JPH07179114A - サスペンションの予見制御装置 - Google Patents

サスペンションの予見制御装置

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JPH07179114A
JPH07179114A JP32842593A JP32842593A JPH07179114A JP H07179114 A JPH07179114 A JP H07179114A JP 32842593 A JP32842593 A JP 32842593A JP 32842593 A JP32842593 A JP 32842593A JP H07179114 A JPH07179114 A JP H07179114A
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JP
Japan
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control
wheel
road surface
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value
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Pending
Application number
JP32842593A
Other languages
English (en)
Inventor
Michito Hirahara
道人 平原
Yosuke Akatsu
洋介 赤津
Kensuke Fukuyama
研輔 福山
Hideo Tohata
秀夫 戸畑
Takeshi Kimura
健 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】サスペンションの予見装置において、前輪が路
面から浮上した場合に後輪の予見制御を中止することに
より、乗り心地の低下を防ぐ。 【構成】ストローク検出値SFL,SFRが最大値SMAX
等しくなったら(ステップS104,S106)、前輪
が路面から浮上したと判断し、前輪側から入力された路
面変位の微分値に基づく後輪の予見制御力を算出しない
で、目標車高を保持するための油圧制御力UFL,UFR
算出する(ステップS105)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、制御の対象となる制御
車輪よりも予見距離だけ前方の路面情報を得、この路面
情報に基づいて、制御車輪と車体との間に介装された流
体圧シリンダ等のアクチュエータを含むサスペンション
を予見制御するサスペンションの予見制御装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】制御車輪よりも前方位置における路面入
力を検出してこれに基づいてサスペンションの予見制御
を行うサスペンションの予見制御装置としては、例えば
特開平4−339010号公報や特開平4−33901
1号公報に記載されるものがある。また、本出願人は先
に特願平4−148715号を出願した。
【0003】このようなサスペンションの予見制御装置
では、例えば図19,図20に示すように、車両の前輪
上部に設けられた上下加速度センサによって当該前輪上
部における車体の上下加速度x2f" を検出し、フロント
サスペンションに設けられたストロークセンサによって
車体の中立状態からの前輪のストローク(x1f−x2f
を検出し、図示されない車速センサ等により車速Vを検
出する。そして、前記車体の上下加速度の積分値x2f'
をストロークの微分値(x1f' −x2f' )に加えること
によってバネ下振動速度x1f' を算出し、このバネ下振
動速度x1f' およびその積分値x1fに基づいて,路面か
ら車輪を介して車体に伝達される路面入力を推定する。
【0004】このようにして得られた路面入力推定値に
対して当該路面入力推定値を打ち消すような制御力を、
前後輪が路面を通過する時間差(ホイルベースL/車速
V,および応答遅れ)遅延した後にリアサスペンション
に発生させることによって、後輪を経由して路面から車
体へ伝達される路面入力を抑制して乗心地を向上させる
ようにしたものである。なお、路面入力推定値からそれ
を打ち消すような制御力をリアサスペンションに発生さ
せるための制御指令値を出力する際には、当該制御指令
値を算出するために適当な制御ゲインを前記路面入力推
定値に乗ずる等しているが、この制御ゲインは一定値と
している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のサスペンションの予見制御装置にあっては、
車両の上下動が激しく車輪が路面から浮上した場合等に
は、正確な路面情報が検出され難くなり、検出された不
正確な路面入力情報(すなわち制御車輪を介して車体に
入力されると推定される路面からの振動入力の推定値)
に基づいてサスペンションの予見制御を行うと、必要な
制御力とは異なる不適切な制御力が制御車輪に付与され
ることになるため、車体に不自然な挙動が発生して乗員
に違和感を与え、かえって乗心地が低下するという問題
がある。
【0006】本発明は、これら従来技術の問題点に着目
してなされたものであり、車輪が路面から浮上した場合
等には、予見制御を中止するか、予見制御の度合いを減
少することにより、乗心地の低下を抑止し得るサスペン
ションの予見制御装置を提供することを目的とするもの
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1のサスペンションの予見装置は、図1の基
本構成図に示すように、車体と制御車輪との間に介装さ
れて制御指令値に応じた制御力を発生するアクチュエー
タと、前記制御車輪より予見距離だけ前方に装着されて
路面の凹凸を検出する路面検出手段と、前記路面検出手
段からの路面検出値に応じて制御車輪に入力される振動
入力を推定する制御車輪入力推定手段と、前記路面の凹
凸の検出時から所定時間遅延後に、前記制御車輪入力推
定手段からの制御車輪振動入力推定値に基づいて算出さ
れた制御指令値を前記制御車輪のアクチュエータに出力
する予見制御手段とを備えたサスペンションの予見制御
装置において、前輪と路面との接触状態を検出する前輪
状態検出手段と、前記前輪状態検出手段からの前輪状態
検出値に応じて前記予見制御を行うか行わないかを判定
する予見制御判定手段とを備えるとともに、前記予見制
御手段は、前記予見制御判定手段により予見制御を行わ
ない判定がなされたときに、予見制御しない制御指令値
を前記制御車輪のアクチュエータに出力する予見制御中
止手段を含むものであることを特徴とするものである。
【0008】請求項2のサスペンションの予見制御装置
は、図2の基本構成図に示すように、車体と制御車輪と
の間に介装されて制御指令値に応じた制御力を発生する
アクチュエータと、前記制御車輪より予見距離だけ前方
に装着されて路面の凹凸を検出する路面検出手段と、前
記路面検出手段からの路面検出値に応じて制御車輪に入
力される振動入力を推定する制御車輪入力推定手段と、
前記路面の凹凸の検出時から所定時間遅延後に、前記制
御車輪入力推定手段からの制御車輪振動入力推定値にゲ
インを乗じた値から得た制御指令値を前記制御車輪のア
クチュエータに出力する予見制御手段とを備えたサスペ
ンションの予見制御装置において、前輪と路面との接触
状態を検出する前輪状態検出手段と、前記前輪状態検出
手段からの前輪状態検出値に基づき、当該前輪が路面に
対して接触状態から非接触状態に移行した際には前記ゲ
インを次第に減少するように変更するゲイン変更手段と
を備えたことを特徴とするものである。
【0009】
【作用】請求項1のサスペンションの予見制御装置で
は、図1の基本構成図に示すように、路面検出手段が路
面の凹凸を、例えば車体の上下加速度および前輪のスト
ロークとして検出し、その検出値に応じて制御車輪入力
推定手段が、例えば前記バネ下振動速度等として制御車
輪に入力される振動入力を推定する。また、前輪状態検
出手段が前輪と路面との接触状態を検出し、その検出値
に応じて予見制御判定手段が、例えば前記検出値が当該
前輪と路面とが接触状態にあることに相当する場合には
予見制御を行う判定をし、前記検出値が当該前輪が路面
から浮上したことに相当する場合には予見制御を行わな
い判定をする。
【0010】予見制御手段は、予見制御を行う判定がな
された場合に、この制御車輪振動入力推定値に基づいて
制御指定値を算出し、これを路面の凹凸の検出時から所
定時間、すなわち予見距離の路面通過時間差だけ遅延し
た後にアクチュエータに出力するが、予見制御を行わな
い判定がなされた場合には、予見制御中止手段が予見制
御しない制御指令値を例えば直ちにアクチュエータに出
力する。そして、アクチュエータは、前記各制御指令値
(予見制御する制御指令値または予見制御しない制御指
令値)に応じて制御力を発生する。
【0011】したがって、このサスペンションの予見制
御装置では、前輪が路面から浮上した場合等に例えば直
ちに予見制御が中止される。これにより、誤情報として
得られた路面振動入力推定値に従って予見制御されるこ
とが避けられるため、前述のように、車体に不自然な挙
動を生じさせて乗員に違和感を与えることが防止され
る。
【0012】請求項2のサスペンションの予見制御装置
では、図2の基本構成図に示すように、路面検出手段が
路面の凹凸を例えば前記と同様にして検出し、その検出
値に応じて制御車輪入力推定手段が、例えば前記と同様
にして制御車輪に入力される振動入力を推定する。ま
た、前輪状態検出手段が前輪と路面との接触状態を検出
し、この検出値に応じてゲイン変更手段が、例えば、前
記検出値が当該前輪の路面接触状態を示すものである場
合にはゲインを通常の制御力で予見制御を行う通常値に
設定し、前記検出値が当該前輪の路面からの浮上を示す
ものである場合にはゲインを所定の割合で次第に減少す
るように設定し、予見制御手段では、この設定されたゲ
インを前記制御車輪振動入力推定値に乗じた値から制御
指令値を得て、これを路面の凹凸の検出時から所定時
間、すなわち予見距離の路面通過時間差だけ遅延した後
にアクチュエータに出力し、当該アクチュエータがその
制御指令値に応じた制御力を発生する。
【0013】したがって、請求項2のサスペンションの
予見制御装置では、例えば前輪が路面から浮上した場合
には、通常値よりも次第に小さくなる制御力により予見
制御が行われるようになる。これにより、誤情報として
得られた路面振動入力推定値に従って行われる誤った予
見制御の度合いが小さくなるため、乗員に与える違和感
が低減される。特に、ゲイン変更手段によりゲインを所
定の割合で次第に減少するように設定することによっ
て、前輪の浮上後、誤情報に基づいた制御指令値による
後輪の予見制御が次第に中止の方向に向かうため、予見
制御実施状態から中止状態への移行が円滑に行われる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図3は、本発明の第一実施例を示す概略構成図で
あり、図中、10は車体側部材を、11FL〜11RR
は前左〜後右車輪を、12はサスペンションの予見制御
装置を夫々示す。
【0015】この実施例におけるサスペンションの予見
制御装置12は、図4に示すように、前輪側で路面の凹
凸を検出し、その検出値により後輪のサスペンションを
能動的に予見制御するものであり、前輪側には通常のス
トラット式サスペンションが設けられている。すなわ
ち、車体側部材10と前輪11FL,FRの側部材14
FL,FRとの間には、ショックアブソーバ15FL,
15FRとコイルスプリング16とが介装されている。
【0016】予見制御装置12は、車体側部材10と後
輪11RL,11RRの各後輪側部材14RL,14R
Rとの間に各々介装されたアクチュエータとしての油圧
シリンダ18RL,18RRと、これら油圧シリンダ1
8RL,18RRの作動圧を個別に調整する圧力制御弁
20RL,20RRと、これら圧力制御弁20RL,2
0RRに所定圧力の作動油を供給側配管21Sを介して
供給するとともに、圧力制御弁20RL,20RRから
の戻り油を戻り側配管21Rを通じて回収する油圧源2
2と、この油圧源22および圧力制御弁20RL,20
RR間の供給圧側配管21Sに介挿された蓄圧用のアキ
ュムレータ24Rと、車速を検出してこれに応じたパル
ス信号を出力する車速センサ26と、前輪11FL,1
1FRに配設されて、夫々対応する位置における車体の
上下方向加速度を夫々個別に検出する上下方向加速度セ
ンサ28FL,28FRと、前輪11FL,11FRの
ショックアブソーバ15FL,15FRと並列に配設さ
れて前輪11FL,11FRと車体側部材10との間の
相対変位を検出するストロークセンサ27FL,27F
Rと、各上下方向加速度センサ28FL,28FRの上
下方向加速度検出値ZGFL ,ZGFR に基づき、前輪11
FL,11FRの運動状態に応じて後輪の圧力制御弁2
0RL,び20RRに対する予見制御を行うコントロー
ラ30とを備えている。
【0017】油圧シリンダ18RL,18RRの夫々
は、シリンダチューブ18aを有し、このシリンダチュ
ーブ18aには、軸方向に貫通孔を有するピストン18
cにより隔設された下側の圧力室Lが形成され、ピスト
ン18cの上下面の受圧面積差と内圧とに応じた推力を
発生する。そして、シリンダチューブ18aの下端が後
輪側部材14RL,14RRに取付けられ、ピストンロ
ッド18bの上端が車体側部材10に取付けられてい
る。また、圧力室Lの各々は、油圧配管38を介して圧
力制御弁20RL,20RRの出力ポートに接続されて
いる。また、油圧シリンダ18RL,18RRの圧力室
Lの各々は、絞り弁32を介してバネ下振動吸収用のア
キュムレータ34に接続されている。また、油圧シリン
ダ18RL,18RRの各々のバネ上,バネ下相当間に
は、比較的低いバネ定数であって車体の静荷重を支持す
るコイルスプリング36が配設されている。
【0018】各圧力制御弁20RL,20RRの夫々
は、スプールを摺動自在に内装した円筒状の弁ハウジン
グとこれに一体的に設けられた比例ソレノイドとを有す
る、従来周知の3ポート比例電磁減圧弁(例えば特開昭
64−74111号参照)で構成されている。そして、
比例ソレノイドの励磁コイルに供給する指令電流i(指
令値)を調整することにより、弁ハウジング内に収容さ
れたポペットの移動距離、すなわちスプールの位置を制
御し、供給ポートおよび出力ポート又は出力ポートおよ
び戻りポートを介して油圧源22と油圧シリンダ18R
L,18RRとの間で流通する作動油を制御できるよう
になっている。
【0019】ここで、励磁コイルに加えられる指令電流
i(:iRL〜iRR)と圧力制御弁20RL(20RR)
の出力ポートから出力される制御圧Pとの関係は、図4
に示すように、ノイズを考慮した最小電流値iMIN のと
きには最低制御圧PMIN となり、この状態から電流値i
を増加させると、電流値iに比例して直線的に制御圧P
が増加し、最大電流値iMAX のときには油圧源22の設
定ライン圧に相当する最高制御圧PMAX となる。この図
4で、iN は中立指令電流,PCNは中立制御圧である。
【0020】前記上下方向加速度センサ28FL,28
FLの夫々は、図5に示すように、上下方向加速度
FL,GFRが零であるときに零の電圧、上方向の加速度
FL,G FRを検出したときにその加速度値に応じた正の
