JPH0718248Y2 - い草苗の泥落し兼用株分け機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 Ｉ 考案の目的 （１）産業上の利用分野 この考案は、掘取りしたい草苗の泥落し作業と、株分け
作業とを兼用してなし得る泥落し兼用株分け機に関す
る。

（２）従来の技術 従来、圃場で生育させたい草苗は、水田に定植する前に
掘取りし、泥落し機の高速で揺動している爪にい草苗の
根部を作業者が苗で把持しながら載せ、揺動している爪
でもつて根部に付着している泥を除去させ、その後、手
作業でもつて苗10本位を１株として株分けし、この株分
けした各苗を把持しながら水田に植付けしているもので
ある。しかし、い草苗の根部は根茎が相互いからみ合つ
ているため、手作業で株分けするのに手間を要するもの
で、なかには回転円鋸を利用した株分け機でもつて泥落
しを終了した根部を十字型にカツトし、このカツトした
根部を更に手作業で株分けしている。

（３）考案が解決しようとする問題点 しかしながら、回転円鋸を利用した株分け機でもつて根
部をカツトした場合には、根茎が傷付き、水田に定植し
た後の生育不良を発生し易いものである。従つて、泥落
し機でい草苗の泥落しをなした後には手作業で株分けし
なければならず、手間を要していた。また、株分け機を
使用するにしても、泥落し機と株分け機とをそれぞれ専
用機として購入しなければならず、経済的に負担が大き
くなり易いものであつた。

本考案は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであ
り、その目的は複数の爪列を有すると共に揺動し得る様
に原動機に連設された泥落し盤と、この泥落し盤の複数
の爪列の間隙に揺動と無関係となして突出され泥落し盤
と協働してい草苗の根茎部を株分け可能にカツトする複
数爪を有した株分け盤を備えることにより、堀取りした
い草苗の根部の泥落しと株分けとを兼用して能率的にな
すと共に、根茎部の株分けにおいても、下面中央より放
射状に延びた根茎の中央を十字型にカツトし、手でもつ
て容易に株分け可能となし、しかも根茎が痛まず定植後
のい草苗の生育も良好な泥落し兼用株分け機を提供する
にある。

II 考案の構成 （１）問題点を解決するための手段 上記目的を達成するために、本考案は圃場より掘取りし
たい草苗の根茎部に付着した泥落しと、泥落し後の根茎
部の株分けとを兼用してなす装置であつて、 適当高巾の機台と、この機台の上面に１端が係止されて
機台より突出状に配置された可動支持部と、この可動支
持部に支架され泥落しをなすための複数の爪列を有した
泥落し盤と、この泥落し盤を揺動させるために機台に設
けられた原動機と、この原動機と連動して可動支持部を
揺動させるための揺動手段と、前記泥落し盤の下方に向
けて機台より突設された固定支持部と、この固定支持部
に支架され泥落し盤の複数の爪列の間隙に突出されて前
記泥落し盤と協働してい草苗の根茎部を株分け可能にカ
ツトするための複数爪を有した株分け盤とを備え、 前記原動機と連動する揺動手段でもつて泥落し盤を高速
で揺動させ、い草苗の根茎部を泥落し盤の爪列で保持さ
せながら揺動させて泥落しをなし、その後根茎部を株分
け盤の複数爪が突出している泥落し盤の爪列へと移し替
えして根茎部を揺動させながら根茎部の下面中央を株分
け盤の複数爪でカツトする様になしたい草苗の泥落し兼
用株分け機を構成するものである。

また、前記可動支持部が、前記架台の上面に１端が係止
された左右１対の板バネを有し、 前記泥落し盤が、左右１対の板バネの各先端に支架され
た中央横杆と、この中央横杆の前部と後部とに連設され
たＵ型状の第１、第２枠杆と、前記中央横杆並びに第
１、第２枠杆の上面に突設された複数の爪よりなる爪列
とを有し、 前記泥落し盤の揺動手段が、前記架台に設置され原動機
と連動する様に軸支されたクランク付回転軸と、同じく
架台に軸支された枢軸に設けられた３方レバーと、この
３方レバーの第１レバーと前記回転軸の１端のクランク
とに枢着された第１作動杆と、前記３方レバーの第２、
第３レバーと、前記左右１対の板バネとに枢着された第
２、第３作動杆とを有し、 前記固定支持部が、前記架台に固締された左右取付板
と、この左右取付板より左右板バネ先端に支架された泥
落し盤の下方へ突設された左右支持杆とを有し、 前記株分け盤が、前記左右支持杆より泥落し盤の第２枠
杆と中央横杆との間隙下方へ突設された枠杆と、根茎部
の下面中央を株分けカツトするため、この枠杆より泥落
し盤の複数の爪列の間隙に突出された複数爪を有した構
成を備えたこととなしてもよい。

