JPH07185308A - 水難溶性塩の連続製造方法 - Google Patents

水難溶性塩の連続製造方法

Info

Publication number
JPH07185308A
JPH07185308A JP34768793A JP34768793A JPH07185308A JP H07185308 A JPH07185308 A JP H07185308A JP 34768793 A JP34768793 A JP 34768793A JP 34768793 A JP34768793 A JP 34768793A JP H07185308 A JPH07185308 A JP H07185308A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
raw material
reaction
water
seed crystals
hardly soluble
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP34768793A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuhito Miyoshi
一仁 三好
Itsuro Tsukahara
逸朗 塚原
Toshimitsu Koike
俊光 小池
Kazuo Taguchi
和男 田口
Koji Yoda
幸司 衣田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP34768793A priority Critical patent/JPH07185308A/ja
Publication of JPH07185308A publication Critical patent/JPH07185308A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Cosmetics (AREA)
  • Physical Or Chemical Processes And Apparatus (AREA)
  • Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】2種以上の原料溶液を連続的に管型反応器に供
給し、該反応器内で混合し反応させて水難溶性塩を製造
する方法において、生成する全ての水難溶性塩の0.0
1〜10モル%の水難溶性塩を種結晶として予め原料溶
液の一部を予備反応させて生成させ、次いで該種結晶の
存在下で残りの原料溶液による主反応を行うことを特徴
とする水難溶性塩の連続製造方法。 【効果】本発明によれば、体質顔料、化粧品、写真乳
剤、電子材料および添加剤等に適した粒子径のそろった
水難溶性塩を連続して製造することができる。また、所
望の粒子径、粒度分布のそろった水難溶性塩結晶を安定
して製造でき、さらには所望粒子径の収率の向上ならび
に種結晶の調製やそれに伴う付帯設備の軽減がはかれ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、体質顔料、化粧品、写
真乳剤、電子材料および添加剤等に適した粒子径のそろ
った水難溶性塩を安定に連続して製造する方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】2種以上の原料溶液を混合して反応さ
せ、水難溶性塩を合成する場合、その合成条件により結
晶は様々な形状、粒子径を呈することが知られている。
例えば、Bull. Chem. Soc. Japan No.3 121 頁によれ
ば、混合原料の濃度によって生成する硫酸バリウムの結
晶は無定形、球形、紡錘状、ダイアモンド状等の種々変
形し、またその大きさは0.013μmから2.0μm
程度まで大幅に変化することが示されている。すなわ
ち、水難溶性塩は、水易溶性塩に比べて結晶核の発生お
よび結晶成長の濃度域が非常に低いため、原料溶液の供
給速度の多少の変動等によって過飽和度が大きく変動す
ることにより、結晶の粒子径、形状が変化し、均一な大
きさの結晶が得られにくい。
【0003】そこで、粒子径、形状がそろった結晶を得
るために種結晶を添加する方法が考えられる。これは、
種結晶が存在することで種結晶上での核発生が容易にな
るため、種結晶が無い場合よりも過飽和度の低い状態で
の核発生が起こり、さらにその発生した核が均一な状態
のもとで結晶成長が可能になるためと考えられている。
つまり、種結晶が存在することにより、マイルドな状態
のもとで結晶化が進行するため、結晶の粒子径ならびに
形状が均一になると考えられている。
【0004】このような種結晶の添加方法としては、種
結晶を予め製造し、貯蔵等した後、反応時にそれを反応
場へ導入するのが一般的である。しかし、このような方
法によれば、種結晶を製造する設備や貯蔵しておくため
の貯槽が不可欠となり、設備コストならびにスペースが