アナログ電圧、下方向の加速度G FL,GFRを検出したと
きに、その加速度値に応じた負のアナログ電圧でなる車
体上下方向加速度検出値ZGFL ,ZGFR を出力するよう
に構成されている。ここでは、上下方向加速度GFL,G
FRに対して上下方向加速度検出値ZGFL ,ZGFR は何ら
の係数も介さない(すなわち係数が“1”である)リニ
アな関数であるとして,この上下方向加速度検出値Z
GFL ,ZGFR を上下方向加速度GFL,GFRと同等のもの
として採用するものとする。
【0021】また、前記ストロークセンサ27FL,2
7FRの夫々は、図6に示すように、前記前輪11FL
および11FRと車体側部材10との間の相対変位ST
FL,STFRを検出するために、これらストロークセンサ
27FL,27FRから車高が予め設定された目標車高
に一致するときに零の中立電圧VS 、車高が目標車高よ
り高くなるとその偏差、すなわち前記相対変位STFL,
STFRに応じた正の電圧、車高が目標車高より低くなる
とその偏差、すなわち前記相対変位STFL, STFRに応
じた負の電圧でなるストローク検出値SFL,SFRを出力
する。ここでは、前記相対変位STFL, STFRに対して
ストローク検出値SFL,SFRは何らの係数も介さない
(すなわち係数が“1”である)リニアな関数であると
して,このストローク検出値SFL,SFRを当該相対変位
STFL, STFRと同等のものとして採用するものとす
る。
【0022】コントローラ30は、図8に示すように、
車速センサ26から出力される車速検出値V、ストロー
クセンサ27FL,27FRから出力されるストローク
検出値SFL,SFR、および上下方向加速度センサ28F
L,28FRから出力される上下方向加速度検出値Z
GFL ,ZGRR が入力されるマイクロコンピュータ44
と、このマイクロコンピュータ44からD/A変換され
て出力される圧力指令値U RL,URRが供給されて、これ
らを圧力制御弁20RL,20RRに対する駆動電流i
RL〜iRRに変換する例えばフローティング形定電圧回路
で構成される駆動回路46RL,46RRとを備えてい
る。
【0023】ここで、マイクロコンピュータ44は、少
なくともA/D変換機能を備えた入力側インタフェース
回路44a、D/A変換機能を備えた出力側インタフェ
ース回路44b、演算処理装置44cおよび記憶装置4
4dを有する。入力インタフェース回路44aには、各
センサ26,27FL,27FR,28FL,28FR
からの検出値V,SFL,SFR,ZGFL ,ZGFR が入力さ
れ、出力側インタフェース回路44bからは各圧力制御
弁20RL,20RRに対する制御指令値URL,URR
出力される。
【0024】また、演算処理装置44cは、後述する図
10の処理を実行して、所定サンプリング時間TS (例
えば20msec)毎に、車速検出値V、ストローク検出値
FL,SFR、および上下方向加速度検出値ZGFL ,Z
GFR を読込み、ストローク検出値SFL,SFRが予め設定
されたストロークの最大値SMAX より小さい場合には、
ストローク検出値SFL,SFRおよび上下方向加速度検出
値ZGFL ,ZGFR から、後輪11RL,11RRに入力
されるであろう後輪振動入力推定値として路面変位の微
分値xOFL ' ,xOFR ' を算出し、この路面変位の微分
値xOFL ' ,xOF R ' に基づいて予見制御力UpRL ,U
pRR を算出するとともに、車速検出値Vに基づいて前後
輪間の遅延時間τR を算出し、この遅延時間τR が零と
なった予見制御力UpRL ,UpRR に基づいて後輪側圧力
制御弁20R,20RRを制御する後輪予見制御を行
い、ストローク検出値SFL,SFRが予め設定されたスト
ロークの最大値SMAX と等しくなった場合には、前記後
輪予見制御を中止し、当該後輪用サスペンションを通常
のストラット式サスペンションとして作動させる。
【0025】更に、記憶装置44dには、予め演算処理
装置44cの演算処理に必要なプログラムが記憶されて
いるとともに、所定サンプリング時間TS 毎に算出され
る予見制御力UpRL ,UpRR を遅延時間τR とともに順
次シフトさせながら所定数格納するシフトレジスタ領域
が形成されているとともに、演算処理装置44cの演算
過程で必要な演算結果を逐次記憶する。
【0026】次に、この第一実施例における後輪の予見
制御および予見制御中止判断の原理について説明する。
まず、後輪に入力される振動入力の推定方法について説
明する。前記ストロークセンサ27FLおよび27FR
の夫々から出力されるストローク検出値SFLおよびSFR
は、バネ下およびバネ上間の相対変位を表すので、下記
(1)式および(2)式で表されるように、前輪11F
Lおよび11FRのバネ下変位x0FL ,x0FR から車体
のばね上変位xFL,xFRを減算した値となる。
【0027】 SFL=x0FL −xFL …………(1) SFR=x0FR −xFR …………(2) そして、前記ストロークセンサ27FL,27FRから
のストローク検出値S FL,SFRを、例えばディジタルハ
イパスフィルタ等で構築される微分回路で微分すればス
トローク速度SVFL ,SVFR が得られる。したがって、
これらのストローク速度SVFL ,SVFR は前記(1)式
および(2)式より,夫々バネ下変位の微分値
OFL ’,xOFR ’からバネ上変位の微分値(すなわち
バネ上振動速度である)xFL’,xFR’を減算した値と
なっていることが分かる。
【0028】なお、前記ディジタルハイパスフィルタは
前記マイクロコンピュータで実行されるプログラムで構
築することができ、そのカットオフ周波数は当該プログ
ラムに使用される一時変数で設定可能であるが、ここで
はこのカットオフ周波数を例えばバネ下共振周波数の2
倍値近傍(約20Hz)程度に設定した。一方、前記バ
ネ上振動速度xFL’,xFR’は、前記上下方向加速度セ
ンサ28FL,28FRからの上下方向加速度検出値Z
GFL ,ZGFR を、例えばディジタルローパスフィルタ等
で構築される積分回路で積分することで得られる。した
がって、これら上下加速度検出値ZGFL ,ZGFR を積分
したバネ上振動速度xFL’,xFR’と、前記ストローク
速度SVFL ,SVFR とを加算することにより、ばね上変
位の微分値xFL’,xFR’を相殺して路面変位に追従し
た真の路面変位の微分値x0FL ’,x0FR ’を得ること
ができる。
【0029】なお、前記ディジタルローパスフィルタは
前記マイクロコンピュータで実行されるプログラムで構
築することができ、そのカットオフ周波数は当該プログ
ラムに使用される一時変数で設定可能であるが、ここで
はこのカットオフ周波数を例えばバネ上共振周波数の1
/6近傍(約0.02Hz)に設定した。このようにして
前輪11FL,11FRのバネ下変位の微分値から得ら
れた路面変位の微分値xOFL ’,xOFR ’は、後輪11
RL,11RRに対しても同様のバネ下変位の微分値と
して入力されるはずであるから、これをもって後輪振動
入力推定値とする。
【0030】この路面変位の微分値xOFL ’,xOFR
に対して、後輪の圧力制御弁20RL,20RRに対す
る予見制御力UpRL ,UpRR は下記(3)式および
(4)式を用いて算出する。 UpRL =−〔Cp +{1/(ω1 +s)}Kp 〕x0FL ’ …………(3) UpRR =−〔Cp +{1/(ω1 +s)}Kp 〕x0FR ’ …………(4) 但し、Cp は減衰力制御ゲイン、Kp はばね力制御ゲイ
ン、ω1 は制御上のカットオフ周波数fC に2πを乗じ
た値であって、実際のサスペンションの減衰定数Cおよ
びばね定数Kに対してCp ≦C,Kp ≦Kに設定され、
且つω1 ≧0に設定される。また、sはラプラス演算子
(ラプラシアン)である。
【0031】ここで、予見制御力UpRL ,UpRR を上記
(3)式および(4)式に従って算出する理由を以下に
述べる。通常の能動型サスペンションのように、バネ下
共振周波数領域に対しては能動制御を行わず、5Hz以下
の主にバネ上共振周波数領域の振動抑制を図る場合に
は、1輪の運動モデルは図9に示すように、路面にばね
要素K、減衰要素Cおよび制御要素Uとが並列に配置さ
れ、これらの上方にばね上質量Mが配置され、このばね
上質量Mに外力Fが作用する1自由度モデルとして考え
ることができる。なお、図9において、X0 は路面変
位、Xはばね上変位である。
【0032】この1輪1自由度モデルの運動方程式は、
下記(5)式で表すことができる。 M″X0 =C(X0 ’−X’)+K(X0 −X)−F+U …………(5) この(5)式をばね上変位Xについて解くと、 となる。
【0033】例えば前記(3)式において、x0FL ’=
sx0FL であるので、この(3)式をω1 =0,Cp
C、Kp =Kとして上記(6)式に代入すると、(6)
式は、 となる。
【0034】路面変位の推定精度は前述したように充分
高いので、前記(7)式において(X0 −x0FL )≒0
となり、(7)式は下記(8)式に書換えできる。 この(8)式の右辺はすべて定数で構成されるため、路
面が変位してもばね上変位Xはほぼ一定となる。したが
って、上記(3)式および(4)式に従って算出された
予見制御力UpRL ,UpRR をサスペンションに対して付
与すれば、路面凹凸による影響が車体に殆ど伝達され
ず、良好な乗心地が得られることが分かる。
【0035】さて、前述のようにして路面変位の微分値
OFL ’,xOFR ’として算出された後輪路面振動入力
推定値は、あくまでも前輪11FL,11RRが路面を
通過したときのものであるから、前記(3)式および
(4)式で算出された予見制御力UpRL ,UpRR を後輪
11RL,11RRに対して有効に発生させるために
は、両者が路面を通過する時間差を算出し、その時間差
分だけ制御力UpRL ,UpR R の発生を遅延させなければ
ならない。この遅延時間τR は下記(9)式によって与
えられる。
【0036】 τR =(L/V)−τS …………(9) 但し、Lはホイールベース、τS は制御系の応答遅れ時
間であって、予め油圧系の応答遅れ時間、コントローラ
の演算むだ時間およびフィルタの応答遅れ時間の和とし
て設定されている。したがって、前輪11FL,11F
Rが通過した路面をこの遅延時間τR 後に後輪11R
L,11RRが通過するわけであるから、前記予見制御
力UpRL ,U pRR の算出後、前記遅延時間τR 経過後に
当該制御力UpRL ,UpRR を後輪11RL,11RRの
アクチュエータ、すなわち油圧シリンダ18RL,18
RRによって発生させることで、当該通過路面からの入
力が後輪11RL,11RRを介して車体側に伝達され
るのを有効に抑制することができる。
【0037】また、本実施例では、左前輪11FL側の
ストローク(前記相対変位STFL)および右前輪11F
R側のストローク(前記相対変位STFR)の少なくとも
いずれか一方が、当該ストロークの可動範囲の最大値S
MAX となると、当該前輪11FLおよび/または右前
輪11FRが路面から浮上すると判断して、後輪の予見
制御を中止することにより、誤情報入力に基づく予見制
御に伴う乗り心地低下を避ける。
【0038】次に、前記原理に基づいて、前輪が路面に
接触している場合には後輪に予見制御を行い、前輪が路
面から浮上した場合には前記予見制御を中止して当該後
輪のサスペンションを通常のストラット式サスペンショ
ンとして作動させる本実施例の制御手順を、前記コント
ローラ30のマイクロコンピュータ44における演算処
理装置44cで実行される図 のフローチャートに従っ
て説明する。なお、この処理において、制御フラグFは
後輪の予見制御が実施から中止に移行中であることを意
味し、フラグF=1で予見制御中止、F=0で予見制御
実施を夫々実行する。
【0039】すなわち、図10の処理は所定サンプリン
グ時間TS (例えば20msec)毎のタイマ割込処理とし
て実行され、先ず、ステップS101で、現在の車速セ
ンサ26の車速検出値Vを読込み、次いでステップS1
02に移行して、上下方向加速度センサ28FL,28
FRからの上下方向加速度検出値ZGFL ,ZGFR を読込
み、次いでステップS103に移行して、ストロークセ
ンサ27FL,27FRからのストローク検出値SFL
FRを読込む。
【0040】次にステップS104に移行して、左前輪
側の前記ストローク検出値SFLが予め記憶装置44dに
記憶されたストローク最大値SMAX に等しいかどうかを
判定して、等しい場合にはステップS105に移行し、
等しくない場合にはステップS106に移行する。前記
ステップS106では、右前輪側のストローク検出値S
FRが前記ストローク最大値SMAX に等しいかどうかを判
定して、等しい場合には前記ステップS105に移行
し、等しくない場合にはステップS107に移行する。
【0041】前記ステップS107では、前記ストロー
ク検出値SFL,SFRを前記ディジタルハイパスフィルタ
処理等により微分して得たストローク速度SVFL ,S
VFR と、左右前輪の上下方向加速度検出値ZGFL ,Z
GFR を前記ディジタルローパスフィルタ処理等により積
分して得た左右前輪のバネ上振動速度xFL’,xFR’と
から、路面からの後輪振動入力推定値として路面変位の
微分値xOFL ’,xOFR ’を算出する。
【0042】次にステップS108に移行して、前記ス
テップS107で算出された前記路面変位の微分値x
OFL ’,xOFR ’を用い、前記(3)式および(4)式
に従って左右後輪の予見制御力UpRL ,UpRR を算出し
て、ステップS109に移行する。前記ステップS10
9では、前記車速検出値Vを用い、前記(9)式に従っ
て遅延時間τR を算出して、ステップS110に移行す
る。
【0043】前記ステップS110では、前記ステップ
S108で算出した左右後輪の予見制御力UpRL ,U
pRR と上記ステップS109で算出した遅延時間τR
を記憶装置44dに形成したシフトレジスタ領域の先頭
位置に格納するとともに、前回までに格納されている左
右後輪の予見制御力UpRL ,UpRR および遅延時間τR
とを順次シフトして、ステップS111に移行する。こ
のとき、遅延時間τR についてはシフトする際に、各シ
フト位置の遅延時間τR からサンプリング時間T S を夫
々減算した値を新たな遅延時間τR として更新して格納
する。
【0044】前記ステップS111では、制御フラグF
が“1”であるか否かを判定し、制御フラグFが“1”
である場合にはステップS112に移行し、そうでない
場合にはステップS113に移行する。前記ステップS
113では、シフトレジスタ領域に格納されている最古
すなわち遅延時間τR が零となった左右後輪の予見制御
力UpRL ,UpRR を読出し、且つ読出した最古の予見制
御力UpRL ,UpRR およびこれに対する遅延時間τR
シフトレジスタ領域から消去して、ステップS114に
移行する。
【0045】前記ステップS114では、前記ステップ
S113で読出された左右後輪の予見制御力UpRL ,U
pRR を用い、下記(10)式,(11)式に従って、圧
力制御弁20RL,20RRに対する油圧制御力URL
RRを算出して、ステップS115に移行する。 URL=UN +G・UpRL …………(10) URR=UN +G・UpRR …………(11) ここで、UN は車高を目標車高に維持するために必要な
