JP2017187421A - 超音波送受波装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】水などの液体を介することなく、対象物中に効率良く縦波を照射し、その反射波を受波することを可能にする。【解決手段】もしも入力電気信号が入力用すだれ状電極2に印加されると、ラム波が圧電基板1に効率良く励振される。ラム波は、固体媒体4における縦波速度がそのラム波の位相速度と等しいかそれよりも低い場合には、縦波として固体媒体4に漏洩する。固体媒体4中の縦波は、対象物5中へ伝搬し、対象物5に含まれる標的6によって反射され、再び固体媒体4を介して圧電基板1にラム波として伝搬する。このラム波は出力用すだれ状電極3によって出力電気信号として検出される。【選択図】図1

Description

本発明は、媒体として液体を利用することなく対象物中に超音波を照射し、その反射波を受波する超音波送受波装置に関するものである。
対象物中に超音波を照射して、その反射波を受波するためには、駆動周波数が圧電基板の厚さに依存するような厚み振動モードの圧電トランスデューサや、圧電基板にすだれ状電極を設けて成る漏洩弾性表面波トランスデューサが汎用されている。これらの従来型のトランスデューサは、照射角度が限定されるばかりでなく、高周波駆動が難しいという問題点を有している。その上、漏洩弾性表面波トランスデューサの場合には、すだれ状電極が備えられた圧電基板面と、対象物との間に液体層を設ける必要があることから、デバイス作成上の困難を伴う。
上記の問題を解決する目的で、超音波音圧センサ(特許文献1)が公開されている。これは、圧電基板1、入力用すだれ状電極2、第1出力用すだれ状電極3、弾性膜5および貯蔵室6を含む。駆動中、圧電基板1に励振された弾性波の漏洩成分は、貯蔵室6における液体を媒体として、弾性膜5に対し縦波として照射され、反射された縦波は、再び液体を媒体として第1出力用すだれ状電極3によって第1遅延電気信号として検出される。このような従来のデバイスは、縦波を送受波するためには液体の介在を必要とする。
また、超音波照射装置(特許文献2)が公開されている。これは、圧電基板1、第2入力用すだれ状電極3に加えて、シリコンゴム製の高分子膜8を含む。駆動中、圧電基板1に励振された弾性波の漏洩成分は、例えば細胞質などの物質中に、高分子膜8を介して縦波として照射される。このような従来のデバイスでは、高分子膜8の材質や厚さにより、高分子膜8中において縦波が減衰または消失する可能性がある。さらに、特許文献2の発明においては、金属やその他の硬い物質中への縦波照射に高分子膜8が寄与しているということは開示されていない。
このようにして、液体を介して対象物に超音波を照射して、その反射波を受波する従来技術では、デバイスの製造が困難であり、実用性および汎用性に欠ける。また、高分子膜を介して対象物に超音波を照射する従来技術では、高分子膜の材質や厚さによっては照射が不可能になるという問題を有していた。
特開2001−304952号公報 特開2001−309496号公報
解決しようとする問題点は、液体や高分子膜を介して対象物に超音波を照射して、その反射波を受波する従来技術では、デバイスの製造が困難であることや、高分子膜についての条件が不明確であることから送受波機能を十分に発揮できる可能性が低く、実用性に欠けるという問題を有していたことである。
本発明は、対象物が液体、ゾル、ゲルまたは固体であるかどうかにかかわらず、対象物中に超音波を照射することが可能な超音波送受波装置を提供することを目的とする。
また本発明は、対象物に含まれる様々なタイプ、種類およびサイズの標的に対して超音波を照射することと、標的で反射された超音波を受波することが可能な超音波送受波装置を提供することを目的とする。
また本発明は、超音波を送受波するために、媒体として液体を介することを必要としない超音波送受波装置を提供することを目的とする。
また本発明は、対象物中に広角にわたり超音波を照射し、対象物に含まれる標的で反射させて受波することが可能な超音波送受波装置を提供することを目的とする。
また本発明は、対象物中に効率良く超音波を照射し、対象物に含まれる標的で反射させて効率良く受波することが可能な超音波送受波装置を提供することを目的とする。
また本発明は、高感度で超音波の送受波が可能な超音波送受波装置を提供することを目的とする。
また本発明は、低電圧および低消費電力駆動に優れた超音波送受波装置を提供することを目的とする。
また本発明は、構造が簡単で軽量で、製造が容易で、良好な歩留まりを有し、耐久性にも優れた超音波送受波装置を提供することを目的とする。
また本発明は、小さな対象物にも容易に取り付けることができる超音波送受波装置を提供することを目的とする。
また本発明は、機械的スキャニングシステムなどに容易に支持されうる超音波送受波装置を提供することを目的とする。
また本発明は、ディスポーザブルな使用形態にも適した超音波送受波装置を提供することを目的とする。
また本発明は、環境の変化に伴う温度変化に影響される駆動周波数の逸脱に順応する能力を有する超音波送受波装置を提供することを目的とする。
また本発明は、対象物の内部欠陥を検出する非破壊検査技術に応用可能な超音波送受波装置を提供することを目的とする。
また本発明は、例えば、がん細胞などを検出する超音波診断技術に応用可能な超音波送受波装置を提供することを目的とする。
また本発明は、ドラッグデリバリーシステムや、例えば、がん細胞などを攻撃する超音波治療技術に応用可能な超音波送受波装置を提供することを目的とする。
