JPH07185240A - セラミックスフィルター及びその製造方法 - Google Patents

セラミックスフィルター及びその製造方法

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JPH07185240A
JPH07185240A JP5351046A JP35104693A JPH07185240A JP H07185240 A JPH07185240 A JP H07185240A JP 5351046 A JP5351046 A JP 5351046A JP 35104693 A JP35104693 A JP 35104693A JP H07185240 A JPH07185240 A JP H07185240A
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千尋 河合
Takahiro Matsuura
貴宏 松浦
Akira Yamakawa
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 細孔径が小さく且つ大きな気孔率を有し、優
れた透過性能と捕集率とを備え、耐熱衝撃性に優れたセ
ラミックスフィルターを提供する。 【構成】 多孔質セラミックスの基材1a上、又はセラ
ミックスの基材に設けた直径1〜10mmの多数の貫通
孔内に、長さ100μm以上の窒化ケイ素ファイバーが
絡み合った厚さ10μm以上の無配向網状集合体2aを
備えたセラミックスフィルター。窒化ケイ素ファイバー
の無配向網状集合体2aは酸化チタン粉末と混合した非
晶質窒化ケイ素粉末を窒素ガス雰囲気中にて1400〜
1600℃の温度及び300〜1200Torrの炉内
圧力で加熱して気相反応させることにより析出させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐熱衝撃性に優れ、小
さな細孔径と高い気孔率を有するセラミックスフィルタ
ー、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、耐熱性が高く、高強度で、且つ耐
熱衝撃性に優れた各種フィルターや触媒担体の必要性が
高まっている。例えば、自動車の排気ガス中に含まれる
CO2や窒素酸化物、黒煙を除去するためのフィルター
や触媒担体には、1000℃を越える耐熱性が要求され
る。又、火力発電所や化学プラントにおける排気ガスの
脱硫フィルター、溶融金属中のスラグ除去フィルターに
ついても同様である。
【0003】かかる要求に対して、多孔質セラミックス
からなるフィルターや触媒担体が検討されている。通
常、多孔質セラミックスからなるフィルターの構造は、
強度保持のために必要な多孔質セラミックス基材の上
に、圧粉体の充填率や焼結条件等を変えることにより気
孔径を制御した多孔質セラミックス膜を積層した多層構
造となっている。しかし、このようなフィルターは原料
粉末を焼結して作製するため、気孔率は最大でも40体
積%程度に過ぎない。
【0004】又、フィルターとして最も重要な透過性能
は、下記数式1に示すHagen−Poisuiiie
の式から、基本的にはフィルターの細孔径と気孔率に依
存して決定される。つまり、細孔径が大きく、フィルタ
ーの膜厚が小さいほど、フィルターとしての透過流量が
大きくなる、即ち圧力損失が小さくなる。
【0005】
【数1】dQ/dt=nπr4△P/8ηl (ここで、Q:流量、t:時間、n:細孔数、r:細孔
半径、△P:差圧、η:流体粘度、l:膜厚)
【0006】ところが、上記した通常の多層構造を具え
たフィルターでは、基材部分は細孔径が大きいために気
孔率が小さくても濾過の際の圧力損失は少ないが、膜部
分は細孔径が小さくなるため圧力損失が急激に増大す
る、即ちフィルターとしての透過性能に劣るという欠点
があった。しかも、気孔率が最大でも40体積%程度と
小さいため、フィルターに付着した濾過物に逆圧を負荷
して除去する際にも除去され難く、フィルターの再生機