油圧制御力、Gは予見制御ゲインである。
【0046】一方、前記ステップS112では、記憶さ
れている遅延時間τR から本処理のサンプリング時間Δ
Tを減じた値(τR −ΔT)が零でないか否かを判定
し、この値(τR −ΔT)が零でない場合は前記ステッ
プS105に移行し、そうでない場合にはステップS1
16に移行する。前記ステップS116では、制御フラ
グFを“0”にリセットしてから前記ステップS113
に移行する。
【0047】また、前記ステップS105では、左右後
輪の油圧制御力URL,URRを、車高を目標車高に維持す
るために必要な値UN に設定して、ステップS117に
移行する。前記ステップS117では、制御フラグFを
“1”にセットして前記ステップS115に移行する。
【0048】前記ステップS115では、前記ステップ
S105又は前記ステップS114で算出した各圧力制
御弁20RL,20RRに対する制御力URL〜URRを、
圧力指令値として夫々D/A変換器45FL〜45RR
に出力してからタイマ割込処理を終了して、所定のメイ
ンプログラムに復帰する。次に、本実施例におけるサス
ペンションの予見制御装置の作用について説明する。
【0049】今、車両が平坦な良路を目標車高を維持し
て定速直進走行しているものとすると、この状態では、
車両が平坦な良路で目標車高を維持していることから、
左前輪11FL,右前輪11FRとも路面から浮上して
いないとされるために、車体側部材10に揺動を生じな
いので、各上下方向加速度センサ28FL,28FRの
加速度検出値ZGFL ,ZGFR およびストロークセンサ2
7FL,27FRのストローク検出値SFL,SFRは略零
となっており、これらが入力インターフェース回路44
aでディジタル値に変換されてマイクロコンピュータ4
4に入力される。
【0050】そして、この状態では、マイクロコンピュ
ータ44で所定サンプリング時間T S 毎に実行される図
10の処理において、左右前輪のストローク検出値
FL,S FRがともに最大値SMAX より小さいため、前記
ステップS104,S106を経てステップS107〜
S109に移行して、左右後輪の予見制御力UpRL ,U
pR R および遅延時間τR が算出される。更に、ステップ
S111で制御フラグFは後輪予見制御実施を示す
“0”であり、従ってステップS113〜S114で算
出出力された各油圧制御力URL,URRに従って、圧力制
御弁20RL,20RRに対して前記遅延時間τR 後に
予見制御が実行される。
【0051】すなわち、このように目標車高を維持しな
がら平坦な良路定速直進走行を継続している状態では、
上下加速度検出値ZGFL ,ZGFR およびストローク検出
値S FL,SFRが略零となることにより、ステップS10
7で導出される左右前輪のバネ上振動速度xFL’,
FR’が零となり、一方,ステップS108で算出され
る左右後輪の予見制御力UpRL ,UpRR も零となり、こ
のうち零の後輪予見制御力UpRL ,UpRR が順次、記憶
装置44dのシフトレジスタ領域にステップS109で
算出される前後輪間の遅延時間τR とともにステップS
110で格納され、これらがシフトする毎に遅延時間τ
R からサンプリング時間TS を減算した値が新たな遅延
時間τR として更新される。このため、ステップS11
1で制御フラグF=0であるからステップS113で読
出される予見制御力UpRL ,UpRR も零となっており、
前記ステップS114の処理において、前記(10)
式,(11)式の右辺第2項が全て零となることによ
り、各油圧制御力URL〜URRは目標車高値にのみ対応し
た中立圧制御力UN となり、これらが圧力指令値として
出力側インタフェース回路44bでD/A変換されて駆
動回路46RL〜46RRに出力される。
【0052】このため、駆動回路46RL,46RRで
制御力URL,URRに対応した指令電流iRL〜iRRに変換
されて各圧力制御弁20RL,20RRに供給される。
この結果、圧力制御弁20RL,20RRから目標車高
を維持するために必要な中立圧PCNが各油圧シリンダ1
8RL,18RRに出力され、これら油圧シリンダ18
RL,18RRで車体側部材10および後輪側部材14
RL,RR間のストロークを目標車高に維持する推力を
発生する。
【0053】この良路を定速走行している状態で、例え
ば前左右輪11FL,11FRが同時に、路面から浮上
しないで一過性の例えば凸部を通過する状態となると、
前左右輪の凸部乗り上げによるバウンドによって車体側
部材10に上方向の加速度が発生し、これが前左右輪の
上下方向加速度センサ28FL,28FRで検出され、
同時に前左右輪のバウンドに伴うストロークがストロー
クセンサ27FL,27FRで検出される。
【0054】このため、マイクロコンピュータ44で所
定サンプリング時間TS 毎に実行される図10の処理に
おいて、左右前輪のストローク検出値SFL,SFRがとも
に最大値SMAX より小さいため、前記ステップS10
4,S106を経てステップS107〜S109に移行
する。そして、ステップS107では前記上下方向加速
度センサ28FL,28FRからの上下方向加速度検出
値ZGFL ,ZGFR およびストロークセンサ27FL,2
7FRからのストローク検出値SFL,SFRに応じた路面
変位の微分値xOFL ’,xOFR ’が算出される。ステッ
プS108では前記路面変位の微分値xOFL ’,
OFR ’に応じた予見制御力UpRL ,UpRR が算出さ
れ、ステップS109では車速に応じた遅延時間τR
算出され、これらがステップS110で順次シフトされ
ながら記憶装置44dのシフトレジスタ領域に格納され
る。
【0055】ここで、前輪が凸部に乗り上げた時点で
は、遅延時間τR が零となった後輪予見制御力UpRL
pRR は零の状態を維持するので、後輪の油圧シリンダ
18RL,18RRでは目標車高を維持する推力を発生
させる状態が継続される。その後、前左右輪11FL,
11FRが路面凸部の頂部を通過し終わると、リバウン
ド状態となって車体側部材10に下方向の加速度を生じ
ることになり、マイクロコンピュータ44で図10の処
理が実行されるサンプリング時間TS 毎に、当該前輪側
の下降速度の変化を抑制する後輪予見制御力UpRL ,U
pRR が算出されて、この後輪予見制御力UpRL ,UpRR
が順次シフトされながら記憶装置44dのシフトレジス
タ領域に格納される。そして、この状態でも、遅延時間
τRが零となった後輪予見制御力UpRL ,UpRR は零の
状態を維持するので、後輪の油圧シリンダ18RL,1
8RRでは目標車高を維持する推力を発生させる状態が
継続される。
【0056】しかしながら、図10のステップS109
で算出される遅延時間τR が経過した時点からは、順
次、遅延時間τR だけ前、すなわち前述した前左右輪1
1FL,11FRが凸部を通過した時点の後輪側予見制
御力UpRL ,UpRR を読出し、これらに基づいてステッ
プS114で後輪の油圧制御力URL, RRを算出し、こ
れらを圧力指令値として圧力制御弁20RL,20RR
に出力する。
【0057】この結果、前輪11FL,11FRが凸部
乗り上げ開始時点から遅延時間τR分遅れた、後輪11
RL,11RRが凸部に乗り上げる時点から、後輪制御
力U RL, RRが中立圧制御力UN から減少する。これに
より、駆動回路46RL,46RRから出力される指令
電流iRLが中立電流iN より低下することに伴い、圧力
制御弁20RL,20RRから出力される制御圧PC
中立圧PCNより低下して、油圧シリンダ18RL,18
RRの推力が低下され、結果的に後左右輪側のストロー
クを減少させることが可能となる。これにより、後左右
輪11RL,11RRの凸部乗り上げによって車体側部
材10に生じる揺動を抑制する、所謂後輪予見制御を可
能とする。
【0058】このとき、前記(3)式および(4)式で
設定される後輪の予見制御力UpRL,UpRR は、前記
(8)式で示すように後輪側から車体に伝達される振動
入力を十分に相殺或いは抑制することができるので、良
好な乗心地が維持される。一方、前輪11FL,11F
Rの何れか一方例えば前左輪11FLのみが一過性の凸
部に乗り上げた場合には、左輪側の油圧シリンダ18R
Lについてのみ上記揺動抑制制御が行われ、凸部乗り上
げを生じない右輪側の油圧シリンダ18RRについて
は、中立圧を維持する制御が行われる。
【0059】また、前輪11FL、11FRが一過性の
凹部に落ち込んだときには、上記と逆の制御を行って車
体の揺動を抑制することができ、さらに一過性の凹凸に
限らず不整路面等の連続的な凹凸路面を走行する場合で
も前輪の挙動に応じて後輪を予見制御することができ
る。ところで、車両の上下動が激しく、例えば前左右輪
が同時に路面から浮上した場合には、ストロークセンサ
27FL,27FRで検出されるストロークSTFL,S
FRが最大値STMAX となる。
【0060】したがって、マイクロコンピュータ44で
所定サンプリング時間TS 毎に実行される図10の処理
において、左右前輪のストローク検出値SFL,SFRがと
もに最大値SMAX に等しくなるため、前記ステップS1
04からステップS105に移行して、ステップS10
5で算出された各油圧制御力URL,URRに従い、圧力制
御弁20RL,20RRに対して目標車高値にのみ対応
した中立圧制御力UNを出力する。
【0061】これにより、後輪11RL,11RRの予
見制御が中止されて、後輪のサスペンションは通常のス
トラット式サスペンションとして作動するため、前輪の
浮上により誤入力情報として得られる路面振動入力推定
値(路面変位の微分値xOFL’,xOFR ’)に基づいて
行われる予見制御の車体への不要な加振力の発生を回避
することができ、乗心地の低下を防止できる。なお、こ
の予見制御中止時には、前記ステップS117におい
て、制御フラグFが予見制御中止を示す“1”にセット
されている。
【0062】この状態から、前左右輪がともに路面に接
触して正確な入力情報が得られる状態に移行した場合に
は、左右前輪のストローク検出値SFL,SFRがともに最
大値SMAX より小さくなるため、前記ステップS10
4,S106を経てステップS107〜S109に移行
して、左右後輪の予見制御力UpRL ,UpRR および遅延
時間τR が算出される。そして、それらをステップS1
10で前記シフトレジスタ領域に格納更新する。
【0063】しかしながら、この時点で、前回の後輪予
見制御実施から予見制御中止に移行している間は、新た
な予見制御力UpRL ,UpRR および遅延時間τR が算出
・格納・更新されていないから,所謂古いデータが温存
されていることになる。従って、本処理のサンプリング
時間ΔTをn回繰り返して最新の遅延時間が経過しない
と、前記ステップS113では後輪予見制御に適した予
見制御力UpRL ,UpR R も遅延時間τR も読出せないこ
とになる。
【0064】そこで、前記ステップS111では、前記
ステップS117で立てた制御フラグF=1に基づいて
ステップS112に移行し、更新記憶されている最新の
遅延時間τR からサンプリング時間ΔTを減じた値(τ
R −ΔT)が零であるか否かを判定するが、少なくとも
この時点でこの値(τR −ΔT)が零でないとすると、
前記ステップS105に移行して後輪の予見制御を行わ
ない状態を継続する。なお、前記ステップS112で算
出される値(τR −ΔT)は記憶装置44dに一時的に
記憶しておき、次に行われる処理でこの値を読出して更
にサンプリング時間ΔTを減じて前記判定を行う。
【0065】やがて、前記経過時間の比較判定対象とな
る遅延時間τR が経過すると、前記ステップS112で
値(τR −ΔT)は零となってステップS116に移行
し、ここで制御フラグFを後輪予見制御実施を示す
“0”にリセットして、始めてステップS113,S1
14に移行して再度後輪の予見制御を実行する。この第
一実施例において、制御の対象となる制御車輪は後輪1
1RL,11RRであり、路面検出手段は前輪11F
L,11FRを経由して車体に入力される振動入力を、
ストローク並びに上下方向加速度として検出するから、
前記図10の処理のうち、ステップS102,S103
が請求項1に係る本発明の路面検出手段に相当し、以下
同様にステップS103が前輪状態検出手段に相当し、
ステップS107が制御車輪入力推定手段に相当し、ス
テップS104,S106が予見制御判定手段に相当
し、ステップS101,S108〜S115が予見制御
手段に相当し、ステップS105,S115が予見制御
中止手段に相当する。また、路面の凹凸の検出時は前輪
への振動入力時に相当し、予見距離は前後輪間のホイル
ベースに相当する。
【0066】なお、この第一実施例においては、前輪の
ストロークSTFL,STFRが最大値SMAX となって前輪
11FL,11FRが路面から浮上した時点で、直ちに
後輪の予見制御が中止されるが、この時点までの予見制
御力UpRL ,UpRR および遅延時間τR は後輪予見制御
にとって適性なものであるから、この時間から前記遅延
時間τR が経過するまでの間は後輪予見制御を継続でき
るようにすれば、車体の揺動がさらに安定する。次に、
本発明におけるサスペンションの予見制御装置の第二実
施例を図11,12に従って説明する。
【0067】この第二実施例は、前輪が地面から浮上し
たときには後輪の予見制御に係る制御ゲインを次第に低
下させ、浮上している前輪が地面に接触しはじめたとき
には前記予見制御に係る制御ゲインを次第に増大させる
ことによって、前輪浮上開始時点から遅延時間τR 後の
後輪が前輪浮上開始地点に到達した時から、後輪の予見
制御力を前記制御ゲインの変化に応じて次第に低下さ
せ、前輪接地開始時点から遅延時間τR 後の後輪が前輪
接地開始地点に到達した時から、後輪の予見制御力を前
記制御ゲインに応じて次第に増大させることにより、後
輪に対する予見制御を、前輪浮上開始時点から遅延時間
τR が経過するまでの間は通常の制御力で継続した後、
前輪浮上開始時点から遅延時間τR が経過した後は次第
に低下する制御力によって行い、前輪接地開始時点から
遅延時間τR が経過した後はこの低下した制御力に対し
て次第に増大する制御力により行う。これにより、通常
の制御力による予見制御の中止を行われるべき時(後輪
が前輪浮上開始地点に到達した時)に行い、予見制御力
の増大開始も行われるべき時(後輪が前輪接地開始地点
に到達した時)に行い、誤入力情報として得られる路面
振動入力推定値に従って後輪が予見制御される度合いを
低減し、後輪の予見制御実施状態から中止状態への移行
またはその逆方向への移行を円滑に行って、乗員に与え
る違和感を抑制しようとするものである。つまり、制御
ゲインの前記増減は、予見制御を行うべきか否かの重み
係数を増減操作することと等価であると考えればよい。
【0068】この第二実施例で適用される車両の構成並
びにサスペンションの予見制御装置12の構成は前記図
3に示す第一実施例とほぼ同様である。また、コントロ
ーラ30の構造的な構成も、前記図8に示す第一実施例
とほぼ同様である。そして、コントローラ30内のマイ
クロコンピュータ44で行われる処理の内容が異なる。
ここで、前記後輪路面入力として算出される路面範囲の
微分値xOF L ' ,xOFR ' 、遅延時間τR の演算処理、
後輪の油圧制御力URL,URRの算出についても第一実施
例と同様に行われるが、後輪の予見制御力UpRL ,U
