JPH0718492A - 光輝性アルミホイールの無色クロメート皮膜形成方法 - Google Patents

光輝性アルミホイールの無色クロメート皮膜形成方法

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JPH0718492A
JPH0718492A JP16204893A JP16204893A JPH0718492A JP H0718492 A JPH0718492 A JP H0718492A JP 16204893 A JP16204893 A JP 16204893A JP 16204893 A JP16204893 A JP 16204893A JP H0718492 A JPH0718492 A JP H0718492A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】アルミホイールの素材の光輝性を保持し、かつ
塗装後の耐食性(特に糸錆耐食性)並びに密着性に優れ
たアルミホイールのクロメート皮膜形成方法を提供す
る。 【構成】アルミホイールの表面を 100μmRmax 以下に
機械加工した後6価クロムイオン2g/リットル以上、
硫酸イオン20〜2000ppm、フッ素10〜400pp
m含有するpH0.6 〜1.7 の酸性溶液を用い、0.5 〜15
A/dm2 の電流密度で陰極電解処理することを特徴と
するアルミホイールのクロメート皮膜形成方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミホイールの塗装
前処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アルミホイールについては、自動車技術
ハンドブック第2分冊「設計編」1991年3月1日社
団法人自動車技術会発行の第15頁〜第16頁の項目7.
4.1の(3) b「アルミホイール」なる記述部分に紹介
されている。一方、アルミニウム又はアルミニウム合金
の表面処理方法としては、陽極酸化(アルマイト法)、
着色処理、化学皮膜処理(反応クロメート法、MBV
法、ベーマイト法等)が一般に知られている。アルミホ
イールを塗装する場合、耐食性及び塗装密着性の向上の
ため塗装前処理として反応クロメート処理、ノンクロメ
ート処理(有機金属塩皮膜等)、陽極酸化皮膜処理が施
されている。
【0003】アルミホイールの光輝性を生かしたクリヤ
ー塗装用前処理を考えた場合、ノンクロメート処理(有
機金属塩皮膜)では耐食性が不足しており、陽極酸化膜
では耐食性は良好であるが皮膜量が多く光沢がなくなる
ため、素材の光輝性を重視したクリヤー塗装用の前処理
としては不向きである。反応クロメート皮膜は優れた耐
食性を有しているが、無色の皮膜外観を求められた場
合、クロム付着量が10mg/m2 以下に制限されるた
め糸錆耐食性が不足する。糸錆とは、金属表面の塗膜を
通して水が金属表面に進入して局部的に電解腐蝕を起こ
し幅0.1 〜0.5 mm程度のミミズ這い状の錆が経時と共に
進行して行く状態を言う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上のようにアルミホ
イールの素材の光輝性を保持し、且つ塗装後の耐食性並
びに密着性に満足できる前処理方法はまだ見いだされて
いない。本発明の目的はアルミホイール素材の光輝性を
保持し、且つ塗装後耐食性(特に糸錆耐食性)、密着性
に優れた前処理皮膜を形成する前処理方法を提供するこ
とにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成する為に鋭意研究を重ねた結果、アルミホイールを
