JPH07178873A - 高周波シールが可能な積層体及びその製造方法 - Google Patents

高周波シールが可能な積層体及びその製造方法

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JPH07178873A
JPH07178873A JP32260893A JP32260893A JPH07178873A JP H07178873 A JPH07178873 A JP H07178873A JP 32260893 A JP32260893 A JP 32260893A JP 32260893 A JP32260893 A JP 32260893A JP H07178873 A JPH07178873 A JP H07178873A
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JP
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ethylene
weight
copolymer
thermoplastic elastomer
styrene
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JP32260893A
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English (en)
Inventor
Hirotaka Takoshi
宏孝 田越
Kunio Iwasaki
邦夫 岩崎
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Resonac Holdings Corp
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Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高周波シール特性を有し、柔軟性や強度にも
優れた、三層積層体及びその製造方法を提供する。 【構成】 中間層が(1)スチレン系熱可塑性エラスト
マーであって、該中間層に隣接する他の2層が(2)エ
チレンとラジカル重合性酸無水物及びこれ以外のラジカ
ル重合性コモノマーからなる多元共重合体であって、
(a) エチレンに由来する単位50〜99重量%、(b) ラ
ジカル重合性酸無水物に由来する単位0.1〜5重量
%、(c) 他のラジカル重合性コモノマーに由来する単位
10〜50重量%であるエチレン系共重合体からなる三
層積層体、及び該三層積層体を共押出成形することを特
徴とする製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、積層体及びその製造方
法に関する。更に詳しくは、高周波シールの可能な軟質
シートとして好適な積層体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、車両内装材、自動車内装材、建築
用内装材、ディスプレー用パネル材料、家具用材料、家
電用ハウジング材料、かばん用材料、スポーツ用品用材
料、事務用品用材料等には、柔軟性、耐傷つき性、耐候
性、風合い等の観点から軟質もしくは半硬質のポリ塩化
ビニル樹脂を表皮材料とした材料が広範に使用されてい
る。特に、自動車の座席用表皮材料、事務用椅子の表皮
材料、フレキシブルコンテナー等には高周波シール加工
に適するという観点からも専ら軟質塩化ビニルが用いら
れている。しかし最近では、環境問題や可塑剤の滲み出
し、かびの発生等の問題でポリ塩化ビニルの代わりに、
軽量性、柔軟性、表面の耐傷付性及び耐熱性に優れた材
料として熱可塑性エラストマーの利用が期待されてい
る。一方、熱可塑性エラストマー自体は接着性に乏しい
ために、熱可塑性エラストマーの構成成分にカルボキシ
ル基や酸無水物基或いは水酸基等を有するポリオレフィ
ン系樹脂を用いて接着性を発現させる方法(特開昭59
−1561号公報、特開平5−132587号公報及び
特開平5−262924号公報)やカルボキシル基や酸
無水物基を有するエチレン−α−オレフィン共重合ゴム
を用いて接着性を発現させる方法(特開昭59−279
35号公報)が提案されている。さらには、エチレンに
24重量%以上の不飽和エステルを共重合させた樹脂或
いはその変性樹脂を接着樹脂として使用することが開示
されている(特開昭60−201940号公報及び特開
平3−190727)。しかし、これらの方法を用いて
もその接着性は充分とは言えず、また加工方法も限ら
れ、特に高周波シール加工を行うことは困難であった。
従って、軟質塩化ビニルを用いて高周波シール加工によ
り製造される、自動車の座席用表皮材料、事務用椅子の
表皮材料、フレキシブルコンテナー等の分野には熱可塑
性エラストマーを利用することができないのが現状であ
った。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高周波シー
ル加工性に優れかつ熱可塑性エラストマーとの接着性に