（２）作用 本本考案になるい草苗の泥落し兼用株分け機において
は、圃場より掘取りしたい草苗の根茎部に付着した泥を
除去すると共に相互に絡み合つた根茎部の下部中央位置
をカツトして絡み合つた根茎相互を分離し易い様に株分
けするものである。

そして、泥落し兼用株分け機において、機台に設置した
原動機を駆動すると、この原動機と連動する揺動手段に
よつて可動支持部が左右方向に高速で揺動する。そこ
で、作業者が掘取りしたい草苗の苗を片手で把持しなが
ら高速で揺動している泥落し盤の複数の爪列の内、株分
け盤より突設された複数爪に根部が接触しない用に前記
爪列に載着されるもので、高速揺動する爪列に保持され
た根部は共に揺動しながら付着している泥が剥離除去さ
れる。

付着した泥が除去された根部は、根茎が露出して絡つた
状態となる、この絡つた根茎を株分け状にほぐすため
に、い草苗を持上げ根部の下部中心が株分け盤の複数刃
と接触する様に移し替えると、泥落し盤の複数の刃列に
保持された根部は共に揺動しながら株分け盤の複数刃が
根茎の下面中心と接触してこれを横方向にカツトする、
その後い草苗を90度回転させ再び前回のカツト方向と交
差する方向にカツトするものである。従つて、下面中心
に十字型のカツト目が入れられたい草苗の根部は、相互
に分離し易い状態にカツトされ、手作業による株分けが
容易となる。

（３）実施例 以下、添付図面により、本考案の好適な実施例を説明す
る。

第１図乃至第３図には本考案の泥落し兼用株分け機10が
示されている。図において、機台12の上面に１端が係止
された左右１対の可動支持部14,14が機台12より突出さ
れている。

前記各可動支持部14,14の先端部には複数の爪列16を有
した泥落し盤18,18が架設されている。

前記泥落し盤18,18を左右方向に揺動させるために機台1
2の上面中央部に原動機20が設置され、この原動機20の
回転軸と左右可動支持部14,14とが揺動手段22でもつて
連係されている。

また、機台12の上面より前記泥落し盤18,18の下方へ向
けて左右固定支持部24,24が突設され、この左右固定支
持部24,24の先端には泥落し盤18,18内の１端部へ株分け
のための複数爪26を突設した株分け盤28,28が支架され
ている。

機台12は、第２図、第４図に示す様に逆三角形状の車体
枠30を有し、この車体枠30より側方へ突設された車輪枠
32に車輪34を軸支している。更に車輪枠32の反対側の上
端位置に１対の把手杆36,36が突設され、作業者が把手
杆36,36を把手しながら手押し式に移動し得る様になし
ている。

機台12の上面前部寄りには、第１図乃至第３図に示す様
に方形状の架台38が設置されている。

左右の可動支持部14,14は、前記架台38の左右側杆の上
面中央寄り位置に固定された筒型の板バネ係止具40,40
に第５図乃至第７図に示す様に１端が係止された板バネ
42,42を有し、この板バネ42,42は架台38より前方へ突出
されている。

第８図乃至第９図に示す様に、泥落し盤18は、前記板バ
ネ42,42の先端にＴ型状に固定された板片44の両端より
突設された１対の支持板46,46の上端に固定された中央
横杆48と、この中央横杆48の前部と後部に連設されたＵ
型状の第１、第２枠杆50a,50bを備えている。そして、
中央横杆48の前方の第１枠杆50aに複数の爪52が前方斜
上方と後方斜上方へ向けて交互に突設され、後方の第２
枠杆50bにも複数の爪52が交互に前後斜上方へと突設さ
れている。中央横杆48にも複数の爪52が後方の第２枠杆
50bへ向う斜上方へと突設され、それぞれ爪列16を形成
している。

