JPH07197031A - 低粘度ピッチの製造方法 - Google Patents
低粘度ピッチの製造方法Info
- Publication number
- JPH07197031A JPH07197031A JP33630393A JP33630393A JPH07197031A JP H07197031 A JPH07197031 A JP H07197031A JP 33630393 A JP33630393 A JP 33630393A JP 33630393 A JP33630393 A JP 33630393A JP H07197031 A JPH07197031 A JP H07197031A
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- JP
- Japan
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- pitch
- steam
- low
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- coal tar
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- Working-Up Tar And Pitch (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】バインダーピッチ、含浸ピッチなどに利用可能
な低粘度高品質ピッチの製造方法を提供する。 【構成】電極用ピッチを製造するに際し、コールタール
ピッチの改質時に、コールタールピッチの改質温度を3
30〜350℃の範囲にしつつ、水蒸気吹き込み量を、
蒸気量/ピッチ重量比40〜250kg・スチーム/t
・ピッチの範囲でピッチに水蒸気を吹き込む。
な低粘度高品質ピッチの製造方法を提供する。 【構成】電極用ピッチを製造するに際し、コールタール
ピッチの改質時に、コールタールピッチの改質温度を3
30〜350℃の範囲にしつつ、水蒸気吹き込み量を、
蒸気量/ピッチ重量比40〜250kg・スチーム/t
・ピッチの範囲でピッチに水蒸気を吹き込む。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、製鋼用黒鉛電極、アル
ミニウム精錬用電極等の炭素材料を製造する際に用いる
バインダーピッチ、含浸ピッチの製造方法に関する。
ミニウム精錬用電極等の炭素材料を製造する際に用いる
バインダーピッチ、含浸ピッチの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ピッチの製造方法は以下の通りである。
まず、原料コールタールを蒸留し、ナフタリン油、アン
トラセン油等の低沸点油を留出させた残渣(軟ピッチ)
を380〜420℃の高温で、5〜20時間、液相改質
して、主に重縮合反応により、ピッチを重質化し、所定
規格のピッチを製造する。
まず、原料コールタールを蒸留し、ナフタリン油、アン
トラセン油等の低沸点油を留出させた残渣(軟ピッチ)
を380〜420℃の高温で、5〜20時間、液相改質
して、主に重縮合反応により、ピッチを重質化し、所定
規格のピッチを製造する。
【0003】バインダーピッチは、コークスと混練、成
形後、焼成し、電極を製造する。さらに電極の高密度化
のために、焼成電極を含浸ピッチで含浸させ、焼成を繰
り返す。この際、バインダーピッチは、コークスとの成
形性を向上させ、電極密度を上げる観点から、溶融時の
粘度が低いものが好まれる。また、含浸ピッチは、含浸
性を向上させ、電極密度を上げる観点から、やはり溶融
時の粘度が低いものが好まれる。すなわち、バインダー
ピッチ、含浸ピッチとも粘度が低い製品が、高品質ピッ
チである。
形後、焼成し、電極を製造する。さらに電極の高密度化
のために、焼成電極を含浸ピッチで含浸させ、焼成を繰
り返す。この際、バインダーピッチは、コークスとの成
形性を向上させ、電極密度を上げる観点から、溶融時の
粘度が低いものが好まれる。また、含浸ピッチは、含浸
性を向上させ、電極密度を上げる観点から、やはり溶融
時の粘度が低いものが好まれる。すなわち、バインダー
ピッチ、含浸ピッチとも粘度が低い製品が、高品質ピッ
チである。
【0004】ピッチの粘度低減法として、従来より、ピ
ッチに添加剤を少量加える方法が提案されている。例え
ば、特開昭63−227693号公報では、ピッチに脱
離し易い官能基を有する芳香族化合物を添加する方法が
提案されている。
ッチに添加剤を少量加える方法が提案されている。例え
ば、特開昭63−227693号公報では、ピッチに脱
離し易い官能基を有する芳香族化合物を添加する方法が
提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ピッチの主な品質指標
に、炭化歩留りの指標であるFC(固定炭素)がある。
当然ながら、FCが高いピッチほど好まれる。ところ
が、ピッチの粘度を低減するために、ピッチに添加剤を
加えた場合、同じ軟化点(SP)のピッチに比較して、
FCの低下が問題となる。
に、炭化歩留りの指標であるFC(固定炭素)がある。
当然ながら、FCが高いピッチほど好まれる。ところ
が、ピッチの粘度を低減するために、ピッチに添加剤を
加えた場合、同じ軟化点(SP)のピッチに比較して、
FCの低下が問題となる。
【0006】すなわち、特開昭63−227693号公
報の方法では、多環の芳香族化合物を添加した場合、F
