JP4633449B2 - 炭化珪素質多孔体及びその製造方法 - Google Patents

炭化珪素質多孔体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、自動車排気ガス浄化用のフィルターや触媒担体等に使用される炭化珪素質多孔体と、その製造方法に関する。
ディーゼルエンジンの排気ガスのような含塵流体中に含まれる粒子状物質を捕集除去するためのフィルタや、排気ガスの中の有害物質を浄化する触媒成分を担持するための触媒担体として、多孔質焼成体であるハニカム構造体が広く使用されている。そして、このようなハニカム構造体の構成材料として、炭化珪素(SiC)粒子のような耐火性粒子を使用出来ることが知られている。
耐火性粒子を用いた多孔質焼成体及びハニカム構造体にかかる先行技術及び関連技術としては、例えば、特許文献1〜11を挙げることが出来る。
特開平6−182228号公報 特開昭61−26550号公報 特開平8−165171号公報 特公昭61−13845号公報 特公昭61−13846号公報 特開2000−218165号公報 特開2002−201082号公報 特開昭63−74962号公報 特許第3099195号公報 特開2002−154882号公報 特許第2866435号公報
しかし、これら従来技術には、多孔質焼成体においては低熱伝導及び歩留まり低下、ハニカム構造体においては高SV(空間速度)条件下におけるフィルタ等への適用の困難性、等の問題が存在していた(特許文献7及び10を参照)。
そこで、本願発明者らは特許文献7において、骨材である耐火性粒子(炭化珪素粒子)と、耐火性粒子どうしを結合する結合材である金属珪素と、を含む多孔質なハニカム構造体、及びその製造方法を提案した。この特許文献7で開示されたハニカム構造体は、比較的低い焼成温度で歩留まりよく製造出来、熱伝導率が高く、十分に多孔質且つ高比表面積なものであり、フィルタや触媒担体として好適に利用可能なものである。
一方、フィルタや触媒担体として好適に利用可能であり、上記の如き炭化珪素と金属珪素を含む多孔体を製造する際に、窒素ガス中で焼成することにより、金属珪素と窒素ガスとを反応させて窒化珪素にした、窒化珪素を結合材とする炭化珪素質多孔体が特許文献8及び9に開示されている。
ところが、これら炭化珪素質多孔体に関し、特殊な使用環境や処理方法によっては、解決すべき課題が残存していることが理解されてきた。
例えば、金属珪素を低酸素雰囲気下あるいは還元雰囲気下で加熱するとSiが揮発したり、下記式(1)のようにSiOとして揮発することが知られている。又、これら気体状態のSiやSiOが酸化反応等を起こすときには、激しい発熱を伴うことも知られている。同様の問題は、下記式(2)のように、窒化珪素についても起こり得る。
Si+1/2O2→SiO↑ … (1)
Si34+3/2O2→3SiO↑+2N2↑ … (2)
ここにおいて、例えば金属珪素又は窒化珪素で結合された構造を有する炭化珪素質多孔体のハニカム構造体を、ディーゼルエンジンの排気ガスの中に含まれるパティキュレートを捕集除去するためのフィルタ(ディーゼルパティキュレートフィルタ、DPF)として使用する場合には、定期的に捕集したパティキュレートを燃焼させてフィルタを再生する必要があり、その燃焼に際して酸素が消費され、フィルタは還元雰囲気下に晒される。即ち、再生時のフィルタにおいて、上記式(1)及び式(2)に示されるような低酸素分圧下における酸化反応が起こる可能性が否定出来ない。従って、上記した金属珪素又は窒化珪素にかかる揮発及び酸化反応による急激な温度上昇等が生じ、それに起因してフィルタの強度低下を招来するおそれがあることから、フィルタの長期信頼性の向上に鑑み、更なる改善が望まれるようになった。
上記の問題を解消すべく、炭化珪素粒子及び/又は結合材である金属珪素の表面又は周辺に酸素を含む相を形成した炭化珪素質多孔体が、特許文献10に開示されている。
しかしながら、開示された炭化珪素質多孔体を熱サイクルが加わるような環境で使用すると、上記酸素を含む相と炭化珪素粒子及び/又は結合材との境界に、クラック及び剥離が発生し、問題となることを本願発明者らは認識した。
そのようなクラック及び剥離は、上記酸素を含む相と、上記炭化珪素粒子及び/又は結合材と、の熱膨張率が異なることに起因すると推定された。従って、炭化珪素と同種の材料で炭化珪素粒子及び/又は結合材、特に結合材の表面を覆う相を形成すれば、この問題は解決し得ることになる。そのような相を形成するには、例えば密着性のよい炭化珪素被膜によって炭化珪素粒子及び/又は結合材を覆えばよいが、この被膜を作製する方法としては、例えば、基板の表面に有機ポリシロキサン層を設け、真空下で高温加熱する方法が知られている(特許文献11参照)。
しかしながら、この方法は、緻密な基板上に50ミクロン以上の厚い膜を形成する技術であり、多孔体の内部表面にごく薄い被膜を設けるという特許文献10に提示されているような技術とは根本的に異なる。又、特許文献11に記載されている技術には、炭化珪素質多孔体の結合材(例えば金属珪素)の揮発を抑制するという観点は、全く存在しない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、耐酸化性に優れた炭化珪素質多孔体と、その製造方法を提供することを目的とする。研究が重ねられた結果、以下に示す手段により、この目的を達成出来ることが見出された。
即ち、本発明によれば、骨材としての炭化珪素粒子と、その炭化珪素粒子どうしを結合する結合材と、を含み、結合材の表面の少なくとも一部が、珪素と炭素とを含む相で覆われている炭化珪素質多孔体が提供される。
本発明においては、更に、炭化珪素粒子の表面の少なくとも一部が、珪素と炭素とを含む相で覆われていることが好ましい。
本発明においては、上記結合材が、金属珪素及び窒化珪素のうちの何れかであることが好ましい。
又、本発明においては、上記珪素と炭素とを含む相が、更に酸素を含むことが好ましい。
更に、本発明においては、上記珪素と炭素とを含む相が、ガラス相及び/又は微結晶であることが好ましい。
本発明によれば、概ね柱状を呈し、軸方向に、隔壁で仕切られた多数の流通孔を有するハニカム構造体であって、上記した何れかの炭化珪素質多孔体で構成されるハニカム構造体が提供される。柱状を呈するとは、例えば円柱形、角柱形等の形状であることを意味する。
又、本発明によれば、上記した何れかの炭化珪素質多孔体を製造する方法であって、骨材となる炭化珪素粒子に、その炭化珪素粒子どうしを結合する結合材となる所定原料と、有機バインダと、を加えて混合した後に成形し、所定の形状の成形体を得る工程と、成形体を仮焼して有機バインダを除去し、仮焼体を得る工程と、その仮焼体を焼成し、焼成体を得る工程と、珪素と炭素とを含む溶液を用いて、得られた焼成体の中の結合材の表面の少なくとも一部を、珪素と炭素とを含む相で覆う工程と、を有する炭化珪素質多孔体の製造方法が提供される。この製造方法を、本明細書において、炭化珪素質多孔体の第1の製造方法、又は単に第1の製造方法ともいう。
