JPH0719530B2 - 陰極線管 - Google Patents

陰極線管

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JPH0719530B2
JPH0719530B2 JP59133149A JP13314984A JPH0719530B2 JP H0719530 B2 JPH0719530 B2 JP H0719530B2 JP 59133149 A JP59133149 A JP 59133149A JP 13314984 A JP13314984 A JP 13314984A JP H0719530 B2 JPH0719530 B2 JP H0719530B2
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貞憲 田口
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の利用分野〕 本発明は含浸形カソードを用いた陰極線管、具体的には
受像管や撮像管に係り、特に低温動作に必要な、カソー
ド表面での低仕事関数原子層を形成したカソードに関す
る。
〔発明の背景〕
従来の低温動作の含浸形カソードは、特開昭58−154131
号に記載のように、タングステンとSc2O3からなる焼結
体の基体に、電子放出材料を含浸する構成になつてい
た。このカソードでは作製時にカソード表面にBa,Sc及
びOからなる低仕事関数の単原子層が形成されるのが特
徴であるが、この層が何んらかの理由で一旦消失する
と、こ層の再生に長時間の熱処理を必要とするという欠
点があつた。
〔発明の目的〕
本発明の目的は、低温動作の特長を維持しつつ、かつ、
低事関数単原子層の補給が容易な含浸形カソードを用い
た陰極線管を提供することにある。
〔発明の概要〕
従来のカソードの電子放出面は、Ba,Sc及びOからなる
単原子層で覆われている。この層は電子放出材料中の成
分であるBaOと、カソード基体の成分であるSc2O3とが反
応したバリウム・スカンデート(Ba3Sc4O9)が一部分解
した構造に近いものである。この分解反応及び分解物質
のカソード表面への拡散反応は、Ba3Sc4O9の結合エネル
ギーが高いこと、また蒸気圧の極めて低いことなどによ
り活性化エネルギーの高いプロセスとなつている。従つ
て、一旦この単原子層が、カソードが使用されている受
像管や撮像管内の放電などによるイオン衝撃で消失して
しまうと、再生には高温による長時間の処理を必要とす
る。
この問題を解決するためには、単原子層の形成に際し、
Ba3Sc4O9の生成を経由しないプロセスが必要となる。
一方、単原子層の元素構成を表面分析器を用いて測定す
ると、Sc2O3にBaが付着した構成になつていることが判
明した。この結果に基づくと、カソード構成としては、
Baを補給する部分と、Sc2O3を補給する部分が別個で、
かつBaの通路が接続されていることが望ましい。
それ故本発明のカソードは、電子放出材料を含浸せしめ
た耐熱性多孔質基体と、その電子放出面に高融点金属と
Sc及び/又はScの酸化物とからなる薄層を有することを
特徴とする。
ここで、薄層中の高融点金属は、耐熱性多孔質基体と同
様単原子層の構成元素の補給源の容器的役割及び電流通
路の役割を果たすと共に、その存在により動作中に単原
子層を再生できるという本発明の本質的な役割も果たし
ている。つまり、高融点金属が存在することにより、Sc
又はScの酸化物もしくはその両者のみを耐熱性多孔質基
体の電子放出面に形成した場合より陰極線管動作中のイ
オン衝撃に強くなる。また、薄層中にScのみしか含まれ
ていなくても、陰極線管の真空部に残留しているOや、
カソード中の電子放出材料のBaOのOの寄与により単原
子層は形成される。
耐熱性多孔質基体としては、従来の含浸形カソードに用
いられているものをそのまま用いることができる。すな
わち、材質としては、W,Mo,Ir,Pt,Reなどの単体又は合
金が用いられ、その空孔率は、12〜50%、より好ましく
は15〜35%、もつとも好ましくは20〜25%である。また
多孔質基体にZr,Hf,Ti,Cr,Mn,Al,Siなどの元素の一種又
は二種以上を添加して活性剤とすることも知られてお
り、本発明おいてもこのような活性剤を添加した基体を
用いることができる。
薄層は、その厚さが10nm〜1μmであることが好まし
い。薄層に用いる高融点金属には、W,Mo,Ir,Os,Re及びP
tからなる群から選ばれた少なくとも一種の金属が用い
られる。Sc及び/又はSc2O3の量は、およそ1〜20重量
%であることが好ましい。Sc又はSc2O3の量が少ないと
動作温度が低温とならず、またSc2O3が電気絶縁体であ
るためその量があまり多すぎるのも好ましくない。この
薄層の空孔率は20%以下であることが好ましく、10%以
下であることがより好ましい。薄層は、どのような方法
でも形成し得るが、通常は真空スパツタ法による付着、
原料粉末の焼付け、焼結体として被着など方法が用いら
れる。
〔発明の実施例〕
