JPH07197324A - ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン複合長繊維の製造方法 - Google Patents

ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン複合長繊維の製造方法

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JPH07197324A
JPH07197324A JP34916393A JP34916393A JPH07197324A JP H07197324 A JPH07197324 A JP H07197324A JP 34916393 A JP34916393 A JP 34916393A JP 34916393 A JP34916393 A JP 34916393A JP H07197324 A JPH07197324 A JP H07197324A
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spinning
composite
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polyethylene
pet
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Kasumi Kin
霞 金
Fumio Niwa
文雄 丹羽
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New Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低い紡糸速度で高初期弾性率をもつポリエチ
レンテレフタレート系複合長繊維を得る。 【構成】 ポリエチレンテレフタレート樹脂50〜90
重量%と、ポリエチレン樹脂50〜10重量%とを、固
化点以降における紡糸速度を3000m/min以下に
設定して複合溶融紡糸する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低紡糸速度で、安定な
力学物性をもつポリエチレンテレフタレート/ポリエチ
レン複合長繊維の製造方法に関する。本発明の方法によ
り製造される複合長繊維は、マルチフィラメントとし
て、従来品と同様に広い範囲で利用することができる
他、スパンボンド法不織布として有用である。このスパ
ンボンド法不織布は、他のスパンボンド法不織布と同様
に、医療・衛生資材、土木資材、農業資材、一般工業資
材などの分野で広く使用される。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート長繊維は強
度、寸法安定性など多くの優れた特性を備えるため種々
の用途に利用されている。ポリエチレンテレフタレート
長繊維は一般的に溶融紡糸法で製造されるが、この場
合、紡糸速度が4000〜5000m/min以下であ
ると紡糸繊維は配向性が低く、結晶化が起こらないた
め、繊維の初期ヤング率が低く、力学的性質に乏しいの
で実用性に乏しい。これを改善する方法として、紡糸後
に延伸工程を設け充分に延伸することによって高弾性を
有する繊維にすることが一般に採られている。しかしな
がら、このような二段方式による繊維形成方法は設備、
労力の面から有利な方法ではない。また、巻取装置の代
わりにエア・サッカーを用いてエア・ジェットの作用に
より不織布を製造するスパンボンド法においては、この
ような延伸過程を設けるのは困難である。
【0003】一方、溶融紡糸速度を4000〜5000
m/min以上の高速にするには、その成否を左右する
要素の一つに、ワインダがある。高速回転するためワイ
ンダの動的なバランスを取るには、高精度の装置が要求
され、また消費エネルギーも回転数の増加とともに、大
幅に上昇する。さらに、紡糸中の油剤付与、自動糸切
替、トラバース装置、騒音など多くの解決すべき難題が
ある。また、スパンボンド法不織布の製造では高紡糸速
度を達成するには、高いエア圧力が要求されるので、生
産コスト上非常に不利である。
【0004】若し、低速で溶融紡糸繊維を配向結晶化さ
