JPH07198675A - イオン導電体を用いたガスセンサおよびその製造方法 - Google Patents
イオン導電体を用いたガスセンサおよびその製造方法Info
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Abstract
ることにより、低温作動性を向上させ、被測定ガスの濃
度範囲を拡大することができ、さらに、信頼安定性並び
に耐熱性の良好なイオン導電体を用いたガスセンサおよ
びその製造方法を提供する。 【構成】 イオン導電体を用いたガスセンサは、アルミ
ナ基板10上に薄膜のガス検知部を有する。ガス検知部
は、ジルコニアイオン導電体層16と、このイオン導電
体層16を介在させて設けられた一対の白金電極14,
18と、前記イオン導電体層16と前記電極14,18
との間に位置し、これらイオン導電体層および電極を構
成する物質が混在した状態で形成された接合層20,2
2と、を含む。
Description
るイオン導電体を用いたガスセンサおよびその製造方法
に関する。
体,プロトン導電体の二つに大別される。現在、酸素イ
オン導電体が実用化され、これは例えば酸素センサや酸
素分離技術などにおいて利用されている。
9年に、岩原がSrCeO3 を母体とする酸化物の焼結
体が水素の存在する雰囲気で高いプロトン導電性を示す
ことを発見し(岩原弘育他:第20回電池討論会(名古
屋)予稿集127,(1979))、この分野の研究が
急速に行われるようになった。しかし、プロトン導電体
を水素センサや水素分離技術において使用することは、
未だ実用の域に達していない。
ン導電体を用いたものが知られている。このような酸素
センサにおいては、電極材料として、通常白金あるいは
白金を主成分とする(Pt−Rh,Pt−Pd等)の材
料が用いられている。このような白金電極は、ジルコニ
ア酸素イオン導電体との界面において、酸素ガスを酸素
イオンに変換する能力が高く、しかも、耐熱性や被測定
雰囲気の温度変化に対する安定性が高い。このような白
金電極は、通常、ジルコニア酸素イオン導電体上に、化
学メッキ法,印刷法,物理的蒸着法(電子ビーム蒸着,
スパッタ蒸着)等の方法によって形成される。
の抵抗は、主として、ジルコニアイオン導電体自体の抵
抗と電極界面の抵抗の和と考えられる。したがって、セ
ンサ全体の抵抗を低減するためには、ジルコニアイオン
導電体自体の抵抗と界面抵抗の両者の低減を図ることが
重要となる。
状態などの種々のファクターに影響され制御が難しく、
その効果的な低減が期待されている。そして、界面抵抗
は、イオン導電体層と電極との接合状態に大きく依存す
ることが考えられる。このことを確認するために、ジル
コニア酸素センサを試作して、熱サイクルに対する抵抗
値の変化を調べた。このときのサンプル並びに実験方法
を以下に示す。
に、アルミナ多孔質基板10上に白金からなる第1の電
極14、ジルコニアイオン導電体層(ZrO2 と8モル
%のY2 O3 との混合体)16および白金からなる第2
の電極18を順次積層し、また基板10の他面にヒータ
12を積層して構成され、さらに、図示しない白金リー
ド線が電極14,18およびヒータ12に接続され表面
を多孔質のアルミナ系コート剤によって保護されてい
る。
(700℃)および降温(常温)の熱サイクルを10秒
周期で1万サイクル繰り返して行い、その過程でのジル
コニアイオン導電体層16および電極14,18−ジル
コニアイオン導電体層16界面の抵抗値を複数インピー
ダンス法によって調べた。その結果を図14に示す。図
14において、aで示すラインは界面抵抗、bで示すラ
インはイオン導電体層自体の抵抗を表している。
れば、ジルコニアイオン導電体層自体の抵抗変化は熱サ
イクルの初期から終期に亘ってほとんど見られなかった
のに対し、界面抵抗は熱サイクルの回数が増大するに従
って増加することが確認された。このような界面抵抗の
増大は、ジルコニアイオン導電体層16と白金電極1
4,18との密着性の低下が大きく影響しているものと
考えられる。
極との界面抵抗を低減する方法のひとつとして、従来、
ジルコニアイオン導電体層の表面を強アルカリ溶液でエ
