JPH07176102A - 光磁気記録方法及び光磁気記録装置 - Google Patents

光磁気記録方法及び光磁気記録装置

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JPH07176102A
JPH07176102A JP31989793A JP31989793A JPH07176102A JP H07176102 A JPH07176102 A JP H07176102A JP 31989793 A JP31989793 A JP 31989793A JP 31989793 A JP31989793 A JP 31989793A JP H07176102 A JPH07176102 A JP H07176102A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 光磁気記録層が、少なくとも希土類金属−遷
移金属合金からなる第1磁性層、第2磁性層で構成さ
れ、第1磁性層、第2磁性層は、室温からキュリー点ま
で垂直磁化となる特性を示し、第2磁性層は、第1磁性
層よりも高いキュリー点を有し、室温での保磁力が第1
磁性層よりも低い光磁気記録媒体を用いて、初期化磁界
により初期化した後、記録磁界を印加しながら、強度変
調されたレーザ光を照射することによりオーバーライト
記録する光磁気記録方法において、上記の初期化磁界、
記録磁界を光磁気記録媒体にほぼ平行に磁化された1個
の外部磁界発生手段により発生させることを特徴とす
る。 【効果】 初期化磁界、記録磁界を光磁気記録媒体にほ
ぼ平行に磁化された1個の外部磁界発生手段により発生
させるので、装置が小型になり、コストを低減できると
いう効果を奏する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光学的に情報の記録、再
生、消去の少なくとも一つを行う光ディスク、光カード
等に用いられる光磁気記録媒体の光磁気記録方法及び光
磁気記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光磁気記録方法とは、基板上に磁性体か
らなる垂直磁化膜を形成させたものを記録媒体とし、以
下の方法で記録、再生するものである。記録する際に
は、記録媒体をまず、強力な外部磁場等によって初期化
し、磁化の方向を1方向(上向き、または下向き)に揃
えておく。その後、記録したいエリアにレーザビームを
照射して、媒体部分の温度をキュリー点近傍以上、もし
くは補償点近傍以上に加熱し、その部分の保磁力
(Hc)をゼロ、又はほとんどゼロとした上で、初期化
の磁化の方向と逆向きの外部磁場(バイアス磁場)を印
加して磁化の向きを反転させる。レーザビームの照射を
止めると、記録媒体は常温に戻るので反転した磁化は固
定される。つまり、熱磁気的に情報が記録される。再生
の際には、直線偏光したレーザビームを記録媒体に照射
し、その反射光や透過光の偏光面の回転が磁化の向きに
応じて回転する現象(磁気カー効果、磁気ファラデー効
果)を利用して光学的に情報の読み出しを行う。
【0003】光磁気記録方法は、書き換え可能な大容量
記憶素子として注目されているが、その記録媒体を再使
用(書き換え)をするためには、次のいずれかの方法を
採る必要がある。 (a)何らかの方法で初期化する。 (b)外部磁場発生装置を工夫してオーバーライト(消
去が不要な書き換え)を可能にする。 (c)記録媒体を工夫してオーバーライトを可能にす
る。
【0004】しかし(a)の方法では、初期化装置、あ
るいは、ヘッドが2個必要になるので、コスト高を招
く。また、1個のヘッドで書き換えを行おうとすると、
消去してから記録するので時間がかかる。このため、
(c)の方法が最も有力である。例えば、Jap.Jo
ur.Appl.Phys.,Vol.28(198
9)Suppl.28−3,pp.367−370に
は、記録層を交換結合2層膜にすれば、オーバーライト
可能な記録媒体を実現できる、と記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、Ja
p.Jour.Appl.Phys.,Vol.28
(1989)Suppl.28−3,pp.367−3
70の場合、初期化磁界、記録磁界を2個の別々の磁石
もしくは磁界発生装置により発生させていたため、装置
が大型になる、コスト高になる等の問題点を抱えてい
た。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る光
磁気記録方法は、上記の課題を解決するために、光磁気
記録層が、少なくとも希土類金属−遷移金属合金からな
る第1磁性層、第2磁性層で構成され、第1磁性層、第
2磁性層は、室温からキュリー点まで垂直磁化となる特
性を示し、第2磁性層は、第1磁性層よりも高いキュリ
ー点を有し、室温での保磁力が第1磁性層よりも低い光
磁気記録媒体を用いて、初期化磁界により初期化した
後、記録磁界を印加しながら、強度変調されたレーザ光
を照射することによりオーバーライト記録する光磁気記
録方法において、上記初期化磁界、記録磁界を光磁気記
録媒体にほぼ平行に磁化された1個の外部磁界発生手段
により発生させることを特徴としている。
【0007】請求項2の発明に係る光磁気記録方法は、
上記の課題を解決するために、第1磁性層の組成は、室
温で遷移金属リッチもしくは補償組成となるように設定
されており、第2磁性層の組成は、室温で希土類金属リ
ッチであり、室温とキュリー点の間に補償点がなく、初
期化磁界の方向と記録磁界の方向が反対である光磁気記
録媒体を用いて、初期化磁界により初期化した後、記録
磁界を印加しながら、強度変調されたレーザ光を照射す
ることによりオーバーライト記録する光磁気記録方法に
おいて、上記初期化磁界、記録磁界を光磁気記録媒体に
ほぼ平行に磁化された1個の外部磁界発生手段により発
生させ、記録媒体が1個の外部磁界発生手段により初期
化された後、反対方向の記録磁界が発生している位置
で、オーバーライト記録することを特徴としている。
【0008】請求項3の発明に係る光磁気記録方法は、
上記の課題を解決するために、光磁気記録層が、少なく
とも希土類金属−遷移金属合金からなる第1磁性層、第
3磁性層、第2磁性層で構成され、第3磁性層は、室温
での保磁力がほぼゼロであり、室温で面内磁化と垂直磁
化がほぼ等しく、所定温度以上で垂直磁化が優位となる
特性を示す光磁気記録媒体を用いて、初期化磁界により
初期化した後、記録磁界を印加しながら、強度変調され
たレーザ光を照射することによりオーバーライト記録す
る光磁気記録方法において、上記初期化磁界、記録磁界
を光磁気記録媒体にほぼ平行に磁化された1個の外部磁
界発生手段により発生させることを特徴としている。
【0009】請求項4の発明に係る光磁気記録方法は、
上記の課題を解決するために、第2磁性層、あるいは第
3磁性層が形成されている第1磁性層の記録方法面とは
