JPH07173597A - 合金化溶融亜鉛めっき鋼板、及び、溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

合金化溶融亜鉛めっき鋼板、及び、溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

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JPH07173597A
JPH07173597A JP32265193A JP32265193A JPH07173597A JP H07173597 A JPH07173597 A JP H07173597A JP 32265193 A JP32265193 A JP 32265193A JP 32265193 A JP32265193 A JP 32265193A JP H07173597 A JPH07173597 A JP H07173597A
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dip galvanized
dip
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Masaaki Urai
正章 浦井
Terubumi Arimura
光史 有村
Masaki Tanigawa
正樹 谷川
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 製造の困難化を来すことがなく、スポット溶
接性を向上に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の提供、
及び、製造の困難化を来すことなく、鋼板エッジ部スパ
ングル残りがなくて表面外観均一性に優れた溶融亜鉛め
っき鋼板を製造し得る溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法の
提供。 【構成】 Ca:0.005 〜0.10wt%,Al:0.15〜0.60wt%
を含有する溶融亜鉛合金めっき層を鋼板上に有し、該溶
融亜鉛合金めっき層が加熱合金化されていることを特徴
とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板、及び、Ca:0.005 〜
0.10wt%,Al:0.08〜0.22wt%を含有する溶融亜鉛合金
めっき浴中に鋼板を浸漬した後、ミスト冷却することを
特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、合金化溶融亜鉛めっき
鋼板、及び、溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に関し、詳
細には、自動車、家電製品、建築用材料として使用して
好適な合金化溶融亜鉛めっき鋼板、及び、溶融亜鉛めっ
き鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車、家電製品、建築用材料の
長寿命化の要求に対応して、それら材料として表面処理
鋼板が使用される傾向が強くなってきている。その中で
も、溶融亜鉛めっき鋼板は、安価で高耐食性を有するこ
と等からその使用量が多く、特に建築用材料として多く
使用されている。この溶融亜鉛めっき鋼板には、その外
観上華模様を呈した所謂レギュラースパングル材と、目
視では華模様が見えない所謂ミニマムスパングル材もし
くはゼロスパングル材とがあり、最近では特にゼロスパ
ングル材の需要が多くなってきている。
【0003】従来、かかるゼロスパングル材の製造方法
として、鋼板を溶融亜鉛めっき浴中に浸漬した後、めっ
き層(付着した溶融亜鉛層)が凝固する前に、ミスト冷
却して急冷し、スパングルの成長を抑えることによって
ゼロスパングル材を製造する方法(以降、従来めっき・
ミスト冷却法という)が採用されている。ここで、ミス
ト冷却とは、リン酸アンモニウム水溶液、リン酸ナトリ
ウム水溶液等の水溶液を噴霧して急冷することをいう。
スパングルとは、溶融亜鉛めっき層の凝固時に形成され
る該めっき層表面の華模様をいう。
【0004】しかし、この従来めっき・ミスト冷却法に
おいては、鋼板エッジ部は鋼板中央部に比べて周りの雰
囲気(大気)により冷却され易く、冷却速度が大きいこ
とに起因して、鋼板は温度ムラを生じるため、鋼板エッ
ジ部ではスパングルの成長を抑えることが難しくてスパ
ングルが形成され易く、そのため表面外観が不均一なも
の(即ち、鋼板エッジ部のスパングル残りがあるもの)
となり易い傾向がある。即ち、溶融亜鉛めっき浴浸漬後
の鋼板の中央部については、その溶融亜鉛めっき層が凝