能が低いという欠点があった。
【0007】そこで、気孔率を向上させたセラミックス
フィルターとして、網目状の金属円筒基材の外周に、ア
ルミナ等の酸化物系セラミックスの連続繊維を交差させ
て多層に巻き付けた構造のものが報告されている(例え
ば、M. A. Barriset al.、 SAE Rep
ort、920139、1992年)。
【0008】しかし、紡糸されたセラミックスの連続繊
維を巻き付けた場合、巻く時にかけられた張力により繊
維に大きな引張応力が残るため、このフィルターを高温
で使用すると熱衝撃によって繊維に破断や割れが生じる
という大きな欠点があった。又、内側の金属円筒基材は
セラミックス繊維よりも熱膨張が大きいため、外側に巻
き付けた繊維には一層大きな引張応力が発生し、繊維の
破断や割れが更に顕著になる。かかる破断や割れは耐熱
衝撃性に劣る酸化物系セラミックス繊維において顕著で
あるが、他のセラミックス繊維の場合も同様の理由によ
り破断や割れが発生する。
【0009】更に、円筒基材の外周に張力を与えて巻き
付けるためには紡糸されたセラミックスの連続繊維の直
径を10μm以上とする必要があるため、この繊維を巻
き付けた繊維層部分の気孔率を50体積%以上にする
と、その部分の細孔径は少なくとも10μm以上になっ
てしまう。逆に、細孔径が10μm以下の細孔を形成し
ようとすると、繊維層部分の気孔率の低下が構造上避け
られず、通常のセラミックスフィルターと変わらない小
さな気孔率しか得られない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
の事情に鑑み、フィルターとして優れた透過性能と捕集
率とを備えるべく細孔径が小さく且つ大きな気孔率を有
し、しかも耐熱衝撃性に優れたセラミックスフィルター
を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明が提供するセラミックスフィルターは、連通
気孔の多孔質セラミックスからなる基材と、この基材上
に固着された長さ100μm以上の窒化ケイ素ファイバ
ーが絡み合った厚さ10μm以上の無配向網状集合体と
からなることを特徴とするものである。
【0012】又、本発明の他のセラミックスフィルター
は、直径1〜10mmの多数の貫通孔を形成したセラミ
ックスからなる基材と、この基材の貫通孔内に充填固着
された長さ100μm以上の窒化ケイ素ファイバーが絡
み合った厚さ10μm以上の無配向網状集合体とからな
ることを特徴とする。
【0013】尚、上記基材は連通気孔の多孔質セラミッ
クスで且つ連通気孔とは別に直径1〜10mmの多数の
貫通孔を形成したものでも良く、その場合には基材上及
び基材の貫通孔内にそれぞれ厚さ10μm以上の窒化ケ
イ素ファイバーの無配向網状集合体を固着することによ
り、フィルターを構成することが可能である。
【0014】かかる本発明のセラミックスフィルター
は、連通気孔の多孔質セラミックスからなる基材又は直
径1〜10mmの多数の貫通孔を形成したセラミックス
からなる基材を反応炉内に配置し、酸化チタン粉末と混
合した非晶質窒化ケイ素粉末を窒素ガス雰囲気中にて1
400〜1600℃の温度及び300〜1200Tor
rの炉内圧力で加熱して気相反応させ、前記基材上及び
/又は前記基材の貫通孔内に、長さ100μm以上の窒
化ケイ素ファイバーが絡み合った無配向網状集合体を厚
さ10μm以上に析出固着させる方法により製造され
る。
【0015】
【作用】本発明のセラミックスフィルターは、セラミッ
クスの基材と窒化ケイ素ファイバーの無配向網状集合体
とで構成されているため、金属よりも熱膨張係数が小さ
く、化学的安定性に優れ、耐熱性及び耐熱衝撃性に優れ
たフィルターを得ることができる。特に無配向網状集合
体を構成する窒化ケイ素(Si34)は熱膨張係数が約
3.2×10-6-1とセラミックスの中では最も小さ
く、耐熱衝撃性及び耐酸化性にも優れている。
【0016】このセラミックスフィルターの透過性能な