本発明に係る炭化珪素質多孔体の第1の製造方法においては、上記焼成体の中の結合材の表面の少なくとも一部を珪素と炭素とを含む相で覆う工程の後に、更に熱処理する工程を有することが好ましい。
更に、本発明によれば、上記した何れかの炭化珪素質多孔体を製造する方法であって、骨材となる炭化珪素粒子に、その炭化珪素粒子どうしを結合する結合材となる所定原料と、有機バインダと、を加えて混合した後に成形し、所定の形状の成形体を得る工程と、成形体を仮焼して有機バインダを除去し、仮焼体を得る工程と、珪素と炭素とを含む溶液を用いて、得られた仮焼体の中の結合材の表面の少なくとも一部を、珪素と炭素とを含む相で覆う工程と、を有する炭化珪素質多孔体の製造方法が提供される。この製造方法を、本明細書において、炭化珪素質多孔体の第2の製造方法、又は単に第2の製造方法ともいう。尚、単に、本発明に係る炭化珪素質多孔体の製造方法というときには、第1の製造方法と第2の製造方法の両方を指す。
本発明に係る炭化珪素質多孔体の第2の製造方法においては、上記仮焼体の中の結合材の表面の少なくとも一部を珪素と炭素とを含む相で覆う工程の後に、更に熱処理する工程を有することが好ましい。
熱処理する工程を有する場合においては、その熱処理を、60〜2400℃の温度範囲で実施することが好ましい。尚、この場合には、熱処理が焼成工程を兼ねていることになる。
又、本発明に係る炭化珪素質多孔体の製造方法においては、結合材となる所定原料が、金属珪素であることが好ましい。
更に、本発明に係る炭化珪素質多孔体の製造方法においては、珪素と炭素とを含む溶液が、更に酸素を含むことが好ましい。
尚更に、本発明に係る炭化珪素質多孔体の製造方法においては、珪素と炭素とを含む溶液が、有機ポリシロキサン溶液であることが好ましい。
この場合において、有機ポリシロキサン溶液が、フェニル基を含むことが好ましい。
本発明に係る炭化珪素質多孔体の製造方法においては、珪素と炭素とを含む溶液が、アリルハイドリドポリカルボシラン(AHPCS)溶液であることが好ましい。
本発明に係る炭化珪素質多孔体は、骨材としての炭化珪素粒子と、その炭化珪素粒子どうしを結合する結合材としての(限定されないが好ましくは)金属珪素又は窒化珪素と、を含むものである。この炭化珪素質多孔体は、結合材の表面の少なくとも一部が、珪素と炭素とを含む相で覆われており、結合材の揮発及び結合材の酸化反応を抑制することが出来、優れた耐酸化性を発揮する。従って、本発明に係る炭化珪素質多孔体は、フィルタ(例えばDPF)として使用され、低酸素雰囲気下で高温に晒された場合において、結合材がたとえ金属珪素又は窒化珪素であっても、その酸化分解、及び酸化反応等による発熱によって、強度低下を起こさず、損傷に至らない。
本発明に係る炭化珪素質多孔体は、骨材としての炭化珪素粒子と、その炭化珪素粒子どうしを結合する結合材としての(限定されないが好ましくは)金属珪素又は窒化珪素と、を含むものであるため、1400〜1600℃程度の比較的低い焼成温度で焼結させることが出来る。従って、より低廉に製造出来、且つ歩留を向上させることが可能である。
又、本発明に係る炭化珪素質多孔体は、耐火性粒子である炭化珪素粒子の結合に、好ましくは金属珪素又は窒化珪素を利用するので、耐火性粒子の結合にガラス質を利用する場合に比較して、より高い熱伝導率を有するものになる。従って、フィルタ(例えばDPF)として使用し、その再生時に堆積したパティキュレートを燃焼させても、損傷を招来させるような局所的な温度上昇が生じない。尚、この効果を得るための熱伝導率は、概ね10W/mK以上であればよい。
本発明に係る炭化珪素質多孔体の製造方法は、所定の工程及び条件によって、骨材としての炭化珪素粒子と、その炭化珪素粒子どうしを結合する結合材と、を含む炭化珪素質多孔体に対し、結合材の表面の少なくとも一部を珪素と炭素とを含む相で覆うことが容易に行える。
本発明に係るハニカム構造体は、本発明に係る炭化珪素質多孔体で構成されるハニカム構造体であり、その構成材料である炭化珪素質多孔体の特性を反映し、優れた耐酸化性を有している。本発明に係るハニカム構造体は、厚壁の有底筒状体ではなく、多孔質の炭化珪素質多孔体で構成され、概ね柱状を呈し、軸方向に、隔壁で仕切られた多数の流通孔を有するハニカム構造体であるので、ディーゼルエンジンから排出されるパティキュレートを捕集除去するためのフィルタ(DPF)や、触媒担体等として、高SV条件下であっても、好適に使用出来る。
以下、本発明の実施の形態について、適宜、図面を参酌しながら説明するが、本発明はこれらに限定されて解釈されるべきものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。例えば、図面は、好適な本発明の実施の形態を表すものであるが、本発明は図面に表される態様や図面に示される情報により制限されない。本発明を実施し又は検証する上では、本明細書中に記述されたものと同様の手段若しくは均等な手段が適用され得るが、好適な手段は以下に記述される手段である。
先ず、本発明に係る炭化珪素質多孔体について説明する。図1は、本発明に係る炭化珪素質多孔体の一の実施形態を示す図であり、その一部を拡大して示す模式図である。図1に示される炭化珪素質多孔体10は、骨材としての炭化珪素粒子1と、その炭化珪素粒子1どうしを結合する結合材としての金属珪素粒子2と、を含み、炭化珪素粒子1の間に細孔4が形成されてなるものであり、図示されるように、結合材である金属珪素粒子2の表面の概ね全体が、珪素と炭素とを含む相3で覆われている。又、珪素と炭素とを含む相3は、更に、炭化珪素粒子1の表面の一部をも、覆っている。
炭化珪素質多孔体10において、金属珪素粒子2の代わりに窒化珪素粒子を結合材として採用出来る。又、珪素と炭素とを含む相3には、更に酸素が含まれていてもよく、その珪素と炭素とを含む相3は、ガラス相及び/又は微結晶であることが好ましい。ここで、珪素と炭素とを含む相3は、単独相であってもよいし、組成や結晶形の異なる複数の相の混在であってもよい。又、組成の異なるガラス相及び/又は微結晶相と結晶相との混在であってもよい。微結晶とは、電子線回折やX線回折において、明確なピークが確認されない結晶を表す。
珪素と炭素とを含む相3が、更に酸素を含むことにより、より平滑でクラックの存在しない被膜になり得る。製造時において焼成による収縮が生じ難いからである。又、珪素と炭素とを含む相3は、酸素を含むことによってガラス相及び/又は微結晶になり易いが、珪素と炭素とを含む相3が、ガラス相及び/又は微結晶であることにより、密着性が高く、熱サイクルを経た後にもクラックや剥離が生じない被膜が得られる。珪素と炭素とを含む相3は、例えば熱処理温度を高くすることにより、全て結晶質と成り得るが、その場合は、被覆している珪素と炭素とを含む相3に、微細なクラックが見られる場合があり得る。