も優れた樹脂を用いることに依って熱可塑性エラストマ
ーに高周波シール加工性を付与した、自動車の座席用表
皮材料、事務用椅子の表皮材料、フレキシブルコンテナ
ー等の高周波シール加工を用いる分野に利用できる多層
積層体及びその製造方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題の
解決のため種々検討した結果、スチレン系熱可塑性エラ
ストマーに特定の樹脂組成物を積層することにより、自
動車の座席表皮シート材料、事務用椅子の表皮材料、フ
レキシブルコンテナー等、従来より軟質ビニールを高周
波シール加工することにより用いられている幅広い用途
に対して好適に用いることのできる、高周波シール可能
な多層積層体及びその製造方法を開発した。即ち、中間
層が(1)スチレン系熱可塑性エラストマーであり、該
中間層に隣接する他の2層が(2)エチレンとラジカル
重合性酸無水物及びこれ以外のラジカル重合性コモノマ
ーからなる多元共重合体であって、 (a) エチレンに由来する単位 50〜99重量% (b) ラジカル重合性酸無水物に由来する単位 0.1〜 5重量% (c) 他のラジカル重合性コモノマーに由来する単位 10〜50重量% であるエチレン系共重合体からなる三層積層体、及び該
三層積層体を共押出成形することを特徴とする製造方法
である。
【0005】以下本発明を具体的に説明する。本発明に
関わるエチレン系共重合体は、エチレンとラジカル重合
性酸無水物及びこれ以外のラジカル重合性コモノマーか
らなる多元共重合体である。ここでいうラジカル重合性
酸無水物とは、分子中にラジカル重合可能な不飽和結合
と酸無水物基を各々1個以上有し、重合により酸無水物
基を分子中に導入できるような化合物を示す。化合物の
具体的な例としては、無水マレイン酸、無水イタコン
酸、無水エンディック酸、無水シトラコン酸、1−ブテ
ン−3,4−ジカルボン酸無水物、炭素数が多くとも1
8である末端に二重結合を有するアルケニル無水コハク
酸、炭素数が多くとも18である末端に二重結合を有す
るアルカジエニル無水コハク酸等を挙げることができ
る。これらは2種類以上同時に併用しても差し支えな
い。このうち、無水マレイン酸、無水イタコン酸が特に
好ましい。
【0006】ラジカル重合性コモノマーとしては多くの
化合物が使用でき、具体的にはエチレン系不飽和エステ
ル化合物、エチレン系不飽和アミド化合物、エチレン系
不飽和酸化合物、エチレン系不飽和エーテル化合物、エ
チレン系不飽和炭化水素化合物等を挙げることができ
る。これらを具体的に記せば、エチレン系不飽和エステ
ル化合物としては、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸メ
チル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸
プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリ
ル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)
アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ベンジル等を
例示する事ができる。エチレン系不飽和アミド化合物と
しては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)
アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、
N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メ
タ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルア
ミド、N−オクチル(メタ)アクリルアミド、N,N−
ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル
(メタ)アクリルアミド等を例示する事ができる。エチ
レン系不飽和酸化合物としては(メタ)アクリル酸を例
示する事ができる。エチレン系不飽和エーテル化合物と
してはメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、
プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オク
タデシルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等を
例示する事ができる。エチレン系不飽和炭化水素化合物
及びその他の化合物としてはスチレン、α−メチルスチ
レン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクロ
レイン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニ
ルシラン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等を挙げる事が
