JPH07174989A - 光ファイバ線路切替装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 光ファイバ線路を切替後の状態に保持する自
己保持機能を備え、構造が簡単で小型なうえ、安価な光
ファイバ線路切替装置を提供する。 【構成】 多数の光ファイバ８の一端側を保持する複数
の保持溝が形成された突合せ部材２、外周に螺旋状のガ
イド溝が形成されたガイド３ｃを有し、単心ファイバ７
を多数の保持溝の配列方向へ所定長さ移動させるガイド
手段３及びガイド手段と同期して作動し、単心ファイバ
の一端側を保持溝内で撓ませると共に保持溝に対して昇
降作動させるカム手段４を備え、多数の光ファイバの任
意の光ファイバに単心ファイバを切替接続する光ファイ
バ線路切替装置１。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、光ファイバ線路切替装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】光加入者網の整備に伴い、光線路を監視
する目的で光ファイバ線路切替システムが実用化されて
いる。この光ファイバ線路切替システムに用いる光ファ
イバ線路切替装置は、例えば、一端に光測定器が接続さ
れた単心ファイバの他端を、通信用線路を構成する多心
ファイバの任意の光ファイバに接続し、その光ファイバ
の劣化等を通信光の伝送ロスから自動的に監視するもの
である。

【０００３】このような光ファイバ線路切替装置は、省
電力の目的から光ファイバ切替時以外は電力を供給しな
くとも切替状態に保持する自己保持機能を備えているこ
とが望ましい。このような自己保持機能を備えた光ファ
イバ線路切替装置として、例えば、２軸移動ステージに
固定された単心ファイバを２個の回転モータで２軸方向
に移動させることにより、多心ファイバの各端部に取り
付けた任意のアダプタに接続させる装置が知られてい
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、光加入者網
の更なる整備に伴い、今後、光ファイバ線路切替装置の
一層の小型化が望まれている。このため、回転モータに
よって２軸移動ステージの２軸方向における各直進運動
を達成する従来のタイプの光ファイバ線路切替装置で
は、構成部品数が多く、大幅な小型化を図るうえでは問
題があった。

【０００５】一方、装置の小型化を実現するうえで、半
導体技術を用いた光スイッチが提案されている。この光
スイッチは、基板上に形成した導波路中に、電気で光の
透過・反射を制御する光学素子を埋め込んだもので、大
幅な小型化を図れるという利点があるが、光ファイバ線
路を切替後の状態に保持するためには電気の供給が不可
欠で、自己保持機能を備えていないという問題があっ
た。

【０００６】本発明は上記の点に鑑みてなされたもの
で、光ファイバ線路を切替後の状態に保持する自己保持
機能を備え、構造が簡単で小型なうえ、安価な光ファイ
バ線路切替装置を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明によれば上記目的
を達成するため、多数の光ファイバの任意の光ファイバ
に単心ファイバを切替接続する光ファイバ線路切替装置
において、前記多数の光ファイバの一端側を保持する複
数の保持溝が形成された突合せ部材、外周に螺旋状のガ
イド溝が形成されたガイドを有し、前記単心ファイバを
前記多数の保持溝の配列方向へ所定長さ移動させるガイ
ド手段及び前記ガイド手段と同期して作動し、前記単心
ファイバの一端側を前記保持溝内で撓ませると共に前記
保持溝に対して昇降作動させるカム手段を備えた構成と
したものである。

【０００８】

【作用】突合せ部材は、単心ファイバの一端側を保持溝
内に配置し、多数の光ファイバの任意の光ファイバと互
いに撓ませた状態で突合せ接続している。ガイド手段
は、前記単心ファイバ前記複数の保持溝の配列方向へ所
定長さ移動させ、カム手段はこの移動の際に単心ファイ
バの一端側を昇降作動させ、前記任意の光ファイバに隣
接した他の光ファイバに切り替えて突合せ接続させる。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図１乃至図１３に
基づいて詳細に説明する。光ファイバ線路切替装置（以
下、「切替装置」という）１は、図１に示すように、突
合せ部材２、ガイド手段３、カム手段４、駆動手段５及
び固定部材６を備えており、これらはベースハウジング
（以下、「ハウジング」という）Ｈに設けられている。
尚、以下の説明においては、図１に示す左右方向を前後
方向、これに直交する後述する突合せブロック２ａの保
持溝Ｔ_V の配列方向を幅方向と呼ぶ。