また本発明は、物体の形状、位置および大きさを把握するイメージングシステムに応用可能な超音波送受波装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するためになされた本発明の超音波送受波装置は、圧電基板と、少なくとも1つの入力用すだれ状電極と、少なくとも1つの出力用すだれ状電極と、固体媒体とを有するものである。少なくとも1つの入力用すだれ状電極および少なくとも1つの出力用すだれ状電極は、圧電基板上に設けられている。固体媒体は、圧電基板の下に設けられている。
このように構成することで、少なくとも1つの入力用すだれ状電極は、入力電気信号を印加されることにより圧電基板にラム波を励振し、そのラム波を縦波として固体媒体に照射する機能を有する。固体媒体は、固体媒体に接触する対象物中に縦波を伝搬し、対象物中に存在する標的で反射された縦波を圧電基板中にラム波として再び伝搬する機能を有する。少なくとも1つの出力用すだれ状電極は、圧電基板中に伝搬されたそのラム波を出力電気信号として検出する機能を有する。
また、本発明の超音波送受波装置は、それぞれ異なった電極周期長を有する少なくとも2つの入力用すだれ状電極と、それぞれ異なった電極周期長を有する少なくとも2つの出力用すだれ状電極を含む構成が可能である。
このように構成することで、同じ電極周期長を有する少なくとも2つの入力用すだれ状電極を使用する場合に比べ、固体媒体に対し多方向への縦波照射が可能になる。また、同じ電極周期長を有する少なくとも2つの出力用すだれ状電極を使用する場合に比べ、多方向からの反射縦波を受波し易くなる。
また、本発明の超音波送受波装置は、それぞれ異なった電極周期長を有する少なくとも2つの入力用すだれ状電極と、それぞれ異なった電極周期長を有する少なくとも2つの出力用すだれ状電極を含む構成において、入力用すだれ状電極は、圧電基板において電極周期長の小さいものから大きいものへと順に配置され、出力用すだれ状電極は、入力用すだれ状電極に対応する位置に配置される。
このように構成することで、固体媒体に対し多方向への的確な縦波照射が可能になる。また、反射縦波の的確な受波が可能となる。
また、本発明の超音波送受波装置は、2組のトランスデューサユニットを用いる構成が可能である。各トランスデューサユニットは少なくとも1つの入力用すだれ状電極と少なくとも1つの出力用すだれ状電極から成るものである。
このように構成することで、電子スキャニングシステムの構築が可能となり、固体媒体に対し更に多方向への的確な縦波照射と、反射縦波の更に的確な受波が可能となる。
また、本発明の超音波送受波装置は、固体媒体中の縦波速度が、圧電基板中のラム波の位相速度と等しいかそれよりも低いという構成を有する。
このように構成することで、圧電基板に励振されたラム波が、縦波として固体媒体中に効率良く漏洩する。また、反射縦波が、ラム波として効率良く圧電基板に伝搬する。
また、本発明の超音波送受波装置は、固体媒体が少なくとも2層で成る層状構造を有し、その層状構造の最上層部を伝搬する縦波速度は、圧電基板中のラム波の位相速度と等しいかそれよりも低いという構成を有する。
このように構成することで、圧電基板に励振されたラム波が、縦波として固体媒体中に効率良く漏洩する。また、反射縦波が、ラム波として効率良く圧電基板に伝搬する。
また、本発明の超音波送受波装置は、固体媒体の厚さが圧電基板を補強するのに十分にしてかつ必要な厚さを超えないという構成を有する。
このように構成することで、圧電基板に励振されたラム波が、縦波として対象物中に効率良く伝搬する。また、反射縦波が、ラム波として効率良く圧電基板に伝搬する。
また、本発明の超音波送受波装置は、固体媒体の減衰定数が、縦波の対象物への伝搬がもはや起こらないほどの値を超えることはない。
このように構成することで、圧電基板に励振されたラム波が、縦波として対象物中に効率良く伝搬する。また、反射縦波が、ラム波として効率良く圧電基板に伝搬する。
また、本発明の超音波送受波装置は、圧電基板が圧電セラミックで成り、その圧電セラミックの分極軸の方向は厚さ方向と平行である。
このように構成することで、ラム波が圧電基板に効率良く励振される。また、反射縦波が、ラム波として効率良く圧電基板に伝搬する。
また、本発明の超音波送受波装置は、圧電基板が、圧電性を有する単結晶や圧電性高分子フィルムで成る。
このように構成することで、ラム波が圧電基板に効率良く励振される。また、反射縦波が、ラム波として効率良く圧電基板に伝搬する。
また、本発明の超音波送受波装置は、いずれのすだれ状電極も、圧電基板の厚さ以上の値の電極周期長を有する。
このように構成することで、ラム波が圧電基板に効率良く励振される。また、反射縦波が、ラム波として効率良く圧電基板に伝搬する。
また、本発明の超音波送受波装置は、入力用および出力用すだれ状電極が、少なくとも2つの電極周期長を有する分散型の電極構造で成る。
このように構成することで、更に多方向への縦波照射が可能となる。また、更に多方向からの反射縦波の受波が可能となる。
また、本発明の超音波送受波装置は、入力用および出力用すだれ状電極が円弧状の電極パターンを有する。
このように構成することで、縦波の局所的照射が可能となる。また、反射縦波を精密に検出することが可能となる。
また、本発明の超音波送受波装置は、入力用および出力用すだれ状電極が円弧状の電極パターンを有するとともに、少なくとも2つの電極周期長を有する分散型の電極構造で成る。
このように構成することで、更に多方向へわたり縦波の局所的照射が可能となる。また、更に多方向からの反射縦波の精密な受波が可能となる。