図2は、本発明に係る炭化珪素質多孔体の他の実施形態を示す図であり、その一部を拡大して示す模式図である。図2に示される炭化珪素質多孔体20は、炭化珪素質多孔体10と同様に、骨材としての炭化珪素粒子1と、その炭化珪素粒子1どうしを結合する結合材としての金属珪素粒子2、を含み、炭化珪素粒子1の間に細孔4を形成してなるものであるが、図示されるように、結合材である金属珪素粒子2の表面の一部のみが、珪素と炭素とを含む相3で覆われているところが、炭化珪素質多孔体10と異なる。又、珪素と炭素とを含む相3が、炭化珪素粒子1の表面の一部をも覆っているところは、炭化珪素質多孔体10と同様である。
本発明に係る炭化珪素質多孔体は、炭化珪素質多孔体20の如き態様であっても、既に述べた本発明の効果を発揮し得る。尚、炭化珪素質多孔体20においても、金属珪素粒子2の代わりに窒化珪素粒子を結合材として採用出来、珪素と炭素とを含む相3には、更に酸素が含まれていてもよく、その珪素と炭素とを含む相3は、ガラス相及び/又は微結晶であることが好ましい。
参考までに、本発明に属さない炭化珪素質多孔体の例を図3に示す。図3は、本発明に含まれない炭化珪素質多孔体の一例を示す図であり、その一部を拡大して示す模式図である。図3に示される炭化珪素質多孔体30では、本発明に係る炭化珪素質多孔体10,20と同様に、骨材としての炭化珪素粒子1と、その炭化珪素粒子1どうしを結合する結合材としての金属珪素粒子2と、を含み、炭化珪素粒子1の間に細孔4を形成してなるものであり、珪素と炭素とを含む相3が、炭化珪素粒子1の表面の一部を覆っているが、図示されるように、結合材である金属珪素粒子2の表面が、珪素と炭素とを含む相3で覆われていない。このような炭化珪素質多孔体30では、結合材である金属珪素粒子2の揮発及び酸化反応が十分に抑えられず、既に述べた本発明の効果を発揮出来ない。結合材として、金属珪素粒子2の代わりに窒化珪素粒子を用いても同様である。
次に、本発明に係るハニカム構造体について説明する。本発明に係るハニカム構造体は、概ね柱状を呈し、軸方向に、隔壁で仕切られた多数の流通孔(セル)を有するハニカム構造体である。その形状は、円柱形、角柱形等であってよく限定されない。又、セルの断面形状、セルの断面の径、セル密度、隔壁の厚さ等は、特に限定されるものではなく、フィルタ、触媒担体等の用途に応じて、適宜決定することが出来る。
本発明に係るハニカム構造体は、本発明に係る炭化珪素質多孔体で構成されるものである。この本発明に係るハニカム構造体を構成する場合において、本発明に係る炭化珪素質多孔体は、その開気孔率が40〜75%であることが好ましい。強度を維持しつつ、フィルタ等として利用したときの圧力損失、及びガス透過係数の低下を抑えられるからである。開気孔率は、水中重量法で測定される値である。又、この場合において、本発明に係る炭化珪素質多孔体は、その平均細孔径が5〜50μmであることが好ましい。開気孔率の好ましい条件と同様に、強度を維持しつつ、フィルタ等として利用したときの圧力損失、及びガス透過係数の低下を抑えられるからである。平均細孔径は、水銀を用いるポロシメーターで測定される値である。更に、本発明に係る炭化珪素質多孔体は、細孔の比表面積が1m2/g以下であることが好ましい。ガス透過性が損なわれるおそれを排除出来るからである。比表面積とは、単位質量当りの表面積を表し、例えば、ガスの物理吸着によりB.E.T理論を用いて、試料表面に吸着されたガスの単分子層でサンプル表面を覆うのに必要な分子数(N)を求め、この分子数(N)に吸着ガスの分子断面積をかけることにより、試料の表面積を導出し、この試料の表面積を試料の質量で割ることにより求まる値をいう。
次に、本発明に係る炭化珪素質多孔体の製造方法について説明する。最初に、結合材が金属珪素である炭化珪素質多孔体を製造する場合を例示し、第1の製造方法について説明する。
結合材が金属珪素である炭化珪素質多孔体を製造する場合の第1の製造方法においては、先ず、原料として骨材となる炭化珪素粉末を用意し、それに結合材となる金属珪素粉末、及び有機バインダを添加して混合し、調合粉を得る。必要に応じて、例えば、界面活性剤、水等の成形助剤を添加してもよい。炭化珪素質多孔体の形状をハニカム構造体とする場合には、炭化珪素粉末に金属珪素粉末と有機バインダとを添加して混合及び混練し、成形用の坏土を得る。
炭化珪素と金属珪素との混合比は、質量比で90:10〜60:40程度が好ましい。又、炭化珪素粉末は、平均粒径10〜50μmのものを使用することが好ましく、金属珪素粉末は、平均粒径1〜20μmのものを使用することが好ましい。炭化珪素粉末や金属珪素粉末に用いる原料には、Fe、Al、Ca等の微量の不純物を含有するケースがあるが、そのまま使用してもよく、薬品洗浄等の化学的な処理を施して精製したものを用いてもよい。
特にハニカム構造体である炭化珪素質多孔体を、フィルタとして使用する場合には、気孔率を高める目的で、坏土の調合時に造孔剤を添加してもよい。造孔材としては、例えば、澱粉、セルロース、発泡樹脂等の有機物を使用することが出来る。造孔剤の添加量は、炭化珪素と金属珪素の合計に対して5〜40質量%程度が好ましい。
そして、得られた調合粉あるいは坏土を、ハニカム構造体等の所定の形状に成形し成形体を得て、その成形体を、仮焼して成形体中の有機バインダを除去(脱脂)し、仮焼体を得る。その後、その仮焼体を、酸素分圧が10Pa以下となるようなアルゴンガス雰囲気下及び/又は減圧雰囲気下で焼成(本焼)して焼成体を得る。
上記仮焼は、金属珪素が溶融する温度より低い温度にて実施することが好ましい。具体的には、150〜700℃程度の所定の温度で一旦保持してもよく、又、所定温度域で昇温速度を50℃/hr以下に遅くして仮焼してもよい。所定の温度で一旦保持する場合には、使用した有機バインダの種類と量により、一温度水準のみの保持でも複数温度水準での保持でもよく、更に、複数温度水準で保持する場合には、互いに保持時間を同じにしても異なるようにしてもよい。昇温速度を50℃/hr以下に遅くする場合にも、同様に、ある一温度区域間のみ遅くしても複数区間で遅くしてもよく、更に、複数区間の場合には、互いに速度を同じとしても異なるようにしてもよい。
又、上記焼成(本焼)は、1410℃以上の温度(焼成温度)で行うことが好ましい。金属珪素の融点は1410℃であり、炭化珪素粒子(耐火性粒子)が金属珪素で結合された組織を得るためには、金属珪素が軟化する必要があるからである。より最適な焼成温度は、微構造や特性値から決定される。但し、1600℃を超える温度では金属珪素の蒸発が進行し、金属珪素を介した結合が困難になるため、焼成温度としては1410〜1600℃が適当であり、1420〜1580℃が、より好ましい。
