JPH07176290A - イオン注入装置 - Google Patents

イオン注入装置

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JPH07176290A
JPH07176290A JP34523593A JP34523593A JPH07176290A JP H07176290 A JPH07176290 A JP H07176290A JP 34523593 A JP34523593 A JP 34523593A JP 34523593 A JP34523593 A JP 34523593A JP H07176290 A JPH07176290 A JP H07176290A
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ion beam
coil
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reflector electrode
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Yasuaki Nishigami
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Nissin Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ハイブリッドスキャン方式のイオン注入装置
において、そのイオンビームの走査位置にかかわらず常
に、プラズマをイオンビームの近傍に供給して、当該プ
ラズマ中の電子によってイオンビーム照射に伴う基板の
帯電を効果的に抑制することができるようにする。 【構成】 基板を保持するホルダの上流側に、イオンビ
ーム2のX方向の走査領域3の外側を取り囲む筒状の非
磁性体から成るリフレクタ電極64を設け、それにリフ
レクタ電源66から負電圧を印加するようにした。リフ
レクタ電極64の一端部64aの外側近傍に、プラズマ
54を生成してそれをリフレクタ電極64内へ供給する
プラズマ源として、第1プラズマ生成容器30および第
2プラズマ生成容器48を設けた。第2プラズマ生成容
器48の外側付近に、前記X方向に沿う磁束70を発生
させるプラズマガイド用コイル68を設け、それにプラ
ズマガイド用コイル電源72を接続し、それを制御回路
74によって制御して、コイル電流Iをイオンビーム2
のX方向の走査に同期して制御するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、イオンビームを電気
的に走査すると共に、基板をイオンビームの走査方向と
実質的に直交する方向に機械的に走査して基板にイオン
注入を行う、いわゆるハイブリッドスキャン方式のイオ
ン注入装置に関し、より具体的には、その基板の帯電
(チャージアップ)を抑制する手段の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】ハイブリッドスキャン方式のイオン注入
装置は、例えば特開平4−22900号公報等に開示さ
れているが、その一例を図3に示す。
【0003】このイオン注入装置は、図示しないイオン
源から引き出され、かつ必要に応じて質量分析、加速等
が行われたスポット状のイオンビーム2を、走査電源1
6から互いに180度位相の異なる走査電圧が印加され
る二組の走査電極4および6の協働によってX方向(例
えば水平方向。以下同じ)に静電的に高速度で平行走査
(パラレルスキャン)し、これをホルダ10に保持され
た基板(例えばウェーハ)8に照射してイオン注入を行
うよう構成されている。
【0004】走査電源16は、この例では、互いに18
0度位相の異なる三角波状の走査電圧+Vおよび−Vを
出力するものであり、三角波状の走査信号Sを発生する
走査信号発生器18と、それからの走査信号Sを昇圧し
て互いに逆極性の走査電圧+Vおよび−Vをそれぞれ出
力する高圧増幅器20および22とを備えている。
【0005】一方、基板8を保持するホルダ10をアー
ム12に取り付け、このアーム12を可逆転式のモータ
(例えばダイレクトドライブモータ)14によって矢印
Rのように揺動回転させることによって、ホルダ10を
イオンビーム2の走査領域3において、前記X方向と実
質的に直交するY方向(例えば垂直方向。以下同じ)に
機械的に走査するようにしている。これと、イオンビー
