JPH07195619A - 絞りしごき缶用樹脂被覆金属板およびこれからなる絞りしごき缶 - Google Patents

絞りしごき缶用樹脂被覆金属板およびこれからなる絞りしごき缶

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JPH07195619A
JPH07195619A JP5338599A JP33859993A JPH07195619A JP H07195619 A JPH07195619 A JP H07195619A JP 5338599 A JP5338599 A JP 5338599A JP 33859993 A JP33859993 A JP 33859993A JP H07195619 A JPH07195619 A JP H07195619A
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丸 迪 子 鶴
Kazuhisa Masuda
田 和 久 増
Koji Takahashi
橋 浩 二 高
Takayuki Hiraoka
岡 孝 之 平
Koji Niimi
美 宏 二 新
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、絞りしごき性に優れ、金属板との
密着性に優れるとともに耐衝撃性にも優れ、さらにピン
ホールがなく、フレーバー性に優れるなどの特性を有す
る樹脂層が積層された絞りしごき缶用樹脂被覆金属板お
よびこのような樹脂被覆金属板からなる絞りしごき缶を
提供する。 【構成】本発明に係る絞りしごき缶用樹脂被覆金属板
は、金属板と、該金属板片面上に設けられた樹脂被膜と
からなり、この樹脂被膜は、[A]特定の結晶性飽和ポ
リエステル樹脂層と、[B]特定の非晶性飽和ポリエス
テル樹脂層との2層からなるとともに、[B]非晶性飽
和ポリエステル樹脂層が上記金属板に接するように積層
されていることを特徴としている。本発明に係る絞りし
ごき缶は、上記のような樹脂被覆金属板から形成されて
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は絞りしごき缶用樹脂被覆金
属板およびこの樹脂被覆金属板からなる絞りしごき缶に
関し、さらに詳しくは特定の樹脂層が積層されてなる絞
りしごき缶用樹脂被膜金属板およびこの樹脂被覆金属板
からなる絞りしごき缶に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】従来より、ブリキ板などの鋼板あ
るいはアルミニウム板を絞りしごき加工または絞り加工
して得られる絞りしごき缶(以下DI缶という)は、継
ぎ目がなく諸物性に優れており、広く用いられている。
【0003】このようなDI缶には、金属板からの金属
溶出による味の低下、フレーバーの低下、内容物の変質
およびピンホールの発生などを防止するために、缶内面
側に樹脂層を設けることがある。このような缶内面側に
樹脂層が設けられた缶およびこのような缶を形成しうる
樹脂被覆金属板としては、たとえば特開昭51−130
647号公報には、飽和ポリエステル層で被覆された鋼
板およびこれから得られる容器が提案されている。また
特開平1−180336号公報には、ポリブチレンテレ
フタレート層で被覆された鋼板が提案されており、特開
平1−192545号公報、特開平2−57339号公
報、特開平3−10835号公報には、特定の飽和共重
合ポリエステル層で被覆された鋼板およびこれから得ら
れる容器が提案されている。
【0004】ところで、絞りしごき缶用鋼板に用いられ
る被覆用樹脂には、絞りしごき加工に追従しうる優れた
成形性が要求されると共に、鋼板から剥離しないような
優れた密着性が要求される。さらにこの樹脂には、打缶
時、缶詰工程および運搬時の衝撃に耐え得るような優れ
た耐衝撃性が要求される。また保存時に腐食の原因とな
るピンホールがないとともに、飲料の味に影響を及ぼさ
ないすなわちフレーバー性に優れることなどの特性が要