そして、珪素と炭素とを含む溶液を用いて、得られた焼成体の中の金属珪素(結合材)の表面の少なくとも一部を、珪素と炭素とを含む相で覆う。具体的には、例えば珪素と炭素とを含む溶液の中に焼成体を浸漬させる、あるいは焼成体の表面に珪素と炭素とを含む溶液を吹きつけて、その後、概ね15℃以上60℃未満の温度で乾燥させる等の手段が採用出来る。珪素と炭素とを含む溶液としては、有機ポリシロキサンを主成分とする溶液、又はアリルハイドリドポリカルボシラン(AHPCS)を主成分とする溶液を用いることが出来る。必要に応じてこれらを混合して使用してもよい。ここで、有機ポリシロキサンとは、Si−O−Si結合を主骨格とし、有機基で置換された構造を有するポリマの総称である。有機ポリシロキサンは分子量が大きなものは固体であるが、トルエン、キシレン等の溶媒に溶解して溶液として用いることが出来る。有機ポリシロキサンを主成分とする溶液を用いる場合は、溶液中に珪素と炭素以外に更に酸素を含むことになる。有機ポリシロキサンを主成分とする溶液を用いる場合には、それが有機基としてフェニル基を含むものであれば、尚好ましい。フェニル基は、他のアルキル基に比べ、有機ポリシロキサンの熱処理の後に炭素として残存する割合が高くなるからである。
以上の工程により、骨材としての炭化珪素粒子と、その炭化珪素粒子どうしを結合する金属珪素と、を含み、金属珪素の表面の少なくとも一部が、珪素と炭素とを含む相で覆われている炭化珪素質多孔体を得ることが可能であるが、焼成体の中の金属珪素の表面の少なくとも一部を珪素と炭素とを含む相で覆う工程の後に、更に熱処理する工程を行うことが、より好ましい。金属珪素(結合材)の表面の少なくとも一部を、珪素と炭素とを含む相で、より広く、より密着性よく、覆うことが出来るからである。
この場合に、上記熱処理は、低酸素雰囲気下及び/又はアルゴンガス雰囲気下において、60〜2000℃の温度で行うことが好ましい。より好ましくは、500〜2000℃であり、更に好ましい熱処理温度は800〜2000℃である。60℃未満の場合は、金属珪素の表面の少なくとも一部を、珪素と炭素とを含む相で覆うまでに長時間を要するので好ましくない。本熱処理においては、金属珪素の融点付近の1400℃を超えても、珪素と炭素とを含む相で覆われているため、全体の形状は大きく崩れないが、2000℃を超える場合は、あまりに温度が高いため、所定の形状を保てなくなるおそれがあるため好ましくない。又、この熱処理温度が高いと、被膜中の酸素が少なくなるとともに、被膜が焼成収縮するため、クラックが発生する場合があり、好ましくない。熱処理温度を、上記温度範囲に規定した本発明に係る第1の製造方法は、珪素と炭素とを含む相を結合材である金属珪素の表面に、迅速に確実に形成することが出来る。熱処理に要する時間は、好ましくは15分〜96時間程度である。温度が高ければ必要な時間は短縮され、温度が低ければ必要な時間は延びる。尚、熱処理を行う場合には、珪素と炭素とを含む溶液の乾燥は省略出来る。
珪素と炭素とを含む相の厚さは、珪素と炭素とを含む溶液の粘度を調整することによって、適宜、コントロールすることが可能である。又、溶液に焼成体を浸漬させること等と乾燥とを繰り返し行うことによって、相の厚さを厚くすることも出来る。更には、溶液の中から焼成体を取り出す速度を調整することでも、膜の厚さをコントロールすることが可能である。
続いて、結合材が金属珪素である炭化珪素質多孔体を製造する場合における第2の製造方法について説明する。結合材が金属珪素である炭化珪素質多孔体を製造する場合の第2の製造方法は、上記第1の製造方法に準じた製造方法である。上記第1の製造方法が、珪素と炭素とを含む溶液を用いて、得られた焼成体の中の金属珪素(結合材)の表面の少なくとも一部を、珪素と炭素とを含む相で覆うのに対し、第2の製造方法では、仮焼体を焼成(本焼)して焼成体を得る前に、仮焼体の段階で、珪素と炭素とを含む溶液を用いて、その仮焼体の中の金属珪素(結合材)の表面の少なくとも一部を、珪素と炭素とを含む相で覆うところが異なる。
第2の製造方法において、仮焼体を得るまでの工程、好ましい条件等は、上記第1の製造方法に従う。又、珪素と炭素とを含む溶液を用いて、仮焼体の中の金属珪素(結合材)の表面の少なくとも一部を、珪素と炭素とを含む相で覆う手段(使用出来る溶液等)については、焼成体を対象とする上記第1の製造方法に準じる。更に、上記第1の製造方法に準じて、仮焼体を珪素と炭素とを含む相で覆った後に、熱処理する工程を行うことが、より好ましく、その条件も第1の製造方法に準じる。
第2の製造方法においては、好ましくは熱処理を用いることによって、仮焼体を珪素と炭素とを含む相で覆うと同時に焼成が進み、焼成体を得ることが出来るが、この熱処理にかかる条件も上記第1の製造方法に準じる。第2の製造方法では、熱処理工程により焼成を兼ねることが出来るため、結合材である金属珪素の表面が珪素と炭素とを含む相で覆われている焼成体を、より安価に製造することが出来る。
次に、結合材が窒化珪素である炭化珪素質多孔体を製造する場合について説明する。結合材が窒化珪素である炭化珪素質多孔体を製造する場合の第1の製造方法及び第2の製造方法は、既に説明した結合材が金属珪素である炭化珪素質多孔体を製造する場合の第1の製造方法及び第2の製造方法に準じた製造方法であるが、第1の製造方法及び第2の製造方法のそれぞれにおいて、金属珪素を窒化して結合材を窒化珪素にする窒化工程を有するところが異なる。
結合材が窒化珪素である炭化珪素質多孔体を製造する場合の第1の製造方法及び第2の製造方法において、仮焼体又は焼成体を得るまでの工程及び好ましい条件等、珪素と炭素とを含む溶液を用いて仮焼体又は焼成体の中の結合材の表面の少なくとも一部を珪素と炭素とを含む相で覆う手段(使用出来る溶液等)等、仮焼体又は焼成体を珪素と炭素とを含む相で覆った後に熱処理する工程を行うことがより好ましい点及びその条件等、については、結合材が金属珪素である炭化珪素質多孔体を製造する場合の第1の製造方法及び第2の製造方法に準じる。
以下、窒化工程について説明する。窒化の対象は、第1の製造方法においては結合材(金属珪素)の表面の少なくとも一部を珪素と炭素とを含む相で覆う前の焼成体であり、第2の製造方法においては仮焼体の段階で結合材(金属珪素)の表面の少なくとも一部を珪素と炭素とを含む相で覆った仮焼体である。
窒化工程は、限定されるものではないが、第1の製造方法においては、焼成工程に引き続いて、降温することなく行うことが好ましい。製造に要する時間が短縮され、製造コストを低減することが出来るからである。より具体的には、窒化は、アルゴンガス雰囲気下で1410〜1600℃の温度で行われる焼成から引き続いて、降温(冷却)することなく低くとも1200℃以上の温度を維持しながら、アルゴンガス雰囲気から窒素ガス雰囲気に切り換えて、好ましくは1200〜1800℃の温度(窒化温度)で行われる。この窒化(処理)により、焼成体の中の金属珪素が窒素ガスと反応して窒化珪素になり、結合材が窒化珪素である炭化珪素質多孔体を得ることが出来る。