ム2の前記走査との協働(ハイブリッドスキャン)によ
って、基板8の全面に均一にイオン注入が行われるよう
にしている。
【0006】なお、ハイブリッドスキャン方式の場合、
イオンビーム2を磁場によって走査する場合もある。ま
た、イオンビーム2を必ずしもこの例のように平行走査
しない場合もある。また、ホルダ10を前記Y方向に往
復直線運動させる場合もある。
【0007】ところで、基板にイオン注入を行う場合、
イオンビームの照射に伴って基板の表面が、特に当該表
面が絶縁物の場合、正に帯電して放電等の不具合が発生
する問題がある。
【0008】このような基板の帯電を防止する手段とし
ては、従来、例えば特開平1−279560号公報等に
も開示されているように、二次電子を利用する方式のも
のが提案されている。
【0009】これは、簡単に言えば、基板の上流側に設
けられているファラデーカップの側部に設けたフィラメ
ントから放出させた一次電子を高エネルギー(例えば3
00eV程度)に加速してそれをファラデーカップの対
向壁に衝突させてそこから二次電子を放出させ、この二
次電子をイオンビーム照射領域における基板に供給して
その表面でのイオンビームによる正電荷を中和させるも
のである。
【0010】ところが、この方式の場合、基板に入射す
る電子には、低エネルギーの二次電子の他に、ファラデ
ーカップ表面で跳ね返った高エネルギーの一次電子も混
ざっており、これが基板に逆に負の帯電を惹き起こし、
それによって基板上で絶縁破壊を生じさせる恐れがある
という問題がある。
【0011】このような高エネルギー電子が基板に入射
する問題を解決する手段として、基板の上流側であって
イオンビームの通過領域の近傍にプラズマ源を設けてそ
れからイオンビームの近傍にプラズマを供給し、このプ
ラズマ中の低エネルギーの電子をイオンビーム中に当該
イオンビームの電位によって引き込ませてイオンビーム
と共に基板に供給し、それで基板の帯電を防止するとい
う、いわゆるプラズマシャワー方式が提案されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記プラズ
マシャワー方式では、プラズマ中の電子をイオンビーム
中にその電位によって引き込ませるため、プラズマをイ
オンビームのできるだけ近傍に供給しなければならず、
そのためこの方式は、イオンビームを走査せずにイオン
ビームの位置が固定した方式のイオン注入装置には有効
であるが、前述したハイブリッドスキャン方式のイオン
注入装置のように、イオンビームを高速で走査する方式
のイオン注入装置には単純に適用することができないと
いう問題がある。
【0013】なぜなら、イオンビームを高速で走査する
場合、イオンビームがプラズマ源の近くに走査されて来
た時は、プラズマをイオンビームの近傍に供給すること
ができるので、プラズマ中の電子をイオンビーム中にそ
の電位によって引き込ませることができるけれども、イ
オンビームがプラズマ源から遠ざかった場所に走査され
た時は、プラズマをイオンビームの近傍に供給すること
はできないので、プラズマ中の電子をイオンビーム中に
その電位によって引き込ませることはできないからであ
る。
【0014】そこでこの発明は、ハイブリッドスキャン
方式の装置であって、そのイオンビームの走査位置にか
かわらず常に、プラズマをイオンビームの近傍に供給し
て、当該プラズマ中の電子によってイオンビーム照射に
伴う基板の帯電を効果的に抑制することができるように
したイオン注入装置を提供することを主たる目的とす
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明のイオン注入装置は、前記ホルダの上流側
近傍に設けられていて、イオンビームの前記X方向の走
査領域の外側を取り囲む筒状の非磁性体から成るリフレ
クタ電極と、このリフレクタ電極の前記X方向の一端部
の外側近傍に設けられていて、プラズマを生成してそれ
を当該一端部からリフレクタ電極の内側へ供給するプラ
ズマ源と、このプラズマ源の出口付近から前記リフレク
タ電極の前記一端部付近にかけての部分を取り囲むよう
に巻かれていて、同プラズマ源の出口付近からイオンビ
ームの走査領域内にかけて前記X方向に沿う磁束を発生
させるプラズマガイド用コイルと、前記リフレクタ電極
の前記一端部に対向する他端部付近に前記プラズマガイ
ド用コイルに対向するように設けられた磁性体部材と、
前記リフレクタ電極に負電圧を印加するリフレクタ電源