【００１０】突合せ部材２は、突合せブロック２ａと押
え板２ｂとを有し、単心ファイバ７を４本の光ファイバ
８に夫々切り替えて突合せ接続する。突合せブロック２
ａは、４条のＶ溝からなる保持溝Ｔ_V を上面に所定ピッ
チで形成した部材で（図３参照）、保持溝Ｔ_V の一側に
は単心ファイバ７が先端側を保持溝Ｔ_V に押圧させて撓
んだ状態で保持される。但し、図２においては、単心フ
ァイバ７はカム手段４によって下方へ押圧され、先端側
が保持溝Ｔ_V から浮き上がって光ファイバ８との接続が
解除されている。また、保持溝Ｔ_V は、図１及び図３に
示すように、単心ファイバ７と対向する他側に４本の光
ファイバ８の夫々が押え板２ｂにより固定・保持され
る。従って、単心ファイバ７は、任意の光ファイバ８と
保持溝Ｔ_V で突き合わされ、光学的に接続される。ここ
で、図３に示した状態においては、単心ファイバ７と光
ファイバ８は、互いに対向する端面間に僅かな隙間が存
在するが、端面間にマッチングオイル等の屈折率整合材
を滴下することにより、適切な突合せ状態が保障され
る。

【００１１】ガイド手段３は、保持溝Ｔ_V に先端が保持
された４本の光ファイバ８の何れかに単心ファイバ７を
切り替えて突合せ接続する際に、単心ファイバ７の幅方
向への切替移動を案内するもので、図１及び図３に示す
ように、回転軸３ａ、プーリ３ｂ及びガイド３ｃを有し
ている。回転軸３ａは、ハウジングＨの隔壁Ｗにベアリ
ングＢ₁ を介して回転自在に設けられ、プーリ３ｂと隣
接する幅方向外側に、表面に螺旋状のガイド溝Ｔ_G を形
成したガイド３ｃが取り付けられている。回転軸３ａ
は、後述する駆動手段５によって正逆両方向に回転駆動
される。また、ガイド３ｃは、螺旋状に形成したガイド
溝Ｔ_G によって単心ファイバ７の幅方向への移動を案内
する（図３参照）。ここで、ガイド３ｃは、１回転によ
り単心ファイバ７が隣接する保持溝Ｔ_V の位置まで幅方
向に１ピッチ移動されるように、ガイド溝Ｔ_G のピッチ
を突合せ部材２に形成した保持溝Ｔ_V の配列ピッチと同
一に設定する。

【００１２】カム手段４は、単心ファイバ７の切替の際
に、単心ファイバ７の先端側を上下方向に昇降作動させ
るもので、図１に示すように、回転軸４ａ、プーリ４ｂ
及びカム４ｃを有している。回転軸４ａは、ハウジング
Ｈの隔壁ＷにベアリングＢ₂ を介して回転自在に設けら
れ、プーリ４ｂと隣接する幅方向外側にカム４ｃが設け
られている。この回転軸４ａは、プーリ４ｂとガイド手
段３のプーリ３ｂとの間に巻き掛けたベルトＢにより、
回転軸３ａと同期して回転される。一方、カム４ｃは、
単心ファイバ７を下方へ押圧するように（図２参照）、
偏心させた状態でプーリ４ｂの外側面に取り付けられて
いる。

【００１３】従って、カム手段４は、ガイド手段３と同
期して作動し、ガイド３ｃによって切替移動される単心
ファイバ７を保持溝Ｔ_V から上昇させ、単心ファイバ７
が隣接する保持溝Ｔ_V まで切替移動されたときに下降さ
せてその保持溝Ｔ_V 内に収容する。駆動手段５は、ガイ
ド手段３の回転軸３ａを正逆両方向に回転駆動するもの
で、図１に示すように、ハウジングＨの隔壁Ｗによって
区画された一方に配置され、モータ５ａ、ギアケース５
ｂ、第一ギア５ｃ、第二ギア５ｄを有している。

【００１４】モータ５ａは、正逆回転自在で、その回転
をギヤケース５ｂ内に設けた図示しないギアトレーンを
介して減速し、ギアケース５ｂから延出した回転軸５ｅ
に軸着した第一ギア５ｃを回転させる。第二ギア５ｄ
は、第一ギア５ｃと噛合させて直交配置されたかさ歯車
で、ガイド手段３の回転軸３ａに取り付けられている。
また、回転軸５ｅの端部には、ドグ５ｆが取り付けら
れ、このドグ５ｆの回転をハウジングＨの対向する位置
に設けたセンサＳにより検出し、ガイド手段３のガイド
３ｃやカム手段４のカム４ｃの回転をモニタしている。

