JPH07179971A - 電縫加工用アルミニウム合金ブレージングシート条 - Google Patents
電縫加工用アルミニウム合金ブレージングシート条Info
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- JPH07179971A JPH07179971A JP34641193A JP34641193A JPH07179971A JP H07179971 A JPH07179971 A JP H07179971A JP 34641193 A JP34641193 A JP 34641193A JP 34641193 A JP34641193 A JP 34641193A JP H07179971 A JPH07179971 A JP H07179971A
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Abstract
性に優れた電縫加工用Al合金ブレージングシート条。 【構成】 wt%で、Si:0.5〜2.5、Fe:
0.05〜2.0、Cu:0.1〜2.5、Mn:0.
05〜2.0を含有し、残部Alと不可避的不純物とか
らなるAl合金を芯材とし、該芯材の片面にMg:0.
05〜2.5を含有し、さらにZn:0.5〜6.0、
In:0.002〜0.3、Sn:0.002〜0.
3、Mn:0.05〜1.6のうち1種または2種を含
有し、残部Alと不可避的不純物とからなるAl合金を
犠牲材としてクラッドし、他の片面にAl合金からなる
ろう材をクラッドした3層構造の電縫加工用Al合金ブ
レージングシート条において、犠牲材と芯材との界面か
らの距離が5μm以内の範囲に存在する粒径0.2μm
以上の大きさのMg2Si粒子の面積占有率が0.5%
以下である。
Description
等の熱交換器のチューブ材として使用される電縫加工用
アルミニウム合金ブレージングシート条に関するもので
ある。
例えば図1に示すように複数本の偏平チューブ1の間に
コルゲート状に加工した薄肉フィン2を一体に形成し、
該偏平チューブ1の両端はヘッダー3とタンク4とで構
成される空間にそれぞれ開口しており、一方のタンク側
の空間から偏平チューブ1内を通して高温冷媒を他方の
タンク4側の空間に送り、偏平チューブ1および薄肉フ
ィン2の部分で熱交換して低温になった冷媒を再び循環
させるものである。
は、例えばJIS3003合金を芯材とし、該芯材の内
側、即ち冷媒に常時触れている側には犠牲材としてJI
S7072合金を、そして該芯材の外側には、通常JI
S4045等のろう材をクラッドしたブレージングシー
ト条を電縫加工によりチューブ材としたものが用いられ
ており、コルゲート加工を行ったフィン等の他の部材と
ともにブレージングにより一体に組み立てられている。
ブレージング工法としては、フラックスブレージング
法、非腐食性のフラックスを用いたノコロックブレージ
ング法等が行われ、600℃付近の温度に加熱してろう
付される。
の方向にあり、そのために材料の薄肉化が望まれてい
る。チューブ材の薄肉化を行うには、先ず、材料の肉厚
が減少する分強度を向上し、耐食性を確保する必要があ
る。これに対して高強度合金がいくつか提案されてお
り、芯材合金にSiやCuを多く添加することにより強
度を向上させる方法や犠牲材にMgを含有させて強度を
向上させる方法が有力視されている。しかし、近年この
ような高強度化により、薄肉化が進むにつれて従来生じ
ていなかった問題が発生するようになった。即ち、電縫
加工時にチューブに割れが生じる問題である。
況に鑑み鋭意検討の結果、ろう付後の強度に優れ、電縫
加工時にチューブに割れの生じない電縫加工用アルミニ
ウム合金ブレージングシート条を開発したものである。
wt%、Fe:0.05〜2.0wt%、Cu:0.1〜
2.5wt%、Mn:0.05〜2.0wt%を含有し、残
部Alと不可避的不純物とからなるアルミニウム合金を
芯材とし、該芯材の片面にMg:0.05〜2.5wt%
を含有し、さらにZn:0.5〜6.0wt%、In:
0.002〜0.3wt%、Sn:0.002〜0.3wt
%、Mn:0.05〜1.6wt%のうちの1種または2
種を含有し、残部Alと不可避的不純物とからなるアル
ミニウム合金を犠牲材としてクラッドし、他の片面にア
ルミニウム合金からなるろう材をクラッドした3層構造
の電縫加工用アルミニウム合金ブレージングシート条に
おいて、犠牲材と芯材との界面からの距離が5μm以内
の範囲に存在する粒径0.2μm以上の大きさのMg2
Si粒子の面積占有率が、0.5%以下であることを特
徴とする電縫加工用アルミニウム合金ブレージングシー
ト条である。
wt%、Fe:0.05〜2.0wt%、Cu:0.1〜
2.5wt%、Mn:0.05〜2.0wt%を含有し、さ
らにMg:0.05〜0.5wt%、Cr:0.03〜
0.3wt%、Zr:0.03〜0.3wt%、Ti:0.