と、前記プラズマガイド用コイルにコイル電流を供給す
るプラズマガイド用コイル電源と、前記イオンビームの
前記X方向の走査に同期して、イオンビームがその走査
領域の前記プラズマ源側の端部にあるときは前記コイル
電流を弱く、その反対側の端部にあるときは同コイル電
流を強くするように前記プラズマガイド用コイル電源を
制御する制御回路とを備えることを特徴とする。
【0016】
【作用】上記構成によれば、プラズマガイド用コイル電
源からプラズマガイド用コイルに供給されるコイル電流
がイオンビームの走査に同期して変化させられるので、
プラズマガイド用コイルによる磁場強度は、イオンビー
ムの走査に同期して変化させられる。
【0017】プラズマは磁束があればその磁束にガイド
されてその磁束に沿って輸送されるので、プラズマガイ
ド用コイルによる磁場強度を上記のようにイオンビーム
の走査に同期させて変化させれば、プラズマ源から供給
されるプラズマは、イオンビームの走査位置にかかわら
ず常に、イオンビームの近傍に供給される。
【0018】その結果、イオンビームの走査位置にかか
わらず常に、プラズマ中の電子はイオンビームの電位に
よってイオンビーム中に引き込まれてイオンビームと共
に基板に到達することになり、それによってイオンビー
ム照射に伴う基板の帯電を効果的に抑制することができ
る。
【0019】上記の場合、リフレクタ電源から負電圧が
印加されるリフレクタ電極は、プラズマ中のイオンを捕
獲すると共に電子を中央の方へ押し返す働きをする。従
って、プラズマ中の電子をより効率的にイオンビーム中
に供給することができる。
【0020】また、磁性体部材は、プラズマガイド用コ
イルからの磁束を引き込む働きをするので、プラズマガ
イド用コイルからの磁束の広がりを抑えて、同磁束を、
イオンビームの走査領域の広い範囲に亘ってその走査方
向に平行に近づけることができる。従って、同磁束によ
るプラズマのイオンビーム走査方向に沿う輸送をより効
率的に行うことができる。
【0021】
【実施例】図1は、この発明に係るイオン注入装置にお
けるプラズマ源周りの一例を示す断面図である。この図
はイオンビーム2の進行方向の後ろから見た図である。
イオン注入装置としての構成は、例えば先に図3で説明
したものと同様であるので、それを参照するものとす
る。
【0022】この実施例では、図3に示したホルダ10
のすぐ上流側11の部分に、イオンビーム2の前記X方
向の走査領域3の外側を取り囲む筒状のリフレクタ電極
64を設けている。このリフレクタ電極64は、非磁性
体から成る。
【0023】なお、イオンビーム2は、この例では細長
いスポット状をしており、図のようにその走査領域3の
一端3aから他端3bまで往復走査される。
【0024】このリフレクタ電極64の上記一端3a側
の一端部64aの外側近傍に、プラズマ54を生成して
それを当該一端部64aからリフレクタ電極64の内側
へ供給するプラズマ源が設けられている。
【0025】このプラズマ源は、この実施例ではいわゆ
るデュオプラズマトロン方式のものであり、第1プラズ
マ生成容器30および第2プラズマ生成容器48を有し
ている。
【0026】第1プラズマ生成容器30は、そのリフレ
クタ電極64側の部分に小孔32を有しており、内部に
例えばキセノンガス等の電離用のガス36が導入され
る。また、この第1プラズマ生成容器30内にこの実施
例ではフィラメント34を有しており、それの加熱用の
フィラメント電源38がその両端に接続されている。こ
の第1プラズマ生成容器30は、この実施例では磁性体
から成る。
【0027】第1プラズマ生成容器30の小孔32の出
口側近傍には、この小孔32に対向する小孔52を有
し、その反対側がリフレクタ電極64の前記一端部64
a内に挿入されていて開いている第2プラズマ生成容器
48が設けられている。この第2プラズマ生成容器48
を構成する入口側板50は、この実施例では磁性体から
成り、上記小孔52を有しており、かつ後述するプラズ
マガイド用コイル68の外周部付近まで広がっている。
第2プラズマ生成容器48の入口側板50以外の部分は
非磁性体から成る。
【0028】第1プラズマ生成容器30と第2プラズマ
生成容器48との間および第2プラズマ生成容器48と
リフレクタ電極64との間は、リング状の絶縁物46お
よび62によってそれぞれ絶縁されている。
【0029】第1プラズマ生成容器30の出口付近から
第2プラズマ生成容器48の入口付近にかけての部分を
