JPH07197162A - 印刷版用アルミニウム板及びその製造方法 - Google Patents

印刷版用アルミニウム板及びその製造方法

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JPH07197162A
JPH07197162A JP35422893A JP35422893A JPH07197162A JP H07197162 A JPH07197162 A JP H07197162A JP 35422893 A JP35422893 A JP 35422893A JP 35422893 A JP35422893 A JP 35422893A JP H07197162 A JPH07197162 A JP H07197162A
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細野晋一郎
Hideki Nakamura
中村英樹
Kozo Hoshino
星野晃三
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 電解粗面化処理時の電解エッチングピットを
不均一にすることなく、粗面化面上に形成される陽極酸
化膜を改善でき、優れた耐汚れ性をもたらす印刷版用ア
ルミニウム板。 【構成】 重量%で、Fe:0.3〜0.60、Si:
0.03〜0.08、Cu:0.004〜0.04を含
有し、かつ、FeとSiの関係が4≦Fe(%)/Si
(%)を満足し、残部が不可避的不純物からなる純アル
ミニウムにおいて、その孔食電位Vc10が−0.75
(mV)≦Vc10である、電解粗面化時のエッチング
ムラが少なく、且つ、耐汚れ性に優れる印刷版用アルミ
ニウム板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は印刷版用アルミニウム板
及びその製造方法に関し、更に詳細には、オフセット印
刷版に用いられるPS版の支持体として電解粗面化時の
エッチングムラが少なく、且つ、耐汚れ性に優れる印刷
版用アルミニウム板及びその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】一般に
オフセット印刷において、アルミニウムを支持体に用い
ることは従来から行うことが知られており、感光膜の密
着性及び非画像部の保水性の点から、その表面を粗面化
しておくことが必要である。
【0003】この粗面化処理方法としては、従来から、
ボール研磨法やブラッシング研磨法等の処理法があった
が、ここ最近は、塩酸又はこれを主体とする電解液、硝
酸又はこれを主体とする電解液を用いて、板表面を電気
化学的に粗面化する電解粗面化処理法、又は上記のよう
な機械的処理方法と電解粗面化処理法を組み合わせた処
理方法が主体となっている。
【0004】このような電気化学的粗面化処理に適する
アルミニウム材料として、 Fe:0.35〜1%、Si:0.2%以下の組成のアル
ミニウム合金を均質化処理後、熱間圧延し、40〜80
%の冷間圧延を行ったアルミニウム合金板(特開昭55
−28874号)、 Fe:0.1〜1.0%、Si:0.02〜0.15%、C
u:0.003%以下の組成のアルミニウム合金板(特開
昭58−221254号)、 他に特開昭58−42493号、同59−67349
号等、が提案されていて、Fe、Si又はCuを所定量含
有させることにより、電解粗面化に適する印刷版用材料
が提案されている。
【0005】一方、電気化学的粗面化処理に関しては、 非画像部の耐汚れ性等、優れた印刷性能を有するに
は、電解エッチングの均一性が必要であること、 PS版としての商品価値の問題より、マクロ組織が細
かいこと、等も要求されるようになった。
【0006】このような要求に適するアルミニウム材料
として、特公平5−28197号、特公平5−2819
8号、特開平3−122241号、特開平3−1775
28号、特開平3−177529号等が提案されてお
り、Fe、Si、Ti、Ga、Ni等を所定量含有させるこ
と、金属間化合物中のSi含有比率や析出Si量を管理す
ることにより、特定の金属間化合物が電解エッチングピ
ットを不均一にすることを防止することや、熱間圧延や
鋳塊微細化を適正に行うことにより、粗大(100μm以
上)な再結晶粒が発生することを防止することが提案さ
れている。
【0007】更に、従来より、印刷版用アルミニウム合
