JPH07198653A - 熱伝導式絶対湿度センサの作製方法 - Google Patents

熱伝導式絶対湿度センサの作製方法

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JPH07198653A
JPH07198653A JP35203993A JP35203993A JPH07198653A JP H07198653 A JPH07198653 A JP H07198653A JP 35203993 A JP35203993 A JP 35203993A JP 35203993 A JP35203993 A JP 35203993A JP H07198653 A JPH07198653 A JP H07198653A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 温度ドリフトの無い熱伝導式絶対湿度センサ
の作製方法を提供すること。 【構成】 印加電圧を任意に変化させた時の第1及び第
2の感熱抵抗素子1,2両端における実測電位差の理論
値に対する誤差の前記理論値に占める割合の変化を示す
直線の傾きaを、第1の感熱抵抗素子1と第2の感熱抵
抗素子2の内、少なくとも一方の感熱抵抗素子をトリミ
ングすることにより無くす調整工程を付加したことを特
徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、空調器、除湿器、調理
器、栽培ハウス等の雰囲気の水蒸気量を検出する熱伝導
式絶対湿度センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、空調器、除湿器、加湿器、調理
器、栽培ハウス等での湿度(相対湿度、絶対湿度のどち
らかでも良い)の検出制御の要求が高まっている。この
要求に応えるため種々の方式の湿度センサが提案されて
いる。その一つに熱伝導式絶対湿度センサがある。
【0003】図1及び図2は本発明の一実施例に係る熱
伝導式絶対湿度センサを示し、図3は図1に示す熱伝導
式絶対湿度センサに用いられている感熱抵抗素子を示
し、図5は図1に示す熱伝導式絶対湿度センサの回路図
であるが、これらの図面に示されている構成自体は従来
と同一であるので、図1,2,3,5に基づいて従来の
熱伝導式絶対湿度センサ、及び感熱抵抗素子について説
明する。
【0004】図1,2,3,5を参照して、従来の熱伝
導式絶対湿度センサは、第1及び第2の感熱抵抗素子
1,2を有している。第1の感熱抵抗素子1は、図3に
示すように、アルミナ基板1Aに白金薄膜1Bを所定の
パターンに形成する事で作製している(白金薄膜以外で
も温度変化により抵抗値が変化する材料ならばどのよう
な材料でも良い)。第2の感熱抵抗素子2は、第1の感
熱抵抗素子1と同構成である。
【0005】従来の熱伝導式絶対湿度センサの作製方法
は、先ず、予め製造された第1及び第2の感熱抵抗素子
1,2をそれぞれ保持台3で挟み込み、この保持台3を
ステム4に接着剤(使用温度により無機、有機接着剤を
使い分ける)によって、或いは溶接によって固定し、次
ぎに、接着剤(使用温度により無機、有機接着剤を使い
分ける)を保持台3と第1及び第2の感熱抵抗素子1,
2との間にそれぞれ塗り付け、硬化させる。図3に示す
ように、第1の感熱抵抗素子1を保持台3で挟み込むと
きは、第1の感熱抵抗素子1の2つの電極1a,1bが
ショートしないように、またワイヤボンディングの妨げ
にならならいように電極1a,1b以外の部分を挟み込
み、接着剤を挟み込んだ部分に塗り付け、その後、ワイ
ヤボンディングにより端子5,6を接続する。第2の感
熱抵抗素子2も第1の感熱抵抗素子1と同様にして保持
第3に固定され、端子が接続される。
【0006】次ぎに、図1に示すように、第1の感熱抵
抗素子1を固定したステム4に通気孔8aを設けたキャ
ップ8を被せ、これを溶接で固定する。一方、第2の感
熱抵抗素子2を固定したステム4は、低温(−40℃)
