JP2001191654A - Ps版支持体用アルミニウム合金溶湯圧延板の製造方法およびps版支持体用アルミニウム合金溶湯圧延板 - Google Patents

Ps版支持体用アルミニウム合金溶湯圧延板の製造方法およびps版支持体用アルミニウム合金溶湯圧延板

Info

Publication number
JP2001191654A
JP2001191654A JP2000001379A JP2000001379A JP2001191654A JP 2001191654 A JP2001191654 A JP 2001191654A JP 2000001379 A JP2000001379 A JP 2000001379A JP 2000001379 A JP2000001379 A JP 2000001379A JP 2001191654 A JP2001191654 A JP 2001191654A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molten metal
plate
rolled
aluminum alloy
rolling
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000001379A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3582819B2 (ja
Inventor
Toshiki Muramatsu
俊樹 村松
Kazutoshi Kubota
和利 久保田
Hirokazu Sawada
宏和 澤田
Akio Uesugi
彰男 上杉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sky Aluminium Co Ltd
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Sky Aluminium Co Ltd
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sky Aluminium Co Ltd, Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Sky Aluminium Co Ltd
Priority to JP2000001379A priority Critical patent/JP3582819B2/ja
Publication of JP2001191654A publication Critical patent/JP2001191654A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3582819B2 publication Critical patent/JP3582819B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)
  • Continuous Casting (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 PS版用アルミニウム合金支持体の製造にあ
たって低コストの溶湯圧延法を適用することが可能とな
るようにするため、黒スジ欠陥およびストリークの発生
を招かないように溶湯圧延を行なう方法を提供する。 【解決手段】 請求項1:Fe0.05〜1.0%、C
u0.002〜0.03%、Si0.25%以下、Ti
0.0025〜0.01%、B0.0001〜0.00
04%を含有するAl合金溶湯を、溶湯圧延法により2
〜10mmの厚みに溶湯圧延して、溶湯圧延上りの状態
での表面の板幅方向の平均結晶粒径を200μm以下に
調整する。 請求項2:Fe、Cu、Si量が前記同様
でかつTi0.01%以下、B0.0001%未満のA
l合金溶湯を、2〜10mm厚に溶湯圧延し、かつ溶湯
圧延上りの状態で少なくとも板表面が再結晶するように
制御して、表面の板幅方向の平均結晶粒径を200μm
以下に調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はオフセット印刷も
しくは平版印刷の印刷版、すなわちPS版に使用される
アルミニウム合金支持体向けの溶湯圧延板を製造する方
法に関するものであり、特に電気化学的粗面化処理およ
び陽極酸化処理を施した場合でも表面外観品質が良好な
PS版を得ることができる溶湯圧延板の製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】一般にオフセット印刷版や平版印刷版と
しては、アルミニウム合金板からなる支持体の表面に粗
面化処理(グレイニング処理)を施した後、必要に応じ
て陽極酸化処理などの表面処理を施し、さらに感光性塗
料を塗布、乾燥させて所謂PS版としたものが知られて
おり、これを実際に印刷に使用するにあたっては、PS
版上に画像露光、現像、ガム引き等の製版処理を施すの
が通常である。このような製版処理の過程において、現
像処理により未溶解で残留した感光層は画像部を形成
し、一方感光層が除去されてその下のアルミニウム表面
が露出した部分は、親水性のため水受容部となって非画
像部を形成する。
【0003】ところでこのようなPS版用アルミニウム
合金支持体としては、一般に印刷版支持体として充分な
強度を有すること、また印刷精度を損なわない寸法精度
と平面性を有すること、粗面化処理において均一な粗面
を容易に形成できること、さらに商品として表面外観が
美麗であることなどが求められる。そしてこのようなP
S版用支持体のアルミニウム合金板としては、従来はJ
IS A1050,JSI A1100,JIS A3
003等からなる板厚0.1〜0.5mm程度のアルミ
ニウム合金圧延板が使用されている。またこのようなア
ルミニウム合金圧延板に対する粗面化処理としては、機