Cの低下は、ある程度抑制できるが、粘度の低減効果は
小さくなる。また、2環の芳香族化合物を添加した場
合、粘度の低減効果は大きくなるが、FCの低下が大き
くなる。また、添加物は、脱離し易い官能基を有してい
るため、添加混合時の温度が高いと、重縮合反応が促進
され、粘度が急激に上昇する。一方、添加混合時の温度
が低いと混合が不充分で、ピッチが不均一になるという
問題があった。
報の方法では、多環の芳香族化合物を添加した場合、F
Cの低下は、ある程度抑制できるが、粘度の低減効果は
小さくなる。また、2環の芳香族化合物を添加した場
合、粘度の低減効果は大きくなるが、FCの低下が大き
くなる。また、添加物は、脱離し易い官能基を有してい
るため、添加混合時の温度が高いと、重縮合反応が促進
され、粘度が急激に上昇する。一方、添加混合時の温度
が低いと混合が不充分で、ピッチが不均一になるという
問題があった。
【0007】また、工業的規模で実施するには、添加操
作の工程が煩雑となり、品質調整も困難となる。さらに
一般的に、化合物を添加したピッチは、電極焼成時に、
添加物が揮発し、電極にクラックを発生する原因となる
ので、好まれない。本発明は、前記問題点を解決した低
粘度ピッチの製造方法を提供することを目的とするもの
である。
作の工程が煩雑となり、品質調整も困難となる。さらに
一般的に、化合物を添加したピッチは、電極焼成時に、
添加物が揮発し、電極にクラックを発生する原因となる
ので、好まれない。本発明は、前記問題点を解決した低
粘度ピッチの製造方法を提供することを目的とするもの
である。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、電
極用ピッチを製造するに際し、コールタールピッチの改
質時に、コールタールピッチの改質温度を330〜35
0℃の範囲にしつつ、水蒸気吹き込み量を、蒸気量/ピ
ッチ重量比40〜250kg・スチーム/t・ピッチの
範囲でピッチに水蒸気を吹き込むことを特徴とする低粘
度ピッチの製造方法を提供するものである。
極用ピッチを製造するに際し、コールタールピッチの改
質時に、コールタールピッチの改質温度を330〜35
0℃の範囲にしつつ、水蒸気吹き込み量を、蒸気量/ピ
ッチ重量比40〜250kg・スチーム/t・ピッチの
範囲でピッチに水蒸気を吹き込むことを特徴とする低粘
度ピッチの製造方法を提供するものである。
【0009】
【作用】以下に本発明をさらに詳細に説明する。本発明
の方法によれば、コールタール蒸留残渣である軟ピッチ
を低温で改質すると同時に、水蒸気の吹き込みにより、
低沸点油の留出を促進させることにより、ピッチの重質
化を抑制し、かつ低沸点油の残留分を低減させる。水蒸
気の吹き込みは、低沸点油の分圧を下げ、留出を促進さ
せることが目的である。水蒸気に代わって窒素等の不活
性ガスも利用可能であるが、水蒸気の方が熱源として利
用でき、また、コストにも安価であることから、実用上
はほぼ水蒸気に限定される。
の方法によれば、コールタール蒸留残渣である軟ピッチ
を低温で改質すると同時に、水蒸気の吹き込みにより、
低沸点油の留出を促進させることにより、ピッチの重質
化を抑制し、かつ低沸点油の残留分を低減させる。水蒸
気の吹き込みは、低沸点油の分圧を下げ、留出を促進さ
せることが目的である。水蒸気に代わって窒素等の不活
性ガスも利用可能であるが、水蒸気の方が熱源として利
用でき、また、コストにも安価であることから、実用上
はほぼ水蒸気に限定される。
【0010】本発明によれば、従来のごとくコールター
ルピッチに芳香族化合物を添加することなく、ピッチの
FCを維持して低粘度ピッチを製造することが可能であ
る。具体的に述べると、本発明では、タール蒸留残渣で
ある軟ピッチを330〜350℃の低温で改質を抑制し
ながら、水蒸気吹き込み量を、蒸気量/ピッチ重量比が
40〜250kg・スチーム/t・ピッチとしてピッチ
に水蒸気を吹き込み、ピッチを所定規格まで上昇させる
とともに、他の品質規格も調製する。原料は、軟ピッチ
に限定するものではなく、コールタールから直接、改質
してもよい。
ルピッチに芳香族化合物を添加することなく、ピッチの
FCを維持して低粘度ピッチを製造することが可能であ
る。具体的に述べると、本発明では、タール蒸留残渣で
ある軟ピッチを330〜350℃の低温で改質を抑制し
ながら、水蒸気吹き込み量を、蒸気量/ピッチ重量比が
40〜250kg・スチーム/t・ピッチとしてピッチ
に水蒸気を吹き込み、ピッチを所定規格まで上昇させる
とともに、他の品質規格も調製する。原料は、軟ピッチ
に限定するものではなく、コールタールから直接、改質
してもよい。
【0011】改質温度が330℃未満では、ピッチの軟
化点の上昇速度が極端に遅くなり、生産性が悪化する。
改質温度が350℃超では、ピッチの重質化が促進さ
れ、粘度が低下しない。改質処理中にピッチに吹き込む
水蒸気は、一般的に工場で使用可能な飽和蒸気であれば
よい。蒸気量/ピッチ重量比が、40kg・スチーム/
t・ピッチ未満では、ピッチの軟化点の上昇速度が極端
に遅くなり、生産性が悪化する。蒸気量/ピッチ重量比
が、250kg・スチーム/t・ピッチ超では、蒸気コ
ストが過大となる。
化点の上昇速度が極端に遅くなり、生産性が悪化する。
改質温度が350℃超では、ピッチの重質化が促進さ
れ、粘度が低下しない。改質処理中にピッチに吹き込む
水蒸気は、一般的に工場で使用可能な飽和蒸気であれば
よい。蒸気量/ピッチ重量比が、40kg・スチーム/
t・ピッチ未満では、ピッチの軟化点の上昇速度が極端
