JPH07173740A - 産業資材用織布 - Google Patents

産業資材用織布

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JPH07173740A
JPH07173740A JP5317808A JP31780893A JPH07173740A JP H07173740 A JPH07173740 A JP H07173740A JP 5317808 A JP5317808 A JP 5317808A JP 31780893 A JP31780893 A JP 31780893A JP H07173740 A JPH07173740 A JP H07173740A
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JP
Japan
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acid
woven fabric
aliphatic
solvent
mixture
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JP5317808A
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Taiji Kameoka
泰治 亀岡
Takeshi Kashima
毅 加嶋
Masanobu Ajioka
正伸 味岡
Teruhiro Yamaguchi
彰宏 山口
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 自然環境下で容易に分解し、分解物が安全で
自然環境を破壊することのない柔軟性の優れた熱可塑性
分解性ポリマーの織布を提供することを目的とする。 【構成】 脂肪族多価アルコール類またはその混合物と
脂肪族多塩基酸類またはその混合物、あるいはさらにヒ
ドロキシカルボン酸類またはその混合物、またはそれら
のオリゴマーを、有機溶剤を含む反応混合物中で直接縮
合反応して得られる分子量50,000以上の脂肪族ポ
リエステルを主成分とする熱可塑性ポリマー組成物から
なる産業資材用織布。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は産業資材用織布に関す
る。更に詳しくは、脂肪族ポリエステルを主体とする熱
可塑性ポリマー組成物からなる、自然環境下での分解性
を持った織布に関するものである。これら熱可塑性分解
性ポリマーの織布は、産業用資材として用いることがで
きる。
【0002】
【従来の技術】従来、樹脂またはシートと貼り付けて産
業資材用の複合シートに用いられる織布としてナイロ
ン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン樹脂
が使用されている。
【0003】しかし、このような樹脂から製造された織
布は産業資材用として優れているが、産業資材として使
用済みになった物を廃棄処分する際、織布の原料として
用いられた樹脂は自然環境下での分解速度が極めて遅い
ため、埋設処理された場合、半永久的に地中に残存す
る。また、投棄されたプラスチック類により、景観が損
なわれ海洋生物の生活環境が破壊されるなどの問題も起
こっている。
【0004】熱可塑性で分解性のあるポリマーとして、
脂肪族ポリエステルが知られている。 しかし、多価ア
ルコール類と多塩基酸類によるエステル化反応は逐次反
応であり、反応時間と共に分子量は増大するが、この際
生成する水は、加水分解作用により重縮合体の分子量を
低下させる作用を有するので、直接縮合により得られる
脂肪族ポリエステルは、分子量が高々10,000程度
と言われていた。
【0005】特開平4−189822号公報、特開平4
−189823号公報には数平均分子量が5,000以
上で、末端基が実質的にヒドロキシル基であり、酸成分
が炭素数3以上の化合物またはその混合物である飽和ポ
リエステルに、その融点以上の溶融状態において、ヒド
ロキシル基の1/10〜2当量相当のイソシアネート基
を有するジイソシアネートを添加することによりなる、
高分子量ポリエステルの製造方法について記されてい