pRR の算出方法が異なる。具体的に、後輪の予見制御力
pRL ,UpRR は下記の(3′)および(4′)式によ
り、制御ゲインに係る重み係数kを変化させることによ
り、前輪の路面との接触状態に応じた値として算出す
る。
【0069】 UpRL =−k〔Cp +{1/(ω1 +s)}Kp 〕xOFL ' ………(3′) UpRR =−k〔Cp +{1/(ω1 +s)}Kp 〕xOFR ' ………(4′) したがって、演算処理装置44cは、後述する図11の
処理を実行して、所定サンプリング時間TS (例えば2
0msec)毎に、車速検出値V、ストローク検出値SFL
FR、および上下方向加速度検出値ZGFL ,ZGFR を読
込み、ストローク検出値SFL,SFRが予め設定されたス
トロークの最大値SMAX より小さい場合には、ストロー
ク検出値SFL,SFRおよび上下方向加速度検出値
GFL ,ZGFRから、後輪11RL,11RRに入力さ
れるであろう後輪振動入力推定値として路面変位の微分
値xOFL ' ,xOFR ' を算出し、この路面変位の微分値
OFL ',xOFR ' に基づいて予見制御力UpRL ,U
pRR を重み係数k=1として算出すると共に、車速検出
値Vに基づいて前後輪間の遅延時間τR を算出し、この
遅延時間τR が零となった予見制御力UpRL ,UpRR
基づいて後輪側圧力制御弁20RL,20RRを制御す
る後輪予見制御を通常の制御力により行うが、ストロー
ク検出値SFL,SFRが予め設定されたストロークの最大
値SMAX に等しくなった場合には、前記重み係数kを所
定量Δkだけ前回値より小さくして重み係数kを低下さ
せることによって予見制御力UpRL ,UpRR を次第に小
さくし、重み係数k=0となれば実質的に前記後輪予見
制御が中止され、当該後輪用サスペンションを通常のス
トラッド式サスペンションとして作動させる。そして、
再びストローク検出値SFL,SFRが予め設定されたスト
ロークの最大値SMAX より小さくなった場合には、前記
重み係数kを所定量Δkだけ前回値より大きくして予見
制御力UpRL ,UpRR を次第に大きくし、重み係数k=
1となれば通常の制御力による後輪予見制御が行われ
る。
【0070】ここで、図11の処理は所定サンプリング
時間TS (例えば20msec)毎のタイマ割込処理として
実行され、先ず、ステップS201で、現在の車速セン
サ26の車速検出値Vを読込み、次いでステップS20
2に移行して、上下方向加速度センサ28FL,28F
Rからの上下方向加速度検出値ZGFL ,ZGFR を読込
み、次いでステップS203に移行して、ストロークセ
ンサ27FL,27FRからのストローク検出値SFL
FRを読込む。
【0071】次にステップS204に移行して、左前輪
側の前記ストローク検出値SFLが予め記憶装置44dに
記憶されたストローク最大値SMAX に等しいかどうかを
判定して、等しい場合にはステップS205に移行し、
等しくない場合にはステップS206に移行する。前記
ステップS206では、右前輪側のストローク検出値S
FRが前記ストローク最大値SMAX に等しいかどうかを判
定して、等しい場合には前記ステップS205に移行
し、等しくない場合にはステップS207に移行する。
【0072】前記ステップS207では、前回の重み係
数kに所定値Δkを加算した値を今回の重み係数kとし
て設定して、ステップS208に移行する。前記ステッ
プS208では、前記ステップS207で更新設定され
た重み係数kが1より大きいかどうか判定して、この重
み係数kが1より大きい場合はステップS209に移行
し、そうでない場合にはステップS210に移行する。
【0073】前記ステップS209では、重み係数kを
1に設定し、これを今回の重み係数kとして設定して、
ステップS211に移行する。前記ステップS210で
は、重み係数kを前記ステップS207で算出設定され
た値に設定して、前記ステップS211に移行する。一
方、前記ステップS205では、前回の重み係数kから
所定値Δkを減算した値を今回の重み係数kとして設定
して、ステップS212に移行する。
【0074】前記ステップS212では、前記ステップ
S205で更新設定された重み係数kが0より小さいか
どうか判定して、この重み係数kが0より小さい場合は
ステップS213に移行し、そうでない場合にはステッ
プS214に移行する。前記ステップS213では、重
み係数kを0に設定し、これを今回の重み係数kとして
設定して、前記ステップS211に移行する。
【0075】前記ステップS214では、重み係数kを
前記ステップS205で算出設定された値に設定して、
前記ステップS211に移行する。そして、前記ステッ
プS211では、前記ストローク検出値SFL,SFRを前
記ディジタルハイパスフィルタ処理等により微分して得
たストローク速度SVFL ,SVFR と、左右前輪の上下方
向加速度検出値ZGFL ,ZGFR を前記ディジタルローパ
スフィルタ処理等により積分して得た左右前輪のバネ上
振動速度xFL’,x FR’とから、路面からの後輪振動入
力推定値として路面変位の微分値xOFL ’,xOFR ’を
算出する。
【0076】次にステップS216に移行して、前記ス
テップS211で算出された前記路面変位の微分値x
OFL ’,xOFR ’と、前記ステップS209,S21
0,S213,およびS214のいずれかで設定された
重み係数kとを用い、前記(3′)式および(4′)式
に従って左右後輪の予見制御力UpRL ,UpRR を算出し
て、ステップS217に移行する。
【0077】前記ステップS217では、前記車速検出
値Vを用い、前記(9)式に従って遅延時間τR を算出
して、ステップS218に移行する。前記ステップS2
18では、前記ステップS216で算出した左右後輪の
予見制御力UpRL ,UpRR と上記ステップS217で算
出した遅延時間τR とを記憶装置44dに形成したシフ
トレジスタ領域の先頭位置に格納すると共に、前回まで
に格納されている左右後輪の予見制御力UpRL ,UpRR
および遅延時間τR とを順次シフトして、ステップS2
19に移行する。このとき、遅延時間τR についてはシ
フトする際に、各シフト位置の遅延時間τR からサンプ
リング時間TSを夫々減算した値を新たな遅延時間τR
として更新して格納する。
【0078】前記ステップS219では、シフトレジス
タ領域に格納されている最古すなわち遅延時間τR が零
となった左右後輪の予見制御力UpRL ,UpRR を読出
し、且つ読出した最古の予見制御力UpRL ,UpRR およ
びこれに対する遅延時間τR をシフトレジスタ領域から
消去して、ステップS220に移行する。前記ステップ
S220では、前記ステップS219で読出された左右
後輪の予見制御力UpRL ,UpRR を用い、前記(10)
式〜(11)式に従って、圧力制御弁20RL,20R
Rに対する油圧制御力URL,URRを算出して、ステップ
S221に移行する。
【0079】前記ステップS221では、前記ステップ
S220で算出した各圧力制御弁20RL,20RRに
対する制御力URL〜URRを、圧力指令値として夫々D/
A変換器45FL〜45RRに出力してからタイマ割込
処理を終了して、所定のメインプログラムに復帰する。
次に、この第二実施例におけるサスペンションの予見制
御装置の作用について説明する。
【0080】今、車両が平坦な良路を目標車高を維持し
て定速直進走行しているものとすると、この状態では、
車両が平坦な良路で目標車高を維持していることから、
左前輪11FL,右前輪11FRとも地面から浮上して
いないとされるために、車体側部材10に揺動を生じな
いので、各上下方向加速度センサ28FL,28FRの
加速度検出値ZGFL ,ZGFR およびストロークセンサ2
7FL,27FRのストローク検出値SFL,SFRは略零
となっており、これらが入力インターフェース回路44
aでディジタル値に変換されてマイクロコンピュータ4
4に入力される。
【0081】この状態では、マイクロコンピュータ44
で所定サンプリング時間TS 毎に実行される図11の処
理において、左右前輪のストローク検出値SFL,SFR
ともに最大値SMAX より小さいため、前記ステップS2
04,S206を経てステップS207において重み係
数kが更新される。ここで、前回の重み係数kは1であ
ると仮定できるため、今回の重み係数kはステップS2
08でk>1と判定されてステップS209でk=1が
更新記憶される。そして、ステップS211,S216
〜S217を経て、左右後輪の予見制御力UpRL ,U
pRR および遅延時間τR が算出され、ステップS219
〜S221で算出出力された各油圧制御力URL,URR
従って、圧力制御弁20RL,20RRに対して前記遅
延時間τR後に予見制御が実行される。
【0082】即ち、このように目標車高を維持しながら
平坦な良路定速直進走行を継続している状態では、上下
加速度検出値ZGFL ,ZGFR およびストローク検出値S
FL,SFRが略零となることにより、ステップS211で
導出される左右前輪のバネ上振動速度xFL’,xFR’が
零となり、一方,ステップS216で算出される左右後
輪の予見制御力UpRL ,UpRR も零となり、このうち零
の後輪予見制御力UpR L ,UpRR が順次、記憶装置44
dのシフトレジスタ領域にステップS217で算出され
る前後輪間の遅延時間τR と共にステップS218で格
納され、これらがシフトする毎に遅延時間τR からサン
プリング時間TS を減算した値が新たな遅延時間τR
して更新される。このため、ステップS219で読出さ
れる予見制御力UpRL ,UpRR も零となっており、前記
ステップS220の処理において、前記(10)式,
(11)式の右辺第2項が全て零となることにより、各
油圧制御力URL〜URRは目標車高値にのみ対応した中立
圧制御力UN となり、これらが圧力指令値として出力側
インタフェース回路44bでD/A変換されて駆動回路
46RL〜46RRに出力される。
【0083】このため、駆動回路46RL,46RRで
制御力URL,URRに対応した指令電流iRL〜iRRに変換
されて各圧力制御弁20RL,20RRに供給される。
この結果、圧力制御弁20RL,20RRから目標車高
を維持するために必要な中立圧PCNが各油圧シリンダ1
8RL,18RRに出力され、これら油圧シリンダ18
RL,18RRで車体側部材10および後輪側部材14
RL,14RR間のストロークを目標車高に維持する推
力を発生する。
【0084】この良路を定速走行している状態で、例え
ば前左右輪11FL,11FRが同時に、地面から浮上
することなく一過性の例えば凸部を通過する状態となる
と、前左右輪の凸部乗り上げによるバウンドによって車
体側部材10に上方向の加速度が発生し、これが前左右
輪の上下方向加速度センサ28FL,28FRで検出さ
れ、同時に前左右輪のバウンドに伴うストロークがスト
ロークセンサ27FL,27FRで検出される。
【0085】このため、マイクロコンピュータ44で所
定サンプリング時間TS 毎に実行される図11の処理に
おいて、左右前輪のストローク検出値SFL,SFRがとも
に最大値SMAX より小さいため、前記ステップS20
4,S206を経てステップS207において重み係数
kが更新される。ここで、前回の重み係数kは1である
ため、ステップS208でk>1と判定されてステップ
S209でk=1が更新記憶される。
【0086】そして、ステップS211では前記上下方
向加速度センサ28FL,28FRからの上下方向加速
度検出値ZGFL ,ZGFR およびストロークセンサ27F
L,27FRからのストローク検出値SFL,SFRに応じ
た路面変位の微分値xOFL ’,xOFR ’が算出される。
ステップS216では、重み係数k=1であるため前記
路面変位の微分値xOFL ’,xOFR ’に応じた通常の予
見制御力UpRL ,UpR R が算出され、ステップS217
では車速に応じた遅延時間τR が算出され、これらがス
テップS218で順次シフトされながら記憶装置44d
のシフトレジスタ領域に格納される。
【0087】ここで、前輪が凸部に乗り上げた時点で
は、遅延時間τR が零となった後輪予見制御力UpRL
pRR は零の状態を維持するので、後輪の油圧シリンダ
18RL,18RRでは目標車高を維持する推力を発生
させる状態が継続される。その後、前左右輪11FL,
11FRが路面凸部の頂部を通過し終わると、リバウン
ド状態となって車体側部材10に下方向の加速度を生じ
ることになり、マイクロコンピュータ44で図11の処
理が実行されるサンプリング時間TS 毎に、当該前輪側
の下降速度の変化を抑制する後輪予見制御力UpRL ,U
pRR が算出されて、この後輪予見制御力UpRL ,UpRR
が順次シフトされながら記憶装置44dのシフトレジス
タ領域に格納される。そして、この状態でも、遅延時間
τRが零となった後輪予見制御力UpRL ,UpRR は零の
状態を維持するので、後輪の油圧シリンダ18RL,1
8RRでは目標車高を維持する推力を発生させる状態が
継続される。
【0088】しかしながら、図11のステップS217
で算出される遅延時間τR が経過した時点からは、順
次、遅延時間τR だけ前、即ち前述した前左右輪11F
L,11FRが凸部を通過した時点の後輪側予見制御力
pRL ,UpRR を読出し、これらに基づいてステップS
220で後輪の油圧制御力URL, RRを算出し、これら
を圧力指令値として圧力制御弁20RL,20RRに出
力する。
【0089】この結果、前輪11FL,11FRが凸部
乗り上げ開始時点から遅延時間τR分遅れた、後輪11
RL,11RRが凸部に乗り上げる時点から、後輪の油
圧制御力URL, RRが中立圧制御力UN から減少する。
これにより、駆動回路46RL,46RRから出力され
る指令電流iRLが中立電流iN より低下することに伴
い、圧力制御弁20RL,20RRから出力される制御
圧PC が中立圧PCNより低下して、油圧シリンダ18R
L,18RRの推力が低下され、結果的に後左右輪側の
ストロークを減少させることが可能となる。これによ
り、後左右輪11RL,11RRの凸部乗り上げによっ
て車体側部材10に生じる揺動を抑制する、所謂後輪予
見制御を可能とする。
【0090】このとき、前記(3′)式および(4′)
式で設定される後輪の予見制御力U pRL ,UpRR は、前
記(8)式で示すように後輪側から車体に伝達される振
動入力を十分に相殺或いは抑制することができるので、
良好な乗心地が維持される。一方、前輪11FL,11
FRの何れか一方例えば前左輪11FLのみが一過性の
凸部に乗り上げた場合には、左輪側の油圧シリンダ18
RLについてのみ上記揺動抑制制御が行われ、凸部乗り
上げを生じない右輪側の油圧シリンダ18RRについて
は、中立圧を維持する制御が行われる。
【0091】また、前輪11FL、11FRが一過性の
凹部に落ち込んだときには、上記と逆の制御を行って車
体の揺動を抑制することができ、さらに一過性の凹凸に
限らず不整路面等の連続的な凹凸路面を走行する場合で
も前輪の挙動に応じて後輪を予見制御することができ
る。ところで、車両の上下動が激しく、例えば前左右輪
が同時に路面から浮上した場合には、ストロークセンサ
27FL,27FRで検出されるストロークSTFL,S
FRが最大値STMAX となる。
【0092】したがって、マイクロコンピュータ44で