どフィルターとしての性能はSi34ファイバーの無配
向網状集合体によって決定され、基体はこのファイバー
の無配向網状集合体を支持するに過ぎない。しかし、基
材として窒化ケイ素又は炭化ケイ素(SiC)を使用す
れば、酸化物系セラミックス基材では使用できない高温
下でも使用可能なフィルターを構成することができる。
【0017】かかる本発明のセラミックスフィルターの
構造は2つに大別される。その1つは、図1に示すよう
に連通気孔の多孔質セラミックスからなる基材1aと、
この基材1a上に膜状に固着した厚さ10μm以上のS
34ファイバーの無配向網状集合体2aとからなる。
膜状のSi34ファイバーの無配向網状集合体2aは通
常1層であるが、図2に示すごとく細孔径や気孔率の異
なる2層以上からなっていてもよい。
【0018】尚、連通気孔を有する多孔質セラミックス
は既に公知であり、濾過材、担体、センサー等として利
用されている。本来、セラミックス焼結体は粉末を焼結
したものであるから数μm程度の孔径の気孔が多数存在
するが、この孔径を圧粉体の充填率や焼結条件等により
制御して気孔を積極的に形成させたものが多孔質セラミ
ックスである。ただし、本発明ではフィルターとしての
必要から、気孔が連通気孔であるものとする。
【0019】他の構造は、図3に示すように直径1〜1
0mmの多数の貫通孔を形成したセラミックスからなる
基材1bと、この基材1bの貫通孔3内に充填固着した
厚さ10μm以上のSi34ファイバーの無配向網状集
合体2bとからなる。貫通孔3の直径を1〜10mmと
する理由は、1mm未満では前記ファイバーの充填が難
しく、10mmを越えると逆に貫通孔全体に隙間なく充
填することが困難になると共に、充填したファイバーが
濾過時の圧力により剥がれやすくなるからである。
【0020】図3の構造のフィルターでは、濾過は貫通
孔の部分を通して行われ基材部分での圧力損失が殆ど無
いため、図1及び図2のフィルターに比べ一層優れた透
過性能を示す。又、貫通孔3を形成したセラミックスの
基材1bは気孔の殆どない又は閉鎖気孔のセラミックス
が好ましい。多孔質セラミックスを基材として用いた場
合には、貫通孔内だけでなく、図1や図2と同様に基材
表面にもSi34ファイバーの無配向網状集合体を形成
する必要がある。
【0021】かかる基材上又は基材の貫通孔内に形成す
るSi34ファイバーの無配向網状集合体は、下記する
方法により気相合成した比較的細くて長い窒化ケイ素フ
ァイバーからなり、図4に示すごとく各ファイバーが一
定方向に配向していない無配向の状態で互いに絡み合っ
て網状に集合した構造を有し、しかも基材表面又は基材
の貫通孔に固着している。このため、Si34ファイバ
ーの無配向網状集合体は、細孔径が小さく且つ高気孔率
であって、フィルターとして優れた透過性能を有するほ
か、ファイバーに引張応力が生じていないため破断等の
危険がない。
【0022】具体的には、得られるSi34ファイバー
同士の十分な絡み合いが生じ且つ基材との十分な固着を
得るため、ファイバーの長さが100μm以上であるこ
と、及びその無配向網状集合体の厚さが基材表面に膜状
に形成する場合も又基材の貫通孔内に充填して形成する
場合も、共に10μm以上あることが必要である。又、
Si34ファイバーの直径は主に0.01〜5μmの範
囲にあることが好ましく、その結果Si34ファイバー
の無配向網状集合体の細孔径は10μm以下であって、
且つ80体積%以上の気孔率が得られる。
【0023】次に、Si34ファイバーの無配向網状集
合体の形成方法について説明する。セラミックスファイ
バーの合成方法としては、ケイ素を主成分とする酸化物
セラミックス粉末と炭素との混合粉末を窒素ガス中で還
元することによりSi34やSiCからなるファイバー
を合成する熱炭素還元法が良く知られているが、この方
法により合成されるセラミックスファイバーは短繊維状
又はウイスカー状であってファイバーの長さが短いた
め、互いの絡み合いが少なく、ファイバーが脱落した
