JPH0719228Y2 - コンバインにおける扱室への穀稈取込み装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （イ）産業上の利用分野 本考案は、走行装置上に脱穀機と操縦部およびエンジン
を搭載し該脱穀機の前方にフィーダーハウスを介して刈
取部を連設し、機体の前進に伴ない植立穀稈を刈取りフ
ィーダーハウスから穀稈の全量を扱室始端側に供給して
脱穀処理するコンバインであって、フィーダーハウスか
ら扱室始端側に供給される穀稈を順序よく確実に扱室内
に取込ませる穀稈取込み装置に関するものである。

（ロ）従来の技術 上記のような脱穀機において、扱胴にその周面から出没
する掻込みフィンガーなるものを装着せるものとして
は、従来例えば、実開昭55−113032号公報によって開示
された技術構成のものが知られている。

しかし、この同公報に開示されたものは脱穀選別後の２
番物を扱室に還元する際にその取込みを行なわせるもの
で、この掻込みフィンガーの先端部は周面からの出没に
より単なる回転軌跡を描いて扱胴の回転方向に取込もう
とするようにしたものである。

（ハ）考案が解決しようとする課題 このように従来、扱胴の周面に出没する掻込みフィンガ
ーを設けて脱穀選別後の２番物を扱室に還元する際にそ
の取込みを行なわせようとする技術は既に知られている
ところであるが、この掻込みフィンガーは扱胴の回転方
向にのみ取込むのであるから、本考案におけるコンバイ
ンのようにフィーダーハウスから扱室始端側に供給され
る穀稈を取込むのに用いてもその効果は期待できず、フ
ィーダーハウスから扱室始端側に供給されるべき穀稈が
停滞したりフィーダーハウスの始端部側に逆戻りするよ
うになってフィーダーハウス内の回転部分に巻付くなど
の不具合が生じる。

そこで本考案は、このフィーダーハウスから扱室内に供
給される穀稈を順序よく確実に取込ませて供給を安定な
ものにし、併せて回転部分に巻付くなどの不具合を解消
せんとするために考案されたものである。

（ニ）課題を解決するための手段 本考案は、前記の趣旨にそった穀稈取込み装置を提供す
るために、 走行装置上に脱穀機と操縦部およびエンジンを搭載し該
脱穀機の前方にフィーダーハウスを介して刈取部を連設
し、機体の前進に伴ない植立穀稈を刈取りフィーダーハ
ウスから扱室始端側に供給して脱穀処理するコンバイン
において、前記扱室内に収蔵軸架した扱胴の始端側にお
ける截頭円錐形部に、その周面から出没する掻込みフィ
ンガーを設け、該掻込みフィンガーを下周り側で周面に
対して略々直角状態に突出させ上周り側に至るにしたが
って退入させる構成にしたのである。

（ホ）作用 このように構成すると、フィーダーハウス内を送上され
てくる穀稈は扱胴の始端側における截頭円錐形部から略
々直角状態に突出する掻込みフィンガーによって引っ掛
けられ扱胴の回転方向に取込まれながら、その上周り側
に至るにしたがって退入するフィンガーの先端部によっ
て扱室終端側に向けての送り作用が合成され、順序よく
確実に扱室内に取込まれて脱穀処理されるのである。

（ヘ）実施例 以下本考案について実施例図を参照して説明する。そこ
で先ずこの例図に示すコンバインについて第５図により
その概要を記載すると、 （４）は機台（５）を支持する走行装置で、この機台
（５）上の左側にはスクリュー式の扱胴（１）を前後方
向にして収蔵軸架し、扱胴（１）の下周り側をコンケー
ブ（３）によって形成した扱室（２）と、この扱室
（２）からの扱卸物を選別する揺動選別体（６）を上下
に配設し、揺動選別体（６）の下側に選別風路（７）を
形成して構成する脱穀機（Ｂ）を搭載し、その右側には
操縦部（８）と穀粒タンク・エンジン（図示省略）を前
後に設け、前記脱穀機（Ｂ）と操縦部（８）の前方にフ
ィーダーハウス（９）を介して刈取部（Ａ）を連設し刈
取部（Ａ）での刈取穀稈をフィーダーハウス（９）内を
送上させて扱室（２）に供給するようにしている。

