JPH07183343A - X線光電子分光分析装置 - Google Patents

X線光電子分光分析装置

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JPH07183343A
JPH07183343A JP5327113A JP32711393A JPH07183343A JP H07183343 A JPH07183343 A JP H07183343A JP 5327113 A JP5327113 A JP 5327113A JP 32711393 A JP32711393 A JP 32711393A JP H07183343 A JPH07183343 A JP H07183343A
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JP
Japan
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photoelectron
electron
data
electron beam
analyzer
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JP5327113A
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Shoichi Hiroshima
正一 廣島
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NEC Corp
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NEC Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】微小領域であっても、測定したい部分と実際に
測定している部分を一致させる。 【構成】X線を当てた絶縁物試料の表面は、正に帯電し
ており、測定中に電子銃3から電子ビームを絶縁物試料
の目的部分に照射して、局所的に負に帯電または中和さ
せ、その局所部分からの光電子スペクトルを電子ビーム
の当たっていない部分の光電子スペクトルよりも数eV
だけ低結合エネルギー側に出現させて、光電子スペクト
ルを分離させる。演算装置6により電子ビーム照射前の
光電子スペクトルと電子ビーム照射中の光電子スペクト
ルを差し引き、負になる部分をゼロ補正すると、電子ビ
ーム照射部分のみの光電子スペクトルが得られるので、
測定したい部分と測定している部分を一致させることが
できる。同時に電子ビーム照射部分を画像表示装置5で
観察し、分析位置の確認ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、X線光電子分光分析装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】X線光電子分光分析装置は、高真空下に
置かれた試料表面に一定のエネルギーの持ったX線を照
射し、そこから放出される光電子の運動エネルギー分布
を測定する。光電子の運動エネルギーを分析する方法
は、電場を用いてエネルギー分布を求めるのがほとんど
である。これには、電界に対して光電子を平行に入射さ
せるもの(プリズム型)、斜めに入射させるもの(ミラ
ー型)、垂直に入射させるもの(阻止電場型)の3種類
がある。エネルギーの掃引法には、分析器を通過するエ
ネルギーは一定にして、分析器に入る前に光電子を減速
して走査する方法が一般的であり、エネルギー分布を得
るには、試料と光電子分析器の間に電子レンズを設け
て、電子レンズの電位を掃引する方法が取られている。
光電子の検出は、電子増倍管あるいはチャンネルトロン
またはチャンネルプレートなどが用いられている。
【0003】このようにX線光電子分光分析装置におい
ては、試料から放出される光電子の運動エネルギーが測
定されるが、試料の化学状態の情報を得るには、電子の
結合エネルギーを求めなければならない。光電子の持つ
運動エネルギーは、入射X線のエネルギーから内殻電子
の結合エネルギーを差し引いたものである。入射X線の
エネルキーは一定なので光電子の運動エネルギー分布を
測定することにより、内殻電子の結合エネルギーが求め
られる。この内殻電子の結合エネルギーから試料表面を
構成する原子や分子のもつ電子軌道についての情報を得
る。内殻電子の結合エネルギーは、それぞれの元素固有