できる。このうち好ましい化合物としては、酢酸ビニ
ル、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル
酸等を挙げる事ができる。また、必要に応じてこれらの
コモノマーを2種類以上同時に用いても差し支えない。
【0007】本発明に関わるエチレン系共重合体の製造
にあたっては、基本的には通常の低密度ポリエチレンの
製造設備及び技術を利用することができる。一般的には
塊状重合であり、700〜3000気圧の圧力下で10
0〜300℃の温度範囲でラジカル重合で製造される。
好ましい重合圧力、重合温度の範囲としては1000〜
2500気圧、反応器内の平均温度が150〜270℃
とすることができる。700気圧以下では重合体の分子
量が低くなり、成形性、組成物の樹脂物性が悪化する。
3000気圧以上の圧力は実質的に無意味であり、製造
コストを高めるだけである。平均重合温度が100℃以
下では重合反応が安定せず、共重合体への転化率が低下
し、経済的に問題がある。300℃を越えると共重合体
の分子量が低下すると同時に暴走反応の危険性が生じ
る。製造する装置としてはベッセル型の反応器を使用す
る事が望ましい。特にラジカル重合性酸無水物は重合安
定性が乏しいため、高度の反応器内の均一化が必要であ
る。また必要に応じて複数個の反応器を直列または並列
に接続し多段重合を行う事も可能である。さらに反応器
の内部を複数のゾーンに仕切る事により、より緻密な温
度制御を行う事も可能である。本発明で用いるエチレン
系共重合体の製造は、上記の反応条件にて少なくとも1
種のフリーラジカル開始剤の存在下で行われる。該フリ
ーラジカル開始剤としては、一般に知られているジアシ
ルパーオキシド類、パーオキシカーボネート類、パーオ
キシエステル類、ケトンパーオキシド類、パーオキシケ
タール類等の他アゾ化合物類等が用いられる。また重合
にあたって、分子量調節剤として種々の連鎖移動剤を使
用する事が可能である。
【0008】このように製造された、本発明に関わるエ
チレン系共重合体は、接着性に優れているため接着の困
難なスチレン系熱可塑性エラストマーに対しても強固に
接着し、また同時に酸無水物基を含有する事により高い
誘電率を示し極めて良好な高周波特性を有する。以上の
ようにして製造された本発明に関わるエチレン系共重合
体は、エチレン系共重合体中のラジカル重合性酸無水物
に由来する単位の割合及びラジカル重合性コモノマーに
由来する単位の割合が、接着性樹脂組成物全体に対して
各々0.1〜5重量%の範囲、及び10〜50重量%の
範囲、より好ましくは0.5〜4重量%の範囲、及び1
3〜30重量%の範囲である。ラジカル重合性酸無水物
に由来する単位の割合が接着性樹脂組成物全体に対して
0.1重量%未満では接着性能が不足して良好な三層積
層体が製造できないし、高周波シール性も低下する。逆
に、5重量%を越えてラジカル重合性酸無水物に由来す
る単位が含まれていても、接着性及び高周波シール性の
向上にはもはや大きな効果を与えず、経済的にも無意味
となるため好ましくない。ラジカル重合性コモノマーに
由来する単位の割合が接着性樹脂組成物全体に対して1
0重量%未満では、本発明の目的である高周波特性が失
われ好ましくない。逆に、該含有量が50重量%を越え
ると樹脂の取扱いが困難になるとともに製品の耐熱性が
低下し、好ましくない。
【0009】本発明に関わるエチレン系共重合体は、一
般には他の樹脂とブレンドすることなく用いるが、高周
波シール性を損なわない範囲で他のポリオレフィン系樹
脂とブレンドすることが可能である。ここで言う他のポ
リオレフィン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、直
鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、EPR
等の他、エチレン−酢酸ビニル共重合体,エチレン−メ
タクリル酸メチル共重合体等の本発明に関わるポリエチ
レン系共重合体以外のエチレンとビニルモノマー類との
共重合体等が挙げられる。配合量は、本発明に関わるエ
チレン系共重合体の高周波シール性が失われない範囲で
あれば特に制限はないが、一般に50重量%以下である
ことが望ましい。
【0010】本発明に関わるスチレン系熱可塑性エラス
トマーとしては、ベース樹脂としてモノビニル芳香族炭
化水素と共役ジエンのエラストマー状ランダム叉はブロ
ック共重合体及びこれら共重合体の水素添加誘導体が用
いられる。これら共重合体の中では、モノビニル芳香族
炭化水素と共役ジエンのブロック共重合体が好ましい。
このようなベース樹脂としては、例えば、下記一般式 A−(B−A)n , A−(B−A)n −B
,B−(A−B)n+1 ,[(A−B)nm
, [(A−B)n −A]m X [(B−A)nm X , [(B−A)n −B]
m X (但し、Aはモノビニル芳香族炭化水素よりなる重合体
ブロックであり、Bは共役ジエンよりなる重合体ブロッ
クであり、nは1以上の整数を表し、mは2〜10の整