固する前にミスト冷却を開始し得、このミスト冷却によ
りスパングルの形成を防止できる。これに対し、鋼板エ
ッジ部については、上記ミスト冷却開始の時点では既に
溶融亜鉛めっき層が凝固しており、それに伴ってスパン
グルが形成されてしまっており、この後ミスト冷却され
てもその効果はなく、一旦形成された前記スパングルは
消えることなく、残留する(エッジ部スパングル残りの
状態となる)。
【0005】かかる表面外観不均一性(鋼板エッジ部ス
パングル残り)を改善するため、溶融亜鉛めっき浴とミ
スト冷却装置との間に、鋼板エッジ部の冷却を抑えるた
めにバーナにて再加熱する加熱装置を設け、これにより
溶融亜鉛めっき浴浸漬後の鋼板を再加熱して鋼板の温度
ムラをなくして鋼板幅方向の温度分布を均一にすると共
に溶融亜鉛めっき層全体を未凝固状態(溶融状態)にし
た後、ミスト冷却する方法(以降、めっき・再加熱・ミ
スト冷却法という)が採用されることもある。
【0006】このめっき・再加熱・ミスト冷却法は、鋼
板厚みが小さい場合、鋼板中央部及び鋼板エッジ部の両
方について、ともに溶融亜鉛めっき層が未凝固状態(溶
融状態)である時点でミスト冷却を開始し得るので、こ
のミスト冷却によりスパングルの形成を防止でき、従っ
てエッジ部スパングル残りの問題点を解消し得る。しか
しながら、加熱装置が必要となるばかりでなく、上記の
ような温度状態ないしは未凝固状態に制御することは容
易でなく、極めて困難であって高度の技術と経験を要す
ると共に、操業性が低下するという問題点がある。又、
鋼板厚みが大きい場合には溶融亜鉛めっき浴浸漬後の再
加熱によっても温度分布を均一にし得ず、従って、鋼板
エッジ部については未凝固状態でミスト冷却を開始する
ことが困難であり、そのためエッジ部スパングル残りを
完全に解消することはできないという問題点がある。
【0007】一方、合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、溶融
亜鉛めっき鋼板よりも更に優れた耐食性を有することか
ら、自動車用をはじめ種々の用途に、はばひろく使用さ
れている。ここで、合金化溶融亜鉛めっき鋼板とは、溶
融亜鉛めっき鋼板を加熱し、その基材である鋼から溶融
亜鉛合金めっき層中に鉄を拡散させ、該めっき層を鉄−
亜鉛合金層にしたもの(即ち、溶融亜鉛合金めっき層を
加熱合金化したもの)をいう。
【0008】しかし、この従来の合金化溶融亜鉛めっき
鋼板においては、スポット溶接性が悪いという欠点、即
ち、スポット溶接用銅電極の寿命が短くて連続打点性が
悪いという欠点があり、そのためスポット溶接に際して
スポット溶接用銅電極の溶接チップの交換頻度が多くな
り、生産性が低下せざるを得ないという問題点がある。
ここで、連続打点性が悪いのは、スポット溶接用銅電極
と溶接時に溶融した亜鉛とが反応して Zn-Cu合金層を形
成し、それによりスポット溶接用銅電極が損耗するから
である。
【0009】かかるスポット溶接性を向上する手段とし
て、特開平2-4983号公報に、合金化溶融亜鉛めっき鋼板
のめっき層表面にZnO 主体の酸化皮膜を形成させること
が開示されている。この手段は、スポット溶接性の向上
効果を有するが、工業的に安定したZnO 主体の酸化皮膜
を形成することが非常に困難であり、実用化されるに至
っていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情に着目してなされたものであって、その第1の目的
は、前記従来の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の場合と同程
度に容易に製造することが可能であると共に、前記従来
の合金化溶融亜鉛めっき鋼板に比較してスポット溶接性
に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供しようとする
ものであり、又、第2の目的は、前記めっき・再加熱・
ミスト冷却法での困難性、操業性低下等の如き支障を招
くことなく、前記従来めっき・ミスト冷却法の場合と同
程度に容易に、鋼板エッジ部スパングル残りがなくて表
面外観均一性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板を製造し得る
溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供しようとするもの
である。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記第1の目的を達成す
るために、本発明に係る合金化溶融亜鉛めっき鋼板は次
のような構成としている。即ち、請求項1記載の合金化
溶融亜鉛めっき鋼板は、Ca:0.005 〜0.10wt%,Al:0.
