JP4066076B2 - 超音波照射および検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、物質の一方の界面を介してその物質中に効率よく超音波を照射し、その物質に含まれる反射物または物質のもう一方の界面によって超音波を反射させた後、その超音波を遅延電気信号として検出する超音波照射および検出デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
液体中に超音波を照射するには、厚み振動モードの矩形状圧電トランスデューサが広く用いられている。液体中の超音波を検出するには、このような従来型のトランスデューサは、入力用だけでなく出力用電極としても用いられていたことから、入力電気信号と出力電気信号を区別するためにサーキュレータ等を必要とした。従って、このような従来型のトランスデューサは、複雑な回路構成を必要とし、応答性にも問題があり、また、スキャニングを伴う駆動が困難であった。一方、圧電基板に設けられたすだれ状トランスデューサは、圧電基板の厚さが波長に比べて十分に厚い場合には、圧電基板が液体と接触するときに液体と固体との界面において漏洩波トランスデューサとして機能する。このとき、圧電基板を伝搬する漏洩弾性表面波は速度分散のない唯一のモードしか存在しない。このようにして、従来の漏洩波トランスデューサは、超音波の照射方向を圧電基板に対し直交させることが難しいという問題を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、小型軽量で、デバイス構成が簡単で、低消費電力駆動が可能で、耐環境性にも優れる超音波照射および検出デバイスを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1のタイプの超音波照射および検出デバイスは、圧電基板と、櫛型電極AおよびBで成る組み合わせ電極と、対向電極から成る超音波照射および検出デバイスであって、前記組み合わせ電極は、前記圧電基板の上端面に設けられており、前記対向電極は前記圧電基板の下端面に設けられていて、前記対向電極の下端面には、物質の一方の界面が接触しており、前記櫛型電極Aと前記対向電極の間に電気信号が入力されることにより、前記圧電基板の下端面に垂直な方向の縦波が前記物質中に照射され、前記縦波は、前記物質に含まれる反射物または前記物質の前記一方の界面と対面するもう一方の界面によって反射されて、前記櫛型電極Bと前記対向電極の間で遅延電気信号として検出される。
【0005】
本発明の第1のタイプの超音波照射および検出デバイスは、前記圧電基板の厚さに対する前記組み合わせ電極の電極周期長の割合が、前記圧電基板中を伝搬する縦波速度に対する前記物質中を伝搬する縦波速度の割合の4倍以下である。
【0006】
本発明の第1のタイプの超音波照射および検出デバイスは、前記櫛型電極Aの電極指の総面積が不変であるならば、前記組み合わせ電極の電極対の数が多いほど、前記物質中に照射される前記縦波の指向性が鋭くなる。
【0007】
本発明の第1のタイプの超音波照射および検出デバイスは、前記櫛型電極Aにスキャニングシステムが接続された超音波照射および検出デバイスであって、前記スキャニングシステムは、前記櫛型電極Aの電極指にそれぞれ対応するスイッチを成分とするグループXi (i=1, 2,…, n)から成り、前記グループXiの中の1つとその次の1つは、前記グループXiの中の前記1つに含まれる最初のスイッチと前記次の1つに含まれる最後のスイッチを除き互いに共通のスイッチを含み、前記櫛型電極Aと前記対向電極の間に前記グループXiを介して順次電気信号が入力されることにより、スキャンされた超音波ビームとして前記縦波が前記物質中に照射され、前記超音波ビームは、前記反射物または前記物質の前記もう一方の界面によって反射されて、前記櫛型電極Bと前記対向電極の間で、スキャンされた遅延電気信号として検出される。
【0008】
本発明の第1のタイプの超音波照射および検出デバイスは、前記櫛型電極Aに第1スキャニングシステムが接続され、前記櫛型電極Bに第2スキャニングシステムが接続された超音波照射および検出デバイスであって、前記第1スキャニングシステムは、前記櫛型電極Aの電極指にそれぞれ対応するスイッチを成分とするグループXi (i=1, 2,…, n)から成り、前記グループXiの中の1つとその次の1つは、前記グループXiの中の前記1つに含まれる最初のスイッチと前記グループXiの中の前記次の1つに含まれる最後のスイッチを除き互いに共通のスイッチを含み、前記第2スキャニングシステムは、前記櫛型電極Bの電極指にそれぞれ対応するスイッチを成分とするグループYi (i=1, 2,…, n)から成り、前記グループYiの中の1つとその次の1つは、前記グループYiの中の前記1つに含まれる最初のスイッチと前記グループYiの中の前記次の1つに含まれる最後のスイッチを除き互いに共通のスイッチを含み、前記櫛型電極Aと前記対向電極の間に前記グループXiを介して順次電気信号が入力されることにより、スキャンされた超音波ビームとして前記縦波が前記物質中に照射され、前記超音波ビームは、前記反射物または前記物質の前記もう一方の界面によって反射されて、前記グループYiによって前記櫛型電極Bと前記対向電極の間で、スキャンされた遅延電気信号として検出される。
【0009】
本発明の第1のタイプの超音波照射および検出デバイスは、前記対向電極の下端面に高分子膜が塗布されている。
【0010】
本発明の第1のタイプの記載の超音波照射および検出デバイスは、前記櫛型電極Aと前記櫛型電極Bの間に増幅器が接続されている。
【0011】
本発明の第2のタイプの超音波照射および検出デバイスは、第1圧電基板と、櫛型電極AおよびBで成る第1組み合わせ電極と、第2圧電基板と、櫛型電極AおよびBで成る第2組み合わせ電極と、対向電極から成る超音波照射および検出デバイスであって、前記第1組み合わせ電極は、前記第1圧電基板の下端面に設けられており、前記第1組み合わせ電極の下端面には、物質の一方の界面が接触しており、前記第2組み合わせ電極は、前記第2圧電基板の上端面に設けられており、前記対向電極は前記第1および第2圧電基板の間に設けられていて、前記第1組み合わせ電極の前記櫛型電極Aと前記対向電極の間に電気信号が入力されることにより、前記第1圧電基板の下端面に垂直な方向の縦波が前記物質中に照射され、前記縦波は、前記物質に含まれる反射物または前記物質の前記一方の界面と対面するもう一方の界面によって反射されて、前記第2組み合わせ電極の前記櫛型電極Bと前記対向電極の間で遅延電気信号として検出される。
【0012】
本発明の第2のタイプの超音波照射および検出デバイスは、前記第1組み合わせ電極の電極指の方向が、前記第2組み合わせ電極の電極指の方向と直交している。
【0013】
本発明の第2のタイプの超音波照射および検出デバイスは、前記第1組み合わせ電極の前記櫛型電極Aの電極指幅が、前記第1組み合わせ電極の前記櫛型電極Bの電極指幅よりも大きく、前記第2組み合わせ電極の前記櫛型電極Bの電極指幅が、前記第2組み合わせ電極の前記櫛型電極Aの電極指幅よりも大きい。
【0014】
本発明の第2のタイプの超音波照射および検出デバイスは、前記第1組み合わせ電極の前記櫛型電極Aに第1スキャニングシステムが接続され、前記第2組み合わせ電極の前記櫛型電極Bに第2スキャニングシステムが接続された超音波照射および検出デバイスであって、前記第1スキャニングシステムは、前記第1組み合わせ電極の前記櫛型電極Aの電極指にそれぞれ対応するスイッチを成分とするグループXi (i=1, 2,…, n)から成り、前記グループXiの中の1つとその次の1つは、前記グループXiの中の前記1つに含まれる最初のスイッチと前記グループXiの中の前記次の1つに含まれる最後のスイッチを除き互いに共通のスイッチを含み、前記第2スキャニングシステムは、前記第2組み合わせ電極の前記櫛型電極Bの電極指にそれぞれ対応するスイッチを成分とするグループYi (i=1, 2,…, n)から成り、前記グループYiの中の1つとその次の1つは、前記グループYiの中の前記1つに含まれる最初のスイッチと前記グループYiの中の前記次の1つに含まれる最後のスイッチを除き互いに共通のスイッチを含み、前記第1組み合わせ電極の前記櫛型電極Aと前記対向電極の間に前記グループXiを介して順次電気信号が入力されることにより、スキャンされた超音波ビームとして前記縦波が前記物質中に照射され、前記超音波ビームは、前記反射物または前記物質の前記もう一方の界面によって反射されて、前記グループYiによって前記第2組み合わせ電極の前記櫛型電極Bと前記対向電極の間で、スキャンされた遅延電気信号として検出される。