反対側の面に第0磁性層が形成され、上記第0磁性層
は、第1磁性層よりも高いキュリー点を有し、室温での
保磁力がほぼゼロであり、室温で面内磁化が優位となる
特性を示し、所定温度以上で垂直磁化が優位となる特性
を示す光磁気記録媒体を用いて、初期化磁界により初期
化した後、記録磁界を印加しながら、強度変調されたレ
ーザ光を照射することによりオーバーライト記録する光
磁気記録方法において、上記の初期化磁界、記録磁界を
光磁気記録媒体にほぼ平行に磁化された1個の外部磁界
発生手段により発生させることを特徴としている。
【0010】請求項5の発明に係る光磁気記録装置は、
上記の課題を解決するために、少なくともレーザ、レー
ザ強度変調器、外部磁界発生手段を備え、光磁気記録媒
体を用いて、初期化磁界により初期化した後。記録磁界
を印加しながら、強度変調されたレーザ光を照射するこ
とによりオーバーライト記録する光磁気記録装置におい
て、上記初期化磁界、記録磁界を光磁気記録媒体にほぼ
平行に磁化された1個の外部磁界発生手段により発生さ
せることを特徴としている。
【0011】
【作用】請求項1の構成によれば、光磁気記録層が、初
期化磁界又は、記録磁界を光磁気記録媒体にほぼ平行に
磁化された1個の外部磁界発生手段により発生させるた
め、初期化磁界及び記録磁界を2個の別々の磁石もしく
は磁界発生装置により発生させる必要がなくなり、1個
の磁石もしくは磁界発生装置により発生させるので、装
置が小型になり、さらにコストを低減できる。
【0012】請求項2の構成によれば、第1磁性層の組
成は、初期化磁界、記録磁界を光磁気記録媒体にほぼ平
行に磁化された1個の外部磁界発生手段により発生さ
せ、記録媒体が1個の外部磁界発生手段により初期化さ
れた後、反対方向の記録磁界が発生している位置で、オ
ーバーライト記録するため、第2磁性層の組成調整が容
易であり、光磁気記録媒体を作成しやすく、量産性に優
れる。
【0013】請求項3の構成によれば、光磁気記録層
が、初期化磁界、記録磁界を光磁気記録媒体にほぼ平行
に磁化された1個の外部磁界発生手段により発生させる
ため、第3磁性層の存在により、第1磁性層、第2磁性
層間の結合力が室温で弱く、記録時の温度で強くなり、
光変調オーバーライトがスムーズに行われる。 請求項
4の構成によれば、初期化磁界、記録磁界を光磁気記録
媒体にほぼ平行に磁化された1個の外部磁界発生手段に
より発生させるため、上記の光変調オーバーライト記録
が可能となる上に、再生動作時に、第0磁性層に光ビー
ムが照射されると、照射された部位の温度分布は、ほぼ
ガウス分布になるので、光ビームの径より小さい中心近
傍領域のみの温度が上昇する。
【0014】この温度上昇に伴って、温度上昇部位の磁
化は、面内磁化から垂直磁化に移行する。この時、第0
磁性層及び第1磁性層の2層間の交換結合力により、第
1磁性層の磁化の向きに第0磁性層の磁化の向きが従
う。温度上昇部位が面内磁化から垂直磁化に移行する
と、温度上昇部位のみが極カー効果を示すようになり、
該部位からの反射光に基づいて情報が再生される。
【0015】そして、光ビームが移動して次の記録ビッ
トを再生する時は、先の再生部位の温度は低下し、垂直
磁化から面内磁化に移行するため、極カー効果を示さな
くる。このことは、第1磁性層に記録された磁化が第0
磁性層の面内磁化によりマスクされて読み出されないと
いうことを意味している。これにより、雑音の原因とな
り、再生の分解能を低下させる隣接ビットからの信号混
入がなくなる。以上の通り、所定温度以上の温度を有す
る領域のみを再生に関与させるので、従来より小さな記
録ビットの再生が行え、記録密度は著しく向上すること
になる。
【0016】請求項5の構成によれば、初期化磁界、記
録磁界を光磁気記録媒体にほぼ平行に磁化された1個の
外部磁界発生手段により発生させるため、小型で安価な
光磁気記録装置を供給することが可能となる。
【0017】
【実施例】本発明の第1実施例について、図1〜図6に
基づいて以下に説明する。本実施例の光磁気記録媒体
は、図1に示すように、透光性基板1上に、透光性を有
する誘電体層2と、磁性層3(第1磁性層)と、磁性層
4(第2磁性層)と、保護層5と、オーバーコート層6
とを順次形成した構成になっている。 磁性層3、4
は、希土類金属−遷移金属合金からなっている。磁性層
3は、図2に示すように、磁性層4と比較して、低いキ
ュリー点(Tc1)と、室温で高い保磁力(Hc1)を有し
ており、室温からTc1まで垂直磁気異方性が優位となる
特性を示す。
【0018】磁性層4は、磁性層3のTc1よりも高いキ
ュリー点(Tc2)と、室温で磁性層3のHc1よりも低い
保磁力(Hc2)を有しており、室温からTcまで垂直磁
気異方性が優位となる特性を示し、補償点(Tcomp2
を有する。上記の構成において、記録を行う場合、ま
ず、初期化が行われる。すなわち、図3に示すように、
上向きの初期化磁界(Hinit)を印加することにより、
磁性層4の磁化だけを一方向に揃える。なお、図3で
は、希土類金属の副格子磁化が遷移金属の副格子磁化よ
りも大きい、いわゆる希土類金属リッチの磁性層4にお
ける、遷移金属の副格子磁化が矢印で示されている。
【0019】上記初期化は常時、あるいは、記録時にの
みに行われる。磁性層3のHc1はHinitより大きいた
め、磁性層3の磁化の反転は生じない。記録は、Hinit
よりかなり小さくHinitと同一方向の記録磁界(Hw
を印加しながら、図11に示すように、高レベルIと低
レベルIIに強度変調されたレーザ光を照射することによ
り行う。
【0020】高レベルIのレーザ光が照射されると、磁
性層3・4がともにTc2付近またはそれ以上となる温度
(TH)まで昇温し、低レベルIIのレーザ光が照射され
ると、Tc1付近またはそれ以上となる温度(TL)まで
昇温するように、高レベルIと低レベルIIとが設定され
ている。従って、高レベルIのレーザ光が照射される
と、磁性層4の磁化は、Hwにより上向きに反転し、冷
却の過程では、界面に作用する交換力により磁性層4の
向きが磁性層3に転写されることにより、磁性層3の磁
化の向きと磁性層4の向きが一致する。従って、磁性層
3の向きは上向きになる。
【0021】一方、低レベルIIのレーザ光が照射される
と、磁性層4の磁化は、Hw により反転することはな
い。冷却の過程では、上記と同様に、界面に作用する交
換力により磁性層4の磁化の向きが、磁性層3に転写さ
れることにより、磁性層3の磁化の向きと磁性層4の向
きが一致する。従って、磁性層3の磁化の向きは下向き
になる。つまり、高レベルIと低レベルIIのレーザ光で
オーバーライトが可能になる。情報を再生する場合、記
録時よりもかなり低いレベルIIIのレーザ光を照射し、
その反射光における偏光面の回転を検出している。
【0022】以下、光磁気記録媒体の一例として、光磁
気ディスクのサンプルを示す。サンプル#1では、透光
性の基板1は、外径86mm、内径15mm、厚さ1.