取り囲むように、プラズマ生成用コイル58が巻かれて
おり、それにプラズマ生成用コイル電源60が接続され
ている。
【0030】第2プラズマ生成容器48と(より具体的
にはその入口側板50と)フィラメント34との間に
は、第2プラズマ生成容器48側を正側にして、直流の
プラズマ生成用電源40が接続されている。このプラズ
マ生成用電源40の出力電圧は、例えば35V程度以下
に設定される。入口側板50はこの実施例では接地され
ている。
【0031】第2プラズマ生成容器48と第1プラズマ
生成容器30との間、換言すればプラズマ生成用電源4
0の正側と第1プラズマ生成容器30との間には、制限
抵抗56が接続されている。この制限抵抗56の値は、
例えば150Ω程度である。
【0032】第2プラズマ生成容器48の出口付近から
リフレクタ電極64の一端部64aの内側付近にかけて
の部分を取り囲むようにプラズマガイド用コイル68が
巻かれており、それに、コイル電流Iを供給する直流の
電圧可変のプラズマガイド用コイル電源72が接続され
ている。
【0033】このプラズマガイド用コイル電源72の出
力電流であるコイル電流Iは、制御回路74によって次
のように制御される。即ち、制御回路74は、イオンビ
ーム2の前記X方向の走査に同期して、イオンビーム2
がその走査領域3の前記一端3a側にある時はコイル電
流Iを弱く、イオンビーム2がその反対側の他端3b側
にある時は同コイル電流Iを強くするようにプラズマガ
イド用コイル電源72を制御する。
【0034】より具体的には、図3で説明した走査信号
発生器18から出力される走査信号Sは、例えば図2に
示すような三角波状をしており、それが負側のピークに
ある時にはイオンビーム2はその走査領域3の前記一端
3aに来るように走査され、走査信号Sが正側のピーク
にある時はイオンビーム2は前記他端3bに来るように
走査される。制御回路74はこのような走査信号Sを用
いてプラズマガイド用コイル電源72を制御して、この
走査信号Sの波形に相似形のコイル電流Iをプラズマガ
イド用コイル電源72から出力させる。これによって、
コイル電流Iを上記のようにイオンビーム2のX方向の
走査に同期して制御することができる。
【0035】リフレクタ電極64と接地された入口側板
50との間には、リフレクタ電極64に負電圧を印加す
るリフレクタ電源66が接続されている。このリフレク
タ電源66の出力電圧は、リフレクタ電極64内に導入
されるプラズマ54中の電子を押し返すに足りる電圧、
例えば20V程度にしている。
【0036】リフレクタ電極64の前記一端部64aに
対向する他端部64b付近には、前記プラズマガイド用
コイル68に対向するように磁性体部材76が設けられ
ている。
【0037】プラズマ生成用コイル58からの磁束は、
磁性体から成る第1プラズマ生成容器30、その小孔3
2付近、磁性体から成る入口側板50の小孔52付近お
よび入口側板50の経路で閉ループを作る。
【0038】プラズマガイド用コイル68からの磁束7
0は、図示のように、磁性体から成る入口側板50、そ
の小孔52付近、リフレクタ電極64の内部および磁性
体部材76の経路で閉ループを作る。
【0039】このイオン注入装置の動作例を説明する
と、第2プラズマ生成容器48と第1プラズマ生成容器
30とは制限抵抗56を介して接続されており、第1プ
ラズマ生成容器30内でプラズマ42が点灯するまで
は、第2プラズマ生成容器48と第1プラズマ生成容器
30とは同電位になっており、第1プラズマ生成容器3
0とフィラメント34間にはプラズマ生成用電源40か
らその出力電圧がそのまま印加される。従って、フィラ
メント34から放出された熱電子は、上記出力電圧によ
って第1プラズマ生成容器30側に引き寄せられ、その
途中で、第1プラズマ生成容器30内に導入されたガス
36と衝突してそれを電離させ、これによって第1プラ
ズマ生成容器30内にプラズマ42が生成される。この
とき、プラズマ生成用コイル58の磁束が小孔32付近
でもその軸方向に沿うように発生されているので、この
磁束がプラズマ42の発生および維持に寄与する。
【0040】上記のようにして第1プラズマ生成容器3
0内でプラズマ42が生成されると、このプラズマ42
を通して第1プラズマ生成容器30とフィラメント34
間に電流が流れるので、制限抵抗56において電圧降下
が生じ、第2プラズマ生成容器48と第1プラズマ生成
容器30間に例えば十数V程度の電位差が生じる。これ