り、基材との十分な固着が得られない。
【0024】そこで本発明者らは、非晶質(アモルファ
ス)Si34の高温での分解しやすさに注目し、その分
解を促進させることによって、細く長いSi34ファイ
バーが多量に合成され、しかも互いに無配向に絡み合っ
た網状集合体となることを見いだした。即ち、非晶質S
34は結晶質に比べて高温で蒸発しやすいが、単体で
はまだ蒸発量が不十分であり、細く長いファイバーを十
分に生成させることはできない。
【0025】ところが、非晶質Si34に酸化チタン
(TiO2)を添加することにより蒸発量が急激に増加
し、蒸発したSi34が気相反応により基材上に長いS
34ファイバーとして多量に生成して、互いに絡み合
った無配向網状集合体が得られることが判明した。非晶
質Si34の蒸発を活性化し、気相反応によりSi34
ファイバーが絡み合った無配向網状集合体を得るために
は、TiO2の添加量を非晶質Si34に対して5重量
%以上とすることが必要であることも判った。
【0026】Si34ファイバーの生成原理は以下のよ
うに考えられる。基材上でSi34ファイバーが生成す
るためには、まず第1に非晶質Si34の蒸発量が大き
いことが必要であり、第2に生成したSi34蒸気が基
材上で気相反応によりファイバー状に成長することが必
要である。
【0027】第1の要件に関しては、TiO2を添加し
た場合、TiO2と非晶質Si34中の窒素が反応して
TiNを生成すると共に、非晶質Si34中のN原子の
数の減少により非晶質Si34の構造が熱的に不安定な
ものとなる。このため非晶質Si34の蒸発が活性化さ
れ、同時にTiO2の一部はTiOガスとなって放出さ
れると考えられる。
【0028】第2の要件に関しては、発生したTiOガ
スが基材上で窒素と反応して微小なTiN核を生成し、
非晶質Si34蒸気がTiN核上で窒素と反応してSi
34が析出する。析出形態が粉末状でなくファイバー状
となるのは、Si34の成長がTiN核との相互作用に
よってある特定方向の結晶面のみが成長するためと考え
られる。
【0029】TiO2以外で非晶質Si34の構造を不
安定にする添加剤として、実験の結果、Fe、Cr、M
nの各酸化物等が確認できた。これらの添加剤は、Ti
2の場合とは逆に、非晶質Si34中のSi原子と反
応することによって、非晶質Si34の構造を不安定に
するものと考えられる。しかしながら、これらの添加剤
ではSi34ファイバーは生成しなかった。この場合S
34ファイバーが生成しないのは、TiN核の発生が
ないためと考えられる。
【0030】TiO2の代わりに金属Ti、TiN又は
TiCを用いてもSi34ファイバーが生成するが、生
成量はごくわずかで、Si34ファイバーが絡み合った
無配向網状集合体を得ることはできなかった。Ti又は
その非酸化物を添加剤とした場合にSi34ファイバー
が生成するのは、図4から図6の模式図に示すように、
非晶質Si34の表面酸化膜SiO2の酸素とTi、T
iN又はTiCとが反応してTi35が生成し、このT
35が上記TiO2と同様の作用をし、非晶質Si3
4が不安定化して蒸発が活性化され同時にTiOガスが
放出されるためと考えられる。この場合ファイバーの生
成量が少ないのは、生成するTi35の量が少ないため
と考えられる。
【0031】上記の気相反応によりSi34ファイバー
が絡み合った無配向網状集合体を得るためには、非晶質
Si34とTiO2の混合粉末を窒素ガス雰囲気中にて
1400〜1600℃の温度及び300〜1200To
rrの炉内圧力で加熱する。その理由は、反応温度が1
400℃未満では非晶質Si34の蒸発が不十分であ
り、1600℃を越えると得られるSi34ファイバー
が短いウイスカー状となるためである。又、反応炉内の
圧力が300Torr未満では蒸発したSiとNの気相
反応が起こらず、1200Torrを越えると非晶質S
34の蒸発は起こり難くなる。
【0032】上記気相反応により得られるSi34ファ
イバーの無配向網状集合体は、各ファイバーが単に絡み