ッチングすることにより、その表面積を大きくして白金
電極との接合力を高めることがなされている。しかしな
がら、このような方法によっても、両者の密着性は充分
とはいえない。
の界面抵抗を低減することにより、低温作動性を向上さ
せ、被測定ガスの濃度範囲を拡大することができ、さら
に、信頼性,安定性並びに耐熱性の良好なイオン導電体
を用いたガスセンサおよびその製造方法を提供すること
にある。
るために、請求項1記載の発明は、固体イオン導電体層
と、この固体イオン導電体層を介在させて設けられた一
対の電極と、前記固体イオン導電体層と前記電極との間
に位置し、これら固体イオン導電体層および電極を構成
する物質が混在した状態で形成された接合層と、を含む
ことを特徴としている。
において、前記接合層は多孔質状態であることを特徴と
している。
第1の電極、第1の接合層、固体イオン導電体層、第2
の接合層および第2の電極を物理蒸着法によって順次積
層して形成する工程を含み、前記第1の接合層および第
2の接合層は、少なくとも前記電極および固体イオン導
電体層を構成する物質の両者を共存させた状態で形成さ
れることを特徴としている。
料とが混在していればよいが、熱処理時の機械的強度な
どを考慮すると、イオン導電体材料が接合層全体の50
モル%以上を占めることが望ましい。また、接合層にお
いては、電極材料とイオン導電体材料の組成比が層の厚
さ方向に連続的に変化することが好ましい。具体的に
は、接合層においては、電極材料は電極界面付近では、
高比率(例えば50〜100モル%)で存在し、イオン
導電体層界面に向けて徐々に減少し、イオン導電体層付
近では低比率(例えば50〜0モル%)で存在する。逆
に、イオン導電体材料は、電極界面層付近では低比率で
存在し、イオン導電体層界面に向けて徐々に増大し、イ
オン導電体層界面付近では高比率で存在する。
体としては、例えば酸素センサを構成する場合には、ジ
ルコニア(ZrO2 )、セリア(CeO2 )、トリア
(ThO2 )などを挙げることができ、またジルコニア
にY2 O3 、Yb2 O3 、CaOを1〜30モル%の濃
度で含有させたものなどを用いることができる。
導電体層は、CaZrO3 を母体にIn,Sc,Yb,
Mg,Bi,Al,Ga,YおよびNbのうち少なくと
も1種が固溶して形成されたペロブスカイト型酸化物を
挙げることができる。
サイズ等によって異なるが、通常10〜10000オン
グストローム程度とされる。
ーム蒸着,スパッタ蒸着,電子ビーム蒸着等の方法を採
用することができる。これらの物理蒸着法を採用するこ
とにより、膜厚の制御、電極材料とイオン導電体材料と
の組成比の制御等を正確かつ容易に行うことができる。
また、前記接合層は、イオンビーム蒸着,多元スパッタ
蒸着,多元電子ビーム蒸着等の物理蒸着法によって形成
することができる。
並びに物理蒸着法を用いて形成したたイオン導電体層の
組成について説明する。
方法として焼結法並びにスパッタ蒸着法を用いてそれぞ
れイオン導電体層を形成し、両者のイオン導電体層につ
いて抵抗を調べたものである。図1において、aはスパ
ッタ蒸着法によって形成されたイオン導電体層の抵抗−
温度特性曲線であり、bは焼結法によって形成されたジ
ルコニアイオン導電体層の抵抗−温度特性曲線である。
導電体層であっても、膜厚を1/100以下に低減可能
であることから、スパッタ蒸着法によって形成されたイ
オン導電体層は、焼結法によって形成されたイオン導電
体層に比べて約二桁の抵抗値の低減が可能であることが
確認された。
ビーム蒸着法を用いて作成した堆積層の組成変化を示し
たものである。この実験例においては、ターゲットとし
て白金、およびZrO2 と8mol%のY2 O3 との混
合体を用い、真空度1×10-4Torrの雰囲気におい
て、イオンガンに一定の電圧を印加し、イオンガンより
出力されるイオンビーム電流を図2(A)に示すように
制御しながら、ターゲットにアルゴンイオンを照射し、
アルミナ基板上に堆積層を形成した。また、このように
して形成された堆積層について、ラザフォード後方散乱
法(RBS法)によって、深さ方向の白金およびZrO
2 −Y2 O3 の濃度変化を調べた。その結果を図2