2mmの円盤状のガラスからなっている。基板1の片側
の表面には、光ビーム案内用の凹凸状のガイドトラック
が反応性イオンエッチング法により直接形成されてい
る。トラックピッチは、1.6μm、グルーブ(凹部)
の幅は0.8μm、ランド(凸部)の幅は0.8μmで
あり、反応性イオンエッチング法により、ガラスに直接
形成された。
【0023】#1は、基板1のガイドトラック側の面上
に、反応性スパッタリングにより、膜厚70nmのAl
Nからなる誘電体層2と、Dy、Fe、Coターゲット
の同時スパッタリングにより膜厚50nmのDyFeC
oからなる磁性層3と、Gd、Dy、Fe、Coターゲ
ットの同時スパッタリングにより膜厚50nmのGdD
yFeCoからなる磁性層4と、膜厚70nmのAlN
からなる保護層5とを積層した。磁性層3、4の成膜時
のスパッタリング条件は、到達真空度2.0×10-4
a以下、Arガス圧6.5×10-1Pa、放電電力30
0Wであり、誘電体層2及び保護層5の成膜時のスパッ
タリング条件は、到達真空度2.0×10-4Pa以下、
2ガス圧3.0×10-1Pa、放電電力800Wであ
る。
【0024】更に、保護層5の上にアクリレート系紫外
線硬化樹脂をコーティングし、紫外線照射により硬化さ
せてオーバーコート層6を形成した。磁性層3は、Dy
0.19(Fe0.86Co0.140.81、遷移金属リッチ、TC1
=170℃、室温でのHC1=12kOe、磁性層4は、
(Gd0.50Dy0.500.32(Fe0.68Co0.320.68
希土類金属リッチ、TC2=250℃、室温でのHC2
1.5kOeである。
【0025】サンプル#1の光磁気ディスクに対して、
図5に示す光磁気記録媒体にほぼ平行に磁化された1個
の外部磁界発生装置を備えた光磁気記録装置を用いて、
init=2.5kOe、記録磁界Hw=500Oe、高
レベルIのレーザパワー(PH)=10mW、低レベルII
のレーザパワー(PL)=2mW、レベルIIIの再生レー
ザパワー(PR)=1mW、記録ビット長=0.65μ
mにて記録、再生を行ったところ、消し残りのない光変
調オーバーライトができ、信号対雑音比(C/N)=4
6dBが得られた。
【0026】図5に示す光磁気記録装置の外部磁界発生
装置10は、1.21T(テスラー)のNd系永久磁石
であり、その大きさが、幅(光磁気記録媒体の半径方
向)10mm×高さ30mm×長さ(光磁気記録媒体の
回転方向)20mmであり、光磁気記録媒体との実質距
離(以下Gap)は1mm、外部磁界発生装置端とレー
ザビームスポットの距離(以下Distance)は1
2mmである。外部磁界発生装置10直上で初期化さ
れ、対物レンズ9により集光されたレーザビームスポッ
ト位置で記録される。更に、1.21Tの永久磁石を用
いた場合、表1及び表2に示す大きさ、Gap、Dis
tanceの場合に消し残りのない光変調オーバーライ
トができ、信号対雑音比(C/N)=46dBが得られ
た。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】比較例として、図6に示す従来の光磁気記
録装置、すなわち光磁気記録媒体にほぼ垂直に磁化され
た2個の外部磁界発生装置、初期化磁界発生装置11、
記録磁界発生装置12を備えた光磁気記録装置を用い
て、上記と同じ条件で記録、再生を行ったところ、消し
残りのない光変調オーバーライトができ、信号対雑音比
(C/N)=46dBが得られた。このことから、本発
明の光磁気記録方法、光磁気記録装置を用いれば、信号
品質を劣化させることなく、外部磁界発生装置を1個に
できることが確認された。
【0030】次の光磁気ディスクのサンプル#2〜#5
は、磁性層3を除いて、サンプル#1と同一である。サ
ンプル#2の磁性層3は、Dy0.21(Fe0.84
0.160.79、遷移金属リッチ、TC1=170℃、室温
でのHC1=15kOeである。サンプル#3の磁性層3
は、Dy0.23(Fe0.84Co0.160.77、補償組成、T
C1=150℃、室温でのHC1≧20kOeである。サン
プル#4の磁性層3は、Dy0.23(Fe0.80Co0.20
0.77、補償組成、TC1=165℃、室温でのHC1≧20
kOeである。サンプル#5の磁性層3は、Dy
0.19(Fe0.84Co0.160.81、遷移金属リッチ、TC1
=200℃、室温でのHC1=8kOeである。
【0031】次の光磁気ディスクのサンプル#6〜#9
は、磁性層4を除いて、サンプル#1と同一である。サ
ンプル#6の磁性層4は、(Gd0.50Dy0.50
0.33(Fe0.68Co0.320.67、希土類金属リッチ、T
C2=240℃、室温でのHC2=1.2kOeである。サ
ンプル#7の磁性層4は、(Gd0.50Dy0.50
0.34(Fe0.68Co0.320.66、希土類金属リッチ、T
C2=220℃、室温でのHC2=1.1kOeである。サ
ンプル#8の磁性層4は、(Gd0.60Dy0.40