数を表し、Xはカップリング剤叉は多官能開始剤の残基
を表す。)で表される直鎖状或いは放射状の共重合体が
ある。これら共重合体の平均分子量は10,000〜
1,000,000、好ましくは50,000〜25
0,000である。こここで使用されるモノビニル芳香
族炭化水素としては、例えば、スチレン、α−メチルス
チレン、4−メチルスチレン、ビニルトルエン、4−t
−ブチルスチレン、1,1’−ジフェニルエチレン等の
うちから1種叉は2種以上が選択でき、中でもスチレン
が好ましい。また、共役ジエンとしては、例えば、ブタ
ジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−
ジメチル−1,3−ブタジエン等の中から1種または2
種以上が選択でき、中でもブタジエン、イソプレン及び
これらの組み合わせが望ましい。これら共重合体の具体
例としては、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、
スチレン−イソプレンランダム共重合体、スチレン−ブ
タジエン−スチレントリブロック共重合体、スチレン−
イソプレン−スチレントリブロック共重合体、ポリスチ
レンブロックが末端であるスチレン−ブタジエンラジア
ルブロック共重合体、ポリスチレンブロックが末端であ
るスチレン−イソプレンラジアルブロック共重合体、ス
チレン−ブタジエンマルチブロック共重合体、スチレン
−イソプレンマルチブロック共重合体等のスチレン−共
役ジエンブロック共重合体、及びこれらを水素添加した
生成物を挙げることができる。これらの中で好ましいも
のは、水素添加されたスチレン−共役ジエンブロック共
重合体である。
【0011】本発明に関わるスチレン系熱可塑性エラス
トマ−は上記のベース樹脂にポリオレフィン樹脂を加え
て使用することができる。ここで用いられるポリオレフ
ィン樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密
度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポ
リブテン、ポリ3−メチルブテン−1、ポリ4−メチル
ペンテン−1、ポリブタジエン、及び前記樹脂の構成単
位の共重合体例えば、プロピレン−エチレンブロック共
重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロ
ピレン−1−ブテンランダム共重合体等、ブテン−1,
4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1
等のα−オレフィンをコモノマーとした直鎖状低密度ポ
リエチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン
−プロピレン−ジエンターポリマーまたはこれら樹脂の
混合物、グラフト重合体、ブロック共重合体、エチレン
と不飽和カルボン酸或いはその誘導体との共重合体(例
えばエチレン−酢酸ビニル共重合体及びその完全或いは
部分鹸化物のアセタール誘導体、エチレン−(メタ)ア
クリル酸エステル共重合体等)を挙げることができる。
このようなポリオレフィン樹脂の中でも好適に用いられ
るのは、プロピレン−エチレンブロック共重合体やプロ
ピレンとエチレン,1−ブテン,1−ヘキセン,4−メ
チルペンテン−1等のα−オレフィンとのランダム共重
合体である。ポリオレフィン樹脂の使用量はスチレン系
熱可塑性エラストマーの使用目的によって異なるために
一概に規定できないが、一般にベース樹脂100重量部
に対して400重量部以下であり、好ましくは10〜3
00重量部の範囲である。使用量が400重量部を越え
る場合には、得られるスチレン系熱可塑性エラストマ−
の硬度が高くなりすぎ柔軟性が失われるため、好ましく
ない。
【0012】また、本発明に関わるスチレンレン系熱可
塑性エラストマ−は、必要に応じてゴム用軟化剤を含む
ものが用いられる。ゴム用軟化剤は、得られるスチレン
系熱可塑性エラストマ−の柔軟性、加工性をさらに向上
させる目的の他、経済性の改善をする上でも有用な添加
物である。ゴム用軟化剤としては、鉱物油系軟化剤もし
くは合成樹脂系軟化剤が好適である。鉱物油系軟化剤
は、芳香族環含有化合物,ナフテン環含有化合物及びパ
ラフィン鎖含有化合物の三者の組み合わせ混合物であっ
て、パラフィン鎖炭素数が全炭素中の50%以上を占め
るものがパラフィン系軟化剤と呼ばれ、ナフテン環炭素
数が30〜45%のものがナフテン系軟化剤、また芳香
族環炭素数が30%より多いものが芳香族系軟化剤と呼
ばれて区分されている。これらの中で、好ましくはナフ
テン系軟化剤もしくはパラフィン系軟化剤が用いられ
る。合成樹脂系軟化剤としては、粘度平均分子量が70
000以下のポリイソブチレン、数平均分子量が250
0以下の低分子量ポリブテン或いは数平均分子量が50
00以下の低分子量ポリブタジエン等が使用可能であ
る。ゴム用軟化剤の使用量はスチレン系熱可塑性エラス
トマーの使用目的によって異なるために一概に規定でき
ないが、一般にベース樹脂100重量部に対して、30
