において一部が横波反
射率RTおよび縦波反射率RLとして反射され、残部が縦
波透過率TLとして放射角θWで水中に放射される。図4
は図1の超音波トランスデューサにおける圧電磁器薄板
2およびアクリル板3から成る層状媒体を伝搬する弾性
表面波の速度分散曲線を示す特性図であり、弾性表面波
の周波数fと圧電磁器薄板2の厚さdとの積に対する各
モードの位相速度を示す図である。但し、圧電磁器薄板
2は、圧電磁器薄板2のアクリル板3と接触する方の板
面(アクリル側板面)ともう一方の空気に接触する方の
板面(空気側板面)とがともに電気的に開放状態にある
ものを用いた。本図において”open”は開放状態で
あることを示す。また、○印は実測値を示す。弾性表面
波には複数個のモードがある。fd値がほぼ0.4MH
z・mm以下のときのA0モードの波は速度がアクリル
板3の横波速度VATよりも小さい。このような波は波の
エネルギーが表面付近に局在して伝搬する表面波であ
り、アクリル板3に漏洩されることは無い。速度がVAT
よりも大きなA0モードおよびその他のモードの波には
速度の虚数成分が存在し、波のエネルギーの一部はアク
リル板3中にバルク波として漏洩される。各モードの弾
性表面波のうち速度がVATよりも大きくVALよりも小さ
い領域の波がアクリル板3中にバルク横波として効果的
に漏洩することができる。速度がVALよりも大きい領域
の波はバルク縦波およびバルク横波としてアクリル板3
中に漏洩される。図5は図1の超音波トランスデューサ
におけるモード変換効率Cとfd値との関係を示す特性
図である。但し、圧電磁器薄板2は、圧電磁器薄板2の
アクリル側板面ともう一方の空気側板面とがともに電気
的に開放状態にあるものを用いた。A0モードを除くど
のモードにおいても圧電磁器薄板2に伝搬する弾性表面
波が効率よくアクリル板3にバルク波として漏洩される
ことがわかる。図6は圧電磁器薄板2の異なる2つの電
気的境界条件下での位相速度差から算出した実効的電気
機械結合係数k2とfd値との関係を示す特性図であ
る。但し、圧電磁器薄板2は、圧電磁器薄板2の空気側
板面にすだれ状電極1(IDT)を設けアクリル側板面
を電気的に開放状態にしたものを用いている。A0モー
ドのk2はfd=2.8MHz・mm付近からほぼ一定
の値(k2=4%)を示している。S0モードはfd=
1.4MHz・mm付近で1つのピーク(k2=17.
5%)が存在する。このピークは圧電磁器薄板2からア
クリル板3へ漏洩される表面波に対応するものと考えら
れる。A1およびA2モードもまた効率的には良好な値を
示している。このようにして、A0モードを除くどのモ
ードにおいても弾性表面波を圧電磁器薄板2からアクリ
ル板3へ効率よく漏洩させることができ、fd値を調整
することによりアクリル板3への最も効率のよい漏洩を
実現することができる。また、圧電磁器薄板2の空気側
板面にすだれ状電極1を設けた構造は製作上の容易性に
もつながるという利点を有している。図7は圧電磁器薄
板2の異なる2つの電気的境界条件下での位相速度差か
ら算出した実効的電気機械結合係数k2とfd値との関
係を示す特性図である。但し、圧電磁器薄板2は、圧電
磁器薄板2の空気側板面にすだれ状電極1を設けアクリ
ル側板面を電気的に短絡状態にしたものを用いている。
本実施例においては圧電磁器薄板2の板面に金属薄膜を
被覆することによりその板面を電気的に短絡状態にして
いる。本図において”short”は短絡状態であるこ
とを示す。図7においても図6と同様に、A0モードを
除くどのモードにおいても弾性表面波を圧電磁器薄板2
からアクリル板3へ効率よく漏洩させることができ、f
d値を調整することによりアクリル板3への最も効率の
よい漏洩を実現することができる。また、圧電磁器薄板
2の空気側板面にすだれ状電極1を設けた構造は製作上
の容易性にもつながるという利点を有している。図8は
図3に示す横波反射率RT、縦波反射率RLおよび縦波透
過率TLの位相速度に対するエネルギー分配率と角度と
の関係を示す特性図である。すなわち、バルク横波に関
する特性図である。但し、このときの角度は横波反射率
Tに対しては反射角θATを、縦波反射率RLに対しては
反射角θALを、縦波透過率TLに対しては放射角θWを示
す。縦波透過率TLの値が最も大きいのは位相速度がほ
ぼ1800m/sから2400m/s付近の領域であっ
て、このときの放射角θWは約60度から40度程度で
あることがわかる。図9はバルク縦波に関する横波反射