【００１５】固定部材６は、単心ファイバ７を保持して
先端側を突合せ部材２の保持溝Ｔ_Vに押圧させるように
して固定するもので、支持ブロック６ａ上に取り付ける
固定板６ｂによって単心ファイバ７を突合せ部材２の表
面に対して傾斜させた状態で固定する。ここで、切替装
置１は、通常、ハウジングＨの上部にカバー９が被せら
れるが、このカバー９を図２に示す。

【００１６】本発明の切替装置１は、上記のように構成
されており、光ファイバ線路を切替接続するときに以下
のようにして使用される。例えば、図３に示すように、
単心ファイバ７が、突合せ部材２の保持溝Ｔ_V に保持さ
れ、図４に示すように、カム４ｃが上方に位置して固定
部材６に固定された単心ファイバ７を押し下げ、単心フ
ァイバ７が４本の光ファイバ８のうち手前側の光ファイ
バ８と光学的に突合せ接続されている状態から、単心フ
ァイバ７を手前側から２番目の光ファイバ８に切替接続
するときは、駆動手段５によって第一ギア５ｃを１回転
させる。

【００１７】第一ギア５ｃの回転は、第二ギア５ｄによ
ってガイド手段３の回転軸３ａに伝達され、ガイド３ｃ
が保持溝Ｔ_V の１ピッチ分だけ幅方向に切替移動され
る。この回転軸３ａの回転と並行して、プーリ３ｂに巻
き掛けたベルトＢによってカム手段４のプーリ４ｂが回
転し、カム４ｃがガイド３ｃと同期して回転する。これ
により、図２に示すように、単心ファイバ７の先端側が
ガイド３ｃを支点として昇降作動する。

【００１８】このとき、図４に示す状態から、ガイド３
ｃとカム４ｃが同期して回転を開始すると、カム４ｃの
回転に伴う下降により、単心ファイバ７が更に押し下げ
られてガイド３ｃのガイド溝Ｔ_G に当接すると共に先端
側が浮き上がり始める。このとき、ガイド溝Ｔ_G に当接
している間は、単心ファイバ７はガイド３ｃの回転に伴
って幅方向に切替移動される。そして、カム４ｃが半回
転して下限位置となったときには、ガイド部材３は保持
溝Ｔ_V の半ピッチ分だけ幅方向に切替移動され、図５に
示すように、単心ファイバ７は、先端側が保持溝Ｔ_V か
ら離脱して完全に浮き上がった状態となる。

【００１９】次いで、更にガイド３ｃが半回転すると、
単心ファイバ７は、保持溝Ｔ_V の更に半ピッチ分だけ幅
方向に移動されると共に、カム４ｃの回転に伴う上昇に
より押し下げが解除されて先端側が下降し、先端側が手
前側から２番目の保持溝Ｔ_V内に案内されながら下降す
る。これにより、単心ファイバ７は、保持溝Ｔ_V の１ピ
ッチ分だけ幅方向に切替移動され、手前側から２番目の
保持溝Ｔ_V に保持されている光ファイバ８と光学的に突
合せ接続されて、光ファイバ線路が切替えられる。そし
て、切り替えられた単心ファイバ７は、カム４ｃに押し
下げられて先端側が保持溝Ｔ_V 内に押圧され、切替状態
に自己保持される。

【００２０】ここで、ガイド３ｃは、上記実施例ではカ
ム４ｃによって単心ファイバ７が押し下げられたときに
単心ファイバ７と当接したが、単心ファイバ７を幅方向
に切替移動することができれば、常時単心ファイバ７と
当接していてもよい。一方、切り替えた光ファイバ線路
を元に戻すときは、駆動手段５の第一ギア５ｃを逆転さ
せれば、前記と逆の作動により、単心ファイバ７が、４
本の光ファイバ８のうち手前側の光ファイバ８と光学的
に突合せ接続される。

【００２１】このように、本発明の切替装置１によれ
ば、光ファイバ線路の切替操作に伴う単心ファイバ７の
切替移動を、ガイド３ｃを正逆両方向に回転させる単一
の駆動手段によって達成することができ、しかも、単心
ファイバ７の撓み力によって切替状態に自己保持するの
で、構成が単純となり、小型で安価な装置とすることが
できる。

