JPH0718466A - 研磨仕上げステンレス鋼材の製造方法 - Google Patents

研磨仕上げステンレス鋼材の製造方法

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JPH0718466A
JPH0718466A JP19197893A JP19197893A JPH0718466A JP H0718466 A JPH0718466 A JP H0718466A JP 19197893 A JP19197893 A JP 19197893A JP 19197893 A JP19197893 A JP 19197893A JP H0718466 A JPH0718466 A JP H0718466A
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JP
Japan
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stainless steel
corrosion resistance
polishing
polished
steel material
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JP19197893A
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English (en)
Inventor
Shigeru Kitani
滋 木谷
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れた耐食性(耐銹性,耐孔食性等)を示す
研磨仕上げステンレス鋼材を簡易にかつ安定して製造で
きる手段を確立する。 【構成】 ステンレス鋼材を“塩素イオンを含む水溶
液”に接触させながら研磨し、その後に研磨表面を例え
ば 1) 洗浄,乾燥し、空気中で3日以上保持する, 2) 硝酸水溶液中に浸漬する, 3) 硝酸水溶液中で電解する, 等の方法により再不働態化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、優れた耐食性を示す
研磨仕上げステンレス鋼材の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来技術とその課題】現在、ステンレス鋼は耐食性に
優れた金属材料として多くの用途に供せられているが、
同じ材質のステンレス鋼であっても表面仕上げの仕方が
異なると耐食性も異なることが知られている。
【0003】例えば、ステンレス鋼の酸洗仕上げ材,光
輝焼鈍仕上げ材,湿式研磨仕上げ材並びに乾式研磨仕上
げ材を比較すると、それぞれ耐食性は微妙に異なってい
る。この理由は、それぞれの仕上げ法によって表面性状
(酸化皮膜の厚さや組成,表面粗さ等)が異なるためで
あると考えられている。
【0004】ところで、一般に、研磨したステンレス鋼
の耐銹性は表面が粗いほど劣化する傾向を示すが、これ
は表面が粗いとそれだけ発銹の起点が多くなるためであ
ると理解されている。また、鋼中の非金属介在物(例え
ば硫化物)が表面に露出するとこれが発銹の起点となる
ため、同じステンレス鋼であっても研磨材では耐銹性が
劣るとされてきた。
【0005】そのため、ステンレス鋼研磨材の耐銹性改
善に関する研究も数多くなされており、その成果の1つ
として、「ステンレス鋼を乾式研磨した後に硝酸に浸漬
したり、 硝酸中で研磨した場合には表面Cr濃度が上昇
し、 これによって耐発銹性が向上する」という報告もな
されている(表面技術,第40巻,第6号,1989年,第48
〜51頁)。
【0006】しかしながら、工業的には上記手段によっ
てもステンレス鋼に十分な耐食性を安定して付与するこ
とは難しく、そのためより優れた耐食性(特に耐孔食性
や耐銹性)を示す研磨仕上げステンレス鋼材を簡易にか
つ安定して製造できる手段が切望されていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述のよう
な観点から、耐孔食性や耐銹性に優れた研磨仕上げステ
ンレス鋼材の実現を目指して鋭意研究を重ねた結果、
「ステンレス鋼の孔食やすきま腐食等を発生させる最も
強い因子として知られる塩素イオン(Cl- )の作用を逆
に利用すると、 研磨時にステンレス鋼表面の“腐食発生
の起点となる耐食性に劣る部分(例えば硫化物等)”を
効果的に溶解除去することができ、 その後に表面の再不
働態化を行った場合には、 欠陥が無く保護作用の優れた
