JPH0719621U - ボールジョイント用ダストカバー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 膜部１の一端にボールスタッド１２に嵌合さ
れるシール部３を設けるとともにこのシール部３にナッ
クルアーム１３に接触するダストシール４を設けたボー
ルジョイント用ダストカバーについて、ボールスタッド
１２が揺動したときにダストシール４が膜部１に引っ張
られて円周上の一部においてナックルアーム１３から離
れ、シール性が低下するのを防止する。 【構成】 ダストシール４の内周側にナックルアーム１
３に接触する第二のダストシール５を設け、ボールスタ
ッド１２が揺動して膜部１の伸び側に引張り力が発生し
ても、第二のダストシール５がナックルアーム１３にそ
れまで以上に強く密接して一種のストッパとして作用す
るようにした。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、ボールジョイント用ダストカバーの改良に関する。本考案のダスト カバーが装着されるボールジョイントは、自動車または産業機械等に幅広く使用 される。

【０００２】

【従来の技術】

従来から、図５に示すように、略提灯形を呈する中空の膜部１を有し、この膜 部１の下端にボールジョイントのソケット１１の外周に嵌着される環状の嵌着部 ２を設けるとともに膜部１の上端にボールスタッド１２の外周に摺動自在に嵌合 される環状のシール部３を設け、このシール部３の上端外周縁にナックルアーム １３の下面に摺動自在に接触するリップ状のダストシール４を設けたボールジョ イント用ダストカバーが知られている（例えば特開平３−８９０１６号公報参照 ）。膜部１はゴム状弾性材により成形され、よってボールスタッド１２の揺動に 従って自在に変形する可撓性を備えている。シール部３はボールスタッド１２の 外周面に摺動自在に密接し、当該ダストカバーの内部に封入したグリースが外部 へ漏れることがないようにこれをシールする。またダストシール４はナックルア ーム１３の下面に摺動自在に密接し、外部のダストまたは水が当該ダストカバー の内部に侵入することがないようにこれらをシールする。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら上記従来のダストカバーにおいては、図６に示すように、ボール スタッド１２が大きく揺動して膜部１の伸び側に大きな引張り力Ｆが発生したと きに、ダストシール４がこの膜部１に引っ張られて円周上の一部においてナック ルアーム１３から離れてしまい、外部のダストまたは水がダストシール４の内側 に侵入する虞がある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】 本考案は以上の点に鑑み、上記従来技術にみられる問題を解消すべく案出され たものであって、この目的を達成するため、膜部の一端にボールスタッドに嵌合 されるシール部を設け、前記シール部にナックルアームに接触するダストシール を設けたボールジョイント用ダストカバーにおいて、前記ダストシールの内周側 に前記ナックルアームに接触する第二のダストシールを設けることにした。

【０００５】

【作用】

ダストシールの内周側にナックルアームに接触する第二のダストシールが設け られていると、常態において二重のシールが構成されるために、シール効果を向 上させることが可能となる。またボールスタッドが大きく揺動して膜部の伸び側 に大きな引張り力が発生したとき、ダストシールが膜部に引っ張られて円周上の 一部においてナックルアームから離れようとしても、その内周側に設けられた第 二のダストシールがナックルアームにそれまで以上に強く密接して一種のストッ パとして作用するために、ダストシールがナックルアームから離れるのを防止す ることが可能となる。

【０００６】

【実施例】

つぎに本考案の実施例を図面にしたがって説明すると、当該ボールジョイント 用ダストカバーは、上記従来技術と同様に、略提灯形を呈する中空の膜部１を有 し、この膜部１の下端にボールジョイントのソケット１１の外周に嵌着される環 状の嵌着部２を設けるとともに膜部１の上端にボールスタッド１２の外周に摺動 自在に嵌合される環状のシール部３を設け、このシール部３の上端外周縁にナッ クルアーム１３の下面に摺動自在に接触するリップ状のダストシール４を設けた ものであって、更に以下の構成を有している。

