JPH07190822A - 感熱式流速計 - Google Patents

感熱式流速計

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Publication number
JPH07190822A
JPH07190822A JP5331344A JP33134493A JPH07190822A JP H07190822 A JPH07190822 A JP H07190822A JP 5331344 A JP5331344 A JP 5331344A JP 33134493 A JP33134493 A JP 33134493A JP H07190822 A JPH07190822 A JP H07190822A
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JP
Japan
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heat
sensitive
temperature
resistor
moat
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Application number
JP5331344A
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English (en)
Inventor
Makoto Tanabe
誠 田辺
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Ricoh Seiki Co Ltd
Ricoh Elemex Corp
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Seiki Co Ltd
Ricoh Elemex Corp
Ricoh Co Ltd
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Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Seiki Co Ltd, Ricoh Elemex Corp, Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Seiki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 室温が変化しても検出素子の出力が変化せず
に、正確な流速の検出を可能とし、発熱体抵抗温度係数
及び抵抗率が経時劣化しても、検出素子の静特性は変化
せずに、長時間における正確な流速の計測を可能にす
る。 【構成】 感熱素子10、20は、堀部12、22が形
成された基板11、21から成り、該堀部12、22の
上部には感熱(発熱)梁部13、23が橋架されてい
る。各梁部13、23の上部には発熱抵抗体または発熱
抵抗体と感熱部温度を検出する測温抵抗体Rhが配設さ
れ、また、基板11、12の縁部には、流体温度用の測
温抵抗体Rf、及び前記発熱抵抗体Rhと流体温度用測
温体Rfの電極14a〜14d,24a〜24dが設け
られている。前記2つの感熱素子の静特性は同じで、流
体依存特性である動特性は異なるように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、感熱式流速計に関し、
より詳細には、ガス等の流速、流量を測定するのに好適
な感熱式流速計に関する。
【0002】
【従来の技術】エッチング技術により、Si等の数ミリ
角の小基板に堀部を形成し、該堀部の上空に微小な梁を
渡し、該梁の上部に感熱部を形成することにより、該感
熱部の熱容量を低減せしめ、基板及び基板支持体への熱
損を小さくするようにした流速計又は流量計は既に提案
されている。流速検出の方法としては、梁を熱し、梁と
流体の温度差を一定にするために、投入された発熱体の
投入電力を出力として検出することで流速を計測する方
法がとられている。この方法によれば発熱や測温に要す
る投入電力の低減が図れる。
【0003】従来の流量計について記載した公知文献と
しては、例えば、特開昭61−235726号公報のも
のがある。この公報のものは、半導体の各種処理のため
のガス、医学用麻酔ガス、分析装置のために用いられる
ガスなどを測定するための流量計で、半導体本体と、該
本体内に設けられた通路内に保持された第1の薄膜フロ
ーセンサと、前記本体内に設けられた澱みガス通路内に
保持された薄膜澱みフローセンサと、前記第1のフロー
センサに向かう前記通路内の入口ガス温度を支持するた
めに、前記本体に設けられた本体温度センサとを有する
ものである。また、特開平1−216214公報のもの
は、2素子構成を有するもので、支持体の流れに対抗す
る端面に、該端面を覆う薄い内厚の前記支持体を設け、
空気中に漂遊する粒子の堆積を回避するようにしたもの
である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の流量計
においては、次のような問題点がある。梁と流体(室
温)間の温度差を一定にするように、梁上の発熱体に電
力供給を調整するが、室温(Tr)が変動すると、その
変化分(δTr)と発熱体抵抗材料の温度係数(α)か
ら算出される抵抗値変化分(αとδTrの積)が発熱体
投入電力の出力に含まれてしまう。つまり、ゼロ点にお
ける信号強度である出力オフセットが変化してしまう。
このため、室温が変化するごとに出力が変化し、正確な
流速の検出ができなくなってしまう。さらに、長期使用
に伴い、高温と高い通電量にさらされる感熱部では熱履
歴の悪影響が起こり、発熱体抵抗温度係数及び抵抗率が
経時劣化を起こす。この劣化により、素子の静特性が変