窒化温度が1800℃より高い場合には、窒素ガス雰囲気下において常圧(大気圧)で焼成を行うと、窒化珪素の分解が始まるため、分解が生じないように加圧焼成が必要となる。そのため、1800℃より高い温度で焼成すると設備コストが高くなる。又、窒化温度が1200℃より低い場合は、窒化珪素の生成が不充分であり、部分的に金属珪素が多く残留し、高温強度特性が低下するおそれがある。上記の如き窒化工程の後に、珪素と炭素とを含む溶液を用いて、結合材(窒化珪素)の表面の少なくとも一部を、珪素と炭素とを含む相で覆う工程を行う。
窒化工程は、限定されるものではないが、第2の製造方法においては、金属珪素の表面の少なくとも一部を珪素と炭素とを含む相で覆った仮焼体を、窒素ガス雰囲気中で、好ましくは1200〜1800℃の温度で処理することによって、仮焼体の中の金属珪素が窒素ガスと反応して窒化珪素になると同時に焼結も進み、少なくとも結合材(窒化珪素)表面の一部が珪素と炭素とを含む相で覆われた炭化珪素質多孔体を得ることが出来る。
以下、本発明の炭化珪素質多孔体及びその製造方法について、実施例を掲げて、更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)[成形体製造工程]骨材となる平均粒径32.6μmの炭化珪素(SiC)粉末と、結合材となる平均粒径4μmの金属珪素(Si)粉末とを、質量比で80:20の組成となるように配合し、得られた配合粉末100質量部に対して、有機バインダとしてメチルセルロース6質量部、界面活性剤2.5質量部、及び水24質量部を加え、均一に混合し混練して成形用の坏土を得た。そして、得られた坏土を、押出成形機にて成形し、外径45mm、長さ120mm、隔壁厚さ0.43mm、セル密度100セル/平方インチ(16セル/cm2)のハニカム成形体(未焼成体)を作製した。
[焼成体製造工程]次に、ハニカム成形体に対し、低酸素雰囲気下で、550℃で3時間、脱脂のための仮焼を行った。更に、減圧したアルゴンガス雰囲気下で、1450℃で2時間の焼成を行い、ハニカム構造体であり、金属珪素を結合材とする炭化珪素質焼成体を得た。
[被覆工程]次いで、珪素と炭素とを含む溶液として市販のメチルフェニル系ポリシロキサン溶液(IPA希釈溶液シリコーン分25%)を用い、その中に、先に得られた炭化珪素質焼成体を浸漬しゆっくりと取り出した後、室温で自然乾燥することで、炭化珪素質多孔体の内部表面を含め表面全体にメチルフェニル系ポリシロキサンをコートした。
[熱処理工程]その後、800℃の温度で2時間、アルゴンガス雰囲気にて熱処理し、炭化珪素質多孔体を得た。
得られた炭化珪素質多孔体をSEM(走査型電子顕微鏡)にて観察したところ、炭化珪素粒子を結合した結合材(金属珪素)に、2〜5μmの被膜を確認出来た。マクロ的な構造変化は見られなかった。コートされた被膜をSEM付属のエネルギー分散型分析器(EDS)及び電子線マイクロ分析器(EPMA)により元素分析したところ、Si、C、Oが存在することが確認出来た。
又、得られた炭化珪素質多孔体を切断薄片化した後に、この被膜部分について、透過電子顕微鏡(TEM)を用いて電子線回折を行ったところ、観察した部位については、ガラス相(アモルファス相)及び/又は回折ピークを明確に有しない微結晶から構成されていることが確認された。
[物理特性試験1]得られた炭化珪素質多孔体から試料片を切り出し、低酸素雰囲気を模擬すべく、高純度ヘリウムガスの流通雰囲気下で、1400℃まで昇温して、金属珪素の揮発及び/又は高純度ヘリウムガス流通雰囲気中の不可避的な不純物酸素による酸化反応性を、目視にて確認した。
この時の判定基準は、金属珪素の揮発・酸化が起きると、酸化揮発物であるSiOが再酸化後に付着し、試料が白く変色するため、試料が白く変色した場合は反応が起きたと判断して「あり」、変色しなかった場合には反応が起きなかったと判断して「なし」とした。尚、この目視の判断は、異なる5名がそれぞれ判断し、判断が割れた場合には△を記した。
又、これら高純度ヘリウムガスの流通雰囲気下で処理し反応の有無を目視判断した試料について、それぞれSEMを用いて、被覆している相の状態を観察した。結果を表1に示す。
[物理特性試験2]元の炭化珪素質多孔体から別の試料片を切り出し、熱サイクルを模擬すべく、アルゴンガス雰囲気中で、室温〜1400℃までの昇降温を、10回繰り返した処理を行った。その後、物理特性試験1と同様に、高純度へリウムガスの流通雰囲気下で、1400℃まで昇温して、金属珪素の揮発及び/又は高純度ヘリウムガス流通雰囲気中の不可避的な不純物酸素による酸化反応性を、目視にて確認した。
又、熱サイクルを経た後に高純度ヘリウムの流通雰囲気下で処理し反応の有無を目視判断した試料について、それぞれSEMを用いて、被覆している相の状態を観察した。結果を表1に示す。
参考例1)熱処理工程における温度を、1450℃とした以外は、実施例1と同様にして、炭化珪素質多孔体を作製し、物理特性試験1,2を行った。結果を表1に示す。
尚、得られた炭化珪素質多孔体をSEMにて観察したところ、炭化珪素粒子を結合した結合材(金属珪素)に、1〜5μmの被膜を確認出来た。マクロ的な構造変化は見られなかった。コートされた被膜をEDS及びEPMAにより元素分析したところ、Si、C、Oが存在することが確認出来た。
又、得られた炭化珪素質多孔体を切断薄片化した後に、この被膜部分について、TEMを用いて電子線回折を行ったところ、観察した部位については、ガラス相(アモルファス相)及び/又は回折ピークを明確に有しない微結晶と明確なピークを有する結晶相との混在であることが確認された。
参考例2)熱処理工程における温度と時間を、2000℃で10分間とした以外は、実施例1と同様にして、炭化珪素質多孔体を作製し、物理特性試験1,2を行った。結果を表1に示す。
尚、得られた炭化珪素質多孔体をSEMにて観察したところ、炭化珪素粒子を結合した結合材(金属珪素)に、0.5〜4μmの被膜を確認出来た。マクロ的な構造変化は見られなかったが、被膜部分に非常に微細なクラックが確認された。コートされた被膜をEDS及びEPMAにより元素分析したところ、Si、Cが存在することが確認出来た。Oは用いた装置の精度においては確認出来なかった。
又、得られた炭化珪素質多孔体を切断薄片化した後に、この被膜部分について、TEMを用いて電子線回折を行ったところ、観察した部位については、結晶相から構成されていることが確認された。