る。しかし、上記のようにイソシアネートが高分子鎖中
にある場合、分解過程で毒性の強いジアミンが生成し土
中に蓄積する恐れがある。
【0006】脂肪族ポリエステルは、水の存在下で比較
的容易に加水分解を受け、微生物によっても分解される
ので上記用途に用い得るが、これらの産業資材用織布は
知られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、多価アルコ
ール類と多塩基酸類あるいはさらにヒドロキシカルボン
酸類の直接縮合により、上記従来技術の欠点を克服した
生分解性によって毒性を持つ恐れのある物質を生じず
に、自然環境下で容易に分解し、自然環境を破壊するこ
とのない熱可塑性分解性ポリマーの産業資材に用いるこ
とのできる織布を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、多価アルコール類
と多塩基酸類あるいはさらにヒドロキシカルボン酸類を
直接縮合により製造した、脂肪族ポリエステルを主体と
する樹脂から織布が得られ、その断熱性、強度等の物性
も優れていること、また、ポリマーの持っている分解性
を損なうことなく産業資材に用いる事のできる織布がで
きることを見いだし本発明を完成した。
【0009】つまり本発明は、脂肪族ポリエステルを主
成分とする熱可塑性ポリマー組成物からなる産業資材用
織布である。
【0010】本発明に用いられる脂肪族ポリエステル
は、脂肪族多価アルコール類またはその混合物と脂肪族
多塩基酸類またはその混合物のポリエステルであり、さ
らにモノマーとしてヒドロキシカルボン酸類またはその
混合物、またはそれらのオリゴマーを含むものであり、
有機溶媒を含む反応混合物中で直接縮合反応することに
より得られる。
【0011】脂肪族ポリエステルの重合度は、100か
ら20000である。これより低い重合度では成形品に
したときの強度が小さく実用に適さない。また、重合度
が高すぎると、熱時溶融した状態での粘度が高く、成形
加工性が劣る。
【0012】重合方法は、多価アルコール類と多塩基酸
類あるいはさらにヒドロキシカルボン酸類を加えたもの
の加熱縮合反応を有機溶媒中で行い、生成した水または
過剰のモノマーを該有機溶媒と共に反応系外に留出させ
ると共に、留出した有機溶媒に溶解している水またはモ
ノマーの含有量以下の水またはモノマー含有量を有する
有機溶媒を追加溶媒として反応系に装入しながら反応す
る。
【0013】多価アルコール類としては、脂肪族系水酸
基を持つものであり、例えばエチレングリコール、ジエ
チレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチ
レングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレン
グリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタン
ジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、
ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコー
ル1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ベン
ゼンジメタノール等があげられる。
【0014】また、多塩基酸類としては、脂肪族系カル
ボキシル基を持つものであり、例えばコハク酸、シュウ
酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、
スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二
酸、ドデカン二酸、1,4−フェニレンジ酢酸、フェニ
ルコハク酸等があげられ、もちろんこれらの無水物も用
いる事ができる。
【0015】ヒドロキシカルボン酸類については、乳
酸、グリコール酸、3−ヒドロキシブチリックアシッ
ド、4−ヒドロキシブチリックアシッド、3−ヒドロキ
シバレリックアシッド、5−ヒドロキシバレリックアシ
ッド、6−ヒドロキシカプロン酸等があげられる。
【0016】分子内に不斉炭素を有する場合はD体、L