の値を有するものである。この値は、既に各元素につい
て実測されたり、計算されたりしており、この標準値と
未知の試料からの光電子スペクトルの結合エネルギー値
を照合すれば、構成元素の同定ができる。
【0004】また結合エネルギーの値はある特定の状態
に対応するもので、元素の化学結合状態が異なると、結
合エネルギーの値が多くの場合、数eV変化する。この
変化した値は化学シフトと呼ばれている。電子は原子核
にクーロン引力で束縛されており、内殻電子は化学結合
に直接関与していないが、化学結合に関与している電子
が原子核と内殻電子の静電引力に影響を与え、これが結
合エネルギーの差すなわち化学シフトとして観測され
る。この化学シフトから未知試料に含まれている元素の
化学結合状態の評価を行うことができることが、X線光
電子分光分析装置の大きな特徴となっている。
【0005】X線光電子分光分析装置はX線という光プ
ローブを用いるため適用対象は広く、金属、半導体、ポ
リマーやセラミックスなどの材料でも使用できるが、X
線は電子線のようにマイクロビーム化することが難し
く、試料表面の微小領域を分析するためには、入射X
線をモノクロメーターを用いて細束化する方法と、光
電子エネルギー分析器の前に光源スリットを入れ、微小
部のみからの放出光電子を分析する方式があるが、の
分析面積制限方式のほうが容易で装置も小型になる。
【0006】図4は従来の分析面積制限方式のX線光電
子分光分析装置の概略図である。図4において1はX線
源、2は光電子エネルギー分析器、7は光学顕微鏡、8
は試料ステージ、9は光電子検出器、10は電子レン
ズ、11は光源スリット、13は試料である。
【0007】先ず、測定位置合わせは光学顕微鏡7で試
料13を観察しながら、光学顕微鏡7の焦点に試料13
の目的位置が来る様に試料ステージ8を移動させて行
う。測定位置と観察位置が一致するためには、前もって
微小な大きさの標準試料の既知の元素の光電子強度を測
定し、その強度が最大になるように光学顕微鏡7の取付
位置を調整し、光学顕微鏡7の焦点と電子レンズ10の
焦点を合わせておく必要がある。
【0008】測定範囲については電子レンズ10で光源
スリット11の前面に光電子の像を投影し、測定したい
部分だけの光電子を光源スリット11で制限して、光電
子エネルギー分析器2に導入することで決める。
【0009】X線源1には、A1 Kα線、Mg Kα
線が一般に用いられている。X線源1からX線を目的位
置にある試料13に照射し、試料13から出てきた光電
子を光電子エネルギー分析器2で運動エネルギーごとに
分光して、光電子検出器9で光電子を検出する。測定し
た光電子スペクトルを解析して、定性分析および化学結
合状態の評価を行う。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この従
来の分析面積制限方式のX線光電子分光分析装置は、光
学顕微鏡によって測定位置合わせを行っているので、光
学顕微鏡の取付位置がずれてしまうと観察位置と測定位
置が大きく異なる場合がある。これは微小領域の分析に
なるほど問題になる。
【0011】また、特に微小領域を分析する場合、分析
面積はX線による励起領域から発生する光電子を検出器
側のレンズ系で制限することで、最小で約200μm径
に制限しているだけであるので、実際には試料表面のX
線励起領域のどの部分から出てきた光電子を分析してい
るのかが明確ではないため、測定したい場所と実際に測
定している場所を一致させることが難しいという問題点
があった。
【0012】本発明は上述の問題点を解決すべくなされ
たもので、測定したい場所と実際に測定してる場所を一
致させることができるX線光電子分光分析装置を提供す
るものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明のX線光電子分光
分析装置は、電子ビーム走査系と2次電子検出器と、そ
の2次電子像を表示して微小な目的部分の表面形状を観
察することのできる表示装置を備え、かつこの電子ビー
ム走査系はX線照射中に電子ビームを絶縁物試料に照射
して、局所的に帯電を緩和し、光電子スペクトルのピー
ク位置を低結合エネルギー側に出現(負の帯電シフト)
させて、電子ビームが当たってない部分からの光電子ス
ペクトルから電子ビーム照射部分の光電子スペクトルを
分離することによって、目的の分析部分を選択すること
ができる。
【0014】
【実施例】次に本発明について図面を参照して説明す