03〜0.3wt%、Ni:0.03〜1.5wt%のうち
の1種または2種以上を含有し、残部Alと不可避的不
純物とからなるアルミニウム合金を芯材とし、該芯材の
片面にMg:0.05〜2.5wt%を含有し、さらにZ
n:0.5〜6.0wt%、In:0.002〜0.3wt
%、Sn:0.002〜0.3wt%、Mn:0.05〜
1.6wt%のうちの1種または2種を含有し、残部Al
と不可避的不純物とからなるアルミニウム合金を犠牲材
としてクラッドし、他の片面にアルミニウム合金からな
るろう材をクラッドした3層構造の電縫加工用アルミニ
ウム合金ブレージングシート条において、犠牲材と芯材
との界面からの距離が5μm以内の範囲に存在する粒径
0.2μm以上の大きさのMg2 Si粒子の面積占有率
が、0.5%以下であることを特徴とする電縫加工用ア
ルミニウム合金ブレージングシート条である。
材としてはSi:7.0〜12.0wt%、Cu:0.1
〜8.0wt%を含有し、さらにZn:0.5〜6.0wt
%、In:0.002〜0.3wt%、Sn:0.002
〜0.3wt%のうちの1種または2種以上を含有し、残
部Alと不可避的不純物とからなるアルミニウム合金が
望ましい。
ージングシート条の合金組成について説明する。本発明
に用いる芯材合金は高強度合金であり、Siの添加量が
高いことが特徴である。前記芯材合金の中で特に1.2
wt%を超えるSiを添加した合金および1.2wt%を超
えるCuを添加した合金は、融点が低下するためにブレ
ージング用として従来用いられていない合金である。
る。Siは、強度向上に寄与する。Siが0.5wt%未
満の場合強度向上効果が十分でなく、2.5wt%を超え
ると融点が低下し、本発明のろう合金を用いてもブレー
ジング時に溶融してしまう。従って、Siは0.5〜
2.5wt%とするが、特に1.2wt%付近で安定した特
性を示す。
布させ、本発明の製造工程中の中間焼鈍時に再結晶粒を
微細にし、電縫加工時の割れを防止する作用を有する。
その量が0.05wt%未満では効果が十分でなく、2.
0wt%を超えて添加した場合成形性が低下し、電縫加工
時にブレージングシートが割れてしまう。
布させ、耐食性を低下させることなく強度を向上させる
ための必須元素である。その量が0.05wt%未満では
効果が十分ではなく、2.0wt%を超えて添加した場合
成形性が低下し、電縫加工時にブレージングシートが割
れてしまう。
存在し、強度を向上させる。Cuが0.1wt%未満の場
合強度向上効果が少ない。Cuの添加量が1.2wt%を
超えるものは本発明特有の合金である。芯材にCuを含
有した合金を用いるとブレージング時にCuが犠牲材中
に拡散し、犠牲材が犠牲材としての効果を有さなくな
り、耐食性が低下するため、現実的に強度向上のために
添加できる芯材へのCu量は限られていたが、後述の理
由により本発明では添加可能になった。さらに、1.2
wt%を超えるCuを添加した合金は、融点が低下するた
め、従来用いられていなかった合金である。ここで、C
u量が2.5wt%を超えると融点が低下し、本発明のろ
う合金を用いてもブレージング時に溶融してしまう。従
って、Cuは0.1〜2.5wt%とするが、特に0.5
〜1.5wt%で安定した特性を示す。
iの微細な析出相として存在し、強度を向上させる。
0.05wt%未満では効果がなく、0.5wt%を超えて
添加すると非腐食性のフラックスを用いたろう付をする
場合にフラックスとMgが反応し、ろう付ができなくな
る。
化合物を形成し、合金の強度を向上させる働きを有す
る。しかし、0.03wt%未満では効果がなく、それぞ
れ0.3wt%を超えて添加した場合成形性が低下し、組
付け等の加工時にブレージングシートが割れてしまう。
強度を向上させる働きを有する。しかし、0.03wt%
未満では効果がなく、1.5wt%を超えて添加した場合
成形性が低下し、組付け等の加工時にブレージングシー
トが割れてしまう。
鋳塊組織の微細化のために添加されるB等、上記以外の
元素はそれぞれ0.05wt%以下であれば含有されてい
ても構わない。
について説明する。犠牲材は、本発明の重要な項目であ
る。即ち、従来の犠牲材合金の代表として、JIS70