合っただけで互いに接合していないが、前記基材上及び
/又は前記基材の貫通孔内に析出させたファイバーの無
配向網状集合体を、更に大気中にて800〜1500℃
の温度で熱処理し、次いで窒素ガス雰囲気中にて170
0〜1900℃の温度で焼成することにより、各Si3
4ファイバーが互いに接合した骨格構造を形成させる
ことができる。
【0033】大気中にて800〜1500℃の温度で熱
処理することにより、Si34ファイバーの表面に適度
な厚さのSiO2層が形成され、これを再び窒素ガス雰
囲気中1700〜1900℃の温度で焼成することによ
り、表面のSiO2層が液相を形成して焼結が進行し、
その結果各Si34ファイバーが互いに接合した骨格構
造が得られるのである。尚、焼成時にはSi34が蒸発
しないように、1気圧以上の窒素圧が必要である。
【0034】尚、大気中での熱処理温度が800℃未満
ではファイバー表面にSiO2層が十分形成されず、1
500℃を越えると急激に酸化が進行して内部までSi
2化するので好ましくない。又、窒素ガス雰囲気中で
の焼成温度が1700℃未満ではSiO2の液相化が進
まないためファイバー相互の焼結による骨格構造が形成
されず、1900℃を越えるとSi34の蒸発を抑える
ために窒素圧力を過剰にかける必要が生じるので好まし
くない。
【0035】このようにして骨格構造を形成すれば、S
34ファイバーの無配向網状集合体自体の強度と基体
への密着強度が一層向上するので、より大きな差圧下で
フィルターを使用することが可能となる。又、熱処理温
度の変化により生成するSiO2量を調整でき、焼成温
度により焼結の進行程度を制御できるので、これらの調
整によってSi34ファイバーの無配向網状集合体の細
孔径を大きくする方向で制御できる。
【0036】尚、本発明のセラミックスフィルターの形
状は特に制限されず、例えば平板状であっても、或は円
筒状であっても良く、フィルターの用途によって適宜選
択できることは言うまでもない。
【0037】
【実施例】実施例1 図8に示すように、平均細孔径10μmで気孔率40体
積%の多孔質Si34からなり、直径25mmで厚さ
0.5mmの基材1aを、CVD装置の反応炉4内に設
置した。基材1aの下方の反応炉4内には、非晶質Si
34粉末に対してTiO2粉末を10重量%添加した混
合粉末を、25×25×10mmに成形した原料粉末成
形体5を配置した。
【0038】反応炉4内にキャリアガスとしてN2ガス
を0.5リットル/分の流速で流し、ヒーター6により
炉内の反応温度を1350〜1650℃の範囲で変化さ
せ、及び炉内圧力を300〜700Torrの範囲で変
化させて、それぞれ2時間の気相合成を行った。本発明
の試料については基材1の表面上にSi34ファイバー
の無配向網状集合体が厚さ10μm以上に形成され、そ
の光学顕微鏡写真(×500)を図7に示した。このS
34ファイバーの直径は約0.5〜1.0μmであり、
その長さは約1mm以上であった。
【0039】次に、得られた各試料について、気相合成
前後の重量変化と断面の光学顕微鏡観察により、Si3
4ファイバーの無配向網状集合体の気孔率を求めた。
又、基材及びフィルターの細孔径分布を測定し、両者の
差からSi34ファイバーの無配向網状集合体の細孔径
分布を決定した。ただし、Si34ファイバーの生成し
なかった試料はもちろん、Si34ウイスカーの生成し
た試料でも測定中にウイスカーの集合体が剥がれ落ちた
試料については測定ができなかった。これらの結果を表
1に示した。
【0040】尚、細孔径分布の測定は、ASTM F−
316に準拠し、エアーフロー法による孔径分布測定器
を用いて、乾燥した基材とフィルターについて空気圧力
(P)を変えて空気流量(Fdry)を測定し、次にイソ
プロピルアルコールで濡らした基材とフィルターについ
て同様に空気圧力(P)を変えて空気流量(Fwet)を
測定し、それぞれの細孔径分布Q=Fwet/Fdryの差か
ら無配向網状集合体の細孔径分布を求めた。
【0041】
