JPH0718853B2 - クロマトグラフイ−におけるデ−タ処理方法 - Google Patents

クロマトグラフイ−におけるデ−タ処理方法

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JPH0718853B2 JP59098362A JP9836284A JPH0718853B2 JP H0718853 B2 JPH0718853 B2 JP H0718853B2 JP 59098362 A JP59098362 A JP 59098362A JP 9836284 A JP9836284 A JP 9836284A JP H0718853 B2 JPH0718853 B2 JP H0718853B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、クロマトグラフィーにおいて分離された複数
成分を検出器によって電気信号に変換したクロマトグラ
ムの処理方法に関する。
一般にクロマトグラフィーは、試料に含まれる複数の成
分を分離して、定量分析や物質の同定を行なうために利
用される。クロマトグラフィーにおいては、試料をカラ
ム内に通して複数成分に分離し、検出器によってこれら
分離された成分の量に応じた電気信号を発生するように
なし、この電気信号をクロマトグラムと称して、チャー
トに記録したり、さらに、演算処理してピーク数、ピー
ク面積、ピーク高さ、および保持時間等をプリントアウ
トすることもある。
クロマトグラフィーによって定性分析や定量分析を行な
う場合には、試料の各ピークの面積や高さ等を計算し、
それぞれの試料の主成分の量や、ある特定成分の含量等
を比較することが行われる。
しかしながら、従来のクロマトグラフィーのデータ処理
方法は、各ピークの保持時間、面積、高さ等を計算する
のみであるから、ある特定成分が各クロマトグラム上に
おいて、どのピークに対応するかを熟練者が判定する必
要があった。ピークの対応を調べるとき、主に保持時間
に着目するのであるが、保持時間は、クロマトグラフィ
ー装置の再現性およびカラムの固体差や劣化によって変
化するうえ、装置の運転条件やカラムの種類を変更した
ときなどは大幅に変化する。従って、ピークの対応を調
べクロマトグラムの解析を行なうには高度の熟練を要す
る。また、熟練者であっても誤った判断を下すことがし
ばしばあった。
本発明は、上記に鑑みなされたもので、クロマトグラム
のピークの対応を熟練者を必要とせずに可能とならしめ
るために用いられる、クロマトグラフィーにおけるデー
タ処理方法に関するものである。
すなわち、本発明は、複数のクロマトグラムを比較し
て、各クロマトグラム間でのピークの対応を調べる場合
に、各クロマトグラム中に複数の主要ピークを決め、こ
れらの主要ピークの保持時間がそれぞれ各クロマトグラ
ム間で実質的に一致するように上記各クロマトグラムの
保持時間を変換するにおいて、主要ピークの保持時間を
一致させる変換を、線型回帰式、スプライン関数または
ミニマックス法にて行なうことを特徴とするクロマトグ
ラフィーにおけるデータ処理方法(以下、本発明方法と
記す)に関するものである。
本発明方法において、上記主要ピークは解析するクロマ
トグラムのいずれにも現れていることが必要であり、一
般に分離された成分の中の主成分に対応するものを選択
すると良く、また、主要ピークの保持時間を一致させる
変換は、例えば、下記の中から最適なものを選択して用
いることができる。
1) あるクロマトグラムを基準として、各クロマトグ
ラムの主要ピークの保持時間を基準のものに変換する1
次の線型回帰式を用いる。
これは主要ピークが複数のとき一般的に用いられる。
いまクロマトグラムa)とb)とを比較する場合、クロ
マトグラムa)の中から主要ピークとしてn本を選定
し、これらのピークの保持時間がyi(i=1,2,…,n)で
あったとする。
これらに対応するクロマトグラムb)のピークの保持時
間はそれぞれxi(i=1,2,…,n)であったとする。
このとき1次の線型回帰式は、 yi=a・xi+b+ξi(i=1,2,…,n)。
係数a,bは によって求めることができる。ここで、 このようにして求めた1次の線型回帰式によって、クロ
マトグラムb)のすべてのピークの保持時間xj(j=1,
2,…,m)は、 x′j=a・xj+b によってx′jに変換でき、この保持時間を変換したク
ロマトグラムの主要ピークの保持時間は、クロマトグラ