空気内にてキャップ9を被せられ、これを溶接により固
定される。これにより、第2の感熱抵抗素子2は、乾燥
空気中に封入される。その後、キャップ8,9をキャッ
プ固定板10に圧入し、このキャップ固定板10に金属
ケース11を被せ、更にこの金属ケース11の下面に金
属カバー12を取り付けるように成っている。以上の工
程により、従来の熱伝導式絶対湿度センサは作製され
る。
【0007】上述の第1の感熱抵抗素子1(抵抗値
HT)及び第2の感熱抵抗素子2(抵抗値RT )は、固
定抵抗R1 ,R2 ,R3 ,Rs (但し、白金抵抗のよう
に正特性の温度特性を持つ感熱抵抗素子の場合はRs
必要無し)と共に、図5に示す様なホイートストンブリ
ッジを構成する。ただしRT とRHTの温度−抵抗特性は
等しく、R1 とR2 の抵抗値も等しくなければならな
い。上述のように、第1の感熱抵抗素子1は外気中に晒
されており、第2の感熱抵抗素子2は乾燥雰囲気中に封
入されている。この時、第1及び第2の感熱抵抗素子
1,2に印加されている電圧VINにより、第1及び第2
の感熱抵抗素子1,2は自己発熱をし、周囲温度よりも
高くなる。第1及び第2の感熱抵抗素子1,2の温度
は、感熱抵抗素子1,2に加わる電力と、感熱抵抗素子
1,2の熱放散により決定するが、外気中に水蒸気が含
まれていると、水蒸気が含まれていない場合に比べて水
蒸気の熱伝導が作用して熱放散が大きくなるため、第1
の感熱抵抗素子1の温度が第2の感熱抵抗素子2よりも
低くなる。このため固定抵抗R3 の両端に電位差VOUT
が生じる。この現象を利用し大気中の絶対湿度を検出す
ることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この熱伝導式絶対湿度
センサにおいて、第1の感熱抵抗素子1と第2の感熱抵
抗素子2の抵抗−温度特性が同一である事、更に、第1
及び第2の感熱抵抗素子1,2の保持台3からの熱の逃
げがそれぞれ等しい事が必要である。この2点が等しく
ないと、図6のグラフに示すように湿度0点でのVOUT
が温度により変化する。即ち、温度ドリフトが生じてし
まう。
【0009】しかしながら、上述の2点を等しくするの
は、非常に困難であり、温度ドリフトの無い湿度センサ
を得られる可能性は低かった。
【0010】それ故に、本発明の課題は、温度ドリフト
の無い熱伝導式絶対湿度センサの作製方法を提供するこ
とにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、大気中
に晒され、ブリッジ回路の一部を構成する第1の感熱抵
抗素子1と、乾燥空気内に封入され、前記第1の感熱抵
抗素子と共に前記ブリッジ回路の一部を構成する第2の
感熱抵抗素子2とを含む熱伝導式絶対湿度センサの作製
方法において、印加電圧を任意に変化させた時の前記第
1及び第2の感熱抵抗素子両端における実測電位差の理
論値に対する誤差の前記理論値に占める割合の変化を示
す直線の傾きを、前記第1の感熱抵抗素子と前記第2の
感熱抵抗素子の内、少なくとも一方の感熱抵抗素子をト
リミングすることにより無くす調整工程を付加したこと
を特徴とする熱伝導式絶対湿度センサの作製方法が得ら
れる。
【0012】
【作用】本発明は以下の実験データに基づき実施され
る。
【0013】図5に示す回路においてRT の両端におけ
る電位差をV1 、印加電圧をVINとすると、例えば、V
INを8Vとした場合、V1 の理論値V1 ′は、4Vにな
るはずである。即ち、V1 ′= 1/2VINである。しかし
ながら、実測値は、多くの場合、4Vにならず、誤差を
生じる。この所定印加電圧におけるV1 の理論値 1/2V
INに対する実測値V1 の誤差が 1/2VINの何%に相当す
るかは、下記の数1式で求められる(以下、次の数1式
で求められる誤差の割合を単にV1 の誤差の割合とい
う)。
【0014】
【数1】
【0015】このV1 の誤差の割合を数々の印加電圧に