【0015】
本発明の第3のタイプの超音波照射および検出デバイスは、第1圧電基板、第1櫛型電極、第2圧電基板、第2櫛型電極および対向電極から成る超音波照射および検出デバイスであって、前記第1櫛型電極は、前記第1圧電基板の下端面に設けられており、前記第1櫛型電極の下端面には、物質の一方の界面が接触しており、前記第2櫛型電極は、前記第2圧電基板の上端面に設けられており、前記対向電極は前記第1および第2圧電基板の間に設けられていて、前記第1櫛型電極と前記対向電極の間に電気信号が入力されることにより、前記第1圧電基板の下端面に垂直な方向の縦波が前記物質中に照射され、前記縦波は、前記物質に含まれる反射物または前記物質の前記一方の界面と対面するもう一方の界面によって反射されて、前記第2櫛型電極と前記対向電極の間で遅延電気信号として検出される。
【0016】
本発明の第3のタイプの超音波照射および検出デバイスは、前記第1櫛型電極に第1スキャニングシステムが接続され、前記第2櫛型電極に第2スキャニングシステムが接続された超音波照射および検出デバイスであって、前記第1スキャニングシステムは、前記第1櫛型電極の電極指にそれぞれ対応するスイッチを成分とするグループXi (i=1, 2,…, n)から成り、前記グループXiの中の1つとその次の1つは、前記グループXiの中の前記1つに含まれる最初のスイッチと前記グループXiの中の前記次の1つに含まれる最後のスイッチを除き互いに共通のスイッチを含み、前記第2スキャニングシステムは、前記第2櫛型電極の電極指にそれぞれ対応するスイッチを成分とするグループYi (i=1, 2,…, n)から成り、前記グループYiの中の1つとその次の1つは、前記グループYiの中の前記1つに含まれる最初のスイッチと前記グループYiの中の前記次の1つに含まれる最後のスイッチを除き互いに共通のスイッチを含み、前記第1櫛型電極と前記対向電極の間に前記グループXiを介して順次電気信号が入力されることにより、スキャンされた超音波ビームとして前記縦波が前記物質中に照射され、前記超音波ビームは、前記反射物または前記物質の前記もう一方の界面によって反射されて、前記グループYiによって前記第2櫛型電極と前記対向電極の間で、スキャンされた遅延電気信号として検出される。
【0017】
本発明の超音波照射および検出デバイスは、前記物質が液体または細胞質で成る。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の超音波照射および検出デバイスは、3つのタイプに大別される。第1のタイプの超音波照射および検出デバイスは、圧電基板と、櫛型電極AおよびBで成る組み合わせ電極と、対向電極から成る簡単な構造を有する。組み合わせ電極は、圧電基板の上端面に設けられており、対向電極は圧電基板の下端面に設けられている。対向電極の下端面には、物質の一方の界面が接触している。もしも、櫛型電極Aと対向電極との間に電気信号が入力されると、圧電基板の下端面に垂直な方向の縦波が物質中に照射される。この縦波は、物質中に含まれる反射物または物質の一方の界面と対面するもう一方の界面によって反射されて、櫛型電極Bと対向電極との間で遅延電気信号として検出される。
【0019】
本発明の第1のタイプの超音波照射および検出デバイスでは、圧電基板の厚さに対する組み合わせ電極の電極周期長の割合が、圧電基板中を伝搬する縦波速度に対する物質中を伝搬する縦波速度の割合の4倍以下であるような構造を採用することにより、圧電基板の下端面に対し垂直な方向の縦波を効率よく物質中に照射することが可能となる。
【0020】
本発明の第1のタイプの超音波照射および検出デバイスでは、櫛型電極Aの電極指の総面積が不変であることを前提とすると、組み合わせ電極の電極対の数が多いほど、物質中に照射される縦波の指向性が鋭くなる。
【0021】
本発明の第1のタイプの超音波照射および検出デバイスでは、櫛型電極Aにスキャニングシステムが接続された構造が可能である。スキャニングシステムは、櫛型電極Aの電極指にそれぞれ対応するスイッチから成り、これらのスイッチはグループXi (i=1, 2,…, n)を形成する。このとき、グループXiの中の1つとその次の1つは、前者に含まれる最初のスイッチと後者に含まれる最後のスイッチを除き互いに共通のスイッチを有する。もしも、櫛型電極Aと対向電極の間にグループXiを介して順次電気信号が入力されると、物質中にi個の縦波が照射される。これらの縦波は、全体としては、スキャンされた超音波ビームとして照射される。この超音波ビームは、反射物または物質のもう一方の界面によって反射されて、櫛型電極Bと対向電極の間で、スキャンされた遅延電気信号として検出される。
【0022】
本発明の第1のタイプの超音波照射および検出デバイスでは、櫛型電極Aに第1スキャニングシステムが接続され、櫛型電極Bに第2スキャニングシステムが接続された構造が可能である。第1スキャニングシステムは、櫛型電極Aの電極指にそれぞれ対応するスイッチから成る。これらのスイッチはグループXi (i=1, 2,…, n)を形成する。このとき、グループXiの中の1つとその次の1つは、前者に含まれる最初のスイッチと後者に含まれる最後のスイッチを除き互いに共通のスイッチを有する。第2スキャニングシステムは、櫛型電極Bの電極指にそれぞれ対応するスイッチから成る。これらのスイッチはグループYi (i=1, 2,…, n) を形成する。このとき、グループYiの中の1つとその次の1つは、前者に含まれる最初のスイッチと後者に含まれる最後のスイッチを除き互いに共通のスイッチを有する。もしも、櫛型電極Aと対向電極の間にグループXiを介して順次電気信号が入力されると、物質中にi個の縦波が照射される。これらの縦波は、全体としては、スキャンされた超音波ビームとして照射される。この超音波ビームは、反射物または物質のもう一方の界面によって反射されて、グループYiによって櫛型電極Bと対向電極の間で、スキャンされた遅延電気信号として検出される。
【0023】
本発明の第1のタイプの超音波照射および検出デバイスでは、対向電極の下端面にシリコンゴム等の高分子膜が塗布された構造が可能である。このような構造では、高分子膜を塗布しない構造に比べて、縦波をさらに効率よく物質中に照射することが可能となる。
【0024】
本発明の第1のタイプの超音波照射および検出デバイスでは、櫛型電極Aと櫛型電極Bの間に増幅器が接続された構造が可能である。このような構造では、自励発振型の超音波照射および検出デバイスを形成することが可能になる。従って、回路構成が簡単になり、デバイスの小型軽量化が促進され、低電圧で低消費電力駆動が可能となる。
【0025】
本発明の第2のタイプの超音波照射および検出デバイスは、第1圧電基板と、櫛型電極AおよびBで成る第1組み合わせ電極と、第2圧電基板と、櫛型電極AおよびBで成る第2組み合わせ電極と、対向電極から成る簡単な構造を有する。第1組み合わせ電極は、第1圧電基板の下端面に設けられており、第1組み合わせ電極の下端面には、物質の一方の界面が接触している。第2組み合わせ電極は、第2圧電基板の上端面に設けられており、対向電極は第1および第2圧電基板の間に設けられている。もしも、第1組み合わせ電極の櫛型電極Aと対向電極の間に電気信号が入力されると、第1圧電基板の下端面に垂直な方向の縦波が物質中に照射される。この縦波は、物質中に含まれる反射物または物質の一方の界面と対面するもう一方の界面によって反射されて、第2組み合わせ電極の櫛型電極Bと対向電極の間で遅延電気信号として検出される。また、第1組み合わせ電極の櫛型電極Aと、第2組み合わせ電極の櫛型電極Bの間に増幅器を接続することにより、自励発振型の超音波照射および検出デバイスを形成することが可能になる。
【0026】
本発明の第2のタイプの超音波照射および検出デバイスでは、第1組み合わせ電極の電極指の方向が、第2組み合わせ電極の電極指の方向と直交するような構造を採用することが可能である。このような構造を採用することにより、反射された縦波の指向性を、初めに照射された縦波の指向性よりもさらに鋭くすることが可能となる。
【0027】
本発明の第2のタイプの超音波照射および検出デバイスでは、第1組み合わせ電極の櫛型電極Aの電極指幅が、第1組み合わせ電極の櫛型電極Bの電極指幅よりも大きい構造が可能である。このような構造では、両者の電極指幅を均一にする場合に比べ、照射される縦波の指向性をさらに鋭くすることが可能となる。また、第2組み合わせ電極の櫛型電極Bの電極指幅が、第2組み合わせ電極の櫛型電極Aの電極指幅よりも大きい構造を併用することにより、両者の電極指幅を均一にする場合に比べ、反射される縦波の指向性をさらに鋭くすることが可能となる。