15〜0.60wt%を含有する溶融亜鉛合金めっき層を鋼板上
に有し、該溶融亜鉛合金めっき層が加熱合金化されてい
ることを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板である。
【0012】前記第2の目的を達成するために、本発明
に係る溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法は次のような構成
としている。即ち、請求項2記載の溶融亜鉛めっき鋼板
の製造方法は、Ca:0.005 〜0.10wt%,Al:0.08〜0.22
wt%を含有する溶融亜鉛合金めっき浴中に鋼板を浸漬し
た後、ミスト冷却することを特徴とする溶融亜鉛めっき
鋼板の製造方法である。
【0013】請求項3記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造
方法は、Ca:0.005 〜0.10wt%,Al:0.08〜0.22wt%を
含有し、更にPb:0.20wt%以下又はSb:0.20wt%以下を
含有する溶融亜鉛合金めっき浴中に鋼板を浸漬した後、
ミスト冷却することを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板の
製造方法である。
【0014】
【作用】本発明に係る合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、溶
融亜鉛めっき浴に種々の元素を添加し、このめっき浴を
用いて鋼板に溶融亜鉛めっきを施した後、加熱合金化処
理を施して合金化溶融亜鉛めっき鋼板を製作し、それら
について主にスポット溶接性(スポット溶接用銅電極寿
命:連続打点性)を調査し、その結果、得られた下記知
見に基づき完成されたものである。
【0015】即ち、溶融亜鉛めっき浴にCa及びAlを添加
しためっき浴により溶融亜鉛めっきをした後、加熱合金
化処理を施すと、Ca及びAlが共存する鉄−亜鉛合金層か
らなるめっき層を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板が得
られる。このとき、めっき層中のCa量を0.005 〜0.10wt
%にすると共にAl量を0.15〜0.60wt%にすることによ
り、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の加工性低下等の品質低
下を招くことなく、スポット溶接性を大幅に向上し得る
という知見が得られた。
【0016】そこで、本発明に係る合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板は、Ca:0.005 〜0.10wt%,Al:0.15〜0.60wt%
を含有する溶融亜鉛合金めっき層を鋼板上に有し、該溶
融亜鉛合金めっき層が加熱合金化されているものとして
いる。即ち、Ca:0.005 〜0.10wt%,Al:0.15〜0.60wt
%が共存する鉄−亜鉛合金層からなるめっき層を有する
合金化溶融亜鉛めっき鋼板としている。故に、本発明に
係る合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、従来の合金化溶融亜
鉛めっき鋼板に比較し、スポット溶接性に優れており、
又、スポット溶接性以外の加工性等の品質が低下するも
のではなく、同程度に優れている。しかも、製造に際し
て従来の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の場合と異なるのは
溶融亜鉛めっき浴にCa及びAlを添加する点だけであり、
この点は何等製造上の困難化を来すものではなく、しか
もめっき層の不安定化を招くものではないので、特開平
2-4983号公報に記載の手段と異なり、従来の合金化溶融
亜鉛めっき鋼板の場合と同程度に容易に製造し得る。
【0017】ここで、めっき層中のCa量を0.005 〜0.10
wt%、Al量を0.15〜0.60wt%としている理由を以下説明
する。
【0018】Caは、特にスポット溶接性向上に有効であ
るが、0.005wt %未満では、その効果が発揮されず、ス
ポット溶接性が低下する。0.005wt %以上においてはCa
量増大に伴ってスポット溶接性が向上するが、0.10wt%
超では、更なるスポット溶接性の向上はなく、その向上
効果が飽和する他、製造の際にめっき浴中に Zn-Caを主
体とするドロスが発生し、このドロスがめっき層中に取