【０００７】 すなわち、図１に示すように、シール部３の上端外周縁に斜め外向きに設けら れたダストシール４の内周側の基端部（根元）近傍に、斜め内向きの第二のダス トシール５が一体成形されており、この第二のダストシール５が、図２に示すよ うに、ボールジョイントへの装着時にダストシール４とともにナックルアーム１ ３の下面に密接するようになっている。

【０００８】 そして、このようにしてダストシール４の内周側に第二のダストシール５が設 けられていると、常態において二重のシールが構成されるために、シール効果を 向上させることができる。またボールスタッド１２が大きく揺動して膜部１の伸 び側に大きな引張り力が発生したとき、ダストシール４が膜部１に引っ張られて 円周上の一部においてナックルアーム１３から離れようとしても、第二のダスト シール５がナックルアーム１３にそれまで以上に強く密接して一種のストッパと して作用するために、ダストシール５がナックルアーム１３から離れるのを防止 し、外部のダストまたは水がダストシール４の内側に侵入するのを防止すること ができる。また二重のシールが構成されると、一重の場合と比較して各ダストシ ール４，５のナックルアーム１３に対する密接力をそれほど大きくしなくても必 要十分なシール効果を得ることができるために、各ダストシール４，５の負担を 減らし、すなわち各ダストシール４，５が摺動摩耗しにくい構造を提供すること ができる。またナックルアーム１３に密接する両ダストシール４，５の間に密封 空間６が形成され、この密封空間６にグリースの一部が保留されることがあるた めに、各ダストシール４，５の摺動に対する潤滑性を向上させることができる。

【０００９】 第二のダストシール５の断面形状は何ら限定されるものではなく、その先端を 図１に示したように丸めても良いし、図３に示すように角張らせても良い。また 図４に示すようにダストシール４と第二のダストシール５の間にリブ７を設けて も良い。

【００１０】

【考案の効果】

本考案は以下の効果を奏する。すなわち、ダストシールの内周側に第二のダス トシールを設けて二重のシールを構成したために、シール効果を向上させること ができる。またボールスタッドが大きく揺動して膜部の伸び側に大きな引張り力 が発生したとき、ダストシールが膜部に引っ張られて円周上の一部においてナッ クルアームから離れようとしても、その内周側に設けられた第二のダストシール がナックルアームにそれまで以上に強く密接して一種のストッパとして作用する ために、ダストシールがナックルアームから離れるのを防止し、外部のダストま たは水がダストシールの内側に侵入するのを防止することができる。

【００１１】 また二重のシールが構成されると、一重の場合と比較して各ダストシールのナ ックルアームに対する密接力をそれほど大きくしなくても必要十分なシール効果 を得ることができるために、各ダストシールの負担を減らし、すなわち各ダスト シールが摺動摩耗しにくい構造を提供することができる。またナックルアームに 密接する両ダストシールの間に密封空間が形成され、この密封空間にグリースの 一部が保留されることがあるために、各ダストシールの摺動に対する潤滑性を向 上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例に係るボールジョイント用ダス
トカバーの要部断面図

【図２】同ボールジョイント用ダストカバーの装着状態
を示す要部断面図

【図３】本考案の他の実施例に係るボールジョイント用
ダストカバーの要部断面図

【図４】本考案の他の実施例に係るボールジョイント用
ダストカバーの要部断面図

【図５】従来例に係るボールジョイント用ダストカバー
の装着状態を示す断面図

【図６】同ボールジョイント用ダストカバーの作動状態
を示す断面図

【符号の説明】

１ 膜部 ２ 嵌着部 ３ シール部 ４ ダストシール ５ 第二のダストシール ６ 密封空間 ７ リブ １１ ソケット １２ ボールスタッド １３ ナックルアーム

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 膜部（１）の一端にボールスタッド（１
   ２）に嵌合されるシール部（３）を設け、前記シール部
   （３）にナックルアーム（１３）に接触するダストシー
   ル（４）を設けたボールジョイント用ダストカバーにお
   いて、前記ダストシール（４）の内周側に前記ナックル
   アーム（１３）に接触する第二のダストシール（５）を
   設けたことを特徴とするボールジョイント用ダストカバ
   ー。