0.32(Fe0.70Co0.300.68、希土類金属リッチ、T
C2=250℃、室温でのHC2=1.4kOeである。サ
ンプル#9の磁性層4は、(Gd0.70Dy0.30
0.32(Fe0.75Co0.250.68、希土類金属リッチ、T
C2=250℃、室温でのHC2=1.2kOeである。
【0032】上記サンプル#2〜#9の光磁気ディスク
に対して、図5に示す光磁気記録媒体にほぼ平行に磁化
された1個の外部磁界発生装置を備えた光磁気記録装置
を用いて、Hinit=2.5kOe、記録磁界Hw=50
0Oe、高レベルIのレーザパワー(PH)=10mW、
低レベルIIのレーザパワー(PL)=2mW、レベルIII
の再生レーザパワー(PR)=1mW、記録ビット長=
0.65μmにて記録、再生を行ったところ、消し残り
のない光変調オーバーライトができ、信号対雑音比(C
/N)=46dBが得られた。
【0033】本発明の第2実施例について、図3、図7
に基づいて以下に説明する。本実施例の光磁気記録媒体
は、図7に示すように、透光性基板1上に、透光性を有
する誘電体層2と、磁性層3(第1磁性層)と、磁性層
7(第3磁性層)と、磁性層4(第2磁性層)と、保護
層5と、オーバーコート層6とを順次形成した構成にな
っている。磁性層3、7、4は、希土類金属−遷移金属
合金からなっている。磁性層7は、磁性層3のTc1より
も高いキュリー点(Tc3)と、室温で面内磁気異方性と
垂直磁気異方性がほぼ等しい特性を示し、ほぼゼロの保
磁力(Hc3 )を有しており、所定温度以上で垂直磁気異
方性が優位となる特性を示す。
【0034】上記の構成において、記録を行う場合、ま
ず、初期化が行われる。すなわち、図3で説明したよう
に、上向きの初期化磁界(Hinit)を印加することによ
り、磁性層4の磁化だけを一方向に揃える。上記初期化
は常時、あるいは、記録時にのみに行われる。磁性層3
のHc1はHinitより大きく、磁性層7は面内磁気異方性
と垂直磁気異方性がほぼ等しい特性を示すため、磁性層
4の磁化の向きが磁性層7を通して磁性層3に転写され
ることはなく、磁性層3の磁化の反転は生じない。
【0035】記録は、Hinitよりかなり小さくHinit
同一方向の記録磁界(Hw)を印加しながら、図11に
示すように、高レベルIと低レベルIIに強度変調された
レーザ光を照射することにより行う。高レベルIのレー
ザ光が照射されると、磁性層3、7、4がともにTc2
近またはそれ以上となる温度(TH)まで昇温し、低レ
ベルIIのレーザ光が照射されると、Tc1付近またはそれ
以上となる温度(TL)まで昇温するように、高レベルI
と低レベルIIとが設定されている。
【0036】従って、高レベルIのレーザ光が照射され
ると、磁性層4の磁化は、Hwにより上向きに反転し、
冷却の過程では、磁性層7も垂直磁気異方性を示すの
で、界面に作用する交換力により磁性層4の向きが磁性
層7に転写され、さらに磁性層7の磁化の向きが、磁性
層3に転写されることにより、磁性層3の磁化の向きと
磁性層4の向きが一致する。従って、磁性層3の向きは
上向きになる。
【0037】一方、低レベルIIのレーザ光が照射される
と、磁性層4の磁化は、Hw により反転することはな
い。冷却の過程では、磁性層7は垂直磁気異方性を示す
ので、上記と同様に、界面に作用する交換力により磁性
層4の向きが磁性層7に転写され、さらに磁性層7の磁
化の向きが、磁性層3に転写されることにより、磁性層
3の磁化の向きと磁性層4の向きが一致する。従って、
磁性層3の磁化の向きは下向きになる。つまり、高レベ
ルIと低レベルIIのレーザ光でオーバーライトが可能に
なる。情報を再生する場合、記録時よりもかなり低いレ
ベルIIIのレーザ光を照射し、その反射光における偏光
面の回転を検出している。
【0038】以下、光磁気記録媒体の一例として、光磁
気ディスクのサンプルを示す。サンプル#10では、透
光性の基板1は、実施例1と同じものであり、基板1の
ガイドトラック側の面上に、反応性スパッタリングによ
り、膜厚80nmのAlNからなる誘電体層2と、D
y、Fe、Coターゲットの同時スパッタリングにより
膜厚50nmのDyFeCoからなる磁性層3と、G
d、Fe、Coターゲットの同時スパッタリングにより
膜厚50nmのGdFeCoからなる磁性層7と、G
d、Dy、Fe、Coターゲットの同時スパッタリング
により膜厚50nmのGdDyFeCoからなる磁性層
4と、膜厚80nmのAlNからなる保護層6とを積層
した。
【0039】磁性層3、7、4の成膜時のスパッタリン
グ条件は、到達真空度2.0×10-4Pa以下、Arガ
ス圧6.5×10-1Pa、放電電力300Wであり、誘
電体層2及び保護層6の成膜時のスパッタリング条件
は、到達真空度2.0×10-4Pa以下、N2ガス圧
3.0×10-1Pa、放電電力800Wである。
【0040】更に、保護層6の上にアクリレート系紫外
線硬化樹脂をコーティングし、紫外線照射により硬化さ