求される。
【0005】しかしながら従来の缶用鋼板に被覆される
樹脂は、このような要求を必ずしも満足するものではな
かった。たとえば、絞りしごき加工時に樹脂被膜中にピ
ンホールを生じることがあった。また製缶後、乾燥、印
刷、焼き付けなどの工程において加熱された缶は、耐衝
撃性が低下することがあった。
【0006】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に鑑み
てなされたものであり、絞りしごき成形性に優れ、金属
板との密着性に優れるとともに耐衝撃性にも優れ、さら
にピンホールがなく、フレーバー性に優れるなどの特性
を有する樹脂層が積層された絞りしごき缶用樹脂被覆金
属板、およびこのような樹脂被覆金属板からなる絞りし
ごき缶を提供することを目的としている。
【0007】
【発明の概要】本発明に係る絞りしごき缶用樹脂被覆金
属板は、金属板と、該金属板片面上に設けられた樹脂被
膜とからなり、この樹脂被膜は、[A]ジカルボン酸と
ジヒドロキシ化合物とから誘導され、ジカルボン酸成分
を100モル%とするとき、ジカルボン酸成分は、テレ
フタル酸99〜85モル%とイソフタル酸1〜15モル
%とからなる結晶性飽和ポリエステル樹脂層と、[B]
ジカルボン酸とジヒドロキシ化合物とから誘導され、ジ
カルボン酸成分は、テレフタル酸からなり、ジヒドロキ
シ成分は、エチレングリコール99〜70モル%、シク
ロヘキサンジメタノール1〜30モル%およびジエチレ
ングリコール0〜5モル%からなる非晶性飽和ポリエス
テル樹脂層との2層からなるとともに、[B]非晶性飽
和ポリエステル樹脂層が上記金属板に接するように積層
されていることを特徴としている。
【0008】[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂層と、
[B]非晶性飽和ポリエステル樹脂層とは、膜厚比が
[A]層:[B]層=3:1〜1:3であることが好ま
しい。またこの[A]層と[B]層とからなる樹脂被膜
は、実質的に未配向であり、かつ非晶状態であることが
好ましい。
【0009】本発明に係る絞りしごき缶は、上記のよう
な樹脂被覆金属板から形成されている。
【0010】
【発明の具体的説明】以下に本発明に係る絞りしごき缶
用樹脂被覆金属板、およびこの樹脂被覆金属板からなる
絞りしごき缶について説明する。
【0011】本発明に係る絞りしごき缶用樹脂被覆金属
板は、金属板と、金属板片面上に設けられた樹脂被膜と
からなる。本発明では、金属板として、一般的に缶用途
に用いられている従来公知の金属が広く用いられ、具体
的に、表面が公知の方法でSn(錫)メッキされた鋼板
(ブリキ)、錫無し鋼板(ティンフリースチール、電解
クロム酸処理鋼板)あるいはアルミニウム板などが用い
られる。
【0012】この金属板は、厚さが、通常0.01〜5
mm、好ましくは0.1〜2mmである。この金属板片
面上または両面上には、[A]結晶性飽和ポリエステル
樹脂層と、[B]非晶性飽和ポリエステル樹脂層との2
層からなる樹脂被膜が、[B]非晶性飽和ポリエステル
樹脂層が金属板に接するように積層されて形成されてい
る。
【0013】本発明で用いられる[A]および[B]飽
和ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸とジヒドロキシ化
合物とから誘導される構成単位から形成されている。本
発明で用いられる[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂を
形成しているジカルボン酸成分は、ジカルボン酸成分を
100モル%としたときに、テレフタル酸99〜85モ
ル%、好ましくは97〜87モル%と、イソフタル酸1
〜15モル%、好ましくは3〜13モル%とからなって
いる。
【0014】[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂を形成
しているジヒドロキシ成分としては、具体的には、エチ