特定した濃度の6価クロムイオン、硫酸イオン、フッ素
を含有し、且つ特定したpHに調整した酸性水溶液中で
陰極電解処理することにより前記目的に適応した無色の
クロメート皮膜を得ることが出来ることを見いだし、且
つ該皮膜は特に100μmRmax 以下に機械加工したアル
ミホイール表面において塗装後糸錆耐食性、塗料密着性
に優れていることを見いだして本発明を完成するに至っ
た。
【0006】すなわち、本発明は、アルミホイールの表
面を 100μmRmax 以下に機械加工した後、6価クロム
イオン2g/リットル以上、硫酸イオン20〜2000ppm
含有するpH0.6 〜1.7 の酸性溶液を用い、0.5 〜15A
/dm2 の電流密度で陰極電解処理することを特徴とす
るアルミホイールの無色クロメート皮膜形成方法を提供
する。本発明の構成について具体的に説明する。
【0007】まず、酸性水溶液を構成する各成分につい
て説明する。6価クロムイオンとしては、無水クロム
酸、重クロム酸、及び重クロム酸のアルカリ金属塩類な
どがあげられ、それらの化合物から任意に1種又は2種
以上を選んで使用でき、その濃度範囲は2〜50g/リッ
トルである。6価クロムイオン濃度が2g/リットル未
満では、十分な耐食性を有するクロメート皮膜が得られ
ず、50g/リットルを超えても性能上は問題ないが、排
水処理等の負担がかかり不経済である。また、電解処理
を行うにつれて、3価のクロムイオンが増加するが、本
発明を実施するに当り、皮膜性能上3価のクロムイオン
の濃度は影響が少ないので特に3価のクロムイオンにつ
いては限定範囲を設ける必要がない。
【0008】硫酸イオンとしては、硫酸、硫酸のアルカ
リ金属塩類が使用でき、その濃度範囲は20〜2000ppm
である。その濃度が20ppm未満では、無色のクロメー
ト皮膜が形成されない。又、2000ppmを超えると、ク
ロム付着量が減少し耐食性が低下するので好ましくな
い。フッ素はフッ素イオン及び/又は、錯フッ素イオン
の形で存在し、フッ素イオンの供給源としては、例えば
フッ化水素酸、錯フッ素イオンの供給源としてはケイフ
ッ化水素酸、ジルコンフッ化水素酸、ホウフッ化水素酸
等から任意に選んで使用することができる。フッ素とし
ての濃度範囲は10〜400ppmである。10ppm未
満では塗装後耐食性に優れたクロメート皮膜を形成せ
ず、400ppmを超えると、電解によるクロメート皮
膜形成を抑制するので、所望するクロム付着量が得難く
なり、比較的に少ないクロム付着量でも皮膜が着色して
しまう為、クリヤー塗装用として不適当である。
【0009】酸性水溶液のpHはその価を0.6 〜1.7 の
範囲に限定する。pHをコントロールするためには、水
酸化アンモニウム、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金
属炭酸化合物、クロム酸、硫酸、及び硝酸等より任意に
選んで水溶液に加えることが出来る。pHが0.6 未満で
も塗装性能上は問題ないが、陰極電解処理することによ
り処理液のpHが上昇するため、工業生産上常時pH調
整が必要となり維持すること及びコントロールすること
が困難である。pHが1.7 を超えるとクロメート皮膜付
着量が急激に減少し、適性クロム付着量を得るのが困難
となる。
【0010】処理液の温度は特定するものではないが、
より好ましくは30°〜60°Cである。30°C以下では、
電解による発熱があるため温度維持に冷却が必要となり
工業生産的には不経済である。60°Cより高くしても、
生成する皮膜の特性に大きな変化はないが、電解処理
後、次の水洗工程での洗浄性を低下させるので好ましく
ない。
【0011】次に電解処理は被処理物を陰極とし、陽極
にはステンレス、チタン、白金、スズ、鉛合金等を用い