所定サンプリング時間TS 毎に実行される図11の処理
において、左右前輪のストローク検出値SFL,SFRがと
もに最大値SMAX に等しくなるため、前記ステップS2
04からステップS205に移行し、ステップS205
において重み係数kが更新される。ここで、前輪が浮上
し始めた初期段階では、前回の重み係数kから所定値Δ
kを減算した値が0より大きいため、ステップS205
で設定された重み係数k(0<k<1)がステップS2
14で記憶装置44dに更新記録される。
【0093】そして、前記と同様にして、ステップS2
11,S216〜S217で左右後輪の予見制御力U
pRL ,UpRR および遅延時間τR が算出され、ステップ
S218でこれらが前記シフトレジスタ領域に格納更新
されるが、ステップS216で算出された予見制御力U
pRL ,UpRR は、重み係数kが0<k<1であるため通
常の制御力より小さな値として算出される。
【0094】一方、このように前輪が浮上すると、ステ
ップS211で算出される路面変位の微分値xOFL ' ,
OFR ' は極端に負の方向に大きな値となるから、未だ
重み係数kが“1”に近いサンプリング時刻では、ステ
ップS216で算出される予見制御力UpRL ,UpRR
大きな正の値となる。その後、前輪の浮上が継続する
と、サンプリング時刻毎に予見制御力UpRL ,UpRR
次第に小さくなると考えられる。
【0095】前輪の浮上が開始した時点では、ステップ
S219で読み込まれる遅延時間τ R が0となった予見
制御力UpRL ,UpRR は、通常の制御力として算出され
たものであるため、この予見制御力UpRL ,UpRR によ
りステップS220で算出された油圧制御力URL,URR
により、前述の通常の制御力による後輪予見制御が継続
される。そして、この時点では、前述のように予見制御
力UpRL ,UpRR は大きな正の値であるから、油圧制御
力URL,URRも大きな正の値となる。
【0096】前記前輪浮上開始時点から前輪の浮上が継
続している間は、この時刻から遅延時間τR が経過した
後にステップS219で読み込まれる予見制御力
pRL ,U pRR は、サンプリング時刻毎に次第に小さな
正の値へと変化し、この予見制御力UpRL ,UpRR によ
り、ステップS220で前記前輪浮上前より次第に前記
中立制御力UN に近い油圧制御力URL,URRが算出され
る。これにより、前述のような、駆動回路46RL,4
6RR、圧力制御弁20RL,20RRを介して後輪の
油圧シリンダ18RL,18RRに対してなされる推力
は次第にその低下度合いが減少し、その結果、後左右輪
11RL,11RRに対して前左右輪浮上前より次第に
弱い予見制御がなされる。
【0097】ここで、前左右輪の浮上状態が続く限り、
重み係数kは所定値Δkずつ小さくなっていくため、ス
テップS205で算出される重み係数kは次第に小さく
なり、いずれは重み係数kが0に設定されてステップS
216で算出される予見制御力UpRL ,UpRR も0にな
る。そして、予見制御力UpRL ,UpRR が0として算出
された時点から遅延時間τR が経過した後に、ステップ
S219で読み込まれる予見制御力UpRL ,UpRR が0
となり、この時点で予見制御が中止され、第一実施例の
ように、後左右輪のサスペンションは通常のストラット
式サスペンションとして作動する。
【0098】この状態から、前左右輪が同時に路面に接
触して正確な入力情報が得られる状態に移行した場合に
は、左右前輪のストローク検出値SFL,SFRがともに最
大値SMAX より小さくなるため、前記ステップS20
4,S206を経てステップS207において重み係数
kが更新される。ここで、前左右輪が路面に接触した時
点からしばらくの間は、前回の重み係数kは1より小さ
いため、ステップS207で更新された重み係数kの値
は0より大きく1より小さい範囲で増大し、ステップS
210で記憶装置44dに更新記録される。
【0099】ここで、前輪の接地開始時点では、ステッ
プS219で読み込まれる遅延時間τR が0となった予
見制御力UpRL ,UpRR は、通常の制御力より小さな制
御力として算出されたものであるため、この予見制御力
pRL ,UpRR によりステップS220で算出された油
圧制御力UpRL ,UpRR により、前述の通常の制御力よ
り次第に小さくなる制御力による後輪予見制御が継続さ
れる。
【0100】そして、前記前輪接地開始時点から遅延時
間τR が経過した後に、ステップS219で、前記前輪
接地開始時点においてステップS216で前回の制御力
より大きな値として算出された予見制御力UpRL ,U
pRR が読み込まれ、この予見制御力UpRL ,UpRR によ
り、ステップS220で、この前左右輪接地前より小さ
な油圧制御力URL,URRが算出される。これにより、前
述のような、駆動回路46RL,46RR、圧力制御弁
20RL,20RRを介して後輪の油圧シリンダ18R
L,18RRに対してなされる推力はその低下度合いが
次第に増大し、その結果、後左右輪11RL,11RR
に対して次第に強くなる予見制御がなされる。
【0101】ここで、前左右輪が再び浮上しない限り重
み係数kは所定値Δkずつ大きくなるため、いずれは重
み係数kが1に設定されて、ステップS216で算出さ
れる予見制御力UpRL ,UpRR は通常の制御力となり、
その時点から遅延時間τR だけ経過後に通常の制御力に
よる予見制御がなされる。ここで、前記図11の処理に
おいて設定される重み係数kの、前輪の路面との接触状
態の変化に伴う変化の一例を図12に示す。この例にお
いて、時刻0から最初に前輪が路面から浮上した状態と
なる時刻t1 までの間は、前輪が路面と接触した状態で
走行しているため重み係数kが1となり、時刻t1 から
再び前輪が路面に接触する時刻t2 までの間は、重み係
数kが次第に小さくなって時刻t2で例えば0.5とな
る。そして、時刻t3 で再び前輪が路面から浮上した状
態となるが、時刻t2 で0.5であった重み係数kは時
刻t23(t2 <t23<t3 )までの間に次第に大きくな
って1となり、時刻t23から時刻t3 までの間k=1が
継続され、時刻t3 から次第に小さくなって時刻t4
0となる。そして、再び前輪が路面に接触する時刻t5
までの間k=0が継続され、時刻t5 で0であった重み
係数kが時刻t6 までの間に次第に大きくなって1とな
り、次に前輪が路面から浮上した状態となるまでの間k
=1が継続される。
【0102】したがって、この例の場合には、後輪が前
輪の浮上地点に到達するまで(時刻:(t1 +τR ))
までは通常の制御力で後輪の予見制御がなされ、その後
後輪が前輪の接地地点に到達するまで(時刻:(t2
τR ))は、時間とともに通常より次第に弱くなる制御
力で後輪の予見制御がなされる。その後時刻(t23+τ
R )までは予見制御力が通常の制御力まで次第に増加し
て、その後後輪が前輪の次の浮上地点に到達する時刻
(t3 +τR )までは再び通常の制御力で後輪の予見制
御がなされる。その後予見制御力が次第に減少して時刻
(t4 +τR )で後輪の予見制御が中止され、後輪が前
輪の次の接地地点に到達する時刻(t5 +τR )後輪の
予見制御がなされない。その後時刻(t6 +τR )まで
は予見制御力が通常の制御力となるまで次第に増加し
て、これ以降は通常の制御力で後輪の予見制御が行われ
る。
【0103】これにより、後輪予見制御の中止および復
帰が必要な時にしかも次第に行われるため、前輪が路面
から浮上した場合に、誤入力情報として得られる路面振
動入力推定値に従って予見制御される度合いが低減され
るとともに、後輪の予見制御実施状態から中止状態への
移行またはその逆方向への移行が円滑に行われるため、
乗員に与える違和感が抑制される。
【0104】この第二実施例において、制御の対象とな
る制御車輪は後輪11RL,11RRであり、路面検出
手段は前輪11FL,11FRを経由して車体に入力さ
れる振動入力を、ストローク並びに上下方向加速度とし
て検出するから、前記図11の処理のうち、ステップS
202,S203が請求項2に係る本発明の路面検出手
段に相当し、以下同様にステップS203が前輪状態検
出手段に相当し、ステップS211が制御車輪入力推定
手段に相当し、ステップS201,S216〜S221
が予見制御手段に相当し、ステップS204〜S21
0,S212〜S214がゲイン変更手段に相当する。
また、路面の凹凸の検出時は前輪への振動入力時に相当
し、予見距離は前後輪間のホイルベースに相当する。
【0105】次に、本発明におけるサスペンションの予
見制御装置の第三実施例を図13〜17に従って説明す
る。この第三実施例は、前記第一実施例と同様に、前輪
側で路面の凹凸を検出し、その検出値により後輪のサス
ペンションを能動的に予見制御し、前輪が路面から浮上
したときには後輪の予見制御を中止することにより、誤
情報入力に基づく予見制御に伴う乗り心地低下を避ける
ものであるが、図13に示すように、前左右輪の輪荷重
を検出する荷重センサを配設して、前左輪および/また
は前右輪の浮上の判断を輪荷重0の検出により行う点で
異なる。
【0106】図14は、この第三実施例の概略構成図で
ある。この図から分かるように、この第三実施例で適用
される車両の構成並びにサスペンションの予見制御装置
12の構成は、前記図3に示す第一実施例とほぼ同様で
あるが、図3の構成に加えて前左右輪に輪荷重センサ2
9FL,29FRを配設している。この輪荷重センサ2
9FL,29FRは、前左右輪のサスペンションにかか
る負荷を例えば各サスペンションと車体との間に設けた
荷重計により検出し、この負荷検出値を輪荷重に変換
し、図15に示すように、この変換された輪荷重の値に
応じたアナログ電圧が輪荷重検出値JFL,JFRとして出
力されるように構成されている。したがって、輪荷重検
出値JFL,JFRは常に0以上の値として出力され、車輪
の浮上時には輪荷重検出値JFL,JFRが0として出力さ
れる。
【0107】図16に示すように、コントローラ30の
構造的な構成は、前記図8に示す第一実施例とほぼ同様
であるが、マイクロコンピュータ44の入力インターフ
ェース回路44bには、車速センサ26からの車速検出
値V、ストロークセンサ27FL,27FRからのスト
ローク検出値SFL,SFR、上下方向加速度センサ28F
L,28FRからの上下方向加速度検出値ZGFL ,Z
GFR とともに、輪荷重センサ29FL,29FRからの
輪荷重検出値JFL,JFRが入力される。
【0108】また、演算処理装置44cは、後述する図
17の処理を実行して、所定サンプリング時間TS (例
えば20msec)毎に、車速検出値V、ストローク検出値
FL,SFR、上下方向加速度検出値ZGFL ,ZGFR 、お
よび輪荷重検出値JFL,JFRを読込み、輪荷重検出値J
FL,JFRが0でない場合には、ストローク検出値SFL
FR及び上下方向加速度検出値ZGFL ,ZGFR から、後
輪11RL,11RRに入力されるであろう後輪振動入
力推定値として路面変位の微分値xOFL ' 及びxOFR '
を算出し、この路面変位の微分値xOFL ' 及びxOFR '
に基づいて予見制御力UpRL 及びUpRR を算出すると共
に、車速検出値Vに基づいて前後輪間の遅延時間τR
算出し、この遅延時間τR が零となった予見制御力U
pRL 及びU pRR に基づいて後輪側圧力制御弁20RL及
び20RRを制御する後輪予見制御を行い、輪荷重検出
値JFL,JFRが0となった場合には、前記後輪予見制御
を中止し、当該後輪用サスペンションを通常のストラッ
ド式サスペンションとして作動させる。
【0109】ここで、図17の処理は所定サンプリング
時間TS (例えば20msec)毎のタイマ割込処理として
実行される。この処理において、制御フラグFは後輪の
予見制御が実施から中止に移行中であることを意味し、
フラグF=1で予見制御中止、F=0で予見制御実施を
夫々実行する。先ず、ステップS301で、現在の車速
センサ26の車速検出値Vを読込み、次いでステップS
302に移行して、上下方向加速度センサ28FL,2
8FRからの上下方向加速度検出値ZGFL ,ZGFR を読
込み、次いでステップS303に移行して、ストローク
センサ27FL,27FRからのストローク検出値
FL,SFRを読込み、次いでステップS304に移行し
て、輪荷重センサ29FL,29FRからの輪荷重検出
値JFL,JFRを読み込む。
【0110】次にステップS305に移行して、前左輪
側の前記輪荷重検出値JFLが0に等しいかどうかを判定
して、等しい場合にはステップS306に移行し、等し
くない場合にはステップS307に移行する。前記ステ
ップS307では、前右輪側の前記輪荷重検出値JFR
0に等しいかどうかを判定して、等しい場合には前記ス
テップS306に移行し、等しくない場合にはステップ
S308に移行する。
【0111】前記ステップS308では、前記ストロー
ク検出値SFL,SFRを前記ディジタルハイパスフィルタ
処理等により微分して得たストローク速度SVFL ,S
VFR と、左右前輪の上下方向加速度検出値ZGFL ,Z
GFR を前記ディジタルローパスフィルタ処理等により積
分して得た左右前輪のバネ上振動速度xFL’,xFR’と
から、路面からの後輪振動入力推定値として路面変位の
微分値xOFL ’,xOFR ’を算出する。
【0112】次にステップS309に移行して、前記ス
テップS308で算出された前記路面変位の微分値x
OFL ’及びxOFR ’を用い、前記(3)式および(4)
式に従って左右後輪の予見制御力UpRL ,UpRR を算出
して、ステップS310に移行する。前記ステップS3
10では、前記車速検出値Vを用い、前記(9)式に従
って遅延時間τR を算出して、ステップS311に移行
する。
【0113】前記ステップS311では、前記ステップ
S309で算出した左右後輪の予見制御力UpRL ,U
pRR と上記ステップS310で算出した遅延時間τR
を記憶装置44dに形成したシフトレジスタ領域の先頭
位置に格納すると共に、前回までに格納されている左右
後輪の予見制御力UpRL ,UpRR 及び遅延時間τR とを
順次シフトして、ステップS312に移行する。このと
き、遅延時間τR についてはシフトする際に、各シフト
位置の遅延時間τR からサンプリング時間TS を夫々減
算した値を新たな遅延時間τR として更新して格納す
る。
【0114】前記ステップS312では、制御フラグF
が“1”であるか否かを判定し、制御フラグFが“1”
である場合にはステップS313に移行し、そうでない
場合にはステップS314に移行する。前記ステップS
314では、シフトレジスタ領域に格納されている最古
すなわち遅延時間τR が零となった左右後輪の予見制御
力UpRL ,UpRR を読出し、且つ読出した最古の予見制
御力UpRL ,UpRR 及びこれに対する遅延時間τR をシ
フトレジスタ領域から消去して、ステップS315に移
行する。
【0115】前記ステップS315では、前記ステップ
S314で読出された左右後輪の予見制御力UpRL ,U
pRR を用い、前記(10)式〜(11)式に従って、圧
力制御弁20RL,20RRに対する油圧制御力URL
RRを算出して、ステップS316に移行する。一方、
前記ステップS313では、記憶されている遅延時間τ
R から本処理のサンプリング時間ΔTを減じた値(τR
−ΔT)が零でないか否かを判定し、この値(τR −Δ