り込まれ、その結果めっき層に表面欠陥が生じ、表面品
質が低下する。従って、Ca:0.005 〜0.10wt%とする必
要がある。尚、このCa量の範囲内において、更に、好ま
しくはCa:0.01〜0.08wt%、特にはCa:0.02〜0.06wt%
にすることが望ましい。
【0019】Alは、スポット溶接性向上に有効である
が、0.15wt%未満では、その効果が発揮されず、スポッ
ト溶接性が低下する。0.60wt%超では、AlがFe,Znの相
互拡散を抑制するため、現状設備においては合金層(め
っき層)を形成できなくなる。従って、Al:0.15〜0.60
wt%とする必要がある。尚、このAl量の範囲内におい
て、更に、好ましくはAl:0.15〜0.40wt%、特にはAl:
0.20〜0.35wt%にすることが望ましい。
【0020】めっき層中の鉄含有量は、8wt%未満では
めっき最表面に純Zn層が残り溶接性が低下する傾向にあ
り、12wt%超では加工時にめっき層が剥離し易くなる傾
向にあるので、8〜12wt%にすることが望ましい。
【0021】前記の如くめっき層中にCaを含有させるこ
とによりスポット溶接性が向上する理由は明らかではな
いが、Caはめっき層表面に濃化する傾向があり、更にCa
は酸化され易いため、めっき層表面に酸化カルシウム皮
膜が形成され、この酸化カルシウム皮膜により、その下
層のめっき層とスポット溶接用銅電極との直接接触が遮
られ、該銅電極と溶融亜鉛(溶接時の溶融亜鉛)との反
応によるZn-Cu 合金層の形成が抑制されるためであると
考えられる。又、めっき層中にAlを含有させることによ
りスポット溶接性が向上する理由は、最表面にアルミ酸
化物を形成し、これが上記酸化カルシウム皮膜の場合と
同様の働きをするためである。
【0022】尚、本発明に係る合金化溶融亜鉛めっき鋼
板のめっき層は、前記の如くCa,Alが共存する鉄−亜鉛
合金層からなるが、加工性の向上、表面品質の向上等の
目的で必要に応じてSb,Pb等の元素を更に含有すること
ができる。
【0023】次に、本発明に係る溶融亜鉛めっき鋼板の
製造方法は、溶融亜鉛めっき浴に種々の元素を添加し、
この溶融亜鉛合金めっき浴中に鋼板を浸漬した後、ミス
ト冷却し、これにより得られた溶融亜鉛めっき鋼板につ
いて主に表面外観を調査し、その結果得られた知見に基
づき完成されたものである。
【0024】即ち、Ca:0.005 〜0.10wt%,Al:0.08〜
0.22wt%を含有する溶融亜鉛合金めっき浴中に鋼板を浸
漬した後、ミスト冷却すると、鋼板表面にスパングルが
なく、且つ鋼板エッジ部スパングル残りがなくて表面外
観均一性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板(即ち、完全ゼロ
スパングル材)を製造し得、しかも鋼板厚みが大きい場
合でもエッジ部スパングル残りを完全に解消し得るとい
う知見が得られた。尚、このような溶融亜鉛合金めっき
浴の使用により、得られるめっき層自体の耐食性を向上
し得、そのため、この溶融亜鉛めっき鋼板は前記従来め
っき・ミスト冷却法で得られる溶融亜鉛めっき鋼板に比
して耐食性に優れているという知見も得られた。そこ
で、本発明に係る溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法は、C
a:0.005 〜0.10wt%,Al:0.08〜0.22wt%を含有する
溶融亜鉛合金めっき浴中に鋼板を浸漬した後、ミスト冷
却するようにしているのである。
【0025】従って、本発明に係る溶融亜鉛めっき鋼板
の製造方法は、鋼板エッジ部スパングル残りがなくて表
面外観均一性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板(完全ゼロス
パングル材)を製造し得るようになる。しかも、鋼板厚
みが大きい場合でも、エッジ部スパングル残りを完全に
解消することができる。更には、又、従来めっき・ミス
ト冷却法の場合と異なるのはめっき浴としてCa:0.005
〜0.10wt%,Al:0.08〜0.22wt%を含有する溶融亜鉛合
金めっき浴を使用する点(即ち、溶融亜鉛めっき浴にCa
及びAlを添加する点)だけであり、この点は何等製造上
の困難化や操業性低下を来すものではないので、前記め
っき・再加熱・ミスト冷却法での困難性、操業性低下等
の如き支障を招くことなく、前記従来めっき・ミスト冷
却法の場合と同程度に容易に、溶融亜鉛めっき鋼板を製