て電解処理を行う。電解処理の条件は、陰極における電
解電流密度を0.5 〜15A/dm2 の範囲で行う。電流密
度が0.5A/dm2 よりも低いときはクロメート皮膜
が形成され難く、又、15A/dm2 より高いと皮膜が着
色し、更に、皮膜の再溶解が起こり、本発明の目的であ
る無色のクロメート皮膜は得られない。
【0012】電解時間は、形成皮膜量(クロム付着量)
を所望の範囲とするためにコントロールされる。形成皮
膜量(クロム付着量)を変動される要因としては色々挙
げられるが、本発明の方法においては、処理液の各成分
の濃度、pH、温度、及び電流密度等を、夫々本発明の
好ましい条件に固定しておいても、電解時間を変えるこ
とにより所望のクロム付着量に制御することができる。
又、その逆に電解時間を固定して、電流密度を変えるこ
とによりクロム付着量を制御することもできる。
【0013】クロム付着量は特定されるものではない
が、好ましいクロム付着量範囲は、50〜 250mg/m2
である。クロム付着量50mg/m2 未満では、塗装後耐
食性、特に糸錆性が劣り、また、 250mg/m2 を超え
るとクロメート皮膜が着色し、クリヤー塗装用に適さな
い。但し、有色塗装の場合は、250 mg/m2 以上でも
使用できる。
【0014】また、本酸性処理後にコロイダルシリカ、
乾式シリカ、珪酸アルカリ金属塩等の化合物を含有させ
ることにより、無色で比較的厚膜のクロメート皮膜を形
成させることもできる。また、より耐食性を向上させる
ためにはジルコニウムイオンを本酸性処理液に添加でき
る。ジルコニウムイオンとしては、ジルコニウムフッ化
水素酸及びナトリウム、カリウム、アンモニウム等の
塩、硫酸ジルコニウム等を挙げることができる。
【0015】本発明により陰極電解されたアルミホイー
ルは、水洗した後乾燥して、塗装下地用として適用され
る。また、必要に応じて、前記水洗と乾燥の間に一般的
に用いられているクロメート水溶液、及び有機化合物な
どによる後処理を行うこともできる。本発明は鋳造法、
鍛造法いずれの方法で成形された1ピースタイプアルミ
ホイールに適用可能であり、また鋳造材、鍛造材、板材
のいずれかの組み合わせによる構成される2ピース、3
ピースタイプのアルミホイールにも適用可能である。
【0016】上記アルミホイールの機械加工後の表面粗
さが本発明のようにRmax100以下の場合、塗装後耐食
性、塗料密着性に著しく優れる。Rmax100より大きい
と、その他の本発明の条件を備えても反応クロメート処
理と比較して効果は小さい。また、アルミ材表面の機会
加工としては、研削加工、フライス加工、ブラスト加
工、研磨加工(バフ、ペーパー、グラインダー、サンダ
ー、ヤスリ、ラップ等)のいずれの機械加工でも適用可
能である。
【0017】
【実施例】次に、本発明を実施例と比較例を挙げて具体
的に説明する。試験板は、アルミニウム合金(JIS記
号AC4C、AC4CH)をサイズ70×150 ×15mmに鋳
造成形し、熱処理を行い(T6処理)、その後表面を研
削により25μm Rmax に仕上げたものを、アルカリ脱脂
洗浄して表面を清浄にした後、電解処理に供した(実施
例1〜14及び比較例1〜8)。
【0018】(実施例1〜6)6価クロムイオンを無水
クロム酸で20g/リットル、硫酸イオンを硫酸で400pp
m、フッ化水素酸でフッ素を100ppm添加した酸性水溶液
のpHを水酸化アンモニウムを用いて表1に示した条件
(実施例1−pH0.6 〜実施例6−pH1.6 )に調整し
た。試験板を前記酸性水溶液に浸漬し陰極とし、電流密
度を2A/dm2で60秒通電した。この間水溶液温度は4
0°Cに循環しながら維持した。通電後、試験板を取り