体、それぞれ単独であっても良いし、D体とL体の混合
物すなわちラセミ体であっても良い。
【0017】柔らかい織布を得るためには、経済性も考
慮して、多価アルコールとしてエチレングリコール、多
塩基酸類としてコハク酸を用いたポリマーが好ましく、
乳酸およびグリコール酸を含む場合その割合は50%以
下が好ましく、20%以下がさらに好ましい。
【0018】この加熱縮合反応においては触媒を使用し
てもしなくても良いが、触媒を用いる場合には、反応速
度を上げることができる。使用する触媒としては、周期
表のII、III、IV、V族の金属、その酸化物ある
いはその塩などがあげられる。具体的には、亜鉛末、錫
末、アルミニウム、マグネシウム、チタン、ゲルマニウ
ム等の金属、酸化錫、酸化アンチモン、塩化亜鉛、酸化
アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン等の金属
酸化物、塩化第一錫、塩化第二錫、臭化第一錫、臭化第
二錫、フッ化アンチモン、塩化亜鉛、塩化マグネシウ
ム、塩化アルミニウム等の金属ハロゲン化物、硫酸錫、
硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、炭酸マグネシ
ウム、炭酸亜鉛等の炭酸塩、酢酸錫、オクタン酸錫、乳
酸錫、酢酸亜鉛、酢酸アルミニウム等の有機カルボン酸
塩、トリフルオロメタンスルホン酸錫、トリフルオロメ
タンスルホン酸亜鉛、トリフルオロメタンスルホン酸マ
グネシウム、メタンスルホン酸錫、p−トルエンスルホ
ン酸錫等の有機スルホン酸塩が挙げられる。その他、ジ
ブチルチンオキサイド等の上記金属の有機金属酸化物、
または、チタニウムイソプロポキサイド等の上記金属の
金属アルコキサイド、または、ジエチル亜鉛等の上記金
属のアルキル金属、または、ダウエックス、アンバーラ
イト等のイオン交換樹脂などがあげられる。
【0019】その使用量は、使用する脂肪族多価アルコ
ール、脂肪族多塩基酸、および脂肪族ヒドロキシカルボ
ン酸、または、それらのオリゴマーの0.0001〜1
0重量%が良く、経済性を考慮すると、0.001〜2
重量%が好ましい。
【0020】また、本発明に関わるポリエステルの製造
において用いられる溶媒は、例えば、トルエン、キシレ
ン、メシチレン等の炭化水素系溶媒、クロロベンゼン、
ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、ジクロロベンゼン、
1,1,2,2−テトラクロロエタン、p−クロロトル
エン等のハロゲン系溶媒、3−ヘキサノン、アセトフェ
ノン、ベンゾフェノン等のケトン系溶媒、ジブチルエー
テル、アニソール、フェネトール、o−ジメトキシベン
ゼン、p−ジメトキシベンゼン、3−メトキシトルエ
ン、ジベンジルエーテル、ベンジルフェニルエーテル、
メトキシナフタレン等のエーテル系溶媒、フェニルスル
フィド、チオアニソール等のチオエーテル系溶媒、安息
香酸メチル、フタル酸メチル、フタル酸エチル等のエス
テル系溶媒、ジフェニルエーテル、または4−メチルフ
ェニルエーテル、3−メチルフェニルエーテル、3−フ
ェノキシトルエン等のアルキル置換ジフェニルエーテ
ル、または、4−ブロモフェニルエーテル、4−クロロ
フェニルエーテル、4−ブロモフェニルエーテル、4−
メチル−4’−ブロモジフェニルエーテル等のハロゲン
置換ジフェニルエーテル、または、4−メトキシジフェ
ニルエーテル、4−メトキシフェニルエーテル、3−メ
トキシフェニルエーテル、4−メチル−4’−メトキシ
ジフェニルエーテル等のアルコキシ置換ジフェニルエー
テル、または、ジベンゾフラン、キサンテン等の環状ジ
フェニルエーテル等のジフェニルエーテル系溶媒が挙げ
られ、これらは、混合して用いても良い。そして、溶媒
として容易に水と分液分離できるものが好ましく、特に
平均分子量の高いポリエステルを得るためにはエーテル
系溶媒、アルキル−アリールエーテル系溶媒およびジフ
ェニルエーテル系溶媒がより好ましいが、アルキル−ア
リールエーテル系溶媒およびジフェニルエーテル系溶媒
が特に好ましい。
【0021】これらの溶媒の使用量は得られるポリマー
の濃度で10〜80%であることが好ましい。
【0022】脂肪族ポリエステルの製造において、生成
