JPH07183162A - トリミングコンデンサ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】片面側にトリミング電極、内部電極が集中する
トリミングコンデンサにおいて、焼結による反りの発生
を防止しうる構造のトリミングコンデンサを提供する。 【構成】誘電体１のトリミング電極３形成面の反対側の
面に反り防止用裏面電極５を形成すると共に、裏面近傍
に反り防止用内部電極６を設けた。焼結による電極２、
３の収縮率と誘電体１の収縮率との差等による反りは、
反り防止用裏面電極５、反り防止用内部電極６で相殺さ
れる。反り防止用裏面電極５と反り防止用内部電極６
を、両者間に形成される容量が、トリミング電極３とこ
れに対向した内部電極２の容量と等しくなるように同形
に設けるか、あるいは分断して容量は増加しないように
した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、セラミックでなる誘電
体と導電体との積層構造により、チップ状の焼結体とし
て構成され、発振回路等において、電極のトリミングに
より高い精度で容量を可変設定する必要のある場合に用
いられるトリミングコンデンサに関する。

【０００２】

【従来の技術】図５（Ａ）は従来のトリミングコンデン
サの例を示す縦断面図であり、スクリーン印刷法あるい
はシート法またはこれらを併用した方法により、チタン
酸バリウムや酸化チタン等の誘電体１を積層し形成する
と共に、一方の表面の近傍に白金、パラジウム、銀また
はこれらの合金からなる内部電極２、２を形成し、表面
に同じ導電材料でなるトリミング電極３を島状に、すな
わち他の導電体と接続せずに形成し、切断、焼結後、側
面に内部電極２、２にそれぞれ接続する外部電極（端子
電極）４、４を焼き付けやメッキ等により形成してな
る。このトリミングコンデンサは、両内部電極２、２と
トリミング電極３との間の各容量成分が直列接続された
等価回路で表現できるもので、予め必要とされる容量よ
り過大な容量が得られるように製造しておき、例えば発
振回路を構成した後、トリミング電極３をレーザビーム
等によってトリミングすることにより、所望の回路特性
を得るものである。

【０００３】図５（Ｂ）の例は、表面近傍の内部電極２
を島状に形成し、表面のトリミング電極３、３をそれぞ
れ外部電極４、４に接続したものであり、トリミング電
極３、３の一方または双方をトリミングして容量を調整
するものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】このようなトリミング
コンデンサにおいては、所望の機械的剛性や取扱性を確
保するためにある程度以上の厚みが必要であって、厚み
は例えば０．６mm、０．８mm、１．１mm等の厚みに設定
される。一方、小型化すると電極面積が得がたいため、
所望の容量を得るためには内部電極２とトリミング電極
３との間の誘電体層の厚みは薄くしなければならなくな
り、その結果、図５（Ａ）、（Ｂ）に示したように、内
部電極２とトリミング電極３、すなわち導体層が片面に
集中することになる。このように、片面側に電極２、３
が集中すると、図６（Ａ）または（Ｂ）に示すように、
焼結による誘電体１と電極２、３の焼結の差や収縮率の
差により、トリミングコンデンサに反りｒが発生する。
そして誘電体１の厚み、すなわちコンデンサの厚みを厚
くすればするほど反りが大きくなる。従って、このよう
な反りを低減するには、トリミング電極３等を薄くすれ
ば良いわけであるが、しかしトリミング電極３や内部電
極２をあまり薄くすると、高周波におけるＱが低下する
ため、ある程度のトリミング電極３の厚みは確保しなけ
ればならない。従って実際上、従来構造においては反り
は避けられず、仮にトリミング電極３の厚みを１６μｍ
程度の厚みとすると、数十μｍ前後の反りが発生する。
このような反りが発生すると、製造、検査ラインにおけ
る搬送、ハンドリングが良好に行えなかったり、基板へ
の半田付けが良好に行えなかったりするという不具合が
生じる。

【０００５】本発明は、上記した問題点に鑑み、片面側
にトリミング電極、内部電極が集中するトリミングコン
デンサにおいて、焼結による反りの発生を防止しうる構
造のトリミングコンデンサを提供することを目的とす
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するため、誘電体の表面に形成したトリミング電極
と、該トリミング電極に誘電体を介して対向するよう
に、誘電体の前記表面近傍の内部に層状に形成した内部
電極とを備えた積層構造の焼結体でなるトリミングコン
デンサにおいて、前記誘電体の裏面に反り防止用裏面バ
ランス電極を形成すると共に、該裏面近傍に反り防止用
内部バランス電極を設けたことを特徴とする。本発明に
おいて、前記裏面バランス電極および前記内部バランス
電極を、それぞれ前記トリミング電極およびこれに対向
した内部電極と同容量が形成されるように同形に設けた
構造や、前記裏面バランス電極および前記内部バランス
電極をそれぞれ電気特性に影響を与えないように相互に
分断された複数個の電極による構成等が採用される。