出し水洗及び純水洗浄を行った後100 °Cの乾燥炉で5
分間乾燥した。次に試験板に熱硬化型アクリル樹脂クリ
ヤーを塗装し(膜厚30μ)140°C30分焼付け乾燥
後、耐食性試験(糸錆試験、塩水噴霧試験=SST)を
実施した。結果を表1に示す。
【0019】(実施例7)6価クロムイオンを無水クロ
ム酸で5g/リットル、硫酸イオンを硫酸で100pp
m、フッ化水素酸でフッ素を30ppm添加した酸性水溶
液のpHを水酸化アンモニウムを用いて1.0に調整
し、実施例1と同様の電解処理、塗装を行い、耐食性試
験を実施した。結果を表1に示す。
【0020】(実施例8)6価クロムイオンを無水クロ
ム酸で50g/リットル、硫酸イオンを硫酸で1g/リ
ットル、フッ化水素酸でフッ素を400ppm、添加した酸性
水溶液のpHを水酸化アンモニウムを用いて1.0に調
整し、実施例1と同様の電解処理、塗装を行い、耐食性
試験を実施した。結果を表1に示す。
【0021】(比較例1〜3)6価クロムイオンを無水
クロム酸で20g/リットル、硫酸イオンを硫酸イオンを
硫酸で400ppm、フッ化水素酸でフッ素を100ppmという実
施例1〜実施例6と同一の条件で、添加した酸性水溶液
のpHを水酸化アンモニウムを用いて本発明の条件から
外れる表1に示した条件(比較例1−pH2.0 〜比較例
3−pH3.0 )に調整し、実施例1と同様の電解処理、
塗装処理を行い、耐食性試験を実施した。結果を表1に
示す。
【0022】以上の各実施例を比較例と比較して評価
(評価の方法については後述する) すると、表1に示さ
れるように、全ての実施例1〜8が、外観性, 耐食性
(糸錆試験, SST) を満たしており、特に、実施例5,
6は優れていた。これに対し、比較例1〜3につい
て、外観性は比較例1, 2では一応満たしているが、比
較例3はやや不良であり、また、耐食性については糸錆
試験結果は全て不良、SST結果は全てやや不良であっ
た。
【0023】ここで、実施例1〜6と比較例1〜3につ
いては、他の条件は同一で水溶液のpHの条件のみを変
えているため、これらの相違は水溶液のpHの相違に起
因するものであり、クロム付着量の相違も水溶液のpH
に起因することが明らかである。そこで、水溶液のpH
とクロム付着量の関係をみてみると、図1に示すよう
に、pHが本発明の条件から外れて2.0 以上の比較例の
場合は、クロム付着量が実施例1〜6に比較して著しく
小さくなっていることが判る。
【0024】次に、電界処理、フッ素濃度, その他の添
加成分を本発明の条件内で変化させた各実施例9〜14
を、比較例として電界処理が本発明を条件から外れたも
の (比較例4, 5) 、硫酸イオン濃度が本発明を条件か
ら外れたもの (比較例6) 、その他処理方法が全く異な
るもの (比較例7〜9) を上げて比較した場合について
説明する。
【0025】(実施例9)6価クロムイオンを無水クロ
ム酸で20g/リットル、硫酸イオンを硫酸で400pp
m、フッ化水素酸でフッ素を30ppmとなるように添加
した酸性水溶液のpHを水酸化アンモニウムを用いて
1.0に調整した。試験板を前記酸性水溶液に浸漬し陰
極とし、電流密度を0.5A/dm2 で 120秒間通電し
た。実施例1と同様の塗装を行い、耐食性試験を実施し
た。結果を表2に示す。
【0026】(実施例10)6価クロムイオンを無水クロ
ム酸で20g/リットル、硫酸イオンを硫酸で 400pp
m、フッ化水素酸でフッ素を30ppm添加し、添加した
酸性水溶液のpHを水酸化アンモニウムを用いて1.0 に
調整した。試験板を前記酸性水溶液に浸漬し陰極とし、
電流密度を2A/dm2 で60秒通電した。実施例1と同
様の塗装を行い、耐食性試験を実施した。結果を表2に
示す。