せてオーバーコート層7を形成した。
【0041】磁性層3は、Dy0.19(Fe0.86
0.140.81、遷移金属リッチ、TC1=170℃、室温
でのHC1=12kOe、磁性層7は、Gd0.28(Fe
0.61Co0.390.72、希土類金属リッチ、TC3≧300
℃、TCOMP3=150℃、室温でのHC3〜0kOe、約
80℃で垂直磁気異方性が優位となる特性を示し、磁性
層4は、(Gd0.50Dy0.500.32(Fe0.68
0.320.68、希土類金属リッチ、TC2=250℃、室
温でのHC2=1.5kOeである。
【0042】次の光磁気ディスクのサンプル#11〜#
17は、磁性層7を除いて、サンプル#10と同一であ
る。サンプル#11の磁性層7は、Gd0.26(Fe0.80
Co0.200.74、希土類金属リッチ、TC3≧300℃、
COMP3=130℃、室温でのHC3〜0kOe、約60
℃で垂直磁気異方性を示す。サンプル#12の磁性層7
は、Gd0.27(Fe0.80Co0.200.73、希土類金属リ
ッチ、TC3=290℃、TCOMP3=140℃、室温での
C3〜0kOe、約75℃で垂直磁気異方性を示す。サ
ンプル#13の磁性層7は、Gd0.27(Fe0.60Co
0.400.73、希土類金属リッチ、TC3≧300℃、T
COMP3=140℃、室温でのHC3〜0kOe、約80℃
で垂直磁気異方性を示す。
【0043】サンプル#14の磁性層7は、Gd
0.28(Fe0.80Co0.200.72、希土類金属リッチ、T
C3=280℃、TCOMP3=150℃、室温でのHC3〜0
kOe、約80℃で垂直磁気異方性を示す。サンプル#
15の磁性層7は、Gd0.28(Fe0.90
0.100.72、希土類金属リッチ、TC3=260℃、T
COMP3=150℃、室温でのHC3〜0kOe、約80℃
で垂直磁気異方性を示す。サンプル#16の磁性層7
は、Gd0.28(Fe0.65Co0.350.72、希土類金属リ
ッチ、TC3≧300℃、TCOMP3=150℃、室温での
C3〜0kOe、約80℃で垂直磁気異方性を示す。サ
ンプル#17の磁性層7は、Gd0.29(Fe0.80Co
0.200.71、希土類金属リッチ、TC3=280℃、T
COMP3=170℃、室温でのHC3〜0kOe、約120
℃で垂直磁気異方性を示す。
【0044】上記サンプル#11〜#17の光磁気ディ
スクに対して、図5に示す光磁気記録媒体にほぼ平行に
磁化された1個の外部磁界発生装置を備えた光磁気記録
装置を用いて、Hinit=2.5kOe、記録磁界Hw
400Oe、高レベルIのレーザパワー(PH)=9m
W、低レベルIIのレーザパワー(PL)=1mW、レベ
ルIIIの再生レーザパワー(PR)=1mW、記録ビット
長=0.65μmにて記録、再生を行ったところ、消し
残りのない光変調オーバーライトができ、信号対雑音比
(C/N)=46dBが得られた。
【0045】次の光磁気ディスクのサンプル#18は、
磁性層7の膜厚が30nmである点を除いて、サンプル
#11と同一である。上記サンプル#18に対しても、
消し残りのない光変調オーバーライトができた。また、
磁性層7の膜厚をサンプル#11の磁性層7の膜厚50
nmより薄くしたので、記録パルスのデューティーを4
0%にしても充分記録できた。サンプル#11の記録パ
ルスのデューティーが60%であったことを考慮する
と、サンプル#11よりも記録感度が向上した。
【0046】本発明の第3実施例について、図3、図8
に基づいて以下に説明する。なお、説明の便宜上、前記
の実施例の図面に示した部材と同一の機能を有する部材
には、同一の符号を付記し、その説明を省略する。本実
施例の光磁気記録媒体は、図8に示すように、誘電体層
2と磁性層3との間に磁性層8(第0磁性層)を設けた
点で前記実施例と異なっている。
【0047】上記の磁性層8は、磁性層3よりも高いキ
ュリー点(TC0)を有し、室温での保磁力(HC0)がほ
ぼゼロであり、室温で面内磁気異方性を示し、所定温度
以上で垂直磁気異方性を示す。以下、光磁気記録媒体の
一例として、光磁気ディスクのサンプルを示す。
【0048】光磁気ディスクのサンプル#19は、前記
サンプル#11の誘電体層2と磁性層3との間に磁性層
8を50nm有しており、前記実施例のサンプル#11
の製法と同じ製法で作製された。サンプル#19の磁性
層8は、Gd0.25(Fe0.80Co0.200.75、希土類金
属リッチ、TC0=300℃、補償点無し、室温でのHC0
〜0kOe、約100℃で垂直磁気異方性を示す。
【0049】上記サンプル#19の光磁気ディスクに対
しても、図5に示す光磁気記録媒体にほぼ平行に磁化さ
れた1個の外部磁界発生装置を備えた光磁気記録装置を
用いて、Hinit=2.5kOe、記録磁界Hw=400
Oe、高レベルIのレーザパワー(PH)=9mW、低レ
ベルIIのレーザパワー(PL)=1mW、レベルIIIの再
生レーザパワー(PR)=1mW、記録ビット長=0.