に遅くなり、生産性が悪化する。蒸気量/ピッチ重量比
が、250kg・スチーム/t・ピッチ超では、蒸気コ
ストが過大となる。
【0012】このようにして製造したピッチは、重質分
含有率が小さく、かつ低沸点油含有率も小さく、中分子
量成分の含有率が大きい特性を有する。溶融時のピッチ
の粘度は、重質分の含有率に影響され、重質分含有が多
いほど粘度が高くなることが、鋭意検討の結果わかっ
た。また、本製法によるピッチは、低沸点油含有率も小
さいので、FCが低下することもない。すなわち、本製
造法によるピッチは、同SPで、FCが低下することも
なく、粘度の低下が可能となる。
含有率が小さく、かつ低沸点油含有率も小さく、中分子
量成分の含有率が大きい特性を有する。溶融時のピッチ
の粘度は、重質分の含有率に影響され、重質分含有が多
いほど粘度が高くなることが、鋭意検討の結果わかっ
た。また、本製法によるピッチは、低沸点油含有率も小
さいので、FCが低下することもない。すなわち、本製
造法によるピッチは、同SPで、FCが低下することも
なく、粘度の低下が可能となる。
【0013】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。 (実施例1)表1に示す特性値を有する軟ピッチ100
gをガラス製反応器に入れ、335℃、蒸気量/ピッチ
重量比80kg・スチーム/t・ピッチで、所定軟化点
になるまで処理した。得られたピッチの特性値を表2に
示した。
明する。 (実施例1)表1に示す特性値を有する軟ピッチ100
gをガラス製反応器に入れ、335℃、蒸気量/ピッチ
重量比80kg・スチーム/t・ピッチで、所定軟化点
になるまで処理した。得られたピッチの特性値を表2に
示した。
【0014】
【0015】
【0016】(比較例1)表1に示す特性値を有する軟
ピッチ100gをガラス製反応器に入れ、380℃、蒸
気量/ピッチ重量比20kg・スチーム/t・ピッチ
で、所定軟化点になるまで処理した。得られたピッチの
特性値を表3に示した。
ピッチ100gをガラス製反応器に入れ、380℃、蒸
気量/ピッチ重量比20kg・スチーム/t・ピッチ
で、所定軟化点になるまで処理した。得られたピッチの
特性値を表3に示した。
【0017】
【0018】
【発明の効果】本発明によって、従来のごとく芳香族化
合物を添加することなく、低粘度ピッチを製造すること
が可能である。この低粘度ピッチは、芳香族化合物を添
加した際に発生するFCの低下がないため、高品質ピッ
チである。
合物を添加することなく、低粘度ピッチを製造すること
が可能である。この低粘度ピッチは、芳香族化合物を添
加した際に発生するFCの低下がないため、高品質ピッ
チである。
Claims (1)
- 【請求項1】電極用ピッチを製造するに際し、コールタ
ールピッチの改質時に、コールタールピッチの改質温度
を330〜350℃の範囲にしつつ、水蒸気吹き込み量
を、蒸気量/ピッチ重量比40〜250kg・スチーム
/t・ピッチの範囲でピッチに水蒸気を吹き込むことを
特徴とする低粘度ピッチの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33630393A JPH07197031A (ja) | 1993-12-28 | 1993-12-28 | 低粘度ピッチの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33630393A JPH07197031A (ja) | 1993-12-28 | 1993-12-28 | 低粘度ピッチの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07197031A true JPH07197031A (ja) | 1995-08-01 |
Family
ID=18297720
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33630393A Withdrawn JPH07197031A (ja) | 1993-12-28 | 1993-12-28 | 低粘度ピッチの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07197031A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017218486A (ja) * | 2016-06-06 | 2017-12-14 | Jfeケミカル株式会社 | バインダーピッチ及びその製造方法 |
JP2021504501A (ja) * | 2017-11-21 | 2021-02-15 | サンパイン アーベーSunpine Ab | トール油ピッチ(top)の熱処理方法 |
-
1993
- 1993-12-28 JP JP33630393A patent/JPH07197031A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017218486A (ja) * | 2016-06-06 | 2017-12-14 | Jfeケミカル株式会社 | バインダーピッチ及びその製造方法 |
JP2021504501A (ja) * | 2017-11-21 | 2021-02-15 | サンパイン アーベーSunpine Ab | トール油ピッチ(top)の熱処理方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20010306 |