【0027】(実施例11)6価クロムイオンを無水クロ
ム酸で20g/リットル、硫酸イオンを硫酸で 400pp
m、フッ化水素酸でフッ素を 110ppmとなるように添
加した酸性水溶液のpHを水酸化アンモニウムを用いて
1.0に調整した。試験板を前記酸性水溶液に浸漬し陰極
とし、電流密度を10A/dm2 で30秒間通電した。実施
例1と同様の塗装を行い、耐食性試験を実施した。結果
を表2に示す。
【0028】(実施例12)6価クロムイオンを無水クロ
ム酸で20g/リットル、硫酸イオンを硫酸で 400pp
m、フッ化水素酸でフッ素を 110ppmとなるように添
加した酸性水溶液のpHを水酸化アンモニウムを用いて
1.0 に調整した。試験板を前記酸性水溶液に浸漬し陰極
とし、電流密度を15A/dm2 で30秒間通電した。実施
例1と同様の塗装を行い、耐食性試験を実施した。結果
を表2に示す。
【0029】(実施例13)6価クロムイオンを無水クロ
ム酸で20g/リットル、硫酸イオンを硫酸で 400pp
m、ジルコンフッ酸でフッ素を30ppm、ジルコニウム
イオンを90ppmとなるように添加した酸性水溶液のp
Hを水酸化アンモニウムを用いて1.0 に調整した。試験
板を前記酸性水溶液に浸漬し陰極とし、電流密度を2A
/dm2 で60秒間通電した。実施例1と同様の塗装を行
い、耐食性試験を実施した。結果を表2に示す。
【0030】(実施例14)6価クロムイオンを無水クロ
ム酸で20g/リットル、硫酸イオンを硫酸で 400pp
m、フッ化水素酸でフッ素を30ppm添加し、シリカゾ
ルをコロイダルシリカ(日産化学製スノーテックス0)
で固形分濃度2g/リットルとなるように添加した酸性
水溶液のpHを水酸化アンモニウムを用いて1.0に調
整した。試験板を前記酸性水溶液に浸漬し陰極とし、電
流密度を2A/dm2 で60秒通電した。実施例1と同様
の塗装を行い、耐食性試験を実施した。結果を表2に示
す。
【0031】(比較例4)6価クロムイオンを無水クロ
ム酸で20g/リットル、硫酸イオンを硫酸で 400pp
m、フッ化水素酸でフッ素を 110ppmとなるように添
加した酸性水溶液のpHを水酸化アンモニウムを用いて
1.0 に調整した。試験板を前記酸性水溶液に浸漬し陰極
とし、電流密度を20A/dm2 で30秒間通電した。実施
例1と同様の塗装を行い、耐食性試験を実施した。結果
を表2に示す。
【0032】(比較例5)6価クロムイオンを無水クロ
ム酸で20g/リットル、硫酸イオンを硫酸で 400pp
m、フッ化水素酸でフッ素を 110ppmとなるように添
加した酸性水溶液のpHを水酸化アンモニウムを用いて
1.0 に調整した。試験板を前記酸性水溶液に浸漬し陰極
とし、電流密度を30A/dm2 で30秒間通電した。実施
例1と同様の塗装を行い、耐食性試験を実施した。結果
を表2に示す。
【0033】(比較例6)6価クロムイオンを無水クロ
ム酸で10g/リットル、リン酸イオンをリン酸で15g/
リットル、硫酸イオンを硫酸ナトリウムで3g/リット
ルとなるよう添加した酸性水溶液に浸漬し陰極とし、電
流密度を 0.5A/dm2 で3分間通電した。実施例1と
同様の塗装を行い、耐食性試験を実施した。結果を表2
に示す。
【0034】(比較例7)試験板をアルカリ脱脂洗浄し
て表面を清浄にした後、反応型クロメート処理(日本パ
ーカライジング製アルクロム3703使用)し、水洗及
び純水洗浄を行った後 100°Cの乾燥炉で5分間乾燥し
た。次に試験板に熱硬化型アクリル樹脂クリヤーを塗装
し(膜厚30μ) 140°C30分焼付け乾燥後、耐食性試験
(糸錆試験、塩水噴霧試験)を実施した。結果を表2に
示す。
【0035】(比較例8)試験板をアルカリ脱脂洗浄、