左右泥落し盤18,18を揺動させるための揺動手段22は、
第11図乃至第13図に示す様に架台38の中央部に設けられ
た枠杆54の上面の軸受に軸支されたクランク56付の回転
軸58と、架台38の前部上面に縦枠60を立設して上下対向
に設置した軸受に軸支させた枢軸62に固締されたＹ型の
３方レバー64とを有し、前記３方レバー64の左側方向へ
突設された第１レバー66aと回転軸58の１端のクランク5
6とに第１作動杆68aが枢着されている。更に、３方レバ
ー64の正面方向へ突設された第２レバー66bと右側後方
へ突設された第３レバー66cとに第２作動杆68bと第３作
動杆68cとの１端が枢着され、この第２、第３作動杆68
b,68cの他端は、第９図、第10図に示す様に左右の板バ
ネ42,42先端部内側に設けたピン70に枢着されている。

第１図、第３図、第12図、第13図に示す様に、架台38の
中央部上面に立設したモータベース72に原動機20が設置
され、この原動機20の回転軸と架台38上面の回転軸58が
ベルトプーリの様な連動機構で連係されている。前記原
動機20でもつて回転軸58を高速回転させると、クランク
56に連係した第１作動杆68aが第12図、第13図に示す矢
印方向へと往復動され、この往復動によつて３方レバー
64は時計方向と反時計式方向とに反復回動し、３方レバ
ー64が時計式方向へ回動した時に左右板バネ42,42は第
２、第３作動杆68b,68cでもつて外側方向へ板バネの弾
力に抗しながら押圧され、３方レバー64が反時計式に回
動した時に左右板バネ42,42は内側方向へと引込みされ
ながら左右方向へと高速で揺動し、左右の泥落し盤18,1
8が共に高速で揺動する。

株分け盤28の固定支持部24は、第14図、第15図に示す様
に、架台38の正面部の上面に取付板74が固締され、この
取付板74より支持杆76が突設されている。この支持杆76
の先端に株分け盤28としての三角形の枠杆78が固定さ
れ、枠杆78の上面に株分けをなすための複数爪26が突設
されている。そして、 第１図において架台38の正面部の両側寄り位置に左右１
対の固定支持部24,24が設けられている。更に左右の板
バネ42,42の先端に第８図乃至第10図に示す様に支架さ
れた泥落し盤18,18の第２枠杆50bと中央横杆48との間隙
下方に株分け盤28,28の枠杆78が配設され、前記枠杆78
より複数爪26が第２枠杆50bと中央横杆48との爪52,52の
間隙内へ突出されている。

そこで、い草苗を植付けている圃場に泥落し兼用株分け
機10を搬入させ、原動機20を駆動すると揺動手段22によ
り左右の板バネ42,42が高速で左右方向へ揺動されるも
のである。そして、圃場で掘取りしたい草苗80の苗先を
第16図の様に把持しながら左右の泥落し盤18,18の第１
枠杆50a並びに中央横杆48より突設した複数の爪52の上
面にい草苗の根部82を載せると、泥落し盤18,18が左右
に揺動しているため根部に付着した泥は直に除去され絡
み合つた根茎82−ａとなる。そして泥落しを終了したい
草苗の根茎82−ａを中央横杆48と第２枠杆50bの複数の
爪52に移し替えるものであり、泥落しされた根茎82−ａ
は同じく左右方向に揺動されながら中央横杆48と第２枠
杆50bの間隙へ突出された株分け盤28の複数爪26と接触
する。下面中央の根茎はこの複数爪26で左右方向へとカ
ツトされ、更にい草茎を90度回転させてカツトすること
により、泥落し後のい草苗の根部の下面中央部が第17図
に示す様に十字型にカツト84され、根茎82−ａが密に絡
み合つた下面中央部が解かれて株分可能状態となる。

従つて、本考案は掘取りしたい草苗の根部の泥落しと、
株分け作業とを兼用して能率的になし、それぞれ専用機
を備える必要がなく、しかも、株分けにおいて根茎の下
部中央が十字型にカツトされるのみであるため、根茎の
痛みも少く、定植後のい草苗の生育も良好である。