せ、溶融紡糸工程の一段化を実現することが可能であれ
ば、工程の短縮化を実現しながら高速化した場合の問題
点も回避できる。このような要求に対し、特公昭48−
42251号公報、特開昭60−94620号公報など
には、溶融紡糸したフィラメントを冷却固化させた後、
加熱水蒸気を吹き付け、引き取ることにより、繊維を得
る方法が開示されている。
【0005】これらの方法は、水蒸気の吹き付ける力で
糸条に高い張力を与えることにより、強度特性を改善し
ようとするものであるが、水蒸気を高速で噴出させる必
要があるためにエネルギー消費が大きく、また噴出する
水蒸気のためにフィラメントの攪乱が生じ、糸揺れとな
って、均一な長繊維を得ることが難しいという欠点を有
している。
【0006】また、この問題点を解決しようとして、特
開昭62−223314号公報には、口金から紡出した
フィラメントを冷却固化した後、直ちに加圧蒸気が充満
し、両端にフィラメント通過のできる狭い部分を有する
加熱容器中に走行通過させ、加熱延伸した後引き取るこ
とを特徴とする溶融紡糸方法が開示されている。この方
法は前記の方法よりエネルギーの消費が若干節約でき、
かつ糸揺れが解消できたが、やはり、口金から巻取る位
置の間に複雑な加熱容器を設けることによって、工程が
繁雑化するだけでなく、紡糸長をその分長くしなければ
ならないため、建屋を高くしなければならないなどの欠
点が依然残されている。このように、従来の方法では、
紡糸工程のみの一工程で力学的特性の優れた長繊維を低
コストで安定に得ることが実現されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上のように溶融紡糸
工程のみの一工程で低速で溶融紡糸しながら配向結晶化
した構造をもつ高弾性率のポリエチレンテレフタレート
長繊維を得る方法が求められている。
【0008】本発明の目的は、上記の要求に呼応して、
比較的低い紡糸速度で良好な力学的物性を有するポリエ
チレンテレフタレート系長繊維を製造することができる
方法を提供することにある。より具体的に言えば、30
00m/min以下の低い紡糸速度で紡糸するにもかか
わらず、従来法により4000m/min以上の紡糸速
度で紡糸された繊維並みの良好な力学的物性をもつポリ
エチレンテレフタレート系長繊維、特に、スパンボンド
法不織布として有用なポリエチレンテレフタレート系長
繊維を得ることを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段(1)】上記の目的は、ポ
リエチレンテレフタレート(以下、PETという)樹脂
50〜90重量%とポリエチレン樹脂50〜10重量%
とを、固化点以降における紡糸速度を3000m/mi
n以下に設定して複合溶融紡糸することを特徴とするP
ET/ポリエチレン複合長繊維の製造方法によって達成
される。
【0010】
【作用】本発明の要点は、PET系長繊維の溶融紡糸工
程においてPET樹脂とポリエチレン樹脂とを所定の割
合で複合させることである。複合させることによって、
紡糸線上では繊維の断面にPET部分とポリエチレン部
分は混在することとなる。そして、紡糸線上の繊維断面
の受ける紡糸応力、特に固化点近辺での紡糸応力につい
て考察した結果、伸長粘度の高いPET部分が同じ紡糸
速度で単独紡糸する場合よりも紡糸応力が大きくなり、
よってPET部分の配向度(複屈折率の大きさで評価す
る)が大きくなることがわかった。
【0011】この配向の増加によって、繊維の配向結晶
化が引き起こされて、PET単独紡糸の場合より低い紡
糸速度で配向結晶化した構造が発生することにつなが
り、比較的低い紡糸速度で高い密度をもつPET長繊維
が得られる。すなわち、PET樹脂をポリエチレン樹脂
と所定割合で複合させることによって、PET部分の配
向結晶化がポリエチレンによって促進された結果、通常
4000m/min〜5000m/min以上の紡糸速
度で得られる配向結晶化構造を有する安定な力学的性質
をもつPET系複合長繊維が3000m/min以下の
紡糸速度で得られる。
【0012】
【課題を解決するための手段(2)】本発明でいう複合
繊維の形態としては並列型または芯鞘型等の比較的単純
な形のもの、あるいは多芯鞘型及び多層接合であっても