【００２２】ここで、切替装置１は、図６に示すよう
に、ガイド手段３とカム手段４の配置を逆にしても、前
記実施例と同様の効果を奏する。また、ガイド手段３
は、ガイド３ｃの表面に形成した螺旋状のガイド溝Ｔ_G
によって単心ファイバ７の幅方向への切替移動を案内し
たが、切替移動を案内できれば、ガイド３ｃの表面に形
成する螺旋状の突起でも良い。更に、ガイド溝Ｔ_Gは、
断面形状がＶ字形のＶ溝、半円形の丸溝、台形の台形溝
でも良く、図７に示すガイド溝Ｔ_G のように、ガイド３
ｃの外周側を台形、内周側を円形とした複合溝でもよ
い。

【００２３】一方、カム手段４の回転軸４ａに取り付け
るカム４ｃは、上記した単心ファイバ７を昇降作動させ
る機能を有していれば、例えば図８に示すカム４ｃのよ
うな卵形、図９に示すカム４ｃのような楕円形、あるい
は図１０に示すカム４ｃのような半円形としてもよい。
また、図１１に示すカム１０のように回転軸１０ａに取
り付けた平板１０ｂとしたり、図１２に示すカム１２の
ように、回転軸１２ａに取り付けた棒材１２ｂとしても
よい。

【００２４】更に、ガイド手段３のガイド３ｃに形成す
るガイド溝Ｔ_G のピッチや、プーリ３ｂ，４ｂの直径、
駆動手段５のギア５ｃ，５ｄのギア比等を変更すれば、
複数の凸部を有するカムを使用することも可能である。
尚、図１３に示す切替装置１のように、単心ファイバ７
の先端側をガイドブロック１４で案内してもよい。この
ガイドブロック１４は、門型の本体１４ａに支点バー１
４ｂを掛け渡すと共に、本体１４ａを送りねじ１４ｃで
幅方向に移動自在としたもので、送りねじ１４ｃはカム
手段４の回転軸４ａと同期して回転させる。ここで、支
点バー１４ｂは、単心ファイバ７の昇降作動の際の支点
となる。

【００２５】

【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば、光ファイバ線路を切替後の状態に保持する自己
保持機能を備え、構造が簡単で小型なうえ、安価な光フ
ァイバ線路切替装置が提供される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の光ファイバ線路切替装置の平面図であ
る。

【図２】図１に示す切替装置をII−II線沿って切断した
断面図である。

【図３】図１の切替装置を用いた単心ファイバと光ファ
イバとの突合せ接続の状態を要部を現して示す斜視図で
ある。

【図４】単心ファイバと光ファイバとの突合せ接続の状
態を簡略化して示した切替装置の概略構成図である。

【図５】単心ファイバと光ファイバとの切替状態を簡略
化して示した切替装置の概略構成図である。

【図６】ガイド手段とカム手段との配置を入れ替えた切
替装置の概略構成図である。

【図７】ガイド手段のガイドに形成するガイド溝の変形
例を示す断面図である。

【図８】カム手段のカム形状に関する変形例を示す正面
図である。

【図９】カム手段のカム形状に関する他の変形例を示す
正面図である。

【図１０】カム手段のカム形状に関する更に他の変形例
を示す正面図である。

【図１１】カム形状の更に他の変形例を示す斜視図であ
る。

【図１２】カム形状の更にまた他の変形例を示す斜視図
である。

【図１３】切替装置に用いるガイド手段の変形例を示す
断面図である。

【符号の説明】

１ 光ファイバ線路切替装置 ２ 突合せ部材 ２ａ 突合せブロック ２ｂ 押え板 ３ ガイド手段 ３ｃ ガイド ４ カム手段 ５ 駆動手段 ６ 固定部材 ７ 単心ファイバ ８ 光ファイバ Ｔ_V 保持溝 Ｔ_G ガイド溝

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山根 基宏 東京都千代田区丸の内２丁目６番１号 古 河電気工業株式会社内 (72)発明者 富田 信夫 東京都千代田区内幸町１丁目１番６号 日 本電信電話株式会社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 多数の光ファイバの任意の光ファイバに
   単心ファイバを切替接続する光ファイバ線路切替装置に
   おいて、前記多数の光ファイバの一端側を保持する複数
   の保持溝が形成された突合せ部材、外周に螺旋状のガイ
   ド溝が形成されたガイドを有し、前記単心ファイバを前
   記多数の保持溝の配列方向へ所定長さ移動させるガイド
   手段及び前記ガイド手段と同期して作動し、前記単心フ
   ァイバの一端側を前記保持溝内で撓ませると共に前記保
   持溝に対して昇降作動させるカム手段を備えたことを特
   徴とする光ファイバ線路切替装置。