【0028】
本発明の第2のタイプの超音波照射および検出デバイスでは、第1組み合わせ電極の櫛型電極Aに第1スキャニングシステムが接続され、第2組み合わせ電極の櫛型電極Bに第2スキャニングシステムが接続された構造が可能である。第1スキャニングシステムは、第1組み合わせ電極の櫛型電極Aの電極指にそれぞれ対応するスイッチから成る。これらのスイッチはグループXi (i=1, 2,…, n)を形成する。このとき、グループXiの中の1つとその次の1つは、前者に含まれる最初のスイッチと後者に含まれる最後のスイッチを除き互いに共通のスイッチを有する。第2スキャニングシステムは、第2組み合わせ電極の櫛型電極Bの電極指にそれぞれ対応するスイッチから成る。これらのスイッチはグループYi (i=1, 2,…, n)を形成する。このとき、グループYiの中の1つとその次の1つは、前者に含まれる最初のスイッチと後者に含まれる最後のスイッチを除き互いに共通のスイッチを有する。もしも、第1組み合わせ電極の櫛型電極Aと対向電極の間にグループXiを介して順次電気信号が入力されると、物質中にi個の縦波が照射される。これらの縦波は、全体としては、スキャンされた超音波ビームとして照射される。この超音波ビームが、反射物によって反射されると、グループYiによって第2組み合わせ電極の櫛型電極Bと対向電極の間で、スキャンされた遅延電気信号として検出される。このとき、第1組み合わせ電極の電極指と第2組み合わせ電極の電極指とを交叉させておくことにより、反射物の形をイメージすることが可能となる。
【0029】
本発明の第3のタイプの超音波照射および検出デバイスは、第1圧電基板、第1櫛型電極、第2圧電基板、第2櫛型電極および対向電極から成る簡単な構造を有する。第1櫛型電極は、第1圧電基板の下端面に設けられており、第1櫛型電極の下端面には、物質の一方の界面が接触している。第2櫛型電極は、第2圧電基板の上端面に設けられており、対向電極は第1および第2圧電基板の間に設けられている。もしも、第1櫛型電極と対向電極の間に電気信号が入力されると、第1圧電基板の下端面に垂直な方向の縦波が物質中に照射される。この縦波は、物質に含まれる反射物または物質の一方の界面と対面するもう一方の界面によって反射されて、第2櫛型電極と対向電極の間で遅延電気信号として検出される。また、第1櫛型電極と第2櫛型電極の間に増幅器を接続することにより、自励発振型の超音波照射および検出デバイスを形成することが可能になる。
【0030】
本発明の第3のタイプの超音波照射および検出デバイスでは、第1櫛型電極に第1スキャニングシステムが接続され、第2櫛型電極に第2スキャニングシステムが接続された構造が可能である。第1スキャニングシステムは、第1櫛型電極の電極指にそれぞれ対応するスイッチから成る。これらのスイッチはグループXi (i=1, 2,…, n)を形成する。このとき、グループXiの中の1つとその次の1つは、前者に含まれる最初のスイッチと後者に含まれる最後のスイッチを除き互いに共通のスイッチを有する。第2スキャニングシステムは、第2櫛型電極の電極指にそれぞれ対応するスイッチから成る。これらのスイッチはグループYi (i=1, 2,…, n)を形成する。このとき、グループYiの中の1つとその次の1つは、前者に含まれる最初のスイッチと後者に含まれる最後のスイッチを除き互いに共通のスイッチを有する。もしも、第1櫛型電極と対向電極の間にグループXiを介して順次電気信号が入力されると、物質中にi個の縦波が照射される。これらの縦波は、全体としては、スキャンされた超音波ビームとして照射される。この超音波ビームが、反射物によって反射されると、グループYiによって第2櫛型電極と対向電極の間で、スキャンされた遅延電気信号として検出される。このとき、第1櫛型電極の電極指と第2櫛型電極の電極指とを交叉させておくことにより、反射物の形をイメージすることが可能となる。
【0031】
本発明の超音波照射および検出デバイスでは、物質が液体または細胞質で成る構造が可能である。つまり、液体や細胞質中に効率よく縦波を照射した後、反射された縦波を遅延電気信号として検出することができる。
【0032】
【実施例】
図1は本発明の超音波照射および検出デバイスの第1の実施例を示す断面図である。本実施例は圧電基板1、組み合わせ電極2、対向電極3、増幅器4および信号分析器5から成る。圧電基板1は厚さ500μmの圧電セラミック薄板で成り、その分極軸の方向が厚さ方向と平行である構造が採用されている。組み合わせ電極2および対向電極3は、ともにアルミニウム薄膜で成り、圧電基板1の上端面および下端面にそれぞれ設けられている。このようにして、図1の超音波照射および検出デバイスは、小型軽量でしかも構造が簡単である。
【0033】
図2は組み合わせ電極2の平面図である。組み合わせ電極2は15個の電極対を有し、5mmの電極重複幅(L)と、75μmの電極指幅(W)と、300μmの電極周期長(P)を有する。組み合わせ電極2は櫛型電極2Aおよび2Bから成る。櫛型電極2Aは増幅器4に接続され、櫛型電極2Bは信号分析器5に接続されている。
【0034】
図1の超音波照射および検出デバイスにおいて、電気信号が櫛型電極2Aと対向電極3の間に印加されると、物質の一方の界面を介して、その物質中に縦波が照射される。この縦波は圧電基板1の下端面に対し垂直な成分から成る。もしもその物質が水の場合には、水中の縦波速度(VW)はほぼ1,500 m/sである。従って、圧電基板1中の縦波速度(V)は4,500 m/sであることから、V値に対するVW値の割合、つまりVW/Vはほぼ0.333となる。一方、圧電基板1の厚さ(T)に対する組み合わせ電極2の電極周期長(P)の割合、つまりP/Tは300/500、つまり0.6となり、この値は0.333の4倍よりも小さい。このような関係、すなわちP/T < 4Vw/Vという条件のもとでは、圧電基板1の下端面に対し垂直な方向の縦波が効率よく水中に照射される。このような縦波は、たとえば細胞質中にも効率よく照射される。
【0035】
物質の一方の界面を介して照射された縦波が、図1に示されるように、物質の一方の界面と対面するもう一方の界面によって反射されるか、または物質中に含まれる反射物によって反射されると、反射された縦波は、櫛型電極2Bと対向電極3の間で遅延電気信号として検出される。遅延電気信号は、信号分析器5に到達するだけでなく、増幅器4によって増幅されて櫛型電極2Aと対向電極3の間に入力電気信号として再び印加される。つまり、組み合わせ電極2および増幅器4は遅延線発振器を構成する。このようにして、自励発振型の超音波照射および検出デバイスを形成することが可能になる。従って、回路構成が簡単になり、デバイスの小型軽量化が促進され、低電圧で低消費電力駆動が可能となる。
【0036】
図3は本発明の超音波照射および検出デバイスの第2の実施例を示す断面図である。本実施例は、増幅器4の代わりに信号発生器6が用いられていることを除いて、図1と同様な構造を有する。
【0037】
図3の超音波照射および検出デバイスにおいて、信号発生器6からの電気信号が櫛型電極2Aと対向電極3の間に印加されると、物質の一方の界面を介して、その物質中に縦波が照射される。この縦波は圧電基板1の下端面に対し垂直な成分から成る。縦波が、図3に示されるように、物質の一方の界面と対面するもう一方の界面によって反射されると、反射された縦波は、櫛型電極2Bと対向電極3の間で遅延電気信号として検出された後、信号分析器5に到達する。
【0038】
図4は本発明の超音波照射および検出デバイスの第3の実施例を示す断面図である。本実施例は圧電基板1、対向電極3、増幅器4、信号分析器5、スキャニングシステム7、組み合わせ電極8およびシリコンゴム9から成る。シリコンゴム9は対向電極3の下端面に設けられている。シリコンゴム9は物質の一方の界面と接触している。
【0039】
図5は組み合わせ電極8の部分平面図である。図5にはスキャニングシステム7も描かれている。組み合わせ電極8は20個の電極対を有し、5mmの電極重複幅(L)と、57μmの電極指幅(W)と、225μmの電極周期長(P)を有する。組み合わせ電極8は櫛型電極8Aおよび8Bから成る。櫛型電極8Aはスキャニングシステム7を介して増幅器4に接続され、櫛型電極8Bは信号分析器5に接続されている。スキャニングシステム7は20個のスイッチを有し、それらのスイッチは櫛型電極8Aの電極指とそれぞれ対応している。20個のスイッチは17個のグループXi (i=1, 2,…, 17)を作り、各グループには4個のスイッチが所属している。つまり、グループXiの中の1つとその次の1つとは、前者の最初のスイッチと後者の最後のスイッチを除き、3つのスイッチを共有している。たとえば、X2グループとX3グループは、X2グループの最初のスイッチとX3グループの最後のスイッチを除き、3つのスイッチを共有している。