必要となる。また、種結晶は一般に微粒であり、種結晶
同士の凝集等が問題となるため、種結晶は生成直後に使
用することが望ましい。
【0005】上記の問題を解決する手段として、特開平
3−205314号公報、特公昭61−34841号公
報、特公平4−48730号公報が開示されている。こ
れらの手段としては、結晶缶から結晶を含むスラリーを
抜き出し、篩い分けした後、微細粒子を母液と共に種結
晶として連続的に結晶缶に戻している。すなわち、種結
晶の量を一定にすることにより、結晶缶内の粒子数を一
定に保ち、均一な大きさの結晶を得ている。しかし、こ
れらの発明はいずれも水易溶性塩であり、結晶の成長速
度が非常に遅いためこれらの手法が取られている。
【0006】また、特公昭54−22200号公報で
は、水難溶性塩である炭酸バリウムの連続製造法が開示
されている。この開示事例では硫化バリウム水溶液と炭
酸ガスとの気液反応であり、その手段としては、スパイ
ラル型反応器で種結晶を生成し、さらに攪拌槽型反応器
で結晶成長を行い所望の粒子径の炭酸バリウムを製造し
ている。しかし、この方法では、種結晶量を決める因子
としてはスパイラル型反応器内での気液接触効率のみで
あり、種結晶量を大きく増やさなければならない場合、
管長を長くし滞留時間を大きくする以外に方法がなく、
反応条件の最適化が非常に難しい。さらに、スケールア
ップに際しても、気液接触効率を同じように再現するこ
とが難しく種々の課題が残されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、水難溶性塩の
製造においては、上記の課題を解決しつつ、種結晶の量
をコントロールし、粒子径のそろった水難溶性塩を製造
する方法の開発が望まれていた。そこで本発明は、体質
顔料、化粧品、写真乳剤、電子材料および添加剤等に適
した粒子径のそろった水難溶性塩を安定に連続して製造
する方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる実情において、本
発明者らは上記目的を達成すべく鋭意研究を行った結
果、2種以上の原料溶液を連続的に管型反応器に導入し
水難溶性塩を製造する方法において、核発生ならびに結
晶成長を均一化させるために、原料溶液の一部を予備反
応させることにより、生成する全ての水難溶性塩の0.
01〜10モル%の水難溶性塩を種結晶として生成さ
せ、次いで該種結晶の存在下で残りの反応を行うことに
より、前記の課題を解決できることを見出し、本発明を
完成するに至った。
【0009】即ち、本発明の要旨は、2種以上の原料溶
液を連続的に管型反応器に供給し、該反応器内で混合し
反応させて水難溶性塩を製造する方法において、生成す
る全ての水難溶性塩の0.01〜10モル%の水難溶性
塩を種結晶として予め原料溶液の一部を予備反応させて
生成させ、次いで該種結晶の存在下で残りの原料溶液に
よる主反応を行うことを特徴とする水難溶性塩の連続製
造方法に関する。
【0010】本発明における水難溶性塩の反応は2段の
反応からなる。つまり、核発生ならびに結晶成長を均一
に行わせるための種結晶を予め生成させる予備反応と、
この種結晶の存在下で残りの原料溶液を管型反応器内で
反応させる主反応とが、一連の連続工程で行われる。
【0011】本発明において種結晶を生成させる形態と
しては、次の2つの態様が挙げられる。第1の態様とし
ては例えば図1に示すように、原料溶液が反応器に導入
される前(反応器の外部、例えば原料溶液の供給ライン
もしくは供給ライン上に設置されたラインミキサーや混
合槽、等)に種結晶を生成させる態様、第2の態様とし
ては例えば図2に示すように、原料溶液を主反応原料と
独立して反応器に供給し、反応器内の上流側において予
備反応を行う態様が挙げられる。
【0012】次に、予備反応における種結晶の生成量に
ついて述べる。予備反応における種結晶の生成量は、生
成する全ての水難溶性塩の0.01〜10モル%、即ち
供給された原料溶液が100%反応してできる製品10
0モル%に対して、種結晶の生成量が0.01〜10モ
ル%とすることが重要である。本発明では、この生成量
が0.02〜5モル%であることが好ましく、さらに
0.02〜2モル%が特に好ましい。
【0013】ここで、種結晶の生成量が0.01モル%
未満の場合、種結晶が余りに少量であるために反応に対
して影響を及ぼすことがほとんどなく、種結晶の生成量
が10モル%を越える場合、供給された原料の多くが種
結晶の生成のために使用されるため、その後の反応にお
いて種結晶の機能が十分に発現されない。このような種
結晶の生成量は、予備反応用の原料溶液の供給量により
調整することができる。
【0014】以下、本発明の連続製造方法について、原
料供給から製品回収までの全工程を装置構成図(図1及
び図2)に基づき詳細に説明する。
【0015】第1の態様における装置構成の一例を図1
に示す。母液槽1は、原料を溶解し又は希釈して原料溶
液を調製するための溶媒(母液)の貯槽である。原料A