実施例2)被覆工程において、市販のメチル系ポリシロキサン(シリコーン分100%)を、キシレンとIPAとが質量比で50:50の混合溶媒に溶かした溶液(シリコーン分25%)を、珪素と炭素とを含む溶液として用い、その中に、先に得た炭化珪素質焼成体を浸漬しゆっくりと取り出すことで、炭化珪素質焼成体にメチル系ポリシロキサンをコートすること以外は、実施例1と同様にして、炭化珪素質多孔体を作製し、物理特性試験1,2を行った。結果を表1に示す。
尚、得られた炭化珪素質多孔体をSEMにて観察したところ、炭化珪素粒子を結合した結合材(金属珪素)に、1〜4μmの被膜を確認出来た。マクロ的な構造変化は見られなかった。コートされた被膜をEDS及びEPMAにより元素分析したところ、Si、C、Oが存在することが確認出来た。
又、得られた炭化珪素質多孔体を切断薄片化した後に、この被膜部分について、TEMを用いて電子線回折を行ったところ、観察した部位については、ガラス相(アモルファス相)及び/又は回折ピークを明確に有しない微結晶からから構成されていることが確認された。
実施例3)熱処理工程における温度を、1450℃とした以外は、実施例2と同様にして、炭化珪素質多孔体を作製し、物理特性試験1,2を行った。結果を表1に示す。
尚、得られた炭化珪素質多孔体をSEMにて観察したところ、炭化珪素粒子を結合した結合材(金属珪素)に、0.5〜3μmの被膜を確認出来た。マクロ的な構造変化は見られなかった。コートされた被膜をEDS及びEPMAにより元素分析したところ、Si、C、Oが存在することが確認出来た。
又、得られた炭化珪素質多孔体を切断薄片化した後に、この被膜部分について、TEMを用いて電子線回折を行ったところ、観察した部位については、ガラス相(アモルファス相)及び/又は回折ピークを明確に有しない微結晶からから構成されていることが確認された。
参考例3)熱処理工程における温度と時間を、2000℃で10分間とした以外は、実施例2と同様にして、炭化珪素質多孔体を作製し、物理特性試験1,2を行った。結果を表1に示す。
尚、得られた炭化珪素質多孔体をSEMにて観察したところ、炭化珪素粒子を結合した結合材(金属珪素)に、0.2〜2.5μmの被膜を確認出来た。マクロ的な構造変化は見られなかったが、被膜部分に微細なクラックが確認された。コートされた被膜をEDS及びEPMAにより元素分析したところ、Si、Cが存在することが確認出来た。Oは用いた装置の精度においては確認出来なかった。
又、得られた炭化珪素質多孔体を切断薄片化した後に、この被膜部分について、TEMを用いて電子線回折を行ったところ、観察した部位については、結晶相から構成されていることが確認された。
参考例4)被覆工程において、市販のアリルハイドリドポリカルボシラン(AHPCS)をトルエンで希釈しAHPCSを20質量%とした溶液を、珪素と炭素とを含む溶液として用い、その中に、先に得た炭化珪素質焼成体を浸漬しゆっくりと取り出すことで、炭化珪素質焼成体にAHPCSをコートすること以外は、実施例1と同様にして、炭化珪素質多孔体を作製し、物理特性試験1,2を行った。結果を表1に示す。
尚、得られた炭化珪素質多孔体をSEMにて観察したところ、炭化珪素粒子を結合した結合材(金属珪素)に、2〜5μmの被膜を確認出来た。マクロ的な構造変化は見られなかった。コートされた被膜をEDS及びEPMAにより元素分析したところ、Si、Cが存在することが確認出来た。
参考例5)熱処理工程における温度を、1400℃とした以外は、参考例4と同様にして、炭化珪素質多孔体を作製し、物理特性試験1,2を行った。結果を表1に示す。
尚、得られた炭化珪素質多孔体をSEMにて観察したところ、炭化珪素粒子を結合した結合材(金属珪素)に、2〜5μmの被膜を確認出来た。マクロ的な構造変化は見られなかった。コートされた被膜をEDS及びEPMAにより元素分析したところ、Si、Cが存在することが確認出来た。
実施例4)[成形体製造工程]骨材となる平均粒径47μmの炭化珪素(SiC)粉末と、結合材となる平均粒径5μmの金属珪素(Si)粉末とを、質量比で80:20の組成となるように配合し、得られた配合粉末100質量部に対して、助剤として炭酸ストロンチウム1質量%、造孔材として澱粉10質量%、有機バインダとしてメチルセルロース8質量部、界面活性剤1質量部、及び水19質量部を加え、均一に混合し混練して成形用の坏土を得た。そして、得られた坏土を、押出成形機にて成形し、外径45mm、長さ120mm、隔壁厚さ0.43mm、セル密度100セル/平方インチ(16セル/cm)のハニカム成形体(未焼成体)を作製した。
[焼成体製造工程]次に、ハニカム成形体に対し、低酸素雰囲気下で、500℃で3時間、脱脂のための仮焼を行った。そして、1.3Pa、アルゴンガス雰囲気中、1450℃で2時間焼成した(窒化前焼成)。その後、常圧(大気圧)、窒素ガス雰囲気、1450℃で4時間保持し、窒化処理を施し、結合材が窒化珪素になったハニカム構造体である炭化珪素質焼成体を得た。
被覆工程及び熱処理工程は、実施例1と同様にして行い、炭化珪素質多孔体を得た。そうして得られた炭化珪素質多孔体をSEMにて観察したところ、炭化珪素粒子を結合した結合材(窒化珪素)に、2〜5μmの被膜を確認出来た。マクロ的な構造変化は見られなかった。コートされた被膜をEDS及びEPMAにより元素分析したところ、Si、C、Oが存在することが確認出来た。
又、得られた炭化珪素質多孔体を切断薄片化した後に、この被膜部分について、TEMを用いて電子線回折を行ったところ、観察した部位については、ガラス相(アモルファス相)及び/又は回折ピークを明確に有しない微結晶からから構成されていることが確認された。
その後、実施例1の物理特性試験1,2に準じて、以下のような物理特性試験3,4を行った。
[物理特性試験3]得られた炭化珪素質多孔体から試料片を切り出し、低酸素雰囲気を模擬すべく、高純度ヘリウムガスの流通雰囲気下で、1800℃まで昇温して、窒化珪素の揮発及び/又は高純度ヘリウムガス流通雰囲気中の不可避的な不純物酸素による酸化反応性を、目視にて確認した。
この時の判定基準は、窒化珪素の揮発・酸化が起きると、酸化揮発物であるSiOが再酸化後に付着し、試料が白く変色するため、試料が白く変色した場合は反応が起きたと判断して「あり」、変色しなかった場合には反応が起きなかったと判断して「なし」とした。尚、この目視の判断は、異なる5名がそれぞれ判断し、判断が割れた場合には△を示した。
又、これら高純度ヘリウムガスの流通雰囲気下で処理し反応の有無を目視判断した試料について、それぞれSEMを用いて、被覆している相の状態を観察した。結果を表1に示す。
[物理特性試験4]元の炭化珪素質多孔体から別の試料片を切り出し、熱サイクルを模擬すべく、アルゴンガス雰囲気中で、室温〜1800℃までの昇降温を、10回繰り返した処理を行った。その後、物理特性試験3と同様に、高純度へリウムガスの流通雰囲気下で、1800℃まで昇温して、窒化珪素の揮発及び/又は高純度ヘリウムガス流通雰囲気中の不可避的な不純物酸素による酸化反応性を、目視にて確認した。