ついて求め、グラフにしたものが、図7である。図7か
ら明らかなように、各印加電圧におけるV1 の誤差の割
合を示すプロット点を結ぶと、直線になる。このVIN
任意に変化させた時のV1 の誤差の割合の変化を示す直
線は、殆どの場合、図7に示すように傾きaを持ってい
る。一方、図5に示す回路においてRHTの両端における
電位差をV1 とした場合も、V1 の誤差の割合は、数1
式で求められ、各印加電圧におけるV1 の誤差の割合を
示すプロット点を結ぶと、直線になり、この直線も、殆
どの場合、傾きaを持っている(但し、この場合、RHT
の両端における電位差を測定する時、RHTの周囲の湿度
を0%にする必要がある)。特許請求の範囲、及び課題
を解決する手段の欄における「印加電圧を任意に変化さ
せた時の前記第1及び第2の感熱抵抗素子両端における
実測電位差の理論値に対する誤差の前記理論値に占める
割合の変化を示す直線の傾き」とは、上述の傾きaを意
味するものである。
【0016】この傾きaと温度ドリフトとは、多くの実
験の結果、図8のグラフに代表される関連性を持つこと
が分かった。即ち、傾きaが0の時、温度ドリフトが生
じないことが本発明者により究明された。
【0017】次に、傾きaを0にする方法について述べ
る。図9はトリミングして感熱抵抗素子1,2の抵抗値
を変化させた場合にどのように傾きaが変化するかを示
したグラフである。また複数のサンプルについて図9の
グラフと同様のデータを取り、その結果をまとめたもの
を図10のグラフに示す。図10から全てのサンプルに
おいて同じ傾斜のデータが得られていることが分る。こ
のため予めトリミング前のV1 と傾きaが分かっていれ
ば、図10からトリミングした後のV1 の目標の値が設
定されることが分かる。したがって、所定印加電圧を印
加しながら、感熱抵抗素子1,2のうち一方をトリミン
グして抵抗値を変え、V1 を目標の計算値に合わせ込む
ことにより温度ドリフトを0にできる。
【0018】
【実施例】図1は本発明の一実施例による作製方法によ
って得られる熱伝導式絶対湿度センサの分解斜視図、図
2は図1に示す熱伝導式絶対湿度センサの斜視図、図3
は図1に示す感熱抵抗素子を保持台に固定した状態を示
す斜視図、図4は図1に示す感熱抵抗素子の平面図、図
5は図1に示す熱伝導式絶対湿度センサの回路図であ
る。
【0019】本発明の一実施例を図1乃至図5を用いて
説明する。
【0020】第1及び第2の感熱抵抗素子1,2をそれ
ぞれ保持台3で挟み込み、この保持台3をステム4に接
着剤(使用温度により無機、有機接着剤を使い分ける)
によって接着するか、或いは溶接によって固定し、その
後、保持台3と第1及び第2の感熱抵抗素子1,2との
間にそれぞれ接着剤(使用温度により無機、有機接着剤
を使い分ける)を塗り付け、これを硬化させた。図3に
示すように、第1の感熱抵抗素子1を保持台3で挟み込
むときは、第1の感熱抵抗素子1の2つの電極1a,1
bがショートしないように、またワイヤボンディングの
妨げにならないように電極1a,1b以外の部分を挟み
込み、この挟み込んだ部分に接着剤を塗り付ける。その
後、ワイヤボンディングにより電極1a,1bにそれぞ
れ端子5,6を接続する。第2の感熱抵抗素子2も第1
の感熱抵抗素子1と同様にして保持台3に固定され、端
子が接続される。
【0021】次ぎに、第2の感熱抵抗素子2に調整工程
が施される。この調整工程は、作用の欄で述べたよう
に、第2の感熱抵抗素子2に関する上述の傾きaを予め
求めておき、第2の感熱抵抗素子2に所定の電圧を印加
しながら、第2の感熱抵抗素子2をトリミングして抵抗
値を変えることにより、V1 を目標電圧(本実施例の場
合、グラフ5から求められる傾きaが0となる電圧値)
に合わせ込むことによって行われる。この調整工程によ
り、温度ドリフトを0にできる。この調整工程における
トリミングは、図4の参照番号7で示される箇所で行っ
た。
【0022】次ぎに、第1の感熱抵抗素子1を固定した
