JP4356100B2 - 超音波照射装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波で効率よく物体中に超音波を照射する超音波照射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
音響システムを構築する上では、弾性波を照射または検出するトランスデューサが重要な役割を果たす。一般には、駆動周波数が圧電基板の厚さに依存するような厚み振動モードの圧電トランスデューサが広く用いられている。このような従来型のトランスデューサは、動作周波数が単一で高周波駆動が難しいという問題を有する。圧電基板の厚さが波長に比べて十分に厚い圧電基板が液体と接触する場合、弾性表面波は漏洩波の形で伝搬する。この時、漏洩波は液体中への縦波にモード変換される。このことは、圧電基板に設けられているすだれ状トランスデューサが液体と固体との界面において漏洩波トランスデューサとしての機能を果たしていることを意味しているが、圧電基板を伝搬する漏洩弾性表面波は速度分散のない唯一のモードしか存在しない。液体中に超音波を照射するためのこれらのトランスデューサは、単一周波数帯での動作に限定され、しかも、超音波の照射方向は圧電基板に垂直あるいはある一定の角度に限定されるという問題を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、小型軽量でしかも簡便なデバイス構成で物体中に超音波を掃引でき、その照射角度や照射強度を調整でき、複数の周波数帯での動作とともに、低消費電力駆動が可能で、耐環境性にも優れる超音波照射装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の超音波照射装置は、圧電基板、第1入力用すだれ状電極、第2入力用すだれ状電極、出力用すだれ状電極、増幅器および電圧制御器から成る超音波照射装置であって、前記第1入力用すだれ状電極、前記第2入力用すだれ状電極および前記出力用すだれ状電極は、前記圧電基板の一方の端面に設けられており、前記第1入力用すだれ状電極は、入力電気信号を印加されることにより前記圧電基板に第1の弾性波を励振し、前記出力用すだれ状電極は、前記第1の弾性波の非漏洩成分を遅延電気信号として検出し、前記増幅器は、前記遅延電気信号を増幅し、その増幅信号の一部を再び前記第1入力用すだれ状電極に印加し、前記電圧制御器は、前記増幅信号の残部を受信してその電圧を変化させ、前記第2入力用すだれ状電極は、前記増幅信号の前記残部を印加されることにより前記圧電基板に第2の弾性波を励振し、前記第2の弾性波の漏洩成分を前記電圧制御器で変化させた前記電圧に応じた強さの縦波として前記圧電基板のもう一方の端面を介して物体中に照射する。
【0005】
請求項2に記載の超音波照射装置は、前記圧電基板が圧電セラミック薄板で成り、前記圧電セラミック薄板の分極軸の方向がその厚さ方向と平行である。
【0006】
請求項3に記載の超音波照射装置は、前記圧電基板が圧電性高分子薄板で成る。
【0007】
請求項4に記載の超音波照射装置には、前記増幅信号の前記残部の周波数を選択するフィルターが備えられている。
【0008】
請求項5に記載の超音波照射装置は、前記圧電基板の前記もう一方の端面の少なくとも一部に高分子膜が設けられ、前記一部は、前記圧電基板の前記一方の端面における前記第2入力用すだれ状電極を含む表面部に対応する。
【0009】
請求項6に記載の超音波照射装置は、前記圧電基板の前記もう一方の端面の一部に囲いが設けられ、前記一部は、前記圧電基板の前記一方の端面における前記第1入力用すだれ状電極と前記出力用すだれ状電極を含む表面部に対応し、前記囲いによって前記一部は空気と接触する。
【0010】
請求項7に記載の超音波照射装置は、前記圧電基板の前記もう一方の端面の少なくとも一部に高分子膜が設けられ、前記一部は、前記圧電基板の前記一方の端面における前記第2入力用すだれ状電極を含む表面部に対応し、前記圧電基板の前記もう一方の端面の残部に囲いが設けられ、前記囲いによって前記残部は空気と接触する。
【0011】