【表1】 反応温度 炉内圧力 平均細孔径 気孔率試料 (℃) (Torr) 生成物 (μm) (体積%) 1* 1350 300 生成せず 測定不可 測定不可 2* 1350 700 生成せず 測定不可 測定不可 3 1400 300 ファイバー 0.12 88 4 1500 500 ファイバー 0.25 83 5 1550 500 ファイバー 0.88 82 6 1600 700 ファイバー 2.25 81 7* 1650 300 ウイスカー 測定不可 測定不可 8* 1650 700 ウイスカー 測定不可 測定不可 (注)表中の*を付した試料は比較例である(以下同
じ)。
【0042】表1の結果から、反応温度及び炉内圧力が
本発明の範囲内にある試料では、細長いSi34ファイ
バーが絡み合った無配向網状集合体が形成され、この無
配向網状集合体は細孔径が10μm以下で且つ気孔率が
80体積%以上と大きく、フィルターとして最適なもの
であることが判る。
【0043】実施例2 実施例1で作製した平均細孔径0.25μmの試料4
(反応温度1500℃、炉内圧力500Torr)のフ
ィルターを、更に大気中において800〜1500℃で
2時間熱処理し、続いて10気圧のN2ガス雰囲気中に
おいて1600〜1950℃で焼成した。得られた各試
料について、実施例1と同様にSi34ファイバーの無
配向網状集合体の平均細孔径を求め、その結果を表2に
示した。
【0044】
【表2】
【0045】表2の結果から判るように、Si34ファ
イバーの無配向網状集合体の大気中での熱処理温度及び
2ガス雰囲気中での焼成温度を制御することにより、
その細孔径を変化させることが可能である。
【0046】実施例3 平均細孔径10μmで気孔率40体積%の多孔質Si3
4基材上に平均細孔径0.55μmで気孔率約83体積
%のSi34ファイバーの無配向網状集合体を設けた実
施例2の試料10のフィルターと、同じ多孔質Si34
基材上に平均細孔径1.00μmで気孔率約83体積%
のSi34ファイバーの無配向網状集合体を設けた実施
例2の試料16のフィルターを用意した。これらのSi
34ファイバーの無配向網状集合体の厚さは共に20μ
mとした。
【0047】一方、比較例として平均細孔径10μmで
気孔率40体積%の多孔質Al23基材上に、平均細孔
径3.0μmで厚さ50μmのAl23層と平均細孔径
0.5μmで厚さ30μmの多孔質Al23層を順次形
成した市販のフィルター(試料a)、及び同じ多孔質A
23基材上に、平均細孔径5.0μmで厚さ50μm
のAl23層と平均細孔径1.0μmで厚さ30μmの
多孔質Al23層を順次形成した市販のフィルター(試
料b)を準備した。
【0048】これらのフィルター試料を用いて、AST
M F−316に準拠し、透過流量測定器により、差圧
0.95kg/cm2でイソプロピルアルコール(IP
A)及び空気を減圧濾過した。得られた各フィルターの
透過流量を表3に示した。
【0049】
【表3】
【0050】表3から、試料10及び16の本発明のフ
ィルターは、比較例である試料a及びbの市販のフィル
ターと比較して、厚さが1/4及び気孔率が約2倍にな
っているため3〜4倍の優れた透過性能を有することが
判る。
【0051】実施例4 実施例3の各フィルターを、温度1400℃に加熱した
炉内(大気雰囲気)に10分間保持した後、室温まで急
冷した。冷却後の各フィルターを用いて、IPA中に分
散させたポリエチレンラテックスからなる直径0.7μ
mと直径1.3μmの各均一粒子を濾過し、それぞれ捕
集率を測定した。結果を表4に示した。
【0052】
【表4】
【0053】試料a及びbの市販のAl23からなるフ
ィルターは、加熱後に基材及び膜部に熱衝撃による亀裂
が存在しており、このため捕集率が低下したが、本発明
の試料10及び16のフィルターはSi34で構成され
ているため優れた耐熱衝撃性を示し、加熱によっても亀
裂は生ぜず高い捕集率を維持していた。
【0054】実施例5 相対密度99%の緻密なSiCからなる内径25mm、
