JP3604595B2 - Ps版用アルミニウム合金支持体及びその製造方法 - Google Patents

Ps版用アルミニウム合金支持体及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、平版印刷に用いるPS版用のアルミニウム合金支持体に関し、特に電解エッチングによる粗面の均一性に優れるアルミニウム合金支持体に関するものである。また、本発明は、その製造方法にも関する。
【0002】
【従来の技術】
平版印刷は、アルミニウム合金からなる支持体とジアゾ化合物等を感光物とする感光体とからなるPS版(Presensitized Plate)に画像露光、現像等の製版処理を行って画像部を形成した版を印刷機の円筒状版胴に巻付け、非画像部に付着した湿し水の存在のもとにインキを画像部に付着させてこのインキをゴム製ブランケットに転写、紙面に印刷するものである。
【0003】
PS版の支持体としては、電解エッチングによる粗面化処理(砂目立て)、陽極酸化処理などの表面処理を施したアルミニウム合金板が用いられている。アルミニウム合金としては、当初、JIS1050(純度99.5%以上の純Al)、JIS1100(Al−0.05〜0.20%Cu合金)、JIS3003〈Al−0.05〜0.20%Cu−l.5%Mn合金)が主に用いられてきた。
【0004】
アルミニウム合金支持体には、
(1)電解エッチングによる粗面が均一であること。
(2)感光剤の密着性が良好であること。
(3)印刷中に画像部に汚れが生じないこと。
等の種々の特性が要求される。しかし、JIS1050、JIS1100、JIS3003そのものでは以上の各要求を十分に満足させることができなかったため、種々の改良が行われてき・た。
【0005】
例えば、特開昭58−221254号公報には、Si:0.02〜0.15%、Fe:0.1〜1.0%、Cu:0.003%以下、残部Alおよび不可避的不純物からなるオフセット印刷用素板が開示されている。また、特開昭62−148295号公報には、Fe:0.05〜1.0%、Si:0.2%以下、Cu:0.05%以下、残部Alおよび不可避的不純物からなり、金属組織中に分布する単体Siが0.012%以下である平版印刷用アルミニウム合金支持体が開示されている。
【0006】
前記特開昭58−221254号は、Cu含有量の増加に伴い耐食性が低下し、その影響で印刷中に非画像部の汚れが増大するために、Cu含有量を0.003%以下に規制することを提案している。また、特開昭62−148295号によると、電解エッチングによるピットが均一な粗面が得られ、ストリーク(筋状ムラ)の発生がみられず、しかも印刷中に非画像部の汚れを抑制することができるという効果を有する。
【0007】
しかるに、印刷精度向上の要求に対して、前記特開昭58−221254号、特開昭62−148295号に記載の従来のアルミニウム合金支持体では十分に対応することが困難となってきた。特に、電解エッチングによる粗面の均一性をより向上することが必要となってきている。しかも、コスト低減のために、短時問の電解粗面化処理で均一性に優れた粗面を形成することの要望が強くなってきている。
【0008】
この要望に対し、特開平9−184039号には、重量%で、Fe:0.25〜0.6%、Si:0.03〜0.15%、Ti:0.005〜0.05%、Ni:0.005〜0.20%、残部Al及び不可避的不純物からなる組成を有し、0.1≦Ni/Si≦3.7を満たすことを特徴とするPS版用アルミニウム合金支持体が提案されている。
【0009】
特開平9−18409号のPS版用アルミニウム合金支持体は、Niを添加することにより向上する化学溶解性を、Siが有する化学溶解性の抑制性能により抑制することによって、粗面均一性を向上させると共に、電解処理前の無通電状態での電解液中浸演によるピットの発生を抑制することを可能としている。
【0010】
また、特開平9,272937号には、重量%で、Fe:0.20〜0.6%、Si:0.03〜0.15%、Ti:0.005〜0.05%、Ni:0,005〜0.20%を含有し、更にCu及びZnからなる群から選択された1種又は2種以上で0.005〜0.050%、更にIn,Sn及びPbからなる群から選択された1種又は2種以上で0.001〜0.020%含有し、残部Al及び不可避的不純物からなるPS版用アルミニウム合金支持体が提案されている。
【0011】
特開平9−272937号のPS版用アルミニウム合金支持体は、Cu及びZnの1種又は2種、並びにIn,Sn及びPbの1種又は2種以上を添加し、アルミニウムマトリクス中に固溶させることにより、アルミニウムマトリクスと金属間化合物との問の電位差を調整し、電解粗面を均一化させようというものである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