請求項8に記載の超音波照射装置は、前記第2入力用すだれ状電極が少なくとも2つの部分電極に分割された超音波照射装置であって、前記部分電極の各々は、前記増幅信号の前記残部を順次に印加されることにより前記圧電基板における前記部分電極の対応部に前記第2の弾性波を順次に励振し、前記第2の弾性波の漏洩成分は前記物体中に前記縦波として掃引される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の超音波照射装置は、圧電基板、第1入力用すだれ状電極、第2入力用すだれ状電極、出力用すだれ状電極、増幅器および電圧制御器から成る簡単な構造を有する。圧電基板、第1入力用すだれ状電極、第2入力用すだれ状電極および出力用すだれ状電極は、圧電基板の一方の端面に設けられている。もしも、第1入力用すだれ状電極に入力電気信号が印加されると、圧電基板に第1の弾性波が励振される。この第1の弾性波の非漏洩成分は遅延電気信号として出力用すだれ状電極で検出され、この遅延電気信号は増幅器によって増幅される。その増幅信号の一部は再び第1入力用すだれ状電極に印加される。このようにして、第1入力用すだれ状電極、出力用すだれ状電極および増幅器は遅延線発振器を構成する。従って、デバイスの小型軽量化が促進され、低消費電力駆動が可能となる。一方、増幅信号の残部は、電圧制御器に送られてその電圧が変化された後、第2入力用すだれ状電極に入力される。このとき、圧電基板には第2の弾性波が励振される。この第2の弾性波の漏洩成分は、電圧制御器で変化された電圧に応じた強さの縦波として圧電基板のもう一方の端面を介して物体中に照射される。このようにして、物体中への超音波の照射強度を調整することが可能となる。
【0013】
本発明の超音波照射装置では、圧電基板が圧電セラミック薄板で成り、その分極軸の方向が厚さ方向と平行である構造、または圧電基板が圧電性高分子薄板で成る構造が可能である。このような構造を採用することにより、圧電基板に第1および第2の弾性波が効率よく励振される。また、第1の弾性波の非漏洩成分は圧電基板中を効率よく伝搬されて出力用すだれ状電極に到達し、第2の弾性波の漏洩成分は物体中に縦波として効率よく照射される。さらに、装置の小型軽量化を促進することができる。
【0014】
本発明の超音波照射装置では、増幅信号の残部の周波数を選択するフィルターが備えられた構造が可能である。このような構造を採用することにより、第2入力用すだれ状電極に入力される電気信号の周波数が選択される。物体中への縦波の照射角度θは駆動周波数に依存することから、物体中への超音波の照射角度θを調整することが可能となる。
【0015】
本発明の超音波照射装置では、圧電基板のもう一方の端面の少なくとも一部に高分子膜が設けられた構造が可能である。高分子膜が設けられている部分は、圧電基板の一方の端面における第2入力用すだれ状電極を含む表面部に対応する。このような構造を採用することにより、機械的強度を高めることが可能となる。また、高分子膜としては、超音波を照射される物体との音響結合のための整合性に優れた、たとえば、シリコンゴム薄膜などが好都合である。
【0016】
本発明の超音波照射装置では、圧電基板のもう一方の端面の一部に囲いが設けられた構造が可能である。囲いが設けられる部分は、圧電基板の一方の端面における第1入力用すだれ状電極と出力用すだれ状電極を含む表面部に対応し、外部からは遮断され、空気と接触している。このような構造を採用することにより、圧電基板に励振された第1の弾性波は、外部に漏洩されにくくなり出力用すだれ状電極に効率よく到達する。
【0017】
本発明の超音波照射装置では、圧電基板のもう一方の端面の少なくとも一部に高分子膜が設けられるとともに、残部に囲いが設けられた構造が可能である。高分子膜が設けられている部分は、圧電基板の一方の端面における第2入力用すだれ状電極を含む表面部に対応する。囲いが設けられる部分は、外部からは遮断され、空気と接触している。このような構造を採用することにより、機械的強度を高めることが可能となるばかりでなく、高分子膜として、超音波を照射される物体との音響結合のための整合性に優れた材質を用いれば、圧電基板に励振された第2の弾性波の漏洩成分は物体中に縦波として効率よく照射される。また、圧電基板に励振された第1の弾性波は、外部に漏洩されにくくなり出力用すだれ状電極に効率よく到達する。