苛性ソーダエッチング、デスマット処理して表面を清浄
にした後、一般的に使用されているアルマイト処理(硫
酸 180g/リットル、溶存アルミニウム5g/リット
ル、浴温25°C、電流密度1A/dm2 の条件で15分間
陽極酸化処理を行う)し、水洗及び純水洗浄を行った後
100°Cの乾燥炉で5分間乾燥した。次に試験板に熱硬
化型アクリル樹脂クリヤーを塗装し(膜厚30μ)、140
°Cで30分焼付け乾燥後、耐食性試験(糸錆試験、塩水
噴霧試験)を実施した。結果を表2に示す。
【0036】(比較例9)試験板をアルカリ脱脂洗浄し
て表面を清浄にした後、 100°Cの乾燥炉で5分間乾燥
した。次に試験板に熱硬化型アクリル樹脂クリヤーを塗
装し(膜厚30μ)、140 °Cで30分焼付け乾燥後、耐食
性試験(糸錆試験、塩水噴霧試験)を実施した。結果を
表2に示す。
【0037】表2で判るように、比較例4, 5のように
電流密度を大きくしすぎると、外観性, 糸錆試験結果,
SST試験結果の順で悪影響を及ぼし、硫酸濃度が高す
ぎる比較例6では、外観性, 耐食性共に評価基準を満た
せない。また、反応型クロメート処理を行う比較例7や
アルカリ脱脂処理のみを行う比較例9では外観性は充分
良好であるが、耐食性に問題があり、逆にアルマイト処
理を行う比較例8では耐食性には優れるが、光沢が無く
なり外観性を満たせないことが判る。
【0038】次に、表面粗さを本発明の条件の範囲内で
変化させた各実施例15〜18を、表面粗さ以外の条件は実
施例15〜18と同一で表面粗さを本発明の範囲外とした比
較例10, 11及び処理方法が本発明と基本的に異なり表面
粗さが本発明の範囲内の比較例12〜15、同じく表面粗さ
が本発明の範囲外の比較例16, 17と比較して説明する。
【0039】(実施例15〜18)試験板としてアルミニウ
ム合金(JIS記号;AC4CH)をサイズ70× 150×
15mmの大きさに鋳造成形し熱処理(T6処理)を行った
後、表面を研作加工により1.6 、25、50、100 、200 、
300 μmRmax に仕上げた。6価クロムイオンを無水ク
ロム酸で20g/リットル、硫酸イオンを硫酸で400ppm、
フッ化水素酸でフッ素を30ppm添加した酸性水溶液の
pHを水酸化アンモニウムを用いてpH1.0 に調整し
た。各種表面粗さに仕上げた試験板をアルカリ脱脂洗浄
をして表面を清浄にした後、前記酸性水溶液に浸漬し陰
極とし、電流密度を2A/dm2 で60秒通電した。この
間水溶液温度は40°Cに循環しながら維持した。通電
後、試験板を取り出し水洗及び純水洗浄を行った後 100
°Cの乾燥炉で5分間乾燥した。次に試験板に熱硬化型
アクリル樹脂クリヤーを塗装し(膜厚30μ)140°C
30分焼付乾燥後、耐食性試験(糸錆試験)を実施した。
結果を表3に示す。また、表面粗さと耐食性(糸錆び長
さ)の関係を図2に示す。
【0040】(比較例10, 11)前記実施例15〜18と表面
粗さ以外の条件は同一で、表面粗さを本発明の範囲外の
値として、200 、300 μmRmax に仕上げた。結果を表
3に示す。また、表面粗さと耐食性(糸錆び長さ)の関
係を図2に示す。 (比較例12〜15)実施例15〜18にて供した各種表面粗さに
仕上げた試験板をアルカリ脱脂洗浄して表面を清浄にし
た後、反応型クロメート処理(日本パーカライジング製
アルクロム3703使用)し、水洗及び純水洗浄を行っ
た後 100°Cの乾燥炉で5分間乾燥した。次に試験板に
熱硬化型アクリル樹脂クリヤーを塗装し(膜厚30μ)
140 °C30分焼付乾燥後、耐食性試験(糸錆試験)を実
施した。結果を表3に示す。また表面粗さと耐食性(糸
錆び長さ)の関係を図2に示す。
【0041】(比較例16, 17)前記比較例12〜15と同一の