72合金がある。しかし、このような犠牲材は強度向上
効果を有していない。そこで、本発明のようなMgを含
有した犠牲材が開発されたのである。
牲材合金を高強度化し、材料全体の強度を向上する。そ
の量が0.05wt%未満では効果がなく、2.5wt%を
超えると融点が低下し、ろう付時に溶融してしまう。
その量が0.5wt%未満では効果が十分でなく、その量
が6.0wt%を超えると融点が低下し、本発明のろう合
金を用いたとしてもろう付時に溶融してしまう。
る。その量が0.002wt%未満では効果が十分でな
く、その量が0.3wt%を超えると合金の圧延加工性が
低下し、3層材のブレージングシートに用いる犠牲材と
しては適さなくなる。
料全体の強度を向上する。その量が0.05wt%未満で
は効果が十分でなく、その量が1.6wt%を超えると合
金の圧延加工性が低下し、3層材のブレージングシート
に用いる犠牲材としては適さなくなる。
りであるが、不可避的不純物として、Siは0.5wt%
以下であれば含有可能であるが、0.1wt%以下が望ま
しい。Feは0.8wt%以下であれば含有可能であり、
0.1wt%以下が望ましい。強度向上のためのCr、Z
r、Ti等の上記以外の元素もそれぞれ0.05wt%以
下であれば不純物元素として含有しても構わない。
る。本発明において、芯材の合金組成のうち、1.2wt
%未満のSiかつ1.2wt%未満のCuの組成範囲で
は、従来からろう材合金として用いられている4343
合金や4045合金等のAl−Si系合金を用いること
が可能である。しかし、高強度の芯材合金(1.2wt%
以上のSiまたは1.2wt%以上のCuを含有した芯材
合金の組成範囲)を用いた場合、請求項3記載のろう材
合金を用いるものとする。これは、外部耐食性の低下が
生じる問題と芯材合金の融点が低いためろう付時に溶融
するという問題があるためである。本発明のろう材合金
はこれを解決したもので、本発明の芯材合金と組み合わ
せた時に効果を発揮するものである。即ち、熱交換器の
外部耐食性についてさまざまな検討を行ない、従来用い
られている前記ろう材合金と本発明の高強度の芯材合金
を組み合わせる場合、芯材合金中に添加されているCu
がろう付時にろうに拡散し、ろう材と芯材との境界付近
に低Cu領域が生じそこが優先的に腐食されるため、膨
れを伴う激しい腐食を生じることを見出した。本発明で
はろう材合金にCuを添加することで、芯材からろう材
へのCuの拡散を防止し、ろう材と芯材との境界付近に
低Cu領域を生じないようにし、耐食性を向上させた。
そして、従来600℃付近の温度でろう付していたの
を、585℃以下の温度でろう付できるようにすれば芯
材合金の溶融がなくなると考え、従来のろう材合金より
もろう付温度が低い合金をを開発したものである。
理由を以下に説明する。Siの添加は合金の融点を下げ
るが、その量が7.0wt%未満では十分に融点が低下せ
ず、ろう付温度で芯材が溶融してしまう。さらに、その
量が12.0wt%を超えると逆に融点が上がるため、芯
材が溶融してしまう。
性を向上させる。さらに、前記の理由で冷媒通路構成部
材にCuを添加した合金を用いる場合に熱交換器の外部
耐食性を高める働きを有する。しかし、Cuの量が0.
1wt%未満では以上の効果が十分でなく、その量が8.
0wt%を超えるとろうの電位が貴になりすぎて、芯材が
優先的に腐食するようになり、耐食性が低下する上に、
合金の圧延加工性が低下し、熱交換器用のブレージング
シートとして製造できなくなる。従って、Cuは0.1
〜8.0wt%とするが、特に0.5〜3.5wt%で安定
した犠牲を示す。
に、本発明のようにCuを添加したろう材合金では外部
腐食による膨れの発生は抑えられるものの、ろう材の電
位が芯材の電位より貴になり、外部腐食がピット状に進
行しその速度が早いという問題がある。Znの添加はろ
う材の電位を下げ、ろう材の電位を芯材の電位に近づ
け、耐食性を向上させる。しかし、その量が6.0wt%
を超えるとろうの自己耐食性が低下する上に、合金の圧
延加工性が低下し、熱交換器用のブレージングシートに
用いるろう材としては適さなくなる。
冷媒通路構成部材の耐食性を向上させる。その量が0.