65μmにて記録、再生を行ったところ、消し残りのな
い光変調オーバーライトができ、信号対雑音比(C/
N)=46dBが得られた。
【0050】サンプル#11の信号対雑音比(C/N)
=46dBであったことを考慮すると、サンプル#11
よりも信号品質が向上した。これは、TC0>TC1に設定
したので、カー回転角が大きくなったためと考えられ
る。また、記録ビット長が短くなると、サンプル#11
ではC/Nが急激に低下したが、サンプル#19ではC
/Nがあまり低下しなかった。これは、磁性層8が室温
で面内磁気異方性を示し、レベルIIIの再生レーザパワ
ーのレーザ光を照射すると垂直磁気異方性を示すように
なるので、短い記録ビットであっても、隣接記録ビット
からの影響を受けずに再生できるためと考えられる。
【0051】以上の第1〜第3実施例において、サンプ
ル#1〜#19の基板1として、ガラスを用いたが、こ
れ以外にも、化学強化されたガラス、これらのガラス基
板上に紫外線硬化型樹脂層を形成した、いわゆる2P層
付きガラス基板、ポリカーボネート(PC)、ポリメチ
ルメタクリレート(PMMA)、アモルファスポリオレ
フィン(APO)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビ
フェニール(PVC)、エポキシ等の基板1を使用する
ことが可能である。
【0052】上記透明誘電体層2のAlNの膜厚は、8
0nmに限定されるものではない。透明誘電体層2の膜
厚は、光磁気ディスクを再生する際、磁性層3あるいは
磁性層8からの極カー回転角を光の干渉効果を利用して
増大させる、いわゆるカー効果エンハンスメントを考慮
して決定される。再生時のC/Nをできるだけ大きくさ
せるには、極カー回転角を大きくさせることが必要であ
り、このため透明誘電体層2の膜厚は、極カー回転角が
最も大きくなるように設定される。
【0053】この膜厚は、再生光の波長、透明誘電体層
2の屈折率により変化する。 本実施例の場合は、AlN
の屈折率は2.0であるので、再生光の波長が680n
mの場合、透明誘電体層2のAlNの膜厚を30〜12
0nm程度にすると、カー効果エンハンスメントの効果
が大きくなる。尚、好ましくは透明誘電体層2のAlN
の膜厚は、70〜100nmであり、この範囲であれば
極カー回転角がほぼ最大になる。
【0054】また、再生光の波長が400nmの場合、
上記透明誘電体層2の膜厚を半分(=400/780)
にすれば良い。更に、材料の違い、あるいは、製法によ
り透明誘電体層2の屈折率が上記とは異なる場合、屈折
率と膜厚を乗じた値(光路長)が同じになるように、透明
誘電体層2の膜厚を設定すれば良い。上記の説明からわ
かるように、透明誘電体層2の屈折率は大きいほど、そ
の膜厚は少なくて済む。また屈折率が大きいほど、極カ
ー回転角のエンハンス効果も大きくなる。
【0055】AlNは、スパッタ時のスパッタガスであ
るArとN2の比率、ガス圧力等を変えることにより、
その屈折率が変わるが、おおむね1.8〜2.1程度と
屈折率が比較的大きな材料であり、透明誘電体層2の材
料として好適である。また、透明誘電体層2は上記のカ
ー効果エンハンスメントだけでなく、保護層6ととも
に、希土類金属−遷移金属合金磁性層3、4、7、8の
酸化を防止する役割がある。
【0056】希土類金属−遷移金属合金からなる磁性膜
は、非常に酸化されやすく、特に希土類金属が酸化され
やすい。このため外部からの酸素、水分侵入を極力防止
しなければ、酸化によりその特性が著しく劣化してしま
う。そのため、サンプル#1〜#19においては、磁性
層3、4、7、8の両側をAlNで挟み込む形の構成を
取っている。 AlNは、その成分に酸素を含まない窒
化膜であり、非常に耐湿性に優れた材料である。更に、
AlNは、Alターゲットを用いて、N2ガスもしくは
ArとN2の混合ガスを導入して反応性DC(直流電
源)スパッタリングを行うことが可能であり、RF(高
周波)スパッタに比べて成膜速度が大きい点でも有利で
ある。
【0057】磁性層3のDyFeCoの組成、磁性層
7、8のGdFeCoの組成、磁性層4のGdDyFe
Coの組成は、上記の組成に限定されるものではない。
磁性層3、4、7、8の材料として、Gd、Tb、D
y、Ho、Ndから選ばれた少なくとも1種の希土類金
属とFe、Coから選ばれた少なくとも1種の遷移金属
からなる合金を使用しても、同様の効果が得られる。
【0058】上記材料に、Cr、V、Nb、Mn、B
e、Ni、Ti、Pt、Rh、Cuのうち少なくとも1
種類の元素を添加すると、磁性層3、4、7、8自体の
耐環境性が向上する。すなわち、水分、酸素侵入による
磁性層3、4、7、8の酸化による特性の劣化を少なく
し、長期信頼性に優れた光磁気ディスクを提供すること
ができる。
【0059】磁性層3、4、7、8の膜厚は、磁性層
3、4、7、8の材料、組成、膜厚との兼ね合いで決ま
るものである。磁性層3の膜厚は、20nm以上、より
好ましくは30nm以上であり、あまり厚すぎると磁性
層4の情報が転写されなくなるので、100nm以下が
好適である。磁性層7の膜厚は、5nm以上、より好ま
しくは10〜50nmであり、あまり厚すぎると磁性層
4の情報が転写されなくなるので、100nm以下が好
適である。磁性層の膜厚は、20nm以上、より好まし
くは30〜100nmであり、200nm以下が好適で
ある。 なお、磁性層3のTC1が100℃未満の場合、
C/Nがデジタル記録再生で最低限必要とされている4
5dBを下まわる。また、TC1が250℃を越える場
合、記録感度が悪くなる。このため、磁性層3のTC1
100℃〜250℃が適当である。さらに、磁性層3の
室温でのHC1が5kOe未満の場合、Hinitにより一部
が初期化される恐れがある。このため、磁性層3の室温
でのHC1は5kOe以上が適当である。
【0060】磁性層7の垂直磁気異方性を示す温度が8
0℃未満の場合、室温と、PRのレーザ光が照射された
ときの温度との間の温度で、磁性層4から磁性層7への
磁化の転写、磁性層7から磁性層3への磁化の転写が起
こる。したがって、Hinitにより磁性層4だけでなく磁
性層3も初期化され、記録を行うことができない。この
ため、磁性層7の垂直磁気異方性を示す温度は80℃以
上が適当である。さらに、磁性層7のTC3が磁性層3の
C1未満の場合、光変調オーバーライト時に磁化の転写
がうまく行われない。このため、磁性層7のTC3はTC1