【0018】
本発明の超音波照射装置では、第2入力用すだれ状電極が少なくとも2つの部分電極に分割された構造が可能である。このような部分電極の各々は、たとえばスイッチなどを用いることにより増幅信号の残部を順次に印加されることにより、圧電基板における部分電極の対応部に第2の弾性波を順次に励振する。このようにして、第2の弾性波の漏洩成分は物体中に縦波として掃引されることが可能となる。
【0019】
【実施例】
図1は本発明の超音波照射装置の第1の実施例を示す構成図である。本実施例は圧電基板1、第1入力用すだれ状電極2、第2入力用すだれ状電極3、出力用すだれ状電極4、増幅器5および電圧制御器6から成る。圧電基板1は厚さ218μmの圧電セラミック薄板で成る。本実施例では圧電基板1として圧電セラミック薄板が用いられているが、圧電性高分子薄板を用いることも可能である。第1入力用すだれ状電極2、第2入力用すだれ状電極3および出力用すだれ状電極4は、アルミニウム薄膜で成り、圧電基板1の一方の端面上に設けられている。図1の超音波照射装置を用いて物体中に超音波を照射する場合には、圧電基板1のもう一方の端面にその物体を接触させる必要がある。
【0020】
図2は圧電基板1、第1入力用すだれ状電極2、第2入力用すだれ状電極3および出力用すだれ状電極4で成るデバイスを上方から見たときの平面図である。第1入力用すだれ状電極2および出力用すだれ状電極4はともに5対の電極指を有し、電極周期長は340μmである。第2入力用すだれ状電極3は60対の電極指を有し、電極周期長は340μmである。
【0021】
図1の超音波照射装置において、第1入力用すだれ状電極2の電極周期長に対応する中心周波数にほぼ等しい周波数の入力電気信号が第1入力用すだれ状電極2に印加されると、圧電基板1に第1の弾性波が励振される。第1の弾性波は第1入力用すだれ状電極2の電極周期長にほぼ対応する波長を有しており、この第1の弾性波の非漏洩成分が圧電基板1中を伝わって遅延電気信号として出力用すだれ状電極4で検出される。この遅延電気信号は増幅器5によって増幅される。その増幅信号の一部は入力電気信号として再び第1入力用すだれ状電極2に印加される。このようにして、第1入力用すだれ状電極2、出力用すだれ状電極4および増幅器5は帰還型の遅延線発振器を構成する。一方、増幅信号の残部は、電圧制御器6に送られてその電圧が変化された後、第2入力用すだれ状電極3に印加される。このとき、圧電基板1には第2の弾性波が励振される。この第2の弾性波の漏洩成分が、電圧制御器6で変化された電圧に応じた強さの縦波として圧電基板1のもう一方の端面を介して物体中に照射される。このようにして、小型軽量で、低消費電力駆動が可能で、物体中への超音波の照射強度を調整できる超音波照射装置が可能となる。
【0022】
図3は圧電基板1に励振される各モードの弾性波の位相速度と、弾性波の周波数fおよび圧電基板1の厚さdの積fdとの関係を示す特性図である。圧電基板1中を伝搬する横波の速度は2,450 m/sであり、縦波の速度は4,390 m/sである。図3より、多モードでの駆動が可能であって、高次モードでの駆動ほど弾性波の速度も速いことが分かる。弾性波の速度が速ければ速いほど、物体中への超音波の照射角度θも小さくなることから、結果として、駆動周波数を高くすればするほど照射角度θを小さくすることができる。このようにして、物体中への照射角度を調整できる超音波照射装置が可能となる。
【0023】
図4は本発明の超音波照射装置の第2の実施例を示す構成図である。本実施例は図1の第1の実施例に新たにフィルター7が加わったものである。本実施例では、物体として細胞質を例にとり、その細胞質中を伝搬する縦波の伝搬路が矢印で示されている。図3で述べられているように、照射角度θは駆動周波数に依存する。このようにして、細胞質中への超音波の照射角度θを調整することが可能となる。
【0024】
図5は圧電基板1単体に励振される弾性波の挿入損失と周波数との関係を示す特性図である。但し、図5は周波数が6 ~ 8 MHzでの特性図である。図5における細線および太線は、圧電基板1のもう一方の端面に何も負荷されていない状態および水が負荷された状態をそれぞれ示す。両状態における挿入損失の差は6.8 MHz近傍で最大である。図5の他、4.3 MHz,9.5 MHz,14.4 MHzおよび19 MHzにおいてそれぞれ挿入損失の差が大きいことが確認されている。このことから、これらの周波数で駆動することにより物体中へ超音波を効率よく照射できることが分かる。