械的方法、化学的方法、電気化学的方法のうちいずれか
1種、または2種以上の組合わせが考えられているが、
一般には電気化学的粗面化処理(電解エッチング)が適
用されることが多く、また粗面化処理後には陽極酸化処
理を施すのが通常である。
【0004】ここで、電解エッチング等のエッチングが
施されるアルミニウム合金板の表面の組織が不均一であ
れば、エッチングを施した板の表面にストリークと称さ
れる筋状の外観欠陥が生じることがあるから、表面外観
品質が良好なPS版用アルミニウム合金支持体を得るた
めには、表面組織が均一に微細となっていることが必要
である。またもちろん電気化学的粗面化処理によって容
易に均一な粗面が得られること、すなわち粗面化処理性
(グレイニング処理性)が良好であることも必要であ
る。このような厳しい要求を満たすため、従来のPS版
用のアルミニウム合金支持体の製造方法としては、アル
ミニウム合金溶湯をDC鋳造法(半連続鋳造法)によっ
て厚みが400〜700mm程度のスラブに鋳造し、得
られたスラブ鋳塊に均質化処理を施した後、面削し、さ
らに加熱処理を行なってから熱間圧延し、その後冷間圧
延、中間焼鈍、最終冷間圧延を施して所要の板厚に仕上
げるのが通常であった。
【0005】ところで一般にアルミニウム合金板の製造
方法としては、前述のようにアルミニウム合金溶湯を4
00〜700mm程度の厚みのスラブにDC鋳造してか
ら熱間圧延、冷間圧延等の工程を経て所要の板厚に仕上
げる方法のほか、溶湯から数ミリ程度の厚みに直接溶湯
圧延する方法が知られている。この溶湯圧延法は、連続
鋳造圧延法とも称されているが、このような溶湯圧延法
を適用すれば、DC鋳造を行なってスラブを圧延する方
法の場合とは異なり、面削工程や均質化処理工程、熱間
圧延前の加熱処理工程、熱間圧延工程等を省くことがで
きるため、製造コストを格段に引下げることができる。
そこで最近では、PS版用アルミニウム合金支持体の製
造にあたっても、その製造コストを安価にするため、溶
湯圧延法を適用することが考えられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】PS版用アルミニウム
合金支持体の製造に溶湯圧延法を適用した場合のメリッ
トとしては、前述の如く製造コストが低コスト化される
ことのほか、急速凝固によってFe固溶量の多い板を製
造できることが挙げられる。Fe固溶量が増加すれば、
冷間圧延における加工硬化量が大きくなるため、強度を
高めることが可能となるが、一般にPS版支持体の強度
を高めれば、輪転機の高速化など、取り扱いやすさを向
上させることができる。またFe固溶量が増加すれば、
焼鈍軟化が遅れるため、耐刷性向上のために通常適用さ
れているバーニング処理(200〜300℃での短時間
加熱処理)における強度低下が小さくなり、腰の強い印
刷版を得ることが可能となる。
【0007】一方、PS版用アルミニウム合金支持体の
製造に溶湯圧延法を適用した場合には、次のような問題
が生じることが本発明者等の実験により判明した。すな
わち、先ず第1には、鋳造方向もしくは圧延方向に対し
て直角な方向に周期的なむら、すなわち所謂リップル模
様が生じる場合があることであり、また第2には、形状
精度が不安定となりやすいことであり、さらに第3に
は、電気化学的粗面化処理および陽極酸化処理を施した
時に、表面に細長い黒スジ状の模様、すなわち所謂黒ス
ジ欠陥が生じやすいことである。
【0008】これらの問題点のうち、先ず第1のリップ
ル模様および第2の形状精度の点については、現状では
ある程度解決することが可能である。すなわち、リップ
ル模様の発生原因としては、溶湯圧延法の主流となって
いる双ロール方式の溶湯圧延法の場合は、ロールへの溶
湯接触位置の周期的変動が考えらるが、このような双ロ
ール方式の溶湯圧延の場合は、ノズル位置、ノズル形
状、湯溜め部を低ヘッドに保持しての安定した溶湯供給
を図るとともに、鋳込み速度、鋳込み温度等の鋳込み条
件を適切に設定することによって、リップル模様をある
程度軽減することが可能であり、そのため最終板厚まで
圧延した段階では、溶湯圧延板で生じていたリップル模
様がほとんど問題ならない程度とすることができる。ま
た形状精度についても、近年の連続鋳造圧延機の改良に
伴なって、板幅1500mm以上の広幅材でも板クラウ
ン率が1.5〜0.5%程度に過ぎない溶湯圧延板を製
造し得るようになっており、その場合は実用上ほとんど
問題とならない。
【0009】一方、第3の問題点である黒スジ欠陥につ
いては、その黒スジ欠陥が電気化学的粗面化処理や陽極
酸化処理を経て初めて出現するため、その発生原因を明
確に把握することが困難であり、それに伴なって適切な
対策を施すのが困難であって、現状でも未だ解決され得
ない重要な問題となっている。
【0010】この発明は以上の事情を背景としてなされ
たもので、溶湯圧延法を適用してPS版用アルミニウム
合金支持体を製造するにあたって、電気化学的粗面化処
理、陽極酸化処理を施した後の表面に黒スジ欠陥が生じ
ることを確実に防止できるとともに、そのほかのストリ
ーク等の外観表面欠陥が生じないような表面外観品質が
優れたPS版用アルミニウム合金支持体を得ることがで
き、またそのほかのPS版用アルミニウム合金支持体に
要求される特性をも充分に満たし得るPS版支持体向け
のアルミニウム合金溶湯圧延板を提供することを目的と
するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
め、本発明者等は溶湯圧延法を適用してPS版支持体用
アルミニウム合金板を製造した場合の黒スジ欠陥の発生
状況、発生原因について鋭意実験・検討を重ねたとこ
ろ、次のような新規な知見を得た。
【0012】黒スジ欠陥は、既に述べたように電気化学
的粗面化処理に続いて陽極酸化処理を施したときに、全
体的に光沢のない灰明色のPS版表面に長さ1〜2m