厚さ0.5mm、長さ20mmの円筒形の基材を用意
し、その円筒の側壁には一定の直径の貫通孔3を等間隔
に多数形成し、試料毎に貫通孔の直径を0.5〜15m
mの範囲で変えると共に側壁の気孔率が全て50体積%
となるように調整した。
【0055】次に、図9に示すように、円筒形の基材1
bの側壁の貫通孔3以外をマスキングし、CVD装置の
反応炉4内に設置した。一方、基材1bの下方の反応炉
4内には、非晶質Si34粉末に対してTiO2粉末を
10重量%添加した混合粉末を、25×25×10mm
に成形した原料粉末成形体5を配置した。
【0056】反応炉4内にキャリアガスとしてN2ガス
を0.5リットル/分の流速で流し、反応温度1500
℃及び炉内圧力700Torrにて気相合成を行い、基
材1bの側壁に設けた貫通孔3内を満たすようにSi3
4ファイバーの無配向網状集合体を形成した。その
後、大気中にて800℃で2時間熱処理し、更に10気
圧のN2ガス雰囲気中にて1700℃で2時間焼成し
た。得られたSi34ファイバーの無配向網状集合体
は、試料19〜23のいずれにおいても平均細孔径が
0.5μmで、気孔率は約83体積%であった。
【0057】参考のために、平均細孔径が10μmで気
孔率50体積%の多孔質SiCからなる上記と同一寸法
の円筒形の基材(貫通孔無し)を用い、上記と同様にし
て基材の円筒内周面全体に平均細孔径及び気孔率が上記
各試料と同じSi34ファイバーの無配向網状集合体を
20μmの厚さに形成した(試料24)。
【0058】これらの各フィルター試料を用い、AST
M F−316に準拠して、試料透過流量測定器により
差圧1.0kg/cm2でイソプロピルアルコール(IP
A)及び空気を減圧濾過し、透過流量を測定した。又、
各フィルター試料について、IPA中に分散させたポリ
エチレンラテックスからなる直径0.7μmの均一粒子
を濾過し、それぞれ捕集率を測定した。結果を表5に示
した。
【0059】
【表5】 基材側壁貫通孔 同気孔率 透過流量(ml/min・cm2) 捕集率試料 孔径(mm) (体積%) IPA 空気 (%) 19* 0.5 50 211 302 69 20 1.0 50 233 311 98 21 5.0 50 266 344 98 22 9.0 50 341 398 98 23* 15 50 399 425 60 24 貫通孔無し 50 194 288 98
【0060】孔径が1〜9mmの貫通孔内にSi34
ァイバーの無配向網状集合体を充填固着した試料20〜
22の各フィルターは、貫通孔の無い多孔質SiC基材
の表面に同じ無配向網状集合体を形成した試料24のフ
ィルターよりも優れた透過性能を示すことが判る。又、
貫通孔の孔径が0.5mm及び15mmの試料19及び
23の各フィルターは、透過性能は優れているものの、
前者では貫通孔内にSi34ファイバーが充填され難
く、後者では貫通孔の中央部におけるファイバーの無配
向網状集合体の厚さが薄くなるため、共に微粒子の捕集
率が著しく低下した。
【0061】
【発明の効果】本発明によれば、セラミックスの基材
に、平均細孔径が小さく且つ気孔率が大きいSi34
ァイバーの無配向網状集合体を設けた、耐熱性、耐熱衝
撃性、耐酸化性に優れたセラミックスフィルターを提供
することができる。このセラミックスフィルターは極め
て優れた透過性能及び捕集率を有するので、液体中又は
気体中の細菌や微粒子等の捕集フィルターとして有効で
あるほか、触媒担体としても利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミックスフィルターの一具体例を
示す概略断面図である。
【図2】本発明のセラミックスフィルターの他の具体例
を示す概略断面図である。
【図3】本発明のセラミックスフィルターの別の具体例
を示す概略断面図である。
【図4】非晶質Si34にTiNを添加した場合におけ
る両者の初期の反応過程を説明するための模式図であ
る。
【図5】非晶質Si34にTiNを添加した場合におけ