ムa)の対応する主要ピークの保持時間と実質的に一致
する。
また、回帰式の代わりにミニマックス法またはスプライ
ン関数による変換式を用いることもできるが、計算の簡
単さからは回帰式が好ましい。
2) 保持時間に関する高次の線型回帰式を用いて前記
1)と同様の変換を行なう。
これは主要ピークが3つ以上ある場合に好適できる。前
記1)と同様ミニマックス法、スプライン関数を用いる
こともできる。
クロマトグラフィー装置の運転条件の異なるクロマトグ
ラムを比較する場合に特に有効である。
これらの変換は保持時間の全域にわたって同一の式を用
いるのが一般的である。しかし、液体クロマトグラフィ
ーで移動相のグラジェント条件や流量の異なるクロマト
グラムを比較する場合には、条件が同一の部分と異なる
部分とに、また、グラジェント条件や流量を変更した時
点を基準に保持時間を複数の区間に分割し、それぞれの
区間で異なる変換式を用いることも必要である。この場
合でもスプライン関数を用いるときは上記各区間の境界
付近に節点を選んで1つの式で変換することも可能であ
る。
保持時間変換の基準となる主要ピークは、経験的に決め
ることもでき、ほとんどの場合十分役立つ。しかし、主
成分というべきものが無く、各分離成分の量、すなわ
ち、クロマトグラムの各ピークの面積または高さが大幅
に変動する場合は、統計的手法によって主要ピークを決
めるのが効果的である。
主要ピークを決める場合、これから解析するクロマトグ
ラムの一部または全部を用いることもできるし、また、
予め測定してある別のクロマトグラムを用、いることも
可能である。
また、内部標準法を用いて、全試料に適当に定めた標準
物質を混合してクロマトグラフィーの測定を行ない、こ
の標準物質のピークを主要ピークとすることもできる。
標準物質としては1種類のみ用いるときは、保持時間が
全測定時間の1/2程度、すなわち、クロマトグラムの中
間付近にそのピークが現われるような物質、また、複数
用いるときは、それらのピークがクロマトグラムの全体
にほぼ均一に分布するような物質を選定することが好ま
しい。また、液体クロマトグラフィーのグラジェント条
件を変更する時など、保持時間の変換が複雑になるとき
には、条件を変更する時点の前後にそれぞれ標準物質の
ピークが現われるように、複数の標準物質を選定するこ
とが好ましい。
標準物質の混合量は、保持時間とピーク面積またはピー
ク高さなどによって、試料のピークと区別が容易になる
ように定めることが好ましい。
内部標準法は、試料が多成物系で主要ピークが決め難い
ときには特に有効であり、また、試料の内の主要ピーク
と併用することも可能である。
以下に実施例を用いて、本発明をさらに詳細に説明す
る。実施例中、試料はすべてC.I.Reactive Yellow 76で
あり、それぞれ合成条件または原料が異なるものであ
る。クロマトグラムはすべて高速液体クロマトグラムで
あり、カラムは住化分析センター(株)製リクロソルブ
RP−18,移動相は水およびメタノールを用いグラジェン
トをかけて測定した。
各図に示すクロマトグラムは、ピーク面積を棒の長さに
置換して示した棒グラフによる簡略化されたクロマトグ
ラムである。横軸は保持時間でフルスケールは約30分で
ある。縦軸は各ピーク面積の合計を100に正規化した値
であり、フルスケールは5として微小なピークを見易く
してある。各図で、a)はすべて同一のクロマトグラム
であり、比較の基準として用いた。b)は実施例毎に異
なる試料のクロマトグラムであり、a)と比較して各ピ
ークの対応関係を調べようとするものである。c)は本
発明方法により、b)の保持時間を変換したクロマトグ
ラムであり、各ピークにはa)の対応するピークと同一
の番号を付した。c)のピーク番号の内0になっている
ものは、a)の各ピークの中に対応するものが見当たら
ないことを表わしている。このとき、図の下段にUNKNOW
N PEAKSとして例えば、8.2、5.2等と表示した。
ここで、8.2とは、ピーク8と9との間にa)の中には
見られないピークがあることを示す。また、a)のピー
クの内でb)及びc)の中に対応するものがないとき
は、図の下段にNOT DETECTED PEAKSとしてその番号を
示した。
保持時間の変換式のパラメータの決定、変換、ピークの
対応等はすべてコンピュータにより処理した。
実施例1 第1図において、面積の大きい4、5および7のピーク
を見るとa)とb)とでは、保持時間のずれがほとんど