【0025】
図6は本発明の超音波照射装置の第3の実施例を示す構成図である。本実施例は図1の第1の実施例に新たに高分子膜8が加わったものである。高分子膜8は、厚さ1mmで、シリコンゴム製で、圧電基板1のもう一方の端面の一部に設けられている。その一部とは、圧電基板1の一方の端面における第2入力用すだれ状電極3を含む表面部に対応した部分である。このようにして、高分子膜8の外側の表面を介して超音波が効率よく物体中に照射される。
【0026】
図7は圧電基板1と高分子膜8との2層構造体に励振される弾性波の挿入損失と周波数との関係を示す特性図である。但し、図7は高分子膜8の外側表面に水が負荷された状態での特性を示す。
【0027】
図8は圧電基板1と高分子膜8との2層構造体に励振される弾性波の挿入損失と周波数との関係を示す特性図である。但し、図8は高分子膜8の外側表面に何も負荷されていない状態での特性を示す。
【0028】
図7および図8より、両状態での挿入損失の差は4.3 MHz近傍で最大であることが分かる。すなわち、4.3 MHz近傍で駆動すれば物体中へ超音波を効率よく照射できることが分かる。
【0029】
図9は本発明の超音波照射装置の第4の実施例を示す構成図である。本実施例は図1の第1の実施例に新たに囲い9が加わったものである。囲い9が設けられる部分は、圧電基板1の一方の端面における第1入力用すだれ状電極2と出力用すだれ状電極4を含む表面部に対応する。この囲い9が設けられる部分は、外部からは遮断され空気と接触している。このような構造を採用することにより、圧電基板1に励振された第1の弾性波は、外部に漏洩されにくくなり出力用すだれ状電極4に効率よく到達し、出力用すだれ状電極4によって遅延電気信号として検出される。結果として、囲い9を使用することにより効率のよい遅延線発振器を構成することが可能となる。
【0030】
図10は本発明の超音波照射装置の第5の実施例を示す構成図である。本実施例は、図1の第1の実施例に新たに高分子膜8および囲い9が加わったものである。高分子膜8は、圧電基板1のもう一方の端面に設けられており、圧電基板1の一方の端面における第2入力用すだれ状電極3を含む表面部に対応した部分に設けられている。囲い9は圧電基板1のもう一方の端面の残部に設けられ、この残部は外部からは遮断され空気と接触している。高分子膜8を使用することにより、高分子膜8の外側の表面を介して超音波を効率よく物体中に照射することが可能となる。また、囲い9を使用することにより、圧電基板1に励振された第1の弾性波が外部に漏洩されにくくなり出力用すだれ状電極4に効率よく到達することから、挿入損失の改善を図ることができ、結果として効率のよい遅延線発振器を構成することが可能となる。
【0031】
図11は本発明の超音波照射装置の第6の実施例を示す構成図である。本実施例は第1入力用すだれ状電極2、出力用すだれ状電極4、増幅器5、電圧制御器6、フィルター7、高分子膜8、囲い9、圧電基板10、第2入力用すだれ状電極11およびスイッチ15から成る。圧電基板10は厚さ218μmの圧電セラミック薄板で成る。第2入力用すだれ状電極11は部分電極12,13および14から成り、それぞれがアルミニウム薄膜で成り、圧電基板10の一方の端面上に設けられている。
【0032】
図11の超音波照射装置において、入力電気信号が第1入力用すだれ状電極2に印加されると、圧電基板10に第1の弾性波が励振される。第1の弾性波の非漏洩成分は圧電基板10中を伝わって遅延電気信号として出力用すだれ状電極4で検出される。この遅延電気信号はフィルター7を経由し、増幅器5によって増幅される。増幅信号の一部は入力電気信号として再び第1入力用すだれ状電極2に印加され、残部は電圧制御器6およびスイッチ15を経由して部分電極12,13および14に順次に印加される。このようにして、圧電基板10における部分電極12,13および14の対応部には第2の弾性波が順次に励振される。この第2の弾性波の漏洩成分は、縦波として圧電基板10のもう一方の端面を介して物体中に照射される。すなわち、第2の弾性波の漏洩成分は物体中に縦波として掃引されることが可能となる。