以下、本発明の一実施例を第1図により説明する。第1
図は本発明による含浸形カソードを模式図的に示した断
面図である。図において、1はカソード材料のペレツト
(1.4φ)であり、空孔率20〜25%の多孔質のW基体2
と空孔3とから形成されている。なお多孔質基体とし
て、Mo,Ir,Pt,Re等及びこれらの合金を用いても良い。
空孔3中には電子放出材料としてBaCO3,CaCO3,Al2O3
モル比で4:1:1の割合に配合したものを含浸した。なお
異なつたモル比の材料や、異る材料を添加した電子放出
材料を用いても良い。このペレツト1をTaカップ4に装
着し、その後Taカツプ4はTaスリーブ5にレーザ溶接さ
れる、レーザ溶接の代りにロー材を用いても良い。カソ
ードの加熱には、W芯線6をアルミナ被覆したヒータ7
を用いて行う。以上がBa補給源となる。Baの補給量は、
加熱温度に依存するが、電子放出材料のモル比を変えた
り、また基体材料中にZr,Hf,Ti,Cr,Mn,Si,Al等の活性剤
を含有せしめる事によつても調整できる。Sc2O3補給源
として厚さ10nm〜1μmのWとSc2O3からなる薄層8を
真空スパツタ法より付着せしめた。なおWの代りにMo,R
e,Pt,Ir,Ta等の金属あるいはこれらの合金を用いてもよ
い。
このようなカソードを用い、カソード・アノード2極管
方式でアノードに幅5μS、くり返し100Hzの高圧パル
スを印加して飽和電流密度を測定した。その結果を第2
図に示す。
図中9が本発明によるWとSc2O3からなる薄膜の被覆を
行なつたカソードの特性である。従来のカソードの特性
は本発明の特性9に一致するが、Ar雰囲気圧約5×10-5
Torr中、25mAのエミツシヨン電流を用いて行なつたArイ
オンスパツタリングの5分間実施によりBa,Sc及びOか
らなる単原子層は除去されカソードの特性は10となる。
一方本発明のカソードではArイオンスパツタリングによ
る電子放出特性劣化は見られなかつた。
〔発明の効果〕
本発明によれば、何らかの理由により、a,Sc及びOから
なる単原子層が消失しても、動作中に補給されるため、
エミツシヨン特性の低下が全く見られないという効果が
ある。また、万一特性低下が生じても1150℃15〜30分程
度の熱処理により完全な単原子層が形成され、長寿命か
つ低温動作の特徴が維持される。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による含浸形カソードの一実施例を模式
図的に示した断面図、第2図は本発明によるカソードと
従来の含浸形カソードの電子放出特性を比較した図であ
る。 1……カソードペレット、2……多孔質のW基体、3…
…電子放出材料が含浸された空孔、4……Taカップ、5
……Taスリーブ、6……W芯線、7……アルミナ被覆、
8……薄膜、9……本発明による含浸形カソードの電子
放出特性、10……Arイオンスパッタリング後の従来の含
浸形カソードの電子放出特性。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 会田 敏之 東京都国分寺市東恋ヶ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (56)参考文献 特開 昭59−18539(JP,A) 実開 昭57−64053(JP,U)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電子放出材料であるBaOが含浸された耐熱
    性多孔質基体と、該耐熱性多孔質基体の電子放出面に形
    成された高融点金属とSc又はScの酸化物もしくはその両
    者とからなる厚さが10nm〜1μmの薄層を有し、上記薄
    層中の上記Sc又はScの酸化物もしくはその両者の量は1
    〜20重量%であり、かつ動作中にBa,Sc及びOからなる
    単原子層が上記薄層の電子放出面に存する含浸形カソー
    ドを用いることを特徴とする陰極線管。
  2. 【請求項2】上記高融点金属はW,Mo,Ir,Os,Re及びPtか
    らなる群から選ばれた少なくとも一種の金属である特許
    請求の範囲第1項記載の陰極線管。
  3. 【請求項3】上記多孔質基体材料中にZr,Hf,Ti,Cr,Mn,S
    i,Alからなる群から選ばれた少なくとも1つの活性剤が
    含まれている特許請求の範囲第1項又は第2項に記載の
    陰極線管。
  4. 【請求項4】上記電子放出材料はBaCO3,CaCO3,Al2O3
    モル比で4:1:1の割合に配合したものである特許請求の
    範囲第1項乃至第3項のいずれか一項に記載の陰極線
    管。
  5. 【請求項5】上記薄層の空孔率は20%以下である特許請
    求の範囲第1項至第4項のいずれか一項に記載の陰極線
    管。
  6. 【請求項6】上記薄層の空孔率は10%以下である特許請
    求の範囲第5項記載の陰極線管。
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