した水または過剰のモノマーを反応系外に留出させるに
は、用いた有機溶媒と水またはモノマーとの共沸による
ことが好ましい。共沸により留出した有機溶媒は、含有
する水またはモノマーの量が該有機溶媒に対する水また
はモノマーの溶解度より多い場合は分液により水または
モノマーを除去した後、反応系内に戻してよくさらに用
いた有機溶媒に溶解した水またはモノマーを除くため
に、脱水、脱モノマー剤で処理したり、蒸留等により水
またはモノマーの含有量を低下させた後、反応系内に戻
してもよい。また共沸により留出した有機溶媒の代わり
に、新たな水またはモノマーの含有量の低い有機溶媒を
装入してもよい。また反応の始めの部分で水または過剰
のモノマーを減圧により除去し、その後に有機溶剤を加
え、有機溶媒を含む反応混合物より有機溶媒の一部を除
去することにより、反応混合物の水またはモノマーを所
定の値とすることもできる。
【0023】つまり、少なくとも反応のある段階で溶媒
を用いて水またはモノマーを除去しつつ縮合反応を進め
るものであり、この実施形態としては、溶媒は水または
モノマーと共沸するものでもしないものでもよく、水ま
たはモノマーと分液するものでもしないものでもよい。
また、他の実施形態としては、過剰の溶媒を予め装入し
ておき、単に溶媒を抜き出すのみで脱水、脱モノマーす
る方法、反応溶媒を他の溶媒を用いて脱水、脱モノマー
する方法も含まれる。またさらに変形として、反応溶媒
自体を液状のまま水またはモノマーを除去してもよい。
また、反応温度については、溶媒が水またはモノマーと
共沸するために、沸点が低下したとしても所定の温度で
行えばよい。
【0024】脂肪族ポリエステルの平均分子量は、反応
系に装入する有機溶媒の水またはモノマー量にも依存
し、溶媒の種類にもよるが、溶媒が400〜500pp
mと高い水またはモノマー量を有する場合、得られる脂
肪族ポリエステルの重量平均分子量は、15,000〜
50,000である。上記高水分、高モノマー量でもジ
フェニルエーテル系溶媒を用いると40,000〜5
0,000の重量平均分子量の脂肪族ポリエステルが得
られることは驚くべきことである。さらに、高い平均分
子量脂肪族ポリエステルを得るためには、反応系に装入
する有機溶媒の水またはモノマー量が低いことが望まし
く、共沸により留出した有機溶媒を脱水、脱モノマー剤
で処理して水またはモノマーを除去または減少させて反
応系内に戻すか水またはモノマー量の低い新たな有機溶
媒を反応器に装入することにより、装入する水またはモ
ノマー量を50ppm以下とすることにより重量平均分
子量50,000〜300,000の脂肪族ポリエステ
ルを得ることができる。
【0025】本発明の不織布に用いる平均分子量の高い
ポリエステルを得るために用いる脱水、脱モノマー剤と
しては、モレキュラシーブ3A、モレキュラシーブ4
A、モレキュラシーブ5A、モレキュラシーブ13X等
のモレキュラシーブ類、アルミナ、シリカゲル、塩化カ
ルシウム、硫酸カルシウム、五酸化二リン、濃硫酸、過
塩素酸マグネシウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、
水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、あるいは、水素化
カルシウム、水素化ナトリウム、水素化リチウムアルミ
ニウム等の金属水素化物、または、ナトリウム等のアル
カリ金属等が挙げられる。中でも、取扱いおよび再生の
容易さからモレキュラシーブ類が好ましい。
【0026】本発明にかかわるポリエステルの製造方法
の一例を示すと以下の通りである。すなわち、分離器
(例えばDean Stark trap)を備えた反
応器に、溶媒および所定量のエチレングリコールとコハ
ク酸と乳酸と所定量の触媒を装入し、反応器を加熱し、
共沸により溶媒と水または過剰のモノマーを留出させ分
離器に導く。溶媒の溶解度以上の水またはモノマーを分
離器で分離して系外に除去し、溶解度分の水またはモノ
マーを含んだ溶媒は、反応系に戻す。この段階での重量
平均分子量は、500〜1,000であり、重量平均分
子量が5,000程度になっても良い。この間の反応時
間はおよそ0.5時間から数時間である。このオリゴマ