m、幅0.1〜0.2mm程度の黒スジとして現れるも
のであるが、このような黒スジ欠陥について本発明者等
がSEM(走査型電子顕微鏡)による観察を行なったと
ころ、黒スジ部分は、正常な部位と比較してエッチング
が深くて平坦な部分が少なく、それに加えて直径が数μ
mの粒子が分散していることが判明した。さらにEPM
A(電子プローブ解析)による調査を行なった結果、こ
れらの粒子は主にTiとBから構成されていること、し
たがってTi−B系化合物(主としてTiB2 )からな
るものであることが判明した。
【0013】ところで一般にアルミニウム合金のDC鋳
造においては、Ti、Bを鋳塊結晶粒微細化のために添
加することが多く、PS版用アルミニウム合金支持体製
造のためのDC鋳造の場合にも、Al−Ti−B母合金
を用いてTiを0.01%〜0.50%程度、Bを0.
0008%〜0.02%程度添加するのが通常である。
一方、溶湯圧延法を適用してPS版アルミニウム合金支
持体を製造する場合も、通常はDC鋳造法を適用した場
合と同程度のTi、Bを結晶粒微細化剤として添加する
ことが考えられ、実際本発明者等の実験でもDC鋳造の
場合と同程度のTi、Bを添加して溶湯圧延を行なって
いた。
【0014】このような事実および前述の調査結果か
ら、溶湯圧延法を適用してPS版用支持体を製造した場
合の黒スジ欠陥の発生原因は次のように考えられる。す
なわち、結晶粒微細化剤としてのTi、Bの添加量が不
適切であったり、溶湯の濾過が不充分であってTi−B
系化合物の凝集物が溶湯圧延板中に鋳込まれ、その後の
冷間圧延工程でTi−B系化合物凝集物が破砕されて圧
延方向に沿って粒子が分散し、そのTi−B粒子が圧延
方向に沿ってスジ状に分散した部位が、電解エッチング
時に通常の部位と異なるエッチング特性を示す結果、黒
スジ状の欠陥となると推測される。
【0015】したがって黒スジ欠陥自体の解消のために
は、結晶粒微細化剤として添加するTi、Bの量を減ら
すことによって、Ti−B系化合物粒子の凝集を防止す
れば良いと考えられる。しかしながら、不用意に結晶粒
微細化剤としてのTi、Bの添加量を減らせば、結晶粒
が粗大化して、前述のようなストリークが発生してしま
うおそれがある。
【0016】一方黒スジ欠陥を解消するための別の方法
としては、溶湯圧延板の板厚を大きくし、その後の冷間
圧延における圧下率を高めることが考えられる。このよ
うに溶湯圧延板に対する冷間圧延での圧下率を高めれ
ば、粒大に凝集した粒子を微細に破砕して、エッチング
むらが目立たないレベルの粒子分散を達成して、黒スジ
欠陥の発生をある程度軽減できると考えられる。実際、
DC鋳造法により得られた厚いスラブを圧延して製造し
たアルミニウム合金板の場合に、溶湯圧延法を適用して
得られたアルミニウム合金板ほど黒スジが問題とならな
いのは、熱間圧延および冷間圧延での圧下率が大きく、
そのため粗大な粒子も充分に微細化されて分散されるた
めと考えられる。しかしながら溶湯圧延法の場合、溶湯
圧延板の厚みを大きくしようとすれば、生産コストが嵩
み、溶湯圧延後の利点を損なってしまい、したがってこ
のように溶湯圧延板の厚みを大きくすることにより黒ス
ジ欠陥を解消しようとする対策は実用的ではない。
【0017】以上のような事情から、本発明者等がT
i、Bの添加量を抑えることによって黒スジ欠陥を解消
する方向でさらに実験・検討を重ねた結果、溶湯圧延法
を適用してPS版用アルミニウム合金支持体を製造する
にあたって、Ti、B量を適切に規制し、また溶湯圧延
時における再結晶を適切に制御して、溶湯圧延上りの状
態での組織状況を適切に規制することにより、ストリー
クの発生を招くことなく、黒スジ欠陥の発生を確実かつ
安定して防止し得ることを見出し、この発明をなすに至
ったのである。
【0018】具体的には、請求項1の発明のPS版支持
体用アルミニウム合金溶湯圧延板の製造方法は、Fe
0.05〜1.0%、Cu0.002〜0.03%、S
i0.25%以下、Ti0.0025〜0.01%、B
0.0001〜0.0004%を含有し、残部がAlお
よび不可避的不純物よりなるアルミニウム合金溶湯を、
溶湯圧延法により2mm以上10mm以下の厚みに溶湯
圧延して、溶湯圧延上りの状態での表面の板幅方向の平
均結晶粒径を200μm以下に調整することを特徴とす
るものである。
【0019】また請求項2の発明は、Fe0.05〜
1.0%、Cu0.002〜0.03%、Si0.25
%以下、Ti0.01%以下を含有し、かつBを不純物
として0.0001%未満に規制し、残部がAlおよび
その他の不可避的不純物よりなるアルミニウム合金溶湯
を、溶湯圧延法により2mm以上10mm以下の厚みに
溶湯圧延し、かつその溶湯圧延工程において、溶湯圧延
上りの状態で少なくとも板表面が再結晶状態となるよう
に制御して、溶湯圧延上りの状態で表面の板幅方向の平
均結晶粒径を200μm以下に調整することを特徴とす
るものである。
【0020】さらに請求項3の発明は、請求項2に記載
のPS版支持体用アルミニウム合金溶湯圧延板の製造方
法において、双ロール方式により一対の溶湯圧延用ロー
ル間でアルミニウム合金溶湯に圧下を加えつつ凝固させ
て溶湯圧延するにあたり、板厚方向の中央部分の凝固が
開始される位置が、一対の溶湯圧延ロールの中心間を結
ぶ直線よりも溶湯供給側に位置するように溶湯圧延する
ことによって、溶湯圧延上りの状態で少なくとも表面を
再結晶させて、表面の板幅方向の平均結晶粒が200μ
m以下の溶湯圧延板を得ることを特徴とするものであ
る。
【0021】また請求項4の発明のPS版支持体用アル
ミニウム合金溶湯圧延板は、請求項1〜請求項3に記載
のいずれかの方法によって得られたものである。
【0022】
【発明の実施の形態】先ずこの発明の溶湯圧延板におけ
る合金成分組成の限定理由を説明する。
【0023】Fe:Fe量が0.05%未満では表面処
理性が劣り、機械的特性も不足する。一方Fe量が1.