(B)に示す。
トに照射されるアルゴンイオンのビーム電流を制御する
ことにより、ビーム電流にほぼ正確に対応する組成比変
化の多成分系堆積層を形成することができることが確認
された。
れば、イオン導電体層と電極との間にイオン導電体およ
び電極を構成する物質が混在してなる接合層を設けるこ
とにより、イオン導電体層と電極との接合力の向上、並
びに電極界面の抵抗の低減を図ることができ、さらにイ
オン導電体層と電極との熱伝導率などの物性の差によっ
て生ずる特性の不都合を緩和することができる。このよ
うな接合構造を有するガスセンサは、急速動作に対して
も安定な測定が可能であり、かつ耐熱性,耐久性に優れ
ている。
着法によって膜厚および組成が正確に制御された小型の
イオン導電体を用いたガスセンサを形成することができ
る。
ながら詳細に説明する。
ンサに適用したものである。酸素センサ100は、図3
(F)に示すように、アルミナ基板10の一方の表面上
に白金からなる第1の電極(陰極)14、白金とジルコ
ニアとからなる第1の接合層20、電解質層を構成する
ジルコニアイオン導電体層16、白金とジルコニアとか
らなる第2の接合層22および白金からなる第2の電極
(陽極)18が順次積層して構成され、アルミナ基板1
0の他方の表面には白金からなるヒータ層12が形成さ
れている。この構成の酸素センサ100においては、白
金電極14,18とジルコニアイオン導電体層16との
間にそれぞれ白金とジルコニアとからなる接合層20,
22が形成されている。これらの接合層20,22は、
後に詳述するように、白金とジルコニアの組成比が厚み
方向に直線的に変化する状態で共存している。
3(A)〜(F)に従って説明する。
金からなるヒータ層12を形成する(図3(A))。こ
のアルミナ基板10は気孔率10%,細孔径0.1μm
の多孔質アルミナから形成され、約0.3mmの厚みを
有する。前記ヒータ層12は、ジグザグ状のヒータパタ
ーンの孔を有するステンレスマスクをアルミナ基板10
上に密着させ、イオンビームデポジション装置(IBS
装置),スパッタ装置または電子ビーム蒸着装置を用い
て白金を約2μm堆積させて形成される。
1の接合層20,ジルコニアイオン導電体層16,第2
の接合層22および第2の電極18は、例えばIBS装
置によって順次連続的に形成される(図3(B)〜
(F))。このときの成膜条件を図4に示す。図4にお
いて、横軸は堆積時間を示し、縦軸は白金ターゲットお
よびジルコニアターゲットに照射されるアルゴンイオン
のビーム電流を示す。また、IBS装置の真空度は1×
10-4Torr、イオンビーム電圧は700Vに制御さ
れ、アルミナ基板10が取付けられる基板固定部は加熱
されず室温に制御されている。
Aで10分間(t1)白金ターゲットにアルゴンイオン
を照射して約1μmの白金層を堆積させて第一の電極1
0が形成される(図3(B))。
金ターゲットのビーム電流を約250mAから0mAま
で直線的に変化させ、同時にジルコニアターゲットのビ
ーム電流を0mAから約250mAまで直線的に変化さ
せ、膜厚約0.5μmの第1の接合層20を堆積させる
(図3(C))。このようにして形成された第1の接合
層20は、第1の電極14の界面から表面に向かって白
金とジルコニアとが直線的な組成比で変化する2成分系
の層として形成される。
白金は、第1の電極14との界面ではほぼ100%を占
め、第1の接合層20の表面に向けて厚さ方向に直線的
に減少し、第1の接合層20の表面ではほぼ0%とな
る。また、第1の接合層20においては、ジルコニア
は、白金とは逆に、第1の電極14との界面ではほぼ0
%であり、第1の接合層20の表面に向けて直線的に増
大し、第1の接合層20の表面ではほぼ100%とな
る。
ニアターゲットにアルゴンイオンを約4時間(t3)に
わたって照射し、膜厚約3μmのジルコニアイオン導電
体層16を形成する(図3(D))。
ルコニアターゲットのビーム電流を約250mAから0
mAまで直線的に変化させ、同時に白金ターゲットのビ
ーム電流を0mAから約250mAまで直線的に変化さ
せて堆積を行うことにより、膜厚約0.5μmの第2の
接合層22を形成する(図3(E))。この堆積層にお