率RT、縦波反射率RLおよび縦波透過率TLの位相速度
に対するエネルギー分配率と角度との関係を示す特性図
である。縦波透過率TLの透過率が最も大きいのは位相
速度がほぼ2800m/s付近よりも大きな領域であっ
て、このときの放射角θWは約40度以下であることが
わかる。 図10は図1の超音波トランスデューサにお
ける挿入損失と周波数との関係の一実施例を示す特性図
であり、圧電磁器薄板2の厚さdが200μm、すだれ
状電極1の電極周期長2Pが460μmの場合の結果で
ある。本図において実線はアクリル板3に水が接触して
いない場合を示し、点線はアクリル板3に水が接触して
いる場合を示す。各周波数における実線と点線との差が
大きいほど水中に縦波として放射される度合が大きいこ
とから、A0モードを除くどのモードの表面波でも水中
に縦波として効率よく放射されていることがわかる。特
に、中心周波数がほぼ6MHzのS0モードや中心周波
数がほぼ13MHzのS2モードの表面波が水中に縦波
として放射される度合が大きいことがわかる。
【発明の効果】本発明の超音波トランスデューサによれ
ば、すだれ状電極を入力用としこのすだれ状電極に電気
信号を入力することにより、圧電薄板に速度VSの弾性
表面波を励振させることができる。その上、超音波デバ
イスを非圧電基板に固着させた構造を採用することによ
り、この弾性表面波を非圧電基板にバルク波として漏洩
する形でモード変換させることができる。このとき漏洩
される弾性表面波の位相速度は非圧電基板単体中の横波
の速度VATよりも大きい。つまり、圧電薄板に励振され
る弾性表面波のうちVSがVATよりも大きいという関係
を満たすものが非圧電基板に漏洩される。このようにし
て、圧電薄板に励振された弾性表面波のうち、位相速度
が非圧電基板単体中の横波の速度VATよりも大きく縦波
の速度VALよりも小さい波は速度VATとほぼ等しい速度
を有する波に効率よく変換されて非圧電基板に漏洩され
る。また、圧電薄板に励振された弾性表面波のうち、位
相速度が非圧電基板単体中の縦波の速度VALよりも大き
な波は速度VATあるいは速度VALとほぼ等しい速度を有
する波に効率よく変換されて非圧電基板に漏洩される。
さらに、このようにして漏洩されたバルク波の一部は非
圧電基板における超音波デバイスが設けられていない方
の板面に液体が接触した場合、その液体中に効率よく速
度VWの縦波として放射される。このようにして、本発
明の超音波トランスデューサは液体中への超音波の効率
的な放射を可能にする。すだれ状電極を出力用とする場
合には、非圧電基板における超音波デバイスが設けられ
ていない方の板面に液体が接触したとき、その液体中に
存在している超音波をそのすだれ状電極から電気信号と
して出力させることができる。非圧電基板と該液体との
界面において該液体中に励振されている速度VWの縦波
をVATあるいはVALとほぼ等しい速度を有する波に効果
的に変換する構造を採用することにより、該液体中に励
振されている速度VWの縦波を効率よく非圧電基板に伝
搬することができる。非圧電基板に伝搬した波は圧電薄
板との界面において速度VSの弾性表面波に変換されて
圧電薄板に伝搬し、すだれ状電極において電気信号に変
換されて出力される。このようにして、液体中に存在す
る様々な波長の超音波のうち目的の波長を有する超音波
を電気信号として出力させることなどが可能となる。た
とえば、超音波レベルにおける水中の異常音の検出等が
可能となる。圧電薄板の厚さをすだれ状電極の電極周期
長以下にする構造を採用することにより、すだれ状電極
に加えられる電気的エネルギーが弾性表面波に変換され
る度合を大きくすることができるだけでなく、圧電薄板
と非圧電基板との界面での音響インピーダンスの不整合
等によって生じる反射等を抑圧することができる。従っ
て、弾性表面波の非圧電基板への効果的な漏洩を促進さ
せることができる。このようにして、圧電薄板の厚さd
を小さくすることに伴う脆弱性を圧電薄板を非圧電基板
に固着することによって克服している。すなわち、非圧
電基板は圧電薄板の脆弱性を克服するために重要な役割
を果たしている。非圧電基板としてアクリル板を採用
し、圧電薄板として圧電セラミックを採用し、その圧電
セラミックの分極軸の方向が圧電セラミックにおけるす
だれ状電極を有する板面と垂直になるような構造を採用
することにより、圧電薄板に効率よく弾性表面波を励振
することができ、さらにその弾性表面波を非圧電基板に