前記特開平9−184039号及び前記特開平9−272937号の提案により、粗面均一性は従来に比べ向上したが、より高い印刷精度が要求されており、尚一層の粗面均一性が要望されている現状にある。そこで本発明は、電解エッチングによる粗面の均一性をより向上したPS版用アルミニウム合金支持体の提供を課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は前記課題を解決すべくPS版用アルミニウム合金支持体の電解エッチングの均一性について検討を行ったところ、以下のことを知見するに至った。
(1)アルミニウムマトリクス中に晶出又は析出するAl Fe系の金属間化合物が、電解エッチング中にカソード点として作用してその溶解性を支配して
いる。
(2)希土類元素を添加すると、当該希土類元素は上記したAl−Fe系金属間化合物に取り込まれ、Al‐Fe‐X系(Xは希土類元素の1種又は2種 以上)金属間化合物の晶・析出物を形成するが、この金属間化合物はAl−Fe系金属問化合物、すなわちXを含まない金属間化合物に比べて電流を流しやすい性質を備えているため、電解エッチングした際のカソード反応性をより向上させて、溶解均一性を向上させることができる。
【0014】
本発明のPS版用アルミニウム合金支持体は以上の知見に基づくものであり、重量%で、Fe:0.1〜0.7%、Si:0.02〜0.2%、希土類元素の1種又は2種以.上を0.005〜0.2%、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成となることを特徴とするものである。
【0015】
また、前記希土類元素がCe、La、Ndのうちの1種又は2種以上であることを特徴とするとともに、その含有量が0.01〜0.08%であればより均一性向上に資するものとなる。
【0016】
また、本発明のPS版用アルミニウム支持体に関する組織形態としては、重量%で、Fe:0.1〜0.7%、Si:0.02〜0.2%、希土類元素の1種又は2種以上を0.005〜0.2%、残部がAl及び不可避的不純物を有するアルミニウム材において、当該アルミニウム材は、Al−Fe−X系金属間化合物(ただし、Xは希土類元素の1種又は2種以上)を分散させた組織形態を有することを特徴とするものである。
【0017】
また、前記希土類元素がCe、La、Ndのうちの1種又は2種以上であることを特徴とする。さらには、前記Al−Fe−X系金属間化合物の平均粒径が3μm以下であれば、均一性向上に効果的となる。
【0018】
最後に、本発明におけるPS版用アルミニウム合金支持体の製造方法は、重量%で、Fe:0.1〜0.7%、Si:0.02〜0.2%、希土類元素の1種又は2種以上を0.005〜0.2%、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成の鋳塊を得、その後.均質熱処理を施さない状態で熱問圧延を行い、次いで冷間圧延及び中間焼鈍を施し、そして仕上げ冷間圧延を行うことを特徴とするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下本発明の成分、その他限定理由を説明する。
<Fe:0.1〜0.7%>Feは、Al‐Fe系金属間化合物を形成し、電解エッチングによる粗面均一性を向上するとともに、耐疲労強度を向上する,しかし、0.1%未満ではこの効果が不十分であり、また0.7%を超えると金属間化合物の粗大化により電解エッチングによる粗面の均一性を害する傾向にあるので、0.1〜0.7%の範囲とする。望ましいFeの含有量は、0.2〜0.5%である。
【0020】
<Si:0.02〜0.20%>
SiはAl−Fe−Si系の金属間化合物を形成し、熱間圧延時の再結晶粒の微細化を促す。0.02%未満ではこの効果が不足して粗大な結晶粒が生じてしまい、電解エッチングによる粗面の均一性を咀害したり、ストリークと呼ばれる軽い未エッチング部を生じさせる。一方、0.20%を超えると、Al−Fe−Si系の金属間化合物が粗大化し、電解エッチングによる粗面の均一性を阻害する。したがって、Siは0.02〜0.20%とした。望ましいSiの含有量は、0.04〜0.08%である。
【0021】
<Ce+La+Nd:0.005〜0.2%>
希土類元素は、上記Al−Fe系金属間化合物に取り込まれて、Al−Fe−X系金属間化合物(X=希土類元素の1種又は2種以上)の晶・析出物が形成される。これらの金属間化合物の晶・析出物は、電解エッチングした際のカソード反応性をより向上させて、溶解均一性を向上させる。しかし、含有量が0.005%未満ではその効果が十分に得られなく、一方、0.2%を越えると粗大なAl−Fe系金属間化合物を形成してしまい、エッチングは不均一化してしまう。ちなみに、より望ましい希土類元素の含有量は、0.01〜0.08%である。