0%を越えれば、インク汚れ性が劣化し、粗面化処理後
の色調が黒味を帯び過ぎて好ましくない。したがってF
e量は0.05〜1.0%の範囲内とした。
【0024】Si:Siが0.25%を越えて含有され
れば粗面化処理後の色調が黒味を帯び過ぎ、また電気化
学的粗面化処理後の粗面の均一性が悪くなるとともにイ
ンク汚れ性も低下する。したがってSi量は、0.25
%以下に規制することとした。
【0025】Cu:Cuは表面処理性を改善するために
添加されるが、Cu量が0.002%未満ではその効果
が充分に得られず、一方0.03%を越えて含有されれ
ばインク汚れ性が低下する。したがってCu量は0.0
02〜0.03%の範囲内とした。
【0026】Ti:Tiは鋳塊の結晶粒を均一微細化す
るために効果的な元素であるが、Bとともに添加された
場合にはTi−B系化合物を生成し、黒スジ欠陥の発生
を招くおそれのある元素である。ここで、後述するよう
にストリークの発生を防止するためには、溶湯圧延上り
の状態で表面の結晶粒の板幅方向の平均結晶粒径が20
0μm以下となるように調整する必要があるが、溶湯圧
延上りの状態で少なくとも表面が再結晶状態となるよう
に溶湯圧延を制御しない場合(請求項1の発明の場合)
には、溶湯圧延上りで表面の板幅方向の平均結晶粒径2
00μm以下を達成するために結晶粒微細化剤として微
量のTiを添加する必要がある。但しTi量が0.00
25%未満では結晶粒微細化の効果が得られず、一方T
i量が0.10%を越えればその効果が飽和し、いたず
らにコスト上昇を招くばかりでなく、Bとともに添加さ
れれば黒スジ欠陥の発生を助長するおそれがあるから、
Tiを積極添加する場合のTi量は0.0025〜0.
10%の範囲内とする必要がある。一方、溶湯圧延上り
の状態で少なくとも表面が再結晶状態となるように溶湯
圧延を制御する場合(請求項2の発明の場合)には、結
晶粒微細化剤としてのTiは積極的に添加しなくても良
いが、もちろんその場合でもより確実に表面の板幅方向
平均結晶粒径200μm以下を達成して、黒スジ欠陥発
生をより確実に防止するため、0.10%以下のTiを
添加することは許容される。
【0027】B:BはTiとともに添加することによっ
て、鋳塊の結晶粒を均一微細化するために効果的な元素
であるが、Tiとともに添加された場合にはTi−B系
化合物を生成し、黒スジ欠陥の発生を招くおそれが強い
元素である。ここで、溶湯圧延上りの状態で少なくとも
表面が再結晶状態となるように溶湯圧延を制御しない場
合(請求項1の発明の場合)には、溶湯圧延上りで表面
の結晶粒の板幅方向の平均結晶粒径200μm以下を達
成するために、結晶粒微細化剤として微量のBがTiと
ともに添加されても良い。但しB量が0.0001%未
満では結晶粒微細化の効果が得られず、一方B量が0.
0004%を越えれば、フィルタによって溶湯を濾過し
てもTi−B系化合物の粗大凝集を防ぐことが困難とな
り、黒スジ欠陥の発生を招くおそれがあるから、BをT
iとともに積極添加する場合のB量は0.0001〜
0.0004%の範囲内とする必要がある。一方、溶湯
圧延上りの状態で少なくとも表面が再結晶状態となるよ
うに溶湯圧延を制御する場合(請求項2の発明の場合)
には、結晶粒微細化剤としてのBの添加は不要であり、
したがって黒スジ欠陥発生をより確実に防止するため、
Bは不純物として0.0001%未満に規制することと
した。
【0028】以上の各元素のほかは、基本的にはAlお
よび不可避的不純物とすれば良い。なお不純物として
は、JIS 1050相当の不純物量(Mn0.05%
以下、Mg0.05%以下、Zn0.05%以下、その
他合計で0.05%以下)程度であれば、PS版支持体
用アルミニウム合金としてその特性を損なうことはな
い。
【0029】次にこの発明のPS版支持体用アルミニウ
ム合金溶湯圧延板の製造プロセスについて説明する。
【0030】先ず前述のような成分組成の合金を一般的
な手法により溶製する。得られた溶湯は直ちに溶湯圧延
に供しても良いが、通常はフィルタにより溶湯濾過を行
なってから溶湯圧延に供することが望ましい。溶湯濾過
は、Ti−B系化合物の粗大凝集物を除去して、黒スジ
欠陥の発生を防止するとともに、その他の介在物を除去
して、介在物による表面外観不良の発生を防止するため
に有効であり、そのためには30〜40ppi程度のメ
ッシュのフィルタを用いて溶湯濾過を行なうことが望ま
しい。なお結晶粒微細化剤としてAl−Ti−B母合金
を溶湯に添加する場合、その添加は濾過の前に行なうこ
とが望ましいが、介在物の少ない結晶粒微細化剤を用い
る場合や、結晶粒微細化剤の添加量が少ない場合には、
濾過後に結晶粒微細化剤を添加しても良い。
【0031】溶湯圧延を行なうための連続鋳造圧延機と
しては、双ロール方式、片ロール方式、キャタピラ方式
等種々のものがあるが、最も一般的なものは双ロール方
式の連続鋳造圧延機であり、この発明の場合も双ロール
方式の連続鋳造圧延機を用いることが好ましい。双ロー
ル方式の連続鋳造圧延機は、ノズルを介して一対の冷却
ロール(通常は水冷ロール)の間にアルミニウム合金溶
湯を流入させ、その冷却ロールによって溶湯を冷却して
凝固させると同時に、一対の冷却ロールによって圧下を
加えて、溶湯圧延を行なうものである。また双ロール方
式の発展形式として、前述の一対の冷却ロールの前方に
さらに一対以上の圧延ロールを設けておいて、冷却ロー
ルから出た板を圧延ロールにより直ちに圧延する方式、
すなわちタンデム方式により溶湯圧延を行なう連続鋳造
圧延機もあり、このようなタンデム方式も適用できるこ
とはもちろんである。なおここで、一対の冷却ロール間
へ溶湯を供給するためのノズルとしては、カーボン、窒
化ホウ素などの離型材を塗布した耐火材を使用するのが
通常であり、また溶湯圧延時には冷却ロールの表面にグ
ラファイトを含む液を潤滑材として吹付けるのが通常で