【0040】
図4の超音波照射および検出デバイスにおいて、スキャニングシステム7の17個のクループXiを介して電気信号が櫛型電極8Aと、対向電極3の間に順次に印加されると、シリコンゴム9を介して物質中に17個の縦波が照射される。これらの縦波は、全体としては、スキャンされた超音波ビームとして物質中に照射される。もしもその物質が水の場合には、VW/Vは、前述した通りほぼ0.333となる。一方、P/Tは225/500、つまり0.45となり、この値は0.333の4倍よりも小さい。このような関係、すなわちP/T < 4VW /Vという条件のもとでは、圧電基板1の下端面に対し垂直な成分で成る超音波ビームが、シリコンゴム9を介して効率よく水中に照射される。さらに、その超音波ビームの指向性は図1における縦波の指向性よりも鋭い。つまり、P/Tが4Vw/Vよりも小さければ小さいほど、指向性が鋭くなる。
【0041】
物質の一方の界面を介して照射された超音波ビームが、図4に示されるように、物質の一方の界面と対面するもう一方の界面によって反射されるか、または物質中に含まれる反射物によって反射されると、反射された超音波ビームが、櫛型電極8Bと対向電極3の間で、スキャンされた遅延電気信号として検出される。この遅延電気信号は、信号分析器5に到達するだけでなく、増幅器4によって増幅されて櫛型電極8Aと対向電極3の間に入力電気信号として再び印加される。このようにして、自励発振型の超音波照射および検出デバイスを形成することが可能になる。従って、回路構成が簡単になり、デバイスの小型軽量化が促進され、低電圧で低消費電力駆動が可能となる。
【0042】
図6は本発明の超音波照射および検出デバイスの第4の実施例を示す断面図である。本実施例は、増幅器4の代わりに信号発生器6が用いられていることを除いて、図4と同様な構造を有する。
【0043】
図6の超音波照射および検出デバイスにおいて、スキャニングシステム7の17個のクループXiを介して信号発生器6からの電気信号が櫛型電極8Aと、対向電極3の間に順次に印加されると、シリコンゴム9を介して物質中に17個の縦波が照射される。これらの縦波は、全体としては、スキャンされた超音波ビームとして物質中に照射される。
【0044】
物質の一方の界面を介して照射された超音波ビームが、図6に示されるように、物質の一方の界面と対面するもう一方の界面によって反射されると、反射された超音波ビームが、櫛型電極8Bと対向電極3の間で、スキャンされた遅延電気信号として検出された後、信号分析器5に到達する。
【0045】
図7は、図4の超音波照射および検出デバイスから水中へ照射された縦波の照射角度と、相対振幅との関係を示す特性図である。図7では、縦波の非垂直成分がかなり抑圧されていることがわかる。このことは、組み合わせ電極8を用いれば、ほぼ垂直成分から成る縦波を効率よく水中へ照射することができることを示す。このようにして、ほぼ垂直成分から成る超音波ビームをたとえば皮膚を通して細胞質中に効率よく照射することが可能になる。
【0046】
図8は組み合わせ電極2の電極指交叉領域を示す平面図である。
【0047】
図9は組み合わせ電極8の電極指交叉領域を示す平面図である。組み合わせ電極8の電極指交叉領域の大きさは、組み合わせ電極2の電極指交叉領域の大きさと同じである。また、櫛型電極8Aの電極指の総面積は、櫛型電極2Aの電極指の総面積と等しい。
【0048】
図8と図9を比較すると、組み合わせ電極8と組み合わせ電極2が次のような点で異なることがわかる。第1に電極対の数、第2に電極指幅(W)、そして第3に電極周期長(P)である。組み合わせ電極8の電極対の数は組み合わせ電極2の4/3であり、組み合わせ電極8の電極周期長(P)は組み合わせ電極2の3/4であり、組み合わせ電極8の電極指幅(W)は組み合わせ電極2の3/4である。実際に、組み合わせ電極2を採用した場合に比べて、組み合わせ電極8を採用した場合の方が、垂直成分の指向性に優れた縦波を照射できることが確認されている。このことは、入力用電極の電極指の総面積が不変であるならば、その入力用電極の電極対の数が多いほど、物質中に照射される縦波の非垂直成分が抑圧されることを意味する。すなわち、入力用電極の電極指の総面積が不変であるならば、その入力用電極の電極対の数が縦波の指向性に影響を及ぼす。
【0049】
図10は本発明の超音波照射および検出デバイスの第5の実施例を示す断面図である。本実施例は、スキャニングシステム7が排除され第1スキャニングシステム10および第2スキャニングシステム11が新たに採用されている点を除けば、図4と同様な構造を有する。
【0050】
図11は、第1スキャニングシステム10および第2スキャニングシステム11に接続された組み合わせ電極8の部分平面図である。櫛型電極8Aは第1スキャニングシステム10を介して増幅器4に接続され、櫛型電極8Bは第2スキャニングシステム11を介して信号分析器5に接続されている。第1スキャニングシステム10は20個のスイッチを有し、それらのスイッチは櫛型電極8Aの電極指とそれぞれ対応している。これら20個のスイッチは17個のグループXi (i=1, 2,…, 17)を作り、各グループには4個のスイッチが所属している。つまり、グループXiの中の1つとその次の1つとは、前者の最初のスイッチと後者の最後のスイッチを除き、3つのスイッチを共有している。同様にして、第2スキャニングシステム11は20個のスイッチを有し、それらのスイッチは櫛型電極8Bの電極指とそれぞれ対応している。これら20個のスイッチは17個のグループYi (i=1, 2,…, 17)を作り、各グループには4個のスイッチが所属している。つまり、グループYiの中の1つとその次の1つとは、前者の最初のスイッチと後者の最後のスイッチを除き、3つのスイッチを共有している。
【0051】
図10の超音波照射および検出デバイスにおいて、第1スキャニングシステム10の17個のクループXiを介して電気信号が櫛型電極8Aと、対向電極3の間に順次に印加されると、シリコンゴム9を介して物質中に17個の縦波が照射される。これらの縦波は、全体としては、スキャンされた超音波ビームとして物質中に照射される。もしもその物質が水の場合には、P/T < 4VW /Vという条件が満たされることから、圧電基板1の下端面に対し垂直な成分で成る超音波ビームが、シリコンゴム9を介して効率よく水中に照射される。
【0052】
物質の一方の界面を介して照射された超音波ビームが、図10に示されるように、物質の一方の界面と対面するもう一方の界面によって反射されると、反射された超音波ビームが、第2スキャニングシステム11の17個のクループYiによって、櫛型電極8Bと対向電極3の間で、スキャンされた遅延電気信号として検出される。この遅延電気信号は、信号分析器5に到達するだけでなく、増幅器4によって増幅されて櫛型電極8Aと対向電極3の間に入力電気信号として再び印加される。このようにして、自励発振型の超音波照射および検出デバイスを形成することが可能になる。従って、回路構成が簡単になり、デバイスの小型軽量化が促進され、低電圧で低消費電力駆動が可能となる。
【0053】
図12は本発明の超音波照射および検出デバイスの第6の実施例を示す断面図である。本実施例は、増幅器4の代わりに信号発生器6が用いられていることを除いて、図10と同様な構造を有する。
【0054】
図12の超音波照射および検出デバイスにおいて、第1スキャニングシステム10の17個のクループXiを介して信号発生器6からの電気信号が櫛型電極8Aと、対向電極3の間に順次に印加されると、シリコンゴム9を介して物質中に17個の縦波が照射される。これらの縦波は、全体としては、スキャンされた超音波ビームとして物質中に照射される。
【0055】
物質の一方の界面を介して照射された超音波ビームが、図12に示されるように、物質の一方の界面と対面するもう一方の界面によって反射されると、反射された超音波ビームが、第2スキャニングシステム11の17個のクループYiによって櫛型電極8Bと対向電極3の間で、スキャンされた遅延電気信号として検出された後、信号分析器5に到達する。