いては、前記第1の接合層20とは逆に、ジルコニアイ
オン導電体層16の界面から表面に向けてジルコニアの
濃度が直線的に減少し、逆に白金の濃度が直線的に増加
する組成変化を有している。
250mAに設定して10分間(t5)にわたって堆積
を行うことにより、第2の電極18を形成する(図3
(F))。
り、酸素センサの検知部を構成する各層を連続的に形成
することができ、また、各層の膜厚および接合層20,
22の濃度分布を正確に設定することができる。
の第1の電極(陰極)14,第2の電極(陽極)18お
よびヒータ層12に図示しない白金リード線を接続する
ことにより、酸素センサを構成することができる。
圧特性を調べた。測定は大気中で行い、ヒータの温度を
500℃に設定した。また、比較のため、図13に示す
従来タイプの酸素センサ(比較例)についても同様に電
流−電圧特性を求めた。これらの結果を図5に示す。図
5においてaで示す曲線は、本実施例の酸素センサの電
流−電圧曲線であり、bで示す曲線は従来タイプの酸素
センサの電流−電圧曲線である。
ンサに比べて本実施例の酸素センサは、センサ抵抗が小
さく良好な限界電流特性が得られることが確認された。
す従来タイプの酸素センサ(比較例)について、複数イ
ンピーダンス法を用いてそれぞれ抵抗−温度特性を調べ
た。その結果を図6に示す。図6において、aで示すラ
インはイオン導電体層自体の抵抗−温度特性を示し、b
で示すラインは本実施例の電極界面における抵抗−温度
特性を示し、cで示すラインは比較例の電極界面におけ
る抵抗−温度特性を示している。
素センサにおいては、ジルコニアイオン導電体層自体の
抵抗に比較して電極界面抵抗が約二桁近く大きいのに対
し、本実施例の酸素センサにおいては、界面抵抗がジル
コニアイオン導電体層自体の抵抗に比較して約一桁程度
の増加にとどまっている。したがって、電極およびイオ
ン導電体層を構成する物質が混在した接合層を設けるこ
とにより、酸素センサの界面抵抗を著しく低減化できる
ことが確認された。
の基本的構成は前記実施例1の酸素センサ100(図3
(F)参照)と同様であるが、電極14,18および接
合層20,22が多孔質構造となっている点で、前記実
施例1と異なっている。このように電極および接合層が
多孔質化されることにより、電極界面あるいはジルコニ
アイオン導電体層16の界面に酸素ガスが到達しやすく
なるとともに、界面の表面積が大幅に増大する。その結
果、電極界面における酸素ガスの酸素イオンへの変換効
率が増大し、センサの感度ならびに応答性の向上、さら
には履歴特性の減少等において、改善が図られる。
は、図3に示した実施例1の製造プロセスと同様のプロ
セスによって作成された酸素センサ100に対して以下
のような処理を施すことにより作成される。
センサを600〜1000℃、例えば800℃に加熱し
た状態で検知部に電圧を印加して約0.01〜1mA/
mm2 の通電を行い、さらに、電圧の極性を変えながら
通電を行った。このような通電処理を行うことにより、
電極および接合層を構成している白金が、酸素ガスが酸
素イオンに変換されるのにともない粒状に形態が変化す
る。その結果、電極および接合層内に約0.1μm以下
の径を有するピンホールが発生する。この電極および接
合層の断面を55,000倍で撮影した電子顕微鏡写真
を図7に示す。図7より、電極および接合層が多孔質状
に形成されていることが確認された。
たプロトンセンサに関する。このプロトンセンサ200
は、図8(E)に示すように、アルミナ基板10の表面
に白金からなる第1の電極14、白金とCaZrO3 −
In2 O3 系ペロブスカイト型酸化物(以下、単に「C
aZrO3 」という)とからなる第1の接合層30、C
aZrO3からなるプロトン導電体層36、CaZrO
3 と白金とからなる第2の接合層32および白金からな
る第2の電極18が順次積層して構成されている。ま
た、アルミナ基板10の他方の表面には、白金からなる
ヒータ層12が形成されている。
を図8(A)〜(E)に従って説明する。
金からなるヒータ層12を形成する(図8(A))。こ
のアルミナ基板10としては、気孔率5%、細孔径0.