金板の製造方法として、アルミニウム合金板を粗面化し
た後に、表面に陽極酸化を行う方法が行われている(特
公昭57−16918号)。陽極酸化は耐刷性を向上さ
せるため行うものであり、陽極酸化の硬度を上げると耐
刷性が向上すると特公昭57−16918号に説明され
ている。
【0008】また、耐汚れ性に対しては、特開平3−2
34594号に、陽極酸化皮膜中に存在する最大長1μ
m以上の金属間化合物を7000個/mm2以下に管理する
ことが耐汚れ性に効果があると開示されている。また、
特公平5−28197号にはアルミニウム板中の単体S
iが陽極酸化皮膜の特性に影響を及ぼすことが記載され
ている。
【0009】しかし、カラー印刷等の印刷物の高級化に
伴い、非画像部の印刷汚れの要求レベルも向上し、電解
エッチングピットの均一化を主とする、上記従来技術で
得られる電解粗面化面の制御では対応しきれなくなって
きた。すなわち、非画像部の印刷汚れにおいて、印刷機
を一時停止(約1時間)し、再度印刷すると、非画像に印
刷汚れが発生する。この印刷汚れは電解エッチングピッ
トの均一性とは対応せず、陽極酸化皮膜に起因すると考
えられ、陽極酸化処理にも適する印刷版用アルミニウム
板が要求されるようになりつつある。
【0010】本発明の目的は、上記従来技術の問題点を
解決し、電解粗面化処理時の電解エッチングピットを不
均一にすることなく、粗面化面上に形成される陽極酸化
膜を改善でき、優れた耐汚れ性をもたらす印刷版用アル
ミニウム板を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段として、本発明は、Fe:0.3〜0.60%、S
i:0.03〜0.08%、Cu:0.004〜0.04%を
含有し、かつ、FeとSiの関係が4≦Fe(%)/Si(%)
を満足し、必要に応じて更に、Ti:0.010〜0.0
40%、V:0.03%以下で、TiとVの関係が1≦T
i(%)/V(%)≦40を満足し、或いはB:1〜20ppm
を含有し、残部が不可避的不純物からなる純アルミニウ
ムにおいて、その孔食電位Vc10が−0.75(mV)≦Vc
10であることを特徴とする電解粗面化時のエッチングム
ラが少なく、且つ、耐汚れ性に優れる印刷版用アルミニ
ウム板を要旨としている。
【0012】また、その製造方法は、上記の化学成分を
含有する純アルミニウム鋳塊を均質化処理、熱間圧延、
冷間圧延(中間焼鈍を含む)するに際し、430〜560
℃×3hr以上の均質化処理を行い、熱間圧延終了温度T
(℃)を320−5(Fe(%)/Si(%))≦T(℃)の関係を
満足する条件で行うことを特徴としている。
【0013】
【作用】
【0014】本発明者は、まず、酸化汚れと称される非
画像部の印刷汚れが電解エッチングピットの均一性とは
対応しないことについて鋭意研究した。この結果、この
印刷汚れは形成皮膜が多孔質であるほどこの発生率が高
くなることを究明した。そして、この印刷汚れの発生量
は、形成される陽極酸化皮膜は緻密質であるほど少なく
できると考えられることから、この陽極酸化皮膜質に及
ぼす素材の影響も鋭意研究したところ、孔食電位が高い
ほど緻密質である皮膜を形成し、更には、Fe/Si比、
製造条件を管理することにより、この孔食電位は高くで
きることを究明した。
【0015】更には、前記要請に応えるに、電解粗面化
処理により均一でミクロな未エッチング部が少なく(エ
ッチングムラの少ない)できる粗面化面が得られ、マク
ロ組織が細かくなり、且つ、形成される陽極化膜が非画
像部の印刷汚れの発生を少なくできる印刷版用のアルミ
ニウム板である必要があることに鑑みて、鋭意研究を重
ねた。その結果、電気化学的粗面化後の印刷版用アルミ
ニウム板の表面をよりミクロ的に均一な粗面とするため
には、従来のFe、Si、Tiを所定量含有させることに
加え、Ti、V又はBの含有量の管理が効果的であるこ
とを究明した。
【0016】また、印刷版にした時の外観上の見栄えに
ついては、従来の対策を行っても、改善されないことも
生じた。この原因につき、本研究者は更に鋭意研究の結
果、マクロ組織を細かくするためには、従来技術のT
i、Bによる鋳塊の微細化が効果的であるが、元来、地
金及び添加Ti−B中に含まれているVがTi−Bによる
微細化効果を妨げていることを究明した。
【0017】以上の知見に基づき、更に詳細に実験研究