と原料Bは、それぞれ原料槽2と原料槽3において調製
される。なお、原料が粉末状で導入される場合は原料槽
の代わりにホッパー等の容器を用いればよい。母液をポ
ンプ等の送液手段により送液すると同時に、原料槽から
原料をポンプ、粉体用フィーダー等により導入し、母液
に溶解し又は希釈して、原料溶液OAと原料溶液OBと
する。このとき、母液と原料が均一に混合されるよう
に、スタティックミキサー等のミキサー4,5を設置し
ておけばより好ましい。
【0016】引き続いて、原料溶液OAが管型反応器7
に導入される供給ライン中へ原料Bもしくは原料溶液O
Bの一部が供給され、該供給ライン中で予備反応が起こ
り、種結晶が生成される。このとき、原料溶液OAと原
料Bもしくは原料溶液OBが均一に混合されるように、
スタティックミキサー等のミキサーもしくは密閉型の攪
拌槽(例えば、図1中の撹拌槽6)等を設置しておくこ
とが好ましい。なお、上記の場合、種結晶を原料A側の
供給ラインで生成させているが、同様にして原料B側の
供給ラインで、又は原料A側と原料B側の両方に生成さ
せてもよい。尚、予備反応は供給ライン上に予備反応用
の管型反応器等を設けて行ってもよい。
【0017】このようにして得られる種結晶を含有した
原料溶液OAは、もう一方の原料溶液OBと独立して共
に管型反応器7に導入され、反応器内部で主反応が進行
し、水難溶性塩の結晶(製品)が生成される。この製品
を含んだスラリーは受液槽8に溜められ、固液分離され
た後、固形分は製品として回収され、液は廃液として排
水するかもしくは母液として再利用してもよい。もちろ
ん、製品を含んだスラリーは受液槽8に溜めることな
く、連続的に固液分離されても別に問題はない。
【0018】次に、第1の態様で用いる管型反応器につ
いて説明する。原料溶液が反応器に導入される前に種結
晶を生成させる第1の態様では、種結晶を生成させた後
の反応を行う管型反応器の形式については特に限定され
ない。装置内での流体の滞留時間分布を極度に狭く保つ
ことができ、かつ、反応装置内に攪拌部・駆動部を有し
ないにもかかわらず、各種流体を迅速にかつ均一に混合
・攪拌して反応させ、さらに反応生成物を速やかに排出
させることのできる連続反応装置という点から、特願平
4−358429号に記載された管型反応器を好適に用
いることができる。このような管型反応器の具体例とし
て、例えば図3に示すようなものが挙げられる。
【0019】この管型反応器は、図3の如く、端部に原
料供給口と、該端部から下流側にもう一つの原料供給口
を有し、すべての原料の供給方向が反応器の生成物排出
口方向へ向いている。そして供給された流体が混合され
るまでの助走区間を有しているため、管型反応器内で流
体はピストンフロー、即ち半径方向に対して速度分布が
ほぼ一様な流れとなる。また、当該反応器における混合
機構は、2流体間の速度差からせん断応力が発達し、流
体間で運動量交換が行われる乱流混合による。
【0020】このような管型反応器を用いることによ
り、管型反応器に駆動部あるいは攪拌部を有さない装置
を用いるにもかかわらず、異種の流体を接触させた後に
すばやく均一な流体とする事ができる。しかも、管型反
応器内での逆混合がほとんどないために滞留時間分布が
非常に狭く保たれている。さらに、反応器内全体を見た
場合、混合・攪拌された流体はピストンフローとなって
おり、反応生成物を含む流体は速やかに反応器外へ排出
されるために、滞留時間が短く、従って定常状態に至る
までの時間も短いという特徴を有している。
【0021】次に、第2の態様における装置構成の一例
を図2に示す。第2の態様では、原料溶液がそれぞれ独
立に反応器に導入され、反応器内の上流側において種結
晶が生成される。一つの反応器内の上流側で予備反応を
行うため、第1の態様のような供給ライン中で反応を行
うためのスタティックミキサー等のミキサーもしくは密
閉型の攪拌槽6等はなくてもかまわない。その代わり
に、上記で述べた図3のような管型反応器に代えて、図
4に示すように、種結晶を生成させる予備反応のための
原料あるいは原料溶液を供給する手段、例えば主反応用
の原料溶液供給用のノズルと比較して短いノズルを別途
設置することが好ましい。
【0022】即ち、図4において、原料溶液OAが管型
反応器の上流側から供給されると同時に、予備反応用の
原料溶液OB(なお、図4では原料溶液OBを予備反応
に用いているが、原料Bを用いてもよい)が短いノズル
14''から供給されて、予備反応部20で予備反応が行
われる。次に、予備反応部を過ぎた部位付近に供給口を
設けた主反応用のノズル14’から残りの原料溶液OB
が供給されて、主反応部19で主反応が行われる。その
他は、第1の態様と同様である。ここで予備反応部とは
予備反応により種結晶を生成させる部位をいい、主反応
部とは生成した種結晶の存在下で残りの原料溶液による
主反応を行う部位をいう。
【0023】本発明でいう水難溶性塩とは、Chem. Eng.