ステム4に通気孔8aを設けたキャップ8を被せ、この
キャップ8をステム4に溶接する。一方、第2の感熱抵
抗素子2は、低温(−40℃)空気中にてステム4にキ
ャップ9を被せ、そしてこのキャップ9をステム4に溶
接する。これにより第2の感熱抵抗素子2は、乾燥空気
中内に封入される。その後、キャップ8,9をキャップ
固定板10のキャップ嵌込み穴10a,10bにそれぞ
れ圧入し、キャップ固定板10の外側に金属ケース11
を被せ、更にこの金属ケース11の下面に金属カバー1
2を取り付けた。尚、10c,11cは、通気孔であ
り、11d,12dは、取付穴である。
【0023】以上の工程により、熱伝導式絶対湿度セン
サが完成する。
【0024】第1の感熱抵抗素子1(抵抗値RHT)及び
第2の感熱抵抗素子2(抵抗値RT)は、固定抵抗
1 ,R2 ,R3 ,Rs (但し、白金抵抗のように正特
性の温度特性を持つ感熱抵抗素子の場合はRs は必要無
し)と共に、図5に示すホイートストンブリッジを構成
し、この回路により絶対湿度が検出できることは、従来
と同様である。
【0025】
【発明の効果】本発明の作製方法によれば温度ドリフト
の無い熱伝導式絶対湿度センサが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施例による作製方法によっ
て得られる熱伝導式絶対湿度センサの分解斜視図であ
る。
【図2】図2は図1に示す熱伝導式絶対湿度センサの斜
視図である。
【図3】図3は図1に示す感熱抵抗素子を保持台に固定
した状態を示す斜視図である。
【図4】図1に示す感熱抵抗素子の平面図である。
【図5】図1に示す熱伝導式絶対湿度センサの回路図で
ある。
【図6】温度と湿度0点でのVOUT との関係を示したグ
ラフである。
【図7】図5の回路のRT の両端における電位差の誤差
の割合を数々の印加電圧について求めたグラフである。
【図8】図7における傾きaと温度ドリフトとの関係の
実験結果を示すグラフである。
【図9】図5の回路の感熱抵抗素子の抵抗値を変化させ
た場合の図7における傾きaの変化を示すグラフであ
る。
【図10】図7における傾きaと図5の回路のRT の両
端における電位差の誤差の割合との関係を示すグラフで
ある。
【符号の説明】
1 第1の感熱抵抗素子 2 第2の感熱抵抗素子 3 保持台 4 ステム 7 トリミング部分 8 キャップ 9 キャップ 10 キャップ固定板 11 金属ケース 12 金属カバー R1 固定抵抗 R2 固定抵抗 R3 固定抵抗

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大気中に晒され、ブリッジ回路の一部を
    構成する第1の感熱抵抗素子1と、乾燥空気内に封入さ
    れ、前記第1の感熱抵抗素子と共に前記ブリッジ回路の
    一部を構成する第2の感熱抵抗素子2とを含む熱伝導式
    絶対湿度センサの作製方法において、印加電圧を任意に
    変化させた時の前記第1及び第2の感熱抵抗素子両端に
    おける実測電位差の理論値に対する誤差の前記理論値に
    占める割合の変化を示す直線の傾きを、前記第1の感熱
    抵抗素子と前記第2の感熱抵抗素子の内、少なくとも一
    方の感熱抵抗素子をトリミングすることにより無くす調
    整工程を付加したことを特徴とする熱伝導式絶対湿度セ
    ンサの作製方法。
  2. 【請求項2】 前記トリミングを行う際に、該トリミン
    グが施される前記感熱抵抗素子に所定印加電圧を印加し
    ながら、該トリミングが施される前記感熱抵抗素子の両
    端における電位差が、実験データに基いて予め求められ
    た目標電圧となるように、該感熱抵抗素子をトリミング
    するようしたことを特徴とする請求項1記載の熱伝導式
    絶対湿度センサの作製方法。
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