レングリコール、トリメチレングリコール(プロピレン
グリコール)、テトラメチレングリコール、ペンタメチ
レングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレン
グリコールなどの脂肪族ジヒドロキシ化合物が挙げられ
る。
【0015】本発明で用いられる[A]結晶性飽和ポリ
エステル樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が、通常50
〜120℃、好ましくは60〜100℃であり、低温結
晶化温度(Tc)が、通常130〜210℃、好ましく
は140〜200℃であり、結晶融解温度(Tm)が、
通常210〜265℃、好ましくは220〜260℃で
ある。
【0016】本発明で用いられる[A]結晶性飽和ポリ
エステル樹脂は、X線回折法によって測定される結晶化
度が、5〜75%、好ましくは10〜60%であること
が望ましい。
【0017】このような[A]結晶性飽和ポリエステル
樹脂から形成される被膜は、テルペン系臭気を吸着しに
くい。本発明で用いられる[B]非晶性飽和ポリエステ
ル樹脂とは、X線回折法によって測定される結晶化度
が、20%以下、好ましくは15%以下の樹脂である。
【0018】この[B]本発明で用いられる非晶性飽和
ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分がテレフタル酸
からなり、ジヒドロキシ成分が、エチレングリコール9
9〜70モル%、シクロヘキサンジメタノール1〜30
モル%およびジエチレングリコール0〜5モル%からな
る。ジヒドロキシ成分は、好ましくはエチレングリコー
ル93〜70モル%、シクロヘキサンジメタノール7〜
30モル%およびジエチレングリコール0〜5モル%、
さらに好ましくはエチレングリコール85〜70モル
%、シクロヘキサンジメタノール15〜30モル%およ
びジエチレングリコール0〜5モル%からなることが望
ましい。
【0019】本発明で用いられる[B]非晶性飽和ポリ
エステル樹脂は、ガラス転移温度(Tg)は、通常50
〜120℃、好ましくは60〜100℃である。
【0020】上記のような本発明で用いられる飽和ポリ
エステル[A]および[B]は、発明の目的を損なわな
い範囲で、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリメチロ
ールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロール
メタン、ペンタエリスリトールなどの多官能化合物から
誘導される構成単位を少量、たとえば2モル%以下の量
で含んでいてもよい。
【0021】本発明で用いられる飽和ポリエステル
[A]および[B]は、実質上線状であり、このことは
該飽和ポリエステルが、o-クロロフェノールに溶解する
ことによって確認される。
【0022】本発明で用いられる飽和ポリエステル
[A]および[B]は、o-クロロフェノール中で25℃
で測定した極限粘度[η]が、それぞれ通常0.5〜
1.4dl/g、好ましくは0.5〜1.0dl/g、さら
に好ましくは0.6〜1.0dl/gである。
【0023】このような極限粘度[η]を有する飽和ポ
リエステルは、溶融成形性および絞りしごき成形性に優
れるとともに耐衝撃性などの機械的強度にも優れていて
好ましい。
【0024】本発明において、金属板上に積層される樹
脂被膜は、上記のような[A]結晶性飽和ポリエステル
樹脂層と、[B]非晶性飽和ポリエステル樹脂層との2
層からなるとともに、[B]非晶性飽和ポリエステル樹
脂層が上記金属板に接するように積層されている。
【0025】このように積層された樹脂層の厚さは、2
層の合計で、通常5〜500μm、好ましくは10〜1
00μm、特に好ましくは20〜60μmである。これ
ら[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂層と、[B]非晶
性飽和ポリエステル樹脂層との2層の膜厚比は、[A]