を行い、ここに本発明を完成したものである。まず、本
発明における化学成分の限定理由について説明する。
【0018】Fe:0.30〜0.60% Feは電解粗面化の均一化の作用を有している。Feはア
ルミニウム合金中で他の元素と結びつき、Al−Fe系の
共晶化合物を形成する元素であり、Al−Fe系の共晶化
合物は再結晶粒の微細化に効果があると共に、均一な電
解粗面を形成する効果がある。しかし、含有量が0.2
0%未満であるとAl−Fe系の共晶化合物の数が少な
く、電解粗面化面に未エッチング部分が多く粗面化が不
十分となるので、0.20%以上必要であるが、一方、
0.20%以上であっても0.30%未満では、再結晶粒
の微細化効果が少なく、マクロエッチングした際の筋が
長くなる。また、0.60%を超える含有量では粗大化
合物の形成により電解粗面化面が不均一になる。よっ
て、Fe含有量は0.30〜0.60%とする。
【0019】Si:0.03〜0.08% Siは、Al−Fe−Si系金属間化合物を形成し、熱間パ
ス間での再結晶の核として作用するため、再結晶粒微細
化効果を有するが、0.030%未満では効果が少な
く、マクロエッチングした際の筋が長くなる。また、
0.080%を超える含有量では粗大化合物の形成によ
り電解粗面化面が不均一になる。よって、Si含有量は
0.03〜0.08%とする。
【0020】Cu:0.004〜0.04% Cuは、適切にコントロールすることにより均一な電解
粗面化面を形成することが可能である。しかし、0.0
4%を超えるとピットが粗大になり、電解粗面化面が不
均一になる。また、0.004%未満では全面溶解を起
こし、ピットが過小になり、粗面化が不十分である。よ
って、Cu含有量は0.004〜0.04%とする。
【0021】上記元素の他、必要に応じてTi及びV、
或いはBを適量にて含有させることができる。
【0022】Ti:0.010〜0.040% 従来より、結晶粒微細化剤としてTi−Bの母合金が添
加されており、このTi−Bの添加により鋳塊組織を微
細化し、マクロエッチングによる筋が長くなることを防
止する効果が得られる。しかし、Tiが0.040%を超
えると粗大化合物を形成し、粗大なピットが多くなり、
電解粗面化面が不均一になる。逆に、0.010%未満
では結晶粒微細化ができず、マクロエッチングによる筋
が長くなる。よって、Ti含有量は0.010〜0.04
0%とする。
【0023】B:1〜20ppm 同様に、Bについても、Ti−Bの添加により鋳塊組織
を微細化し、マクロエッチングによる筋が長くなること
を防止する効果が得られる。しかし、Bが20ppmを超
えるとTi−Bの粒子数が増し、そのことが電解粗面化
面の未エッチング部分を発生し、エッチングムラを多く
する。逆に、1ppm未満では結晶粒微細化ができず、マ
クロエッチングによる筋が長くなる。よって、B含有量
は1〜20ppmとする。
【0024】V:0.03%以下、1≦Ti(%)/V(%)
≦40 従来より、結晶粒微細化剤としてTi−Bの母合金が添
加されており、Ti−Bの添加によるAl−Ti−Bの金
属間化合物が核となり、鋳造組織は微細化されることが
知られている。本発明者は、この微細化のメカニズムを
鋭意研究した結果、この微細化に関し、Vの含有量が関
与していることを究明した。
【0025】すなわち、Vが含有していると、溶湯中の
Bと結びつき、V−Bの化合物として存在し、この結
果、Al−Ti−Bの金属間化合物数を減少させ、鋳造組
織の微細化を妨げることである。具体的には、B含有量
が1ppm以上20ppm以下の範囲の場合では、Ti(%)/
V(%)の比が1未満では鋳造組織は微細化されず、マク
ロ組織が粗くなり、一方、Ti(%)/V(%)の比が40
を超えると、Ti起因の粗大介在物を形成し、粗大ピッ
トを形成し、電解粗面化面が不均一になる。また、V含
有量が0.03%を超えても、粗大化合物を形成し、電
解粗面化面が不均一になる。よって、V含有量を0.0
3%以下で、更に1≦Ti(%)/V(%)≦40を満足す
る必要がある。
【0026】4≦Fe(%)/Si(%) 従来より、印刷版用のアルミニウム合金板は、Al−Fe
−Si系の粗大化合物を少なくし、電解粗面化面が均一
にするべく、Fe(%)/Si(%)の比を高くしていること
が知られている。本発明者は、粗面化後の陽極酸化膜に
及ぼす素材要因を鋭意研究した結果、形成される陽極酸