0重量部以下、好ましくは10〜250重量部の範囲で
ある。300重量部を越えて使用した場合には、得られ
るスチレン系熱可塑性エラストマーの強度が低下し、或
いは軟化剤が滲み出して外観を損なう等の問題が生じ、
好ましくない。本発明に関わるスチレン系熱可塑性エラ
ストマーには、該組成物の特徴を損なわない範囲で他の
添加剤、配合剤、充填剤を使用する事が可能である。こ
れらを具体的に示せば、ガラス、カーボンブラック、酸
化亜鉛、クレー、タルク、重質炭酸カルシウム、カオリ
ン、けいそう土、シリカ、アルミナ、アスベスト、グラ
ファイト等の無機充填剤の他、有機充填剤、酸化防止剤
(耐熱安定剤)、紫外線吸収剤(光安定剤)、帯電防止
剤、、難燃剤、滑剤(スリップ剤、アンチブロッキング
剤)、補強剤、着色剤(染料、顔料)、発泡剤、香料等
が挙げられる。
【0013】本発明のエチレン系共重合体と熱可塑性エ
ラストマーとの三層積層体を製造する方法は、通常共押
出成形法と呼ばれる方法が用いられる。具体的には、三
層構造を有するTダイと、これに直結した二台の押出成
形機を用いて、エチレン系共重合体と熱可塑性エラスト
マーを同時に多層押出成形する方法である。本製造方法
に依れば、エチレン系共重合体層と熱可塑性エラストマ
ー層との間の接着強度の極めて高い、三層積層体を製造
する事が可能となる。共押出成形時の成形温度に特に制
限はないが、一般に樹脂温度が160℃〜280℃の範
囲になる条件で行われるが、より好ましくは180℃〜
250℃の範囲である。三層積層体の厚み構成は用途に
依って自由に選ぶ事ができ、その厚み構成に従って、押
出機のスクリュー回転数、樹脂吐出量及び巻き取り機の
巻き取り速度等の条件が選択される。三層積層体の外層
を形成するエチレン系共重合体よりなる両接着層の厚み
は、特に制限はないもののあまりに薄すぎては高周波シ
ール後のシール強度が低下する場合があるため、5μm
より厚くすることが望ましい。
【0014】また、三層積層体の他の製造方法として
は、エチレン系共重合体と熱可塑性エラストマーとを同
時に多層射出成形する方法や、金型内に接着性樹脂を予
めインサートし、その後熱可塑性エラストマーをエチレ
ン系共重合体が外層となるように射出成形する二段射出
成形法によっても製造する事ができる。他の成形方法と
しては、エチレン系共重合体及び熱可塑性エラストマー
をインフレ成形またはTダイ成形によってフィルムまた
はシート化した後、ポリオレフィン系樹脂組成物と熱可
塑性エラストマーを熱プレスまたは熱ロールで加熱圧着
成形する方法や、熱可塑性エラストマーのフィルムまた
はシートに、エチレン系共重合体を両面ラミネート成形
する方法等が挙げられる。しかしこれらの方法では、特
に鉱物油系軟化剤を含む熱可塑性エラストマーとエチレ
ン系共重合体との界面接着強度が、共押出成形に依って
製造された積層体に比べて低く、また製造方法も極めて
複雑となる。
【0015】以上のようにして製造された三層積層体
は、高周波シール性を有する上に中間層の熱可塑性エラ
ストマーの効果により充分な柔軟性と強度を有するため
に、従来軟質塩化ビニルが高周波シール加工して用いら
れた様々な用途分野への利用が可能である。用途の具体
的な例としては、例えば自動車,船舶,列車等の座席シ
ートカバー、事務用椅子の表皮材料、ソファー用表皮材
料、自動車のサンバイザー表皮材料、各種手帳カバー用
シート材料、各種小物入れ、フレキシブルコンテナー用
シート材料、鞄用表皮材料等があげられる。
【0016】
【作用】本発明に関わるエチレン系共重合体は、高周波
シール性に優れる上に、ゴム用軟化剤を多量に含む熱可
塑性エラストマーにも良好な接着性を有している。従っ
て、本来高周波シール性のない熱可塑性エラストマーと
本発明に関わるエチレン系共重合体を共押出成形するこ
とによって得られる、熱可塑性エラストマーを中間層と
する3層積層体は、高周波シール特性の付与された柔軟
シート材料として広範な用途に用いることのできる有用
な材料である。
【0017】
【実施例】以下、参考例、実施例、及び比較例に依って
本発明を説明する。
【0018】<参考例1>高圧法低密度ポリエチレンプ
ラントの設備を利用し、重合温度240℃、重合圧力1
900Kg/cm2 の条件で、エチレン−酢酸ビニル−
無水マレイン酸3元共重合体であるエチレン系共重合体
(A)を製造した。このエチレン系共重合体のMFR
(JIS−K7210,表1,条件4)は30g/10
分、酢酸ビニルに由来する単位の含量は15重量%、無
水マレイン酸に由来する単位の含量は0.8重量%であ
った。なおコモノマーの組成は赤外吸収スペクトルによ
り決定した。
【0019】<参考例2>高圧法低密度ポリエチレンプ
ラントの設備を利用し、重合温度200℃、重合圧力1
900Kg/cm2 の条件で、エチレン−メタクリル酸
メチル−無水マレイン酸3元共重合体であるエチレン系
共重合体(B)を製造した。このエチレン系共重合体の
MFR(JIS−K7210,表1,条件4)は80g
/10分、メタクリル酸メチルに由来する単位の含量は2
5重量%、無水マレイン酸に由来する単位の含量は3.