【0056】
図13は本発明の超音波照射および検出デバイスの第7の実施例を示す断面図である。本実施例は、対向電極3、増幅器4、信号分析器5、シリコンゴム9、第1圧電基板12、第1組み合わせ電極13、第2圧電基板14および第2組み合わせ電極15から成る。第1圧電基板12および第2圧電基板14は、圧電基板1と同様な材質で成り同様な大きさを有する。第2組み合わせ電極15は、アルミニウム薄膜で成り、第2圧電基板14の上端面に設けられている。対向電極3は第1圧電基板12と第2圧電基板14の間に固着されている。第1組み合わせ電極13は、アルミニウム薄膜で成り、第1圧電基板12の下端面に設けられている。シリコンゴム9は第1組み合わせ電極13の下端面に設けられている。シリコンゴム9は物質の一方の界面と接触している。
【0057】
図14は第1組み合わせ電極13および第2組み合わせ電極15の構成図である。第1組み合わせ電極13の電極指の方向は、第2組み合わせ電極15の電極指の方向と直交している。第1組み合わせ電極13は20個の電極対を有し、5mmの電極重複幅(L)と、225μmの電極周期長(P)を有する。第1組み合わせ電極13は櫛型電極13Aおよび13Bから成り、櫛型電極13A は45μmの電極指幅(WA)を有し、櫛型電極13Bは12μmの電極指幅(WB)を有する。第2組み合わせ電極15は第1組み合わせ電極13と同様な構造を有する。但し、第2組み合わせ電極15の櫛型電極15Aは12μmの電極指幅(WA)を有し、櫛型電極15Bは45μmの電極指幅(WB)を有する。
【0058】
図13の超音波照射および検出デバイスにおいて、電気信号が櫛型電極13Aと対向電極3の間に印加されると、シリコンゴム9を介して物質中に縦波が照射される。もしもその物質が水の場合には、P/T < 4VW /Vという条件が満たされることから、第1圧電基板12の下端面に対し垂直な縦波が、シリコンゴム9を介して効率よく水中に照射される。その上、櫛型電極13Aの電極指幅(WA)を櫛型電極13Bの電極指幅(WB)よりも大きくすることにより、両者の電極指幅を均一にする場合に比べ、照射される縦波の指向性をさらに鋭くすることが可能となる。
【0059】
物質中に照射された縦波が、図13に示されるように、物質中に含まれる反射物によって反射されると、反射された縦波が、櫛型電極15Bと対向電極3の間で遅延電気信号として検出される。このとき、第1組み合わせ電極13の電極指の方向を、第2組み合わせ電極15の電極指の方向と直交させることにより、反射された縦波の指向性を、初めに照射された縦波の指向性よりもさらに鋭くすることが可能となる。一方、櫛型電極15Bと対向電極3の間で検出された遅延電気信号は、信号分析器5に到達するだけでなく、増幅器4によって増幅されて櫛型電極13Aと対向電極3の間に入力電気信号として再び印加される。このようにして、自励発振型の超音波照射および検出デバイスを形成することが可能になる。従って、回路構成が簡単になり、デバイスの小型軽量化が促進され、低電圧で低消費電力駆動が可能となる。
【0060】
図15は本発明の超音波照射および検出デバイスの第8の実施例を示す断面図である。本実施例は、増幅器4の代わりに信号発生器6が用いられていることを除いて、図13と同様な構造を有する。
【0061】
図15の超音波照射および検出デバイスにおいて、信号発生器6からの電気信号が櫛型電極13Aと対向電極3の間に印加されると、シリコンゴム9を介して物質中に縦波が照射される。この縦波が、物質中に含まれる反射物によって反射されると、反射された縦波が、櫛型電極15Bと対向電極3の間で遅延電気信号として検出された後、信号分析器5に到達する。
【0062】
図16は本発明の超音波照射および検出デバイスの第9の実施例を示す断面図である。本実施例は、第1スキャニングシステム10および第2スキャニングシステム11が新たに採用されている点を除けば、図13と同様な構造を有する。
【0063】
図17は、第1スキャニングシステム10に接続された第1組み合わせ電極13と、第2スキャニングシステム11に接続された第2組み合わせ電極15の構成図である。第1組み合わせ電極13は第1スキャニングシステム10を介して増幅器4に接続され、第2組み合わせ電極15は第2スキャニングシステム11を介して信号分析器5に接続されている。第1組み合わせ電極13の電極指は第1スキャニングシステム10の20個のスイッチとそれぞれ対応し、第2組み合わせ電極15の電極指は第2スキャニングシステム11の20個のスイッチとそれぞれ対応している。第1スキャニングシステム10の20個のスイッチは17個のグループXi (i=1, 2,…, 17)を作り、各グループには4個のスイッチが所属している。つまり、グループXiの中の1つとその次の1つとは、前者の最初のスイッチと後者の最後のスイッチを除き、3つのスイッチを共有している。これに対して、第2スキャニングシステム11の20個のスイッチは18個のグループYi (i=1, 2,…, 18)を作り、各グループには3個のスイッチが所属している。つまり、グループYiの中の1つとその次の1つとは、前者の最初のスイッチと後者の最後のスイッチを除き、2つのスイッチを共有している。
【0064】
図16の超音波照射および検出デバイスにおいて、第1スキャニングシステム10の17個のクループXiを介して電気信号が櫛型電極13Aと、対向電極3の間に順次に印加されると、シリコンゴム9を介して物質中に17個の縦波が照射される。これらの縦波は、全体としては、スキャンされた超音波ビームとして物質中に照射される。もしもその物質が水の場合には、P/T < 4VW /Vという条件が満たされることから、第1圧電基板12の下端面に対し垂直な成分で成る超音波ビームが、シリコンゴム9を介して効率よく水中に照射される。
【0065】
物質中に照射された超音波ビームが、図16に示されるように、物質中に含まれる反射物によって反射されると、反射された超音波ビームが、第2スキャニングシステム11の18個のグループYiによって、櫛型電極15Bと対向電極3の間で18個のスキャンされた遅延電気信号として順次に検出される。その結果、反射物の形をイメージすることが可能となる。一方、これらの遅延電気信号は、信号分析器5に到達するだけでなく、増幅器4によって増幅されて櫛型電極13Aと対向電極3の間に入力電気信号として再び印加される。このようにして、自励発振型の超音波照射および検出デバイスを形成することが可能になる。従って、回路構成が簡単になり、デバイスの小型軽量化が促進され、低電圧で低消費電力駆動が可能となる。
【0066】
図18は本発明の超音波照射および検出デバイスの第10の実施例を示す断面図である。本実施例は、増幅器4の代わりに信号発生器6が用いられていることを除いて、図16と同様な構造を有する。
【0067】
図18の超音波照射および検出デバイスにおいて、第1スキャニングシステム10の17個のクループXiを介して信号発生器6からの電気信号が櫛型電極13Aと、対向電極3の間に順次に印加されると、シリコンゴム9を介して物質中に17個の縦波が照射される。これらの縦波は、全体としては、スキャンされた超音波ビームとして物質中に照射される。
【0068】
物質中に照射された超音波ビームが、図18に示されるように、物質中に含まれる反射物によって反射されると、反射された超音波ビームが、第2スキャニングシステム11の18個のグループYiのそれぞれによって、櫛型電極15Bと対向電極3の間で18個のスキャンされた遅延電気信号として順次に検出された後、信号分析器5に到達する。その結果、反射物の形をイメージすることが可能となる。
【0069】
図19は本発明の超音波照射および検出デバイスの第11の実施例を示す断面図である。本実施例は、第1組み合わせ電極13および第2組み合わせ電極15の代わりに第1櫛型電極16および第2櫛型電極17がそれぞれ採用されている点を除けば、図13と同様な構造を有する。
【0070】
図20は第1櫛型電極16および第2櫛型電極17の構成図である。第1櫛型電極16は40個の電極対を有し、5mmの電極重複幅(L)と、175μmの電極指幅(W)と、225μmの電極周期長(P)を有する。第2櫛型電極17は第1櫛型電極16と同様な構造を有する。第2櫛型電極17の電極指の方向は、第1櫛型電極16の電極指の方向と直交している。
【0071】
図19の超音波照射および検出デバイスにおいて、電気信号が第1櫛型電極16と対向電極3の間に印加されると、シリコンゴム9を介して物質中に縦波が照射される。もしもその物質が水の場合には、P/T < 4VW /Vという条件が満たされることから、第1圧電基板12の下端面に対し垂直な縦波が、シリコンゴム9を介して効率よく水中に照射される。