によって、第1プラズマ生成容器30に印加される電圧
が下がるので、第1プラズマ生成容器30内に生成され
るプラズマ42は比較的薄いものとなる。
【0041】第2プラズマ生成容器48と第1プラズマ
生成容器30間には上記電位差が生じているので、それ
による加速電界によって、第1プラズマ生成容器30内
のプラズマ42中の電子44は、第2プラズマ生成容器
48内に引き出される。この電子44のエネルギーは、
例えば30eV程度の低エネルギーであるが、プラズマ
生成用コイル58の磁束が小孔32付近から小孔52付
近にかけてそれらの軸方向に沿うように発生されている
ので、電子44はこの磁束にガイドされて第2プラズマ
生成容器48内に効率良く引き出される。
【0042】第2プラズマ生成容器48内には、第1プ
ラズマ生成容器30側からガス36が流れ込んで来てお
り、第2プラズマ生成容器48内に引き出された電子4
4はこのガスと衝突してそれを電離させ、この第2プラ
ズマ生成容器48内で再びプラズマ54が作られる。こ
の第2プラズマ生成容器48内には、プラズマガイド用
コイル68によってその軸方向に沿うように磁束70が
発生されていて、第2プラズマ生成容器48内では電子
44は磁束70の周りを旋回運動する過程でガス分子と
多重衝突するので、ガス36の電離能率が高く、従って
第2プラズマ生成容器48内では、第1プラズマ生成容
器30内のプラズマ42よりも高密度の(例えば3〜4
倍程度の高密度の)プラズマ54が生成される。
【0043】つまり、この実施例のようにプラズマ源
に、二つのプラズマ生成容器30および48を用いるこ
とによって次のような効果が得られる。即ち、リフレク
タ電極64内に十分な量の電子を供給するためには、プ
ラズマの密度も濃いものにしなければならない。その場
合仮に、第2プラズマ生成容器48を設けずに、第1プ
ラズマ生成容器30内で濃いプラズマ42を作りこれを
リフレクタ電極64内へ供給しようとすると、そのため
にはフィラメント34から放出させる電子の量およびプ
ラズマ生成用のガス36の量を増加させる必要がある。
しかしながら、そのようにすると、フィラメント34の
消耗が早まり、しかも多量のガス36がリフレクタ電極
64内へ漏れ出るため、イオンビーム2の通過経路の真
空度も悪化してしまう。
【0044】これに対して、この実施例では、第1プラ
ズマ生成容器30内で生成するプラズマ42は薄いもの
で良く、このプラズマ42中の電子44を利用して第2
プラズマ生成容器48内で濃いプラズマ54を生成さ
せ、それを引き出してリフレクタ電極64内へ供給する
ようにしている。その結果、フィラメント34から放出
させる電子の量を少なくすることができるので、フィラ
メント34の消耗を遅くしてその寿命を長くすることが
できる。しかも、第1プラズマ生成容器30内に供給す
るガス36の量を少なくすることができると共に、第1
プラズマ生成容器30から第2プラズマ生成容器48内
へ漏れ出たガス36をそこで再びプラズマ化するので、
また小孔32および52においてガスに対するコンダク
タンスが十分に低下するので、リフレクタ電極64内へ
漏れ出るガスの量は非常に少なく、従ってイオンビーム
2の通過経路の真空度低下(即ちガス圧上昇)を非常に
小さく抑えることができる。その結果、イオンビーム2
とガス分子とが衝突して中性粒子が発生して注入量誤差
等の不具合が生じるのを防止することができる。
【0045】上記のようにして第2プラズマ生成容器4
8内で生成されたプラズマ54は、プラズマガイド用コ
イル68による磁束70にガイドされて、リフレクタ電
極64内へ導入される。
【0046】イオン注入の際、イオンビーム2は上記の
ようにその走査領域3の一端3aから他端3b間を往復
走査されている訳であるが、このイオン注入装置では、
前述したようにプラズマガイド用コイル68に供給され
るコイル電流Iがイオンビーム2の走査に同期して変化
させられるので、プラズマガイド用コイル68による磁
場強度は、イオンビーム2の走査に同期して変化させら
れる。
【0047】プラズマは磁束があればその磁束にガイド
されてその磁束に沿って輸送されるので、プラズマガイ
ド用コイル68による磁場強度を上記のようにイオンビ
ーム2の走査に同期させて変化させれば、第2プラズマ
生成容器48からリフレクタ電極64内に供給されるプ
ラズマ54は、プラズマガイド用コイル68による磁束
70によって、イオンビーム2の走査位置にかかわらず
常に、イオンビーム2の近傍に供給される。