層:[B]層=3:1〜1:3であることが好ましい。
【0026】また金属板上に設けられた上記のような
[A]層と[B]層とからなる樹脂被膜は、実質的に未
配向であり、かつ非晶状態であることが好ましい。上記
のように本発明に係る絞りしごき缶用樹脂被覆金属板
は、特定のポリエステル層[A]および[B]から形成
されており、絞りしごき加工性に優れている。
【0027】なお上記のような樹脂被膜の[A]、
[B]いずれかの一方の層が、延伸などにより配向され
ていると絞りしごき加工に追従せず、樹脂層が破れるこ
とがあり、またこれらの層[A]、[B]が上記以外の
樹脂から形成されていると良好な絞りしごき缶を得るこ
とができないことがある。たとえば[A]層が、ホモポ
リエチレンテレフタレートから形成されていると、得ら
れる絞りしごき缶(缶底)にブリスターが多数発生する
ことがあり、フレーバーの吸着特性に劣ることがある。
またこの[A]層が、イソフタル酸成分を15モルを超
える量で含む共重合ポリエステルから形成されている
と、絞りしごき加工時にポンチ抜けに劣り、良好な絞り
しごき缶を得ることができないことがある。さらに
[B]層がイソフタル酸成分を20モル%の量で含む共
重合ポリエステルから形成され、[A]層がホモポリエ
チレンテレフタレートである場合には、樹脂被膜と缶と
の密着性に劣り、缶底にブリスターが発生することがあ
り、またこの[A]層がイソフタル酸成分を10モル%
以上の量で含む共重合ポリエステルである場合には、密
着性には優れるが、ブリスターが発生しやすい。
【0028】本発明では、上記のような樹脂層[A]お
よび[B]には、必要に応じて耐候安定剤、滑剤、熱安
定剤、耐衝撃改良剤などの添加剤が含まれていてもよ
い。これらの添加剤は、下記のように樹脂層[A]およ
び[B]を形成する際に、予めこれら添加剤と樹脂
[A]または[B]とからマスターバッチを形成してか
ら用いることもできる。
【0029】上記のような本発明に係る絞りしごき缶用
樹脂被覆金属板は、たとえば以下のように製造される。 (1)[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂と[B]非晶性
飽和ポリエステル樹脂とを、2層押出Tダイにより金属
板上に[B]非晶性飽和ポリエステル樹脂層が金属板に
接するように同時に押し出す。
【0030】(2) 一旦[A]結晶性飽和ポリエステル
樹脂層と[B]非晶性飽和ポリエステル樹脂層とからな
るフィルムを形成し、このフィルムと金属板とを[B]
非晶性飽和ポリエステル樹脂層が金属板に接するように
貼り合わせる。
【0031】(3)また金属板上に[B]非晶性飽和ポリ
エステル樹脂層を形成し、次いで[B]層上に[A]結
晶性飽和ポリエステル樹脂層を形成することもできる。
上記のように金属板上に樹脂層を被覆するに際しては、
押出機から溶融状態で押し出されて金属板上に被覆され
た樹脂被膜は、急冷することが好ましい。
【0032】これらのうち2層押出Tダイにより同時に
押し出す(1)の方法は、製造コスト面に優れるととも
に、この方法から得られる樹脂被覆金属板からはピンホ
ールがないなどの品質に優れた絞りしごき缶が得られや
すいので好ましい。
【0033】なお一旦フィルムにしてから張り合わせる
(2)の方法は、(1)の方法に比べて製造コストがかさむと
ともに得られる樹脂被覆金属板はピンホール試験の結果
に劣ることがあり、(3)の方法は、特定の膜厚比を有す
る均一な2層構造の被膜が得られないことがあり、
[A]層と[B]層との間の密着性に劣ったり異物(ゴ
ミ)などが混入したりすることがある。
【0034】本発明に係る樹脂被覆金属板は、上記のよ
うに金属板と、この片面上に、[A]結晶性飽和ポリエ
ステル樹脂層と[B]非晶性飽和ポリエステル樹脂層と
が上記のような膜厚比でかつ[B]非晶性飽和ポリエス
テル樹脂層が金属板に接するように金属板上に積層され
た被膜とからなり、優れた耐衝撃性を有するとともに成
形性特に絞りしごき成形性に優れ、成形時に被膜中にピ