造し得る。
【0026】ここで、めっき浴中のCa量を0.005 〜0.10
wt%,Al量を0.08〜0.22wt%としている理由を以下説明
する。
【0027】Caは、エッジ部スパングル残りの解消に有
効であるが、0.005wt %未満では、その効果が発揮され
ず、エッジ部スパングル残りの溶融亜鉛めっき鋼板(ゼ
ロスパングル材)となり、0.10wt%超では、製造の際に
めっき浴中に Zn-Caの金属間化合物(所謂ドロス)が形
成され、これがめっき層中に取り込まれ、その結果めっ
き層に表面欠陥が生じ、表面品質が低下する。従って、
Ca:0.005 〜0.10wt%とする必要がある。
【0028】Alは、0.08wt%未満では加工性が低下し、
0.22wt%超では浴中ドロスが増えめっき層に取りこまれ
表面欠陥となる。従って、Al:0.08〜0.22wt%とする必
要がある。尚、このAl量の範囲内において、更に、加工
性向上の点からAl:0.10〜0.22wt%、特にはAl:0.13〜
0.20wt%にすることが望ましい。
【0029】前記の如くめっき浴中にCaを添加すること
によりスパングル残りが解消される理由は明確ではない
が、めっき浴浸漬後、めっき層が凝固する際にCaが無数
の結晶核となることによって結晶成長を抑制しているた
めであると考えられる。即ち、めっき浴浸漬後、ミスト
冷却開始前に、鋼板エッジ部では凝固が進行し、その状
態でミスト冷却されることになるが、この凝固の際の結
晶成長が抑制されてスパングルが形成されないことにな
るためであると考えられる。又、めっき浴中にAlを添加
することにより加工性が向上する理由は、めっき層/鋼
界面に形成される脆い合金相の形成を抑制するためであ
る。
【0030】本発明に係る溶融亜鉛めっき鋼板の製造方
法において、溶融亜鉛合金めっき浴としては、Ca:0.00
5 〜0.10wt%,Al:0.15〜0.60wt%を含有するものが使
用されるが、レギュラースパングル材の製造に使用され
るPb又はSbを含有するめっき浴にCa:0.005 〜0.10wt
%,Al:0.15〜0.60wt%を添加したものも使用すること
ができ、この場合にはPb:0.20wt%超又はSb:0.20wt%
超では、Ca:0.005 〜0.10wt%,Al:0.15〜0.60wt%添
加によるスパングル残り解消の効果が得られなくなるの
で、Pb:0.20wt%以下又はSb:0.20wt%以下とする必要
がある。尚、この他に耐食性の向上、めっき性の向上等
の目的で必要に応じてMg、ミッシュメタル等の元素を更
に含有することができる。
【0031】
【実施例】
(実施例1)溶融亜鉛めっき浴にCa:0.003 〜0.09wt%
及びAl:0.08〜0.17wt%を添加した浴温:460℃のめっき
浴、及び、Al:0.05〜0.10wt%を添加した浴温:460℃の
めっき浴を用い、このめっき浴に板厚:0.8mmのAlキルド
鋼板を2秒間浸漬して溶融亜鉛めっきを行った後、これ
に対し 600℃で 0.5〜2分間加熱する加熱合金化処理を
施し、これにより本発明の実施例に係る合金化溶融亜鉛
めっき鋼板及び比較例に係る合金化溶融亜鉛めっき鋼板
を製作した。このとき、めっき付着量は,100g/m2 とし
た。合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき層中の鉄濃度は
9〜11%である。該めっき層中のCa量及びAl量は表1に
示す通りであり、本発明の実施例に係るものではCa:0.
008 〜0.09wt%,Al:0.08〜0.13wt%であり、一方比較
例に係るものではCa:0.003wt %,Al:0.17wt%、又、
Caフリー(添加なし)でAl:0.05〜0.10wt%である。
【0032】このようにして得られた合金化溶融亜鉛め
っき鋼板について連続スポット溶接試験(スポット溶接
の連続打点テスト)を行い、スポット溶接用銅電極寿命
(連続打点性)を調べた。このとき、スポット溶接用銅
電極としては電極チップ:先端径16Φのドーム型のもの
を用い、スポット溶接条件は、加圧力:200kgf、溶接時
間(通電時間):12サイクル(60Hz)、溶接電流:11kAと
した。そして、同種類の合金化溶融亜鉛めっき鋼板同士
を2枚重ね合わせたものを、連続して複数箇所スポット
溶接し、それと共にせん断引っ張り後のナゲット径を測
定し、該ナゲット径が4.5mm になった時の打点数を電極
寿命として評価した。この評価の判定基準は、電極寿