以上が適当である。
【0061】磁性層4のTC2が150℃未満の場合、P
LとPRとの差が小さくなるので、うまく光変調オーバー
ライトが行われない。また、TC2が400℃を越える場
合、記録感度が悪くなる。このため、磁性層4のTC2
150℃〜400℃が適当である。さらに、磁性層5の
室温でのHC2が3kOeを越える場合、Hinitの発生装
置が大型になり、好ましくない。このため、磁性層4の
室温でのHC2は3kOe以下が適当である。保護層6の
AlNの膜厚は、本実施例では80nmとしたが、これ
に限定するものではない。保護層6の膜厚の範囲として
は、1〜200nmが好適である。本実施例において
は、磁性層3、4、あるいは、磁性層3、4、7、8を
合わせた膜厚は100nm以上であり、この膜厚になる
と光ピックアップから入射した光はほとんど磁性層を透
過しない。したがって、保護層6の膜厚に特に制限はな
く、磁性層の酸化を長期に渡って防止するに必要な膜厚
であれば良い。酸化防止能力が低い材料であれば膜厚を
厚く、高ければ薄くすれば良い。
【0062】保護層6は、透明誘電体層2とともにその
熱伝導率が、光磁気ディスクの記録感度特性に影響を及
ぼす。記録感度特性とは、記録、あるいは消去に必要な
レーザパワーがどの程度必要かを意味する。光磁気ディ
スクに入射された光はそのほとんどが、透明誘電体層2
を通過し、吸収膜である磁性層3、4あるいは、磁性層
3、4、7、8に吸収されて、熱に変わる。このとき、
磁性層3、4あるいは、磁性層3、4、7、8の熱が透
明誘電体層2、保護層6に熱伝導により移動する。従っ
て、透明誘電体層2、保護層6の熱伝導率および熱容量
(比熱)が記録感度に影響を及ぼす。
【0063】このことは、光磁気ディスクの記録感度を
保護層6の膜厚である程度制御できるということを意味
し、例えば、記録感度を上げる(低いレーザパワーで記
録消去が行える)目的であれば保護層6の膜厚を薄くす
れば良い。通常は、レーザ寿命を延ばすため、記録感度
はある程度高い方が有利であり、保護層6の膜厚は薄い
方が良い。AlNはこの意味でも好適で、耐湿性に優れ
るので、保護層6として用いた場合、膜厚を薄くするこ
とができ、記録感度の高い光磁気ディスクを提供するこ
とができる。
【0064】本実施例では、保護層6を透明誘電体層2
と同じAlNとすることで、耐湿性に優れた光磁気ディ
スクを提供でき、かつ保護層6と透明誘電体層2を同じ
材料で形成することで、生産性も向上させることができ
る。また透明誘電体層2、保護層6の材料としては、A
lN以外に、前述の目的、効果を考慮すれば、SiN、
AlSiN、AlTaN、SiAlON、TiN、Ti
ON、BN、ZnS、TiO2、BaTiO3、SrTi
3が好適である。このうち特にSiN、AlSiN、
AlTaN、TiN、BN、ZnSは、その成分に酸素
を含まず、耐湿性に優れた光磁気ディスクを提供するこ
とができる。
【0065】サンプル#1〜#19の光磁気ディスク
は、一般に片面タイプと呼ばれる。透明誘電体層2、磁
性層3、4(あるいは、磁性層3、4、7、8)、保護
層6の薄膜部分を総じて記録媒体層と称することにする
と、片面タイプの光磁気ディスクは、基板1、記録媒体
層、オーバーコート層6の構造となる。
【0066】これに対して、基板1の上に記録媒体層を
形成したものを2枚、記録媒体層が対向するように接着
層で接着した光磁気ディスクは、両面タイプと呼ばれて
いる。接着層の材料はポリウレタンアクリレート系接着
剤が特に良い。この接着剤は紫外線、熱及び嫌気性の3
タイプの硬化機能が組み合わされたものであり、紫外線
が透過しない記録媒体の影になる部分の硬化が、熱及び
嫌気性硬化機能により硬化されるという利点を持ってお
り、極めて高い耐湿性を有し長期安定性に極めて優れた
光磁気ディスクを提供することができる。片面タイプ
は、両面タイプと比べて素子の厚みが半分で済むため、
例えば小型化が要求される記録再生装置に有利である。
両面タイプは、両面再生が可能なため、例えば大容量を
要求される記録再生装置に有利である。以上の実施例で
は、光磁気記録媒体として光磁気ディスクを例に説明し
たが、光磁気テープ、光磁気カードにも本発明を応用で
きる。
【0067】
【発明の効果】請求項1の発明に係る光磁気記録方法
は、以上のように、初期化磁界及び記録磁界を2個の別
々の磁石もしくは磁界発生装置により発生させる必要が
なくなり、1個の磁石もしくは磁界発生装置により発生
させるので、装置が小型になり、さらにコストを低減で
きるという効果を奏する。
【0068】請求項2の発明に係る光磁気記録方法は、
以上のように、上記の初期化磁界、記録磁界を光磁気記
録媒体にほぼ平行に磁化された1個の外部磁界発生手段
により発生させ、記録媒体が1個の外部磁界発生手段に
より初期化された後、反対方向の記録磁界が発生してい
る位置で、オーバーライト記録することを特徴としてい
るため、第2磁性層の組成調整が容易であり、光磁気記
録媒体を作成しやすく、量産性に優れるという効果を奏
する。
【0069】請求項3の発明に係る光磁気記録方法は、
以上のように、上記の初期化磁界、記録磁界を光磁気記
録媒体にほぼ平行に磁化された1個の外部磁界発生手段
により発生させるため、第3磁性層の存在により、第1
磁性層、第2磁性層間の結合力が室温で弱く、記録時の
温度で強くなり、光変調オーバーライトがスムーズに行
われるという効果を奏する。
【0070】請求項4の発明に係る光磁気記録方法は、
以上のように、上記の初期化磁界、記録磁界を光磁気記
録媒体にほぼ平行に磁化された1個の外部磁界発生手段
により発生させるため、上記の光変調オーバーライト記
録が可能となる上に、再生動作時に、第0磁性層に光ビ
ームが照射されると、照射された部位の温度分布は、ほ
ぼガウス分布になるので、光ビームの径より小さい中心
近傍領域のみの温度が上昇する。この温度上昇に伴っ
て、温度上昇部位の磁化は、面内磁化から垂直磁化に移
行する。この時、第0磁性層及び第1磁性層の2層間の
交換結合力により、第1磁性層の磁化の向きに第0磁性
層の磁化の向きが従う。温度上昇部位が面内磁化から垂
直磁化に移行すると、温度上昇部位のみが極カー効果を
示すようになり、該部位からの反射光に基づいて情報が
再生される。
【0071】そして、光ビームが移動して次の記録ビッ
トを再生する時は、先の再生部位の温度は低下し、垂直
磁化から面内磁化に移行するため、極カー効果を示さな