刈取部（Ａ）には刈刃（10）と掻込オーガ（11）が横設
され刈刃（10）の前側上方に掻込リール（12）が設けて
ある。

前記扱室（２）の下周り側には始端側から終端側にかけ
て弧状の前記コンケーブ（３）が張設され、終端部には
下向き開口の排稈口（13）を開設している。

また、揺動選別体（６）は始端部から終端部にかけてフ
ィードパン（14）・第１チャフシーブ（15）・第２チャ
フシーブ（16）を順次連設し、第１チャフシーブ（15）
の下側にグレンシーブ（17）を設けて、これらフィード
パン（14）・第１チャフシーブ（15）・第２チャフシー
ブ（16）・グレンシーブ（17）が一体となって前後に揺
動するようになっている。

前記の揺動選別体（６）の下側に形成する選別風路
（７）にはフィードパン（14）の下側に設ける圧風ファ
ン（18）によって起風される選別風が揺動選別体（６）
にそって吹流して上方に吹き抜けるようになり、選別風
路（７）の底部でグレンシーブ（17）の下方に横設され
る１番物受樋（19）によって１番物は前記の穀粒タンク
に貯溜され、２番物受樋（20）内のものは揚穀筒（21）
により扱室（２）に還元される構成になっている。

なお、（22）は矢印方向に回転する掻出刀であり、（2
3）は排塵カバーで排塵口（24）が開設され、（25）は
着脱自在の扱胴カバーであり、（26）は上下動と左右に
旋回自在に装着されて穀粒タンク内に貯溜された１番物
を取出す排出筒である。

したがって、コンバインを走行装置（４）によって前進
させると、植立穀稈は掻込リール（12）で掻込まれなが
ら刈刃（10）で刈取られこの刈取られた穀稈は掻込オー
ガ（11）によって集合されてフィーダーハウス（９）内
を送上ののち扱室（２）の始端側に供給されてスクリュ
ー式の扱胴（１）で終端側に移送されながら脱穀され、
この脱穀によってコンケーブ（３）から漏出した扱卸物
は前後に揺動する揺動選別体（６）に受止められ、フィ
ードパン（14）・第１チャフシーブ（15）・第２チャフ
シーブ（16）・グレンシーブ（17）の揺動作用と選別風
路（７）を吹流する選別風によって選別されて、１番物
は１番物受樋（19）から穀粒タンク（図示省略）に貯溜
され２番物は２番物受樋（20）に落下して扱室（２）に
還元され再処理されるようになる。

また、コンケーブ（３）から漏出しない藁切れなどの排
塵物は終端部の排稈口（13）から排出され、第２チャフ
シーブ（16）の終端部から排出されるものと一緒になり
掻出刀（22）によって排塵口（24）から機外に掻出され
るようになる。

次に、本考案の要部である穀稈取込み装置に関して第１
図〜第４図によってその構成と作用を記載すると、 前記扱胴（１）の始端側には截頭円錐形部（1a）が形成
されて、第３図に示すように終端側の後板（27）から後
方に延出する扱胴軸（28）を軸受（29）によって支架す
るとともに、扱胴（１）の前端部をこの扱胴軸（28）と
同一軸芯位置にして扱胴（１）内に前後方向に設け前端
部を機体側に取着し後端部を前記後板（27）に軸受（3
0）を介して支持させた固定軸（31）の前端部に軸受（3
2）により回転自在に嵌合させ、前記扱胴軸（28）の回
転駆動により扱胴（１）を（イ）方向に回転させるよう
に構成している。

また、前記固定軸（31）の截頭円錐形部（1a）内に相当
する部分を下向き凸曲のクランク状（33）に形成し、そ
の軸部（31a）に数個のリング（34）…を回転自在に嵌
合させるとともに、これらリング（34）…にそれぞれ前
記截頭円錐形部（1a）の周面に穿設せる孔（35）…に挿
通し杆身が摺動して出没する掻込みフィンガー（ａ）…
の基部を枢着し、扱胴（１）の回転により第２図の仮想
線（ロ）に示すように掻込みフィンガー（ａ）が下周り
側で周面から突出し上周り側に至るにしたがって退入す
るように構成するとともに、第３図の如く下周り側での
突出状態において掻込みフィンガー（ａ）の杆身と截頭
円錐形部（1a）の周面との角度（α）は略々直角の状態
になるように構成するのである。

なお、この角度（α）は直角よりも稍々大なるようにし
てもよいが、小になる側に掻込みフィンガー（ａ）を傾
けるのは好ましくないのである。

そうすると、掻込みフィンガー（ａ）は扱胴（１）が
（イ）の方向に回転すると仮想線（ロ）のように下周り
側で突出し上周り側に至るにしたがって次第に退入する
ようになるが、それに加えて掻込みフィンガー（ａ）の
先端部は第４図に示す矢印（ハ）のような軌跡を描くよ
うになり、フィーダーハウス（９）内を送上されてくる
穀稈は掻込みフィンガー（ａ）で引っ掛けられて扱胴
（１）の回転方向すなわち（イ）方向に取込まれながら
扱室（２）終端側に向わせる送り作用が合成されて矢印
（ハ）のように取込まれ順次脱穀処理されるようにな
る。