本発明によれば、媒体として液体を利用することなく対象物中に効率良く縦波を照射し、対象物中に含まれる標的により反射された縦波を効率良く受波することが可能となる。
本発明の超音波送受波装置の第1の実施例を示す概略図である。(実施例1) 図1の超音波送受波装置を上方から見たときの部分平面図である。 図1の超音波送受波装置を上方から見たときのもう1つの平面図である。 図1の超音波送受波装置を上方から見たときのさらにもう1つの平面図である。 圧電基板1およびに固体媒体4から成る2層体に励振される各ラム波モードの位相速度(VLami)のft依存性を示す特性図である。 電気機械結合係数k2のft依存性を示す特性図である。 前述の2層体におけるラム波モードの挿入損失と、入力電気信号の周波数(fi)との関係を示す特性図である。 図5と同様な特性図を示すが、図5で述べられている圧電セラミックが、圧電性を有するニオブ酸リチウム単結晶に置き換えられた2層体についてのものである。 すだれ状電極8の平面図である。 本発明の超音波送受波装置の第2の実施例を上方から見たときの平面図である。(実施例2) すだれ状電極11の平面図である。 本発明の超音波送受波装置の第3の実施例を示す概略図である。(実施例3) 図12の超音波送受波装置を上方から見たときの平面図である。 本発明の超音波送受波装置の第4の実施例を上方から見たときの平面図である。(実施例4) 本発明の超音波送受波装置の第5の実施例を上方から見たときの平面図である。(実施例5) 図15の超音波送受波装置の側面図である。 本発明の超音波送受波装置の第6の実施例を上方から見たときの平面図である。(実施例6) 本発明の超音波送受波装置の第7の実施例を示す概略図である。(実施例7)
製造が容易で、しかも、効率良く超音波を送受波するという目的を、液体に代わる固体媒体を利用することにより達成した。
図1は、本発明の超音波送受波装置の第1の実施例を示す概略図である。本実施例は圧電基板1、入力用すだれ状電極2、出力用すだれ状電極3および固体媒体4から成る。圧電基板1は、たとえば230 μmの厚さ(t)を有する圧電セラミックで成り、その分極軸の方向は、両端面に垂直な方向、つまり厚さ(t)方向と平行である。このとき、圧電基板1として、圧電性を有する単結晶や圧電性高分子フィルムなどの圧電性部材を用いることも可能である。入力用すだれ状電極2および出力用すだれ状電極3は、同様な構造を有し同様な材質、たとえばアルミニウム薄膜で成り、圧電基板1の上端面に設けられている。圧電基板1は固体媒体4上に設けられている。固体媒体4はアクリル樹脂などで成り、低減衰定数を有し、たとえば1 mmの厚さを有する。この厚さは、固体媒体4が圧電基板1を補強し得るのに十分な厚さである。このようにして、図1の超音波送受波装置は小型軽量で構造も簡単であることから、小さな対象物にも容易に取り付けることができ、ディスポーザブルな使用形態にも適している。また、製造が容易である上、良好な歩留まりを有し、耐久性にも優れている。図1の超音波送受波装置を駆動する場合には、固体媒体4の下端面に対象物5を接触させる必要がある。対象物5は、たとえば、深さがレベル1,2または3に位置する標的6を含む。図1の圧電基板1、固体媒体4および対象物5の中に描かれた矢印は、駆動中にそれらの中を伝搬する波の方向を示すものである。
図2は、図1の超音波送受波装置を上方から見たときの部分平面図である。入力用すだれ状電極2および出力用すだれ状電極3は、圧電基板1の厚さ(t)と同じかそれよりも大きい値の電極周期長(p)を有する。図2における矢印は、駆動中に圧電基板1を伝搬する波の方向を示す。
図1の超音波送受波装置において、もしも周波数fi (i=1,2,……, またはn)を有する入力電気信号が入力用すだれ状電極2に印加されると、電極周期長(p)にほぼ対応する波長と、位相速度VLami (i=1,2,……, またはn)を有するラム波モードが圧電基板1に効率良く励振される。これは、圧電基板1が圧電セラミックで成り、その分極軸の方向が厚さ(t)方向と平行であることに起因する。このようにして、図1のデバイスは低電圧および低消費電力駆動に優れている。
圧電基板1に励振されたラム波モードは、固体媒体4における縦波速度VMeがラム波モードの位相速度VLamiと等しいかそれよりも低い場合には、縦波として固体媒体4に有効に漏洩する。換言すると、VMe≦VLamiという条件の下では、圧電基板1と固体媒体4との界面において漏洩ラム波から縦波へのモード変換が起こる。ラム波モードは、圧電基板1中をその両端面に平行な方向に沿って伝搬する波であることから、ラム波モードが圧電基板1中を伝搬する角度θLamについては、θLam = π/2という関係が成立する。従って、漏洩ラム波の固体媒体4への照射角θMei (i=1,2,……, またはn)については、sinθLam/sinθMei = VLami/VMe、すなわちθMei = sin-1(VMe/VLami)という関係が成立する。
固体媒体4中の縦波は、固体媒体4と対象物5との界面において屈折し、対象物5中へ伝搬する。このときの屈折角θObi (i=1,2,……, またはn)および対象物5における縦波速度VObについては、sinθMei/sinθObi = VMe/VObという関係が成立する。図1は、VMeがVObより高い場合には、θMeiがθObiより大きいことを示す。図1のデバイスは、固体媒体4として液体を使用することなく、縦波を対象物5に照射することを可能にする。