無いように見える。従って、a)とb)とを比較してピ
ーク番号を付すとb)のようになり、2及び11のピーク
が無く、5と6の間、8と9の間、9と10の間および10
の後にそれぞれ1本未知のピークが現われたことにな
る。しかしながら、4、5および7のピークもa)と
b)とでは、わずかながら保持時間の差異が認められる
ため、本発明方法を用いて、4、5および7を主要ピー
クとして1次の線型回帰式によりb)のクロマトグラム
の保持時間を変換したものがc)である。a)とc)と
の保持時間は非常に良く一致しており、b)に示したピ
ークの同定結果よりも、本発明方法により同定したc)
の方が信頼性が高いことが容易に知られる。
実施例2 第2図は、グラジェント条件の異なるクロマトグラムの
例である。
a)のクロマトグラムでピーク1−4の間が短縮され、
5−6間はそのまま、7以降が拡大されるようにグラジ
ェント条件を変更し、a)とは異なる試料について測定
した結果b)のクロマトグラムを得た。a)とb)とで
は保持時間が大きく異なるが、ピーク面積が大きい4、
5および7のピークは簡単に同定でき、これを主要ピー
クとして本発明方法により処理を行なった。変換は各主
要ピークの保持時間の点を節点として、3次の自然スプ
ライン関数によって行なった。この結果をc)に示し
た。
本発明方法により、グラジェント条件の変更等による、
保持時間がきわめて複雑に変化した場合でも、クロマト
グラフィーのデータをきわめて容易に、しかも正確に処
理できることが知られる。
なお、参考までに、コンピュータによるデータ処理部を
備えた検出器を設置したクロマトグラフィーの装置の模
式図を第3図および第4図に示す。
以上のごとく、本発明方法は、複数のクロマトグラムを
比較して、各クロマトグラム間でのピークの対応を調べ
る場合に、各クロマトグラム中に複数の主要ピークを決
め、これらの主要ピークの保持時間がそれぞれ各クロマ
トグラム間で実質的に一致するように上記各クロマトグ
ラムの保持時間を変換することができ、本発明方法を用
いることにより、主要ピークの保持時間をそれぞれ各ク
ロマトグラム間で実質的に一致するように各クロマトグ
ラムの保持時間を変換することができるので、熟練者で
なくてもクロマトグラムの解析が容易にできることが分
かる。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は、実施例1および2におけるクロ
マトグラムを示したものであり、縦軸は各ピーク面積、
横軸は保持時間を示す。 a)は基準とした用いたクロマトグラム、b)は実施例
毎に異なる試料のクロマトグラム、c)は本発明方法に
よりb)の保持時間を変換したクロマトグラムである。 第3図は、実施例1および2におけるクロマトグラムを
取得する際に用いる、クロマトグラフィーの装置の模式
図であり、データ処理部1の部分で本発明方法による演
算を実施し、記録計はクロマトグラム記録用であり、デ
ータ処理部2でピーク数、ピーク面積、ピーク高さの演
算を実施する。第4図は、第3図のクロマトグラフィー
の装置のデータ処理部1の構成を示す。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−12550(JP,A) 特開 昭55−135748(JP,A) 特公 昭43−2837(JP,B1) 荒木(外2),「ガスクロマトグラフィ ー(化学の領域増刊44号)」,昭和36年3 月20日発行,南江堂,P.263〜P.265

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数のクロマトグラムを比較して、各クロ
    マトグラム間でのピークの対応を調べる場合に、各クロ
    マトグラム中に複数の主要ピークを決め、これらの主要
    ピークの保持時間がそれぞれ各クロマトグラム間で実質
    的に一致するように上記各クロマトグラムの保持時間を
    変換するにおいて、主要ピークの保持時間を一致させる
    変換を、線型回帰式、スプライン関数またはミニマック
    ス法にて行なうことを特徴とするクロマトグラフィーに
    おけるデータ処理方法。
JP59098362A 1984-05-15 1984-05-15 クロマトグラフイ−におけるデ−タ処理方法 Expired - Lifetime JPH0718853B2 (ja)

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