01μm、板厚0.3mmのものを用いた。そして、ヒ
ータ層12は,ジグザグ状のヒータパターンの孔を有す
るステンレスマスクをアルミナ基板10上に密着させ、
スパッタ装置、IBS装置または電子ビーム蒸着装置を
用いて白金を約2μm堆積させて形成される。
1の接合層30、プロトン導電体層36、第2の接合層
32および第2の電極18は、例えばIBS装置によっ
て順次連続的に形成される(図8(B)〜(E))。こ
のときの成膜条件を図9に示す。
軸は白金ターゲットおよびCaZrO3 ターゲットに照
射されるアルゴンイオンのビーム電流を示す。また、I
BS装置の真空度は1×10-4Torr、イオンビーム
電圧は900Vに制御され、アルミナ基板が取り付けら
れている基板固定部は300℃に加熱制御されている。
Aで約1分間(t1)白金ターゲットにアルゴンイオン
を照射して約1μmの白金層を堆積させ、第1の電極1
4が形成される(図8(A))。ついで、10分間(t
2)にわたって、白金ターゲットのビーム電流を約25
0mAから0mAまで直線的に変化させ、同時にCaZ
rO3 ターゲットのビーム電流を0mAから250mA
まで直線的に変化させ、膜厚0.3μmの第1の接合層
30を堆積させる(図8(B))。このようにして形成
された第1の接合層30は、第1の電極14の界面から
表面に向かって白金とCaZrO3 とが直線的な組成比
で変化する2成分系の属として形成される。
白金は、第1の電極14との界面ではほぼ100%を占
め、第1の接合層30の表面に向けて厚さ方向に直線的
に減少し、第1の接合層30の表面ではほぼ0%とな
る。また、第1の接合層30においては、CaZrO3
は白金と逆に、第1の電極14との界面ではほぼ0%で
あり、第1の接合層30の表面に向けて直線的に増大
し、第1の接合層30の表面ではほぼ100%となる。
ZrO3 ターゲットにアルゴンイオンを約5時間(t
3)にわたって照射し、膜厚約5μmのCaZrO3 プ
ロトン導電体層36を形成する(図8(C))。つい
で、10分間(t4)にわたって、CaZrO3 ターゲ
ットのビーム電流を約250mAから0mAまで直線的
に変化させ、同時に白金ターゲットのビーム電流を0m
Aから250mAまで直線的に変化させて堆積を行うこ
とにより、膜厚約0.3μmの第2の接合層32を形成
する(図8(D))。
30とは逆に、CaZrO3 プロトン導電体層36の界
面から表面に向けてCaZrO3 の濃度が直線的に減少
し、逆に白金の濃度が直線的に増加する組成変化を有し
ている。
に設定して10分間(t5)にわたって堆積を行うこと
により、第2の電極18を形成する(図8(E))。こ
のようにIBS装置を用いることにより、ガスセンサの
検知部を構成する各層を連続的に形成することができ、
また、各層の膜厚および接合層30,32の濃度分布を
正確に設定することができる。
電極(陰極)14,第2の電極(陽極)18およびヒー
タ層12に図示しない白金リード線を接続することによ
り、プロトンセンサ200を構成することができる。
て、基板側と検知部側との水素ガス雰囲気の水素濃度を
変えて水素濃淡電池を形成し、その起電力特性を調べ
た。その結果を図10に示す。図10において、aで示
すラインはガス温度が900℃の場合の起電力−分圧特
性を示し、bで示すラインはガス温度が500℃のとき
の起電力−分圧特性を示している。図10に示す結果か
ら、本実施例のプロトンセンサは、例えば500℃以上
の高温においてプロトン導電性が得られることを確認し
た。
用いて電流−電圧特性を調べた。この実験においては、
プロトンセンサ200は700℃の恒温電気炉中におい
て、水素濃度を0〜3%の範囲で段階的に変化させて電
流−電圧特性を調べたものである。その結果を図11に
示す。図11においてaで示す曲線は水素濃度が0%、
bで示す曲線は水素濃度が1%、cで示す曲線は水素濃
度が2%およびdで示す曲線は水素濃度が3%のときの
電流−電圧曲線である。
ロトンセンサによれば、水素濃度に対応した限界電流が
得られ、したがってプロトン濃度を正確に測定すること