ある。
【0032】溶湯圧延を行なうにあたってのアルミニウ
ム合金溶湯温度(鋳込み温度)は、連続鋳造圧延機の種
類や溶湯圧延条件等によっても異なるが、通常は680
〜730℃程度が好ましい。またこの溶湯圧延は、溶湯
圧延後の上り板厚が2mm〜10mmの範囲内となるよ
うに行なう必要がある。上り板厚が2mm未満では、表
面性状が良好でかつ反りや曲がり等のないプロフィール
の良好な板を得ることが困難となる。一方上り板厚が1
0mmを越えれば板をコイルに巻取ることが困難とな
り、また板厚が増大すれば最終的にPS版用支持体の板
に仕上げるための冷間圧延の圧延パス数を増加させる必
要が生じ、低コストという溶湯圧延法の利点が薄められ
てしまう。
【0033】さらにこの発明では、溶湯圧延上りの板の
表面における結晶粒の板幅方向の平均結晶粒径を200
μm以下に制御することが必要である。溶湯圧延上りの
板の表面の結晶粒の板幅方向の平均結晶粒径が200μ
mを越えれば、その後の冷間圧延中途での中間焼鈍によ
る再結晶粒が微細となっても、もとの母結晶粒の影響に
よって母結晶粒と方位が近い再結晶粒が形成され、その
ため電気化学的粗面化処理(電解エッチング)によって
母結晶粒に近い形状、寸法で同じようにエッチングがな
され、その結果母結晶粒相当のサイズで外観上筋状に見
える表面外観不良、すなわちストリークが生じてしまう
おそれがある。したがって溶湯圧延上りの状態で板幅方
向の平均結晶粒径を200μm以下とする必要がある。
なおここで溶湯圧延上りの状態とは、前述のようなタン
デム式の連続鋳造圧延機を用いた場合には、最終段の圧
延ロールを出た後の状態を称していることはもちろんで
ある。
【0034】上述のように溶湯圧延上りの状態で板表面
の結晶粒の板幅方向の平均結晶粒径を200μm以下と
するための具体的方法としては、請求項1において規定
するように、溶湯に結晶粒微細化剤としてのTi、Bを
積極添加して、凝固時の結晶粒を微細にする方法があ
る。但し、この場合、既に述べたように電気化学的粗面
化処理および陽極酸化処理後の黒スジ欠陥の発生を防止
するため、Ti、Bの添加量、特にBの添加量を最小限
に抑えることとしている。
【0035】一方、凝固時の結晶粒径が200μmを越
えていても、溶湯圧延時の圧下による歪と熱により、溶
湯圧延板の少なくとも表面を再結晶させれば、溶湯圧延
上りの状態で表面の結晶粒の板幅方向の平均結晶粒径2
00μm以下を達成することが可能であり、これを規定
したのが請求項2である。ここで、図1に示すように1
対の冷却ロール1A,1B間に溶湯3を連続的に供給し
てその冷却ロール1A,1Bからの冷熱により溶湯3を
凝固させると同時に冷却ロール1A,1Bにより圧下を
加えて溶湯圧延板5を得る双ロール方式の連続鋳造圧延
機を用いる場合、溶湯圧延上りで少なくとも表面を再結
晶させるためには、板厚中心部の凝固が開始されるポイ
ント7が冷却ロール1A,1Bの中心間を結ぶ直線9よ
りも溶湯供給側となるように設定すれば良く、このよう
にすれば中心部まで凝固を開始した溶湯圧延板5に冷却
ロール1A,1B間で歪が加わって、その歪と残留熱と
によって再結晶を開始させ、少なくとも表面が微細に再
結晶して表面の板幅方向平均結晶粒径が200μm以下
の溶湯圧延板を得ることが可能となる。またタンデム方
式の連続鋳造圧延機を使用する場合には、最初の冷却ロ
ール間で溶湯が板厚方向中心部まで凝固を開始していな
くても、後段の圧延ロールに達するまでの間に中心部ま
での凝固を開始させておけば、後段の圧延ロールにより
加えられる歪と残留熱とによって少なくとも表面を再結
晶させ、板幅方向平均結晶粒径200μm以下の溶湯圧
延板を得ることが可能となる。
【0036】以上のようにして得られた溶湯圧延板をP
S版用支持体として必要な板厚、強度(調質度)まで仕
上げるためには、溶湯圧延版に対しさらに冷間圧延を行
なって中間板厚とし、その中間板厚で再結晶のために中
間焼鈍を行ない、その後最終冷間圧延を行なって、板厚
0.1〜0.5mm程度、調質度H16〜H18程度に
仕上げるのが一般的である。ここで、中間焼鈍はバッチ
式焼鈍炉、連続焼鈍炉(CAL)のいずれで行なっても
良いが、再結晶粒をより微細にするためには、連続焼鈍
炉を用いることが望ましい。このように連続焼鈍で中間
焼鈍を施す場合、450〜550℃に加熱して保持なし
もしくは5分以下の保持とすることが好ましい。なお場
合によっては、溶湯圧延板に対して直ちに再結晶のため
の焼鈍を施し、その後、最終板厚まで冷間圧延しても良
い。
【0037】最終冷間圧延後は、トリミングやレベリン
グを行ない、PS版用支持体として要求される寸法、形
状、強度に仕上げれば良い。
【0038】上述のようにして得られたPS版支持体用
アルミニウム合金板をPS版支持体とするためには、さ
らに粗面化処理(グレイニング処理)、陽極酸化処理を
行なう。
【0039】粗面化処理としては、一般に機械的粗面化
処理、化学的粗面化処理(化学エッチング)、電気化学
的粗面化処理(電解エッチング)が知られているが、こ
の発明の場合、電解エッチングを適用することが望まし
く、またこの発明では主として電解エッチングおよび陽
極酸化処理を施した場合に生じがちな黒スジ欠陥の発生
の防止を大きな目的としているから、その意味からも電
解エッチングを適用することが適当である。ここで、電
解エッチングとしては、2〜40g/lの塩酸を含有す
る水溶液または硝酸を2〜40g/l含有する水溶液中
で20〜70℃の温度で電解処理する方法が一般的であ
り、この場合電解液中にこれらの酸のアルミニウム塩や
無機酸、アミン、カルボン酸などを含有させてもよい。
この電解エッチングに用いる電流波形は、商用交流、正
弦波交流、矩形波、台形波などが用いられ、また電流密
度は10〜100A/mm2 の範囲内が好ましい。電解
エッチングによる粗面形状は電解液組成、温度、電流密
度、電解波形、電気量、電解液流速などの諸条件を制御