よいが、強度とコスト等から芯鞘型が好ましい。この場
合、PET部分とポリエチレン部分のいずれが芯になっ
てもよく、複合繊維の利用分野に応じて決めることがで
きる。例えば、表面性、高耐熱性などが要求されるとき
にはポリエチレンを芯にすればよいし、また、スパンボ
ンド法不織布にして、ヒートシール性、熱接着性、柔軟
な感触などが要求されるときはPETを芯にすればよ
い。また、繊維の断面は円形に限定されることはなく、
必要によって周知のいろいろな異形断面を採用すること
ができる。
【0013】本発明で使用するポリエチレン樹脂は、特
に制限されるものではないが、高密度ポリエチレンであ
ることが望ましい。また、該ポリエチレン樹脂は温度1
90℃、荷重2160gにおけるメルトフローレート
(メルトフローレート=MFR。本発明においてのMF
RはJIS K 7219 表1 条件4により測定す
る。)が10〜100g/10分の範囲にあることが望
ましく、特に好ましくは15〜70g/分の範囲にあ
る。一方、PET樹脂としては、一般に繊維原料として
用いられているものを使用することができる。
【0014】PET樹脂とポリエチレン樹脂との複合重
量比率はPET:ポリエチレン=9:1〜5:5でなけ
ればならない。ポリエチレン樹脂の量がこの範囲よりも
少ないとPET樹脂に対する配向促進効果が小さく、期
待する力学的物性の達成が困難である。一方、ポリエチ
レン樹脂の量がこの範囲を超えると、複合繊維断面にお
けるPET部分の比率が過小となって複合繊維全体の性
質が不満足なものとなる。好ましい複合重量比率はPE
T:ポリエチレン=8:2〜6:4である。
【0015】本発明方法により製造されるPET系複合
長繊維の繊度は任意に決定できるが、通常1〜20デニ
ールの範囲の中で使用目的に応じて選ぶのがよい。繊度
が20デニールを越えると、溶融紡糸過程においてフィ
ラメント同志の融着などのトラブルが発生しやすく、操
業上好ましくない。逆に、連続フィラメントの繊度を1
デニール未満にするのは、糸切れなどのトラブルが多発
して操業性が低下する。
【0016】本発明の複合溶融紡糸の手法としては、従
来公知の複合溶融紡糸法と同様であってよい。例えば、
芯鞘構造を持つ複合長繊維を製造する場合、溶融した熱
可塑性樹脂を紡糸孔へ導くための導入部分の上部で、溶
融した鞘成分の樹脂の中央部分に溶融した芯成分の樹脂
を注入するような構造を持った紡糸口金装置が多用され
ている。
【0017】本発明の紡糸方法においては、溶融紡糸工
程において紡糸オリフィスから吐出されたポリマーが固
化する点以降における紡糸速度を3000m/min以
下に設定する。紡糸速度が3000m/minを超える
と、従来の4000〜5000m/min程度の溶融紡
糸方法にみられると同様な前述の生産上の不利益が発生
し易い。但し、紡糸速度が極度に低いと生産性および得
られる繊維の学力的特性が低下するため3000〜20
00m/minの範囲であることが好ましい。
【0018】紡糸した複合長繊維を不織布シートにする
には、いわゆるスパンボンド法と総称されている方法が
利用できる。すなわち、溶融紡糸された複合長繊維は空
気圧を利用したエア・サッカーに導入され、エア・ジェ
ットの作用により延伸と送り出し作用を受けたのち、帯
電装置を用いて、複合長繊維に電荷を与えて開繊させた
後、捕集コンベア上に捕集される。この結果得られた不
織ウェブは、捕集コンベアにより搬送された後、熱エン
ボスロールによって構成繊維である連続フィラメント間
を多数散在した点状に融着させ、不織布を得る。この不
織布は巻取機に巻取られ、原反として取り扱われる。
【0019】スパンボンド法により得られる不織布の目
付も任意に決定しうる事項であるが、通常10〜150
g/m2 程度が望ましい。目付が10g/m2 より小さ
い場合は均一なシートができにくいので望ましくない。
また、目付が150g/m2より大きい場合は不織布と
しての柔軟性等の風合、コストから好ましくない。
【0020】
【実施例】以下、実施例について本発明を具体的に説明
する。なお、実施例と比較例において、複合長繊維の芯
部の複屈折率(配向度)、密度(結晶化度)、複合長繊
維の初期ヤング率、破断強度およびその不織布の引っ張