る。
【0015】図1は本発明の一実施例の装置概略図であ
る。本発明のX線光電子分光分析装置は、X線源1、光
電子エネルギー分析器2、電子銃3、2次電子検出器
4、画像表示装置5、演算装置6、光学顕微鏡7、試料
ステージ8、光電子検出器9、電子レンズ10、光源ス
リット11を有している。
【0016】先ず、測定位置合わせは光学顕微鏡7で試
料13を観察しながら、光学顕微鏡7の焦点に試料13
の目的位置が来る様に試料ステージ8を移動させて行
う。
【0017】X線源1から一定エネルギーのX線を試料
13の表面に照射すると、種々の運動エネルギーをもっ
た光電子が放出され、この光電子は電子レンズ10で集
められ、光源スリット11で検出面積を制限され、光電
子エネルギー分析器2で各運動エネルギーに分光され、
光電子検出器9で光電子スペクトルとして測定される。
【0018】図2Aには、絶縁物試料の炭素(C1s)
の光電子スペクトルを示す。この時、X線の当たる絶縁
物の試料表面は、電子が放出されるので正に帯電してい
る。測定中に電子銃3から電子ビームを試料13に照射
して、電子ビーム照射部分のみを局所的に負に帯電また
は中和させ、その局所部分からの光電子スペクトルのピ
ーク位置を始めの電子ビームの当てていない部分のピー
ク位置よりも数eVだけ低結合エネルギー側に出現(負
の帯電シフト)される。
【0019】シフト量は電子銃3の電流および電圧を調
節することで制御される。ナイロン66の測定では、光
電子放出による帯電によって炭素(C1s)の光電子ス
ペクトルのピークは290eVに出現するが、電子銃3
の電流を500Aにして電子ビームを照射すると、その
炭素(C1s)の光電子スペクトルのピークは5eV低
結合エネルギー側にシフトする。電子ビームを照射した
部分の光電子スペクトルのピークがシフトして、電子ビ
ームの当たっていない部分のピークから分離されるの
で、この低結合エネルギー側に帯電シフトした光電子ス
ペクトルが電子ビーム照射部分からの情報となる。
【0020】図2Bには電子ビーム照射中の絶縁物試料
の炭素(C1s)の光電子スペクトルを示す。演算装置
6により電子ビーム照射前の図2Aの光電子スペクトル
と電子ビーム照射中の図2Bの光電子スペクトルを各々
データAおよびデータBとして記憶しておき、データB
の波形からデータAの波形を差し引く。
【0021】図2Cには、このように差し引いた時の波
形を示す。ここで照射前のピーク位置の強度が負になる
ので、これをゼロに補正する。
【0022】図2Dには、このように補正した波形を示
す。この波形をデータDとすると、これが電子ビームを
照射した部分のみの炭素(C1s)の光電子スペクトル
に対応する。データDの光電子スペクトルを解析するこ
とで測定したい部分の分析ができる。また、電子ビーム
の径は電子銃3のレンズ径によって可変できる。このよ
うに本発明によるX線光電子分光分析装置を用いると、
測定中に絶縁物試料に電子ビームを照射することにより
微小部分でも光電子スペクトルの区別ができ、目的部分
とそこから出てくる光電子スペクトルの対応が取れるの
で、測定したい場所と実際に測定している場所を一致さ
せることができる。同時に電子ビームそ照射した部分か
ら出てくる2次電子を2次電子検出器4で捕らえ、2次
電子の量を画像表示装置5に像として表示することで、
目的部分の表面形態の観察ができるので分析位置を確認
ができる。図3は本発明の別の実施例の装置概略図であ
る。本発明のX線電子分光分析装置は、X線源1、光電
子エネルギー分析器2、電子銃3、2次電子検出器4、
画像表示装置5、演算装置6、光学顕微鏡7、試料ステ
ージ8、光電子検出器9、電子レンズ10、光源スリッ
ト11、電子銃制御装置12を有している。
【0023】X線を試料13に照射すると光電子検出器
9で光電子スペクトルとして測定される。この時、X線
の当たる絶縁物の試料表面は、電子が放出されるので正
に帯電していて、光電子スペクトルのピーク位置は数e
Vだけ高結合エネルギー側にずれる(正の帯電シフ
ト)。この光電時スペクトルのデータAを演算装置6が
読みとり、炭素(C1s)の標準のピーク位置(28
5.0eV)を基準として、データAの炭素のピーク位
置の実測値XeVと比較して帯電シフト量(X−28
5.0)を計算し、これをYeVとする。
【0024】次いで、自動的に電子銃3から電子ビーム
を試料13に照射する。この時、電子銃制御装置12は