III 考案の効果 以上説明した様に、本考案は左右方向へ高速揺動する泥
落し盤と、この泥落し盤の下方に固定状に設置された株
分け盤とを備えたことにより、い草苗の根部の泥落し
と、株分けとを兼用して高能率化し得る。また、泥落し
後の根茎の内、根茎が密に絡み合つた中央部下面を十字
型にカツトして株分け可能状態となし得ることによつて
株分けした１株のい草苗の根茎の痛みも少なく、定植後
の生育も良好である等の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例に係るい草苗の泥落し兼用株分
け機の平面図、第２図はその正面図、第３図はその左側
面図、第４図は第２図Ａ−Ａ線矢視図、第５図は架台に
対する板バネの係止部を示した一部拡大左側面図、第６
図はその拡大平面図、第７図は第６図Ｂ−Ｂ線矢視図、
第８図は板バネの先端に支架された泥落し盤と、固定支
持部に支架された株分け盤とを示した一部拡大平面図、
第９図はその一部拡大正面図、第10図はその一部拡大右
側面図、第11図は架台に設けた板バネの揺動手段の一部
拡大正面図、第12図はその一部拡大平面図、第13図はそ
の一部拡大左側面図、第14図は株分け盤を支架した固定
支持部の拡大平面図、第15図はそのＣ−Ｃ線矢視図、第
16図は掘取りしたい草苗を把持した状態図、第17図は泥
落し、株分けカツトした根茎の底面図である。 10……泥落し兼用株分け機、12……機台、14……可動支
持部、16……爪列、18……泥落し盤、22……揺動手段、
24……固定支持部、26……複数爪、28……株分け盤、34
……車輪、36……把手杆、38……架台、42……板バネ、
48……中央横杆、50a,50b……第１、第２枠杆、52……
爪、56……クランク、58……回転軸、64……３方レバ
ー、68a,68b,68c……第１、第２、第３作動杆

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】圃場より掘取りしたい草苗の根茎部に付着
   した泥落しと、泥落し後の根茎部の株分けとを兼用して
   なす装置であつて、 適当高巾の機台と、この機台の上面に１端が係止されて
   機台より突出状に配置された可動支持部と、この可動支
   持部に支架され泥落しをなすための複数の爪列を有した
   泥落し盤と、この泥落し盤を揺動させるために機台に設
   けられた原動機と、この原動機と連動して可動支持部を
   揺動させるための揺動手段と、前記泥落し盤の下方に向
   けて機台より突設された固定支持部と、この固定支持部
   に支架された泥落し盤の複数の爪列の間隙に突出されて
   前記泥落し盤と協働してい草苗の根茎部を株分け可能に
   カツトするための複数爪を有した株分け盤とを備え、 前記原動機と連動する揺動手段でもつて泥落し盤を高速
   で揺動させ、い草苗の根茎部を泥落し盤の爪列で保持さ
   せながら揺動させて泥落しをなし、その後根茎部を株分
   け盤の複数爪が突出している泥落し盤の爪列へと移替え
   して根茎部を揺動させながら根茎部の下面中央を株分け
   盤の複数爪でカツトすることを特徴とする、い草苗の泥
   落し兼用株分け機。
2. 【請求項２】前記機台が、車輪を軸支させた車体枠と、
   この車体枠の上面に設置された架台とを有し、 前記可動支持部が、前記架台の上面に１端が係止された
   左右１対の板バネを有し、 前記泥落し盤が、左右１対の板バネの各先端に支架され
   た中央横杆と、この中央横杆の前部と後部とに連設され
   たＵ型状の第１、第２枠杆と、前記中央横杆並びに第
   １、第２枠杆の上面に突設された複数の爪よりなる爪列
   とを有し、 前記泥落し盤の揺動手段が、前記架台に設置され原動機
   と連動する様に軸支されたクランク付回転軸と、同じく
   架台に軸支された枢軸に設けられた３方レバーと、この
   ３方レバーの第１レバーと前記回転軸の１端のクランク
   とに枢着された第１作動杆と、前記３方レバーの第２、
   第３レバーと、前記左右１対の板バネとに枢着された第
   ２、第３作動杆とを有し、 前記固定支持部が、前記架台に固締された左右取付板
   と、この左右取付板より左右板バネ先端に支架された泥
   落し盤の下方へ突設された左右支持杆とを有し、 前記株分け盤が、前記左右支持杆より泥落し盤の第２枠
   杆と中央横杆との間隙下方へ突設された枠杆と、根茎部
   の下面中央を株分けカツトするため、この枠杆より泥落
   し盤の複数の爪列の間隙に突出された複数爪を有したこ
   とを特徴とする、実用新案登録請求の範囲第１項記載の
   い草苗の泥落し兼用株分け機。