り破断強度は次の測定方法により求めた。 (1)繊度:9000m長さ当たりの重さ(g)を測定
し、いわゆるデニールで表した。
【0021】(2)複屈折率(Δn):繊維の屈折率は
繊維軸に対して平行な電場ベクトルを持つ偏光に対する
屈折率n//と、繊維軸に対し垂直な電場ベクトルを持つ
偏光に対する屈折率n⊥によって特徴づけられる。旧東
ドイツのカールツアイスイェナ社製のインターファコ干
渉顕微鏡を用いて、波長λ=549μmの緑色光線を利
用し、干渉縞法によって、繊維の側面から観察し、この
n//とn⊥の半径方向分布を測定した。すなわち、芯部
と鞘部それぞれの部分のn//とn⊥を測定した。測定と
解析の詳細は、例えば「繊維・高分子測定法の技術」
(繊維学会編)p.146に記載されている。このよう
に測定したn//とn⊥から、複屈折率Δn=n//−n⊥
を求めた。
【0022】(3)密度:前記(2)の方法で測定した
屈折率n//とn⊥から、下記の屈折率と密度の関係より
密度を求められる。分極率と屈折率の関係として、Lo
rentz−Lorenzの式が知られている。
【数1】 ここで、n:屈折率 P:分子分極率 M:分子量 N:アボガドロ数 ρ:密度 である。異方性物質に対する(1)式の適用に関して
は、Wuks(M.F.Wuks;Opt.& Spe
ctrosc.20.361.1966)が次式を示し
ている。
【数2】
【0023】ここで、ni を三つの主軸に対する屈折率
として、
【数3】 である。一軸配向性の繊維試料については、第3軸を繊
維方向とすれば、 n1 =n2 =n⊥ P1=P2=P⊥ n3 =n// P3=P// である。よって、
【数4】
【0024】一方、テンソルの不変量から、配向度に依
存せずに次式が成り立つ。
【数5】 (4)式に(2)式を代入すると
【数6】 すなわち、
【数7】 (6)式によって、
【数8】 が既知であれば、n//とn⊥の測定値により密度ρが求
められる。
【0025】PET樹脂単独紡糸繊維の密度は密度勾配
管法によって測定した。測定された密度値に対する
【数9】 の関係に最小二乗法を適用すると、相関係数R2 =0.
97で得られた直線の傾きよりSR係数が0.2467
となる。この値はBunn(C.W.Bunn:Che
mical Crystallography(Oxf
ord)p.313.1961)の示した分子分極率を
用いて、PETモノマーユニットの各結合の分極率の加
成型からSRを理論的に求めた計算値にかなりよい一致
を示しているので、本発明では干渉顕微鏡を用いて測定
したn//とn⊥から上記の(3)式より
【数10】 を算出し、さらに
【数11】 として求めた。
【0026】(4)複合繊維の初期弾性率と破断強度:
東洋精密工業株式会社製テンシロン万能引張り試験機P
TM−100を用いて、引張り速度100mm/mi
n、試料長50mmで引っ張り試験を行い、測定された
初期ヤング率と破断強度を1デニール当たりに換算して
示した。
【0027】(5)不織布の引張り強度:東洋精密工業
株式会社製テンシロン万能引張り試料機PTM−100
を用いて、引張り速度300mm/min、試料長10
0mm、試料幅100mmで引っ張り試験を行い、測定
された破断点強度を3倍し、300mm当たりの引っ張
り強度で示した。
【0028】
【実施例】
実施例1 まず、固有粘度〔η〕=0.65、融点265℃のポリ
エチレンテレフタレート(PET)樹脂と、MFR=2
0、融点131.5℃の高密度ポリエチレン樹脂を準備
した。
【0029】上記のPET樹脂と高密度ポリエチレン樹
脂をそれぞれ別々の直径60mmの押し出し機に投入
し、押し出し温度290℃で押し出した後、芯鞘型複合
紡糸口金で合わせ、PET樹脂を芯成分とし、高密度ポ
リエチレン樹脂を鞘成分とする芯鞘構造をもつ円断面の
複合連続フィラメントを溶融紡糸した。ここで複合紡糸
口金としては、孔径0.3mmφの円形芯鞘型複合紡糸
孔を80孔有するもの数個を用いた。紡糸孔1個当りの
鞘成分と芯成分の合計吐出量を1g/minとし、PE
Tによる芯成分と高密度ポリエチレンによる鞘成分との
複合比率を7:3(重量比)にした。以上のようにして
得られた複合長繊維を口金から150cmのところで2
950m/minの巻取り速度で巻取って、PET系複