ができることが確認された。
て、熱サイクルに対する抵抗値の変化を調べた。また、
第1の接合層30および第2の接合層32を形成しない
他は本実施例と同様の構成を有する比較用のプロトンセ
ンサを試作し、熱サイクルに対する抵抗値の変化を調べ
た。この試験においては、1%の水素ガスを含む常温
(25℃)のチッ素ガス雰囲気中において、プロトンセ
ンサの温度をヒータによって昇温(700℃)および降
温(25℃)の熱サイクルを10秒周期で10,000
サイクル繰り返して行い、その過程でのイオン導電体層
36および電極界面の抵抗値を複数インピーダンス法に
よって測定した。その結果を図12に示す。図12にお
いて、aは本実施例のイオン導電体層自体の抵抗−熱サ
イクル特性、bは比較例のイオン導電体層自体の抵抗−
熱サイクル特性、cは実施例の電極界面の抵抗−熱サイ
クル特性およびdは比較例の電極界面の抵抗−熱サイク
ル特性を示す。
れば、本実施例のプロトンセンサおよび比較用のプロト
ンセンサのいずれもイオン導電体層自体の抵抗値は、熱
サイクルの初期から終期に至るまで、ほとんど変化して
いないことが確認された。また、界面抵抗に関しては、
本実施例のプロトンセンサではサイクルの初期から終期
までほとんど変化が見られず、熱変化に対する安定性が
極めて良好なことが確認された。これに対し、比較用の
プロトンセンサにおいては、熱サイクルの回数が増える
に従って徐々に抵抗値が増大し、良好な熱サイクルに対
する安定性を得られないことが確認された。
オン導電体層と電極との間に両者を構成する物質の混合
体からなる接合層を設けることにより、イオン導電体層
と電極との接合力を向上させて、セルの機械的強度を大
きくすることができ、したがって、熱歪みが発生しても
界面における接合の低下を抑制することができ、経時的
に安定な特性を維持することができる。また、イオン導
電体層と電極との接合性を向上させることにより、両者
の界面抵抗を低減することができ、精度が高く応答性の
よいガスセンサを構成することができる。
堆積層をイオンビーム,スパッタ等の物理的蒸着法によ
って形成することにより、接合層をはじめとする各層の
膜厚や濃度分布を正確に制御することができ、精度の高
い小型のガスセンサを製造することができる。
示す図である。
おける成膜条件を示す図であり、(B)は、イオンビー
ム蒸着法によって形成された堆積層の組成分布を示す図
である。
酸素センサの製造プロセスを示す説明図である。
図である。
サの電流−電圧特性を示す図である。
および電極界面の抵抗−温度特性並びに比較例の抵抗−
温度特性を示す図である。
を示す電子顕微鏡写真である。
ンサの製造プロセスを示す説明図である。
図である。
分圧特性を示す図である。
圧特性を示す図である。
層および電極界面、並びに比較用プロトンセンサのプロ
トン導電体層および電極界面における抵抗−熱サイクル
特性を示す図である。
る。
−熱サイクル特性を示す図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 固体イオン導電体層と、 この固体イオン導電体層を介在させて設けられた一対の
電極と、 前記固体イオン導電体層と前記電極との間に位置し、こ
れら固体イオン導電体層および電極を構成する物質が混
在した状態で形成された接合層と、 を含むことを特徴とするイオン導電体を用いたガスセン
サ。 - 【請求項2】 請求項1において、 前記接合層は多孔質状態であることを特徴とするイオン
導電体を用いたガスセンサ。 - 【請求項3】 基板上に、第1の電極、第1の接合層、
固体イオン導電体層、第2の接合層および第2の電極を
物理蒸着法によって順次積層して形成する工程を含み、 前記第1の接合層および第2の接合層は、少なくとも前
記電極および固体イオン導電体層を構成する物質の両者
を共存させた状態で形成されることを特徴とするイオン
導電体を用いたガスセンサの製造方法。
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