することによって調整でき、したがってこれらの諸条件
を適切にコントロールすることにより、所望の印刷特性
を容易に得ることができるが、一般には粗面の平均粗さ
0.3〜1.0μm、ピット径0.1〜10μmを目標
とすることが好ましい。
【0040】なお電解エッチングとその他の粗面化処理
方法(例えば機械的粗面化処理や化学的粗面化処理)と
を組合せても良いことはもちろんである。
【0041】上述のようにして粗面化処理を施した後に
は、通常は板をアルカリ溶液に浸漬させてデスマット処
理を行ない、その後に陽極酸化処理を施すことが望まし
い。
【0042】陽極酸化処理は、周知の方法によって行な
えば良く、一般には硫酸、リン酸、シュウ酸、クロム
酸、アミドスルホン酸などにアルミニウム塩を含有させ
た電解液中で、直流、交流、交直重畳電流、直流パルス
などを用いて、陽極酸化皮膜重量が0.1〜10.0g
/m2 となるように行なえば良い。具体的な陽極酸化処
理条件は電解液等によって異なるが、一般には電解液濃
度1〜80mass%、液温5〜70℃、電流密度0.
5〜60A/dm2 、電圧1〜100V、電解時間1秒
〜5分で行なうことが好ましい。
【0043】以上のようにして得られたPS版支持体用
アルミニウム合金板をPS版に仕上げるにあたっては、
常法に従って感光層、または中間層と感光層を塗布して
乾燥させれば良い。
【0044】
【実施例】以下にこの発明の実施例を示す。なお実施例
1には請求項1の発明についての実施例およびそれに対
する比較例を示し、実施例2には請求項2の発明につい
ての実施例およびそれに対する比較例を示す。
【0045】実施例1 表1に示す成分組成の各アルミニウム合金A〜Eについ
て、双ロール方式の連続鋳造圧延機を用い、常法に従っ
て溶湯圧延を行なって、板厚6mmの溶湯圧延板を製造
した。なお結晶粒微細化剤として、Al−5%Ti−
0.2%B合金を溶湯に添加し、添加後にフィルタによ
り濾過してから溶湯圧延に供した。
【0046】溶湯圧延後、各溶湯圧延板の表面の組織観
察より結晶粒の板幅方向の平均粒径を調査したので、そ
の結果を表2に示す。なおこの調査は、溶湯圧延板の表
面を研磨し、パーカー氏液でエッチングした後、結晶粒
を偏光顕微鏡で観察し、切断法により板幅方向の結晶粒
の平均寸法を求め、その結果を表2中に示した。
【0047】さらに、上述のようにして得られた溶湯圧
延板について、厚さ1.0mmまで冷間圧延し、次いで
連続焼鈍炉で500℃×0secの焼鈍を行なった。続
いて厚さ0.30mmまで最終冷間圧延した。得られた
各圧延板について、先ず機械的粗面化処理として、バミ
ンストン/水25mass%の懸濁液中において回転ナ
イロンブラシを用いて表面粗さが0.6μmになるよう
にブラシグレイニング処理を施した。次いで表面を10
%苛性ソーダ水溶液中で50℃×1分間予備エッチング
し、続いて1%硝酸水溶液中で20A/mm2 の電流密
度で10秒間の電解エッチング(電気化学的粗面化処
理)を施した。引き続き、5%苛性ソーダ中で35℃×
10秒間のデスマット処理を行なった後、30%硫酸中
で50℃×20秒間中和処理した。さらにその表面に1
5%硫酸水溶液を用いて陽極酸化処理を施し、厚さ約
0.7μmの陽極酸化皮膜を生成させた。
【0048】上述のようにして陽極酸化処理が施された
状態の板表面の外観を観察し、ストリークおよび黒スジ
欠陥の発生状況を調べたので、その結果を表3に示す。
【0049】ここで、ストリークについては、目視で判
断して、表面の筋目の強いものを×、筋目が弱く目立た
ないものを○とした。また黒スジ欠陥についても、目視
で判断して、黒スジがないものを○、あるものを×とし
た。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】表1〜表3において、合金A,B,Cはい
ずれも請求項1の発明で規定する成分組成範囲内の発明
合金であり、また溶湯圧延板における表面の結晶粒の板
幅方向の平均結晶粒径も200μm以下の条件を満たし
ている。これらの発明合金A〜Cを用いた例では、いず
れも黒スジ欠陥およびストリークの発生を防止すること
ができた。
【0054】一方、合金D,Eは、B添加量がこの発明
で規定する上限を越えた比較合金であり、これらの比較
合金D,Eを用いた場合、B添加量が過剰であるために
黒スジ欠陥が現れてしまった。但し、これらの比較合金
D,Eでは、溶湯圧延板表面の結晶粒は微細であり、そ
のためストリークの発生は回避することができた。
【0055】実施例2 表4に示す成分組成の各アルミニウム合金F〜Gについ
て、双ロール方式の連続鋳造圧延機を用いて溶湯圧延を
行ない、板厚6mmの溶湯圧延板を製造した。ここで、
結晶粒微細化剤としてはAl−5%Ti合金を使用し、
添加後にフィルタにより溶湯を濾過してから溶湯圧延に
供した。なおBは積極添加しなかった。また溶湯圧延に
おいては、表5の製造方法No.1、No.2に示すよ
うに、板厚中心部の凝固開始位置が冷却ロールの中心間
を結ぶ直線に対し15mmだけ溶湯供給側、もしくは凝
固側に位置するように制御した。
【0056】溶湯圧延後、実施例1と同様に各溶湯圧延
板の表面の組織観察により結晶粒の板幅方向の平均粒径
を調べたので、その結果を表6に示す。さらに、各溶湯
圧延板に対し、実施例1と同様にして冷間圧延、中間焼
鈍、最終冷間圧延を施して、0.30mm厚の圧延板と
した。得られた圧延板について、実施例1と同様にブラ
シグレイニング処理、予備エッチング、電解エッチング
(電気化学的粗面化処理)、デスマット処理、中和処
理、陽極酸化処理を施し、陽極酸化処理後の板表面の外
観を観察し、ストリークおよび黒スジ欠陥の発生状況を
調べたので、その結果を表7に示す。
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】
【表6】
【0060】