効率よく漏洩することができる。非圧電基板としてアク
リル板を採用し、圧電薄板としてLiNbO3その他の
単結晶を採用することにより、圧電薄板に効率よく弾性
表面波を励振することができ、さらにその弾性表面波を
非圧電基板に効率よく漏洩することができる。圧電薄板
としてPVDFその他の圧電高分子フィルムを採用する
ことにより、より高周波対応が可能な形で圧電薄板に効
率よく弾性表面波を励振することができ、さらにその弾
性表面波を非圧電基板に効率よく漏洩することができ
る。圧電薄板をすだれ状電極を有しない方の板面を介し
て非圧電基板に固着することにより、すだれ状電極に加
えられる電気的エネルギーを効率よく弾性表面波に変換
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の超音波トランスデューサの一実施例を
示す断面図。
【図2】すだれ状電極1を入力用として用いた場合で、
速度VSが速度VALよりも大きい場合の超音波の伝搬形
態を示す図。
【図3】アクリル板3とアクリル板3に接触された水と
の界面付近での超音波の伝搬形態を示す断面図。
【図4】図1の超音波トランスデューサにおける圧電磁
器薄板2およびアクリル板3から成る層状媒体を伝搬す
る弾性表面波の速度分散曲線を示す特性図。
【図5】図1の超音波トランスデューサにおけるモード
変換効率Cとfd値との関係を示す特性図。
【図6】圧電磁器薄板2の異なる2つの電気的境界条件
下での位相速度差から算出した実効的電気機械結合係数
2とfd値との関係を示す特性図。
【図7】圧電磁器薄板2の異なる2つの電気的境界条件
下での位相速度差から算出した実効的電気機械結合係数
2とfd値との関係を示す特性図。
【図8】図3に示す横波反射率RT、縦波反射率RLおよ
び縦波透過率TLの位相速度に対するエネルギー分配率
と角度との関係を示す特性図。
【図9】バルク縦波に関する横波反射率RT、縦波反射
率RLおよび縦波透過率TLの位相速度に対するエネルギ
ー分配率と角度との関係を示す特性図。
【図10】図1の超音波トランスデューサにおける挿入
損失と周波数との関係の一実施例を示す特性図。
【符号の説明】
1 すだれ状電極 2 圧電磁器薄板 3 アクリル板

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電薄板とすだれ状電極とから成る超音
    波デバイスを非圧電基板の一方の板面F1に設けて成
    り、前記非圧電基板のもう一方の板面F2に接触された
    液体L1に超音波を放射するか、または前記非圧電基板
    の前記板面F2に液体L2を接触させて該液体L2中を
    伝搬する超音波を受信する超音波トランスデユ−サであ
    って、 前記すだれ状電極は前記圧電薄板における2つの板面P
    1,P2のうちの板面P1に設けられていて、 前記圧電薄板の厚さは前記すだれ状電極の電極周期長以
    下であって、 前記非圧電基板単体を伝搬するバルク波の速度は前記圧
    電薄板単体を伝搬する弾性表面波の速度よりも小さいこ
    とを特徴とする超音波トランスデューサ。
  2. 【請求項2】 前記液体L1に超音波を放射する手段は
    前記すだれ状電極を入力用とし、該すだれ状電極に電気
    信号を入力することにより前記非圧電基板と前記超音波
    デバイスとの界面Bに零次対称モードまたは高次モード
    の弾性表面波を励振し、該弾性表面波を前記非圧電基板
    中にバルク波としてモード変換させ、該非圧電基板中の
    該バルク波を縦波として前記液体L1中に放射し、 前記圧電薄板は前記板面P2を介して前記非圧電基板に
    固着されていることを特徴とする請求項1に記載の超音
    波トランスデューサ。
  3. 【請求項3】 前記非圧電基板がアクリル板で成り、前
    記圧電薄板が圧電セラミックで成り、該圧電セラミック
    の分極軸の方向は該圧電セラミックにおけるすだれ状電
    極を有する板面と垂直であることを特徴とする請求項1
    または2に記載の超音波トランスデューサ。
  4. 【請求項4】 前記非圧電基板がアクリル板で成り、前
    記圧電薄板がLiNbO3その他の単結晶で成ることを
    特徴とする請求項1または2に記載の超音波トランスデ
    ューサ。
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