002wt%未満では効果が十分でなく、その量が0.3
wt%を超えると合金の圧延加工性が低下する。
あるが、不可避的不純物として、Feは1.0wt%以下
であれば含有可能である。しかし、Feはろうが凝固す
る時に金属間化合物を形成し、これが腐食の起点とな
る。そのため、Fe量は0.5wt%以下が望ましい。F
e以外の不可避的不純物として、他の元素もそれぞれ
0.05wt%以下であれば含有してもよい。
う付温度を570℃を超え585℃以下としてブレージ
ングを行うことが望ましい。ろう付温度が570℃以下
では、本発明のろう材中に溶融しない組成があり、ろう
付することができないためである。また、585℃を超
えると、芯材の組成によっては溶融するためである。ま
た、本発明のろう材を用い、ろう付を行うとフィンの耐
高温座屈性および熱伝導性を向上させる効果もある。
尚、このようにろう付温度を低下させることで、ろう付
炉の寿命が延びるという効果も有する。
い温度でろう付を行う方法に、低温ろう付と言われてい
る500℃前後の温度でろう付を行う方法が知られてい
る。この方法はZnを20%以上含有したAl−Zn系
合金やZn合金を通常ろう材として用いるために、ろう
付後にろう材が腐食されやすいという問題点があり、現
実的には熱交換器として使用されていない。さらに、A
l−Zn系合金でZnの添加量が8%を超えると圧延性
が非常に悪くなり、合わせ圧延によるブレージングシー
トの製造は不可能であり、工業的に安定して低温ろう付
用のブレージングシートを供給する製造方法は確立され
ていない。そのため、置きろう等としてろうを用いねば
ならず、製造できる部材の種類は限られている。しか
し、発明者らは上記のように低温ろう付よりはるかに高
温である585℃以下のろう付温度でも熱交換器の特性
向上が可能なことを見出して、ブレージングシートを開
発したものである。
金ろうとして知られている合金がある(例えば特開平3
−57588)。これらは、主に鋳物をろう付するため
に開発されたものであり、多量のCuが含有されていた
り、上記のように多量のZnを添加しているため、圧延
加工を行うと割れてしまう問題があり、ブレージングシ
ートの製造ができなかったのである。ブレージングシー
トとして使用できなければ、工業的に熱交換器を製造す
るのに実用性が乏しい。本発明ではこのような問題点を
解決し、ブレージングシートを開発したのである。
グシート条の合金組成であるが、次に構成を説明する。
本発明アルミニウム合金ブレージングシート条は、図2
に示すような3層構造を有する。即ち、高強度アルミニ
ウム合金を芯材5とし、この芯材5の片面にろう材6、
他の片面に犠牲材7を有する。電縫加工によりろう材を
外側に、犠牲材を冷媒通路構成側にしたチューブとする
ための条である。ブレージングシート条の板厚は0.4
mm以下であり、犠牲材のクラッド率は5〜30%、ろ
う材のクラッド率は5〜30%である。
牲材と芯材との界面からの距離が5μm以内の範囲に存
在する粒径0.2μm以上の大きさのMg2 Si粒子の
面積占有率が0.5%以下であることを特徴とする。こ
の限定理由について説明するにあたり、本発明が解決し
た電縫加工時に生じる割れについて説明する。従来、生
じていなかった割れが生じるようになったのは、犠牲材
にMgを添加した高強度合金を用いるようになってから
である。図3に示すように、割れは犠牲材と芯材との界