入力電気信号の周波数fiを変えることにより、それに応じてVLamiもまた変化する。このことは、fiを変えることにより、ラム波のモードを変えることが可能であることを意味する。すなわち、入力電気信号の周波数の多様性が、縦波の対象物5中への屈折角の多様性につながる。このようにして、図1で示されるような、全てが固体で成るデバイスは、色々なタイプおよび種類の対象物5中に広角にわたり縦波を照射するのに有効である。対象物5が液体、ゾル、ゲルまたは固体、たとえば、水、溶液、細胞質、セメント、ガラス、金属、合金、コンクリート、石などであるかどうかは問題とならない。
標的6のサイズや位置にかかわらず、縦波の少なくとも1つが標的6に当たり、標的6に反射される。従って、fiを変化させることにより色々なタイプ、種類およびサイズの標的6に対し、縦波を照射することが可能となる。標的6としては、皮膚の下の血管、癌細胞などや、金属内における密度の異なる部分などが挙げられる。
反射された縦波は、VMe≦VLamiという条件の下、ラム波として圧電基板1中に効率良く漏洩する。換言すると、固体媒体4と圧電基板1との界面において反射縦波からラム波へのモード変換が起こる。固体媒体4の厚さは、固体媒体4中の縦波の減衰を最小限にとどめるものでなくてはならない。従って、圧電基板1の強さを補強する為に必要にして十分な厚さ以上には厚過ぎないことが要求される。また、固体媒体4の減衰定数はなるべく低いことが望まれる。少なくとも、縦波の対象物5または圧電基板1への伝搬がもはや起こらないほど高いものであってはならない。
圧電基板1中のラム波モードは、出力用すだれ状電極3で出力電気信号として効率良く検出される。出力電気信号は、入力電気信号と同じ周波数fiを有するとともに、電極周期長(p)にほぼ対応する波長を有する。結果として、出力用すだれ状電極3は、標的6のサイズや位置にかかわらず、標的6を探し出すことを可能にする。このようにして、図1のデバイスは、物質の内部状態を探索するのに有効である。たとえば、生体内の病変を特定したり、金属内における密度の異なる部分を特定したりすることも可能になる。もしも、標的6が内部欠陥である場合には、デバイスは非破壊検査システムとして機能することが可能である。すなわち、図1のデバイスは、ドラッグデリバリーシステム、超音波診断技術、超音波治療技術、非破壊検査技術などへの応用が可能である。
図3は、図1の超音波送受波装置を上方から見たときのもう1つの平面図であり、機械的スキャニングシステムを用いて駆動した場合の図である。機械的スキャニングシステムは図3では描かれていないが、たとえば、互いに直交する2本のレールから成り、その2本のレールに沿って図1のデバイス自体を動かすものである。この際、図1のデバイスは容易に支持されることが必要である。このようにして、デバイスは、対象物5の表面すべてをスキャンすることが可能となる。図3における矢印は、デバイスの動作方向を示す。もちろん、手動でデバイスを全ての方向に動かすことも可能である。対象物5の表面をスキャンすることにより、2次元の方向の駆動が可能になり、標的6の形状、位置および大きさを把握することが更に容易になる。従って、図1のデバイスは、イメージングシステムに応用されることが可能となる。
図4は、図1の超音波送受波装置を上方から見たときのさらにもう1つの平面図である。このデバイスは、出力用すだれ状電極3と入力用すだれ状電極2の間に増幅器7がさらに備えられたものである。図4のデバイスにおいては、出力用すだれ状電極3で検出された遅延電気信号は、増幅器7を介して増幅された後、入力電気信号として入力用すだれ状電極2に再び印加される。増幅器7を使用することにより、自励発信回路が形成され、簡素でありながら、環境の変化に伴う温度変化に影響される駆動周波数の逸脱に順応する能力を有することとなる。
図5は、圧電基板1およびに固体媒体4から成る2層体に励振される各ラム波モードの位相速度(VLami)のft依存性を示す特性図であり、圧電基板1が圧電セラミックで成り、固体媒体4がアクリル樹脂で成る場合についてのものである。ft値は入力電気信号の周波数(fi)と圧電基板1の厚さ(t)との積を示す。速度分散曲線と黒丸は、それぞれ計算値と実測値を示す。全ての値は、圧電基板1の上端面と固体媒体4の下端面が、それぞれ電気的に短絡および開放状態にある時のものである。速度分散曲線は、圧電基板1単体の場合、または固体媒体4の代わりに水から成る2層体における場合とほとんど違いは見られなかった。速度分散曲線の側に記されている数字は、個々のラム波モードの通し番号である。3本の斜めの直線状の破線は、それぞれ入力用すだれ状電極2が400 μm、500μm、600 μmの3つの電極周期長(p)を有する場合の動作特性を表すもの(動作直線)である。それらの斜線と速度分散曲線との交点は、入力用すだれ状電極2が各電極周期長(p)を有する場合における最適な動作条件に相当する。2本の水平な直線状の破線LaおよびLwは、それぞれ固体媒体4単体および水単体中を伝搬する縦波速度の軌跡である。水は、圧電基板と対象物を媒介する物として、一般的に広く用いられているものである。たとえば、14.2 MHz (fi)の入力電気信号が、400 μmの電極周期長(p)を有する入力用すだれ状電極2に印加されると、約5.7 km/s (VLami)の位相速度を有する第5次モードのラム波のみが、230 μmの厚さ(t)を有する圧電基板1に励振される。VMe = 2.7 km/sであることから、前述の式θMei = sin-1(VMe/VLami)によれば、第5次モードのラム波は、約29度の照射角(θMei)で固体媒体4中に漏洩することが分かる。図5は、どのモードのラム波が固体媒体4中に漏洩するかは、圧電基板1の厚さ(t)および入力用すだれ状電極2の電極周期長(p)が不変であるという条件の下では、入力電気信号の周波数fiに依存するということを示す。