【0022】
なお、希土類元素としては、ランタノイド元素の1種又は2種以上を適宜使用することができるが、本発明においてはCe、La、Ndの1種又は2種以上を用いることが望ましい。また、これらCe、La、Ndは、それぞれの純金属を上記条件を満たすようにアルミニウムに添加すればよい。ただし、本発明はこの純金属添加の方法によらずに、Ce、La、Ndの混合物として産出される、いわゆるMlSCHMETAL(ミッシユメタル)を添加する方法により、上記条件を満たす・ようにしてもよい。これは、コスト的に有利な方法である。なお、MlSCHMETAL中には、Ce、La、Nd以外の金属元素として、数%程度のPrや極微量のPb、その他にPやSが含まれることがあるが、それらが含まれても本願i発明の効果を損なうものとはならない。
【0023】
<その他不純物元素>
本発明PS版用アルミニウム合金支持体においては、以上の元素以外に不純物元素が含まれるが、以下の範囲であれば本発明の目的を阻害しない。
Mg:0.02%以下 Zn:0.02%以下 Ti:0.03%以下
V:0.01%以下 B:0.002%以下
【0024】
次に、本発明PS版用アルミニウム合金支持体におけるAl−Fe系金属間化合物の寸法及び量について説明する。Al‐Fe系金属間化合物の寸法及び量は、鋳造条件(主に冷却速度)、鋳造後に行われる均質化処理、熱間及び冷間圧延条件(主に圧延率)に左右される。本発明では、本系アルミニウム合金で通常行われている均質化処理を省略することが効果的である。すなわち、均質化処理を行うとAl−Fe系金属問化合物がマトりクス内に均一に分散するという利点がある反面、粗大化してしまう傾向にある。そこで、本発明ではAl−Fe系金属間化合物の粗大化を防止して粗面の均一性向上を図ることが有効である。ただし、「均質化処理を行わない」ということはあくまでも、本発明をより有効なものとするための一つの手段であって、このことを本発明が特に義務づけるものではない。
【0025】
以下、上記Al−Fe−X系金属間化合物の晶・析出物が形成されることにより、電解エッチングの際の溶解均一性が向上する機構について説明する。上記各金属間化合物が晶・析出したアルミニウム材を、電解エッチングの一方の電極としこれに交流電源を接続すると、アルミニウム材はアノード及びカソードの両反応を呈示することになる。
まずアノード反応時には、
Al→Al3++3e‐・・・(1)
なる反応が進行し、アルミニウムが溶液中に溶出するとともに、電子が放出される。すなわち、エッチングの中心的反応である。
また、カソード反応時には、
2H+2e→H(gas)・・・(2)
なる反応が進行する。このとき、この(2)式における電子は、(1)式で放出された電子が充当されるものである。この(2)式の反応により、アルミニウム材表面には清浄作用が働くことになる。すなわち、Al(OH)等のスマットがアルミニウム材表面から効果的に除去されることになる。なお、このような清浄効果は、エッチングをより進行させるために有効なものである。
【0026】
さて、このような反応は、アルミニウム材表面に晶・析出した上記Al−Fe−X系金属間化合物を中心として行われるものである。というのは、これらの金属間化合物は、電流が流れやすいものとなっているからである。また、これらの金属間化合物においては、X(=希土類元素)が含まれていることにより、Xを含まない、例えばAl−Fe系の金属間化合物に比べても、より電流が流れやすい性質を備えている。
【0027】
ところで、一般にこのような金属間化合物における電流の流しやすさは、その金属間化合物の大きさに強く依存しており、それが大きいものほど電流が流れやすくなる。その結果、大きい晶・析出物となるAl−Fe系金属間化合物がある場合には、これを中心に上記式(1)(2)のような反応が進むことによって、最終的には不均一なエッチングとなる可能性がある。例えば、Xを含まないAlFe系等の金属間化合物においては、電流の流しやすさは、その金属問化合物の大きさにも強く依存してしまうため、最終的には不均一なエッチングとなる可能性が大きい。しかし、Xを含む金属間化合物においては、上述したように、本質的に「電流を流しやすい」性質を備えているため、当該性質がAl一Fe系金属間化合物の大きさに強く依存することがない。したがって、結果的にアルミニウム材表面のエッチングは均一に行われうることになるのである。
【0028】
以下本発明PS版用アルミニウム合金支持体に有効な製造上における検討事項について説明する。
<鋳造>