ー化の反応は、あらかじめ別の反応器で無溶媒、無触
媒、減圧化で行っても良いし、無触媒で溶媒を用いて行
っても良い。このまま溶媒の留出温度で反応が進むにつ
れて生成する水またはモノマーを除去し、水またはモノ
マーで飽和した溶媒を反応系に戻しながら反応を続けて
も良いが、数十時間反応しても溶媒の種類にもよるが、
重量平均分子量15,000〜50,000のものが得
られる。
【0027】さらに高分子量のポリマーを得るには、原
料中の水または過剰のモノマーがほぼ留出した後、分離
器をはずし、モレキュラシーブ等の乾燥剤を充填した管
を取り付け留出する溶媒がこの管を通って還流するよう
にするか、留出した溶媒を乾燥剤を入れた別の反応器で
処理して反応器に戻すようにするか、または新たな水ま
たはモノマー含有量の低い溶媒を反応器に装入する。こ
れらの方法により溶媒の溶解する水またはモノマーの量
を50ppm以下にし、このまま数十時間反応を続ける
事により、溶媒の種類にもよるが、重量平均分子量5
0,000〜300,000のコポリマーを得る事がで
きる。反応終了後、所望のコポリマーを得る処理方法は
どのような方法でも良いが、例えば、反応液にクロロホ
ルムを加え加熱し、その後アセトンに排出し析出した結
晶をろ過、乾燥すれば所望のコポリマーが得られる。
【0028】この方法により得られる脂肪族ポリエステ
ルの重量平均分子量は、溶媒の種類、触媒の種類および
量、反応速度、反応時間、共沸により留出した溶媒の処
理方法等を変える事により、種々のものが得られるが、
約15,000〜300,000である。
【0029】本発明の方法において、縮合反応を触媒の
存在下行った場合には、ポリマー中に触媒が残存すると
ポリマーの熱安定性、耐候性に影響するため、ポリマー
中の触媒を除くことが好ましい。好ましい除去方法とし
ては、縮合反応溶液を攪拌下またはそのまま冷却して得
られる粉末個体状のポリマーを、親水性有機溶媒の存在
下酸性物質と接触させる方法である。
【0030】この方法に使用される親水性有機溶媒とし
ては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブ
タノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケ
トン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等
のエーテル類、酢酸、酪酸等のカルボン酸類、アセトニ
トリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル
イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホルアミド等のア
ミド類等が挙げられる。特に、安価なしかも該ポリマー
を溶解しないアルコール類が好ましい。
【0031】酸性物質としては、塩酸、硫酸、硝酸、リ
ン酸等の無機酸、または、酢酸、パラトルエンスルホン
酸等の有機酸等が挙げられ、特に安価な塩酸、硫酸、硝
酸等が好ましい。
【0032】酸性物質の使用量は、ポリマーに対して
0.0001〜5.0モル/100重量部であり、好ま
しくは0.001〜1モル/100重量部がよい。0.
0001モルより少ないと触媒の除去効果が悪くなり、
また5.0モルより多いとポリマーが劣化する等の問題
が生じる場合がある。
【0033】この方法で用いるポリマーの個体状物とし
ては、粉末状、顆粒状、粒状、フレーク状、ブロック状
の形態を示し、一般に該ポリマーを得る方法としては、
常法の一旦ポリマーを良溶媒に溶解した後、貧溶媒を滴
下あるいは貧溶媒中に滴下する方法、または特定の溶媒
に加熱溶解後冷却晶析する方法がある。
【0034】ポリマーの性状としては、好ましくは嵩密
度が0.60g/ml以下であるが、より好ましくは
0.05〜0.5g/mlが良い。嵩密度が0.60g
/mlより大きいと酸性物質との接触が不十分となるた
めポリマー中の触媒が除去しきれないことがあり、逆に
嵩密度が0.05g/mlより小さいと触媒の除去には
何ら問題はないが、処理後の濾過性が悪くなるため操作
的に問題が生じる場合がある。
【0035】ポリマーと酸性物質を接触させる条件とし