Technol. vol. 11 P.264 〜276(1988) に記載されてい
る、反応時等における相対過飽和度σが、1〜1000
であるような塩をいう。ただし、相対過飽和度とは次式
で表されるものである。
【0024】
【数1】
【0025】本発明の水難溶性塩の連続反応は、相対過
飽和度が1〜1000であるような瞬間反応により水難
溶性塩を得るものであり、好ましくは、本連続反応装置
の混合特性から、相対過飽和度が5〜500が望まし
い。さらに好ましくは、10〜200が最も望ましい。
相対過飽和度が1未満の場合、水難溶性塩の反応では、
非常に希薄な反応濃度となるため、生産効率が極端に低
いものとなり、製造コスト面で不利である。また、相対
過飽和度が1000を越える場合、水難溶性塩の反応の
なかでも反応速度が速いものであり、このような反応を
行うためには2流体間の速度差を非常に大きいものと
し、すばやく混合する必要がある。しかし、速度差を非
常に大きくするに伴い、圧力損失が大きくなり、送液用
の設備および動力が大きくなりコスト的に不利になるた
めである。
【0026】このように、相対過飽和度が1〜1000
となるような反応のための原料としては、例えば、 アルカリ;Ca(OH)2 ,Ba(OH)2 酸 ;HF,H2 SO4 ,H2 CO3 塩 ;BaCO3 ,BaCl2 ,K2 CO3 ,Ag
NO3 ,KCl,NaClO4 ,MgCl2 ,Na2
2 4 ,Ba(NO3 2 NH4 F,NiSO4 ,(NH4 2 SO4 ,Na2
4 アルコキサイド;Ti(OC2 5 4 等を水、低級アルコール(例えばメタノール、エタノー
ル、イソプロパノール等)等に溶解して溶液(原料流
体)にしたものが用いられる。
【0027】本発明では、これらを適宜組み合わせるこ
とにより、相対過飽和度が1〜1000となるようにす
るが、なかでも相対過飽和度が10〜200であるよう
な原料の組み合わせを具体的に示すと、以下の(イ)〜
(ヘ)が挙げられる。
【0028】
【化1】
【0029】これらのうち、特に化粧品、体質顔料等へ
の用途においては、粒子径のそろった硫酸バリウムが望
まれており、水難溶性塩が硫酸バリウムであることが好
ましい。
【0030】以上のような本発明の製造方法によると、
反応速度の非常に大きい水難溶性塩を生成する反応で
も、均一な品質(粒径、結晶形状等)の生成物を連続的
に製造することができる。特に伸び、付き等の使用感に
優れ、かつ高い光拡散性と透明性、素肌感を有しつつ、
シミ・ソバカス等の色むらを見え難くする効果を有する
点から、体質顔料及び化粧品用の配合成分として優れた
硫酸バリウムを効率良く連続的に製造することができ
る。また、本発明の方法を用いれば、反応速度の非常に
大きい水難溶性塩を生成する反応でも、粒子径、形状の
そろった結晶が容易に製造することができる。
【0031】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさ
らに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によ
りなんら限定されるものではない。
【0032】実施例1及び比較例1 図1に基づいて、下記のように準備した。特級試薬 水
酸化バリウム8水塩をイオン交換水(60℃に昇温した
もの)に溶解した1モル/リットルの水酸化バリウム原
料(原料A)と、特級試薬 硫酸をイオン交換水に溶解
した1モル/リットルの硫酸原料(原料B)を原料とし
て原料槽A、原料槽Bにそれぞれ20リットル準備し、
60℃に昇温した。母液槽にはイオン交換水を2000
リットル用意し60℃まで昇温した。
【0033】すべて準備が整ったところで、予め充液
(イオン交換水)し、60℃に予熱しておいた反応装置
(反応器は図3の形式)にポンプを用いて母液をそれぞ
れ10リットル/minで供給した。同時に原料Aを2
00ml/minで母液ラインに導入し0.02モル/
リットルの水酸化バリウム原料溶液(原料溶液OA)と
した。また、原料Bは表1に示す量だけ母液ラインへ導
入し硫酸原料溶液(原料溶液OB)とした。予備反応を
行わせるために、原料溶液OBを表1に示す量だけ原料
溶液OAの母液ライン中に導入し、ライン中に設置した
攪拌槽6により、十分混合し予備反応させた。さらに、
予備反応で生成した種結晶を含む原料溶液OAと残りの
原料溶液OBとを反応器に供給して主反応を行った。な
お、実施例1−5〜1−7,比較例1−2では、予備反
応を行わせるために原料Bを表1に示す量だけ原料溶液
OAの母液ラインの中に原料槽から直接導入した(ライ
ンは図示せず)。