くる。このことは、第1磁性層に記録された磁化が第0
磁性層の面内磁化によりマスクされて読み出されないと
いうことを意味している。これにより、雑音の原因とな
り、再生の分解能を低下させる隣接ビットからの信号混
入がなくなる。以上の通り、所定温度以上の温度を有す
る領域のみを再生に関与させるので、従来より小さな記
録ビットの再生が行え、記録密度は著しく向上するとい
う効果を奏する。
【0072】請求項5の発明に係る光磁気記録装置は、
以上のように、上記の初期化磁界、記録磁界を光磁気記
録媒体にほぼ平行に磁化された1個の外部磁界発生手段
により発生させるため、小型で安価な光磁気記録装置を
供給することが可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の光磁気ディスクの概略の
構成を示す断面図である。
【図2】図1の光磁気ディスクにおける各磁性層の保磁
力の温度依存性を示す説明図である。
【図3】図1の光磁気ディスクにおける記録プロセスを
示す説明図である。
【図4】本発明の光磁気ディスクに照射されるレーザ光
の強度を示す説明図である。
【図5】本発明の第1実施例の光磁気ディスク装置の概
略の構成を示す模式断面図である。
【図6】従来の光磁気ディスク装置の概略の構成を示す
模式断面図である。
【図7】本発明の第2実施例の光磁気ディスクの概略の
構成を示す断面図である。
【図8】本発明の第3実施例の光磁気ディスクの概略の
構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基板 2 誘電体層 3 磁性層1 4 磁性層2 5 保護層 6 オーバーコート層 7 磁性層3 8 磁性層0 9 対物レンズ 10 磁界発生装置(磁石) 11 初期化磁界発生装置 12 記録磁界発生装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 明 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 太田 賢司 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光磁気記録層が、少なくとも希土類金属−
    遷移金属合金からなる第1磁性層と、第2磁性層とで構
    成され、前記第1磁性層及び第2磁性層は、室温からキ
    ュリー点まで垂直磁化となる特性を示し、上記第2磁性
    層は、上記第1磁性層よりも高いキュリー点を有し、室
    温での保磁力が上記第1磁性層よりも低い光磁気記録媒
    体を用いて、初期化磁界により初期化した後、記録磁界
    を印加しながら、強度変調されたレーザ光を照射するこ
    とによりオーバーライト記録する光磁気記録方法におい
    て、 上記初期化磁界、記録磁界を光磁気記録媒体にほぼ平行
    に磁化された1個の外部磁界発生手段により発生させる
    ことを特徴とする光磁気記録方法。
  2. 【請求項2】前記第1磁性層の組成は、室温で遷移金属
    リッチもしくは補償組成となるように設定されており、
    前記第2磁性層の組成は、室温で希土類金属リッチであ
    り、室温とキュリー点の間に補償点がなく、初期化磁界
    の方向と記録磁界の方向が反対である光磁気記録媒体を
    用いて、初期化磁界により初期化した後、記録磁界を印
    加しながら、強度変調されたレーザ光を照射することに
    よりオーバーライト記録する光磁気記録方法において、 前記初期化磁界、記録磁界を光磁気記録媒体にほぼ平行
    に磁化された1個の外部磁界発生手段により発生させ、
    記録媒体が1個の外部磁界発生手段により初期化された
    後、反対方向の記録磁界が発生している位置で、オーバ
    ーライト記録することを特徴とする請求項1記載の光磁
    気記録方法。
  3. 【請求項3】前記光磁気記録層が、少なくとも希土類金
    属−遷移金属合金からなる第1磁性層と、第3磁性層
    と、第2磁性層とで構成され、前記第3磁性層は、室温
    での保磁力がほぼゼロであり、室温で面内磁化と垂直磁
    化がほぼ等しく、所定温度以上で垂直磁化が優位となる
    特性を示す光磁気記録媒体を用いて、初期化磁界により
    初期化した後、記録磁界を印加しながら、強度変調され
    たレーザ光を照射することによりオーバーライト記録す
    る光磁気記録方法において、 前記初期化磁界、記録磁界を光磁気記録媒体にほぼ平行
    に磁化された1個の外部磁界発生手段により発生させる
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の光磁気記
    録方法。
  4. 【請求項4】前記第2磁性層、あるいは前記第3磁性層
    が形成されている第1磁性層の記録面とは反対側の面に
    第0磁性層が形成され、前記第0磁性層は、上記第1磁
    性層よりも高いキュリー点を有し、室温での保磁力がほ
    ぼゼロであり、室温で面内磁化が優位となる特性を示
    し、所定温度以上で垂直磁化が優位となる特性を示す光
    磁気記録媒体を用いて、初期化磁界により初期化した
    後、記録磁界を印加しながら、強度変調されたレーザ光
    を照射することによりオーバーライト記録する光磁気記
    録方法において、 上記初期化磁界、記録磁界を光磁気記録媒体にほぼ平行
    に磁化された1個の外部磁界発生手段により発生させる
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記
    載の光磁気記録方法。
  5. 【請求項5】少なくともレーザ、レーザ強度変調器、外
    部磁界発生手段を備え、光磁気記録媒体を用いて、初期
    化磁界により初期化した後。記録磁界を印加しながら、
    強度変調されたレーザ光を照射することによりオーバー
    ライト記録する光磁気記録装置において、 上記初期化磁界、記録磁界を光磁気記録媒体にほぼ平行
    に磁化された1個の外部磁界発生手段により発生させる
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3又
    は請求項4記載の光磁気記録装置。
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