【0072】
物質中に照射された縦波が、図19に示されるように、物質中に含まれる反射物によって反射されると、反射された縦波が、第2櫛型電極17と対向電極3の間で遅延電気信号として検出される。このとき、第2櫛型電極17の電極指の方向を、第1櫛型電極16の電極指の方向と直交させることにより、反射された縦波の指向性を、初めに照射された縦波の指向性よりもさらに鋭くすることが可能となる。第2櫛型電極17と対向電極3の間で検出された遅延電気信号は、信号分析器5に到達するだけでなく、増幅器4によって増幅されて第1櫛型電極16と対向電極3の間に入力電気信号として再び印加される。このようにして、自励発振型の超音波照射および検出デバイスを形成することが可能になる。従って、回路構成が簡単になり、デバイスの小型軽量化が促進され、低電圧で低消費電力駆動が可能となる。
【0073】
図21は本発明の超音波照射および検出デバイスの第12の実施例を示す断面図である。本実施例は、増幅器4の代わりに信号発生器6が用いられていることを除いて、図19と同様な構造を有する。
【0074】
図21の超音波照射および検出デバイスにおいて、信号発生器6からの電気信号が第1櫛型電極16と対向電極3の間に印加されると、シリコンゴム9を介して物質中に縦波が照射される。
【0075】
物質中に照射された縦波が、図21に示されるように、物質中に含まれる反射物によって反射されると、反射された縦波が、第2櫛型電極17と対向電極3の間で遅延電気信号として検出された後、信号分析器5に到達する。
【0076】
図22は本発明の超音波照射および検出デバイスの第13の実施例を示す断面図である。本実施例は、第1スキャニングシステム18および第2スキャニングシステム19が新たに採用されている点を除けば、図19と同様な構造を有する。
【0077】
図23は第1スキャニングシステム18に接続された第1櫛型電極16と、第2スキャニングシステム19に接続された第2櫛型電極17の構成図である。第1櫛型電極16は第1スキャニングシステム18を介して増幅器4に接続され、第2櫛型電極17は第2スキャニングシステム19を介して信号分析器5に接続されている。第1スキャニングシステム18は40個のスイッチを有し、それらのスイッチは第1櫛型電極16の電極指とそれぞれ対応している。同様にして、第2スキャニングシステム19は40個のスイッチを有し、それらのスイッチは第2櫛型電極17の電極指とそれぞれ対応している。第1スキャニングシステム18の40個のスイッチは35個のグループXi (i=1, 2,…, 35)を作り、各グループには6個のスイッチが所属している。つまり、グループXiの中の1つとその次の1つとは、前者の最初のスイッチと後者の最後のスイッチを除き、5つのスイッチを共有している。一方、第2櫛型電極17の40個のスイッチは37個のグループYi (i=1, 2,…, 37)を作り、各グループには4個のスイッチが所属している。つまり、グループYiの中の1つとその次の1つとは、前者の最初のスイッチと後者の最後のスイッチを除き、3つのスイッチを共有している。
【0078】
図22の超音波照射および検出デバイスにおいて、第1スキャニングシステム18の35個のクループXiを介して電気信号が第1櫛型電極16と、対向電極3の間に順次に印加されると、シリコンゴム9を介して物質中に35個の縦波が照射される。これらの縦波は、全体としては、スキャンされた超音波ビームとして物質中に照射される。もしもその物質が水の場合には、P/T < 4VW /Vという条件が満たされることから、第1圧電基板12の下端面に対し垂直な成分で成る超音波ビームが、シリコンゴム9を介して効率よく水中に照射される。
【0079】
物質中に照射された超音波ビームが、図22に示されるように、物質中に含まれる反射物によって反射されると、反射された超音波ビームが、第2スキャニングシステム19の37個のグループYiのそれぞれによって、第2櫛型電極17と対向電極3の間で37個のスキャンされた遅延電気信号として順次に検出される。その結果、反射物の形をイメージすることが可能となる。一方、これらの遅延電気信号は、信号分析器5に到達するだけでなく、増幅器4によって増幅されて第1櫛型電極16と対向電極3の間に入力電気信号として再び印加される。このようにして、自励発振型の超音波照射および検出デバイスを形成することが可能になる。従って、回路構成が簡単になり、デバイスの小型軽量化が促進され、低電圧で低消費電力駆動が可能となる。
【0080】
図24は本発明の超音波照射および検出デバイスの第14の実施例を示す断面図である。本実施例は、増幅器4の代わりに信号発生器6が用いられていることを除いて、図22と同様な構造を有する。
【0081】
図24の超音波照射および検出デバイスにおいて、第1スキャニングシステム18の35個のクループXiを介して信号発生器6からの電気信号が第1櫛型電極16と対向電極3の間に印加されると、シリコンゴム9を介して物質中に35個の縦波が照射される。これらの縦波は、全体としては、スキャンされた超音波ビームとして物質中に照射される。
【0082】
物質中に照射された超音波ビームが、図24に示されるように、物質中に含まれる反射物によって反射されると、反射された超音波ビームが、第2スキャニングシステム19の37個のグループYiのそれぞれによって、第2櫛型電極17と対向電極3の間で37個のスキャンされた遅延電気信号として順次に検出された後、信号分析器5に到達する。その結果、反射物の形をイメージすることが可能となる。
【0083】
【発明の効果】
本発明の第1のタイプの超音波照射および検出デバイスは、圧電基板と、櫛型電極AおよびBで成る組み合わせ電極と、対向電極から成る。組み合わせ電極は、圧電基板の上端面に設けられており、対向電極は圧電基板の下端面に設けられている。対向電極の下端面には、物質の一方の界面が接触している。もしも、櫛型電極Aと対向電極との間に電気信号が入力されると、圧電基板の下端面に垂直な方向の縦波が物質中に照射される。このとき、対向電極の下端面にシリコンゴム等の高分子膜が塗布されたような構造を採用すれば、高分子膜を塗布しない場合に比べて、縦波をさらに効率よく物質中に照射することが可能となる。この縦波は、物質中に含まれる反射物または物質の一方の界面と対面するもう一方の界面によって反射されて、櫛型電極Bと対向電極との間で遅延電気信号として検出される。このとき、櫛型電極Aと櫛型電極Bの間に増幅器を接続することにより、自励発振型の超音波照射および検出デバイスを形成することが可能になる。従って、回路構成が簡単になり、デバイスの小型軽量化が促進され、低電圧で低消費電力駆動が可能となる。
【0084】
本発明の第1のタイプの超音波照射および検出デバイスでは、圧電基板の厚さに対する組み合わせ電極の電極周期長の割合が、圧電基板中を伝搬する縦波速度に対する物質中を伝搬する縦波速度の割合の4倍以下であるような構造を採用することにより、圧電基板の下端面に対し垂直な方向の縦波を効率よく物質中に照射することが可能となる。また、櫛型電極Aの電極指の総面積が不変であることを前提とすると、組み合わせ電極の電極対の数が多いほど、物質中に照射される縦波の指向性が鋭くなる。
【0085】
本発明の第1のタイプの超音波照射および検出デバイスでは、櫛型電極Aにスキャニングシステムが接続された構造が可能である。スキャニングシステムは、櫛型電極Aの電極指にそれぞれ対応するスイッチから成り、これらのスイッチはグループXi (i=1, 2,…, n)を形成する。このとき、グループXiの中の1つとその次の1つは、前者に含まれる最初のスイッチと後者に含まれる最後のスイッチを除き互いに共通のスイッチを有する。もしも、櫛型電極Aと対向電極の間にグループXiを介して順次電気信号が入力されると、物質中にi個の縦波が照射される。これらの縦波は、全体としては、スキャンされた超音波ビームとして照射される。この超音波ビームは、反射物または物質のもう一方の界面によって反射されて、櫛型電極Bと対向電極の間で、スキャンされた遅延電気信号として検出される。
【0086】