図6は、電気機械結合係数k2のft依存性を示す特性図である。k2値は、固体媒体4の下端面が電気的に開放状態にある場合において、圧電基板1の上端面が電気的に開放状態にある時のラム波モードのVLamiと、短絡状態にある時のVLamiとの差から計算される。速度分散曲線の側に記されている数字は、個々のラム波モードの通し番号である。図6は、たとえばft値が1.2 MHz・mmの場合には、第1次モードのラム波のk2の最大値は12.5 %であることを示す。言い換えれば、第1次モードのラム波は、ft値が1.2 MHz・mmの時に最も効率良く圧電基板1に励振される。図6のk2値は、圧電基板1単体における値とほとんど変わらない。このことは、入力電気信号からラム波モードへの変換効率は、圧電基板1およびに固体媒体4から成る2層体においても、圧電基板1単体における場合とほとんど変わらないことを意味する。
図7は、前述の2層体におけるラム波モードの挿入損失と、入力電気信号の周波数(fi)との関係を示す特性図である。但し、固体媒体4が1 mmの厚さを有し、すだれ状電極2が600 μmの電極周期長(p)を有する場合の特性図である。挿入損失の最小値は、第1次モードにおける-33.1 dBであり、このときのfi値は5.56 MHzである。この挿入損失の値は、圧電基板1単体の場合に比べると、かなり大きい。このことは、固体媒体4、続いて対象物5に縦波を照射し、反射縦波を出力電気信号として検出するには、5.56 MHzでの駆動が適していることを示す。
図8は、図5と同様な特性図を示すが、図5で述べられている圧電セラミックが、圧電性を有するニオブ酸リチウム単結晶に置き換えられた2層体についてのものである。この2層体においては、圧電基板1の上端面と固体媒体4の下端面はともに電気的に開放状態にある。斜めの直線状の破線は、入力用すだれ状電極2が300 μmの電極周期長(p)を有する場合の動作特性を表すもの(動作直線)である。たとえば、20.3 MHz (fi)の入力電気信号が、300 μmの電極周期長(p)を有する入力用すだれ状電極2に印加されると、約6.1 km/s (VLami)の位相速度を有する第2次モードのラム波のみが、230 μmの厚さ(t)を有する圧電基板1に励振される。VMe = 2.7 km/sであることから、第2次モードのラム波は、約26度の照射角(θMei)で固体媒体4中に漏洩することが分かる。反射縦波は、第2次モードのラム波にモード変換され、300 μmの電極周期長(p)を有する出力用すだれ状電極3において20.3 MHz (fi)の出力電気信号として検出される。図8は、アクリル樹脂やその他の高分子材料だけでなく、金属や合金やその他の材質も、VMe≦VLamiという関係が成立する限り固体媒体4として有効であることを示す。換言すれば、本発明の超音波送受波装置では固体媒体3の材質如何により、低次モードはもちろんのこと高次モードのラム波でも、固体媒体3中に漏洩されることが可能であることと、反射縦波が、再び送波と同じモードのラム波として圧電基板1中に漏洩されることが可能であることを示す。
図9は、すだれ状電極8の平面図である。すだれ状電極8は図1の入力用すだれ状電極2および出力用すだれ状電極3の代わりに用いられるものであり、電極指の構成が、2以上の電極周期長を有する分散型であることを除き、入力用すだれ状電極2および出力用すだれ状電極3と同様な構造を有する。具体的には、すだれ状電極8は、徐々に増加する電極周期長pi (i=1,2,……, およびn)を有する。このようにして、すだれ状電極8はp1(400 μm) から pn(600 μm)の一連の電極周期長を有する。
電極周期長pi (i=1,2,……, および n)に対応する周波数を有する一連の入力電気信号が、図1のデバイスにおいて入力用すだれ状電極2の代わりに設けられたすだれ状電極8に印加されると、400 μmから600 μmの電極周期長piにほぼ対応する波長を有する一連の多モードのラム波が圧電基板1に励振される。一連の多モードのラム波は、固体媒体4における縦波速度がラム波モードの位相速度とほぼ等しいか低い場合には、一連の縦波として固体媒体4中に効率良く漏洩する。一連の縦波は、標的6によって反射され、出力用すだれ状電極3の代わりに設けられたすだれ状電極8において一連の出力電気信号として検出される。すだれ状電極8を使用することにより、すだれ状電極2を使用する場合に比べ、更に多方向への縦波照射が可能となり、標的6のサイズや位置にかかわりなく標的6に対し確実な縦波照射が可能となるばかりでなく、多方向へ反射された縦波を正確に検出することが可能となる。図5は、すだれ状電極2の電極周期長(p)が400 μmおよび600 μmに対応する2本の斜めの破線に挟まれた領域内にある速度分散曲線が、まさにすだれ状電極8の最適駆動条件に相当するということを示す。
図10は、本発明の超音波送受波装置の第2の実施例を上方から見たときの平面図である。本実施例は、入力用すだれ状電極2の代わりに入力用すだれ状電極9、出力用すだれ状電極3の代わりに出力用すだれ状電極10が用いられていることと、増幅器7がさらに備えられていることを除いて、図1と同様な構造を有する。固体媒体4、対象物5および標的6は図10では描かれていない。入力用すだれ状電極9および出力用すだれ状電極10は、開口角が60度で、電極周期長(p)が300 μmの円弧状の電極パターンを有する。図10における矢印は、駆動中に圧電基板1を伝搬する波の方向を示す。