【０００７】

【作用】本発明によれば、裏面バランス電極と内部バラ
ンス電極が、前記トリミング電極とこれに対向する内部
電極の反対側に属する領域に形成されるので、トリミン
グ電極とこれに対向する内部電極が誘電体に対して相対
的に縮める（伸ばす）方向に作用する場合には、裏面バ
ランス電極と内部バランス電極も誘電体に対して裏面側
の部分を縮める（伸ばす）方向に作用するため、主体で
ある誘電体の反りが抑制される。このような裏面バラン
ス電極と内部バランス電極をトリミング電極やこれに対
向する内部電極と同容量が形成されるように同形に形成
すれば、どちらの面をトリミングしても容量の調整が可
能となる。前記裏面バランス電極および前記内部バラン
ス電極をそれぞれ電気特性に影響を与えないように相互
に分断された複数個の電極により構成すれば、容量値は
実質的に変化せず、最小容量を小さくできる。

【０００８】

【実施例】図１（Ａ）は本発明によるトリミングコンデ
ンサの一実施例を示す縦断面図であり、図５（Ａ）のタ
イプ、すなわち内部電極２、２を外部電極４、４に接続
させ、トリミング電極３を表面に島状に形成した直方体
状のものに本発明を適用した実施例である。５は本発明
により付加した裏面バランス電極、６は同じく内部バラ
ンス電極であり、裏面バランス電極５は前記トリミング
電極３と同形に裏面に島状に形成され、内部バランス電
極６は前記内部電極２と同形に形成され、電極２、３の
間隔と電極５、６間の間隔はｂで示すように等しい。従
って、電極２、３間の容量は電極５、６間の容量に等し
い。これらの電極５、６は、その材質としては、前記内
部電極２やトリミング電極３と同様に、白金、パラジウ
ム、銀あるいはこれらの合金が使用される。誘電体１も
前記同様にチタン酸バリウムや酸化チタン等が用いられ
るが、本発明において、これらの誘電体１や電極２、
３、５、６の材質はこれらに限定されないことはいうま
でもない。

【０００９】このように、表裏面の電極３、５とその各
対向内部電極２、６をそれぞれ同形に設ければ、裏面側
の電極５、６は、焼結に伴う収縮の際に、トリミング電
極３とその対向内部電極２と同様に誘電体１に作用し、
誘電体１の反りを防ぐことができる。すなわち、電極
２、３、５、６が焼結時における誘電体１より収縮率の
大きい（小さい）ものであれば、裏面バランス電極５や
内部バランス電極６はトリミング電極３や内部電極２と
同様に、トリミング電極３や内部電極２のおおよそ反対
側すなわち裏面側の領域において、誘電体１をより収縮
させる（収縮を妨げる）作用をなし、その結果、誘電体
１の反りが防止される。また、トリミング電極３と裏面
バランス電極５は同形をなし、それぞれ内部電極２、６
との間が同容量であるため、裏面側をトリミングしても
容量調整が表面側と同様に行えるから、表面、裏面の区
別を行う必要がなく、トリミング等におけるハンドリン
グが容易となる。また、本実施例によれば、表裏２面に
コンデンサが形成されるため、最小容量が従来より大き
くすることができる。

【００１０】本実施例において、前記チップ厚みｔは
０．５mm〜３．２mm、前記チップの縦横の寸法は１．０
mm×０．５mm〜４．５mm×３．２mm、内部電極２と裏面
バランス電極３との間の間隔ｂは１０μｍ〜２００μｍ
程度（該間隔と厚みｔとの比ｂ／ｔ＝１／３２０〜１／
２）、トリミング電極３の厚みは５μｍ〜５０μｍ、内
部電極２の厚みは３μｍ〜２０μｍに設定され、前記裏
面バランス電極５および内部バランス電極６は、それぞ
れ前記トリミング電極３と内部電極２と同じ厚みに形成
される。

【００１１】図１（Ｂ）は本発明の他の実施例であり、
本実施例は、図５（Ｂ）のタイプ、すなわちトリミング
電極３、３が外部電極４、４に接続され、内部電極２が
島状に形成されるものに本発明を適用したもので、裏面
バランス電極５、５はそれぞれトリミング電極３、３と
同形をなし、内部バランス電極６は前記内部電極２と同
形に島状に形成され、電極２、３間の間隔と電極５、６
間の間隔は等しく、これらの間の容量にそれぞれ同容量
となるものであり、前記図１（Ａ）の実施例と同様の作
用効果を奏することができる。