本発明の第1のタイプの超音波照射および検出デバイスでは、櫛型電極Aに第1スキャニングシステムが接続され、櫛型電極Bに第2スキャニングシステムが接続された構造が可能である。第1スキャニングシステムは、櫛型電極Aの電極指にそれぞれ対応するスイッチから成る。これらのスイッチはグループXi (i=1, 2,…, n)を形成する。第2スキャニングシステムは、櫛型電極Bの電極指にそれぞれ対応するスイッチから成る。これらのスイッチはグループYi (i=1, 2,…, n) を形成する。このとき、グループYiの中の1つとその次の1つは、前者に含まれる最初のスイッチと後者に含まれる最後のスイッチを除き互いに共通のスイッチを有する。もしも、櫛型電極Aと対向電極の間にグループXiを介して順次電気信号が入力されると、物質中にi個の縦波が照射される。これらの縦波は、全体としては、スキャンされた超音波ビームとして照射される。この超音波ビームは、反射物または物質のもう一方の界面によって反射されて、グループYiによって櫛型電極Bと対向電極の間で、スキャンされた遅延電気信号として検出される。
【0087】
本発明の第2のタイプの超音波照射および検出デバイスは、第1圧電基板と、櫛型電極AおよびBで成る第1組み合わせ電極と、第2圧電基板と、櫛型電極AおよびBで成る第2組み合わせ電極と、対向電極から成る。第1組み合わせ電極は、第1圧電基板の下端面に設けられており、第1組み合わせ電極の下端面には、物質の一方の界面が接触している。第2組み合わせ電極は、第2圧電基板の上端面に設けられており、対向電極は第1および第2圧電基板の間に設けられている。もしも、第1組み合わせ電極の櫛型電極Aと対向電極の間に電気信号が入力されると、第1圧電基板の下端面に垂直な方向の縦波が物質中に照射される。このとき、第1組み合わせ電極における櫛型電極Aの電極指幅が櫛型電極Bの電極指幅よりも大きい構造を採用することにより、両者の電極指幅を均一にする場合に比べ、照射される縦波の指向性をさらに鋭くすることが可能となる。この縦波は、物質中に含まれる反射物または物質の一方の界面と対面するもう一方の界面によって反射されて、第2組み合わせ電極の櫛型電極Bと対向電極の間で遅延電気信号として検出される。このとき、第2組み合わせ電極における櫛型電極Bの電極指幅が櫛型電極Aの電極指幅よりも大きい構造を採用することにより、両者の電極指幅を均一にする場合に比べ、反射される縦波の指向性をさらに鋭くすることが可能となる。さらに、第1組み合わせ電極の電極指の方向が、第2組み合わせ電極の電極指の方向と直交するような構造を採用することにより、反射された縦波の指向性を、初めに照射された縦波の指向性よりもさらに鋭くすることが可能となる。また、第1組み合わせ電極の櫛型電極Aと、第2組み合わせ電極の櫛型電極Bの間に増幅器を接続することにより、自励発振型の超音波照射および検出デバイスを形成することが可能になる。
【0088】
本発明の第2のタイプの超音波照射および検出デバイスでは、第1組み合わせ電極の櫛型電極Aに第1スキャニングシステムが接続され、第2組み合わせ電極の櫛型電極Bに第2スキャニングシステムが接続された構造が可能である。もしも、第1組み合わせ電極の櫛型電極Aと対向電極の間にグループXiを介して順次電気信号が入力されると、物質中にi個の縦波が照射される。これらの縦波は、全体としては、スキャンされた超音波ビームとして照射される。この超音波ビームが、反射物によって反射されると、グループYiによって第2組み合わせ電極の櫛型電極Bと対向電極の間で、スキャンされた遅延電気信号として検出される。このとき、第1組み合わせ電極の電極指と第2組み合わせ電極の電極指とを交叉させておくことにより、反射物の形をイメージすることが可能となる。
【0089】
本発明の第3のタイプの超音波照射および検出デバイスは、第1圧電基板、第1櫛型電極、第2圧電基板、第2櫛型電極および対向電極から成る簡単な構造を有する。第1櫛型電極は、第1圧電基板の下端面に設けられており、第1櫛型電極の下端面には、物質の一方の界面が接触している。第2櫛型電極は、第2圧電基板の上端面に設けられており、対向電極は第1および第2圧電基板の間に設けられている。もしも、第1櫛型電極と対向電極の間に電気信号が入力されると、第1圧電基板の下端面に垂直な方向の縦波が物質中に照射される。この縦波は、物質に含まれる反射物または物質の一方の界面と対面するもう一方の界面によって反射されて、第2櫛型電極と対向電極の間で遅延電気信号として検出される。また、第1櫛型電極と第2櫛型電極の間に増幅器を接続することにより、自励発振型の超音波照射および検出デバイスを形成することが可能になる。さらに、第1櫛型電極に第1スキャニングシステムが接続され、第2櫛型電極に第2スキャニングシステムが接続された構造と、第1櫛型電極の電極指と第2櫛型電極の電極指とを交叉させる構造を採用することにより、反射物の形をイメージすることが可能となる。
【0090】
本発明の超音波照射および検出デバイスでは、物質が液体または細胞質で成る構造が可能である。つまり、液体や細胞質中に効率よく縦波を照射した後、反射された縦波を遅延電気信号として検出することができる。従って、液体中や細胞質中の反射物の形をイメージすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の超音波照射および検出デバイスの第1の実施例を示す断面図。
【図2】 組み合わせ電極2の平面図。
【図3】 本発明の超音波照射および検出デバイスの第2の実施例を示す断面図。
【図4】 本発明の超音波照射および検出デバイスの第3の実施例を示す断面図。
【図5】組み合わせ電極8の部分平面図。
【図6】 本発明の超音波照射および検出デバイスの第4の実施例を示す断面図。
【図7】 図4の超音波照射および検出デバイスから水中へ照射された縦波の照射角度と、相対振幅との関係を示す特性図。
【図8】 組み合わせ電極2の電極指交叉領域を示す平面図。
【図9】 組み合わせ電極8の電極指交叉領域を示す平面図。
【図10】 本発明の超音波照射および検出デバイスの第5の実施例を示す断面図。
【図11】 第1スキャニングシステム10および第2スキャニングシステム11に接続された組み合わせ電極8の部分平面図。
【図12】 本発明の超音波照射および検出デバイスの第6の実施例を示す断面図。
【図13】 本発明の超音波照射および検出デバイスの第7の実施例を示す断面図。
【図14】 第1組み合わせ電極13および第2組み合わせ電極15の構成図。
【図15】 本発明の超音波照射および検出デバイスの第8の実施例を示す断面図。
【図16】 本発明の超音波照射および検出デバイスの第9の実施例を示す断面図。
【図17】 第1スキャニングシステム10に接続された第1組み合わせ電極13と、第2スキャニングシステム11に接続された第2組み合わせ電極15の構成図。
【図18】 本発明の超音波照射および検出デバイスの第10の実施例を示す断面図。
【図19】 本発明の超音波照射および検出デバイスの第11の実施例を示す断面図。
【図20】 第1櫛型電極16および第2櫛型電極17の構成図。
【図21】 本発明の超音波照射および検出デバイスの第12の実施例を示す断面図。
【図22】 本発明の超音波照射および検出デバイスの第13の実施例を示す断面図。
【図23】 第1スキャニングシステム18に接続された第1櫛型電極16と、第2スキャニングシステム19に接続された第2櫛型電極17の構成図。
【図24】 本発明の超音波照射および検出デバイスの第14の実施例を示す断面図。
【符号の説明】
1 圧電基板
2 組み合わせ電極
3 対向電極
4 増幅器
5 信号分析器
6 信号発生器
7 スキャニングシステム
8 組み合わせ電極
9 シリコンゴム
10 第1スキャニングシステム
11 第2スキャニングシステム
12 第1圧電基板
13 第1組み合わせ電極
14 第2圧電基板
15 第2組み合わせ電極
16 第1櫛型電極
17 第2櫛型電極
18 第1スキャニングシステム
19 第2スキャニングシステム
2A,2B 櫛型電極
8A,8B 櫛型電極
13A,13B 櫛型電極
15A,15B 櫛型電極
Claims (14)
- 圧電基板と、櫛型電極AおよびBで成る組み合わせ電極と、対向電極から成る超音波照射および検出デバイスであって、前記組み合わせ電極は、前記圧電基板の上端面に設けられており、前記対向電極は前記圧電基板の下端面に設けられていて、前記対向電極の下端面には、物質の一方の界面が接触しており、前記櫛型電極Aと前記対向電極の間に電気信号が入力されることにより、前記圧電基板の下端面に垂直な方向の縦波が前記物質中に照射され、前記櫛型電極 A の電極指の総面積が不変であるならば、前記組み合わせ電極の電極対の数が多いほど、前記物質中に照射される前記縦波の指向性が鋭くなり、前記縦波は、前記物質に含まれる反射物または前記物質の前記一方の界面と対面するもう一方の界面によって反射されて、前記櫛型電極Bと前記対向電極の間で遅延電気信号として検出される超音波照射および検出デバイス。