【0048】即ち、イオンビーム2が走査領域3の一端
3a側にある時は、プラズマガイド用コイル68による
磁場強度は最小になるので、プラズマ54は磁束70に
よって遠くへ導かれることなくすぐ近くに来ているイオ
ンビーム2の近傍に導かれる。また、イオンビーム2が
走査領域3の他端3bにある時は、プラズマガイド用コ
イル68による磁場強度は最大になるので、プラズマ5
4は磁束70によって遠くまで導かれ、遠くにあるイオ
ンビーム2の近傍に導かれる。
【0049】その結果、イオンビーム2を高速に走査し
てもその走査位置にかかわらず常に、プラズマ54中の
電子はイオンビーム2の電位によってイオンビーム2中
に引き込まれてイオンビーム2と共にホルダ10上の基
板8に到達することになり、それによってイオンビーム
照射に伴う基板8の帯電を効果的に抑制することができ
る。即ち、プラズマ54中の低エネルギー電子による基
板8の帯電防止を、ハイブリッドスキャン方式のイオン
注入装置に効果的に適用することができる。
【0050】上記プラズマ54中の電子による基板8の
帯電防止作用をより詳しく説明すると、基板8が帯電し
ている場合はそれによってイオンビーム2の軸方向に電
位勾配が生じるため、イオンビーム2内に引き込まれた
電子は、この電位勾配によって基板8に引き寄せられ、
それによって基板表面のイオンビーム照射に伴う正電荷
を中和する。正電荷が中和されれば、電子の基板8への
引き込みは自動的に止む。このようにして、電子が基板
8に過不足なく供給される。
【0051】しかも、プラズマ54中の電子は低エネル
ギーであり、電子による基板表面の電位は、そこに入射
される電子のエネルギーより負側に高くならないので、
上記のようにして低エネルギーの電子を基板8に導くこ
とにより、基板8の負の帯電をも抑制することができ
る。
【0052】以上のような作用によって、イオンビーム
2が高速に作用されている場合でも、低エネルギーの電
子を基板8に過不足なく供給することができるので、イ
オンビーム照射に伴う基板8の帯電を効果的に抑制する
ことができる。
【0053】また、上記の場合、リフレクタ電源66か
ら負電圧が印加されるリフレクタ電極64は、プラズマ
54中のイオンを捕獲すると共に、電子を中央の方へ押
し返す働きをする。従って、プラズマ54中の電子をよ
り効率的にイオンビーム2中に供給することができ、こ
のこともイオンビーム照射に伴う基板の帯電を効果的に
抑制することに寄与する。
【0054】また、磁性体部材76は、プラズマガイド
用コイル68からの磁束70を引き込む働きをするの
で、プラズマガイド用コイル68からの磁束70の広が
りを抑えて、同磁束70を、イオンビーム2の走査領域
3の広い範囲に亘ってその走査方向に平行に近づけるこ
とができる。従って、磁束70によるプラズマ54のイ
オンビーム走査方向に沿う輸送をより効率的に行うこと
ができ、このこともイオンビーム照射に伴う基板の帯電
を効果的に抑制することに寄与する。
【0055】なお、第1プラズマ生成容器30では、上
記例のようにフィラメント34を用いる代わりに、マイ
クロ波放電やECR(電子サイクロトロン共鳴)放電を
用いてプラズマ42を発生させるようにしても良い。
【0056】また、プラズマ源としては、この実施例の
ように第1プラズマ生成容器30および第2プラズマ生
成容器48内で2段階にプラズマを発生させる方式のも
のが、前述したように濃いプラズマ54を発生させるこ
とができる等の利点を有しているので好ましいけれど
も、それに限定されるものではなく、他の方式のもの、
例えば一つのプラズマ生成容器を有する通常のプラズマ
源でも良い。
【0057】また、この発明は、イオンビーム2を磁場
によって走査するイオン注入装置、イオンビーム2を平
行走査せずに広がり角度を持って走査するイオン注入装
置、更にはホルダ10を前記Y方向に往復直線運動させ
るイオン注入装置にも勿論適用することができる。
【0058】
【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、プラズ
マガイド用コイルによる磁場強度を、イオンビームの走
査に同期して変化させるようにしたので、プラズマ源か
ら供給されるプラズマを、イオンビームの走査位置にか
かわらず常に、イオンビームの近傍に供給することがで
きる。その結果、イオンビームの走査位置にかかわらず
常に、プラズマ中の電子はイオンビームの電位によって
イオンビーム中に引き込まれてイオンビームと共に基板