ては、好ましくは親水性有機溶媒中固形分濃度3〜40
重量%程度、接触温度は0〜100℃、特に好ましくは
0〜60℃、接触時間0.1〜24時間程度、特に好ま
しくは0.5〜8時間程度である。
【0036】本発明の脂肪族ポリエステルは、通常公知
の熱可塑性ポリマーまたは可塑剤、更に各種の改質剤を
用いて、熱可塑性ポリマー組成物とする。熱可塑性ポリ
マー組成物中の脂肪族ポリエステルの占める割合は、目
的とする分解性より任意の割合のものが用いられるが、
一般には50%以上が好ましい。また熱可塑性ポリマー
組成物の製造は、公知の混練技術はすべて適用でき、組
成物の形状はペレット、棒状、粉状等で用いられる。
【0037】次に、本発明による熱可塑性ポリマー組成
物を用いて織布を得るには、該組成物を溶融紡糸法で繊
維に加工し、更に、製織機で織布に加工するのが一般的
である。繊維に加工する溶融紡糸装置は加熱制御機構を
備えたシリンダー、スクリュー等の溶融部、紡糸口金を
含む紡糸頭部等を備えていれば機種に制限なく用いる事
ができる。紡糸に適した温度は、重合体の種類、分子量
によるが一般的には130〜300℃の温度範囲であ
る。130℃未満では溶融粘度が高く性状の良い糸が得
られない。300℃以上では分解が起こる事があり好ま
しくない。紡糸に用いる口金としては、一般的に用いら
れている物が使用できる。例えば、孔径0.3mm以下
のものが好ましい。溶融放出された糸は冷却後、加熱さ
れた熱媒体中で延伸し、その後熱固定すると繊維が得ら
れる。延伸温度及び延伸倍率等の延伸条件は、目的とす
る繊維の要求性能によって適宜選定されるが、通常、ガ
ラス転移温度以上、融点以下の温度、すなわち0〜10
0℃程度の温度で4〜15倍に延伸するのが適当であ
る。また、延伸は2段以上の多段で行う事が望ましい。
繊維の太さは産業資材用に有用な織布を得るために、1
00〜1300デニールが好ましい。得られた繊維を織
布に成形するには通常の合成繊維用製織機、例えば帆
布、養成シート用に加工する重布織機で製織するのが一
般的である。
【0038】このようにして得られた織布は目的とする
用途に応じて産業資材用に用いられる。
【0039】本発明による熱可塑性ポリマー組成物を用
いて製造される産業資材用に有用な織布とは、縦方向と
横方向との繊維を交互に織り合わせた平織の構造を有し
ており、かつ、繊維の太さは100〜1300デニール
であり、更に得られた織布の空隙率は50〜74%のも
のが好ましい。空隙率は50%未満の場合は織布と樹脂
を貼り合わせる時に樹脂が織布の空隙に入り込みが少な
い為、接着強度が不足する。また、空隙率が74%を越
えると強度が弱く産業資材用に適さない。
【0040】このようにして得られた脂肪族ポリエステ
ルを主成分とする熱可塑性ポリマー組成物の織布は、従
来知られている生分解性のポリヒドロキシカルボン酸の
織布と比較して、高い柔軟性を有する。例えば、以下の
実施例から明らかなように、本発明の織布は、ポリ乳酸
の織布と比較して引張り弾性率が数分の一以下であり、
充分な柔らかさを持ち、ポリエチレンの織布と同様の性
質を示し、柔らかい産業資材に好適に使用できる。
【0041】
【実施例】以下に実施例を示すが、本発明はこれに限定
されるものではない。なお、実施例中の重量平均分子量
はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(カラム温
度40℃、クロロホルム溶媒)により、ポリスチレン標
準サンプルとの比較で求めた。
【0042】製造例1 エチレングリコール20.0gとコハク酸38.1gに
ジフェニルエーテル207.0g、金属錫0.931g
を加え、130℃/140mmHgで7時間、系外に水
を流出させながら加熱攪伴しオリゴマー化した。これ
に、Dean Stark trapを取り付け、14
0℃/30mmHgで8時間共沸脱水を行い、その後、
モレキュラシーブ3A20gを充填した管を付け、流出
した溶媒がモレキュラシーブ層中を通って反応器に戻る
ようにし、130℃/17mmHgで49時間攪伴し
た。その反応マスを400mlのクロロホルムに溶か
し、3lのアセトンに加え再沈した後、HClのIPA
溶液(HCl0.7wt%)で0.5時間スラッジング