化構造に、Fe(%)/Si(%)により決定されるAl−Fe
−Si系の金属間化合物、単体Si及びAlマトリクス中
のSiの固溶度が関与していることを究明した。
【0027】すなわち、Fe/Si比が低いと、Al板中
のAl−Fe−Si系の金属間化合物及び単体Siの数が増
え、アルミマトリクスに対しカソードが多くなり、その
Al板の孔食電位が−0.75mVより低くなるので、陽
極酸化膜の形成界面のAlイオンが増加し、定電流陽極
酸化処理における必要電圧が低くなるため、多孔質の陽
極酸化皮膜が形成される。更に、多孔質の皮膜は湿し水
中の不純物を吸着する確率が高く、非画像部の印刷汚れ
を発生し易くなることである。具体的には、Fe/Si比
は、4未満では電解エッチングピットの均一性と対応し
ない非画像部の印刷汚れが発生するので、4以上とす
る。
【0028】孔食電位(Vc10):−0.75(mV)≦Vc10 従来より、陽極酸化皮膜のセル壁厚さ及びポア数は陽極
酸化電圧と関係があることが知られている。本発明者
は、粗面化後の陽極酸化膜に及ぼす素材要因を鋭意研究
した結果、素材の孔食電位Vc10が定電流陽極酸化にお
ける電圧に影響を及ぼすことを究明した。
【0029】すなわち、この孔食電位が低いと、定電流
陽極酸化において、陽極酸化膜の形成界面のAlイオン
を発生させるための電圧が低くなるため、多孔質の陽極
酸化皮膜が形成され、非画像部の印刷汚れが発生し易く
なる。具体的には、孔食電位Vc10は、−0.75(mV)
未満では形成皮膜が多孔質になり、酸化汚れが発生し易
くなるので、−0.75(mV)以上とする。
【0030】本発明における平版印刷版用アルミニウム
板を構成する純アルミニウム中に含まれる不純物として
は、通常市販されているAl地金に含まれる不純物程度
であれば、本発明の目的を損なうものではない。すなわ
ち、Mg:0.020%以下、Cr:0.020%以下、Z
n:0.020%以下ならば特に問題はない。
【0031】次に本発明の製造方法について説明する。
まず、本発明のアルミニウム合金板は鋳造−均質化処理
−熱間圧延−冷間圧延−中間焼鈍−仕上げ冷間圧延の工
程により製造される。なお、均質化処理と熱間圧延前の
加熱とは兼ねることもできる。すなわち、均質化処理を
行った後、そのまま熱間圧延を行ったり、また所定の温
度まで冷却してから熱間圧延を行うこともできる。
【0032】但し、本発明では、430〜560℃×3
hr以上の均質化処理をする必要がある。温度が560℃
を超えるとAl6FeがよりカソードであるAl3Feに変態
し、素材のアルミマトリクスに対しカソードが多くな
り、そのAl板の孔食電位が−0.75mVより低くなる
ので、陽極酸化膜の形成界面のAlイオンが増加し、定
電流陽極酸化処理における必要電圧が低くなるため、多
孔質の陽極酸化皮膜が形成されるので非画像部の印刷汚
れが発生し易くなる。また430℃未満では、均質化が
不足し、電解粗面化面が不均一になる。
【0033】なお、400〜500℃の温度で熱間圧延
を開始することが望ましい。これは、500℃を超える
と熱延パスでの再結晶粒が100μm以上と粗大にな
り、マクロ組織が粗くなり、また400℃未満では粗大
化合物を形成し、粗大なピットが多くなり、電解粗面化
面が不均一になるためである。
【0034】また、FeとSiの比率に対し、熱間圧延の
終了温度Tを320−5(Fe/Si)≦T(℃)の範囲で行
う必要がある。熱延終了温度Tが320−5(Fe/Si)
未満では、固溶Siが単体Siとして析出し、素材のアル
ミマトリクスに対しカソードが多くなり、そのAl板の
孔食電位が−0.75mVより低くなるので、陽極酸化膜
の形成界面のAlイオンが増加し、定電流陽極酸化処理
における必要電圧が低くなるため、多孔質の陽極酸化皮
膜が形成されるので非画像部の印刷汚れが発生し易くな
るので好ましくない。
【0035】なお、中間焼鈍条件は特に制限されない
が、特に昇温速度20〜150℃/hrで昇温し、350
〜500℃で2〜5時間保持後、降温速度20〜100
℃/hrにて冷却したり、或いは連続焼鈍炉で、昇温速度
5〜100℃/secで昇温し、400〜550℃で12
0秒以下の保持後、降温速度10〜100℃/secにて
冷却することが望ましく、これにより、マクロ組織は一
層短くなる。
【0036】次に本発明の実施例を示す。
【0037】
【実施例1】表1に示す化学成分を有するNo.1〜No.