【表7】
【0061】表4〜表7において、請求項2において規
定する成分組成範囲内の合金F,Gを用い、溶湯圧延に
おいて製造方法No.1を適用した本発明例の場合に
は、溶湯圧延上りの状態で表面が再結晶した状態とな
り、溶湯圧延板における板幅方向の平均結晶粒径200
μm以下の条件を満たすことができ、これらの例ではい
ずれも黒スジ欠陥およびストリークの発生を防止するこ
とができた。一方、請求項2で規定する成分組成範囲内
の合金F,Gを用いたが、溶湯圧延において製造方法N
o.2を適用した比較例の場合、溶湯圧延上りの状態で
再結晶が生じず、溶湯圧延板における板幅方向の平均結
晶粒径が200μmを大幅に越えてしまい、これらの例
では、黒スジ欠陥の発生は防止できたが、ストリークが
発生してしまった。さらに合金HはTi量、B量が過剰
な比較合金であるが、この場合は溶湯圧延において製造
方法No.1を適用することによって、溶湯圧延上りで
再結晶させて表面の板幅方向の平均結晶粒径を200μ
m以下としてストリークの発生を防止できたが、黒スジ
欠陥が生じてしまった。
【0062】
【発明の効果】この発明のPS版支持体用アルミニウム
合金溶湯圧延板の製造方法によれば、陽極酸化処理後に
黒スジ欠陥およびストリークのない表面外観品質の優れ
たPS版を得ることが可能となり、そのため生産性が高
くかつ製造コストの低い溶湯圧延法を実際にPS版支持
体用アルミニウム合金板の製造に適用して、良品質なP
S版を低コストで得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の方法を、双ロール方式の連続鋳造圧
延機を用いて実施するにあたっての溶湯圧延時の状況を
説明するための模式図である。
【符号の説明】
1A,1B 冷却ロール 3 溶湯 5 溶湯圧延板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久保田 和利 東京都墨田区錦糸1丁目2番1号 スカイ アルミニウム株式会社内 (72)発明者 澤田 宏和 静岡県榛原郡吉田町川尻4000番地 富士写 真フイルム株式会社内 (72)発明者 上杉 彰男 静岡県榛原郡吉田町川尻4000番地 富士写 真フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2H114 AA04 AA14 DA04 DA64 DA73 EA01 EA02 FA01 GA02 4E004 DA13 NC08 SD03 SE03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe0.05〜1.0%(質量%、以下
    同じ)、Cu0.002〜0.03%、Si0.25%
    以下、Ti0.0025〜0.01%、B0.0001
    〜0.0004%を含有し、残部がAlおよび不可避的
    不純物よりなるアルミニウム合金溶湯を、溶湯圧延法に
    より2mm以上10mm以下の厚みに溶湯圧延して、溶
    湯圧延上りの状態での表面の板幅方向の平均結晶粒径を
    200μm以下に調整することを特徴とする、PS版支
    持体用アルミニウム合金溶湯圧延板の製造方法。
  2. 【請求項2】 Fe0.05〜1.0%、Cu0.00
    2〜0.03%、Si0.25%以下、Ti0.01%
    以下を含有し、かつBを不純物として0.0001%未
    満に規制し、残部がAlおよびその他の不可避的不純物
    よりなるアルミニウム合金溶湯を、溶湯圧延法により2
    mm以上10mm以下の厚みに溶湯圧延し、かつその溶
    湯圧延工程において、溶湯圧延上りの状態で少なくとも
    板表面が再結晶状態となるように制御して、溶湯圧延上
    りの状態で表面の板幅方向の平均結晶粒径を200μm
    以下に調整することを特徴とする、PS版支持体用アル
    ミニウム合金溶湯圧延板の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のPS版支持体用アルミ
    ニウム合金溶湯圧延板の製造方法において、 双ロール方式により一対の溶湯圧延用ロール間でアルミ
    ニウム合金溶湯に圧下を加えつつ凝固させて溶湯圧延す
    るにあたり、板厚方向の中央部分の凝固が開始される位
    置が、一対の溶湯圧延ロールの中心間を結ぶ直線よりも
    溶湯供給側に位置するように溶湯圧延することによっ
    て、溶湯圧延上りの状態で少なくとも表面を再結晶させ
    て、表面の板幅方向の平均結晶粒が200μm以下の溶
    湯圧延板を得ることを特徴とする、PS版支持体用アル
    ミニウム合金溶湯圧延板の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜請求項3に記載のいずれかの
    方法によって得られたPS版支持体用アルミニウム合金
    溶湯圧延板。
JP2000001379A 2000-01-07 2000-01-07 Ps版支持体用アルミニウム合金溶湯圧延板の製造方法およびps版支持体用アルミニウム合金溶湯圧延板 Expired - Fee Related JP3582819B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000001379A JP3582819B2 (ja) 2000-01-07 2000-01-07 Ps版支持体用アルミニウム合金溶湯圧延板の製造方法およびps版支持体用アルミニウム合金溶湯圧延板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000001379A JP3582819B2 (ja) 2000-01-07 2000-01-07 Ps版支持体用アルミニウム合金溶湯圧延板の製造方法およびps版支持体用アルミニウム合金溶湯圧延板