図10の超音波送受波装置においては、図1における場合と同様にして、圧電基板1にラム波モードが励振され、ラム波モードは固体媒体4に、続いて対象物5中に縦波として効率良く照射される。すだれ状電極9および10の電極周期長(p)、圧電基板1の厚さ(t)および固体媒体4の厚さの最適値を総合的に調整することにより、入力用すだれ状電極9は、標的6のただ一点に縦波のエネルギーを集中させることを可能にする。このようにして、入力用すだれ状電極9は、標的6のサイズや位置にかかわらず、標的6に対し縦波の局所的照射を可能とする。さらに、出力用すだれ状電極10は、標的6において分散された反射縦波を電気信号として精密に検出することを可能にする。また、増幅器7を使用することにより、図4と同様にして自励発信回路の構成が可能となる。
図11は、すだれ状電極11の平面図である。すだれ状電極11は図10のすだれ状電極9および10の代わりに用いられるものであり、電極指の構成が、2以上の電極周期長を有する分散型であることを除き、すだれ状電極9および10と同様な構造を有する。具体的には、すだれ状電極11は、徐々に増加する電極周期長pi (i=1,2,……, およびn)を有する。このようにして、すだれ状電極11はp1(400 μm) から pn(600 μm)の一連の電極周期長を有する。
すだれ状電極11を使用することにより、その電極周期長piにほぼ対応する波長を有する一連の多モードのラム波が圧電基板1に励振される。一連の多モードのラム波は、固体媒体4に、続いて対象物5中に一連の縦波として効率良く照射される。すだれ状電極11は、入力用すだれ状電極9に比べ、さらなる多方向への縦波照射を可能とする。すだれ状電極11の電極周期長(pi)、圧電基板1の厚さ(t)および固体媒体4の厚さの最適値を総合的に調整することにより、すだれ状電極11は、対象物5または標的6のただ一点に縦波のエネルギーを集中させることを可能にする。このようにして、すだれ状電極11は、標的6のサイズや位置にかかわらず、標的6に対し縦波の確実で局所的な照射を可能にする。また、すだれ状電極11は、出力用すだれ状電極10に比べ、標的6において分散された反射縦波を電気信号として更に精密に検出することを可能にする。
図12は、本発明の超音波送受波装置の第3の実施例を示す概略図である。本実施例は、圧電基板1、固体媒体4、増幅器7、スイッチ13、入力用すだれ状電極21、22、23、出力用すだれ状電極31、32および33から成る。増幅器7およびスイッチ13は図12では描かれていない。入力用すだれ状電極21、22および23は、入力用電極群を形成し、出力用すだれ状電極31、32および33は、出力用電極群を形成し、これらすべての電極群は圧電基板1の上端面に設けられている。駆動中は、固体媒体4の下端面は対象物12上にセットされる。対象物12は、たとえば、異なった性質を有する2つの部分から成り、この2つの部分は、深さがレベル1,2または3における境界面で互いに区別される。図12における矢印は、駆動中に伝搬する波の方向を示す。
図13は、図12の超音波送受波装置を上方から見たときの平面図である。入力用すだれ状電極21、22、23、出力用すだれ状電極31、32および33は、入力用すだれ状電極2と同様な構造を有し、同様な材質で成る。
図12の超音波送受波装置においては、入力電気信号が入力用すだれ状電極21、22、23にスイッチ13を介して順番に印加される。もしも対象物12の2つの部分を分ける境界面がレベル2に存在した場合、照射縦波はレベル2で反射される。反射縦波は、出力用すだれ状電極31、32、33において出力電気信号として検出され、出力電気信号は、増幅器7、続いてスイッチ13を介して、入力電気信号として入力用すだれ状電極21、22、23に順番に再び印加される。少なくとも2つの入力用すだれ状電極を使用することにより、1つを使用する場合よりも、対象物12中に多方向へ縦波を照射することが可能になる。すなわち、Z軸方向およびX軸方向に向けて効果的な照射が可能となる。また、少なくとも2つの出力用すだれ状電極を使用することにより、1つを使用する場合よりも、多方向からの反射縦波を確実に検出することが可能となる。図12は、VMeがVObより低い場合には、θMeiがθObiより小さいことを示す。図12のデバイスにおいては、入力用電極群として少なくとも2つのすだれ状電極8、少なくとも2つのすだれ状電極9または少なくとも2つのすだれ状電極11を採用するとともに、出力用電極群として少なくとも2つのすだれ状電極8、少なくとも2つのすだれ状電極10または少なくとも2つのすだれ状電極11を採用することが可能である。
図14は、本発明の超音波送受波装置の第4の実施例を上方から見たときの平面図である。本実施例は、図12とは別の入力用および出力用電極群が用いられていることを除いて、図12と同様な構造を有する。図14の入力用電極群は、入力用すだれ状電極24、25、26から成り、電極周期長(p)が小さいものから大きいものへと順に配置されている。出力用電極群は、出力用すだれ状電極34、35、36から成り、入力用すだれ状電極24、25、26とそれぞれ同じ電極周期長(p)を有し、入力用すだれ状電極24、25、26にそれぞれ対応するように配置されている。入力用すだれ状電極24、25、26と、出力用すだれ状電極34、35、36のこのような配置は、逆順にすることも可能である。固体媒体4、増幅器7およびスイッチ13は図14では描かれていない。