合長繊維を形成した。この複合長繊維の物性を表1に示
す。
【0030】実施例2 実施例1と同じPET樹脂と高密度ポリエチレン樹脂を
準備した。PET樹脂、高密度ポリエチレン樹脂をそれ
れぞれ別々の直径60mmの押し出し機に投入し、押し
出し温度290℃で押し出した後、芯鞘型複合紡糸口金
で合わせ、PET樹脂を芯成分とし、高密度ポリエチレ
ン樹脂を鞘成分とする芯鞘構造をもつ円断面の複合連続
フィラメントを溶融紡糸した。ここで複合紡糸口金とし
ては、孔径0.3mmφの円形芯鞘型複合紡糸孔を80
孔有するもの数個を用いた。紡糸孔1個当りの鞘成分と
芯成分の合計吐出量を1g/minとし、PETによる
芯成分と高密度ポリエチレンによる鞘成分との複合比率
を7:3(重量比)にした。以上のようにして得られた
複合連続フィラメントを口金から150cmのところで
紡糸速度3000m/min前後になるように高速気流
牽引装置に導入して延伸固化せしめた。次いで、高速気
流牽引装置から連続フィラメントを排出した後、コロナ
放電装置によって連続フィラメントに電荷を付与して帯
電させた。そして、連続フィラメントを反射板に衝突せ
しめて開繊させ、裏面に吸引装置が配置されている無端
金網捕集コンベア上に捕集して、目付30g/m2 の不
織ウェブを形成した。
【0031】不織ウェブは、無端金網捕集コンベアによ
り搬送され、熱エンボスロールにて部分的に構成繊維で
ある連続フィラメント相互間が融着された区域(班点状
に多数散在する)を設け、スパンボンド不織布を得た。
なお、無端金網捕集コンベアの移動速度及び熱エンボス
ロール表面の回転速度は57m/分であった。熱エンボ
スロール表面に設けられた彫刻はその凸部の形態が直径
0.6mmの円形であり、凸部の占有面積率は5.0%
であった。また、エンボスロールの表面温度は120
℃、線圧30kg/cmであった。複合繊維の物性およ
びスパンボンド不織布の物性を表1に示す。
【0032】実施例3 PET樹脂による芯成分と高密度ポリエチレン樹脂によ
る鞘成分との複合比率を5:5(重量比)に変えた他は
実施例1と同じ条件で複合長繊維を形成した。複合長繊
維の物性を表1に示す。
【0033】実施例4 PET樹脂による芯成分と高密度ポリエチレン樹脂によ
る鞘成分との複合比率を5:5(重量比)に変えた他は
実施例2と同じ条件で複合長繊維を形成し、さらにこの
複合長繊維からスパンボンド不織布を形成した。複合長
繊維およびスパンボンド不織布の物性を表1に示す。
【0034】比較例1 PET樹脂による芯成分と高密度ポリエチレン樹脂によ
る鞘成分との複合比率を4:6(重量比)に変えた他は
実施例1と同じ条件で複合長繊維を形成した。複合長繊
維の物性を表1に示す。
【0035】比較例2 PET樹脂による芯成分と高密度ポリエチレン樹脂によ
る鞘成分との複合比率を4:6(重量比)に変えた他は
実施例2と同じ条件で複合長繊維を形成し、さらにこの
複合長繊維からスパンボンド不織布を形成した。複合長
繊維およびスパンボンド不織布の物性を表1に示す。
【0036】比較例3 実施例1で示した固有粘度〔η〕=0.65、融点26
5℃のPET樹脂を直径60mmの押し出し機に投入
し、押し出し温度290℃で押し出した後、単独紡糸用
口金でPET樹脂単成分の連続フィラメントを溶融紡糸
した。ここで紡糸口金としては、孔径0.3mmφの円
形紡糸孔を80孔有するもの数個を用いた。紡糸孔1個
当りの吐出量を1g/minとした。以上のようにして
得られた単独長繊維を口金から150cmのところで2
950m/minの巻取り速度で巻取って、PET樹脂
長繊維を形成した。この長繊維の物性を表1に示す。
【0037】比較例4 実施例1で示した固有粘度〔η〕=0.65、融点26
5℃の(PET)樹脂を用いて、直径60mmの押し出
し機に投入し、押し出し温度290℃で押し出した後、
単独紡糸用口金でPET樹脂単成分の連続フィラメント
を溶融紡糸した。ここで紡糸口金としては、孔径0.3
mmφの円形紡糸孔を80孔有するもの数個を用いた。
紡糸孔1個当りの吐出量を1g/minとした。以上の
ようにして得られた単独長繊維を口金から150cmの
ところで高速気流牽引装置に導入して実質紡糸速度30
00m/min前後になるように延伸固化せしめた。次