化して出力オフセットが経時変化を受ける。このため、
長期間における正確な流速の計測ができなくなってしま
う。
【0005】本発明は、このような実情に鑑みてなされ
たもので、室温が変化しても検出素子の出力が変化せず
に、正確な流速の検出を可能とすること、また、発熱体
抵抗温度係数及び低効率が経時劣化しても、検出素子の
静特性は変化せずに、長時間における正確な流速の計測
を可能にするようにした感熱式流速計を提供することを
目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、(1)物理的性質が同一又は同様な2つ
の感熱部を有し、両感熱部は、無風時の特性である静特
性が同じかもしくは同等で、流速依存特性である動特性
が異なるように構成されていること、或いは、(2)堀
部と、該堀部を橋架する梁部と、基板縁部とを具備し、
前記梁部には通電により発熱を行なう発熱抵抗体もしく
は発熱抵抗体と感熱部温度を検出する測温抵抗体を備
え、前記基板縁部に電極が設けられた感熱素子を2つ有
し、第1の感熱素子は被測定流体の流れに対して放熱感
度が大になるように前記梁に配設し、前記第2の感熱素
子は被測定流体の流れ方向と梁長手方向が同じになるよ
うに前記梁に配設されていること、或いは(3)単一の
基板上に、堀部と、該堀部を橋架する梁部と、基板縁部
とを具備し、前記梁部には通電により発熱を行なう発熱
抵抗体もしくは発熱抵抗体と感熱部温度を検出する測温
抵抗体と、前記基板縁部に電極が設けられた感熱素子を
2つ有し、第1の感熱素子における梁部の長手方向と、
第2の感熱素子における梁部の長手方向とが交差するよ
うな角度をもって配設されていること、或いは、(4)
基板に形成される単一の堀部と、該堀部を橋架する梁部
と、前記基板の基板縁部とを具備し、前記梁部は通電に
より発熱を行なう発熱抵抗体もしくは発熱抵抗体と感熱
部温度を検出する測温抵抗体と、前記基板縁部に電極が
設けられた感熱素子を2つ有し、第1の感熱素子におけ
る梁部の長手方向と、第2の感熱素子における梁部の長
手方向とが交差するような角度をもって配設されている
こと、或いは、(5)基板に形成された単一の堀部と、
該堀部を橋架する第1の梁部と、前記堀部上に片持梁式
に配設された第2の梁部とを有し、前記第1及び第2の
梁部には、通電により発熱を行なう発熱抵抗体もしくは
発熱抵抗体と感熱部温度を検出する測温抵抗体とを有
し、前記第1の梁部は、被測定流体の流れに対して感度
が最大になるように配設され、前記第2の梁部は、該梁
部の梁長手方向が被測定流体の流れ方向と同じ方向とな
るように、前記堀部の上流側及び下流側に配設され、前
記各梁部に設けられた感熱素子の熱容量が同じであるこ
と、更には、(6)前記(3)において、前記感熱素子
の発熱抵抗体を流れ上流側もしくは下流側に片寄せし、
必要に応じて梁部に測温抵抗体を別途設けること、或い
は、(7)堀部と、該堀部を橋架する梁部と、基板縁部
とを具備し、前記梁部には通電により発熱を行なう発熱
抵抗体もしくは発熱抵抗体と感熱部温度を検出する測温
抵抗体を備え、前記基板縁部に電極が設けられた感熱素
子からなり、該感熱素子は、前記梁部が重力方向に平行
になるように配設されていること、更には、(8)前記
(7)において、発熱抵抗体と対流熱測温抵抗体の梁部
の間にスリットを設けること、更には、(9)前記
(7)において、前記対流熱測温抵抗体の梁部と基板縁
部の接合部に貫通口を設けること、更には、(10)前
記(7)において、対流熱測温抵抗体を梁部の上流側に
設けることを特徴としたものである。
【0007】
【作用】前記構成により、本発明は、(1)感熱部を2
つ設け、両感熱部の静特性を同じにし、流れがゼロの時
には室温の変動や発熱部(梁材と発熱抵抗体)の物性の
経時劣化等による変動成分を同じにし、両感熱部の出力
信号の差を最終的な流速依存を表す出力としてみること
で素子流速出力から変動成分を除去する。また、両感熱
部の動特性を異ならしめ、流量がゼロでない場合に、出
力差が流量依存のみを示すようにする。従って、室温変
動成分と発熱抵抗体の抵抗温度係数と抵抗率の経時劣化
等による変動成分を素子レベルで流速出力から除去する
ことを可能とする。
【0008】(2)一方の感熱素子においては、感熱部
の長手方向が流れ方向に対し直角になるように配置さ
れ、他方の感熱素子においては感熱部の長手方向が流れ
方向に対し平行になるように配置されているので、一方
の感熱素子の流速感度は他方の感熱素子のそれに比べて
大きくなり、2つの出力の差動信号をとることで変動成
分を除去した正確な流速信号を出力することが可能とな
る。(3)第1の感熱梁部は長手方向が流れ方向に対し
直角になるように配置され、第2の感熱梁部においては
長手方向が流れ方向に対し平行になるように配置されて
いるので、第1の感熱部の流速感度は第2の感熱部のそ
れに比べて大きくなり、2つの出力の差動信号を取るこ
とで変動成分を除去した正確な流速信号を出力すること
が可能となる。
【0009】(4)第1の感熱部と第2の感熱部を1つ
の堀部に形成することで、流体経路は1つとなり、第1
の感熱部とにおいて違った流速を検出してしまうような
不具合をさらに減少することが可能になる。(5)第2
の感熱部を片持ち感熱梁部に分割することで、堀部の限
られた空間での配置が簡便になり、第1の感熱部は堀部
の中央に流れに対して長手方向が直角に配置され、第1
の感熱部の放熱感度は最大になる。このため、第1の感
熱部と第2の感熱部の出力差を増加することが可能とな
り、出力オフセッット変動を除去しつつ流速感度を向上
する作用を有する。
【0010】(6)発熱抵抗対を片寄らせることで微小
流量における出力特性の線形性を制御でき、発熱抵抗体
を感熱梁部の下流側に配置した場合には下流側感熱面積
が減少し、小流速領域において発熱抵抗体に熱せられた
流体から梁部の下流側に逆流する熱量が減少することか
ら、低流において放熱感度が増加する。このため、発熱
抵抗体を中央部に配置したときより低流量域の出力特性
の線形性がよくなる。 (7)発熱抵抗体の配備される感熱梁部の上下部分に一
組の測温抵抗体を配備することにより、対流熱の分布を
検出することが可能になり、前記測温抵抗体の組みをホ
イーストンブリッジ回路に組み込むことで、感熱部の上
下で温度変化が生じると、測温体抵抗値に変化が生じ、
その変化分に見合った電気出力が検出できる。
【0011】(8)発熱抵抗体と対流熱測温抵抗体を物
理的に分離することで感熱梁部を介した熱伝導による測
温抵抗体への大きな熱量の流入が除去でき、これによ
り、測温温度の基低値を低減でき、対流からの流入熱の
みを検出することが可能になる。(9)対流熱測温部に
流入する対流熱の一部は測温抵抗体の基板接続部から基
板へ流出してしまうので、測温抵抗体と基板縁接合部に
貫通口を設けることで、基板への流出を減少させること
ができ、対流熱による温度差出力を増加させることが可
能になる。(10)対流熱検出部を発熱抵抗体の上流側
に配備することで対流検出流量域(ゼロ点近傍)を小さ
くする作用を有する。
【0012】
【実施例】実施例について、図面を参照して以下に説明
する。図1は、本発明による感熱式流速計の一実施例
(請求項1,2)を説明するための構成図で、流速検出
素子は2つの感熱素子及び支持体から構成される。図
中、10は第1の感熱素子、11は基板、12は堀部、
13は感熱梁(発熱梁)部、14a〜14dは電極、2
0は第2の感熱素子、21は基板、22は堀部、23は
感熱梁(発熱梁)部、、24a〜24dは電極、30は
支持体、31は導体パターン、40は制御回路、50は
信号検出回路である。
【0013】感熱素子10及び20はそれぞれ、基板1
1、21からなり、各基板11、21には、それぞれ堀
部12、22が形成され、該堀部12、22の上部には
感熱(発熱)梁部13、23が橋架されている。各梁部
13、23の上部には発熱抵抗体または発熱抵抗体と感
熱部温度を検出する測温抵抗体Rhが配設され、また、
基板11、21の縁部には、流体温度用の測温抵抗体R
f、及び前記発熱抵抗体Rhと流体温度用測温体(参照
抵抗体)Rfの抵抗体電極14a〜14d,24a〜2
4dが設けられている。また、支持体30上には、前記
感熱素子10、20の各抵抗体電極に接続される導体パ
ターン31が形成されており、例えば、ワイヤボンディ
ングにより、前記抵抗体電極14a〜14d,24a〜
24dに接続されている。このように構成された流速検
出素子は、入出力信号経路を介して制御回路40及び信
号検出回路50に接続され、該信号検出回路50から流
速信号が出力される。
【0014】最初に感熱素子の作製に関して説明する。
Si基板11、21上面に酸化処理法やスパッタ真空製
膜法等を使い、熱絶縁体であるSiO2層を形成する。
膜厚は、0.5〜2μmである。エッチング法により、
図1に示す流体進入を促す形状を有する堀部12,22
及び梁部13,23を形成する。堀部12、22の深さ
は測定する最少流速でできる熱境界層以上にする必要が
あり、本実施例では150μm以上とした。梁部及び抵
抗体構成は以下のとおりである。
【0015】発熱抵抗体、測温抵抗体を形成する梁上面
に、発熱体層と基板間の密着性を向上させるためTa2
5層を形成する。図1に示すように、Ta25層の上
部、梁中央部に抵抗率の高い金属であるPt(白金)か
らなる発熱抵抗体Rhを形成する。ここでは発熱抵抗体
の抵抗値をもとに発熱制御をするいわゆる直熱式駆動の
場合を示したが、必要であれば、発熱抵抗体の近傍に独
立した発熱部測温用の抵抗体を設け、その抵抗値(温
度)をもとに流量に対し発熱量を可変するいわゆる傍熱
式駆動を行なってもよい。この場合の抵抗体構成は、測
温抵抗体を発熱抵抗体の近傍に発熱抵抗体と同様な作製
方法で配置する。
【0016】次に、熱的に発熱抵抗体から隔離された基
板面部分に、流体温度用の測温抵抗体Rfを二つPtで
形成する。この測温抵抗体Rfは、発熱・感熱部から熱
的に離れた場所に設置するのが好ましい。Pt抵抗層の
厚みは臨界密度を十分下回るようにする条件と、抵抗値
設定の条件から500〜5000Åがよい。さらに発熱
抵抗体、測温抵抗体上部に保護層との接合を向上させる
ためにTa25層を形成する。該Ta25層で保護層を
兼ねてもよい。このとき、密着強度補強層と抵抗層は蒸
着法、EB(Electron Beam:電子ビーム)蒸着法、ま
たは、スパッタ法等の真空製膜法で形成する。
【0017】形状切り出しは、リフトオフ法、Arスパ
ッターエッチング法等で行なう。下部、上部密着強度補
強層であるTa25層は薄いほどよいが、SiO2保護
層を形成する場合はPtとの整合性を確保するため10
0〜700Åがよい。保護層は、測温抵抗体の感度向上
のためには熱容量を減少させるという目的と量産性を向
上させる目的から薄いほうがよいが、保護膜としては厚
いほうが好ましい。このため、800〜5000Å範囲
に膜厚をおさえるとよい。保護層はSi34でもよい。
【0018】本実施例の流速検出素子の構成は以上のと
おりだが、基板材はエッチングしやすい材料であればS
iでなくともよい。また、熱絶縁層はSi34や金属酸
化物であるTa25、Al23でもよい。さらに、Si
2層とSi34層を組合せた多層膜でもよい。また、
密着強度補強層は、Ti,Cr,Ta,NiCr、Ti
Nでもよい。発熱抵抗体と測温抵抗体は、Ni,W,T
aでもよい。また、これらの材料に限定されるものでは
なく、抵抗率に温度依存性を持つ材料であれば適用す
る。上記構成の感熱素子二つをセラミック材からなる支
持体30に搭載し、抵抗体電極14a〜14d,24a
〜24dを介し制御回路40と信号検出回路50に接続
する。流出検出素子の支持体30は電気的、熱的に絶縁
性が高い材料であればセラミックである必要はない。
【0019】次に、制御・信号検出系の概略を説明す
る。制御系は、発熱抵抗体もしくは測温抵抗体と流体と
の温度差を一定にすべくRhとRfもしくはRsとRf
及び平衡用抵抗体からなるホイーストンブリッジ回路と
電源回路から構成される。検出系は二つの感熱部におけ
るRh両端の電圧差、もしくはRhを流れる電流を流速
検出素子の外部に設けた低抵抗体で電圧値とし出力を
し、電圧信号もしくは電流信号の差動出力として流速を
検出する抵抗体とアンプ系電気回路及び電源回路とから
構成される。
【0020】上述のように、上記実施例1,2によると
静特性が同じことから、流れがゼロの時には室温の変動
や感熱部(梁材と発熱抵抗体)の物性の経時劣化等によ
る変動成分は第1の感熱部及び第2の感熱部の両方に同
等にかかる。つまり、出力オフセット変動が同等にかか
る。従って、第1の感熱部、第2感熱部の出力信号の差
を最終的な流速依存を表す出力としてみることで、流速
検出素子の流速出力から変動成分を除去することが可能
になる。また、第1の感熱部と第2の感熱部の動特性は
違うことから、流量がゼロでない場合には、出力差は流
量依存のみを示す。本発明の流速検出素子はこのような
室温変動成分と発熱抵抗体の抵抗温度係数と抵抗率の経
時劣化等による変動成分を流速検出素子レベルで流速出
力から除去することを可能とする作用を持っている。
【0021】図2は、本発明による流速検出素子の他の
実施例(請求項3)を説明するための構成図で、図中、
60は基板で、その他、図1と同じ作用をする部分には
同一の符号を付してある。この実施例3は、単一の基板
60上にて堀部12、22を設けたものであるが該基板
60の作成法は、図1に示した基板11、21と同様で
ある。流速検出素子は、堀部12、22と感熱梁部1
3,23を一つづつ有し、同一の静特性を有する2つの
感熱素子10,20を形成し、第1の感熱部10は第2
の感熱部20に対して90°回転配置し、放熱特性を強
制的に低下させるようにしている。
【0022】図2に示す実施例によると、第1の感熱素
子10においては、感熱部の長手方向が、流れ方向に対
し直角になるように配置され、第2の感熱素子20にお
いては、感熱部の長手方向が、流れ方向に対し平行にな
るように配置されているので、第1の感熱素子10の流
速感度は第2の感熱素子20のそれに比べ大きくなる。
しかし、同じ条件で両素子の感熱部を駆動するので出力
オフセットへ混入する変動成分は同じであるから、二つ
の出力の差動信号をとることで変動成分を除去した正確
な流速信号を出力することが可能となる。さらに、故意
に動特性へ差をつける上で、蓋材で片方の感熱部品を流
体から覆う方法もあるが、それでは、蓋と感熱部の距離
を十分取らないと静特性に悪影響をもたらしてしまう。
本発明では片方の感熱部を動特性が低下するように配置
を回転するだけで、このような不具合は生じない。
【0023】図3は、本発明による流速検出素子の他の
実施例(請求項4)を説明するための構成図で、図中、
15は共通堀部で、その他、図2と同じ作用をする部分
は同一の符号を付してある。この実施例4は、単一の基
板60に1つの堀部15と2つの感熱梁部13,23を
形成し、同一の静特性を有する2つの感熱部を形成し、
感熱梁部23を感熱梁部13に対して90°回転配置
し、放熱特性を強制的に低下させるようにしたものであ
る。
【0024】図3に示す実施例によると、感熱梁部13
はその長手方向が流れ方向に対して直角になるように配
置され、感熱梁部23はその長手方向が流れ方向に対し
て平行になるように配置されているので、第1の感熱部
の流速感度は、第2の感熱部のそれに比べ大きくなる。
しかし、同じ条件で両素子の感熱部を駆動するので出力
オフセットへ混入する変動成分は同じであるから、2つ
の出力の差動信号を取ることで変動成分を除去した正確
な流速信号を出力することが可能となる。さらに、同一
の基板に同一の形状を有する堀部と感熱梁部で構成でさ
れていることから、出力オフセットを決定する流速ゼロ
時の静特性は両感熱部において同じである。
【0025】このことから、出力差をみることでオフセ
ット変動成分を除去することができる。さらに、両感熱
部が形成されていることからエッチングマスク設計の段
階で確実に配置が決定できることや共通電極数を低減で
きることから、流速検出素子の支持体への装着時の配置
誤りや電極接続の処理が軽減できる。さらに、両感熱部
がより近接して設置できるので、第1の感熱部とにおい
て違った流速を検出してしまうような不具合は減少す
る。また第1の感熱部と、第2の感熱部を一つの堀部に
形成することで、流体経路は一つとなり、第1の感熱部
とにおいて違った流速を検出してしまうような不具合を
さらに減少することが可能になる。また、感熱梁を近接
させることで、堀部の限られた空間での配置設計がより
簡便になる。
【0026】図4は、本発明の流速検出素子の更に他の
実施例(請求項5)を説明するための構成図で、図中、
23a,23bは片持ち感熱梁部で、その他、図3と同
じ作用をする部分には同一の符号を付してある。図4に
示す実施例5は、一つの堀部と第1の感熱部である両持
ち感熱梁部13を一つと、第2の感熱部である片持ち感
熱梁部23a,23bを2つ形成し、同一の静特性を有
する感熱部を2つ形成する。片持ち感熱梁部23a,2
3bは両持ち感熱梁部13に対して長手軸を90°回転
配置し、放熱特性を強制的に低下させようにしたもので
ある。
【0027】第2の感熱部を片持ち感熱梁部23a,2
3bに分割することで、堀部の限られた空間での配置が
簡便になる。感熱梁部23a,23bを上流もしくは下
流に配置すると流体への放熱特性が低下することが判明
しており、第2の感熱部の片持ち感熱梁部は、これらの
場所に回転配置すると、感熱梁部を90°回転配置した
ときのみに比べ、動特性をより低下することが可能にな
る。第1の感熱部は堀部15の中央の流れに対して長手
方向が直角に配置され、第1の感熱部の放熱感度は最大
になる。このため、第1の感熱部、第2の感熱部の出力
差を増加することが可能となり、出力オフセット変動を
除去しつつ流速感度を向上する作用を有する。
【0028】図5及び図6は、本発明による流速検出素
子の更に他の実施例(実施例6)を説明するための構成
図で、図中の参照番号は図2と同様である。図5及び図
6に示す実施例によると、流速検出素子には1つの堀部
12(22)と2つの感熱梁部13(23)を形成し、
同一の静特性を有する感熱部を2つ形成する。第2の感
熱梁部は第1の感熱梁部に対して90°回転配置し、放
熱特性を強制的に低下させる。さらに、図5に示すよう
に、第1の感熱梁部上の発熱抵抗体を下流側に片寄せ
る。これにより、低流における出力特性の線形性を向上
させる。また、図6に示すように、発熱抵抗体を上流側
に片寄せ、高流における出力特性の線形性を向上させ
る。なお、14e,14f,24e,24fは抵抗体電
極である。
【0029】前記図5及び図6に示す実施例によると、
発熱抵抗体を片寄らせられることで微小流量における出
力特性の線形性を制御できることが判明している。発熱
抵抗体を感熱梁部の下流側に配置した場合には下流側感
熱面積が減少し、小流速領域において発熱抵抗体に熱せ
られた流体から感熱梁部の下流側に逆流する熱量が減少
することから、低流において放熱感度が増加する。この
ため、発熱抵抗体を中央部に配置したときより低流量域
の出力特性の線形性がよくなる。また、発熱抵抗体を感
熱梁部の上流側に配置し、測温抵抗体を下流側に設け、
測温した温度を一定にするように発熱抵抗体に電力を投
入する駆動を採用した場合には、高流量における出力特
性の線形性を向上することが可能である。このとき、測
温抵抗体のある感熱梁部の下流部は発熱抵抗体から距離
をおいているので発熱部に比べ低温に保たれる。
【0030】すなわち、発熱部と測温部の温度格差が大
きくなり、その温度差は流量が大きくなるほど拡大す
る。しかし、この下流低温部を一定にすべく発熱駆動を
おこなうので、結局、発熱抵抗体を中央に配置した場合
より流量が大きくなるほどより大きな発熱エネルギーが
必要になる。発熱量が出力信号であるので発熱量が増加
するということは、流速感度が向上することであり、流
量増で温度差増の特性は、通常示す流速に対して平方根
的な依存を持つ流速感度特性の線形性を向上させる作用
を有する。第1の感熱部において、前記の発熱抵抗体の
片寄せをおこない、出力特性の線形性を向上させ、第2
の感熱部においては、通常の発熱抵抗体の配置にするこ
とで、出力オフセット変動を除去しつつ、流速感度を向
上した出力信号を取り出すことが可能になる。
【0031】図7は、本発明による感熱式流速計の他の
実施例(請求項6、実施例7)を示す図で、図中、素子
構成と駆動・検出用電気回路と演算回路の構成図が示さ
れており、流速検出部は感熱素子及び支持体から構成さ
れる。図中、70は感熱素子(流速検出素子)、71は
基板、72は堀部、73、74a,74bは感熱(発
熱)梁部、75a〜75hは抵抗体電極、80は支持
体、81は導体パターン、91は発熱量制御信号検出回
路、92は対流熱信号検出回路、93は流量換算・ゼロ
点検出演算回路である。
【0032】感熱素子70は基板71を有し、該基板7
1には堀部72が形成されている。該堀部72の上部に
は発熱(感熱)梁部73,74a,74bが橋架されて
いる。該感熱梁部74a,74bには対流熱測温抵抗体
Ru,Rdが設けられており、該発熱梁部は重力方向に
平行になるように流路に配置される。該発熱梁部には、
通電により発熱を行う。発熱抵抗体もしくは発熱抵抗体
と感熱部温度を検出する測温抵抗体Rhが配設され、該
抵抗体の両端部には電極75a〜75hが設けられてい
る。また、支持体80上には、感熱素子70の各抵抗体
電極に接続されている導体パターン81が形成されてお
り、例えば、ワイヤボンディングにより前記抵抗体電極
と接続されている。このように構成された流速検出素子
は、入出力信号経路を介して、発熱量制御信号検出回路
91、対流熱信号検出回路92、流量換算・ゼロ点検出
演算回路93に接続され、該演算回路93から流量信号
が出力される。
【0033】なお、感熱素子の作成に関しては、前述し
た図1の説明と同様であるが、発熱抵抗体Rh、対流熱
測温抵抗体RuとRdを形成する発熱梁部の上面に、発
熱体層と基板間の密着性を向上させるためにTa25
を形成してある。
【0034】次に、制御・信号検出系の概略を説明す
る。制御系は、発熱抵抗体もしくは感熱測温体と流体と
の温度差を一定にすべくRhとRfもしくはRsとRf
及び平衡抵抗体からなる第1のホイーストンブリッジ回
路と電源回路から構成される。検出系は主検出系と副検
出系からなる。主検出系は、発熱抵抗体の出力取り出し
系とA/D変換系からなる。つまり、Rh両端の電圧
差、もしくはRhを流れる電流を素子外部に設けた抵抵
抗体で電圧値としてデジタル出力し、この出力電圧を流
速信号とする。副検出系は、RuとRdを第2のホイー
ストンブリッジ回路に組み込んだもので、対流による梁
上下における温度差の検出を行う。次に、演算処理系に
おいて、対流速熱測温信号によりゼロ点判定を行い、ゼ
ロ時に発熱体出力を新たなオフセット値としメモリに更
新保持を行う。その後、発熱抵抗体の流速信号はオフセ
ット値を引いた形でガス流量に換算処理される。
【0035】発熱抵抗体の配備される感熱梁部の上下部
分に一組の測温抵抗体を配備することにより、対流熱の
分布を検出することが可能になる。この測温抵抗体組を
ホイーストンブリッジ回路に組み込むことで、感熱部の
上下で温度変化が生じると、測温体抵抗値に変化が生
じ、その変化分に見合った電気出力が検出できる。ガス
流量がゼロのときには感熱梁部の平板上に発生する対流
による熱の輸送により、下部測温体に比べて上部測温体
をより熱する。このため、対流熱が検出できる。対流速
度は数cm/s程度であり、ガスメータに使用する場合
の検出下限以下に相当することが判明している。つま
り、ガスメータの使用においては、ガスの流れ(強制
流)は少なくとも対流より大きいことが言える。
【0036】従って、ガス流量をゼロから増加させてい
くと、ゼロ以上の時は強制流が対流より大きくなるの
で、対流による熱分布はすばやく消滅し(臨界値を下回
る)、検出出力がゼロとなる。このことから、感熱梁部
の上下において測温をおこない、測温信号が臨界値以上
であれば流量がゼロであると判断することで、ガス流量
がゼロか否かの判定が随時おこなえる。流速は発熱抵抗
体の出力を演算処理することで得るのであるから、対流
熱検出にゼロ点を検出したときの発熱抵抗体の出力を出
力オフセット値とし、さらに、処理回路に更新登録して
以後の流量換算に使うことで、出力変動を随時校正する
ことが可能になる。これにより、長期使用に際してガス
メータの精度低下を防止する作用を有する。
【0037】図8(a),(b)は、本発明による流速
検出素子の更に他の実施例(実施例8)を示す図で、図
(a)は平面図、図(b)は図(a)のA−A′断面図
である。図中、76a,76bはスリット、77はTa
25層で、その他、図7と同じ作用をする部分は同一の
符号を付してある。感熱素子の作成の説明は実施例7と
同じため省略する。流速検出素子の感熱梁部73におい
て、発熱抵抗体と対流熱測温抵抗体の配置部の間にエッ
チングによりスリット76a,76bを設ける。
【0038】発熱抵抗体と対流熱測温抵抗体を物理的に
分離することで感熱梁部を介した熱伝導による測温抵抗
体への大きな熱量の流入が除去できる。これにより、測
温温度の基底値を低減でき、対流からの流入熱のみを検
出することが可能になる。つまり、測温信号からの発熱
抵抗体の特性の揺らぎの影響を低減でき、S/Nを向上
することが可能になるので、ゼロ点検出の精度を向上さ
せる必要がある。
【0039】図9(a),(b)は、本発明による流速
検出素子の感熱式流速計の更に他の実施例(実施例9)
を示す図で、図(a)は平面図、図(b)は図(a)の
A−A′断面図である。図中、78a,78bは貫通口
で、その他、図8と同じ作用をする部分は同一の符号を
付してある。感熱素子の作成の説明は実施例7と同じた
め省略する。流速検出素子の対流測温抵抗体の配置部に
おいて、基板縁にエッチングにより貫通口78a,78
bを設ける。
【0040】対流熱測温抵抗部に流入する対流熱の一部
は測温抵抗体の基板接続部から基板へ流出してしまう。
このため、測温抵抗体の温度が上昇しにくくなり、結果
的に上下測温温度の差が減少してしまう。測温抵抗体と
基板縁接合部に貫通口78a,78bを設けることで、
基板への流出を減少させることとができ、対流熱による
温度差出力を増加させることが可能になる。つまり、S
/Nをより向上することが可能になるので、ゼロ点検出
の精度をさらに向上させる作用がある。
【0041】図10は、本発明による流速検出素子の更
に他の実施例(実施例10)を示す図で、図中の参照番
号は図9と同様である。感熱素子の作成の説明は実施例
7と同じため省略する。流速検出素子において、発熱抵
抗体を有する主感熱梁部73の上流側に片持ち感熱梁部
74a,74bを2つ上下に設け、片持ち感熱梁部74
a,74b上に対流熱検出測温抵抗体を設置する。
【0042】対流熱検出部を発熱抵抗体の上流側に配備
することで対流検出流量域(ゼロ点近傍)を小さくする
作用を有する。これは、発熱抵抗体の上流側で対流を検
出すると、強制流ゼロ時には対流の感熱梁部の中央から
上流側へ拡散する横移動の熱成分のみを検出するため
と、この対流横成分は強制流が少しでも生じると消滅し
てしまうからである。
【0043】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によると以下のような効果がある。 (1)請求項1(実施例1)に対応する効果:静特性が
同じことから、流れがゼロの時には室温の変動や発熱部
(梁材と発熱抵抗体)の物性の経時劣化等による変動成
分は感熱部1と2の両方に同等にかかる。つまり、出力
オフセット変動が同時にかかる。従って、第1の感熱部
と第2の感熱部の出力信号の差を最終的な流速依存を表
す出力としてみることで素子流速出力から変動成分を除
去することが可能になる。また、第1の感熱部と第2の
感熱部の動特性は違うことから、流量がゼロでない場合
には、出力差は流量依存のみを示す。本発明の素子はこ
のような室温変動成分と発熱抵抗体の抵抗温度係数と抵
抗率の経時劣化等による変動成分を素子レベルで流速出
力から除去することを可能とする。 (2)請求項2(実施例2)に対応する効果:一方の感
熱素子においては、感熱部の長手方向が流れ方向に対し
直角になるように配置され、他方の感熱素子においは感
熱部の長手方向が流れ方向に対し平行になるように配置
されているので、一方の感熱素子の流速感度は他方の感
熱素子のそれに比べ大きくなる。しかし、同じ条件で両
素子の感熱部を駆動するので出力オフセットへ混入する
変動成分は同じであるから、2つの出力の差動信号をと
ることで変動成分を除去した正確な流速信号を出力する
ことが可能となる。さらに、故意に動特性へ差をつける
上で、蓋材で片方の感熱部を流体から覆う方法もある
が、それでは、蓋と感熱部の距離を十分とらないと静特
性に悪影響をもたらしてしまう。本発明では片方の感熱
部を動特性が低下するように配置を回転するだけあるの
で、このような不具合は生じない。 (3)請求項3(実施例3)に対応する効果:第1の感
熱梁部は長手方向が流れ方向に対し直角になるように配
置され、第2の感熱梁部においては長手方向が流れ方向
に対し平行になるように配置されているので、第1の感
熱部の流速感度は第2の感熱部のそれに比べて大きくな
る。しかし、同じ条件で両素子の感熱部を駆動するので
出力オフセットへ混入する変動成分は同じであるから、
2つの出力の差動信号を取ることで変動成分を除去した
正確な流速信号を出力することが可能となる。さらに、
同一の基板に同一の形状を持つ堀と梁で構成されている
ことから出力オフセットを決定するゼロ時の静特性は両
感熱部において同じである。このことから、出力差をみ
ることでオフセット変動成分を除去することができる。
さらに、両感熱部が形成されていることからエッチング
マスク設計の段階で確実に配置が決定できることや共通
電極数を低減できることから、素子支持体への装着時の
配置誤りや電極接続の処理が軽減できる。さらに、両感
熱部がより近接し設置できるので、第1の感熱部とにお
いて違った流速を検出してしまうような不具合は減少す
る。 (4)請求項4(実施例4)に対応する効果:第1の感
熱部と第2の感熱部を1つの堀部に形成することで、流
体経路は1つとなり、第1の感熱部とにおいて違った流
速を検出してしまうような不具合をさらに減少すること
が可能になる。また、感熱梁部を近接させることで、堀
部の限られた空間での配置設計が簡便になる。 (5)請求項5(実施例5)に対応する効果:第2の感
熱部を片持ち感熱梁部に分割することで、堀部の限られ
た空間での配置が簡便になる。感熱梁部を上流もしくは
下流に配置すると流体への放熱特性が低下することが判
明しており、第2の感熱部の片持ち感熱梁部はこれらの
場所に回転配置すると、感熱梁部を90°回転配置した
ときのみに比べ動特性をより低下することが可能にな
る。第1の感熱部は堀部の中央に流れに対し長手方向が
直角に配置され、第1の感熱部の放熱感度は最大にな
る。このため、第1の感熱部と第2の感熱部の出力差を
増加することが可能となり、出力オフセット変動を除去
しつつ流速感度を向上する作用を有する。 (6)実施例6に対応する効果:発熱抵抗体を片寄らせ
ることで微小流量における出力特性の線形性を制御でき
ることが判明している。発熱抵抗体を感熱梁部の下流側
に配置した場合には下流側感熱面積が減少し、小流速領
域において発熱抵抗体に熱せられた流体から梁部の下流
側に逆流する熱量が減少することから、低流において放
熱感度が増加する。このため、発熱抵抗体を中央部に配
置したときより低流量域の出力特性の線形性がよくな
る。また、発熱抵抗体を感熱梁部の上流側に配置し、測
温抵抗体を下流側に設け、測温した温度を一定にするよ
うに発熱抵抗体に電力を投入する駆動を採用した場合に
は、高流量における出力特性の線形性を向上することが
可能である。このとき、測温抵抗体のある感熱梁部の下
流側は発熱抵抗体から距離をおいているので発熱部に比
べ低温に保たれる。つまり、発熱部と測温部の温度格差
が大きくなり、その温度差は流量が大きくなるほど拡大
する。しかし、この下流低温部を一定にすべく発熱駆動
をおこなうので、結局、発熱抵抗体を中央に配置した場
合より流量が大きくなるほどより大きな発熱エネルギー
が必要になる。発熱量が出力信号であるので発熱量が増
加するということは流速感度が向上することであり、流
量増で温度差増の特性は通常示す流速に対し平方根な依
存を持つ流速感度特性の線形性を向上させる作用を有す
る。また、第1の感熱部において上記発熱抵抗体の片寄
せをおこない、出力特性の線形性を向上させ、第2の感
熱部においては通常の発熱抵抗体の配置にすることで、
出力オフセット変動を除去しつつ流速感度を向上した出
力信号を取りだすことが可能になる。 (7)請求項6(実施例7)に対応する効果:発熱抵抗
体の配備される感熱梁部の上下部分に一組の測温抵抗体
を配備することにより、対流熱の分布を検出することが
可能になる。この測温抵抗体の組みをホイーストンブリ
ッジ回路に組み込むことで、感熱部の上下で温度変化が
生じると、測温体抵抗値に変化が生じ、その変化分に見
合った電気出力が検出できる。ガス流量がゼロのときに
は感熱梁部の平板上に発生する対流による熱の輸送によ
り、下部測温抵抗体に比べ上部測温抵抗体をより熱す
る。このため、対流熱が検出できる。対流速度は数cm
/s程度であり、ガスメータに使用する場合の検出下限
以下に相当することが判明している。つまり、ガスメー
タの使用においてはガスの流れ(強制流)は少なくとも
対流より大きいことがいえる。したがって、ガス流量を
ゼロから増加させていくとゼロ以上の時は強制流が対流
より大きくなるので対流による熱分布はすばやく消滅し
(臨界値を下回る)、検出出力がゼロとなる。このこと
から、梁上下において測温をおこない、測温信号がある
臨界値以上であれば流量がゼロであると判断すること
で、ガス流量がゼロか否かの判定が随時おこなえる。流
速は発熱抵抗体の出力を演算処理することで得るのであ
るから、対流熱検出によりゼロ点検出した時の発熱抵抗
体の出力を出力オフセット値とし、さらに、処理回路に
更新登録し、以後の流量換算に使うことで、出力変動を
随時校正することが可能になる。これにより、長期使用
に際してガスメータの精度低下を防止する作用を有す
る。 (8)実施例8に対応する効果:発熱抵抗体と対流熱測
温抵抗体を物理的に分離することで感熱梁部を介した熱
伝導による測温抵抗体への大きな熱量の流入が除去でき
る。これにより、測温温度の基底値を低減でき、対流か
らの流入熱のみを検出することが可能になる。つまり、
測温信号からの発熱抵抗体の特性の揺らぎの影響を低減
でき、S/Nを向上することが可能になるので、ゼロ点
検出の精度を向上させる作用がある。 (9)実施例9に対応する効果:対流熱測温部に流入す
る対流熱の一部は測温抵抗体の基板接続部から基板へ流
出してしまう。このため、測温抵抗体の温度が上昇しに
くくなり、結果的に上下測温温度の差が減少してしま
う。測温抵抗体と基板縁接合部に貫通口を設けること
で、基板への流出を減少させることができ、対流熱によ
る温度差出力を増加させることが可能になる。つまり、
S/Nをより向上することが可能になるので、ゼロ点検
出の精度をさらに向上させる作用がある。 (10)実施例10に対応する効果:対流熱検出部を発
熱抵抗体の上流側に配備することで対流検出流量域(ゼ
ロ点近傍)を小さくする作用を有する。これは、発熱抵
抗体の上流側で対流を検出すると、強制流ゼロ時には対
流の感熱梁部の中央から上流側へ拡散する横移動の熱成
分のみを検出するためと、この対流熱横成分は強制流が
少しでも生じると消滅してしまうからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による感熱式流量計の一実施例を説明す
るための構成図である。
【図2】本発明による流速検出素子の一実施例を示す図
である。
【図3】本発明による流速検出素子の他の一実施例を示
す図である。
【図4】本発明による流速検出素子の更に他の実施例を
示す図である。
【図5】本発明による流速検出素子の更に他の実施例を
示す図である。
【図6】本発明による流速検出素子の更に他の実施例を
示す図である。
【図7】本発明による感熱式流量計の他の実施例を説明
するための構成図である。
【図8】本発明による流速検出素子の更に他の実施例を
示す図である。
【図9】本発明による流速検出素子の更に他の実施例を
示す図である。
【図10】本発明による流速検出素子の更に他の実施例
を示す図である。
【符号の説明】
10…第1の感熱素子、11…基板、12…堀部、13
…感熱梁(発熱梁)部、14a〜14d…電極、20…
第2の感熱素子、21…基板、22…堀部、23…感熱
梁(発熱梁)部、24a〜24d…電極、30…支持
体、31…導体パターン、40…制御回路、50…信号
検出回路。
フロントページの続き (72)発明者 田辺 誠 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 物理的性質が同一又は同様な2つの感熱
    部を有し、両感熱部は、無風時の特性である静特性が同
    じかもしくは同等で、流速依存特性である動特性が異な
    るように構成されていることを特徴とする感熱式流速
    計。
  2. 【請求項2】 堀部と、該堀部を橋架する梁部と、基板
    縁部とを具備し、前記梁部には通電により発熱を行なう
    発熱抵抗体もしくは発熱抵抗体と感熱部温度を検出する
    測温抵抗体を備え、前記基板縁部に電極が設けられた感
    熱素子を2つ有し、第1の感熱素子は被測定流体の流れ
    に対して放熱感度が大になるように前記梁に配設し、前
    記第2の感熱素子は被測定流体の流れ方向と梁長手方向
    が同じになるように前記梁に配設されていることを特徴
    とする感熱式流速計。
  3. 【請求項3】 単一の基板上に、堀部と、該堀部を橋架
    する梁部と、基板縁部とを具備し、前記梁部には通電に
    より発熱を行なう発熱抵抗体もしくは発熱抵抗体と感熱
    部温度を検出する測温抵抗体と、前記基板縁部に電極が
    設けられた感熱素子を2つ有し、第1の感熱素子におけ
    る梁部の長手方向と、第2の感熱素子における梁部の長
    手方向とが交差するような角度をもって配設されている
    ことを特徴とする感熱式流速計。
  4. 【請求項4】 基板に形成される単一の堀部と、該堀部
    を橋架する梁部と、前記基板の基板縁部とを具備し、前
    記梁部は通電により発熱を行なう発熱抵抗体もしくは発
    熱抵抗体と感熱部温度を検出する測温抵抗体と、前記基
    板縁部に電極が設けられた感熱素子を2つ有し、第1の
    感熱素子における梁部の長手方向と、第2の感熱素子に
    おける梁部の長手方向とが交差するような角度をもって
    配設されていることを特徴とする感熱式流速計。
  5. 【請求項5】 基板に形成された単一の堀部と、該堀部
    を橋架する第1の梁部と、前記堀部上に片持梁式に配設
    された第2の梁部とを有し、前記第1及び第2の梁部に
    は、通電により発熱を行なう発熱抵抗体もしくは発熱抵
    抗体と感熱部温度を検出する測温抵抗体とを有し、前記
    第1の梁部は、被測定流体の流れに対して感度が最大に
    なるように配設され、前記第2の梁部は、該梁部の梁長
    手方向が被測定流体の流れ方向と同じ方向となるよう
    に、前記堀部の上流側及び下流側に配設され、前記各梁
    部に設けられた感熱素子の熱容量が同じであることを特
    徴とする感熱式流速計。
  6. 【請求項6】 堀部と、該堀部を橋架する梁部と、基板
    縁部とを具備し、前記梁部には通電により発熱を行なう
    発熱抵抗体もしくは発熱抵抗体と感熱部温度を検出する
    測温抵抗体を備え、前記基板縁部に電極が設けられた感
    熱素子からなり、該感熱素子は、前記梁部が重力方向に
    平行になるように配設されていることを特徴とする感熱
    式流速計。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1762851A2 (en) 2005-09-07 2007-03-14 Hitachi, Ltd. Flow sensor with metal film resistor
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