図14の超音波送受波装置においては、入力用すだれ状電極24、25、26を使用することにより、入力用すだれ状電極21、22、23を使用する場合よりも、更に多方向へ縦波を照射することが可能になる。一方、出力用すだれ状電極34、35、36は、出力用すだれ状電極31、32、33に比べ、多方向からの反射縦波を更に正確に受波することを可能にする。入力用すだれ状電極24、25、26は、すだれ状電極9と同様な円弧状の電極パターンや、すだれ状電極8や11のような分散型の電極構造を有することが可能である。同時に、出力用すだれ状電極34、35、36は、入力用すだれ状電極24、25、26と同様な構造を有することが可能である。入力用すだれ状電極24、25、26が分散型の電極構造を有する場合には、それらは、電極周期長の領域が小さいものから大きいものへと順に配置され、出力用すだれ状電極34、35、36は、入力用すだれ状電極24、25、26と対応する位置に配置される。
図15は、本発明の超音波送受波装置の第5の実施例を上方から見たときの平面図である。本実施例は、圧電基板14、固体媒体15、増幅器7、スイッチ13、2組のトランスデューサユニットから成る。固体媒体15は固体媒体3と同様な材質から成る。各トランスデューサユニットは入力用すだれ状電極27、28、29と、出力用すだれ状電極37、38、39から成る。各すだれ状電極は、電極指の長さを除いてすだれ状電極2と同様な構造を有する。固体媒体15は図15では描かれていない。2組のトランスデューサユニットは、圧電基板14上において、一方のトランスデューサユニットの電極指の方向ともう一方のトランスデューサユニットの電極指の方向とが互いに直交するように配置されている。各トランスデューサユニットにおいては、入力用すだれ状電極27、28、29の電極指の方向と出力用すだれ状電極37、38、39の電極指の方向とが互いに平行になるように配置されている。
図16は、図15の超音波送受波装置の側面図である。圧電基板14は230 μmの厚さ(t)を有する圧電セラミックで成り、その分極軸の方向は、厚さ(t)方向と平行である。
図15の超音波送受波装置においては、入力電気信号が2つの入力用すだれ状電極27、2つの入力用すだれ状電極28、2つの入力用すだれ状電極29にスイッチ13を介して順番に印加される。各出力用すだれ状電極で検出された出力電気信号は、増幅器7、続いてスイッチ13を介して、入力電気信号として各入力用すだれ状電極に再び印加される。スイッチ13を使用することによる電気的な接続と遮断は、電子スキャニングシステムをもたらす。2組のトランスデューサユニットを採用し、電子スキャニングシステムを駆使すれば、Z軸、X軸およびY軸方向に向けての更に効果的な照射と、反射縦波の更に効果的な受波が可能となる。
入力用すだれ状電極24、25、26と、出力用すだれ状電極34、35、36を、図15の入力用すだれ状電極27、28、29と、出力用すだれ状電極37、38、39の代わりにそれぞれ使用することができる。入力用すだれ状電極24、25、26と、出力用すだれ状電極34、35、36を使用することにより、入力用すだれ状電極27、28、29と、出力用すだれ状電極37、38、39を使用する場合に比べて、更に多方向へ縦波を照射することと、多方向からの反射縦波を更に正確に受波することが可能になる。
図17は、本発明の超音波送受波装置の第6の実施例を上方から見たときの平面図である。本実施例は、増幅器7の代わりに増幅器7xおよび7yが用いられていることと、スイッチ13の代わりにスイッチ13xおよび13yが用いられていることを除いて、図15と同様な構造を有する。スイッチ13xおよび13yのスイッチング速度を別々に設定することができることから、更に精密なスキャニングが可能となり、対象物内の標的を更に明確にイメージングすることが可能となる。
図18は、本発明の超音波送受波装置の第7の実施例を示す概略図である。本実施例は、固体媒体4の代わりに固体媒体16および17が用いられていることを除いて、図1と同様な構造を有する。固体媒体16は固体媒体4と同様な材質で成り、固体媒体17は固体媒体16とは異なった材質で成る。固体媒体16および17は層状構造を形成する。駆動中、層状構造の上層部に該当する固体媒体16は圧電基板1と接触し、固体媒体17の下端面は対象物18の上に設置される。対象物18は、たとえば標的19を含む。
図18の超音波送受波装置において、固体媒体16における縦波速度V16および漏洩ラム波の位相速度VLamiについてV16≦VLamiという関係が成立する場合には、圧電基板1と固体媒体16との界面において漏洩ラム波から縦波へのモード変換が起こる。縦波は、固体媒体16と17との界面において屈折した後、固体媒体17と対象物18との界面において再び屈折し、対象物18中へ伝搬する。
縦波の固体媒体16への照射角θ16、固体媒体16と17との界面での縦波の屈折角θ17、固体媒体17と対象物18との界面での縦波の屈折角θ18、固体媒体16における縦波速度V16、固体媒体17における縦波速度V17については、θ16 = sin-1(V16/VLam)、sinθ16/sinθ17 = V16/V17、sinθ17/sinθ18 = V17/V18という関係が成立する。図17は、V16がV17より高い場合には、θ16がθ17より大きいことを示し、V17がV18より高い場合には、θ17がθ18より大きいことを示す。すなわち、固体媒体16および17の材質として、互いに異なる縦波伝搬速度を有するものを選択することが、対象物18中への縦波の照射方向の多様化につながる。標的19で反射された縦波は、出力用すだれ状電極3で出力電気信号として効率良く検出される。図18のデバイスは、すだれ状電極2の代わりにすだれ状電極8、9または11を、すだれ状電極3の代わりにすだれ状電極8,10または11を用いることが可能である。また、図18における固体媒体16および17から成る層状媒体を、固体媒体4または15のような単層媒体の代わりに用いることも可能である。