不働態皮膜が再生して非常に優れた耐食性を示す研磨仕
上げステンレス鋼材が安定して得られるようになる」と
の知見を得ることができた。
【0008】本発明は、上記知見事項等に基づいて完成
されたものであり、「ステンレス鋼材を“塩素イオンを
含む水溶液”に接触させながら研磨し、 その後に研磨表
面を再不働態化させることによって、 耐孔食性や耐銹性
を始めとする耐食性に一段と優れた研磨仕上げステンレ
ス鋼材を安定して製造できるようにした点」に大きな特
徴を有している。
【0009】
【作用】さて、ステンレス鋼の表面は、通常、クロムを
主成分とする薄い酸化膜(不働態膜)で覆われているた
めに優れた耐食性を示すものと考えられるが、塩素イオ
ンはこの不働態膜を局所的に破壊して孔食等の局部腐食
を発生すると言われている。
【0010】しかるに、このような塩素イオンを含む水
溶液と接触させながらステンレス鋼の研磨を行うとステ
ンレス鋼表面の不働態膜は全面的に破壊されてしまう
が、これによって露出した新生面に前記塩素イオンが作
用し、ステンレス鋼表面に腐食の起点となるような“耐
食性の劣る部分”が存在しているとその部分を優先的に
溶解・除去する。そのため、その後に再不働態化を行う
と、欠陥の少ない耐食性に優れた表面皮膜が生成する。
【0011】従って、本発明に係る手法により研磨仕上
げしたステンレス鋼は、特に塩素イオンの作用によって
起きる孔食等の局部腐食に対して強い抵抗力を有してい
て、このような孔食が原因で起きる発銹に対する抵抗力
も非常に大きい。
【0012】なお、本発明においてステンレス鋼の研磨
工程で用いる水溶液としては塩素イオンが含有されてお
れば格別に制限されるものではなく、水に塩化物が溶解
しただけのものでも十分である。このように、水溶液中
の塩素イオンは各種の塩化物を溶解させることによって
簡便に得られる。
【0013】ここで用いられる塩化物の種類は特に限定
されるものではないが、例えば塩化ナトリウム,塩化カ
リウム,塩化アンモニウム,塩化マグネシウム,塩化カ
ルシウム等が利用できる。そして、これらの塩化物を水
に溶解するとほぼ完全に陽イオン(Na+ ,K+ ,NH4
+ ,Mg2+,Ca2+)とCl- に解離する。
【0014】また、水溶液中の塩素イオン濃度は、適用
されるステンレス鋼の種類等によっても必要最低濃度が
異なるために明確に限定し難いが、 0.6規定未満である
と耐食性改善効果がバラつくのに対して、 0.6規定以上
の場合にはその効果が安定して得られることから、塩素
イオン濃度を 0.6規定以上に調整するのが好ましいと言
える。
【0015】一方、本発明法の適用対象となるステンレ
ス鋼の種類についても特に制限はないが、“鋼中の非金
属介在物”のように腐食の起点となるものが少ないステ
ンレス鋼の方が耐食性向上の効果が大きくなりやすい傾
向はある。
【0016】“塩素イオンを含む水溶液”に接触させな
がらの研磨が終了したステンレス鋼は、一旦洗浄され、
その後に研磨表面の再不働態化が行われる。再不働態化
には公知の種々の方法が用いられるが、基も簡単なもの
は、研磨後のステンレス鋼を十分に洗浄(水洗)して研
磨屑や塩化物を表面から除去し、続いて乾燥してから3
日間以上空気中に保持する方法である。これによって、
ステンレス鋼表面には耐食性の良い不働態皮膜が再生す
るが、空気中での保持時間が3日間未満では不働態皮膜
の成長が不十分なため、耐食性が劣る傾向にある。
【0017】不働態化に要する時間を短縮し、耐食性改
善効果を確実にするためには、研磨後に洗浄したステン
レス鋼を硝酸水溶液に浸漬するのが良い。この場合、硝
酸水溶液中の硝酸濃度は10〜30%、温度は50〜6
0℃、浸漬時間は 0.5〜2時間が適当である。
【0018】また、電解処理によって不働態化を行うこ
ともできる。この場合には、研磨後に洗浄したステンレ
ス鋼を、上記と同様の硝酸濃度:10〜30%,温度:
50〜60℃の硝酸水溶液中で電位が+300〜+80
0mV(vs.SCE)になるように30〜120秒間電解
処理(陽極処理)すれば良い。これらの処理によって、
優れた耐食性を有する表面が得られる。
【0019】次に、本発明を実施例により説明する。
【実施例】まず、表1に示す化学組成を有する3種類の
市販のステンレス鋼板(板厚:0.5mm)から70mm×11
0mmの大きさの試験片を切り出し、これらの表面を純
水,NaCl水溶液あるいはMgCl2 水溶液で濡らしながら6
00番又は1200番の湿式研磨紙を用いて研磨した。
【0020】
【表1】