8重量%であった。なおコモノマーの組成は赤外吸収ス
ペクトルにより決定した。
【0020】<参考例3>高圧法低密度ポリエチレンプ
ラントの設備を利用し、重合温度190℃、重合圧力1
900Kg/cm2 の条件で、エチレン−アクリル酸メ
チル−無水マレイン酸3元共重合体であるエチレン系共
重合体(C)を製造した。このエチレン系共重合体のM
FR(JIS−K7210,表1,条件4)は12g/
10分、アクリル酸メチルに由来する単位の含量は16重
量%、無水マレイン酸に由来する単位の含量は2.5重
量%であった。なおコモノマーの組成は赤外吸収スペク
トルにより決定した。
【0021】<参考例4>高圧法低密度ポリエチレンプ
ラントの設備を利用し、重合温度220℃、重合圧力1
800Kg/cm2 の条件で、エチレン−アクリル酸エ
チル−無水マレイン酸3元共重合体であるエチレン系共
重合体(D)を製造した。このエチレン系共重合体のM
FR(JIS−K7210,表1,条件4)は8g/10
分、アクリル酸エチルに由来する単位の含量は35重量
%、無水マレイン酸に由来する単位の含量は1.8重量
%であった。なおコモノマーの組成は赤外吸収スペクト
ルにより決定した。
【0022】<参考例5>高圧法低密度ポリエチレンプ
ラントの設備を利用し、重合温度220℃、重合圧力2
000Kg/cm2 の条件で、エチレン−酢酸ビニル−
無水マレイン酸3元共重合体であるエチレン系共重合体
(E)を製造した。このエチレン系共重合体のMFR
(JIS−K7210,表1,条件4)は10g/10
分、酢酸ビニルに由来する単位の含量は5重量%、無水
マレイン酸に由来する単位の含量は2.4重量%であっ
た。なおコモノマーの組成は赤外吸収スペクトルにより
決定した。
【0023】<参考例6>スチレン−ブタジエンブロッ
ク共重合体の水素添加物(数平均分子量170,00
0、スチレン含量33重量%、ポリブタジエン部の水素
添加率97%)100重量部、ブロックポリプロピレン
[エチレン含有量13重量%、MFR(JIS K72
10,表1,条件14)30g/10分]50重量部、
及びナフテン系軟化剤50重量部を、二軸押出機により
200℃で溶融混練してペレットとした。これを熱可塑
性エラストマー(1)とした。
【0024】<参考例7>スチレン−イソプレンブロッ
ク共重合体の水素添加物(数平均分子量70,000、
スチレン含量30重量%、ポリイソプレン部の水素添加
率99%)100重量部、ランダムポリプロピレン[エ
チレン含有量4重量%、MFR(JISK7210,表
1,条件14)15g/10分]200重量部、及びナ
フテン系軟化剤10重量部を、二軸押出機により200
℃で溶融混練してペレットとした。これを熱可塑性エラ
ストマー(2)とした。
【0025】<参考例8>スチレン−ブタジエンブロッ
ク共重合体の水素添加物(数平均分子量130,00
0、スチレン含量30重量%、ポリブタジエン部の水素
添加率98%)100重量部、高密度ポリエチレン[曲
げ弾性率(JIS K7203)11000kg/c
2 、MFR(JIS K7210,表1,条件4)2
0g/10分]100重量部、及びパラフィン系軟化剤
100重量部を、二軸押出機により200℃で溶融混練
してペレットとした。これを熱可塑性エラストマー
(3)とした。
【0026】<実施例1>参考例1のエチレン系共重合
体(A)からなる接着性樹脂と参考例6の熱可塑性エラ
ストマー(1)を、35mmφのスクリューを装着した
押出機2台と三層T型ダイスを有するシート成形機を用
い、T型ダイス部温度210℃にて、厚さ400μm
(厚み構成:(A)/(1)/(A)=50μm/30
0μm/50μm)の三層シートを得た。得られた三層
シートのエチレン系共重合体と熱可塑性エラストマー層
の界面の剥離強度は剥離不能で測定できなかった。本三