に到達することになり、それによってイオンビーム照射
に伴う基板の帯電を効果的に抑制することができる。
【0059】また、リフレクタ電源から負電圧が印加さ
れるリフレクタ電極は、プラズマ中のイオンを捕獲する
と共に電子を中央の方へ押し返す働きをするので、プラ
ズマ中の電子をより効率的にイオンビーム中に供給する
ことができ、このこともイオンビーム照射に伴う基板の
帯電を効果的に抑制することに寄与する。
【0060】また、磁性体部材は、プラズマガイド用コ
イルからの磁束を引き込む働きをして、同磁束をイオン
ビームの走査領域の広い範囲に亘ってその走査方向に平
行に近づけることができるので、同磁束によるプラズマ
のイオンビーム走査方向に沿う輸送をより効率的に行う
ことができ、このこともイオンビーム照射に伴う基板の
帯電を効果的に抑制することに寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るイオン注入装置におけるプラズ
マ源周りの一例を示す断面図である。
【図2】イオンビームの走査位置と、走査信号およびコ
イル電流との関係の一例を示す図である。
【図3】ハイブリッドスキャン方式のイオン注入装置の
一例を部分的に示す斜視図である。
【符号の説明】
2 イオンビーム 3 走査領域 4,6 走査電極 8 基板 10 ホルダ 14 モータ 30 第1プラズマ生成容器 42 プラズマ 48 第2プラズマ生成容器 54 プラズマ 64 リフレクタ電極 66 リフレクタ電源 68 プラズマガイド用コイル 70 磁束 72 プラズマガイド用コイル電源 74 制御回路 76 磁性体部材

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イオンビームをX方向に電気的に走査す
    ると共に、基板を保持するホルダをX方向と実質的に直
    交するY方向に機械的に走査して、ホルダ上の基板にイ
    オン注入を行う構成のイオン注入装置において、前記ホ
    ルダの上流側近傍に設けられていて、イオンビームの前
    記X方向の走査領域の外側を取り囲む筒状の非磁性体か
    ら成るリフレクタ電極と、このリフレクタ電極の前記X
    方向の一端部の外側近傍に設けられていて、プラズマを
    生成してそれを当該一端部からリフレクタ電極の内側へ
    供給するプラズマ源と、このプラズマ源の出口付近から
    前記リフレクタ電極の前記一端部付近にかけての部分を
    取り囲むように巻かれていて、同プラズマ源の出口付近
    からイオンビームの走査領域内にかけて前記X方向に沿
    う磁束を発生させるプラズマガイド用コイルと、前記リ
    フレクタ電極の前記一端部に対向する他端部付近に前記
    プラズマガイド用コイルに対向するように設けられた磁
    性体部材と、前記リフレクタ電極に負電圧を印加するリ
    フレクタ電源と、前記プラズマガイド用コイルにコイル
    電流を供給するプラズマガイド用コイル電源と、前記イ
    オンビームの前記X方向の走査に同期して、イオンビー
    ムがその走査領域の前記プラズマ源側の端部にあるとき
    は前記コイル電流を弱く、その反対側の端部にあるとき
    は同コイル電流を強くするように前記プラズマガイド用
    コイル電源を制御する制御回路とを備えることを特徴と
    するイオン注入装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100442990B1 (ko) * 1995-06-12 2004-10-28 지멕 컨설팅 인코포레이티드 중첩정적및시변자계를생성하는시스템및방법
US6815697B2 (en) 2002-03-27 2004-11-09 Sumitomo Eaton Nova Corporation Ion beam charge neutralizer and method therefor
KR101018555B1 (ko) * 2007-10-11 2011-03-03 어플라이드 머티어리얼스, 인코포레이티드 이온 빔 안내관
JP2019062069A (ja) * 2017-09-26 2019-04-18 株式会社ニューフレアテクノロジー 荷電粒子ビーム照射装置及び基板の帯電低減方法

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