【0021】表面を十分に研磨した後、研磨屑を流水中
で洗い流してから純水で洗浄し、乾燥した。なお、一部
の試験片については、更に硝酸水溶液中に浸漬するか又
は硝酸水溶液中での電解処理(陽極処理)を行った。
【0022】そして、このように処理した各試験片につ
いて「発銹試験」及び「孔食電位の測定」を行った。と
ころで、「発銹試験」は、試験片に人工海水をスプレ−
噴霧によってふりかけ、乾燥後に温度:30℃,相対湿
度:50%の環境で3日間保持し発銹させる方法によっ
た。但し、この試験において、試験片への人工海水の付
着量が乾燥塩として0.7mg/cm2(±0.1mg/cm2)になるよう
調節した。耐銹性の評価は、発銹した試験片を水洗,乾
燥した後、発銹の程度を JISH8502のレイティング
ナンバ−(R.N.)に照らして行った。なお、この評価で
はR.N.10は全く発銹が無く、R.N.0は発銹面積率が5
0%以上であることを示すことは言うまでもない。
【0023】また、「孔食電位の測定」は JISG057
7に準拠し、3.5%NaCl水溶液(30℃,Ar脱気)中で動
電位法(20mV/min)によって測定した。但し、測定直
前の試験面の研磨は行わなかった。なお、この測定値は
数値が大きいほど孔食発生電位(V′c100)が貴であ
り、孔食が発生し難いことを示すものであることは勿論
である。これらの試験結果を、その試験条件と共に表2
及び表3に示した。
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】ここで、既に述べたように、発銹試験によ
る発銹程度を示すR.N.及び孔食電位は何れも数値が大き
いほど耐食性(耐銹性)が優れることを示すが、これら
は研磨液が同じであっても“研磨紙の番手”や“再不働
態化の方法”が異なると異なった数値となって現れる。
【0027】そのため、研磨液による耐食性の差を見る
ためには、同じ研磨紙で同じ再不働態化法のものを比較
する必要がある。例えば、SUS430について試験N
o.2, 6, 10 を比較すると、十分な塩素イオンが存在す
る液中で研磨を行った試験No.10 の耐食性が他の2つに
比べて明らかに優れていることが分かる。同様に、No.
3, 7,11の比較、No.5, 8, 13 の比較により、やはり十
分な塩素イオンが存在する液中で研磨を行ったNo.11 及
び No.13の耐食性優位は明らかである。
【0028】また、SUS430LXやSUS304に
ついても、No.15, 18, 22 の比較、No.25, 28, 32, 37
の比較等によって同様のことが言える。
【0029】更に、再不働態化方法について比較する
と、空気中で放置しただけのものは硝酸で処理したもの
に比べて耐食性が劣る傾向があり、特に放置期間が24
時間のものが最も耐食性が劣る。そして、研磨紙の番手
について比較すると、砥粒の細かい1200番で研磨し
たものは600番で研磨したものより明らかに耐食性が
優れているが、これは孔食等の起点が少ないためと推定
される。何れにしても、上記結果からして、本発明法に
よって耐銹性,耐孔食性が非常に優れた研磨仕様のステ
ンレス鋼材を安定製造できることが確認できる。
【0030】
【効果の総括】以上に説明した如く、この発明によれ
ば、従来は実現が困難とされていた耐銹性,耐孔食性に
優れた研磨仕様ステンレス鋼材を比較的容易に製造する
ことができるなど、産業上極めて有用な効果がもたらさ
れる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステンレス鋼材を“塩素イオンを含む水
    溶液”に接触させながら研磨し、その後に研磨表面を再
    不働態化させることを特徴とする、研磨仕上げステンレ
    ス鋼材の製造方法。
JP19197893A 1993-07-06 1993-07-06 研磨仕上げステンレス鋼材の製造方法 Pending JPH0718466A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1071835A1 (en) * 1998-04-07 2001-01-31 Semitool, Inc. Method for developing an enhanced oxide coating on a component formed from stainless steel or nickel alloy steel
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