ンホールを生じることなく均一加工される。またこの樹
脂被膜は、金属板との密着性にも優れ、成形時の加工追
従性に優れるため、外観に優れた缶が得られる。
【0035】本発明に係る樹脂被覆金属板は、上記のよ
うに特定の2層構造の樹脂層で形成されることによって
優れた絞りしごき加工性などの特性を発現する。本発明
に係る絞りしごき缶は、このような樹脂被覆金属板が絞
りしごき加工されてなる。
【0036】この際、金属板の片面のみに樹脂被膜が設
けられた樹脂被覆金属板が用いられる場合には、樹脂被
覆面が缶内面側になるように絞りしごき加工される。な
お上記の樹脂被覆金属板から絞りしごき缶を製造する際
に、樹脂被覆が両面に設けられた樹脂被覆金属板を用い
ると、缶内面だけでなく缶外面も樹脂で被覆された絞り
しごき缶が得られるので、通常製缶後に行われる缶外面
の塗装工程がを省くことができ、溶媒が飛散するなどの
塗装時の問題点もないとともに、製缶後設備を大幅に縮
小することもできる。
【0037】絞りしごき缶(DI缶)を製造する方法と
しては、公知の各種の方法が採用できる。最も一般的な
方法としては、しごきポンチを用いて一段階もしくは数
段階しごき加工する方法により製造することができる。
【0038】例えば、絞りしごき加工は、下記のような
条件下に行うことができる。 プランク径 …100〜200mm 絞り条件 …1段絞り比 1.1〜2.4 2段絞り比 1.1〜1.6 絞りしごき径…3段アイアニング 20〜100mmφ 総しごき率 …20〜80% 本発明に係る絞りしごき缶は、金属板上に[A]結晶性
飽和ポリエステル樹脂層と[B]非晶性飽和ポリエステ
ル樹脂層との2層の被膜が、[A]結晶性飽和ポリエス
テル樹脂層が缶の内容物と接するように形成されてお
り、特にテルペン系臭気の吸着が著しく少なく、フレー
バー性(保香性)に優れているとともに、被膜中にピン
ホールなどがなく、内容物の長期保存性に優れる。
【0039】
【発明の効果】本発明に係る絞りしごき缶用樹脂被覆金
属板は、樹脂と金属板との密着性に優れており、絞りし
ごき成形性に優れ、成形加工時の樹脂の追従性に優れて
おり、外観に優れた缶を形成しうる。
【0040】また本発明に係る絞りしごき缶は、打缶、
缶詰工程および運搬時の衝撃に耐え得る優れた耐衝撃性
を有しており、製缶後、乾燥、印刷、焼き付けなどの工
程において加熱されても、優れた耐衝撃性を保持してい
る。
【0041】本発明に係る絞りしごき缶は、ピンホール
がなく、内容物の長期保存性に優れるとともに内容物の
香り、フレーバー性(保香性)などの保存性にも優れて
いる。
【0042】
【実施例】次に本発明を実施例により具体的に説明する
が、本発明はこれら実施例により限定されるものではな
い。
【0043】
【実施例1〜11】表1に示すような[A]結晶性飽和
ポリエステル樹脂と[B]非晶性飽和ポリエステル樹脂
とを、両面に片面あたり2.8g/m2のSnめっきが
施された鋼板(板厚み0.245mm、硬度T−4相当)
の片面のSnめっき層上に、表1に示すような膜厚比で
かつ[B]非晶性飽和ポリエステル樹脂層が鋼板に接す
るように2種2層押出Tダイを用いて合計30μmの合
計膜厚で被覆した。被覆時の鋼板は、加熱したものを用
い、またTダイで樹脂が被覆された鋼板は10秒以内に
100℃以下まで急冷した。
【0044】表1に、[A]結晶性飽和ポリエステル樹
脂および[B]非晶性飽和ポリエステル樹脂それぞれの
固有粘度[dl/g]、Tg(ガラス転移温度)、Tm
(融点)、Tc(低温結晶化温度)を示す。
【0045】昇温時にみられるTgはピークの接線の交
点の温度とし、TcおよびTmはピークの頂点の温度と
した。
【0046】なおTg、Tm、Tcは、示差熱分析計
(Perkin Elmer-7型)を用いて10℃/分で昇温速度で
測定される。こうして得られた常温の樹脂被覆鋼板を、
樹脂被覆面が缶内面となるようにして下記の成形条件に
て絞りしごき加工を行って絞りしごき缶を製造した。