し(3回)、IPAで洗浄してから減圧下60℃で6時
間乾燥した。ポリマー中の触媒の錫の含有量は10pp
m以下になっていた。このポリマーの重量平均分子量は
124,000であった。
【0043】製造例2 1,4−ブタンジオール50.5gとコハク酸66.5
gにジフェニルエーテル293.0g、金属錫2.02
gを加え、130℃/140mmHgで7時間、系外に
水を流出させながら加熱攪伴しオリゴマー化した。これ
に、DeanStark trapを取り付け、140
℃/30mmHgで8時間共沸脱水を行い、その後、モ
レキュラシーブ3A40gを充填した管を付け、流出し
た溶媒がモレキュラシーブ層中を通って反応器に戻るよ
うにし、130℃/17mmHgで49時間攪伴した。
その反応マスを600mlのクロロホルムに溶かし、4
lのアセトンに加え再沈した後、HClのIPA溶液
(HCl0.7wt%)で0.5時間スラッジングし
(3回)、IPAで洗浄してから減圧下60℃で6時間
乾燥した。このポリマー中に含まれる触媒の錫の含有量
は10ppm以下になっていた。このポリマーの重量平
均分子量は118,000であった。
【0044】製造例3 trans−1,4−シクロヘキサンジメタノール8
0.8gとコハク酸66.5gにジフェニルエーテル2
93.0g、金属錫2.02gを加え、130℃/14
0mmHgで7時間、系外に水を流出させながら加熱攪
伴しオリゴマー化した。これに、Dean Stark
trapを取り付け、140℃/30mmHgで8時
間共沸脱水を行い、その後、モレキュラシーブ3A40
gを充填した管を付け、流出した溶媒がモレキュラシー
ブ層中を通って反応器に戻るようにし、130℃/17
mmHgで40時間攪伴した。その反応マスを600m
lのクロロホルムに溶かし、4lのアセトンに加え再沈
した後、HClのIPA溶液(HCl0.7wt%)で
0.5時間スラッジングし(3回)、IPAで洗浄して
から減圧下60℃で6時間乾燥した。ポリマー中の触媒
の錫の含有量は10ppm以下になっていた。このポリ
マーの重量平均分子量は122,000であった。
【0045】製造例4 エチレングリコール20.2gとコハク酸38.5gと
乳酸7.3gにジフェニルエーテル123.0g、金属
錫0.66gを加え、125℃/140mmHgで9時
間、系外に水を流出させながら加熱攪伴しオリゴマー化
した。これに、Dean Stark trapを取り
付け、140℃/15mmHgで3時間共沸脱水を行
い、その後、モレキュラシーブ3A30gを充填した管
を付け、流出した溶媒がモレキュラシーブ層中を通って
反応器に戻るようにし、130℃/13mmHgで33
時間攪伴した。その反応マスを720mlのアセトニト
リルに溶かし、1NのHCl水溶液300mlを加え
0.5時間攪伴した後、IPA320mlを加えてから
メタノール4.5l中に放出し再沈した。ノルマルヘキ
サン3lで洗浄した後減圧乾燥した。ポリマー中の触媒
の錫の含有量は10ppm以下になっていた。このポリ
マーの重量平均分子量は147,000であった。
【0046】製造例5 1、4ブタンジオール35.0gとコハク酸30.4
g、アジピン酸9.4gにジフェニルエーテル176
g、金属錫0.66gを加え、130℃/140mmH
gで10時間、系外に水を流出しながら加熱撹拌しオリ
ゴマー化した。これに、Dean Stark tra
pを取り付け、140℃/15mmHgで5時間共沸脱
水を行い、その後、モレキュラーシーブ3Aを30g充
填した管を付け、留出した溶媒がモレキュラーシーブ層
中を通って反応器に戻るようにし、130℃/13mm
Hgで30時間攪拌した。その反応マスを720mlの
アセトニトリルに溶かし、1NのHCl水溶液300m
lを加え0.5時間攪拌した後、IPA320mlを加
えてからメタノール4.5l中に放出し再沈した。ノル
マルヘキサン3lで洗浄した後減圧乾燥した。このポリ
マーの重量平均分子量は137,000であった。ポリ
マー中の触媒の錫の含有量は10ppm以下になってい
た。
【0047】実施例1〜5 製造例1〜5で得られた脂肪族ポリエステルを真空乾燥
機などで乾燥後、通常の溶融押出機を用い、ホッパーか
ら窒素ガスを通じながら温度200℃、押出圧力130