また、このスクリュー式の扱胴（１）は第６図〜第10図
に示すように、その周面に巻着せるスクリュー翼（36）
の外周部近くの部分に取付孔（37）が穿設され、そのス
クリュー翼（36）の一周部分を４等分したものに相当す
るものに扱歯（38）を成形してなるところの第７図に示
す翼板（39）をスクリュー翼（36）に添着してスクリュ
ー翼（36）の摩耗によりこれを巻着せる扱胴（１）全体
を交換することなく翼板（39）個々の取替えによって足
りるようにしてある。

そして、その翼板（39）には外周り側と内周り側および
その中間部にそれぞれ取付調節孔（40）（41）（42）が
穿設されて、その取付調節孔（40）（41）（42）を選択
して前記取付孔（37）に合致させ締付け具によって取付
けることによって扱歯（38）の外周の径が調節されるよ
うになっている。

すなわち、第８図のようにすると小径となり、第９図に
示すように取付けると中のものとなり、第10図は大径に
したものを示してあってコンケーブ（３）との間隙が調
整でき、かつ扱歯（38）の摩耗によって生ずる間隙の調
整も前記の取付調節孔（40）（41）（42）の選択によっ
て修正することができるのである。

さらに、扱歯（38）は（イ）方向に回転する先行側
（ｘ）から外周縁部（ｙ）にわたって摩耗するが、その
ときはこの摩耗した先行側（ｘ）が後行側になるように
翼板（39）を反転して取着するようにするのである。

（ト）考案の効果 本考案は、以上詳述したように、走行装置上に脱穀機と
操縦部およびエンジンを搭載し該脱穀機の前方にフィー
ダーハウスを介して刈取部を連設し、機体の前進に伴な
い植立穀稈を刈取りフィーダーハウスから扱室始端側に
供給して脱穀処理するコンバインにおいて、前記扱室内
に収蔵軸架した扱胴の始端側における截頭円錐形部に、
その周面から出没する掻込みフィンガーを設け、該掻込
みフィンガーを下周り側で周面に対して略々直角状態に
突出させ上周り側に至るにしたがって退入させる構成に
したのであるから、フィーダーハウス内を送上されてく
る穀稈は扱胴の始端側における截頭円錐形部から略々直
角状態に突出する掻込みフィンガーによって引っ掛けら
れ扱胴の回転方向に取込まれながら、その上周り側に至
るにしたがって退入するフィンガーの先端部によって扱
室終端側に向けての送り作用が合成されるようになっ
て、順序よく確実に扱室内に取込ませるので穀稈の供給
は安定し、かつこれによって供給されるべき穀稈が停滞
したりフィーダーハウスの始端側に逆戻りすることがな
くなって回転部分に巻付くなどの不具合を解消できるに
至ったのである。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案の実施態様を例示せるものにして、そ
の、 第１図は本考案要部を示す側面図、第２図は同要部を始
端側から見た図、第３図は同要部の構成を示した縦断側
面図、第４図は要部の作用説明図、第５図はコンバイン
全体の概略側面図、第６図と第７図は付帯的構成を示
し、第８図〜第10図はその取付状態を示したものであ
る。 ４……走行装置、Ｂ……脱穀機 ８……操縦部、９……フィーダーハウス Ａ……刈取部、２……扱室 １……扱胴、1a……截頭円錐形部 ａ……掻込みフィンガー

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】走行装置（４）上に脱穀機（Ｂ）と操縦部
   （８）およびエンジンを搭載し該脱穀機（Ｂ）の前方に
   フィーダーハウス（９）を介して刈取部（Ａ）を連設
   し、機体の前進に伴ない植立穀稈を刈取りフィーダーハ
   ウス（９）から扱室（２）始端側に供給して脱穀処理す
   るコンバインにおいて、前記扱室（２）内に収蔵軸架し
   た扱胴（１）の始端側における截頭円錐形部（1a）に、
   その周面から出没する掻込みフィンガー（ａ）を設け、
   該掻込みフィンガー（ａ）を下周り側で周面に対して略
   々直角状態に突出させ上周り側に至るにしたがって退入
   させる構成にしたことを特徴とするコンバインにおける
   扱室への穀稈取込み装置。