【００１２】図２（Ａ）は本発明の他の実施例であり、
図１（Ａ）の裏面バランス電極５を中央部７で分断する
ことにより、裏面側はコンデンサ全体の容量の増加には
実質的に寄与せず、単に反り防止の作用をなすようにし
たものである。本例によれば、反り防止作用をなすこと
ができる上、トリミング電極３のトリミングの仕方によ
り、容量の全範囲について調整できるという長所があ
る。また、この実施例の電極分断構造によれば、最小容
量を小さいままにすることができる。

【００１３】図２（Ｂ）は図２（Ａ）の変形例となる本
発明の他の実施例であり、トリミング電極３と図面上左
右の内部電極２、２との間隔ｃ、ｄを異ならせた（ｃ＜
ｄ）ものであり、トリミング電極３の右側部分、すなわ
ち内部電極２との間隔ｄが大きい部分をトリミングすれ
ば容量の微調整ができ、左側すなわち電極間隔ｃの小さ
い部分をトリミングすれば粗調整ができ、対象とする回
路の要求に応じて調整の仕方を変えることができるとい
う長所がある。本例においても、好ましくは、裏面側の
左右の内部バランス電極６、６の形成位置の深さは、そ
れぞれトリミング電極３に対向した左右の内部電極２、
２の深さｃ、ｄに設定される。

【００１４】図３（Ａ）の例は、図２（Ａ）の実施例に
おいて、裏面バランス電極５、５側をそれぞれ外部電極
４、４に接続し、内部電極６を島状に形成し、かつ中央
で分断（７）して電極５、６の形成が容量の増加に寄与
しないようにしたものである。本例においても、裏面側
または裏面近傍に電極５、６がそれぞれ設けられている
ことにより、反り防止効果が得られる。

【００１５】また、図１（Ｂ）の変形例である図３
（Ｂ）の実施例は、反り防止用内部電６を中央で分断
（７）したものであり、本例によれば、表裏面を区別す
ることなく使用できるという図１（Ｂ）の効果は得られ
ないが、反り防止効果は得られることは勿論のこと、裏
面側電極５、６が容量増加に寄与することはない。

【００１６】図３（Ｃ）の実施例は、裏面バランス電極
５が分断されず、島状に形成されているので、電極５、
６間の容量が全体の容量増大に寄与する例であるが、表
裏面の電極３、５の形状が異なるので、前記図１の実施
例と異なり、トリミングを行う際には同じ要領で行うこ
とはできないが、一応、要領の調整は表裏面いずれにお
いても行えるという長所がある。

【００１７】図４（Ａ）は前記トリミング電極３（図１
（Ｂ）における裏面バランス電極５においても同様）の
パターンを示す平面図である。また、図４（Ｂ）〜
（Ｆ）は、トリミングする場合に、粗調整、微調整が可
能となるようにした電極パターンの例であり、図４
（Ｂ）の例は、トリミング電極３に外部電極４、４の対
向方向に溝８を設け、トリミングを線９のように溝８の
片側のみについて行えば微調整が可能で、線１０で示す
ように、溝８をまたがるようにトリミングすれば粗調整
ができるようにしたものである。

【００１８】図４（Ｃ）の例は、トリミング電極３、３
を三角形とし、一方の頂点が他方の底辺に近接するよう
にしたもので、底辺に平行な線１２で切断すれば粗調整
ができ、頂点近傍を線１３に示すように切断すれば微調
整ができるようにしたものである。

【００１９】図４（Ｄ）の例は、双方ともトリミング電
極３、３を三角形とし、両者の底辺が対向するようにし
たものであるが、本例においては、粗調整するときには
底辺に平行に線１２に示すように切断し、微調整を行う
場合には、三角形のコーナー部を線１４で示すように切
断するようにしたものである。

【００２０】図４（Ｅ）の例は、双方のトリミング電極
３、３の先端を相互に対向する山形とし、粗調整すると
きには山形部の先端から中間部付近までを線１２に示す
ように斜めに切断し、微調整を行う場合には、山形部の
先端を線１４で示すように横断するように切断するもの
である。

【００２１】図４（Ｆ）の例は、トリミング電極３を櫛
状にしかも櫛の歯３ａ、３ｂ…３ｎの長さを異ならせて
形成したもので、長い方の歯３ａを線１５で示すように
切断すれば粗調整ができ、また、短い方の歯を切断すれ
ば微調整ができる。また、長い歯３ａでも切断位置を変
えることで微調整は可能となる。