【0033】
【発明の効果】
本発明の超音波照射装置は、圧電基板、第1入力用すだれ状電極、第2入力用すだれ状電極、出力用すだれ状電極、増幅器および電圧制御器から成る。圧電基板、第1入力用すだれ状電極、第2入力用すだれ状電極および出力用すだれ状電極は、圧電基板の一方の端面に設けられている。もしも、第1入力用すだれ状電極に入力電気信号が印加されると、圧電基板に第1の弾性波が励振される。この第1の弾性波の非漏洩成分は遅延電気信号として出力用すだれ状電極で検出され、この遅延電気信号は増幅器によって増幅される。その増幅信号の一部は再び第1入力用すだれ状電極に印加され、このようにして、第1入力用すだれ状電極、出力用すだれ状電極および増幅器は遅延線発振器を構成する。増幅信号の残部は電圧制御器を経て第2入力用すだれ状電極に入力され、圧電基板には第2の弾性波が励振される。この第2の弾性波の漏洩成分は、電圧制御器で変化された電圧に応じた強さの縦波として圧電基板のもう一方の端面から物体中に照射される。
【0034】
本発明の超音波照射装置では、圧電基板が圧電セラミック薄板で成り、その分極軸の方向が厚さ方向と平行である構造、または圧電基板が圧電性高分子薄板で成る構造が可能である。このような構造を採用することにより、圧電基板に第1および第2の弾性波が効率よく励振される。さらに、装置の小型軽量化を促進することができる。
【0035】
本発明の超音波照射装置では、増幅信号の残部の周波数を選択するフィルターが備えられた構造が可能である。このような構造を採用することにより、第2入力用すだれ状電極に入力される電気信号の周波数が選択される。物体中への縦波の照射角度θは駆動周波数に依存することから、物体中への超音波の照射角度θを調整することが可能となる。
【0036】
本発明の超音波照射装置では、圧電基板のもう一方の端面の少なくとも一部に高分子膜が設けられた構造が可能である。高分子膜は、圧電基板の一方の端面における第2入力用すだれ状電極を含む表面部に対応する部分に少なくとも設けられる。高分子膜として、超音波を照射される物体との音響結合のための整合性に優れた、たとえば、シリコンゴム薄膜などを採用すれば、超音波をその物体中へ効率よく照射することができるだけでなく、機械的強度を促進することが可能となる。
【0037】
本発明の超音波照射装置では、圧電基板のもう一方の端面の一部に囲いが設けられた構造が可能である。囲いは、圧電基板の一方の端面における第1入力用すだれ状電極と出力用すだれ状電極を含む表面部に対応する部分に設けられる。囲いが設けられた部分は、外部からは遮断され空気と接触していることから、圧電基板に励振された第1の弾性波は、外部に漏洩されにくくなり出力用すだれ状電極に効率よく到達する。
【0038】
本発明の超音波照射装置では、圧電基板のもう一方の端面の少なくとも一部に高分子膜が設けられるとともに、残部に囲いが設けられた構造が可能である。高分子膜を、圧電基板の一方の端面における第2入力用すだれ状電極を含む表面部に対応する部分に少なくとも設けることにより、また、高分子膜として、超音波を照射される物体との音響結合のための整合性に優れた材質を用いることにより、圧電基板に励振された第2の弾性波の漏洩成分を物体中に縦波として効率よく照射することができるだけでなく、機械的強度を高めることが可能となる。さらに、囲いが設けられている部分が、外部からは遮断され空気と接触していることから、圧電基板に励振された第1の弾性波は、外部に漏洩されにくくなり出力用すだれ状電極に効率よく到達する。
【0039】
本発明の超音波照射装置では、第2入力用すだれ状電極が少なくとも2つの部分電極に分割された構造が可能である。このような部分電極の各々は、増幅信号の残部を順次に印加されることにより、圧電基板における部分電極の対応部に第2の弾性波を順次に励振する。このようにして、第2の弾性波の漏洩成分は物体中に縦波として掃引されることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の超音波照射装置の第1の実施例を示す構成図。