処理を行い、表面粗さを本発明の範囲外の値として、20
0 、300 μmRmax に仕上げた。結果を表3に示す。ま
た、表面粗さと耐食性(糸錆び長さ)の関係を図2に示
す。図2から判るように、表面粗さを除き本発明の条件
で処理した場合でも、表面粗さが本発明の範囲外の200,
300 μmRmax の比較例の場合は、表面粗さが本発明の
範囲である100 μmRmax 以内の実施例15〜18に比較し
て糸錆長さが略2倍の長さとなってやや不良となってし
まう。また、基本的に処理方法の異なる比較例12〜17に
ついては、糸錆長さが6mm以上となって全て不良である
が、表面粗さが100 μmRmax 以内の小さいときの方
が、200,300 μmRmax と表面粗さが大きいときより糸
錆長さが大きくなるという本発明の処理の場合とは逆の
傾向となる。
【0042】最後に、上記試験片の表面仕上げ方法と評
価試験方法について以下に示す。 (試験片の表面仕上げ方法)JIS B0601−19
82に従い基準長さ0.25mmにて各最大高さ(Rmax)に
なるよう表面を仕上げた。 (評価試験方法) 1)皮膜外観 無処理サンプルを基準として色差計によりJIS−Z8
730に規定されている色差を測定して下記のランクに
分けて評価した。
【0043】 ◎ 色差 0 〜3.2 (目視では変色が確認され
ず) 〇 色差 3.2 〜6.5 (僅かに変色が認められる) △ 色差 6.5 〜13 (明らかに変色が認められ
る) × 色差 13以上 (強く変色が認められる) 2)クロム付着量 蛍光X線分析装置により測定。
【0044】3)糸錆試験 塗装した試験板にNTカッターで素地まで達するカット
傷をつけた後腐蝕液(1規定塩酸と5%過酸化水素水の
混液)に1分浸漬後常温で乾燥し24時間経時する。温潤
試験(温度50°C、湿度80%)を1000時間行った後、カ
ット傷より発生した糸錆の長さを測定する。
【0045】 ◎ 最大糸錆び長さ 2mm以内 〇 〃 3mm以内 △ 〃 5mm以内 × 〃 5mmより大 ※実施例15〜20,比較例10〜15は、数値で表示。
【0046】4)塩水噴霧試験(SST) 塗装した試験板にNTカッターで素地まで達するカット
傷をつけた後JIS−Z2371に基づいて1000時間行
った後、カット傷からの錆やフクレの最大幅を測定す
る。 ◎ 最大フクレ錆幅 1mm以内 〇 〃 2mm以内 △ 〃 3mm以内 × 〃 3mmより大
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、アルミホイール素材の
光輝性を保持し、且つ塗装後耐食性、密着性に優れた無
色クロムメート皮膜を形成させることができ、クリヤー
塗装前処理として、従来問題となっていた耐食性、特に
耐糸錆性を向上させることができる。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】電解液のpHとクロム付着量の関係を示す図。
【図2】アルミ材表面粗さと耐食性(糸錆び長さ)の関
係を示す図。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミホイールの表面を100 μmRmax
    以下に機械加工した後、6価クロムイオン2g/リット
    ル以上、硫酸イオン 20 〜2000ppm、フッ素10〜 400
    ppmを含有するpH0.6 〜1.7 の酸性溶液を用い、0.
    5 〜15A/dm2 の電流密度で陰極処理することを特徴
    とするアルミホイールの無色クロメート皮膜形成方法。
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