層シートを二枚重ねとし、高周波シール装置(シールバ
ー:長さ30cm、巾5mm、シール圧力:2kg/c
2 )を用い、電流値0.35A、シール時間4秒で高
周波シールした。このサンプルを恒温室中温度23℃、
湿度60%で24時間状態調節後15mm幅に切断し、
引張り試験機で180゜剥離強度を測定(引張り速度=
300mm/分)した。その結果、剥離強度は2460
g/15mmであり、極めて良好な高周波シール適性を
有することが判った。
【0027】<実施例2〜10>表1に示す層構成で、
実施例1と同様の方法で三層シートを作成した。得られ
た三層シートの層間剥離強度及び高周波シール性を測定
した結果を、表1にまとめた。
【0028】<比較例1>実施例1においてエチレン系
共重合体(A)の代わりに、エチレン−酢酸ビニル二元
共重合体(EVA:MFR(JIS−K7210,表
1,条件4)12g/10分、酢酸ビニルに由来する単位
が12重量%)を用いた他は、実施例1と同様にして厚
さ400μm(厚み構成:EVA/(1)/EVA=5
0μm/300μm/50μm)の三層シートを得た。
得られた三層シートを恒温室中温度23℃、湿度60%
で24時間状態調節後15mm幅に切断し、引張り試験
機で180゜剥離強度を測定(引張り速度=300mm
/分)した。その結果、EVAと熱可塑性エラストマー
層の界面の剥離強度は310g/15mmであり、層間
接着強度は不十分なものであった。次いで本三層シート
を二枚重ねとし、高周波シール装置(シールバー:長さ
30cm、巾5mm、シール圧力:2kg/cm2 )を
用い、電流値0.35A、シール時間4秒で高周波シー
ルした。このサンプルを恒温室中温度23℃、湿度60
%で24時間状態調節後15mm幅に切断し、引張り試
験機で180゜剥離強度を測定(引張り速度=300m
m/分)した。その結果、EVAと熱可塑性エラストマ
ー層の界面の剥離強度は280g/15mmと弱く、高
周波シールには適さないことがわかった。
【0029】<比較例2〜4>表1に示す層構成で、実
施例1と同様にして三層シートを作成した。得られた三
層シートの層間剥離強度及び高周波シール性を測定した
結果を、表1にまとめた。何れの三層シートも高周波シ
ールに適さないことがわかった。
【0030】
【表1】
【0031】
【発明の効果】各実施例で具体的に示したように、本発
明に関わるエチレン系共重合体を用いて共押出成形すれ
ば、従来接着性に乏しい熱可塑性エラストマーに極めて
強固に接着した三層積層体が得られる。しかもその三層
積層体は良好な高周波シール適正を有しており、環境問
題等から近年特に問題となっている軟質ポリ塩化ビニー
ル材料に代わり得る有用な材料である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中間層が(1)スチレン系熱可塑性エラ
    ストマーであり、該中間層に隣接する他の2層が(2)
    エチレンとラジカル重合性酸無水物及びこれ以外のラジ
    カル重合性コモノマーからなる多元共重合体であるエチ
    レン系共重合体であって (a) エチレンに由来する単位 50〜99重量% (b) ラジカル重合性酸無水物に由来する単位 0.1〜5重量% (c) 他のラジカル重合性コモノマーに由来する単位 10〜50重量% からなることを特徴とする高周波シールが可能な三層積
    層体。
  2. 【請求項2】 (1)スチレン系熱可塑性エラストマー
    及び、(2)エチレンとラジカル重合性酸無水物及びこ
    れ以外のラジカル重合性コモノマーからなる多元共重合
    体であるエチレン系共重合体を共押出成形することを特
    徴とする、請求項1記載の三層積層体の製造方法。
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