18のアルミニウムを溶解、鋳造し、表1に示す条件で
均質化処理し、熱間圧延後、冷間圧延→中間焼鈍(42
0℃×0秒)→板厚減少率80%で仕上げ冷間圧延を施
し、0.30mm厚さの板を得た。
【0038】得られた板(0.98dm2)の表面を、特開平
1−16651号に準じ、5%水酸化ナトリウム水溶液
で温度65℃で1分間脱脂後、10%硝酸中で温度25
℃で1分間中和洗浄し、0.6(mol/L)硝酸電解液で、
電流密度50A/dm2、50Hz、30℃、30秒の交流
電解を行った。
【0039】上記のようにした板の粗面化面を走査電子
顕微鏡(SEM)を用いて350倍で0.98dm2の全体を
表面観察を行い、0.98dm2の板全体からトータルして
0.02mm2になるように写真を撮った。この写真をもと
に以下の式にて未エッチング率を求めた。 未エッチング率(%)=(粗面化されていない部分の面積)
/(全体の面積)×100
【0040】上記の未エッチング部率をもとに、以下の
基準で未エッチング部評価を決定した。 未エッチング部評価○(良好):未エッチング率0.0〜
10.0%、△(やや不良):未エッチング率10.1〜2
0.0%、×(不良):未エッチング率20.1%以上。
【0041】上記の電解表面観察写真からトータル10
0cmの線を引き、線の下にあるピットの大きさを測っ
た。最小のピットと最大のピットの大きさの差が15μ
mより大のものを均一性評価×(不良)とし、10〜15
μmのものを均一性評価△(やや不良)、10μm未満のも
のを均一性評価○(良好)とした。
【0042】また、上記のようにして得た板(3dm2、圧
延方向15cm×10cm×2)の表面を王水にて化学エッ
チング(マクロエッチング)を行い、筋を見た。圧延方向
の筋の長さが1cm未満を筋評価○(良好)とし、1〜2cm
までの長さを△(やや不良)、2より長いものを×(不良)
とした。
【0043】更に、上記の組成、板製造条件、電解粗面
化をして得た砂目板(1.5dm2、圧延方向15cm×70c
m×10枚)を15wt%硫酸、35℃、3A/dm2、1分
で陽極酸化し、特開昭59−164190号の本発明法
1に記載の後処理を行った後、単色印刷機(小森製スプ
リンク26)にチャッキングし、速度100,000枚で
印刷→1時間停止を4回繰返し、非画像部の印刷汚れの
発生個数を評価した。この結果、非画像部に印刷汚れの
ないものを○(良好)とし、10個未満を△(やや不良)、
10個以上を×(不良)とした。なお、本印刷試験には、
印刷インキ(DIC製:New Champion F Gloss 85
墨)を使用した。また、孔食電位の測定はJIS G 0
577に準じて行った。
【0044】試験結果を表2に示すとおり、本発明例N
o.1〜No.5は、未エッチング部評価、筋評価、均一性
評価、非画像部の印刷汚れ評価ともすべて良好である。
【0045】これに対し、比較例No.6はFeが0.30
%未満のために未エッチング部評価が悪くなっている。
また、比較例No7はFeが0.60%を超えているため
に均一性評価が悪くなっている。同様に比較例No.8は
Siが0.08%を超えているために均一性評価が悪くな
っている。比較例No.11も同様、Cuが0.04%を超
えてい入るために均一性評価が悪くなっている。比較例
No.13も均質化処理温度が430℃未満のために均一
性評価が悪くなっている。比較例No.15も同様、均熱
時間が不足し、均一性評価が悪くなっている。
【0046】そして、比較例No.10はCuが0.004
%未満のため、ピットが過小になり、粗面化不十分であ
るため、均一粗面ではないと見なし、均一性評価が悪
い。
【0047】次に、比較例No.8はFe/Si比が4未満
のために、非画像部の印刷汚れ評価が悪くなっている。
比較例No.9も同様、Siが0.03%未満のために、非
画像部の印刷汚れ評価が悪くなっている。比較例No.1
4も同様、均質化温度が560℃を超えるため、非画像
部の印刷汚れ評価が悪くなっている。比較例No.16、
17、18も同様、熱間圧延の終了温度が320−5
(Fe/Si)よりも低いため、非画像部の印刷汚れ評価が
悪くなっている。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【実施例2】表3に示す化学成分を有するNo.1〜No.