T)が零でない場合は前記ステップS306に移行し、
そうでない場合にはステップS317に移行する。
【0116】前記ステップS317では、制御フラグF
を“0”にリセットしてから前記ステップS314に移
行する。また、前記ステップS306では、左右後輪の
油圧制御力URL,URRを、車高を目標車高に維持するた
めに必要な値UN に設定して、ステップS318に移行
する。
【0117】前記ステップS318では、制御フラグF
を“1”にセットして前記ステップS316に移行す
る。前記ステップS316では、前記ステップS306
又は前記ステップS315で算出した各圧力制御弁20
RL,20RRに対する制御力URL〜URRを、圧力指令
値として夫々D/A変換器45FL〜45RRに出力し
てからタイマ割込処理を終了して、所定のメインプログ
ラムに復帰する。
【0118】次に、この第三実施例におけるサスペンシ
ョンの予見制御装置の作用について説明する。今、車両
が平坦な良路を目標車高を維持して定速直進走行してい
るものとすると、この状態では、車両が平坦な良路で目
標車高を維持していることから、前左輪11FL,前右
輪11FRとも路面から浮上していないとされるため
に、車体側部材10に揺動を生じないので、各上下方向
加速度センサ28FL,28FRの加速度検出値
GFL ,ZGFR 及びストロークセンサ27FL,27F
Rのストローク検出値SFL,SFRは略零に、輪荷重セン
サ29FL,29FRからの輪荷重検出値JFL,JFR
0より大きくなっており、これらが入力インターフェー
ス回路44aでディジタル値に変換されてマイクロコン
ピュータ44に入力される。
【0119】そして、この状態では、マイクロコンピュ
ータ44で所定サンプリング時間T S 毎に実行される図
17の処理において、前左右輪側の各輪荷重検出値
FL,J FRがともに0より大きいため、前記ステップS
305,S307を経てステップS308〜S310に
移行して、左右後輪の予見制御力UpRL ,UpRR 及び遅
延時間τR が算出される。更に、ステップS312で制
御フラグFは後輪予見制御実施を示す“0”であり、従
ってステップS314〜S315で算出出力された各油
圧制御力URL,URRに従って、圧力制御弁20RL,2
0RRに対して前記遅延時間τR 後に予見制御が実行さ
れる。
【0120】即ち、このように目標車高を維持しながら
平坦な良路定速直進走行を継続している状態では、上下
加速度検出値ZGFL ,ZGFR 及びストローク検出値
FL,S FRが略零となることにより、ステップS308
で導出される左右前輪のバネ上振動速度xFL’,xFR
が零となり、一方,ステップS309で算出される左右
後輪の予見制御力UpRL ,UpRR も零となり、このうち
零の後輪予見制御力UpRL,UpRR が順次、記憶装置4
4dのシフトレジスタ領域にステップS310で算出さ
れる前後輪間の遅延時間τR と共にステップS311で
格納され、これらがシフトする毎に遅延時間τR からサ
ンプリング時間TS を減算した値が新たな遅延時間τR
として更新される。このため、ステップS312で制御
フラグF=0であるからステップS314で読出される
予見制御力UpRL ,UpRR も零となっており、前記ステ
ップS315の処理において、前記(10)式,(1
1)式の右辺第2項が全て零となることにより、各油圧
制御力URL〜URRは目標車高値にのみ対応した中立圧制
御力UN となり、これらが圧力指令値として出力側イン
タフェース回路44bでD/A変換されて駆動回路46
RL〜46RRに出力される。
【0121】このため、駆動回路46RL,46RRで
制御力URL,URRに対応した指令電流iRL〜iRRに変換
されて各圧力制御弁20RL,20RRに供給される。
この結果、圧力制御弁20RL,20RRから目標車高
を維持するために必要な中立圧PCNが各油圧シリンダ1
8RL,18RRに出力され、これら油圧シリンダ18
RL,18RRで車体側部材10及び後輪側部材14R
L,14RR間のストロークを目標車高に維持する推力
を発生する。
【0122】この良路を定速走行している状態で、例え
ば前左右輪11FL及び11FRが同時に、路面から浮
上しないで一過性の例えば凸部を通過する状態となる
と、前左右輪の凸部乗り上げによるバウンドによって車
体側部材10に上方向の加速度が発生し、これが前左右
輪の上下方向加速度センサ28FL,28FRで検出さ
れ、同時に前左右輪のバウンドに伴うストロークがスト
ロークセンサ27FL,27FRで検出され、同時に前
左右輪のバウンドに伴い増大した輪荷重が輪荷重センサ
29FL,29FRで検出される。
【0123】このため、マイクロコンピュータ44で所
定サンプリング時間TS 毎に実行される図17の処理に
おいて、左右前輪の輪荷重検出値JFL,JFRがともに0
より大きいため、前記ステップS305,S307を経
てステップS308〜S310に移行する。そして、ス
テップS308では前記上下方向加速度センサ28F
L,28FRからの上下方向加速度検出値ZGFL ,Z
GFR 及びストロークセンサ27FL,27FRからのス
トローク検出値SFL,SFRに応じた路面変位の微分値x
OFL ’及びxOFR ’が算出される。ステップS309で
は前記路面変位の微分値xOFL ’及びxOFR ’に応じた
予見制御力UpRL ,UpRR が算出され、ステップS31
0では車速に応じた遅延時間τR が算出され、これらが
ステップS311で順次シフトされながら記憶装置44
dのシフトレジスタ領域に格納される。
【0124】ここで、前輪が凸部に乗り上げた時点で
は、遅延時間τR が零となった後輪予見制御力UpRL
pRR は零の状態を維持するので、後輪の油圧シリンダ
18RL,18RRでは目標車高を維持する推力を発生
させる状態が継続される。その後、前左右輪11FL,
11FRが路面凸部の頂部を通過し終わると、リバウン
ド状態となって車体側部材10に下方向の加速度を生じ
ることになり、マイクロコンピュータ44で図17の処
理が実行されるサンプリング時間TS 毎に、当該前輪側
の下降速度の変化を抑制する後輪予見制御力UpRL ,U
pRR が算出されて、この後輪予見制御力UpRL ,UpRR
が順次シフトされながら記憶装置44dのシフトレジス
タ領域に格納される。そして、この状態でも、遅延時間
τRが零となった後輪予見制御力UpRL ,UpRR は零の
状態を維持するので、後輪の油圧シリンダ18RL,1
8RRでは目標車高を維持する推力を発生させる状態が
継続される。
【0125】しかしながら、図17のステップS310
で算出される遅延時間τR が経過した時点からは、順
次、遅延時間τR だけ前、即ち前述した前左右輪11F
L,11FRが凸部を通過した時点の後輪側予見制御力
pRL ,UpRR を読出し、これらに基づいてステップS
315で後輪の油圧制御力URL, RRを算出し、これら
を圧力指令値として圧力制御弁20RL,20RRに出
力する。
【0126】この結果、前輪11FL,11FRが凸部
乗り上げ開始時点から遅延時間τR分遅れた、後輪11
RL,11RRが凸部に乗り上げる時点から、後輪制御
力U RL, RRが中立圧制御力UN から減少する。これに
より、駆動回路46RL,46RRから出力される指令
電流iRLが中立電流iN より低下することに伴い、圧力
制御弁20RL,20RRから出力される制御圧PC
中立圧PCNより低下して、油圧シリンダ18RL,18
RRの推力が低下され、結果的に後左右輪側のストロー
クを減少させることが可能となる。これにより、後左右
輪11RL,11RRの凸部乗り上げによって車体側部
材10に生じる揺動を抑制する、所謂後輪予見制御を可
能とする。
【0127】このとき、前記(3)式及び(4)式で設
定される後輪の予見制御力UpRL ,UpRR は、前記
(8)式で示すように後輪側から車体に伝達される振動
入力を十分に相殺或いは抑制することができるので、良
好な乗心地が維持される。一方、前輪11FL,11F
Rの何れか一方例えば前左輪11FLのみが一過性の凸
部に乗り上げた場合には、左輪側の油圧シリンダ18R
Lについてのみ上記揺動抑制制御が行われ、凸部乗り上
げを生じない右輪側の油圧シリンダ18RRについて
は、中立圧を維持する制御が行われる。
【0128】また、前輪11FL、11FRが一過性の
凹部に落ち込んだときには、上記と逆の制御を行って車
体の揺動を抑制することができ、さらに一過性の凹凸に
限らず不整路面等の連続的な凹凸路面を走行する場合で
も前輪の挙動に応じて後輪を予見制御することができ
る。ところで、車両の上下動が激しく、例えば前左右輪
が同時に路面から浮上した場合には、輪荷重センサ29
FL,29FRからの輪荷重検出値JFL,JFRが0とな
る。
【0129】したがって、マイクロコンピュータ44で
所定サンプリング時間TS 毎に実行される図17の処理
において、前左右輪の輪荷重検出値JFL,JFRがともに
0に等しくなるため、前記ステップS305からステッ
プS306に移行して、ステップS306で算出された
各油圧制御力URL,URRに従い、圧力制御弁20RL,
20RRに対して目標車高値にのみ対応した中立圧制御
力UN を出力する。
【0130】これにより、後輪11RL,11RRの予
見制御が中止されて、後輪のサスペンションはコンベン
ショナルサスペンションとして作動するため、前輪の浮
上により誤入力情報として得られる路面振動入力推定値
(路面変位の微分値xOFL ’及びxOFR ’)に基づいて
行われる予見制御の車体への不要な加振力の発生を回避
することができ、乗心地の低下を防止できる。なお、こ
の予見制御中止時には、前記ステップS318におい
て、制御フラグFが予見制御中止を示す“1”にセット
されている。
【0131】この状態から、前左右輪が共に路面に接触
して正確な入力情報が得られる状態に移行した場合に
は、前左右輪の輪荷重検出値JFL,JFRがともに0より
大きくなるため、前記ステップS305,S307を経
てステップS308〜S310に移行して、左右後輪の
予見制御力UpRL ,UpRR 及び遅延時間τR が算出され
る。そして、それらをステップS311で前記シフトレ
ジスタ領域に格納更新する。
【0132】しかしながら、この時点で、前回の後輪予
見制御実施から予見制御中止に移行している間は、新た
な予見制御力UpRL ,UpRR 及び遅延時間τR が算出・
格納・更新されていないから,所謂古いデータが温存さ
れていることになる。従って、本処理のサンプリング時
間ΔTをn回繰り返して最新の遅延時間が経過しない
と、前記ステップS314では後輪予見制御に適した予
見制御力UpRL ,UpRRも遅延時間τR も読出せないこ
とになる。
【0133】そこで、前記ステップS312では、前記
ステップS318で立てた制御フラグF=1に基づいて
ステップS313に移行し、更新記憶されている最新の
遅延時間τR からサンプリング時間ΔTを減じた値(τ
R −ΔT)が零であるか否かを判定するが、少なくとも
この時点でこの値(τR −ΔT)が零でないとすると、
前記ステップS306に移行して後輪の予見制御を行わ
ない状態を継続する。なお、前記ステップS313で算
出される値(τR −ΔT)は記憶装置44dに一時的に
記憶しておき、次に行われる処理でこの値を読出して更
にサンプリング時間ΔTを減じて前記判定を行う。
【0134】やがて、前記経過時間の比較判定対象とな
る遅延時間τR が経過すると、前記ステップS313で
値(τR −ΔT)は零となってステップS317に移行
し、ここで制御フラグFを後輪予見制御実施を示す
“0”にリセットして、始めてステップS314,S3
15に移行して再度後輪の予見制御を実行する。この第
三実施例において、制御の対象となる制御車輪は後輪1
1RL,11RRであり、路面検出手段は前輪11F
L,11FRを経由して車体に入力される振動入力を、
ストローク並びに上下方向加速度として検出するから、
前記図17の処理のうち、ステップS302,S303
が請求項1に係る本発明の路面検出手段に相当し、以下
同様にステップS304が前輪状態検出手段に相当し、
ステップS308が制御車輪入力推定手段に相当し、ス
テップS305,S307が予見制御判定手段に相当
し、ステップS301,S309〜S316が予見制御
手段に相当し、ステップS306,S316が予見制御
中止手段に相当する。また、路面の凹凸の検出時は前輪
への振動入力時に相当し、予見距離は前後輪間のホイル
ベースに相当する。
【0135】なお、この第三実施例においては、前左右
輪の輪荷重検出値JFL,JFRが0となって前輪11F
L,11FRが路面から浮上した時点で、直ちに後輪の
予見制御が中止されるが、この時点までの予見制御力U
pRL ,UpRR 及び遅延時間τRは後輪予見制御にとって
適性なものであるから、この時間から前記遅延時間τR
が経過するまでの間は後輪予見制御を継続できるように
すれば、車体の揺動がさらに安定する。
【0136】また、輪荷重センサ29FL,29FRに
おいて、前左右輪の各サスペンションにかかる負荷を検
出する検出器としては、前記荷重計の他に、各ショック
アブソーバ15FL,15FRのピストン移動を油圧の
増減により検出する歪み計、各コイルスプリング16に
発生する歪み量を検出する歪み計等が挙げられる。次
に、本発明におけるサスペンションの予見制御装置の第
四実施例を図17に従って説明する。
【0137】この第四実施例は、前記第二実施例と同様
に、前輪が地面から浮上したときには後輪の予見制御に
係る制御ゲインを次第に低下させ、浮上している前輪が
地面に接触しはじめたときには前記予見制御に係る制御
ゲインを次第に増大させることによって、前輪浮上開始
時点から遅延時間τR 後の後輪が前輪浮上開始地点に到
達した時から、後輪の予見制御力を前記制御ゲインの変
化に応じて次第に低下させ、前輪接地開始時点から遅延
時間τR 後の後輪が前輪接地開始地点に到達した時か
ら、後輪の予見制御力を前記制御ゲインに応じて次第に
増大させることにより、後輪に対する予見制御を、前輪
浮上開始時点から遅延時間τR が経過するまでの間は通
常の制御力で継続した後、前輪浮上開始時点から遅延時
間τR が経過した後は次第に低下する制御力によって行
い、前輪接地開始時点から遅延時間τR が経過した後は
この低下した制御力に対して次第に増大する制御力によ
り行う。これにより、通常の制御力による予見制御の中
止を行われるべき時(後輪が前輪浮上開始地点に到達し
た時)に行い、予見制御力の増大開始も行われるべき時
(後輪が前輪接地開始地点に到達した時)に行い、誤入
力情報として得られる路面振動入力推定値に従って後輪
が予見制御される度合いを低減し、後輪の予見制御実施
状態から中止状態への移行またはその逆方向への移行を
円滑に行って、乗員に与える違和感を抑制しようとする
ものである。つまり、制御ゲインの前記増減は、予見制
御を行うべきか否かの重み係数を増減操作することと等
価であると考えればよい。
【0138】この第四実施例で適用される車両の構成並
びにサスペンションの予見制御装置12の構成は前記図
14に示す第三実施例とほぼ同様である。また、コント
ローラ30の構造的な構成も、前記図16に示す第三実
施例とほぼ同様である。そして、コントローラ30内の
マイクロコンピュータ44で行われる処理の内容が異な
る。ここで、前記後輪路面入力として算出される路面範
囲の微分値xOF L ' ,xOFR ' 、遅延時間τR の演算処