鋳造は、本発明PS版用アルミニウム合金支持体を製造する上で特に限定されるものではなく、例えばDC鋳造法等従来公知の鋳造法を適用することができる。
【0029】
<熱処理>
一般的には、鋳造により得られた鋳塊に450〜600℃の温度範囲における均質熱処理を施す。この均質熱処理によりFeの一部が固溶するとともに、Al−Fe系金属間化合物が均一微細に分散する。ただし、上述の通り本発明においては必ずしも必須の工程ではない。また、均質熱処理後、一旦鋳塊を冷却した後に次工程である熱間圧延のための均熱処理を行うこともできるが、均質熱処理から直に熱間圧延を行うこともできる。
【0030】
<熱間圧延>均質熱処理を経た後に熱間圧延を行う。熱間圧延は300〜600℃の温度範囲で行うのが適当である。600℃を超えると再結晶粒が粗大化して、粗面化処理によりストリークが発生しやすくなる。
【0031】
<冷問圧延>
熱間圧延後、冷間圧延を行う。この冷間圧延によりAl−Fe系の金属間化合物が分散して結晶組織が均一微細となる。この効果を得るためには、50%、望ましくは70%以上の減面率とすることが必要である。
【0032】
<焼鈍>
冷間圧延後に、適度な強度及び伸びを板材に付与することを主目的として焼鈍を行う。焼鈍は300〜600℃の温度範囲で行う。300℃未満では目的を達成することができず、600℃を超えると表面の酸化が著しくなり好ましくないからである。望ましい焼鈍温度は350〜500℃である。焼鈍は連続焼鈍炉、バッチ式焼鈍炉の何れであっても構わない。
【0033】
<仕上げ冷間圧延>
焼鈍後、再度冷間圧延を行う。この冷間圧延は、PS版用アルミニウム合金支持体に要求される硬さに調整、仕上げすることを目的とする。PS版用アルミニウム合金支持体に要求される硬さはH16であるので、これに適合するように圧下率を調整する。
【0034】
<表面処理>
仕上げ冷間圧延終了後、塩酸、硝酸等の電解液中に浸潰して電解エッチングによる粗面化処理を行う。粗面化処理は、画像部においては感光層との密着性、非画像部においては親水性及び保水性を向上させるために施される。粗面化処理を行った後に、陽極酸化処理を行って表面の耐摩耗性、親水性を向上させることもできる。
【0035】
【実施例】
以下本発明を実施例に基づき説明する。
表1に示す組成(wt.%)の合金スラブをDC鋳造法により得た。鋳造速度は30mm/min、スラブ厚は200mmである。このスラブを510℃に予備加熱して熱間圧延した後、焼鈍及び冷間圧延を施すことにより0.3m m厚の板状の供試材を得た。
【0036】
【表1】
Figure 0003604595
【0037】
得られた供試材を、50℃、10%水酸化ナトリウム水溶液中に30秒間浸漬、脱脂後、25℃、10%硝酸中に30秒間浸演するデスマット処理を施した。ついでこの供試材を25℃、1%硝酸中に浸漬し、60Hz、50A/dmの正弦波で交流電解エッチングし、次いで50℃、10%水酸化ナトリウム水溶液中に6秒間浸漬、25℃、10%硝酸中に30秒間浸漬するデスマット処理を順次施した後、乾燥した。
【0038】
乾燥後、粗面を走査型電子顕微鏡〈SEM)により500倍で0.0252mmを写真撮影をしてピットの均一性評価を行った。評価は、円相当径が5μmを超えるピットの合計面積が評価面積の5%未満のものを「○」、5%以上のものを「×」とした。
【0039】
結果を表1に併せて示すが、本願発明による実施例No.1〜No.3は、ピット均一性に優れ、電解エッチングによる粗面均一性に優れることがわかる。
【0040】
実施例No.1は、Ce+La+Ndの含有量を、0.011%としたものである。この含有量は、本発明の範囲、すなわち、<Ce+La+Nd:0.005〜0.2%>なる条件を満たすものであることが明らかである。また、Fe、Siの含有量は、それぞれ0.24%、0.06%とされ、本発明の各条件を満たすものとなっている。このような場合において、エッチングの均一性は良好であることがわかる。すなわち、供試材表面においては、円相当径が5μmを越えるピットの合計面積が評価面積の5%以下であって、当該評価面において均一にエッチングされた。
【0041】
また、実施例No.2及び実施例No.3は、それぞれCe+La+Ndの含有量を、0.026%、0.180%としたものである。これらの含有量も本発明の条件を満たすことは明らかである。また、Fe、Siの条件は実施例No.1と同様である。このような場合についても、エッチングの均一性は良好であることがわかる。
【0042】