【００２２】なお、上記図２（Ａ）、（Ｂ）または図３
（Ａ）、（Ｂ）の電極分断構造においては、分断数は２
個に限定されず、３個以上としてもよい。また、内部バ
ランス電極６をいずれも１層設けた例について説明した
が、内部バランス電極６を２層以上設けてその間を誘電
体層とすれば、内部バランス電極６を薄く形成できるか
ら、内部電極として誘電体以外の収縮率の異なる材質を
用いた場合において、異なる層を厚くした場合に起こる
不具合、すなわち裏面バランス電極５と誘電体１との接
合部における空隙部の発生を無くすことができる。

【００２３】本発明は、コンデンサを誘電体１の面方向
（紙面に垂直方向）に複数個形成する場合にも適用する
ことができる。

【００２４】

【発明の効果】請求項１のコンデンサは、トリミング電
極の反対側の裏面と、その裏面に近い誘電体内部に、裏
面バランス電極と内部バランス電極を設けたものであ
り、特に裏面バランス電極は、誘電体内部ではなく、誘
電体の面上に設けられるものであるため、内部に設ける
場合に比較して、収縮率の相違によって電極厚みを厚く
すると空隙が発生するというおそれがなく、厚みを大き
くとることが可能であるから、焼結による反りの発生を
有効に抑えることができ、さらに裏面バランス電極のみ
ならず、トリミング電極に対向する内部電極による反り
も内部バランス電極で相殺されるので、焼結時の誘電体
と電極との収縮率の差による反りを完全に防止すること
ができる。このため、製造、検査ラインにおける搬送、
ハンドリングが円滑に行えると共に、基板への半田等に
よる取付けも良好に行えるトリミングコンデンサが提供
でき、歩留りが向上する。

【００２５】請求項２によれば、前記裏面バランス電極
および前記内部バランス電極を、両者間に形成される容
量が、前記前記トリミング電極とこれに対向した内部電
極との間の容量と等しくなるように同形に設けたので、
請求項１の効果に加え、さらにトリミング電極のみなら
ず、裏面バランス電極をトリミングすることによって容
量を調整することができるから、トリミング等におい
て、チップの表裏を注意する必要がなく、ハンドリング
が容易となるという効果が得られる。

【００２６】請求項３によれば、前記裏面バランス電極
および前記内部バランス電極をそれぞれ電気特性に影響
を与えないように相互に分断された複数個の電極により
構成したので、裏面側電極が容量の増大に殆ど寄与せ
ず、従来の容量設計がそのまま適用できると共に、全容
量の範囲で容量を調整でき、調整範囲が広い。

【図面の簡単な説明】

【図１】（Ａ）、（Ｂ）はそれぞれ本発明によるトリミ
ングコンデンサの実施例を示す縦断面図である。

【図２】（Ａ）、（Ｂ）はそれぞれ本発明によるトリミ
ングコンデンサの他の実施例を示す縦断面図である。

【図３】（Ａ）〜（Ｃ）はそれぞれ本発明によるトリミ
ングコンデンサの他の実施例を示す縦断面図である。

【図４】（Ａ）〜（Ｆ）はそれぞれ本発明によるトリミ
ング電極のパターンを示す平面図である。

【図５】従来のトリミングコンデンサを示す縦断面図で
ある。

【図６】（Ａ）、（Ｂ）はそれぞれ従来のトリミングコ
ンデンサにおける焼結による反りを示す縦断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 誘電体 ２ 内部電極 ３ トリミング電極 ４ 外部電極 ５ 裏面バランス電極 ６ 内部バランス電極

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】誘電体の表面に形成したトリミング電極
   と、該トリミング電極に誘電体を介して対向するよう
   に、誘電体の前記表面近傍の内部に層状に形成した内部
   電極とを備えた積層構造の焼結体でなるトリミングコン
   デンサにおいて、前記誘電体の裏面に反り防止用裏面バ
   ランス電極を形成すると共に、該裏面近傍に反り防止用
   内部バランス電極を設けたことを特徴とするトリミング
   コンデンサ。
2. 【請求項２】請求項１において、前記反り防止用裏面バ
   ランス電極および前記反り防止用内部バランス電極を、
   両者間に形成される容量が、前記トリミング電極とこれ
   に対向した内部電極との間の容量と等しくなるように同
   形に設けたことを特徴とするトリミングコンデンサ。
3. 【請求項３】請求項１において、前記反り防止用裏面バ
   ランス電極および前記反り防止用内部バランス電極をそ
   れぞれ電気特性に影響を与えないように相互に分断され
   た複数個の電極により構成したことを特徴とするトリミ
   ングコンデンサ。