1 圧電基板
2 入力用すだれ状電極
3 出力用すだれ状電極
4 固体媒体
5 対象物
6 標的
7 増幅器
7x 増幅器
7y 増幅器
8 すだれ状電極
9 入力用すだれ状電極
10 出力用すだれ状電極
11 すだれ状電極
12 対象物
13 スイッチ
13x スイッチ
13y スイッチ
14 圧電基板
15 固体媒体
16,17 固体媒体
18 対象物
19 標的
21,22,23,24,25,26,27,28,29 入力用すだれ状電極
31,32,33,34,35,36,37,38,39 出力用すだれ状電極

Claims (16)

  1. 圧電基板と、少なくとも1つの入力用すだれ状電極と、少なくとも1つの出力用すだれ状電極と、固体媒体とを有し、前記少なくとも1つの入力用すだれ状電極は、入力電気信号を印加されることにより前記圧電基板にラム波を励振して前記ラム波を縦波として前記固体媒体に照射する機能を有し、前記固体媒体は、前記固体媒体に接触する対象物中に前記縦波を伝搬し、前記対象物中に存在する標的で反射された縦波を前記圧電基板中にもう1つのラム波として再び伝搬する機能を有し、前記少なくとも1つの出力用すだれ状電極は、前記もう1つのラム波を出力電気信号として検出する機能を有する超音波送受波装置。
  2. 圧電基板と、それぞれ異なる電極周期長を有する少なくとも2つの入力用すだれ状電極と、それぞれ異なる電極周期長を有する少なくとも2つの出力用すだれ状電極と、固体媒体とを有し、前記入力用すだれ状電極のそれぞれは、入力電気信号を印加されることにより前記圧電基板にラム波を励振して前記ラム波を縦波として前記固体媒体に照射する機能を有し、前記固体媒体は、前記固体媒体に接触する対象物中に前記縦波を伝搬し、前記対象物中に存在する標的で反射された縦波を前記圧電基板中にもう1つのラム波として再び伝搬する機能を有し、前記出力用すだれ状電極のそれぞれは、前記もう1つのラム波を出力電気信号として検出する機能を有する超音波送受波装置。
  3. 前記少なくとも2つの入力用すだれ状電極は、前記圧電基板において電極周期長の小さいものから大きいものへと順に配置され、前記少なくとも2つの出力用すだれ状電極は、前記少なくとも2つの入力用すだれ状電極に対応する位置に配置される請求項2に記載の超音波送受波装置。
  4. 圧電基板と、2組のトランスデューサユニットと、固体媒体とを有し、前記2組のトランスデューサユニットのそれぞれは少なくとも1つの入力用すだれ状電極と少なくとも1つの出力用すだれ状電極を含み、前記少なくとも1つの入力用すだれ状電極は、入力電気信号を印加されることにより前記圧電基板にラム波を励振して前記ラム波を縦波として前記固体媒体に照射する機能を有し、前記固体媒体は、前記固体媒体に接触する対象物中に前記縦波を伝搬し、前記対象物中に存在する標的で反射された縦波を前記圧電基板中にもう1つのラム波として再び伝搬する機能を有し、前記少なくとも1つの出力用すだれ状電極は、前記もう1つのラム波を出力電気信号として検出する機能を有する超音波送受波装置。
  5. 前記2組のトランスデューサユニットの一方の電極指の方向と、もう一方の電極指の方向とは互いに直交する請求項4に記載の超音波送受波装置。
  6. 前記出力用すだれ状電極の1つと前記入力用すだれ状電極の1つとの間に増幅器が接続されている請求項1〜5のいずれかに記載の超音波送受波装置。
  7. 前記固体媒体中の縦波速度は、前記ラム波の位相速度と等しいかそれよりも低い請求項1〜6のいずれかに記載の超音波送受波装置。
  8. 前記固体媒体が層状構造を有し、前記層状構造の上層部を伝搬する縦波速度は、前記ラム波の位相速度と等しいかそれよりも低い請求項1〜6のいずれかに記載の超音波送受波装置。
  9. 前記固体媒体の厚さは、前記圧電基板を補強するのに十分にしてかつ必要な厚さを超えない請求項1〜8のいずれかに記載の超音波送受波装置。
  10. 前記固体媒体の減衰定数は、前記縦波の前記対象物への伝搬がもはや起こらない値を超えない請求項1〜9のいずれかに記載の超音波送受波装置。
  11. 前記圧電基板が圧電セラミックで成り、前記圧電セラミックの分極軸の方向は厚さ方向と平行である請求項1〜10のいずれかに記載の超音波送受波装置。
  12. 前記圧電基板が、圧電性を有する単結晶で成る請求項1〜10のいずれかに記載の超音波送受波装置。
  13. 前記圧電基板が圧電性高分子フィルムで成る請求項1〜10のいずれかに記載の超音波送受波装置。
  14. 前記入力用すだれ状電極の電極周期長は、前記圧電基板の厚さ以上の値であり、前記出力用すだれ状電極の電極周期長は、前記入力用すだれ状電極の電極周期長と等しい請求項1〜13のいずれかに記載の超音波送受波装置。
  15. 前記入力用および出力用すだれ状電極は、少なくとも2つの電極周期長を有する分散型の電極構造で成る請求項1〜14のいずれかに記載の超音波送受波装置。
  16. 前記入力用および出力用すだれ状電極は、円弧状の電極パターンを有する請求項1〜15のいずれかに記載の超音波送受波装置。
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