面で生じるものであった。ブレージングシートは通常熱
間圧延で圧着して3層構造とするが、Mgを添加した合
金は表面に酸化皮膜が形成されやすいので、界面が接合
されにくいと考えたり、芯材合金と犠牲材合金との変形
抵抗が大きく違うため圧着されていないと考えられて、
各種対策が行われていた。しかし、このような対策では
全く解決されなかった。
界面付近の組織を詳細に調べたところ、図4に模式的に
示すように、Mg2 Si粒子11が界面付近に存在する
場合に、電縫加工時に割れが生じることを見出した。そ
して、このMg2 Si粒子11の量が一定以下であれ
ば、電縫加工時に割れが生じなくなることを見出した。
また、このMg2 Si粒子11の発生理由は、ブレージ
ングシートを製造中に犠牲材から芯材へMgが拡散し芯
材中に含有しているSiと反応して生じるもの、および
芯材から犠牲材へSiが拡散し犠牲材中に含有している
Mgと反応して生じるものであることを見出した。即
ち、高強度化のために芯材のSi添加量を増やし、犠牲
材にMgを添加したブレージングシートに特有の現象で
あることが解明された。
5〜2.5wt%含有したアルミニウム合金を用い、犠牲
材にMgを0.05〜2.5wt%を含有したアルミニウ
ム合金を用いた高強度電縫加工用クラッド条材で、犠牲
材と芯材との界面からの距離が5μm以内の範囲に存在
する粒径0.2μm以上の大きさのMg2 Si粒子の面
積占有率が0.5%以下であることを特徴とする。芯材
のSiおよび犠牲材のMgの下限の理由は先に述べた理
由に加え、この量未満では、上記の電縫加工時の割れが
生じないため、本発明を必要としないからである。
の距離が5μm以内に存在するMg2 Si粒子について
規定しているのは、拡散によりMg2 Si粒子を生じや
すい範囲がこの範囲であるためである。即ち、界面に最
もMg2 Si粒子を生じやすく、界面から離れるに従
い、拡散量が減るので界面からの距離が5μm以内の範
囲(犠牲材側に5μm、芯材側に5μmの10μmの部
分)を考えればよいのである。粒径0.2μm以上の大
きさのMg2 Si粒子を問題としているのは、この大き
さより小さいと、電縫加工時の加熱時に固溶するため、
割れに影響しないからである。ここで、面積占有率を測
定するには、厚さ方向の面(L−ST面またはLT−S
T面)を研磨し、走査型電子顕微鏡の反射電子像で加速
電圧を下げて観察すればよい。粒径は、最大径である。
Mg2 Si粒子の面積占有率が0.5%を超えるとその
部分が電縫加工時に溶融しやすくなり、割れを生じる。
よって、犠牲材と芯材との界面からの距離が5μm以内
の範囲に存在する粒径0.2μm以上の大きさのMg2
Si粒子の面積占有率を0.5%以下と本発明では定め
た。
御するのであるが、その方法の最も代表的な方法は、溶
体化・焼き入れ処理である。即ち、Mg2 Si粒子が生
じるのは主に熱間圧延および焼鈍中であるから、焼鈍後
のコイルを溶体化温度以上に加熱し、冷却中にMg2 S
i粒子が生じない速度で急冷すればよい。この溶体化・
焼き入れ処理は再結晶温度より高いのが通常であるの
で、焼鈍を兼ねて行ってもよい。本発明では、電縫加工
後の工程は特に限定しない。従来より行われているよう
にろう付により熱交換器を製造すればよい。
る。表1に示す構成のアルミニウム合金チューブ材用の
板厚0.25mmの3層ブレージングシート条を、表2
〜4の方法により製造した。熱間圧延コイル(板厚3.