【0034】原料送液ポンプを作動させて5分後から生
成物スラリーを受液槽に溜め、連続反応を90分間行っ
た。反応終了後、受液槽に溜められた反応終了液を自然
冷却させ、常温に達したところでフィルタープレス(栗
田機械製作所製,HJMF−2B−A型)にて固液分離
し、得られたケークを120℃で24時間乾燥させて製
品を得た。
【0035】こうして得られた硫酸バリウム粉末の粒度
分布を測定(堀場(株)製、粒度分布測定装置LA−7
00)した。なお、粒度分布を示す指標として、平均粒
径とσg(=D84/D50,D50;50%の粒径,
D84;アンダーサイズ84%に対応する粒径)を用い
た。
【0036】その結果を表1に併せて示す。この結果か
ら、種結晶の生成量が0.01モル%未満(比較例1−
1)の場合、平均粒子径が0.01モル%(実施例1−
1)の場合と変わらず、しかも、σgが大きく粒度分布
が広く製品の大きさが不揃いであることが確かめられ、
種結晶の効果が認められなかった。しかし、種結晶の生
成量が0.01モル%以上、10モル%以下(実施例1
−1〜1−7)では種結晶の生成量の増加にともない、
平均粒子径が小さくなり所望の粒子径を有する製品を製
造することができることが判明した。しかし、生成量が
10モル%を超えると、種結晶の生成量に対する変位に
対して平均粒子径の変位は小さくなり、所望の粒子径を
有する製品を製造できなくなった。即ち、種結晶の生成
量が50モル%(比較例1−2)の場合、予備反応が終
了した時点での液をサンプリングし平均粒子径を測定し
たところ、1.1μmと製品の粒子径と殆ど同じであ
り、種結晶の本来の機能が発現していないことが認めら
れた。なお、図5は、実施例1および比較例1における
種結晶の生成量と得られた水難溶性塩の平均粒子径の関
係を図示したものである。
【0037】
【表1】
【0038】実施例2及び比較例2 図2に基づいて、下記のように準備した。特級試薬 塩
化バリウム2水塩をイオン交換水に溶解した2モル/リ
ットルの塩化バリウム原料(原料A)と、特級試薬 硫
酸ナトリウムをイオン交換水に溶解した2モル/リット
ルの硫酸ナトリウム原料(原料B)を原料として原料槽
A、原料槽Bにそれぞれ20リットル準備し、80℃に
昇温した。母液槽にはイオン交換水を2000リットル
用意し80℃まで昇温した。
【0039】すべて準備が整ったところで、予め充液
(イオン交換水)し、80℃に予熱しておいた反応装置
(反応器は図4の形式)にポンプを用いて母液をそれぞ
れ10リットル/minで供給した。同時に原料Aを2
00ml/minで母液ラインに導入し0.02モル/
リットルの塩化バリウム原料溶液(原料溶液OA)とし
た。また、原料Bは表2に示す量だけ母液ライン導入し
硫酸ナトリウム原料溶液(原料溶液OB)とした。原料
溶液OAを原料溶液供給ライン11から供給しつつ、予
備反応を行わせるために原料溶液OBを表2に示す量だ
け原料溶液供給ライン12''から反応器に供給し、主反
応を行わせるために残りの原料溶液OBを原料供給ライ
ン12’から供給した。そして、予備反応部20で予備
反応させ、主反応部19で主反応を行った。なお、実施
例2−3〜2−4,比較例2−2では、予備反応を行わ
せるために原料Bを表2に示す量だけ原料溶液供給ライ
ン12”に原料槽から直接導入した(ラインは図示せ
ず)。
【0040】原料送液ポンプを作動させて5分後から生
成物スラリーを受液槽に溜め、連続反応を90分間行っ
た。反応終了後、受液槽に溜められた反応終了液を自然
冷却させ、常温に達したところでフィルタープレス(栗
田機械製作所製,HJMF−2B−A型)にて固液分離
し、得られたケークを120℃で24時間乾燥させて製
品を得た。
【0041】こうして得られた硫酸バリウム粉末の粒度
分布を測定(堀場(株)製、粒度分布測定装置LA−7
00)した。なお、粒度分布を示す指標として、平均粒
径とσg(=D84/D50、D50;50%粒径、D
84;アンダーサイズ84%に対応する粒径)を用い
た。
【0042】その結果を表2に併せて示す。この結果か
ら、種結晶の生成量が0.005モル%未満(比較例2
−1)の場合、平均粒子径が0.01モル%(実施例2
−1)の場合と変わらず、しかも、σgが大きく粒度分
布が広く製品の大きさが不揃いであることが確かめら
れ、種結晶の効果が認められなかった。しかし、種結晶
の生成量が0.01モル%以上、10モル%以下(実施
例2−1〜2−4)では種結晶の生成量の増加にともな
い、平均粒子径が小さくなり所望の粒子径を有する製品
を製造することができることが判明した。しかし、生成
量が10モル%を超えると、種結晶の生成量に対する変