Kg/cm2で溶融紡糸した。その後80℃で5倍延伸
を行い、さらに90℃で熱固定すると500デニールの
繊維を得た。この繊維をレイピア織機で平織に、繊維密
度を縦方向1インチ当たり24本、横方向1インチ当た
り23本に製織した。空隙率は60%であった。
【0048】各々の織布は次に示す測定を行った。 引張弾性率、破断時の伸び JIS L−1096に準じ、試料を短冊状に切り、縦
方向、横方向それぞれの強度を引張速度200mm/分
の条件で測定した。 土壌分解性試験 5×5cmの大きさを有する織布を温度35℃、水分3
0%の土壌中に埋設し、織布の分解性試験を行い、外観
変化と重量の減少率を求めた。これらの結果を表−1
(表1、表2)に示す。
【0049】比較例1 脂肪族ポリエステルの代わりに高密度ポリエチレンを用
いたほかは実施例1と同様にして織布を得た。その物性
を前記測定方法により測定した。結果を表−1(表1、
表2)に示す。
【0050】比較例2 脂肪族ポリエステルの代わりに重量平均分子量約10万
のポリ乳酸(L/DL=50/50Wt%)を用いたほ
かは実施例1と同様にして織布を得た。その物性を前記
測定方法により測定した。結果を表−1(表1、表2)
に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】実施例6〜7 製造例1で得られたポリエステルを用いて、繊維の太さ
と密度を変えた他は実施例1と同様にして、織布成形
し、その物性を前記測定方法により測定した。これを表
−2(表3)に示す。
【0054】比較例3 脂肪族ポリエステルの代わりに重量平均分子量約10万
のポリ乳酸(L/DL=50/50Wt%)を用いたほ
かは実施例5と同様にして織布成形し、その物性を前記
測定方法により測定した。これを表−2(表3)に示
す。
【0055】
【表3】
【0056】
【発明の効果】本発明の脂肪族ポリエステルを主成分と
するポリマーを主体をする織布は、伸び率が優れ、廃棄
物として地中に埋設されたり海や川に投棄されても紙や
木等の天然物と同じように自然環境中で一定期間の内に
無害な水と炭酸ガスに分解する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山口 彰宏 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂肪族多価アルコール類またはその混合
    物と脂肪族多塩基酸類またはその混合物、あるいはさら
    にヒドロキシカルボン酸類またはその混合物、またはそ
    れらのオリゴマーを、有機溶剤を含む反応混合物中で直
    接縮合反応して得られる分子量50,000以上の脂肪
    族ポリエステルを主成分とする熱可塑性ポリマー組成物
    からなる産業資材用織布。
  2. 【請求項2】 脂肪族多塩基酸類がコハク酸である請求
    項1記載の産業資材用織布。
  3. 【請求項3】 脂肪族多価アルコール類がエチレングリ
    コールまたは1,4−ブタンジオールである請求項1記
    載の産業資材用織布。
  4. 【請求項4】 脂肪族多塩基酸類がコハク酸であり、脂
    肪族多価アルコール類がエチレングリコールまたは1,
    4−ブタンジオールである請求項1記載の産業資材用織
    布。
  5. 【請求項5】 脂肪族ポリエステル中に含まれる触媒の
    含有量が50ppm以下である請求項1記載の産業資材
    用織布。
  6. 【請求項6】 脂肪族ポリエステル中に含まれる触媒の
    含有量が50ppm以下である請求項4記載の産業資材
    用織布。
JP5317808A 1993-11-18 1993-12-17 産業資材用織布 Pending JPH07173740A (ja)

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EP94118058A EP0654492B1 (en) 1993-11-18 1994-11-15 Degradable aliphatic polyester formed products
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