るTi35の生成とTiOガスの発生が起こる次の反応
過程を説明するための模式図である。
【図6】非晶質Si34にTiNを添加した場合におけ
る非晶質Si34の蒸発が起こる最後の反応過程を説明
するための模式図である。
【図7】本発明におけるSi34ファイバーの無配向網
状集合体の形状を示す顕微鏡写真(×500)である。
【図8】本発明において平板状の基材上にSi34ファ
イバーの無配向網状集合体を形成する装置の概略断面図
である。
【図9】本発明において円筒形の基材上にSi34ファ
イバーの無配向網状集合体を形成する装置の概略断面図
である。
【符号の説明】
1a、1b 基材 2a、2b Si34ファイバーの無配向網状集合体 3 貫通孔 4 反応炉 5 原料粉末成形体 6 ヒーター

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連通気孔の多孔質セラミックスからなる
    基材と、この基材上に固着された長さ100μm以上の
    窒化ケイ素ファイバーが厚さ10μm以上に絡み合った
    無配向網状集合体とからなるセラミックスフィルター。
  2. 【請求項2】 直径1〜10mmの多数の貫通孔を形成
    したセラミックスからなる基材と、この基材の貫通孔内
    に充填固着された長さ100μm以上の窒化ケイ素ファ
    イバーが厚さ10μm以上に絡み合った無配向網状集合
    体とからなるセラミックスフィルター。
  3. 【請求項3】 前記窒化ケイ素ファイバーは、直径が
    0.01〜5μmであることを特徴とする、請求項1又
    は2に記載のセラミックスフィルター。
  4. 【請求項4】 前記窒化ケイ素ファイバーの無配向網状
    集合体は、絡み合った各窒化ケイ素ファイバーが互いに
    接合した骨格構造を有することを特徴とする、請求項1
    〜3のいずれかに記載のセラミックスフィルター。
  5. 【請求項5】 前記窒化ケイ素ファイバーの無配向網状
    集合体の細孔径が10μm以下で、気孔率が80体積%
    以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか
    に記載のセラミックスフィルター。
  6. 【請求項6】 前記基材が窒化ケイ素又は炭化ケイ素か
    らなることを特徴とする、請求項1又は2に記載のセラ
    ミックスフィルター。
  7. 【請求項7】 連通気孔の多孔質セラミックスからなる
    基材又は直径1〜10mmの多数の貫通孔を形成したセ
    ラミックスからなる基材を反応炉内に配置し、酸化チタ
    ン粉末と混合した非晶質窒化ケイ素粉末を窒素ガス雰囲
    気中にて1400〜1600℃の温度及び300〜12
    00Torrの炉内圧力で加熱して気相反応させ、前記
    基材上及び/又は前記基材の貫通孔内に、長さ100μ
    m以上の窒化ケイ素ファイバーが絡み合った無配向網状
    集合体を厚さ10μm以上に析出固着させることを特徴
    とするセラミックスフィルターの製造方法。
  8. 【請求項8】 酸化チタンの添加量が非晶質窒化ケイ素
    に対して5重量%以上であることを特徴とする、請求項
    7に記載のセラミックスフィルターの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記基材上及び/又は前記基材の貫通孔
    内に窒化ケイ素ファイバーの無配向網状集合体を析出固
    着させた後、更に大気中にて800〜1500℃の温度
    で熱処理し、次いで窒素ガス雰囲気中にて1700〜1
    900℃の温度で焼成することにより、各窒化ケイ素フ
    ァイバーが互いに接合した骨格構造を形成させることを
    特徴とする、請求項7に記載のセラミックスフィルター
    の製造方法。
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