【0047】<成形条件> 1.絞りしごき加工直前の樹脂温度:常温 2.プランク径:137mm 3.絞り条件:1段絞り比 1.6 2段絞り比 1.3 4.しごきポンチ径:3段アイアニング 65.8mmφ 5.総しごき率:67%(i)缶内面被覆樹脂の密着性評価 上記のようにして絞りしごき加工して得られた缶の内面
を洗浄し、オーブンにて210℃で10分空焼き後の缶
の先端部の樹脂のはがれの程度を観察し、評価した。評
価基準を表2に、評価結果を表3に示す。
【0048】(ii)缶の洗浄、乾燥後のブリスターの評価 絞りしごき加工後、缶の内面を洗浄し、オーブンにて2
10℃で10分空焼き後の缶の底部に形成された膨れ
(ブリスター)を観察し、評価した。評価基準を表2
に、結果を表3に示す。
【0049】(iii)フレーバー吸着の評価 上記のようにして得られた缶の内面を洗浄し、210℃
のオーブンを用いて約2分間で乾燥した。さらに缶外面
を塗装、焼き付けを行った。こうして得られた缶に20
ppmリモネンを含有する5%エタノール溶液を充填し、
20℃、10日間放置した。リモネンのフィルムへの吸
着量を、下記のような比較例1で得られる缶(最内面に
ホモPETを用いたとき)を100として比較した。結
果を表3に示す。
【0050】
【比較例1】表1に示すような結晶性飽和ポリエステル
樹脂からなる被膜(単層)を30μmの厚みで形成した
以外は、実施例と同様にして、樹脂被覆金属板を得た。
【0051】この樹脂被覆金属板を実施例と同様にして
製缶した。得られた缶について、実施例と同様にして試
験評価した。結果を表3に示す。
【0052】表1に、この結晶性飽和ポリエステル樹脂
の固有粘度[dl/g]、Tg、Tm、Tcを示す。
【0053】
【比較例2】表1に示すような飽和ポリエステル樹脂か
らなる被膜(単層)を30μmの厚みで形成した以外
は、実施例と同様にして、樹脂被覆金属板を得た。
【0054】この樹脂被覆金属板を実施例と同様にして
製缶した。得られた缶について、実施例と同様にして試
験評価した。結果を表3に示す。
【0055】表1に、この飽和ポリエステル樹脂の固有
粘度[dl/g]、Tg、Tm、Tcを示す。
【0056】
【比較例3】実施例1において、各樹脂層を表1に示す
ような飽和ポリエステル樹脂に代えて、厚さ30μmの
被膜を形成した以外は、実施例と同様にして、樹脂被覆
金属板を得た。
【0057】この樹脂被覆金属板を実施例と同様にして
製缶した。得られた缶について、実施例と同様にして試
験評価した結果を表3に示す。
【0058】
【比較例4】表1に示すような[A]飽和ポリエステル
樹脂と[B]飽和ポリエステル樹脂とを、同時に2軸延
伸して厚さ20μmの2軸配向性フィルムを形成し、こ
れを実施例1と同様の金属板上にラミネートして樹脂被
覆金属板を得た。
【0059】この樹脂被覆金属板を実施例と同様にして
製缶した。得られた缶について、実施例と同様にして試
験評価した結果を表3に示す。
【0060】
【比較例5】表1に示すようなジカルボン酸成分として
イソフタル酸を5モル%含む共重合ポリエステル(IV
=0.69)を常法により溶融押出しした後、縦3.5
倍×横3.7倍に逐次2軸延伸し、235℃で緊張熱固
定し、厚さ16μmの2軸配向性フィルムを形成し、こ
れを[A]層とし、この[A]層の上に表1に示す
[B]層を厚さ14μmになるように押し出し成形し、
2層フィルムを作成した。実施例1と同様の鋼板に
[B]層が接するように接着して樹脂被覆金属板を得
た。
【0061】この樹脂被覆金属板を実施例と同様にして
製缶した。得られた缶について、実施例と同様にして試
験評価した結果を表3に示す。
【0062】
【比較例6〜11】表1に示すような各樹脂層に代えた
以外は、実施例と同様にして絞りしごき缶を得た。得ら
れた缶について、実施例と同様にして試験評価した結果
を表3に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】*1)結晶性ポリエステル樹脂のジカルボ
ン酸成分を100モル%とする。