25のアルミニウムを溶解、鋳造し、表1に示す条件で
均質化処理し、熱間圧延後、冷間圧延→中間焼鈍(42
0℃×0秒)→板厚減少率80%で仕上げ冷間圧延を施
し、0.30mm厚さの板を得た。
【0051】得られた冷延板についての未エッチング部
評価、筋評価、均一性評価、非画像部の印刷汚れ評価は
実施例1と同様にして行った。
【0052】試験結果を表4に示すとおり、本発明例N
o.1〜No.5は、未エッチング部評価、筋評価、均一性
評価、非画像部の印刷汚れ評価ともすべて良好である。
【0053】これに対し、比較例No.6はFeが0.30
%未満のために筋評価が悪くなっている。同様に比較例
No.9はSiが0.03%未満のために筋評価が悪くなっ
ている。比較例No.12も同様、Tiが0.010%未満
のために筋評価が悪くなっている。比較例No.15も同
様、Bが1ppm未満のために筋評価が悪くなっている。
比較例No.16及びNo.17も同様、VがTiの含有量
よりも高く又はVが0.030%を超えるために筋評価
が悪くなっている。比較例No.18は熱間圧延開始温度
が500℃を超えているために筋評価が悪くなってい
る。
【0054】また、比較例No.7はFeが0.6%を超え
ているために均一性評価が悪くなっている。同様に比較
例No.8はSiが0.08%を超えているために均一性評
価が悪くなっている。比較例No.11も同様、Cuが0.
040%を超えているために均一性評価が悪くなってい
る。比較例No.13も同様、Tiが0.040%を超えて
いるために均一性評価が悪くなっている。比較例No.1
9も同様、均質化温度が430℃未満であり、また熱間
圧延開始温度が400℃未満であることもあって均一性
評価が悪くなっている。比較例No.21も同様、均熱時
間が不足し、均一性評価が悪くなっている。
【0055】そして、比較例No.10はCuが0.004
%未満のため、ピットが過小になり、粗面化不十分であ
るため、均一粗面ではないと見なされ、均一性評価が悪
い。比較例No.14はB量が20ppmを超えてるため、
未エッチング部評価が悪くなっている。
【0056】次に、比較例No.8はFe/Si比が4未満
のために、非画像部の印刷汚れ評価が悪くなっている。
比較例No.20も同様、均質化温度が高すぎるため、非
画像部の印刷汚れ評価が悪くなっている。比較例No.2
2、23、24、25も同様、熱間圧延の終了温度が3
20−5(Fe/Si)よりも低いため、非画像部の印刷汚
れ評価が悪くなっている。
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
成分組成の調整と同時に均質化処理、熱延条件を規制し
て得られる印刷版用アルミニウム板は、電解粗面化面が
均一化し、マクロ組織が細かく、マクロエッチングの際
の筋が短く、ミクロ的にもエッチングムラの少なく、且
つ非画像部に発生する印刷汚れが少ないという顕著な効
果を奏するものである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で(以下同じ)、Fe:0.3〜0.
    60%、Si:0.03〜0.08%、Cu:0.004〜
    0.04%を含有し、かつ、FeとSiの関係が4≦Fe
    (%)/Si(%)を満足し、残部が不可避的不純物からな
    る純アルミニウムにおいて、その孔食電位Vc10が−0.
    75(mV)≦Vc10であることを特徴とする電解粗面化時
    のエッチングムラが少なく、且つ、耐汚れ性に優れる印
    刷版用アルミニウム板。
  2. 【請求項2】 更にTi:0.010〜0.040%、
    V:0.03%以下で、TiとVの関係が1≦Ti(%)/
    V(%)≦40を満足している請求項1に記載の印刷版用
    アルミニウム板。
  3. 【請求項3】 更にB:1〜20ppmを含有している請
    求項1又は2に記載の印刷版用アルミニウム合金板。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3に記載の化学成分を
    含有する純アルミニウム鋳塊を均質化処理、熱間圧延、
    冷間圧延(中間焼鈍を含む)するに際し、430〜560
    ℃×3hr以上の均質化処理を行い、熱間圧延終了温度T
    (℃)を320−5(Fe(%)/Si(%))≦T(℃)の関係を
    満足する条件で行うことを特徴とする電解粗面化時のエ
    ッチングムラが少なく、且つ、耐汚れ性に優れる印刷版
    用アルミニウム板の製造方法。
  5. 【請求項5】 400〜500℃の温度で熱間圧延を開
    始する請求項4に記載の方法。
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