演算装置6が算出する帯電シフト量を元にして電子銃3
の電流および電圧を調節して、電子ビーム照射部分の帯
電量を制御し、炭素の光電子スペクトルのピーク位置を
徐々に低エネルギー側へシフトさせる。同時に演算装置
6は電子ビームで分離された炭素の光電子スペクトルの
ピーク位置を検知しておき、電子ビームによってシフト
された光電子スペクトルのピーク位置が電子ビームに当
たっていない部分の光電子スペクトルのピーク位置から
一定値(例えば5.0eV)だけ低結合エネルギー側に
離されると、演算装置6は、その時の光電子スペクトル
をデータBとして取り込み、自動的にデータBからデー
タAの波形を差し引いたものをデータCと記憶する。デ
ータCの波形ではデータAのピーク位置の強度が負にな
るので、これをゼロに補正する。この波形をデータDと
して記憶する。これが電子ビームを照射した部分のみの
光電子スペクトルに対応する。データDにも帯電シフト
量が含まれているので、正確な結合エネルギーを得るた
めには、帯電シフト量(Y−5.0)を差し引く。この
光電子スペクトルをデータEとする。この帯電補正され
たデータEの光電スペクトルを解析することで測定した
い場所の分析ができる。
【0025】このように本発明によるX線光電子分光分
析装置を用いると、絶縁物試料の帯電量に合わせて自動
的に試料13に電子ビームを照射し、目的部分のみの光
電子スペクトルを得ることができ、演算装置6によって
帯電シフトを補正するので正確な結合エネルギーを求め
ることができる。同時に電子ビームを照射した部分から
出てくる2次電子を2次電子検出器4で捕らえ、画像表
示装置5に像として表示するので、分析位置の確認がで
きる。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のX線光電
子分光分析装置は局所帯電用の電子銃を備えたので、光
電子スペクトルを測定中に電子ビームを照射して、光電
子スペクトルのピーク位置を帯電シフトさせ、電子ビー
ムの当たっていない部分のスペクトルから分離すると同
時に2次電子像で微小部分の位置を確認することによ
り、試料のどの微小部分の分析を行っているかがわかる
ので、正確な微小部分析ができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のX線光電子分光分析装置の一実施例の
装置概略図である。
【図2】本発明のX線光電子分光分析装置で測定された
炭素の光電子スペクトルの演算処理を示した説明図であ
る。
【図3】本発明のX線光電子分光分析装置の別の実施例
の装置概略図である。
【図4】従来のX線光電子分光分析装置の装置概略図で
ある。
【符号の説明】
1 X線源 2 光電子エネルギー分析器 3 電子銃 4 2次電子検出器 5 画像表示装置 6 演算装置 7 光学顕微鏡 8 試料ステージ 9 光電子検出器 10 電子レンズ 11 光源スリット 12 電子銃制御装置 13 試料

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 X線励起源と、光電子エネルギー分析器
    と、光源スリットと、電子レンズと、光学顕微鏡とを有
    するX線光電子分光分析装置において、絶縁物試料のX
    線励起部分に電子ビームを照射する電子銃と、2次電子
    検出器と、2次電子像を表示する画像表示装置とを備え
    ることを特徴とするX線光電子分光分析装置。
  2. 【請求項2】 前記X線光電子分光分析装置において、
    演算処理部を有し、当該演算処理部が、電子ビーム照射
    前の絶縁物試料からの光電子スペクトルと電子ビーム照
    射中の光電子スペクトルを各々データAおよびデータB
    として記憶し、データBの波形からデータAの波形を差
    し引いたものをデータCと記憶し、データCの照射前の
    ピーク位置の強度が負になるのをゼロに補正したものを
    データDとして記憶する、請求項1記載のX線光電子分
    光分析装置。
  3. 【請求項3】 電子ビーム照射と演算処理を自動化し
    た、請求項2記載のX線光電子分光分析装置。
JP5327113A 1993-12-24 1993-12-24 X線光電子分光分析装置 Pending JPH07183343A (ja)

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Effective date: 19971104