位に対して平均粒子径の変位は小さくなり、所望の粒子
径を有する製品を製造できなくなった。即ち、種結晶の
生成量が30モル%(比較例2−2)の場合、予備反応
が終了した時点での液をサンプリングし平均粒子径を測
定したところ、1.5μmと製品の粒子径と殆ど同じで
あり、種結晶の本来の機能が発現していないことが認め
られた。
【0043】
【表2】
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、体質顔料、化粧品、写
真乳剤、電子材料および添加剤等に適した粒子径のそろ
った水難溶性塩を製造することができる。また、本発明
の方法によれば、 2種以上の原料溶液を連続的に管型反応器に供給
し、該反応器内で混合し反応させて水難溶性塩を製造す
る方法において、予備反応により種結晶を生成し、その
種結晶により核発生量をコントロールすることによっ
て、所望の粒子径、粒度分布のそろった水難溶性塩結晶
を安定して製造できる。 粒子径、形状のそろった結晶が安定して製造でき、
さらには所望粒子径の収率の向上ならびに種結晶の調製
やそれに伴う付帯設備の軽減がはかれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の第1の態様における装置構成の
一例を図示したものである。
【図2】図2は本発明の第2の態様における装置構成の
一例を図示したものである。
【図3】図3は、本発明の第1の態様において使用され
る管型反応器の一例を模式的に示したものである。
【図4】図4は、本発明の第2の態様において使用され
る管型反応器の一例を模式的に示したものである。
【図5】図5は、実施例1および比較例1における種結
晶の生成量と得られた水難溶性塩の平均粒子径の関係を
図示したものである。
【符号の説明】
1 母液槽 2 原料Aの原料槽 3 原料Bの原料槽 4 ミキサー 5 ミキサー 6 予備反応用の攪拌槽 7 管型反応器 8 受液槽 11 原料溶液OAの供給ライン 12 原料溶液OBの供給ライン 12’ 原料溶液OBの供給ライン(主反応用) 12'' 原料溶液OBの供給ライン(予備反応用) 13 原料溶液OAの供給口 14 原料溶液OBの供給ノズル 14’ 原料溶液OBの供給ノズル(主反応用) 14'' 原料溶液OBの供給ノズル(予備反応用) 15 原料溶液OBの供給口 15’ 原料溶液OBの供給口(主反応用) 15'' 原料溶液OBの供給口(予備反応用) 16 管型反応器の胴体部 17 反応終了液の排出口 18 反応器の端部 19 主反応部 20 予備反応部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C01F 11/22 9040−4G

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2種以上の原料溶液を連続的に管型反応
    器に供給し、該反応器内で混合し反応させて水難溶性塩
    を製造する方法において、生成する全ての水難溶性塩の
    0.01〜10モル%の水難溶性塩を種結晶として予め
    原料溶液の一部を予備反応させて生成させ、次いで該種
    結晶の存在下で残りの原料溶液による主反応を行うこと
    を特徴とする水難溶性塩の連続製造方法。
  2. 【請求項2】 水難溶性塩が硫酸バリウムである請求項
    1記載の連続製造方法。
JP34768793A 1993-12-24 1993-12-24 水難溶性塩の連続製造方法 Pending JPH07185308A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34768793A JPH07185308A (ja) 1993-12-24 1993-12-24 水難溶性塩の連続製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34768793A JPH07185308A (ja) 1993-12-24 1993-12-24 水難溶性塩の連続製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07185308A true JPH07185308A (ja) 1995-07-25

Family

ID=18391897