- 前記圧電基板の厚さに対する前記組み合わせ電極の電極周期長の割合は、前記圧電基板中を伝搬する縦波速度に対する前記物質中を伝搬する縦波速度の割合の4倍以下である請求項1に記載の超音波照射および検出デバイス。
- 前記物質が液体または細胞質で成る請求項1または2に記載の超音波照射および検出デバイス。
- 前記櫛型電極Aにスキャニングシステムが接続された超音波照射および検出デバイスであって、前記スキャニングシステムは、前記櫛型電極Aの電極指にそれぞれ対応するスイッチを成分とするグループXi (i=1, 2,…, n)から成り、前記グループXiの中の1つとその次の1つは、前記グループXiの中の前記1つに含まれる最初のスイッチと前記次の1つに含まれる最後のスイッチを除き互いに共通のスイッチを含み、 前記櫛型電極Aと前記対向電極の間に前記グループXiを介して順次電気信号が入力されることにより、スキャンされた超音波ビームとして前記縦波が前記物質中に照射され、前記超音波ビームは、前記反射物または前記物質の前記もう一方の界面によって反射されて、前記櫛型電極Bと前記対向電極の間で、スキャンされた遅延電気信号として検出される請求項1,2または3に記載の超音波照射および検出デバイス。
- 前記櫛型電極Aに第1スキャニングシステムが接続され、前記櫛型電極Bに第2スキャニングシステムが接続された超音波照射および検出デバイスであって、前記第1スキャニングシステムは、前記櫛型電極Aの電極指にそれぞれ対応するスイッチを成分とするグループXi (i=1, 2,…, n)から成り、前記グループXiの中の1つとその次の1つは、前記グループXiの中の前記1つに含まれる最初のスイッチと前記グループXiの中の前記次の1つに含まれる最後のスイッチを除き互いに共通のスイッチを含み、前記第2スキャニングシステムは、前記櫛型電極Bの電極指にそれぞれ対応するスイッチを成分とするグループYi (i=1, 2,…, n)から成り、前記グループYiの中の1つとその次の1つは、前記グループYiの中の前記1つに含まれる最初のスイッチと前記グループYiの中の前記次の1つに含まれる最後のスイッチを除き互いに共通のスイッチを含み、前記櫛型電極Aと前記対向電極の間に前記グループXiを介して順次電気信号が入力されることにより、スキャンされた超音波ビームとして前記縦波が前記物質中に照射され、前記超音波ビームは、前記反射物または前記物質の前記もう一方の界面によって反射されて、前記グループYiによって前記櫛型電極Bと前記対向電極の間で、スキャンされた遅延電気信号として検出される請求項1,2または3に記載の超音波照射および検出デバイス。
- 前記対向電極の下端面に高分子膜が塗布された請求項1,2,3,4または5に記載の超音波照射および検出デバイス。
- 前記櫛型電極Aと前記櫛型電極Bの間に増幅器が接続されている請求項1,2,3,4,5または6に記載の超音波照射および検出デバイス。
- 第1圧電基板と、櫛型電極AおよびBで成る第1組み合わせ電極と、第2圧電基板と、櫛型電極AおよびBで成る第2組み合わせ電極と、対向電極から成る超音波照射および検出デバイスであって、前記第1組み合わせ電極は、前記第1圧電基板の下端面に設けられており、前記第1組み合わせ電極の下端面には、物質の一方の界面が接触しており、前記第2組み合わせ電極は、前記第2圧電基板の上端面に設けられており、前記対向電極は前記第1および第2圧電基板の間に設けられていて、前記第1組み合わせ電極の前記櫛型電極 A の電極指幅は、前記第1組み合わせ電極の前記櫛型電極 B の電極指幅よりも大きく、前記第2組み合わせ電極の前記櫛型電極 B の電極指幅は、前記第2組み合わせ電極の前記櫛型電極 A の電極指幅よりも大きく、前記第1組み合わせ電極の前記櫛型電極Aと前記対向電極の間に電気信号が入力されることにより、前記第1圧電基板の下端面に垂直な方向の縦波が前記物質中に照射され、前記縦波は、前記物質に含まれる反射物または前記物質の前記一方の界面と対面するもう一方の界面によって反射されて、前記第2組み合わせ電極の前記櫛型電極Bと前記対向電極の間で遅延電気信号として検出される超音波照射および検出デバイス。
- 前記第1組み合わせ電極の電極指の方向は、前記第2組み合わせ電極の電極指の方向と直交している請求項8に記載の超音波照射および検出デバイス。
- 前記物質が液体または細胞質で成る請求項8または9に記載の超音波照射および検出デバイス。
- 前記第1組み合わせ電極の前記櫛型電極Aに第1スキャニングシステムが接続され、前記第2組み合わせ電極の前記櫛型電極Bに第2スキャニングシステムが接続された超音波照射および検出デバイスであって、前記第1スキャニングシステムは、前記第1組み合わせ電極の前記櫛型電極Aの電極指にそれぞれ対応するスイッチを成分とするグループXi (i=1, 2,…, n)から成り、前記グループXiの中の1つとその次の1つは、前記グループXiの中の前記1つに含まれる最初のスイッチと前記グループXiの中の前記次の1つに含まれる最後のスイッチを除き互いに共通のスイッチを含み、前記第2スキャニングシステムは、前記第2組み合わせ電極の前記櫛型電極Bの電極指にそれぞれ対応するスイッチを成分とするグループYi (i=1, 2,…, n)から成り、前記グループYiの中の1つとその次の1つは、前記グループYiの中の前記1つに含まれる最初のスイッチと前記グループYiの中の前記次の1つに含まれる最後のスイッチを除き互いに共通のスイッチを含み、前記第1組み合わせ電極の前記櫛型電極Aと前記対向電極の間に前記グループXiを介して順次電気信号が入力されることにより、スキャンされた超音波ビームとして前記縦波が前記物質中に照射され、前記超音波ビームは、前記反射物または前記物質の前記もう一方の界面によって反射されて、前記グループYiによって前記第2組み合わせ電極の前記櫛型電極Bと前記対向電極の間で、スキャンされた遅延電気信号として検出される請求項8,9または10に記載の超音波照射および検出デバイス。
- 第1圧電基板、第1櫛型電極、第2圧電基板、第2櫛型電極および対向電極から成る超音波照射および検出デバイスであって、前記第1櫛型電極は、前記第1圧電基板の下端面に設けられており、前記第1櫛型電極の下端面には、物質の一方の界面が接触しており、前記第2櫛型電極は、前記第2圧電基板の上端面に設けられており、前記対向電極は前記第1および第2圧電基板の間に設けられていて、前記第2櫛型電極の電極指の方向は、前記第1櫛型電極の電極指の方向と直交しており、前記第1櫛型電極と前記対向電極の間に電気信号が入力されることにより、前記第1圧電基板の下端面に垂直な方向の縦波が前記物質中に照射され、前記縦波は、前記物質に含まれる反射物または前記物質の前記一方の界面と対面するもう一方の界面によって反射されて、前記第2櫛型電極と前記対向電極の間で遅延電気信号として検出される超音波照射および検出デバイス。
- 前記第1櫛型電極に第1スキャニングシステムが接続され、前記第2櫛型電極に第2スキャニングシステムが接続された超音波照射および検出デバイスであって、前記第1スキャニングシステムは、前記第1櫛型電極の電極指にそれぞれ対応するスイッチを成分とするグループXi (i=1, 2,…, n)から成り、前記グループXiの中の1つとその次の1つは、前記グループXiの中の前記1つに含まれる最初のスイッチと前記グループXiの中の前記次の1つに含まれる最後のスイッチを除き互いに共通のスイッチを含み、前記第2スキャニングシステムは、前記第2櫛型電極の電極指にそれぞれ対応するスイッチを成分とするグループYi (i=1, 2,…, n)から成り、前記グループYiの中の1つとその次の1つは、前記グループYiの中の前記1つに含まれる最初のスイッチと前記グループYiの中の前記次の1つに含まれる最後のスイッチを除き互いに共通のスイッチを含み、前記第1櫛型電極と前記対向電極の間に前記グループXiを介して順次電気信号が入力されることにより、スキャンされた超音波ビームとして前記縦波が前記物質中に照射され、前記超音波ビームは、前記反射物または前記物質の前記もう一方の界面によって反射されて、前記グループYiによって前記第2櫛型電極と前記対向電極の間で、スキャンされた遅延電気信号として検出される請求項12に記載の超音波照射および検出デバイス。
- 前記物質が液体または細胞質で成る請求項12または13に記載の超音波照射および検出デバイス。
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