【0066】イソフタル酸以外のジカルボン酸成分は、
テレフタル酸である。 *2)ポリエステル樹脂のジヒドロキシ成分を100モ
ル%とする。CHDM以外のジヒドロキシ成分は、エチ
レングリコールである。
【0067】*3)CHDM:シクロヘキサンジメタノ
ール *4)ホモPET:三井ペット樹脂株式会社製結晶性ポ
リエステル *5)2軸延伸フィルム
【0068】
【表3】
【0069】
【表4】
フロントページの続き (72)発明者 高 橋 浩 二 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井石油化学工業株式会社内 (72)発明者 平 岡 孝 之 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井石油化学工業株式会社内 (72)発明者 新 美 宏 二 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井石油化学工業株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属板と、該金属板片面上または両面上に
    設けられた樹脂被膜とからなり、 この樹脂被膜は、[A]ジカルボン酸とジヒドロキシ化
    合物とから誘導され、ジカルボン酸成分を100モル%
    とするとき、ジカルボン酸成分は、テレフタル酸99〜
    85モル%とイソフタル酸1〜15モル%とからなる結
    晶性飽和ポリエステル樹脂層と、[B]ジカルボン酸と
    ジヒドロキシ化合物とから誘導され、 ジカルボン酸成分は、テレフタル酸からなり、 ジヒドロキシ成分は、エチレングリコール99〜70モ
    ル%、シクロヘキサンジメタノール1〜30モル%およ
    びジエチレングリコール0〜5モル%からなる非晶性飽
    和ポリエステル樹脂層との2層からなるとともに、
    [B]非晶性飽和ポリエステル樹脂層が上記金属板に接
    するように積層されていることを特徴とする絞りしごき
    缶用樹脂被覆金属板。
  2. 【請求項2】[A]結晶性飽和ポリエステル樹脂層と、
    [B]非晶性飽和ポリエステル樹脂層とは、膜厚比が
    [A]層:[B]層=3:1〜1:3であることを特徴
    とする請求項1に記載の絞りしごき缶用樹脂被覆金属
    板。
  3. 【請求項3】金属板上に設けられた[A]層と[B]層
    とからなる樹脂被膜は、実質的に未配向であり、かつ非
    晶状態であることを特徴とする請求項1に記載の絞りし
    ごき缶用樹脂被覆金属板。
  4. 【請求項4】金属板が鋼板あるいはアルミニウム板であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の絞りしごき缶用樹
    脂被覆金属板。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂被覆
    金属板を、絞りしごき成形してなる絞りしごき缶。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010023418A (ja) * 2008-07-23 2010-02-04 Nippon Steel Corp 有機樹脂ラミネート鋼板
JP2010023419A (ja) * 2008-07-23 2010-02-04 Nippon Steel Corp 有機樹脂ラミネート鋼板
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JP2021178512A (ja) * 2016-08-05 2021-11-18 トーレ・フィルムズ・ヨーロッパ 多層ポリエステルフィルム、このフィルム及び金属薄板材から製造される積層体、かかるフィルム及びかかる積層体を製造する方法、並びにかかる積層体から製造される容器

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