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34768793A Pending JPH07185308A (ja) 1993-12-24 1993-12-24 水難溶性塩の連続製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07185308A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007038117A (ja) * 2005-08-02 2007-02-15 Fujifilm Holdings Corp 粒子製造方法
WO2018084254A1 (ja) * 2016-11-02 2018-05-11 田村 稔 複数溶液の混合方法
JP2018130659A (ja) * 2017-02-14 2018-08-23 国立研究開発法人産業技術総合研究所 分散体の製造方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007038117A (ja) * 2005-08-02 2007-02-15 Fujifilm Holdings Corp 粒子製造方法
WO2018084254A1 (ja) * 2016-11-02 2018-05-11 田村 稔 複数溶液の混合方法
JPWO2018084254A1 (ja) * 2016-11-02 2019-09-26 田村 稔 複数溶液の混合方法
US11511243B2 (en) 2016-11-02 2022-11-29 Minoru Tamura Method for mixing a plurality of solutions
JP2018130659A (ja) * 2017-02-14 2018-08-23 国立研究開発法人産業技術総合研究所 分散体の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6458335B1 (en) Production of powders
Altay et al. Morphosynthesis of CaCO3 at different reaction temperatures and the effects of PDDA, CTAB, and EDTA on the particle morphology and polymorph stability
CN104418388B (zh) 一种连续生产超细碳酸钴粉的工艺及其装置
Shirsath et al. A novel approach for continuous synthesis of calcium carbonate using sequential operation of two sonochemical reactors
CN101870824B (zh) 利用超重力反应器制备偶氮着色剂的方法
Zhu et al. Crystallization behavior and kinetics of calcium carbonate in highly alkaline and supersaturated system
CN100427395C (zh) 一种单分散纳米α-氧化铝颗粒粉体的制备方法
JPH07185308A (ja) 水難溶性塩の連続製造方法
CN112479238A (zh) 一种制备铝碳酸镁的方法
JPH0449489B2 (ja)
CN1843924A (zh) 一种无定型氢氧化铝的制备方法
US5145605A (en) Sol-forming cerium material
JP5664271B2 (ja) 針状炭酸ストロンチウム粒子の製造方法、及び、針状炭酸ストロンチウム粒子
JP2973062B2 (ja) 硫酸バリウムの連続製造方法
US20070196264A1 (en) Process for producing calcium trisulfoaluminate and apparatus for use in said process
JP4094548B2 (ja) 水酸化ニッケル粉末の結晶性を減少させるための方法
JPH07136495A (ja) 水難溶性塩の連続製造方法
CN1280198C (zh) 一种纳米级氧化银的制备方法
JP2772483B2 (ja) 球状炭酸カルシウムの製造方法
US4495087A (en) Preparation of aluminum hydroxycarbonate gels by a continuous process
JPH06182173A (ja) 真珠様光沢剤分散液の製造方法
JPH0788358A (ja) 水難溶性塩の連続製造方法
CN100368047C (zh) 结晶方法和结晶装置
JP2917080B2 (ja) 水難溶性塩の連続製造方法およびその装置
CN109553556B (zh) 一种制备氟苯尼考晶体的新型制备方法