【図2】圧電基板1、第1入力用すだれ状電極2、第2入力用すだれ状電極3および出力用すだれ状電極4で成るデバイスを上方から見たときの平面図。
【図3】圧電基板1に励振される各モードの弾性波の位相速度と、弾性波の周波数fおよび圧電基板1の厚さdの積fdとの関係を示す特性図。
【図4】本発明の超音波照射装置の第2の実施例を示す構成図。
【図5】圧電基板1単体に励振される弾性波の挿入損失と周波数との関係を示す特性図。
【図6】本発明の超音波照射装置の第3の実施例を示す構成図。
【図7】圧電基板1と高分子膜8との2層構造体に励振される弾性波の挿入損失と周波数との関係を示す特性図。
【図8】圧電基板1と高分子膜8との2層構造体に励振される弾性波の挿入損失と周波数との関係を示す特性図。
【図9】本発明の超音波照射装置の第4の実施例を示す構成図。
【図10】本発明の超音波照射装置の第5の実施例を示す構成図。
【図11】本発明の超音波照射装置の第6の実施例を示す構成図。
【符号の説明】
1 圧電基板
2 第1入力用すだれ状電極
3 第2入力用すだれ状電極
4 出力用すだれ状電極
5 増幅器
6 電圧制御器
7 フィルター
8 高分子膜
9 囲い
10 圧電基板
11 第2すだれ状電極
12 部分電極
13 部分電極
14 部分電極
15 スイッチ

Claims (8)

  1. 圧電基板、第1入力用すだれ状電極、第2入力用すだれ状電極、出力用すだれ状電極、増幅器および電圧制御器から成る超音波照射装置であって、前記第1入力用すだれ状電極、前記第2入力用すだれ状電極および前記出力用すだれ状電極は、前記圧電基板の一方の端面に設けられており、前記第1入力用すだれ状電極は、入力電気信号を印加されることにより前記圧電基板に第1の弾性波を励振し、前記出力用すだれ状電極は、前記第1の弾性波の非漏洩成分を遅延電気信号として検出し、前記増幅器は、前記遅延電気信号を増幅し、その増幅信号の一部を再び前記第1入力用すだれ状電極に印加し、前記電圧制御器は、前記増幅信号の残部を受信してその電圧を変化させ、前記第2入力用すだれ状電極は、前記増幅信号の前記残部を印加されることにより前記圧電基板に第2の弾性波を励振し、前記第2の弾性波の漏洩成分を前記電圧制御器で変化させた前記電圧に応じた強さの縦波として前記圧電基板のもう一方の端面を介して物体中に照射する超音波照射装置。
  2. 前記圧電基板が圧電セラミック薄板で成り、前記圧電セラミック薄板の分極軸の方向がその厚さ方向と平行である請求項1に記載の超音波照射装置。
  3. 前記圧電基板が圧電性高分子薄板で成る請求項1に記載の超音波照射装置。
  4. 前記増幅信号の前記残部の周波数を選択するフィルターが備えられた請求項1,2または3に記載の超音波照射装置。
  5. 前記圧電基板の前記もう一方の端面の少なくとも一部に高分子膜が設けられ、前記一部は、前記圧電基板の前記一方の端面における前記第2入力用すだれ状電極を含む表面部に対応する請求項1,2,3または4に記載の超音波照射装置。
  6. 前記圧電基板の前記もう一方の端面の一部に囲いが設けられ、前記一部は、前記圧電基板の前記一方の端面における前記第1入力用すだれ状電極と前記出力用すだれ状電極を含む表面部に対応し、前記囲いによって前記一部は空気と接触する請求項1,2,3または4に記載の超音波照射装置。
  7. 前記圧電基板の前記もう一方の端面の少なくとも一部に高分子膜が設けられ、前記一部は、前記圧電基板の前記一方の端面における前記第2入力用すだれ状電極を含む表面部に対応し、前記圧電基板の前記もう一方の端面の残部に囲いが設けられ、前記囲いによって前記残部は空気と接触する請求項1,2,3または4に記載の超音波照射装置。
  8. 前記第2入力用すだれ状電極が少なくとも2つの部分電極に分割された超音波照射装置であって、前記部分電極の各々は、前記増幅信号の前記残部を順次に印加されることにより前記圧電基板における前記部分電極の対応部に前記第2の弾性波を順次に励振し、前記第2の弾性波の漏洩成分は前記物体中に前記縦波として掃引される請求項1,2,3,4,5,6または7に記載の超音波照射装置。
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