又、熱サイクルを経た後に高純度ヘリウムの流通雰囲気下で処理し反応の有無を目視判断した試料について、それぞれSEMを用いて、被覆している相の状態を観察した。結果を表1に示す。
参考例6)熱処理工程における温度を、1450℃とした以外は、実施例4と同様にして、炭化珪素質多孔体を作製し、物理特性試験3,4を行った。結果を表1に示す。
尚、得られた炭化珪素質多孔体をSEMにて観察したところ、炭化珪素粒子を結合した結合材(窒化珪素)に、1〜5μmの被膜を確認出来た。マクロ的な構造変化は見られなかった。コートされた被膜をEDS及びEPMAにより元素分析したところ、Si、C、Oが存在することが確認出来た。
又、得られた炭化珪素質多孔体を切断薄片化した後に、この被膜部分について、TEMを用いて電子線回折を行ったところ、観察した部位については、ガラス相(アモルファス相)及び/又は回折ピークを明確に有しない微結晶と明確なピークを有する結晶相との混在であることが確認された。
参考例7)熱処理工程における温度と時間を、2000℃で10分間とした以外は、実施例4と同様にして、炭化珪素質多孔体を作製し、物理特性試験3,4を行った。結果を表1に示す。
尚、得られた炭化珪素質多孔体をSEMにて観察したところ、炭化珪素粒子を結合した結合材(窒化珪素)に、0.5〜4μmの被膜を確認出来た。マクロ的な構造変化は見られなかったが、被膜部分に非常に微細なクラックが確認された。コートされた被膜をEDS及びEPMAにより元素分析したところ、Si、Cが存在することが確認出来た。Oは用いた装置の精度においては確認出来なかった。
又、得られた炭化珪素質多孔体を切断薄片化した後に、この被膜部分について、TEMを用いて電子線回折を行ったところ、観察した部位については結晶相から構成されていることが確認された。
実施例5)被覆工程を実施例2と同様にして行い、炭化珪素質焼成体にメチル系ポリシロキサンをコートすること以外は、実施例4と同様にして、炭化珪素質多孔体を作製し、物理特性試験3,4を行った。結果を表1に示す。
尚、得られた炭化珪素質多孔体をSEMにて観察したところ、炭化珪素粒子を結合した結合材(窒化珪素)に、1〜4μmの被膜を確認出来た。マクロ的な構造変化は見られなかった。コートされた被膜をEDS及びEPMAにより元素分析したところ、Si、C、Oが存在することが確認出来た。
又、得られた炭化珪素質多孔体を切断薄片化した後に、この被膜部分について、TEMを用いて電子線回折を行ったところ、観察した部位については、ガラス相(アモルファス相)及び/又は回折ピークを明確に有しない微結晶からから構成されていることが確認された。
実施例6)熱処理工程における温度を、1450℃とした以外は、実施例5と同様にして、炭化珪素質多孔体を作製し、物理特性試験3,4を行った。結果を表1に示す。
尚、得られた炭化珪素質多孔体をSEMにて観察したところ、炭化珪素粒子を結合した結合材(窒化珪素)に、0.5〜3μmの被膜を確認出来た。マクロ的な構造変化は見られなかった。コートされた被膜をEDS及びEPMAにより元素分析したところ、Si、C、Oが存在することが確認出来た。
又、得られた炭化珪素質多孔体を切断薄片化した後に、この被膜部分について、TEMを用いて電子線回折を行ったところ、観察した部位については、ガラス相(アモルファス相)及び/又は回折ピークを明確に有しない微結晶からから構成されていることが確認された。
参考例8)熱処理工程における温度と時間を、2000℃で10分間とした以外は、実施例5と同様にして、炭化珪素質多孔体を作製し、物理特性試験3,4を行った。結果を表1に示す。
尚、得られた炭化珪素質多孔体をSEMにて観察したところ、炭化珪素粒子を結合した結合材(窒化珪素)に、0.2〜2.5μmの被膜を確認出来た。マクロ的な構造変化は見られなかったが、被膜部に微細なクラックが確認された。コートされた被膜をEDS及びEPMAにより元素分析したところ、Si、Cが存在することが確認出来た。Oは用いた装置の精度においては確認出来なかった。
又、得られた炭化珪素質多孔体を切断薄片化した後に、この被膜部分について、TEMを用いて電子線回折を行ったところ、観察した部位については結晶相から構成されていることが確認された。
参考例9)被覆工程を参考例4と同様にして行い、炭化珪素質焼成体にAHPCSをコートすること以外は、実施例4と同様にして、炭化珪素質多孔体を作製し、物理特性試験3,4を行った。結果を表1に示す。
尚、得られた炭化珪素質多孔体をSEMにて観察したところ、炭化珪素粒子を結合した結合材(窒化珪素)に、2〜5μmの被膜を確認出来た。マクロ的な構造変化は見られなかった。コートされた被膜をEDS及びEPMAにより元素分析したところ、Si、Cが存在することが確認出来た。
参考例10)熱処理工程における温度を、1800℃とした以外は、参考例9と同様にして、炭化珪素質多孔体を作製し、物理特性試験3,4を行った。結果を表1に示す。
尚、得られた炭化珪素質多孔体をSEMにて観察したところ、炭化珪素粒子を結合した結合材(窒化珪素)に、2〜5μmの被膜を確認出来た。マクロ的な構造変化は見られなかった。コートされた被膜をEDS及びEPMAにより元素分析したところ、Si、Cが存在することが確認出来た。
実施例7)実施例1と同じ成形体製造工程によってハニカム成形体を作製し、得られたハニカム成形体に対し、低酸素雰囲気下で、550℃で3時間、脱脂のための仮焼を行い、炭化珪素質仮焼体を得た。その後、(本)焼成を行う前に、珪素と炭素とを含む溶液として市販のメチルフェニル系ポリシロキサン溶液(IPA希釈溶液シリコーン分25%)を用い、その中に、得られた炭化珪素質仮焼体を浸漬しゆっくりと取り出すことで、炭化珪素質仮焼体にメチルフェニル系ポリシロキサンをコートした。
その後、1450℃で2時間、アルゴンガス雰囲気にて熱処理し、炭化珪素質多孔体を得た。そして、得られた炭化珪素質多孔体から試験片を切り出し、実施例1と同様の物理特性試験1,2を行った。結果を表1に示す。
尚、得られた炭化珪素質多孔体をSEMにて観察したところ、炭化珪素粒子を結合した結合材(金属珪素)に、2〜5μmの被膜を確認出来た。マクロ的な構造変化は見られなかった。コートされた被膜をEDS及びEPMAにより元素分析したところ、Si、C、Oが存在することが確認出来た。
又、得られた炭化珪素質多孔体を切断薄片化した後に、この被膜部分について、TEMを用いて電子線回折を行ったところ、観察した部位についてはガラス相(アモルファス相)及び/又は回折ピークを明確に有しない微結晶からから構成されていることが確認された。