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001191654A true JP2001191654A (ja) 2001-07-17
JP3582819B2 JP3582819B2 (ja) 2004-10-27

Family

ID=18530617

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000001379A Expired - Fee Related JP3582819B2 (ja) 2000-01-07 2000-01-07 Ps版支持体用アルミニウム合金溶湯圧延板の製造方法およびps版支持体用アルミニウム合金溶湯圧延板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3582819B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1442894A1 (en) * 2003-01-29 2004-08-04 Fuji Photo Film Co., Ltd. Support for lithographic printing plate and presensitized plate and method of treating presensitized plate
JP2009208082A (ja) * 2008-02-29 2009-09-17 Kobe Steel Ltd 平面性が優れたアルミニウム条材の製造方法
US9741978B2 (en) 2007-12-28 2017-08-22 Kobe Steel, Ltd. Pulse laser welding aluminum alloy material, and battery case
WO2021157683A1 (ja) 2020-02-06 2021-08-12 株式会社Uacj アルミニウム合金鋳塊及びその製造方法
CN114594736A (zh) * 2020-12-05 2022-06-07 上海梅山钢铁股份有限公司 一种铸坯氢氧切割智能控制方法
CN114594736B (zh) * 2020-12-05 2024-06-04 上海梅山钢铁股份有限公司 一种铸坯氢氧切割智能控制方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106311744B (zh) * 2016-08-18 2018-03-16 广西南南铝加工有限公司 一种减少铝卷表面黑条生产方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1442894A1 (en) * 2003-01-29 2004-08-04 Fuji Photo Film Co., Ltd. Support for lithographic printing plate and presensitized plate and method of treating presensitized plate
US9741978B2 (en) 2007-12-28 2017-08-22 Kobe Steel, Ltd. Pulse laser welding aluminum alloy material, and battery case
JP2009208082A (ja) * 2008-02-29 2009-09-17 Kobe Steel Ltd 平面性が優れたアルミニウム条材の製造方法
WO2021157683A1 (ja) 2020-02-06 2021-08-12 株式会社Uacj アルミニウム合金鋳塊及びその製造方法
CN114594736A (zh) * 2020-12-05 2022-06-07 上海梅山钢铁股份有限公司 一种铸坯氢氧切割智能控制方法
CN114594736B (zh) * 2020-12-05 2024-06-04 上海梅山钢铁股份有限公司 一种铸坯氢氧切割智能控制方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3582819B2 (ja) 2004-10-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0272528B1 (en) Method for making lithoplate
JP4607692B2 (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
US5711827A (en) Support for planographic printing plate and method for producing the same
US5507887A (en) Support for planographic printing plate
JP3582819B2 (ja) Ps版支持体用アルミニウム合金溶湯圧延板の製造方法およびps版支持体用アルミニウム合金溶湯圧延板
JP3549080B2 (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法及び製造装置
JP5908363B2 (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金板の製造方法
JP3177079B2 (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
US4902353A (en) Method for making lithoplate
US6194082B1 (en) Support for lithographic printing plate
JP3148057B2 (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
JP5495298B2 (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金板およびその製造方法
JPS6274693A (ja) オフセツト印刷用アルミニウム合金支持体
JP3700907B2 (ja) 平版印刷版用支持体
JP4714576B2 (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金板およびその製造方法
JP5116267B2 (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金板の製造方法
JPH11192537A (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
JP3662418B2 (ja) 平版印刷版用支持体
JPH0892679A (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金支持体
JPH10137904A (ja) 平版印刷版用支持体の製造方法
JP3781211B2 (ja) 平版印刷版用支持体及びその製造方法
JP2002129270A (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金素板およびその製造方法
JP4162376B2 (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金板の製造方法
JP2009030129A (ja) 平版印刷版用アルミニウム合金板およびその製造方法
JP2865270B2 (ja) 印刷版用アルミニウム合金板及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040202

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040420

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040618

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040720

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040726

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3582819

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080806

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080806

Year of fee payment: 4

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090806

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100806

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110806

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110806

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120806

Year of fee payment: 8

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120806

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130806

Year of fee payment: 9

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees