JPH07188758A - 磁束密度の高い方向性けい素鋼板の製造方法 - Google Patents
磁束密度の高い方向性けい素鋼板の製造方法Info
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Abstract
仕上げ焼鈍における鋼板表層部の抑制力の低下を抑制し
て、磁束密度の極めて高い方向性けい素鋼板を得る。 【構成】 最終高圧下の冷間圧延の前に行う焼鈍を第1
段階と第2段階とに分け、第1段階では、750 〜850 ℃
の範囲の温度で30〜90sec の均熱又は700 〜900℃の温
度域に30〜90sec 滞留させる徐熱であって、焼鈍雰囲気
を0.1 〜10%のNH 3 を含み、かつH2を20〜80%含有し、
露点20〜60℃で残部がN2バランスとした窒化熱処理を行
い、第2段階では、引き続いてNH3 濃度を0.1 %未満に
規制した雰囲気中、1050〜1200℃で30〜90sec の均熱を
施す再結晶熱処理を行うこと及び脱炭焼鈍工程以降での
N含有量の増加を、10wt ppm以下に抑制することの結合
を特徴とする。
Description
製造方法に関するもので、特に磁束密度の高い鋼板を製
造することができる方法を提案しようとするものであ
る。
用鉄心に使用されるもので、磁気特性として磁束密度
(800 A/m の磁場の強さでの値B8 で示される)が高
く、鉄損(1.7 Tの最大磁束密度における50Hzの交番鉄
損値W17/50で示される)が低いことが必要とされる。
々になされ、(1) 鋼板の板厚を薄くする、(2) Si含有量
を高める、(3) 最終製品の結晶粒径を小さくするといっ
た改善の結果、板厚0.23mmの鉄損値としてW17/50が0.90
W/kgといった低鉄損の材料も得られるようになった。し
かしながら、現状以上に鉄損を低減することは容易でな
い。すなわち、鋼板の板厚を現状以上に薄くすると、後
述する2次再結晶不良を惹起し鉄損が逆に劣化する。ま
た、Si含有量を高めると、冷間圧延が困難となる。さら
に、結晶粒径を冶金学的に小さくする方法も現状の平均
粒径4〜8mmよりも小さくした場合、やはり2次再結晶
不良となって鉄損が劣化する。
入したり溝を形成する、いわゆる磁区細分化技術によっ
て大幅な鉄損の改善が可能となった。すなわち、前述の
W17/ 50が0.90W/kgの鉄損値を示す材料の場合、鋼板表面
にプラズマジェット等で適正な局部歪を導入することに
より、0.80W/kgまで鉄損を低減することが可能となっ
た。かかる手法によって優れた鉄損の材料を得るために
は、従来と異なり、最終製品の結晶粒径を小さくする必
要はなく、専ら板厚を薄くすること、Si含有量を高める
こと及び磁束密度を高めることに依存する。ここに、Si
含有量をこれ以上増加することは困難であることより、
鉄損特性の向上は、如何に板厚の薄い材料の磁束密度を
向上させるかという技術課題の解決にかかっている。
させるためには、製品の結晶粒方位を(110)[00
1]方位、いわゆるゴス方位に高度に集積させる必要が
ある。このゴス方位の結晶粒は、最終仕上げ焼鈍により
生起させる2次再結晶現象によって得られる。そして、
この2次再結晶を起こさせるには、(110)[00
1]方位に近い結晶粒のみを成長させて、他の方位の結
晶粒の成長を抑制する、いわゆる選択成長をさせるべ
く、他の方位の結晶粒の成長を抑制するための抑制剤
(インヒビター)が必要である。すなわち、インヒビタ
ーは鋼中に析出分散相を形成し、粒成長の抑制作用とし
ての機能を発揮する。
用が強いものが、より選択成長効果が強く、磁束密度の
高い材料が得られるので、これまで多くの研究がなされ
てきたが、最も効果の得られたものはAlN であった。す
なわち、特公昭46−23820号公報に開示されてい
る如く、Alを含有する鋼板において、最終冷延前の焼鈍
で急冷処理をし、最終冷延の圧下率を80〜95%の高圧下
率とすることにより、実施例5では、0.35mmの板厚でB
10が1.981 T(B8 で約1.95T)という高磁束密度の材
料が得られている。
した場合は、高磁束密度が得られないという問題点が発
生した。すなわち、2次再結晶粒の核となる(110)
[001]方位の粒は、板厚方向に均一に存在している
のではなく、板厚の表層付近に存在しているのである
が、板厚が薄くなった場合、最終仕上げ焼鈍時の雰囲気
の影響を受け易くなり、2次再結晶が不安定になるとい
う問題が起こる。というのは、鋼板表層部に存在するAl
N は、鋼板表面の酸化によって分解消失して、抑制力が
弱くなっているからである。このように鋼板表層部には
元来、抑制力の弱い領域が存在しているのであるが、板
厚が薄くなった場合には、最終仕上げ焼鈍に際して2次
再結晶粒の核となる(110)[001]方位の粒の存
在する場所が、抑制力の弱い領域に近づくか包含されて
しまい、結果として2次再結晶不良となる。
板において、板厚の薄い場合をみると、前述の特公昭4
6−23820号公報の実施例6では、0.228 mmの板厚
で冷延2回法によりB10:1.930 T(B8 として約1.91
0 T)の値を得ているが、これは満足のいく高磁束密度
とは云えない。
は、鋼中にSn及びCuを添加し、冷延1回法で0.15〜0.25
mmの方向性けい素鋼板を製造する技術が開示されてい
る。ここにSnは、2次再結晶を安定化する作用があり、
CuはSnを添加したことによる被膜への有害な作用を打消
すために必要とされている。しかしながら、この技術で
もってしても、磁束密度はB10で1.92T(B8 にして約
1.90T)であり、未だ十分効果があるとは云えない。
最終仕上げ焼鈍の雰囲気により鋼板表層部のインヒビタ
ーが影響を受けて抑制力が低下する現象があり、この抑
制力低下の影響を受ける鋼板表層部の領域に、2次再結
晶の核生成領域が近づくか包含されるといった問題に対
して、鋼板全体の抑制力を高めることや、第1回目の冷
間圧延後の組織を改善することは何ら有効な手段とはな
り得ないからである。
の抑制力を強化する手法として発明者らは、鋼中にSbを
添加する技術を提案した。すなわち、Sbの表面偏析効果
によって、最終仕上げ焼鈍途中での鋼板表面の酸化を抑
制してインヒビターの分割消失を抑制し、高磁束密度材
料を製造する技術技術であり、これを特開平2−115
319号公報において提案した。しかしながら、この技
術でもってしても、抑制力の低下を十分に抑えることに
は至らず、薄方向性けい素鋼板の磁束密度の向上は十分
でなかった。
る方向性けい素鋼板においては、中間焼鈍で表層部の脱
窒現象が起きており、これが表層抑制力の低下を招いて
いた原因であることが判明し、その対策として中間焼鈍
前に、窒化促進剤を塗布して、脱窒量を補償する技術を
特開平4−173923号公報において提案した。しか
しながらこの技術によっても、鋼板表層部の抑制力の低
下を抑えることは必ずしも十分でなく、薄方向性けい素
鋼板において高磁束密度材を安定して得ることは難しか
った。
力を強化する方法として、鋼板表層部を窒化する方法が
古くから知られている。例えば特開昭49−6455号
公報には、Alを含有する方向性けい素鋼板の製造におい
て、脱炭焼鈍工程後に窒化する技術が開示されている。
は、Alを含有する方向性けい素鋼板の製造に関し、最終
冷延前の工程において、窒化雰囲気中600 〜1200℃で、
最終板厚割合に換算して鋼板中央部の0.10mm以上の領域
を残した鋼板表層部に窒化増量0.005 〜0.075 %の窒化
処理を行う技術が開示されている。しかし、この技術に
よっても得られた磁束密度は高々B10:1.93T(B8 に
して約1.91T)であり、高磁束密度の材料は得られてい
ない。
板板厚が薄くなった場合に、最終仕上焼鈍雰囲気によっ
て鋼板表層部のインヒビターが影響を受け抑制力が低下
する領域に、2次再結晶の核が包含されるといった問題
に対して、鋼板全体の抑制力を高めることや、第1回目
の冷間圧延後の組織を改善することは何ら有効な手段と
はなり得なかった。また、Sbを鋼中に含有させ、表面偏
析効果を利用する技術は一定の成果をもたらしたが、ま
だ十分とは云えない。さらに、途中工程における窒化に
よって鋼板表層部の抑制力を高める技術は、しばしば方
位の劣る粒の2次再結晶を誘起する問題があった。
ける鋼板表層部の抑制力の低下という課題を有利に解決
するもので、Sbを鋼中に含有させた鋼に工夫を加えるこ
とにより、抑制力の低下を抑制して、磁束密度の高い方
向性けい素鋼板を得ることができる製造方法を提案する
ことを目的とする。
0.09wt%(以下、単に%で示す)、Si:2.5 〜5.0 %、
Al:0.01〜0.04%、Sb:0.005 〜0.060 %及びN:0.00
55〜0.0095%を含有するけい素鋼スラブを熱間圧延し、
最終板厚とする1回の冷間圧延を高圧下で行うこと及び
その1回の圧延前には焼鈍を行うことの条件を満たす1
回又は2回の冷間圧延を行って最終板厚とし、次いで脱
炭焼鈍、さらに焼鈍分離剤を塗布してから最終仕上焼鈍
を施す一連の製造工程からなる方向性けい素鋼板の製造
方法において、最終高圧下の冷間圧延の前に行う焼鈍を
第1段階と第2段階とに分け、第1段階では、750 〜85
0 ℃の範囲の温度で30〜90sec の均熱又は700 〜900℃
の温度域に30〜90sec 滞留させる徐熱であって、焼鈍雰
囲気を0.1 〜10%のNH 3 を含み、かつH2を20〜80%含有
し、露点20〜60℃で残部がN2バランスとした窒化熱処理
を行い、第2段階では、引き続いてNH3 濃度を0.1 %未
満に規制した雰囲気中、1050〜1200℃で30〜90sec の均
熱を施す再結晶熱処理を行うこと及び脱炭焼鈍工程以降
でのN含有量の増加を、10wt ppm以下に抑制することの
結合を特徴とする磁束密度の高い方向性けい素鋼板の製
造方法である。
った実験について詳細に説明する。C:0.078 %,Si:
3.31%,Mn:0.068 %,P:0.006 %,S:0.005 %,
Al:0.024 %,Se:0.019 %,Sb:0.026 %及びN:0.
0074%を含有する鋼スラブを1420℃で均熱15分間の加熱
をした後、熱間圧延によって1.9 mmの熱延板とした。こ
の熱延板に1000℃で60sec の焼鈍を行った後、酸洗し、
第1回目の冷間圧延によって1.20mmの中間圧延板とし
た。中間圧延板は脱脂後、9分割してa〜iのコイルと
した。
露点35℃で残余はN2バランスの雰囲気下、800 ℃で40se
c の窒化処理を施した後、1100℃に昇温して60sec の
間、H2中雰囲気で焼鈍をした後、ミストで40℃/secの急
冷処理を行った。
は、NH3 :25%、H2:75%, 露点35℃で残余はN2バラン
スといったコイルaの場合よりも高窒化雰囲気下、800
℃で40sec の窒化処理を施した後、1100℃に昇温して60
sec の間、H2雰囲気中で焼鈍した後、ミストで40℃/sec
の急冷処理を行った。これらa及びbの2コイルは、そ
の後第2回目の冷間圧延で最終板厚0.18mmとした後、露
点60℃、H2:55%、N2バランスの湿水素雰囲気中850 ℃
で2時間の脱炭焼鈍を施した。
点35℃で残余はN2バランスの雰囲気中で800 ℃、40 sec
の熱処理を施し、次いで1100℃で60sec の間、H2中で焼
鈍した後、ミストで40℃/secの急冷処理を行った。
75%、露点35℃で残余はN2バランスの雰囲気中、800 ℃
で40sec の窒化処理を施した。また、コイルdにはN
H3 :25%, H2:75%、露点35℃で残余はN2バランスの
雰囲気中、800 ℃で40sec の窒化処理を施した。これら
のコイルc及びdは、その後第2回目の冷間圧延で最終
板厚0.18mmとした後、露点60℃、H2 55 %、N2バランス
の湿水素雰囲気で850 ℃で2分間の脱炭焼鈍を施した。
2回目の冷間圧延により最終板厚0.18mmとした。冷間圧
延後、コイルeには、NH3 :0.3 %, H2:75%、露点35
℃で残余はN2バランスの雰囲気中、800 ℃で40sec の窒
化処理を施した。また、コイルfには、NH3 :4.0 %,
H2:75%、露点が35℃で残余はN2バランスの雰囲気中、
800 ℃で40sec の窒化処理を施した。これらe及びfの
コイルには、さらに露点60℃、H2:55%、N2バランスの
湿水素雰囲気中、850 ℃で2分間の脱炭焼鈍を施した。
露点60℃、H2:55%、N2バランスの湿水素雰囲気中、85
0 ℃で2分間の脱炭焼鈍を施した。このうち、コイルg
にはさらにNH3 :0.3 %,H2:75%、露点が35℃で残余
はN2バランスの雰囲気中、800 ℃で40sec の窒化処理を
施し、コイルhにはNH3 :4.0 %,H2:75%、露点35℃
で残余はN2バランスの雰囲気中、800 ℃で40sec の窒化
処理を施した。
脱炭焼鈍後でのN含有量を示すと、コイルa:(中間焼
鈍後のN含有量86ppm, 脱炭焼鈍後のN含有量87ppm )
であり、以下、同様にコイルb:(125, 127)、コイル
C:(87, 88)、コイルd:(130, 133)、コイルe:
(74, 87)、コイルf:(75, 119 )、コイルg:(7
5, 88)、コイルh:(75, 127 )、コイルi:(74, 7
5)であった。
に、TiO2を5%、 Sr(OH)2・8H2Oを3%含有するMgO を
主成分とする焼鈍分離剤を塗布した後、コイル状に巻き
取り、H2雰囲気中、840 ℃で40時間保持し、その後15℃
/hr の速度で1200℃まで昇温するH2:25%、N2:75%の
雰囲気中での2次再結晶焼鈍、引き続く1200℃,5時間
のH2雰囲気中での純化焼鈍からなる最終仕上げ焼鈍を施
した。その結果の得られた磁気特性を各コイル毎に表1
に示す。
て、窒化処理したコイルa〜dのうち、窒化量の少ない
コイルaは、極めて高い磁束密度が得られた。これに対
し、窒化量の多いコイルbは、磁束密度は1.8 Tレベル
であり低く,中間焼鈍に引き続いて窒化処理したc,d
のコイルも磁束密度は1.8 Tレベルであり低い。また、
窒化量が少ないコイルにおいても、最終冷延板や脱炭焼
鈍板にに窒化処理を行ったe,f,g,hのコイルにお
いては、おしなべて磁束密度は1.8 Tレベルであり、窒
化処理をしないコイルiの1.913 Tより低い。
行うにあたり、中間焼鈍より後に窒化処理を行う場合
は、磁束密度が劣化するし、さらに中間焼鈍前において
も窒化量が多い時に磁束密度は低下することがわかっ
た。この原因を調査した結果、窒化量が多い場合や、中
間焼鈍後に窒化した場合は、窒化処理によって鋼板表層
部にSi3N4 やFeN が形成されており、この結果、逆に抑
制力が弱くなっていることがわかった。すなわち、発明
者等の研究によると、鋼板表層部にSi3N4 やFeN が残存
していると、鋼板表層部の抑制力が逆に弱くなり、2次
再結晶の温度が急激に低下し、2次再結晶の安定性は増
加するが、方位の劣る粒が2次再結晶し、それゆえ磁束
密度が低下することを新規に見出したのである。
0−19489号公報に記載された245 ppm (実施例
1)や213 ppm (実施例2)といった多量の窒化技術と
異なり、磁束密度低下の悪影響を避けるために、第1段
階で窒化量を約3〜20ppm の範囲に抑えた窒化処理を行
い、第2段階の中間焼鈍として高温の再結晶熱処理によ
って、この窒化処理中に生成したFeN やSi3N4 を分解
し、AlN に変化させることによって高磁束密度を得るこ
とに想到した。そこから、中間焼鈍後には、窒化現象を
可能な限り抑制し、N含有量の増加量として10ppm 以下
に抑えることが必要であることも判明した。
囲としては、種々の実験によって以下のように求められ
た。すなわち、温度範囲としては750 〜850 ℃である。
750 ℃よりも低い温度の場合は、所定の窒化量を得るの
に長時間を要し、実用的はなかった。また850 ℃を超え
る場合、窒化量が過多になり易く、また適正量であって
も、鋼板の板厚中央部まで窒素が侵入し、鋼板表層部の
抑制力強化というこの発明の目的を逸失して、かえって
磁束密度の低下を招く。均熱時間は30〜90sec が妥当で
あった。また、一定温度に保持する場合だけでなく、昇
温過程で窒化しても全く同等の効果があった。この場
合、温度範囲は700 〜900 ℃と若干広くとってよく、ま
た昇温速度は2.0 〜5.0 ℃/secの範囲が有効であった。
のNH3 濃度が適切であった。0.1 %未満のNH3 濃度では
窒化量として十分でなく、10%を超えると窒化量が過多
になって磁束密度が劣化した。また、処理時、H2を20〜
80%含有させておくことが、窒化処理を安定化させるの
に必要であった。H2が20%未満である場合は窒化量が大
きく変動し、逆にH2が80%を超える場合は、窒化が困難
になる傾向があった。さらに、処理時の雰囲気の露点を
高めることが、窒化処理を増進するのに有効であること
を発明者は新規に見出した。この確かな理由は不明であ
るが、表面酸化、脱炭によって、表面に純Feの相が形成
され、FeN が生成し易くなるためではないかと考えられ
る。この目的のためには露点は20〜60℃に調整すること
が必要であった。
よって生成したFeN やSi3N4 を分解、拡散して全量を有
用なAlN へ変換することが主目的のひとつであると云え
る。このためには、第2段階において、雰囲気中にNH3
が0.1 %以上存在してはならないことがわかった。すな
わち、NH3 が、0.1 %を超えて存在すると、高温での窒
化反応が進行し、有害なFeN やSi3N4 が存在することに
なるからである。この点、先に述べた特公昭50−19
489号公報における窒化処理は高温であり、この意味
においてこの発明の技術の観点からは適切とはいえな
い。また、これらFeN やSi3N4 を分解、拡散して、AlN
への変換のための焼鈍としては温度として1050〜1200
℃、時間として20〜90sec の均熱が必要であった。
処理工程以降には、FeN やSi3N4 からAlN への変換を十
分になし得る高温熱処理工程は存在しないので、該焼鈍
工程以降に窒化処理を行うと、前述の実験からも明らか
なように逆効果となって磁束密度は劣化する。したがっ
て、脱炭焼鈍工程以降での窒化は極力抑制する必要があ
り、窒化量として10ppm 以下に抑制することが必要であ
るとの知見を得たのである。
ラブの成分についてに述べる。 C:0.02〜0.09% Cは、γ変態を利用して熱延組織を改善するために0.02
%以上必要である。一方0.09%を超えると脱炭不良とな
るので、0.02〜0.09%の範囲とする。 Si:2.5 〜5.0 % Siは、電気抵抗を高めて鉄損を向上させるため2.5 %以
上必要である。一方5.0 %を超えるとぜい化が激しく冷
間圧延が困難となるので、2.5 〜5.0 %の範囲とする。
ビターである、AlN 析出のための基本成分であり、0.01
%未満ではAlN の析出量が足りず、逆に0.04%を超える
と析出するAlN が粗大化して抑制力が劣化するので0.01
〜0.04%の範囲とする。 N:0.0055〜0.0095% Nもこの発明の高磁束密度を得るために必須の主インヒ
ビターである、AlN の析出のための基本成分であり、0.
0055%未満ではAlN の析出量が足りず、逆に0.0095%を
超えると鋼スラブの加熱の際にガス化して、フクレ等の
トラブルの原因になるので0.0055〜0.0095%の範囲とす
る。
時における鋼板表層部の抑制力の強化に必要な成分であ
り、かつインヒビター効果の補強としても有効である。
この効果のためには0.005 %以上が必要であるが、0.06
0 %を超えると鋼板のぜい化が甚だしくなるので、0.00
5 〜0.060 %の範囲とする。
発明に必須の成分であるが、その他にMn、S、Se等も含
有させてもよい。Mnは、熱間圧延時の割れを防止するの
に有用であり、またMnS やMnSe等の副インヒビター利用
の際にはインヒビター形成成分としても有用となる。そ
のためには、0.02%以上必要である。但し0.3 %を超え
ると、これらMnS やMnSeをスラブ加熱により溶解させる
ことが困難となるので、その範囲は0.02〜0.3 %が望ま
しい。
S やMnSeを析出させるので有用な成分である。この効果
をもたらすためには、0.005 %以上が必要であるが、一
方、0.040 %を超えると、析出物の粗大化が生じ磁気特
性の劣化を招くので0.005 〜0.040 %の範囲が好まし
い。
公知であるCu, Sn, P, Bi, As, B, Ge, V, Nb, Cr等
を含有しても良いことは勿論である。この目的のために
は、Cu, Sn, Crは、0.03〜0.30%、Biは0.005 〜0.020
%、P, Ge, V, Nb, Asは0.005 〜0.030 %、Bは0.00
05〜0.0020%の範囲の含有が好ましい。加えて、けい素
鋼特有の熱間圧延での割れを防止するために、Moを0.00
5 〜0.020 %含有させることも可能である。
明する。上記成分を含有するけい素鋼スラブは、常法に
よりスラブ加熱された後、熱間圧延が施される。熱間圧
延のコイルは、冷間圧延工程により、最終鋼板板厚とさ
れるが、この冷間圧延工程には、1回の冷間圧延で最終
板厚とする冷延1回法と、中間焼鈍を挟む2回の冷間圧
延で最終板厚とする冷延2回法との2種が存在する。冷
延2回法は、冷延1回法に比較して、有害な熱延組織の
破壊が進行するので、磁気特性上は有利となるが、コス
ト的には不利になる。この冷延1回法、冷延2回法のい
ずれもこの発明で対象となる工程である。
う。これがこの発明でいう最終高圧下の冷間圧延の前に
行う焼鈍に該当することになる。
焼鈍が必須ではなく、必要に応じて行う。すなわち、熱
延板焼鈍は、熱延組織の改善のために再結晶と炭化物の
サイズ調整のために行うもので、冷延2回法において熱
間圧延の条件が十分管理されている場合は、かかる焼鈍
は必ずしも必要とされないのである。また、熱延板焼鈍
を行わず、炭化物の調整のみを行う焼鈍を施すことも行
われる。一般に熱延板焼鈍の条件は900 〜1200℃で30〜
120 sec である。炭化物の調整のための焼鈍はより低
温、短時間となる。冷延2回法において、第1回目の冷
間圧延は、第2回目の高圧下冷間圧延の圧下率を適正に
するための中間板厚を調整する目的及び加工歪を加える
ことによって加工歪の開放による中間焼鈍での再結晶を
促進させる目的がある。これらの目的の達成のために
は、圧下率は10%以上あれば十分である。また、圧延中
途での鋼板の割れを防止するため50〜300 ℃の温度範囲
での温間圧延を施しても良い。
脂された後、中間焼鈍を施す。これが、この発明でいう
最終高圧下の冷間圧延の前に行う焼鈍に該当する。すな
わち、冷延1回法における熱延板焼鈍及び冷延2回法に
おける中間焼鈍であるところの最終高圧下の冷間圧延の
前に行う焼鈍をこの発明では、2つの段階に区分し、第
1段階では、所定の条件により窒化熱処理を行い、第2
段階では、所定条件により再結晶熱処理を行うことが特
徴である。なお、この第1段階、第2段階の熱処理は、
それぞれを独立とした熱処理とすることも可能である
が、ただひとつのヒートサイクルで処理する方が効率的
である。
う焼鈍について詳述する。焼鈍の第1段階は、窒化処理
を施すためのもので、750 〜850 ℃で30〜90secの均熱
処理かもしくは700 〜900 ℃の温度域に30〜90sec 滞留
させる徐熱処理で行われる。かかる一定温度に保持して
処理する均熱の場合、750 ℃よりも低温では所定の窒化
量を得るのに時間を要するため実用的でなく、また850
℃を超える温度では、窒化量が過多になり易く、また適
正量に抑制したとしても、鋼板の板厚中央部にまで窒素
が侵入するので、いずれの場合も、磁束密度の向上とい
うこの発明の目的は達成されない。均熱時間も、30sec
よりも短い場合は所定の窒化量が得られず、一方90sec
よりも長い場合は過多に窒化して磁束密度の低下を招
く。
定温度保持の場合と同一であるが、温度範囲が700 〜90
0 ℃と若干広範囲となる。また滞留時間は30〜90sec の
範囲が有効である。すなわち、90sec を超える場合は窒
化処理に時間がかかり過ぎて実用的でなく、逆に30sec
未満の場合は、十分な窒化量が得られない。
は、NH3 を用いる。NH3 の濃度が0.1 %未満の場合は窒
化量として十分でなく、10%を超えると窒化量が過多と
なって後述する第2段階での熱処理においても窒化物の
AlN への変換が十分でなく磁束密度が劣化する。したが
ってNH3 濃度の適正値は0.1 〜10%の範囲とする。
要である。H2は、下記の反応により鋼板が窒化される量
を制御する機能を有することから必要なのである。
80%を超えると窒化反応そのものが抑制される傾向とな
るので、H2濃度は20〜80%とする。
水蒸気を混入させる点がこの発明の特徴のひとつであ
る。雰囲気の露点を高めることにより、窒化速度が飛躍
的に増加し、処理時間の短縮が図れると同時に、生成し
た窒化物が第2段階の熱処理においてAlN に変換し易く
なり、磁束密度の向上に有益な効果を果たす。この目的
のためには、雰囲気の露点として20℃以上が必要である
が、一方60℃を超えると表面酸化が激しくなり、表層の
インヒビターの消失を進行させるので、雰囲気の露点の
範囲としては20〜60℃の範囲とすることが必要である。
また、残余のバランスガスとしてはAr等、中性ガスで良
いが、N2ガスが安価で最も適する。
について、この目的は第1段階で生成した表層のFeN や
Si3N4 の窒化物を解離・固溶し、拡散によって全量有用
なAlN へ変換すること及び鋼板結晶組成の再結晶化であ
る。
〜1200℃の範囲とする。1050℃より低いとFeN やSi3N4
等といった窒化物のAlN への変換が十分行われない。ま
た、1200℃以上の温度の場合は、再結晶粒が粗大化して
2次再結晶が困難となる。したがって、第2段階の熱処
理温度は1050〜1200℃の範囲に限定した。均熱時間につ
いて、30sec 未満の場合は上記した各種窒化物のAlN へ
の変換が十分に行われないし、一方90sec を超える場合
は再結晶粒が粗大化して2次再結晶が困難となる。した
がって均熱時間は30〜90sec の範囲とする。
ついては、酸化性、還元性、中性を問わないが、NH3 濃
度を0.1 %未満に抑えた非窒化性雰囲気とする必要があ
る。すなわち、NH3 濃度が0.1 %以上の場合は、第2段
階の中間焼鈍においても窒化が進行して生成したFeN や
Si3N4 が鋼板表層に残存し、結果的に製品の磁束密度が
低下する。したがって、雰囲気中のNH3 濃度を0.1 %未
満に抑えることが必要である。この要件を満たすために
は、第1段階の窒化処理と第2段階の再結晶熱処理を別
工程とするか、又は、同一工程で処理する場合には、焼
鈍炉中に雰囲気ガス混合防止の隔壁を設けるなどの処理
を施すことが好ましい。
知のように500 ℃までの急冷が必要である。これは、鋼
中炭化物の析出状態の制御のために必要であり、より好
ましくは500 ℃以下での徐冷又は低温での温度保持によ
って、炭化物のサイズと分散の制御を一層厳密に行うこ
とが可能になる。
処理を施されたコイルは、必要に応じて酸洗や洗浄又は
研削後、最終冷間圧延に供される。最終の冷間圧延は、
公知のように圧下率80〜95%の高圧下とすることが必要
で、この範囲をはずれると、いずれの側でも磁束密度が
低下する。
延途中、短時間での1回のみの時効処理や、パス間にお
ける多数回の時効処理(パス毎時効処理)や100 〜300
℃での高温での圧延(温間圧延)を行って磁気特性を向
上させることも可能である。
に供される。脱炭焼鈍は、公知の湿水素雰囲気中、750
〜900 ℃、60〜180 sec で行われる。この発明において
は、窒化熱工程以降における各工程において、鋼中のN
含有量を増加させることは極力抑制することが必要であ
り、脱炭焼鈍工程以降でのN含有量の増加量を10ppm以
下に規定する。10ppm を超える場合は、鋼板表層部にFe
N やSi3N4 が生成し、抑制力を逆に弱めるために製品の
磁束密度を低下させる。したがって、脱炭焼鈍工程以降
でのN含有量の増加を10ppm 以下に抑制することが必要
である。
た後、コイル状に巻き取られ最終仕上げ焼鈍に供され
る。最終仕上げ焼鈍は公知の方法で行って良く、特に、
この発明ではSbを含有するので、昇温途中での800 〜87
0 ℃で10〜80時間の一定温度保持の処理が磁気特性を向
上させるのに有効である。
剤を除去した後、絶縁抵抗を高める必要のある場合は絶
縁コーティングを塗布して平坦化焼鈍を施し製品とされ
る。また製品は、プラズマジェット、レーザーもしくは
電子ビームの照射や、溝形成等の磁区細分化技術を適用
することは可能で、この発明の目的とも合致する。
ついて説明する。まず、表2に示す成分組成になる鋼塊
記号A〜Sを準備した。
分間の均熱をした後、常法に従って1.8 mmの熱延コイル
とした。この熱延コイルは、1000℃で60sec の熱延板焼
鈍を施した後、120 ℃の温間圧延で1.20mmの中間厚のコ
イルとした後、28分割した。各分割コイルを表3に示す
条件で窒化熱処理及び再結晶熱処理を行う中間焼鈍に供
した。中間焼鈍の冷却はいずれの条件もミストで行なっ
て冷却速度40℃/sec で500 ℃まで冷却し、その後はミ
ストを切って徐冷とした。
第2回目の冷間圧延を150 ℃の温度で行い0.18mmの最終
板厚とした。その後、脱脂して湿水素中で850 ℃で2分
間の脱炭焼鈍を行い、5%のTiO2と1%のSrSO4 を添加
したMgO を焼鈍分離剤として塗布し、コイル状に巻き取
った後、840 ℃で40時間、Ar中での保持とそれに続いく
15℃/hr の昇温過程をN225%、H275%の雰囲気下での2
次再結晶焼鈍及び1200℃で10時間のH2中での純化焼鈍か
らなる最終仕上げ焼鈍を行った。最終仕上げ焼鈍後のコ
イルは、未反応分離剤を除去した後、張力コーティング
を塗布して800 ℃で1分間の平坦化焼鈍を施した。平坦
化焼鈍後の鋼板の磁気特性を測定し、表3に併せて記
す。次いで、各コイルは、プラズマジェット(PJ)を
表面に圧延方向に直角な方向に7.5 mmピッチで照射し
て、磁区細分化処理を施した。PJ照射後の鉄損値も第
3表に併せて示す。
間焼鈍条件を行った発明例については、磁束密度の極め
て高い薄方向性けい素鋼板が得られている。
分間の均熱をした後、常法の熱間圧延により2.0mm の熱
延コイルとした。この熱延コイルは、950 ℃で70sec の
熱延板焼鈍を施した後、150 ℃での温間圧延で1.30mmの
中間厚のコイルとした後、10分割した。各分割コイルに
は、窒化熱処理として700 ℃から900 ℃にかけて滞留60
sec 、の徐熱焼鈍でNH3 による窒化処理を施した後、11
00℃まで昇温し、N2 25 %、H275 %の雰囲気(残留NH
3 の量はいずれも0.05%未満であった)による再結晶焼
鈍を60sec 施し、ミストによって80℃まで40℃/secの冷
却速度で急冷した。なお、上記窒化処理時の雰囲気は、
H2:55%、露点40℃とし、NH3 濃度を各分割コイルに応
じて0%,0.01%, 0.05%, 0.1 %, 0.5 %, 2.0 %,
5.0 %, 10%, 15%及び25%に変化させ、残分はH2ガス
でバランスをとった。
目の冷間圧延を200 ℃で行い、各パス毎にコイルを巻取
って時効処理を施し0.20mmの最終板厚とした。その後、
脱脂して湿水素中で850 ℃で2分間の脱炭焼鈍を行い、
7%のTiO2を添加したMgO を焼鈍分離剤として塗布し、
コイル状に巻き取った後、850 ℃で25時間のH2中での保
持とそれに続く15℃/hr の昇温工程をN225%、H275%の
雰囲気下での2次再結晶焼鈍と1200℃で10時間のH2中で
の純化焼鈍からなる最終仕上げ焼鈍を行った。最終仕上
げ焼鈍後のコイルは未反応分離剤を除去した後、張力コ
ーティングを塗布して820 ℃で1分間の平坦化焼鈍を施
した。平坦化焼鈍後の磁気特性を表4及び図1に示す。
また、各コイルはプラズマジェット(PJ)を7.5 mmピ
ッチで照射して、磁区細分化処理を施した。この磁区細
分化後の鉄損を測定した結果も表4に併せて示す。
明を満たすNH3 濃度による窒化処理及び再結晶処理を施
した発明例は、磁束密度の極めて高い薄方向性けい素鋼
板が得られている。
分間の均熱をした後、常法の熱間圧延により2.0 mmの熱
延コイルとした。熱延コイルは酸洗後1.30mmの中間厚の
コイルとした後、窒化熱処理として700 ℃から900 ℃に
かけて、滞留時間40sec の徐熱焼鈍でNH3 3%、H2 75
%、露点40℃、残余N2バランスの雰囲気で窒化処理をし
た後、冷却し、再び1050℃で60sec の再結晶焼鈍をN2 3
0 %、H270 %の雰囲気下で行い、ミストによって350
℃まで45℃/secで急冷後、330 ℃で25sec 保持した後、
水冷した。窒化処理後の各コイルは酸洗後、第2回目の
冷間圧延を180 ℃の温度で行い、0.20mmの最終板厚とし
た後、5コイルに分割した。その後、各コイルは脱脂し
て湿水素中で840 ℃で2分間の脱炭焼鈍を行い、7%の
TiO2を添加したMgO を焼鈍分離剤として塗布し、コイル
状に巻取った後、850 ℃で25時間の焼鈍をN2中で行った
が、この時、分割コイルに対しN2中にNH3 をそれぞれ0
%,0.05%, 0.1 %, 0.3 %及び1.0 %混入させて脱炭
焼鈍した。脱炭焼鈍後の鋼中のN含有量は、それぞれ0
ppm ,3ppm ,5ppm ,12ppm 及び25ppm 増加してい
た。最終焼鈍仕上後、各コイルは未反応分離剤を除去し
た後、張力コーティングを塗布して820 ℃で1分間の平
坦化焼鈍を施した。平坦化焼鈍後の磁気特性を表5に示
す。また各コイルはパルスレーザーを5mmピッチで照射
して磁区細分化処理を施し鉄損を測定した。パルスレー
ザー照射後の鉄損値も表5に併せて示す。
10ppm を超えて窒化した鋼板は、磁束密度が大幅に低下
しているのに対し、この発明で規定した窒化量10ppm 以
下の鋼板においては磁束密度の極めて高い薄方向性けい
素鋼板が得られている。
分間の均熱をした後、熱間圧延によって1.8 mmの熱延コ
イルとした。但し鋼塊記号Hのスラブは1230℃で60分間
の均熱をした後、1.8 mmの熱延コイルとした。各熱延コ
イルは熱延板焼鈍を施した後、120 ℃の温間圧延で1.20
mmの中間厚のコイルとした後、中間焼鈍に供した。中間
焼鈍は、まず窒化熱処理として800 ℃で40sec 、NH3 4
%、H2 55 %、露点45℃で残余はN2バランスの雰囲気下
で窒化処理を施した後、H2 80 %、露点15℃、NH3 0.03
%、残余N2バランスの雰囲気下で1100℃まで昇温し、11
00℃で60sec の再結晶焼鈍を施した後、ミストで350 ℃
まで35℃/secで急冷し、330 ℃で20sec 保持して水冷し
た。
の冷間圧延を180 ℃の温度で行い、その際に各圧延パス
毎コイルを巻き取って時効処理をして、0.18mmの最終板
厚とした。その後、脱脂して湿水素中で850 ℃で2分間
脱炭焼鈍を行い、5%のTiO2と1%のSr(OH)2 ・8H2Oを
添加したMgO を焼鈍分離剤として塗布し、コイル状に巻
き取った後、850 ℃まではN2雰囲気、850 〜1150℃まで
はN2 20 %、H2 80 %、1150〜1200℃まではH2雰囲気
下、昇温速度15〜20℃/hr で昇温して1200℃で10時間、
H2雰囲気中で純化焼鈍した。その後、各コイルは未反応
分離剤を除去した後、張力コーティングを塗布して800
℃で1分間の平坦化焼鈍を施した。この平坦化焼鈍後の
磁気特性を表6に記す。次いで各コイルはプラズマジェ
ット(PJ)を7.5 mmピッチで照射して、磁区細分化処
理を施し鉄損を測定した。プラズマジェット照射後のの
鉄損値も表6に併せて示す。
℃で20分間均熱した後熱間圧延よって1.8 mmの熱延コイ
ルとした。各熱延コイルに熱延板焼鈍を施すに際し、ま
ず窒化熱処理として700 ℃から900 ℃にかけて、60秒間
で昇温する間をNH3 を5%含有し、かつH2を60%、露点
を45℃で残部N2バランスとする雰囲気とし、それに引き
続いて、1150℃で60sec をNH3 を0.1 %未満とした雰囲
気による再結晶焼鈍を施し、その後の冷却はミストを用
いて40℃/sec の急冷とした。
した後、180 ℃の温度で1回の冷間圧延によって0.22mm
の最終厚さとした。その後、脱脂して、湿水素中で850
℃で2分間脱炭焼鈍を行い、5%のTiO2と1%のSrSO4
を添加したMgO を焼鈍分離剤として塗布し、コイル状に
巻き取った後、850 ℃で40時間N2中で保持した後、N2 2
5 %、H2 75 %の雰囲気で1200℃まで12℃/hr の昇温速
度で昇温する2次再結晶焼鈍、さらに1200℃で10時間H2
中で保持する最終仕上焼鈍を行った後、炉冷した。
た後、張力コーティングを塗布して800 ℃で1分間の平
坦化焼鈍を施した。平坦化焼鈍後の磁気特性を表7に記
す。また、各コイルはプラズマジェット(PJ)を7.5
mmピッチで照射する磁区細分化処理を施した。磁区細分
化処理後の鉄損値も併せて表7に記す。
ば、鋼板板厚の低下にもかかわらず鋼板表層の正常粒成
長抑制力を維持でき、磁気特性に優れた方向性けい素鋼
板の製造を可能にする。
後の磁束密度との関係を示す図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 C:0.02〜0.09wt%、Si:2.5 〜5.0 wt
%、Al:0.01〜0.04wt%、Sb:0.005 〜0.060 wt%及び
N:0.0055〜0.0095wt%を含有するけい素鋼スラブを熱
間圧延し、 最終板厚とする1回の冷間圧延を高圧下で行うこと及び
その1回の圧延前には焼鈍を行うことの条件を満たす1
回又は2回の冷間圧延を行って最終板厚とし、次いで脱
炭焼鈍、さらに焼鈍分離剤を塗布してから最終仕上焼鈍
を施す一連の製造工程からなる方向性けい素鋼板の製造
方法において、 最終高圧下の冷間圧延の前に行う焼鈍を第1段階と第2
段階とに分け、 第1段階では、750 〜850 ℃の範囲の温度で30〜90sec
の均熱又は700 〜900℃の温度域に30〜90sec 滞留させ
る徐熱であって、焼鈍雰囲気を0.1 〜10%のNH 3 を含
み、かつH2を20〜80%含有し、露点20〜60℃で残部がN2
バランスとした窒化熱処理を行い、 第2段階では、引き続いてNH3 濃度を0.1 %未満に規制
した雰囲気中、1050〜1200℃で30〜90sec の均熱を施す
再結晶熱処理を行うこと及び脱炭焼鈍工程以降でのN含
有量の増加を、10wt ppm以下に抑制することの結合を特
徴とする磁束密度の高い方向性けい素鋼板の製造方法。
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