いで、高速気流牽引装置から連続フィラメントを排出し
た後、コロナ放電装置によって連続フィラメントに電荷
を付与して帯電させた。そして、連続フィラメントを反
射板に衝突せしめて開繊させ、裏面に吸引装置が配置さ
れている無端金網捕集コンベア上に捕集して、目付30
g/m2 の不織ウェブを形成した。
【0038】この不織ウェブを実施例2と同じ方法で不
織布に形成した。ただし、この場合においては、繊維の
表面もPET樹脂成分になっているので、エンボスロー
ルの表面温度は220℃に変えた。長繊維および不織布
の物性を表1に示す。
【0039】比較例5 実施例1で示した固有粘度〔η〕=0.65、融点26
5℃のPET樹脂を直径60mmの押し出し機に投入
し、押し出し温度290℃で押し出した後、単独紡糸用
口金でPET樹脂単成分の連続フィラメントを溶融紡糸
した。ここで紡糸口金としては、孔径0.3mmφの円
形紡糸孔を80孔有するもの数個用いた。紡糸孔1個当
りの吐出量を1g/minとした。以上のようにして得
られた単独長繊維を口金から150cmのところで41
00m/minの巻取り速度で巻取って、PET樹脂長
繊維を形成した。この長繊維の物性を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】表1に示す試験結果から明かなとおり、実
施例に係わるPET部分が50%重量以上をしめる複合
長繊維の溶融紡糸においては、3000m/min以下
の紡糸速度でありながら、得られた複合長繊維とそのス
パンボンド法不織布の力学的性質は安定な配向結晶化構
造をもつため、比較例での同じ紡糸速度で製造された単
独紡糸長繊維とその不織布に比べて、十分に高い値をし
めし、比較例5で示した4000m/min以上の紡糸
速度で得られたPET樹脂単成分紡糸繊維とほぼ同レベ
ルのものとなっている。
【0042】
【発明の効果】本発明方法により、PET樹脂とポリエ
チレン樹脂とを重量比50/50〜90/10にて複合
し且つ3000m/min以下の低い速度で溶融紡糸す
ることによって、溶融紡糸速度が低いにもかかわらず、
PET樹脂の共存によって比較的高度に配向結晶化され
構造をもつPET系複合繊維が得られる。この複合繊維
の初期ヤング率は通常25g/デニール以上であってP
ET単独繊維の初期ヤング率より高く、また破断強度は
2g/d以上であってPET単独繊維の破断強度に近
い。
【0043】また、低速溶融紡糸であるため、繊維の溶
融紡糸の一工程化を容易に実現することが可能となっ
た。さらに、工程の短縮化を実現しながら従来の高速紡
糸に伴う難点も回避できる。上記のような特性をもつ本
発明の複合溶融紡糸法は特にスパンボンド法による不織
布の製造に有利に適用される。
【手続補正書】
【提出日】平成6年5月30日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正内容】
【0022】 と密度の関係より密度を求められる。分極率と屈折率の
関係として、Lorentz−Lorenzの式が知ら
れている。
【数1】ここで、n:屈折率 P:分子分極率 M:分子量 N:アボガドロ数 ρ:密度 である。異方性物質に対する(1)式の適用に関して
は、Wuks(M.F.Wuks;Opt.& Spe
ctrosc.20.361.1966)が次式を示し
ている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正内容】
【0024】一方、テンソルの不変量から、配向度に依
存せずに次式が成り立つ。 (4)式に(2)式を代入すると
【数6】すなわち、
【数7】(6)式によって、
【数8】

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエチレンテレフタレート樹脂50〜
    90重量%とポリエチレン樹脂50〜10重量%とを、
    固化点以降における紡糸速度を3000m/min以下
    に設定して複合溶融紡糸することを特徴とするポリエチ
    レンテレフタレート/ポリエチレン複合長繊維の製造方
    法。
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