これに対し、比較例No.1においては、Ce+La+Ndを含まないものとしている。ちなみに、表1における「tr.」なる記号は、本発明の各元素がわずかにのみ含まれていることを示している。これはしたがって、本発明の条件を満たすものではない。また、その他のFe、Siの含有量については、それぞれ0.25%、0.06%とされており、本発明の各条件を満たしている。この場合、表1からわかるとおり、エッチングの均一性は良好であるとはいえなくなっている。
【0043】
また比較例No.2においては、Ce+La+Ndの含有量は0.022%となっており、本発明の条件を満たしている。しかし、Feの含有量が0.75%となっており、本発明における当該Feに関する条件、すなわちくFe:0.1〜0.7%>を満たすものとなっていない。ちなみにSiは比較例No.1と同様である。この場合においては、表1から明らかなとおり、エッチングの均一性は好ましい状態とはなっていない。すなわち、Ce、La、Ndに限らず、その他の元素においても、そのそれぞれにおける本発明の各条件を満たす必要があることがわかる。
【0044】
さらに、比較例No.3においては、Ce+La+Ndの含有量を0.240%としており、これは本発明の条件を上に外したものとなっている。その他のFe、Siの含有量については、それぞれ0.25%、0.11%としており、本発明の各条件を満たしている。この場合においては、エッチング均一性は好ましいものとなっていないことがわかる。これは、上述したように、粗大な金属間化合物が形成されたことにより、エッチングが不均一なものとなったことによるものと考えられる。
【0045】
【発明の効果】
以上説明のように、本発明は、重量%で、Fe:0.1〜0.7%、Si:0.02〜0.2%、Ce、La、Ndを代表とする希土類元素を0.05〜0.2%、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成となることを特徴とするPS版用アルミニウム合金支持体としたので、電解エッチングによる粗面を従来の支持体より均一に形成することができる。
【0046】
また、本発明のPS版用アルミニウム支持体においては、その組織形態を、重量%で、Fe:0.1〜0.7%、Si:0.02〜0.2%、希土類元素の1種又は2種以上を0.005〜0.2%、残部がAl及び不可避的不純物を有するアルミニウム材において、Al−Fe−X系金属間化合物(ただし、Xは希土類元素の1種又は2種以上)を分散させたものとしているが、これについても上述した効果を享受することができる。
【0047】
さらに、本発明のPS版用アルミニウム支持体の製造方法においては、上述したように、均質熱処理を行わないから、晶出又は析出する金属間化合物の粗大化を防止することができる。このことにより、大きい金属間化合物において電解エッチングが進むことによって当該エッチングが不均一に実施されることを回避することができる。すなわち、均一な電解エッチング実施に大きく貢献することとなる。

Claims (7)

  1. 重量%で、Fe:0.1〜0.7%、Si:0.02〜0.2%、希土類元素の1種又は2種以上を0.005〜0.2%、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成となることを特徴とするPS版用アルミニウム合金支持体。
  2. 前記希土類元素がCe、La、Ndのうちの1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1記載のPS版用アルミニウム合金支持体。
  3. 前記希土類元素の含有量が0.01〜0.08%であることを特徴とする請求項1又は2記載のPS版用アルミニウム合金支持体。
  4. 重量%で、Fe:0.1〜0.7%、Si:0.02〜0.2%、希土類元素の1種又は2種以上を0.005〜0.2%、残部がAl及び不可避的不純物を有するアルミニウム材において、当該アルミニウム材は、Al−Fe−X系金属間化合物(ただし、Xは希土類元素の1種又は2種以上)を分散させた組織形態を有することを特徴とするPS版用アルミニウム合金支持体。
  5. 前記希土類元素がCe、La、Ndのうちのl種又は2種以上であることを特徴とする請求項4記載のPS版用アルミニウム合金支持体。
  6. 前記Al−Fe−X系金属間化合物の平均粒径が3μm以下であることを特徴とする請求項4又は5記載のPS版用アルミニウム合金支持体。
  7. 重量%で、Fe:0.1〜0.7%、Si:0.02〜0.2%、希土類元素の1種又は2種以上を0.005〜0.2%、残部がAl及び不可避的不純物からなる組成の鋳塊を得、その後均質熱処理を施さない状態で熱間圧延を行い、次いで冷間圧延及び中間焼鈍を施し、そして仕上げ冷問圧延を行うことを特徴とするPS版用アルミニウム合金支持体の製造方法。
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