参考例11実施例4と同じ成形体製造工程によってハニカム成形体を作製し、得られたハニカム成形体に対し、低酸素雰囲気下で、500℃で3時間、脱脂のための仮焼を行い、炭化珪素質仮焼体を得た。その後、(本)焼成を行う前に、珪素と炭素とを含む溶液として市販のメチルフェニル系ポリシロキサン(IPA希釈溶液シリコーン分25%)を用い、その中に、得られた炭化珪素質仮焼体を浸漬しゆっくりと取り出すことで、炭化珪素質仮焼体にメチルフェニル系ポリシロキサンをコートした。
そして1.3Pa、アルゴンガス雰囲気にて、1100℃で1時間焼成し、引き続いて常圧(大気圧)、窒素ガス雰囲気、1450℃で4時間保持し、窒化処理を施すとともに焼成し、結合材が窒化珪素になったハニカム構造体である炭化珪素質多孔体を得た。そして、得られた炭化珪素質多孔体から試験片を切り出し、実施例4と同様の物理特性試験3,4を行った。結果を表1に示す。
尚、得られた炭化珪素質多孔体をSEMにて観察したところ、炭化珪素粒子を結合した結合材に、2〜5μmの被膜を確認出来た。マクロ的な構造変化は見られなかった。コートされた被膜をEDS及びEPMAにより元素分析したところ、Si、C、Oが存在することが確認出来た。
(比較例1)実施例1において、被覆工程、熱処理工程を行わず、成形体製造工程、焼成体製造工程のみを経て、結合材が金属珪素である炭化珪素質多孔体を得た。得られた炭化珪素質多孔体をSEMにて観察したところ、炭化珪素粒子を結合した結合材(金属珪素)に被膜は確認出来なかった。得られた炭化珪素質多孔体から試料片を切り出し、実施例1に準じて物理特性試験1,2(試験温度1400℃まで昇温)を実施した。結果を表1に示す。
(比較例2)実施例において、被覆工程、熱処理工程を行わず、成形体製造工程、焼成体製造工程のみを経て、結合材が窒化珪素である炭化珪素質多孔体を得た。得られた炭化珪素質多孔体をSEMにて観察したところ、炭化珪素粒子を結合した結合材(窒化珪素)に被膜は確認出来なかった。得られた炭化珪素質多孔体から試料片を切り出し、実施例に準じて物理特性試験3,4を実施した(試験温度1800℃まで昇温)。結果を表1に示す。
(比較例3)比較例1と同様な手順で多孔質の炭化珪素質多孔体を作製した。その後、得られた炭化珪素質多孔体に対し、大気中において、1300℃で2時間の熱処理を行った。熱処理した炭化珪素質多孔体をSEMにて観察したところ、結合材である金属珪素の表面を覆う1〜3μmの被膜が認められた。マクロ的な構造変化は見られなかった。EDS及びEPMAにより元素分析したところ、被膜中にはSi、Oが存在することが確認された。TEMを用いた電子線回折及び試料全体のX線回折により、この被膜はクリストバライト結晶質相(SiO2)から主に成っていることが確認された。被膜が形成された炭化珪素質多孔体から試料片を切り出し、実施例1に準じて物理特性試験1,2を実施した。結果を表1に示す。
[考察]表1に示されるように、被覆工程を経て、結合材の少なくとも一部をSiとCとを含む相で覆った炭化珪素質多孔体では、相を形成した後のみならず、熱サイクル後も、結合材の揮発及び酸化が防止されている。それに対し、結合材をSiとCとを含む相で覆わない場合には、少なくとも熱サイクル後には、結合材の揮発及び酸化が生じてしまうことがわかる。
本発明に係る炭化珪素質多孔体は、自動車排気ガス浄化用のフィルタや触媒担体等としての利用が可能である。特に、ハニカム構造体として形成し、ディーゼルエンジンの排気ガスのような含塵流体中に含まれる粒子状物質を捕集除去するためのフィルタ、として好適に用いられる。本発明に係る炭化珪素質多孔体の製造方法は、本発明に係る炭化珪素質多孔体を得る手段として利用出来る。
本発明に係る炭化珪素質多孔体の一の実施形態を示す図であり、その一部を拡大して示す模式図である。 本発明に係る炭化珪素質多孔体の他の実施形態を示す図であり、その一部を拡大して示す模式図である。 本発明に属さない炭化珪素質多孔体の一例を示す図であり、その一部を拡大した図である。
符号の説明
1…炭化珪素粒子、2…金属珪素粒子、3…(珪素と炭素とを含む)相、4…細孔、10,20,30…炭化珪素質多孔体。

Claims (9)

  1. 骨材としての炭化珪素粒子と、その炭化珪素粒子どうしを結合する結合材と、を含み、
    その結合材が、金属珪素及び窒化珪素のうちの何れかであり、その結合材の表面の少なくとも一部が、珪素と炭素とを含む相で覆われており、
    その珪素と炭素とを含む相が、更に酸素を含む、ガラス相及び/又は微結晶である炭化珪素質多孔体。
  2. 更に、前記炭化珪素粒子の表面の少なくとも一部が、珪素と炭素とを含む相で覆われている請求項1に記載の炭化珪素質多孔体。
  3. 略柱状を呈し、軸方向に、隔壁で仕切られた多数の流通孔を有するハニカム構造体であって、請求項1又は2に記載の炭化珪素質多孔体で構成されるハニカム構造体。
  4. 請求項1又は2に記載の炭化珪素質多孔体を製造する方法であって、
    骨材となる炭化珪素粒子に、その炭化珪素粒子どうしを結合する結合材となる金属珪素と、有機バインダと、を加えて混合した後に成形し、所定の形状の成形体を得る工程と、
    前記成形体を仮焼して前記有機バインダを除去し、仮焼体を得る工程と、
    前記仮焼体を焼成し、焼成体を得る工程と、
    珪素と炭素とを含み更に酸素を含む溶液を用いて、得られた前記焼成体の中の前記結合材の表面の少なくとも一部を、珪素と炭素とを含む相で覆う工程と、
    を有する炭化珪素質多孔体の製造方法。
  5. 前記焼成体の中の結合材の表面の少なくとも一部を珪素と炭素とを含む相で覆う工程の後に、更に800〜1450℃の温度範囲で熱処理する工程を有する請求項4に記載の炭化珪素質多孔体の製造方法。
  6. 請求項1又は2に記載の炭化珪素質多孔体を製造する方法であって、
    骨材となる炭化珪素粒子に、その炭化珪素粒子どうしを結合する結合材となる金属珪素と、有機バインダと、を加えて混合した後に成形し、所定の形状の成形体を得る工程と、
    前記成形体を仮焼して前記有機バインダを除去し、仮焼体を得る工程と、
    珪素と炭素とを含み更に酸素を含む溶液を用いて、得られた前記仮焼体の中の前記結合材の表面の少なくとも一部を、珪素と炭素とを含む相で覆う工程と、
    を有する炭化珪素質多孔体の製造方法。
  7. 前記仮焼体の中の結合材の表面の少なくとも一部を珪素と炭素とを含む相で覆う工程の後に、更に800〜1450℃の温度範囲で熱処理する工程を有する請求項6に記載の炭化珪素質多孔体の製造方法。
  8. 前記珪素と炭素とを含み更に酸素を含む溶液が、有機ポリシロキサン溶液である請求項4〜7の何れか一項に記載の炭化珪素質多孔体の製造方法。
  9. 前記有機ポリシロキサン溶液が、フェニル基を含む請求項8に記載の炭化珪素質多孔体の製造方法。
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