5mm)を得るまでの工程は通常の通りである。具体的
には、芯材合金を400mm厚に水冷鋳造後、450℃
〜600℃の温度範囲で均質化処理し、面削後あらかじ
め準備したろう材合金板および犠牲材合金板と合わせ、
加熱後熱間圧延を行った。ろう材のクラッド率は13
%、犠牲材のクラッド率は20%である。また、犠牲材
中には不純物元素として、Fe、Siがそれぞれ0.0
1〜0.2wt%の範囲内で含まれている。コイル状板材
は、電縫管のサイズに合わせてスリッターして35.0
mmの条材とした。得られた条材からサンプルを採取
し、断面の組織観察を行ない、芯材と犠牲材との界面か
らの距離が5μm以内の範囲に存在する0.2μm以上
の大きさのMg2 Si粒子の面積占有率を測定した結果
を表5、6に示す。さらに、得られた条材を電縫加工
し、得られたチューブについて耐圧試験および断面観察
を行った。また、得られた条材をN2 ガス中で加熱を行
ない、引張試験、並びにろう材部を外側、犠牲材部を内
側として、外部耐食性試験を行った。結果を表5、6に
記した。ろう付加熱はブレージングシート条A、E、
F、G、I、J、Kで580℃×5分、他のブレージン
グシート条では600℃×5分とした。外部耐食性試験
はろう材の表面中央部のみを露出させ、他の面をすべて
シールし、CASS試験(JISH8681)を360
時間行ない、孔食の発生状況を調べた。
ート条は本発明の組成であるが、従来の工程で製造した
ため、Mg2 Siの量が本発明の範囲を外れ、電縫加工
で割れを生じており、耐圧値が低い。比較例No.29、
30は、本発明の芯材のSi量または犠牲材のMg量の
範囲を外れており、電縫加工で割れを生じないが、ろう
付後の強度が低い。また、従来例No. 31も電縫加工で
割れを生じないが、ろう付後の強度が低い。対して、本
発明例では、ろう付後の強度が高く、耐食性にも優れて
いるにもかかわらず、電縫加工で割れを生じていない。
ミニウム合金ブレージングシート条は電縫加工時に割れ
が生じることがなく、高強度で耐食性に優れ、熱交換器
を製造した場合、小型、軽量化が可能であり、工業上顕
著な効果を奏するものである。
図である。
部断面図である。
での状況を示す模式図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 Si:0.5〜2.5wt%、Fe:0.
05〜2.0wt%、Cu:0.1〜2.5wt%、Mn:
0.05〜2.0wt%を含有し、残部Alと不可避的不
純物とからなるアルミニウム合金を芯材とし、該芯材の
片面にMg:0.05〜2.5wt%を含有し、さらにZ
n:0.5〜6.0wt%、In:0.002〜0.3wt
%、Sn:0.002〜0.3wt%、Mn:0.05〜
1.6wt%のうちの1種または2種を含有し、残部Al
と不可避的不純物とからなるアルミニウム合金を犠牲材
としてクラッドし、他の片面にアルミニウム合金からな
るろう材をクラッドした3層構造の電縫加工用アルミニ
ウム合金ブレージングシート条において、犠牲材と芯材
との界面からの距離が5μm以内の範囲に存在する粒径
0.2μm以上の大きさのMg2 Si粒子の面積占有率
が、0.5%以下であることを特徴とする電縫加工用ア
ルミニウム合金ブレージングシート条。 - 【請求項2】 Si:0.5〜2.5wt%、Fe:0.
05〜2.0wt%、Cu:0.1〜2.5wt%、Mn:
0.05〜2.0wt%を含有し、さらにMg:0.05
〜0.5wt%、Cr:0.03〜0.3wt%、Zr:
0.03〜0.3wt%、Ti:0.03〜0.3wt%、
Ni:0.03〜1.5wt%のうちの1種または2種以
上を含有し、残部Alと不可避的不純物とからなるアル
ミニウム合金を芯材とし、該芯材の片面にMg:0.0
5〜2.5wt%を含有し、さらにZn:0.5〜6.0
wt%、In:0.002〜0.3wt%、Sn:0.00
2〜0.3wt%、Mn:0.05〜1.6wt%のうちの
1種または2種を含有し、残部Alと不可避的不純物と
からなるアルミニウム合金を犠牲材としてクラッドし、
他の片面にアルミニウム合金からなるろう材をクラッド
した3層構造の電縫加工用アルミニウム合金ブレージン
グシート条において、犠牲材と芯材との界面からの距離
が5μm以内の範囲に存在する粒径0.2μm以上の大
きさのMg2Si粒子の面積占有率が、0.5%以下で
あることを特徴とする電縫加工用アルミニウム合金ブレ
ージングシート条。 - 【請求項3】 ろう材がSi:7.0〜12.0wt%、
Cu:0.1〜8.0wt%を含有し、さらにZn:0.
5〜6.0wt%、In:0.002〜0.3wt%、S
n:0.002〜0.3wt%のうちの1種または2種以
上を含有し、残部Alと不可避的不純物からなるアルミ
ニウム合金であることを特徴とする請求項1および請求
項2記載の電縫加工用アルミニウム合金ブレージングシ
ート条。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34641193A JP3345845B2 (ja) | 1993-12-22 | 1993-12-22 | 電縫加工用アルミニウム合金ブレージングシート条 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34641193A JP3345845B2 (ja) | 1993-12-22 | 1993-12-22 | 電縫加工用アルミニウム合金ブレージングシート条 |
Publications (2)
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