理、後輪の油圧制御力URL,URRの算出についても第三
実施例と同様に行われるが、後輪の予見制御力UpRL
pRR の算出方法が異なる。具体的に、後輪の予見制御
力UpRL ,UpRR は、第二実施例と同様に前記(3′)
および(4′)式により、制御ゲインに係る重み係数k
を変化させることにより、前輪の路面との接触状態に応
じた値として算出する。
【0139】したがって、演算処理装置44cは、後述
する図18の処理を実行して、所定サンプリング時間T
S (例えば20msec)毎に、車速検出値V、ストローク
検出値SFL,SFR、上下方向加速度検出値ZGFL ,Z
GFR 、および輪荷重検出値JFL,JFRを読込み、輪荷重
検出値JFL,JFRが0より大きい場合には、ストローク
検出値SFL,SFRおよび上下方向加速度検出値ZGFL
GFR から、後輪11RL,11RRに入力されるであ
ろう後輪振動入力推定値として路面変位の微分値
OFL ' ,xOFR ' を算出し、この路面変位の微分値x
OFL ' ,xOFR ' に基づいて予見制御力UpRL ,UpRR
を重み係数k=1として算出すると共に、車速検出値V
に基づいて前後輪間の遅延時間τR を算出し、この遅延
時間τR が零となった予見制御力UpRL ,UpRR に基づ
いて後輪側圧力制御弁20RL,20RRを制御する後
輪予見制御を通常の制御力により行うが、輪荷重検出値
FL,JFRが0となった場合には、前記重み係数kを所
定量Δkだけ前回値より小さくして重み係数kを低下さ
せることによって予見制御力UpRL ,UpRR を次第に小
さくし、重み係数k=0となれば実質的に前記後輪予見
制御が中止され、当該後輪用サスペンションを通常のス
トラッド式サスペンションとして作動させる。そして、
再び輪荷重検出値JFL,JFRが0より大きくなった場合
には、前記重み係数kを所定量Δkだけ前回値より大き
くして予見制御力UpRL ,UpRR を次第に大きくし、重
み係数k=1となれば通常の制御力による後輪予見制御
が行われる。
【0140】ここで、図18の処理は所定サンプリング
時間TS (例えば40msec)毎のタイマ割込処理として
実行され、先ず、ステップS401で、現在の車速セン
サ26の車速検出値Vを読込み、次いでステップS40
2に移行して、上下方向加速度センサ28FL,28F
Rからの上下方向加速度検出値ZGFL ,ZGFR を読込
み、次いでステップS403に移行して、ストロークセ
ンサ27FL,27FRからのストローク検出値SFL
FRを読込み、次いでステップS404に移行して、輪
荷重センサ29FL,FRからの輪荷重検出値JFL,J
FRを読込む。
【0141】次にステップS405に移行して、前左輪
側の前記輪荷重検出値JFLが0に等しいかどうかを判定
して、等しい場合にはステップS406に移行し、等し
くない場合にはステップS407に移行する。前記ステ
ップS407では、前右輪側の輪荷重検出値JFRが0に
等しいかどうかを判定して、等しい場合には前記ステッ
プS406に移行し、等しくない場合にはステップS4
08に移行する。
【0142】前記ステップS408では、前回の重み係
数kに所定値Δkを加算した値を今回の重み係数kとし
て設定して、ステップS409に移行する。前記ステッ
プS409では、前記ステップS408で更新設定され
た重み係数kが1より大きいかどうか判定して、この重
み係数kが1より大きい場合はステップS410に移行
し、そうでない場合にはステップS411に移行する。
【0143】前記ステップS410では、重み係数kを
1に設定し、これを今回の重み係数kとして設定して、
ステップS412に移行する。前記ステップS411で
は、重み係数kを前記ステップS408で算出設定され
た値に設定して、前記ステップS412に移行する。一
方、前記ステップS406では、前回の重み係数kから
所定値Δkを減算した値を今回の重み係数kとして設定
して、ステップS413に移行する。
【0144】前記ステップS413では、前記ステップ
S406で更新設定された重み係数kが0より小さいか
どうか判定して、この重み係数kが0より小さい場合は
ステップS414に移行し、そうでない場合にはステッ
プS415に移行する。前記ステップS414では、重
み係数kを0に設定し、これを今回の重み係数kとして
設定して、前記ステップS412に移行する。
【0145】前記ステップS415では、重み係数kを
前記ステップS406で算出設定された値に設定して、
前記ステップS412に移行する。そして、前記ステッ
プS412では、前記ストローク検出値SFL,SFRを前
記ディジタルハイパスフィルタ処理等により微分して得
たストローク速度SVFL ,SVFR と、左右前輪の上下方
向加速度検出値ZGFL ,ZGFR を前記ディジタルローパ
スフィルタ処理等により積分して得た左右前輪のバネ上
振動速度xFL’,x FR’とから、路面からの後輪振動入
力推定値として路面変位の微分値xOFL ’,xOFR ’を
算出する。
【0146】次にステップS416に移行して、前記ス
テップS412で算出された前記路面変位の微分値x
OFL ’,xOFR ’と、前記ステップS410,S41
1,S414,およびS415のいずれかで設定された
重み係数kとを用い、前記(3′)式および(4′)式
に従って左右後輪の予見制御力UpRL ,UpRR を算出し
て、ステップS417に移行する。
【0147】前記ステップS417では、前記車速検出
値Vを用い、前記(9)式に従って遅延時間τR を算出
して、ステップS418に移行する。前記ステップS4
18では、前記ステップS416で算出した左右後輪の
予見制御力UpRL ,UpRR と上記ステップS417で算
出した遅延時間τR とを記憶装置44dに形成したシフ
トレジスタ領域の先頭位置に格納すると共に、前回まで
に格納されている左右後輪の予見制御力UpRL ,UpRR
および遅延時間τR とを順次シフトして、ステップS4
19に移行する。このとき、遅延時間τR についてはシ
フトする際に、各シフト位置の遅延時間τR からサンプ
リング時間TSを夫々減算した値を新たな遅延時間τR
として更新して格納する。
【0148】前記ステップS419では、シフトレジス
タ領域に格納されている最古すなわち遅延時間τR が零
となった左右後輪の予見制御力UpRL ,UpRR を読出
し、且つ読出した最古の予見制御力UpRL ,UpRR およ
びこれに対する遅延時間τR をシフトレジスタ領域から
消去して、ステップS420に移行する。前記ステップ
S420では、前記ステップS419で読出された左右
後輪の予見制御力UpRL ,UpRR を用い、前記(10)
式〜(11)式に従って、圧力制御弁20RL,20R
Rに対する油圧制御力URL,URRを算出して、ステップ
S421に移行する。
【0149】前記ステップS421では、前記ステップ
S420で算出した各圧力制御弁20RL,20RRに
対する制御力URL〜URRを、圧力指令値として夫々D/
A変換器45FL〜45RRに出力してからタイマ割込
処理を終了して、所定のメインプログラムに復帰する。
次に、この第三実施例におけるサスペンションの予見制
御装置の作用について説明する。
【0150】今、車両が平坦な良路を目標車高を維持し
て定速直進走行しているものとすると、この状態では、
車両が平坦な良路で目標車高を維持していることから、
左前輪11FL,右前輪11FRとも地面から浮上して
いないとされるために、車体側部材10に揺動を生じな
いので、各上下方向加速度センサ28FL,28FRの
加速度検出値ZGFL ,ZGFR およびストロークセンサ2
7FL,27FRのストローク検出値SFL,SFRは略零
に、輪荷重センサの輪荷重検出値JFL,JFRは0より大
きくなっており、これらが入力インターフェース回路4
4aでディジタル値に変換されてマイクロコンピュータ
44に入力される。
【0151】この状態では、マイクロコンピュータ44
で所定サンプリング時間TS 毎に実行される図11の処
理において、左右前輪の輪荷重検出値JFL,JFRがとも
に0より大きいため、前記ステップS406,S407
を経てステップS408において重み係数kが更新され
る。ここで、前回の重み係数kは1であると仮定できる
ため、今回の重み係数kはステップS409でk>1と
判定されてステップS410でk=1が更新記憶され
る。そして、ステップS412,S416〜S417を
経て、左右後輪の予見制御力UpRL ,UpRR および遅延
時間τR が算出され、ステップS419〜S421で算
出出力された各油圧制御力URL,URRに従って、圧力制
御弁20RL,20RRに対して前記遅延時間τR 後に
予見制御が実行される。
【0152】即ち、このように目標車高を維持しながら
平坦な良路定速直進走行を継続している状態では、上下
加速度検出値ZGFL ,ZGFR およびストローク検出値S
FL,SFRが略零となることにより、ステップS412で
導出される左右前輪のバネ上振動速度xFL’,xFR’が
零となり、一方,ステップS416で算出される左右後
輪の予見制御力UpRL ,UpRR も零となり、このうち零
の後輪予見制御力UpR L ,UpRR が順次、記憶装置44
dのシフトレジスタ領域にステップS417で算出され
る前後輪間の遅延時間τR と共にステップS418で格
納され、これらがシフトする毎に遅延時間τR からサン
プリング時間TS を減算した値が新たな遅延時間τR
して更新される。このため、ステップS419で読出さ
れる予見制御力UpRL ,UpRR も零となっており、前記
ステップS420の処理において、前記(10)式,
(11)式の右辺第2項が全て零となることにより、各
油圧制御力URL〜URRは目標車高値にのみ対応した中立
圧制御力UN となり、これらが圧力指令値として出力側
インタフェース回路44bでD/A変換されて駆動回路
46RL〜46RRに出力される。
【0153】このため、駆動回路46RL,46RRで
制御力URL,URRに対応した指令電流iRL〜iRRに変換
されて各圧力制御弁20RL,20RRに供給される。
この結果、圧力制御弁20RL,20RRから目標車高
を維持するために必要な中立圧PCNが各油圧シリンダ1
8RL,18RRに出力され、これら油圧シリンダ18
RL,18RRで車体側部材10および後輪側部材14
RF,14RR間のストロークを目標車高に維持する推
力を発生する。
【0154】この良路を定速走行している状態で、例え
ば前左右輪11FL,11FRが同時に、地面から浮上
することなく一過性の例えば凸部を通過する状態となる
と、前左右輪の凸部乗り上げによるバウンドによって車
体側部材10に上方向の加速度が発生し、これが前左右
輪の上下方向加速度センサ28FL,28FRで検出さ
れ、同時に前左右輪のバウンドに伴うストロークがスト
ロークセンサ27FL,27FRで検出され、同時に前
左右輪のバウンドに伴い増大した輪荷重が輪荷重センサ
29FL,29FRで検出される。
【0155】このため、マイクロコンピュータ44で所
定サンプリング時間TS 毎に実行される図18の処理に
おいて、前左右輪の輪荷重検出値JFL,JFRがともに0
より大きいため、前記ステップS405,S407を経
てステップS408において重み係数kが更新される。
ここで、前回の重み係数kは1であるため、ステップS
409でk>1と判定されてステップS410でk=1
が更新記憶される。
【0156】そして、ステップS412では前記上下方
向加速度センサ28FL,28FRからの上下方向加速
度検出値ZGFL ,ZGFR およびストロークセンサ27F
L,27FRからのストローク検出値SFL,SFRに応じ
た路面変位の微分値xOFL ’,xOFR ’が算出される。
ステップS416では、重み係数k=1であるため前記
路面変位の微分値xOFL ’,xOFR ’に応じた通常の予
見制御力UpRL ,UpR R が算出され、ステップS417
では車速に応じた遅延時間τR が算出され、これらがス
テップS418で順次シフトされながら記憶装置44d
のシフトレジスタ領域に格納される。
【0157】ここで、前輪が凸部に乗り上げた時点で
は、遅延時間τR が零となった後輪予見制御力UpRL
pRR は零の状態を維持するので、後輪の油圧シリンダ
18RL,18RRでは目標車高を維持する推力を発生
させる状態が継続される。その後、前左右輪11FL,
11FRが路面凸部の頂部を通過し終わると、リバウン
ド状態となって車体側部材10に下方向の加速度を生じ
ることになり、マイクロコンピュータ44で図18の処
理が実行されるサンプリング時間TS 毎に、当該前輪側
の下降速度の変化を抑制する後輪予見制御力UpRL ,U
pRR が算出されて、この後輪予見制御力UpRL ,UpRR
が順次シフトされながら記憶装置44dのシフトレジス
タ領域に格納される。そして、この状態でも、遅延時間
τRが零となった後輪予見制御力UpRL ,UpRR は零の
状態を維持するので、後輪の油圧シリンダ18RL,1
8RRでは目標車高を維持する推力を発生させる状態が
継続される。
【0158】しかしながら、図18のステップS417
で算出される遅延時間τR が経過した時点からは、順
次、遅延時間τR だけ前、即ち前述した前左右輪11F
L,11FRが凸部を通過した時点の後輪側予見制御力
pRL ,UpRR を読出し、これらに基づいてステップS
420で後輪の油圧制御力URL, RRを算出し、これら
を圧力指令値として圧力制御弁20RL,20RRに出
力する。
【0159】この結果、前輪11FL,11FRが凸部
乗り上げ開始時点から遅延時間τR分遅れた、後輪11
RL,11RRが凸部に乗り上げる時点から、後輪の油
圧制御力URL, RRが中立圧制御力UN から減少する。
これにより、駆動回路46RL,46RRから出力され
る指令電流iRLが中立電流iN より低下することに伴
い、圧力制御弁20RL,20RRから出力される制御
圧PC が中立圧PCNより低下して、油圧シリンダ18R
L,18RRの推力が低下され、結果的に後左右輪側の
ストロークを減少させることが可能となる。これによ
り、後左右輪11RL,11RRの凸部乗り上げによっ
て車体側部材10に生じる揺動を抑制する、所謂後輪予
見制御を可能とする。
【0160】このとき、前記(3′)式および(4′)
式で設定される後輪の予見制御力U pRL ,UpRR は、前
記(8)式で示すように後輪側から車体に伝達される振
動入力を十分に相殺或いは抑制することができるので、
良好な乗心地が維持される。一方、前輪11FL,11
FRの何れか一方例えば前左輪11FLのみが一過性の
凸部に乗り上げた場合には、左輪側の油圧シリンダ18
RLについてのみ上記揺動抑制制御が行われ、凸部乗り
上げを生じない右輪側の油圧シリンダ18RRについて
は、中立圧を維持する制御が行われる。
【0161】また、前輪11FL、11FRが一過性の
凹部に落ち込んだときには、上記と逆の制御を行って車
体の揺動を抑制することができ、さらに一過性の凹凸に
限らず不整路面等の連続的な凹凸路面を走行する場合で
も前輪の挙動に応じて後輪を予見制御することができ
る。ところで、車両の上下動が激しく、例えば前左右輪
が同時に路面から浮上した場合には、輪荷重センサ29
FL,29FRで検出される輪荷重検出値JFL,J FR
0となる。
【0162】したがって、マイクロコンピュータ44で
所定サンプリング時間TS 毎に実行される図18の処理
において、前左右輪の輪荷重検出値JFL,JFRがともに
0に等しくなるため、前記ステップS405からステッ
プS406に移行し、ステップS406において重み係
数kが更新される。ここで、前輪が浮上し始めた初期段
階では、前回の重み係数kから所定値Δkを減算した値
が0より大きいため、ステップS406で設定された重
み係数k(0<k<1)がステップS415で記憶装置
44dに更新記録される。
【0163】そして、前記と同様にして、ステップS4
12,S416〜S417で左右後輪の予見制御力U
pRL ,UpRR および遅延時間τR が算出され、ステップ
S418でこれらが前記シフトレジスタ領域に格納更新
されるが、ステップS416で算出された予見制御力U
pRL ,UpRR は、重み係数kが0<k<1であるため通
常の制御力より小さな値として算出される。
【0164】一方、このように前輪が浮上すると、ステ
ップS411で算出される路面変位の微分値xOFL ' ,
OFR ' は極端に負の方向に大きな値となるから、未だ
重み係数kが“1”に近いサンプリング時刻では、ステ
ップS416で算出される予見制御力UpRL ,UpRR
大きな正の値となる。その後、前輪の浮上が継続する
と、サンプリング時刻毎に予見制御力UpRL ,UpRR
次第に小さくなると考えられる。
【0165】前輪の浮上が開始した時点では、ステップ
S419で読み込まれる遅延時間τ R が0となった予見
制御力UpRL ,UpRR は、通常の制御力として算出され
たものであるため、この予見制御力UpRL ,UpRR によ
りステップS420で算出された油圧制御力URL,URR
により、前述の通常の制御力による後輪予見制御が継続
される。そして、この時点では、前述のように予見制御
力UpRL ,UpRR は大きな正の値であるから、油圧制御
力URL,URRも大きな正の値となる。
【0166】前記前輪浮上開始時点から前輪の浮上が継
続している間は、この時刻から遅延時間τR が経過した
後にステップS419で読み込まれる予見制御力
pRL ,U pRR は、サンプリング時刻毎に次第に小さな
正の値へと変化し、この予見制御力UpRL ,UpRR によ
り、ステップS420で前記前輪浮上前より次第に前記
中立制御力UN に近い油圧制御力URL,URRが算出され
る。これにより、前述のような、駆動回路46RL,4
6RR、圧力制御弁20RL,20RRを介して後輪の
油圧シリンダ18RL,18RRに対してなされる推力
は次第にその低下度合いが減少し、その結果、後左右輪
11RL,11RRに対して前左右輪浮上前より次第に
弱い予見制御がなされる。
【0167】ここで、前左右輪の浮上状態が続く限り、
重み係数kは所定値Δkずつ小さくなっていくため、ス
テップS406で算出される重み係数kは次第に小さく
なり、いずれは重み係数kが0に設定されてステップS
416で算出される予見制御力UpRL ,UpRR も0にな
る。そして、予見制御力UpRL ,UpRR が0として算出
された時点から遅延時間τR が経過した後に、ステップ
S419で読み込まれる予見制御力UpRL ,UpRR が0
となり、この時点で予見制御が中止され、第一実施例の
ように、後左右輪のサスペンションは通常のストラット
式サスペンションとして作動する。
【0168】この状態から、前左右輪が同時に路面に接
触して正確な入力情報が得られる状態に移行した場合に
は、前左右輪の輪荷重検出値JFL,JFRがともに0より
大きくなるため、前記ステップS405,S407を経
てステップS408において重み係数kが更新される。
ここで、前左右輪が路面に接触した時点からしばらくの
間は、前回の重み係数kは1より小さいため、ステップ
S408で更新された重み係数kの値は0より大きく1
より小さい範囲で増大し、ステップS411で記憶装置
44dに更新記録される。
【0169】ここで、前輪の接地開始時点では、ステッ
プS419で読み込まれる遅延時間τR が0となった予
見制御力UpRL ,UpRR は、通常の制御力より小さな制
御力として算出されたものであるため、この予見制御力
pRL ,UpRR によりステップS420で算出された油
圧制御力UpRL ,UpRR により、前述の通常の制御力よ
り次第に小さくなる制御力による後輪予見制御が継続さ
れる。
【0170】そして、前記前輪接地開始時点から遅延時
間τR が経過した後に、ステップS419で、前記前輪
接地開始時点においてステップS416で前回の制御力
より大きな値として算出された予見制御力UpRL ,U
pRR が読み込まれ、この予見制御力UpRL ,UpRR によ
り、ステップS420で、この前左右輪接地前より小さ
な油圧制御力URL,URRが算出される。これにより、前
述のような、駆動回路46RL,46RR、圧力制御弁
20RL,20RRを介して後輪の油圧シリンダ18R
L,18RRに対してなされる推力はその低下度合いが
次第に増大し、その結果、後左右輪11RL,11RR
に対して次第に強くなる予見制御がなされる。
【0171】ここで、前左右輪が再び浮上しない限り重
み係数kは所定値Δkずつ大きくなるため、いずれは重
み係数kが1に設定されて、ステップS416で算出さ
れる予見制御力UpRL ,UpRR は通常の制御力となり、
その時点から遅延時間τR だけ経過後に通常の制御力に
よる予見制御がなされる。以上のようにして、後輪予見
制御の中止および復帰が必要な時にしかも次第に行われ
るため、前輪が路面から浮上した場合に、誤入力情報と
して得られる路面振動入力推定値に従って予見制御され
る度合いが低減されるとともに、後輪の予見制御実施状
態から中止状態への移行またはその逆方向への移行が円
滑に行われるため、乗員に与える違和感が抑制される。
【0172】この第四実施例において、制御の対象とな
る制御車輪は後輪11RL,11RRであり、路面検出
手段は前輪11FL,11FRを経由して車体に入力さ
れる振動入力を、ストローク並びに上下方向加速度とし
て検出するから、前記図18の処理のうち、ステップS
402,S403が請求項2に係る本発明の路面検出手
段に相当し、以下同様にステップS404が前輪状態検
出手段に相当し、ステップS412が制御車輪入力推定
手段に相当し、ステップS401,S416〜S421
が予見制御手段に相当し、ステップS404〜S41
1,S413〜S415がゲイン変更手段に相当する。
また、路面の凹凸の検出時は前輪への振動入力時に相当
し、予見距離は前後輪間のホイルベースに相当する。
【0173】なお、前記各実施例においては、各積分処
理をマイクロコンピュータで行うディジタルローパスフ
ィルタ処理で,各微分処理を同じくディジタルハイパス
フィルタ処理で行う場合について説明したが、これに限
定されるものではなく、例えばカットオフ周波数を各通
過周波数帯域の上下限値近傍としたバンドパスフィルタ
処理で代行することもできる。
【0174】また、各実施例においては、マイクロコン
ピュータ44でフィルタ処理を行う場合について説明し
たが、固定的に設けられた各フィルタを用い、例えば後
輪路面振動入力推定値である路面変位の微分値の算出に
あっては,これらのフィルタからの出力を各種の加算
器,加減算器を用いて加減算することで代行することも
可能である。
【0175】また、各実施例においては、マイクロコン
ピュータ44で、予見制御力UpRL,UpRR を遅延時間
τR とともにシフトレジスタ領域に順次シフトしながら
格納し、遅延時間τR が零となった予見制御力UpRL
pRR に基づいて予見制御を行う場合について説明した
が、これに限らずハイパスフィルタ処理した上下加速度
又は路面変位の微分値x0FL ’,x0FR ’を遅延時間τ
R とともにシフトレジスタ領域に順次シフトしながら格
納し、遅延時間τR が零となった上下加速度又は路面変
位の微分値x0FL ’,x0FR ’をもとに後輪側予見制御
力UpRL ,UpR R を算出するようにしてもよい。
【0176】また、上記各実施例においては、制御弁と
して圧力制御弁20RL,20RRを適用した場合につ
いて説明したが、これに限定されるものではなく、他の
流量制御型サーボ弁等を適用し得るものである。また、
上記実施例においては、コントローラ30をマイクロコ
ンピュータで構成した場合について説明したが、これに
限定されるものではなく、シフトレジスタ、演算回路等
の電子回路を組み合わせて構成するようにしてもよいこ
とは言うまでもない。
【0177】また、上記実施例においては、作動流体と
して作動油を適用した場合について説明したが、これに
限らず圧縮率の少ない流体であれば任意の作動流体を適
用し得る。また、上記実施例では、後輪のサスペンショ
ンを能動的に予見制御するものとしたが、本発明は、減
衰力可変ショックアブソーバによるセミアクティブな予
見制御にも適用される。
【0178】また、上記実施例では、予見制御を中止し
たときには後輪用サスペンションを通常のストラット式
サスペンションとして作動させているが、上下方向加速
度検出値等に基づいて制御を行う能動型サスペンション
として作動させてもよい。また、上記実施例は、後輪の
みを制御対象車輪として予見制御する場合について説明
したが、前輪のみ又は前後輪を予見制御対象車輪として
予見制御してもよい。その場合には、前記特開平4−3
39010号公報や特開平4−339011号公報に記
載されるように,前輪よりも更に前方に設けた路面検出
手段によって路面の凹凸を検出すればよい。
【0179】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1における
サスペンションの予見制御装置によれば、前輪が路面か
ら浮上した場合に予見制御が中止されるため、誤情報と
して得られた路面振動入力推定値に従って予見制御され
ることが避けられて、車体に不自然な挙動が発生しない
ため、乗心地の低下を抑止できる。
【0180】請求項2におけるサスペンションの予見制
御装置によれば、前輪が路面から浮上した場合にゲイン
を徐々に減少するように設定することにより、予見制御
力を徐々に弱めて中止に向かわせることができるため、
予見制御実施状態から中止状態への移行が円滑に行わ
れ、より良好な乗り心地が確保される。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1の概略構成を示す基本構成図である。
【図2】請求項2の概略構成を示す基本構成図である。
【図3】本発明の第一実施例を示す概略構成図である。
【図4】本発明の第一実施例の予見制御概念を示す概要
図である。
【図5】圧力制御弁の指令電流に対する制御圧の関係を
示す特性線図である。
【図6】上下方向加速度センサの出力特性を示す特性線
図である。
【図7】ストロークセンサの出力特性を示す特性線図で
ある。
【図8】第一実施例におけるコントローラの一例を示す
ブロック図である。
【図9】1輪1自由度モデルを示す説明図である。
【図10】第一実施例におけるマイクロコンピュータに
よる処理手順を示すフローチャートである。
【図11】第二実施例におけるマイクロコンピュータに
よる処理手順を示すフローチャートである。
【図12】第二実施例における重み係数の時間変化の一
例を示すグラフである。
【図13】本発明の第三実施例の予見制御概念を示す概
要図である。
【図14】本発明の第三実施例を示す概略構成図であ
る。
【図15】輪荷重センサの出力特性を示す特性線図であ
る。
【図16】第三実施例におけるコントローラの一例を示
すブロック図である。
【図17】第三実施例におけるマイクロコンピュータに
よる処理手順を示すフローチャートである。
【図18】本発明の第四実施例におけるマイクロコンピ
ュータによる処理手順を示すフローチャートである。
【図19】従来の後輪予見制御装置の概略構成図であ
る。
【図20】従来の後輪予見制御の概略ブロック図であ
る。
【符号の説明】
10 車体側部材 11FL〜11RR車輪 12 サスペンションの予見制御装置 14RL,14RR後輪側部材 18RL,18RR油圧シリンダ 20RL,20RR圧力制御弁 22 油圧源 26 車速センサ 27FL,27FRストロークセンサ 28FL,28FR上下方向加速度センサ 29FL,29FR輪荷重センサ 30 コントローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 戸畑 秀夫 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 木村 健 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体と制御車輪との間に介装されて制御
    指令値に応じた制御力を発生するアクチュエータと、前
    記制御車輪より予見距離だけ前方に装着されて路面の凹
    凸を検出する路面検出手段と、前記路面検出手段からの
    路面検出値に応じて制御車輪に入力される振動入力を推
    定する制御車輪入力推定手段と、前記路面の凹凸の検出
    時から所定時間遅延後に、前記制御車輪入力推定手段か
    らの制御車輪振動入力推定値に基づいて算出された制御
    指令値を前記制御車輪のアクチュエータに出力する予見
    制御手段とを備えたサスペンションの予見制御装置にお
    いて、 前輪と路面との接触状態を検出する前輪状態検出手段
    と、前記前輪状態検出手段からの前輪状態検出値に応じ
    て前記予見制御を行うか行わないかを判定する予見制御
    判定手段とを備えるとともに、前記予見制御手段は、前
    記予見制御判定手段により予見制御を行わない判定がな
    されたときに、予見制御しない制御指令値を前記制御車
    輪のアクチュエータに出力する予見制御中止手段を含む
    ものであることを特徴とするサスペンションの予見制御
    装置。
  2. 【請求項2】 車体と制御車輪との間に介装されて制御
    指令値に応じた制御力を発生するアクチュエータと、前
    記制御車輪より予見距離だけ前方に装着されて路面の凹
    凸を検出する路面検出手段と、前記路面検出手段からの
    路面検出値に応じて制御車輪に入力される振動入力を推
    定する制御車輪入力推定手段と、前記路面の凹凸の検出
    時から所定時間遅延後に、前記制御車輪入力推定手段か
    らの制御車輪振動入力推定値にゲインを乗じた値から得
    た制御指令値を前記制御車輪のアクチュエータに出力す
    る予見制御手段とを備えたサスペンションの予見制御装
    置において、 前輪と路面との接触状態を検出する前輪状態検出手段
    と、前記前輪状態検出手段からの前輪状態検出値に基づ
    き、当該前輪が路面に対して接触状態から非接触状態に
    移行した際には前記ゲインを次第に減少するように変更
    するゲイン変更手段とを備えたことを特徴とするサスペ
    ンションの予見制御装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115179706A (zh) * 2022-09-06 2022-10-14 万向钱潮股份公司 一种主动悬架的控制方法
WO2023140313A1 (ja) * 2022-01-24 2023-07-27 日立Astemo株式会社 車両制御装置およびサスペンションシステム

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