命:2000打点以上のものをスポット溶接性良好(後記表
1では○印で表現)、電極寿命:1000打点以下のものを
スポット溶接性不良(表1では×印で表現)とし、電極
寿命:1000〜2000打点のものを○と×との間で支障あり
(水準△)とした。
【0033】これらの試験結果をめっき層中のCa量及び
Al量とともに表1に示す。この表1からわかる如く、比
較例に係る合金化溶融亜鉛めっき鋼板は電極寿命:1000
打点以下であってスポット溶接性不良(×)であるのに
対し、本発明の実施例に係る合金化溶融亜鉛めっき鋼板
は電極寿命:2000打点以上であってスポット溶接性良好
(○)である。
【0034】(実施例2)表2に示す如く、Ca及びAlを
含有する溶融亜鉛合金めっき浴(No.5, 8, 12)、Ca及び
Alと共にPb又はSbを含有する溶融亜鉛合金めっき浴(N
o.6, 7, 9, 11)に、板厚:0.8mmのAlキルド鋼板を2秒
間浸漬してめっきを行った後、これに対しリン酸アンモ
ニウム水溶液を0.5 秒間噴霧してミスト冷却した。この
とき、めっき浴の温度は 460℃にした。上記水溶液の噴
霧は、めっき後の鋼板中央部(エッジ部以外の表面)の
めっき層が凝固する前に開始し、噴霧終了時点以降の鋼
板は放冷状態にした。尚、この溶融亜鉛めっき鋼板の製
造方法は、本発明に係る溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
の実施例に相当する。
【0035】一方、比較のために、上記めっき浴に代え
て、Alを含有する溶融亜鉛合金めっき浴(No.1, 4)、Al
と共にPb又はSbを含有する溶融亜鉛合金めっき浴(No.
2, 3)を使用し、この点を除き上記と同様の方法により
溶融亜鉛めっき鋼板の製造を行った。尚、この製造方法
は比較例に相当する。
【0036】このようにして得られた溶融亜鉛めっき鋼
板(ゼロスパングル材)について外観の観察を行ってエ
ッジ部スパングル残りの有無、程度を評価した。又、18
0 °密着曲げ試験を行って曲げ部(加工部)のめっき層
剥離の有無、程度を調べた。、更に、塩水噴霧試験を行
って赤錆発生時間を調べ、従来の溶融亜鉛めっき鋼板
(従来めっき・ミスト冷却法により得られる従来の溶融
亜鉛めっき鋼板)と耐食性を比較した。
【0037】これら調査、試験の結果を表2に溶融亜鉛
合金めっき浴中添加元素量とともに示す。尚、この表2
の外観評価の欄において、○印はエッジ部スパングル残
りが無かったこと、△印はエッジ部スパングル残りが僅
かにあったこと、×印はエッジ部スパングル残りが顕著
にあったことを示すものである。加工性の欄において、
○印はめっき層が剥離しなかったこと、×印はめっき層
が著しく剥離したことを示すものである(尚、めっき層
が僅かに剥離するものを△印として設けたが、これに該
当するものはなかったので、表2に△印はない)。耐食
性の欄において、○印は従来の溶融亜鉛めっき鋼板より
赤錆発生時間が長くて耐食性が優れていたこと、△印は
従来の溶融亜鉛めっき鋼板と耐食性が同等であることを
示すものである。
【0038】この表1からわかる如く、比較例に係る製
造方法により得られた溶融亜鉛めっき鋼板は、エッジ部
スパングル残りがあり(△又は×)、又、従来の溶融亜
鉛めっき鋼板と耐食性が同等(△)である。これに対
し、本発明の実施例に係る製造方法により得られた溶融
亜鉛めっき鋼板は、エッジ部スパングル残りが全く無く
て外観良好(○)であり、又、従来の溶融亜鉛めっき鋼
板より赤錆発生時間が長くて耐食性が優れて良好(○)
であると共に、この耐食性は比較例に係るものよりも優
れている。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【発明の効果】本発明に係る合金化溶融亜鉛めっき鋼板
は、従来の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の場合と同程度に
容易に製造することが可能であると共に、従来の合金化
溶融亜鉛めっき鋼板に比較してスポット溶接性に優れて
いる。従って、スポット溶接に際し、連続打点数を著し
く増加し得、それだけスポット溶接用銅電極(チップ)
を取り替えることなく、長時間スポット溶接することが
可能となり、その結果、生産性及び経済性を大幅に向上
し得るようになるという効果を奏する。
【0042】本発明に係る溶融亜鉛めっき鋼板の製造方
法は、エッジ部スパングル残りのない溶融亜鉛めっき鋼
板(完全ゼロスパングル材)を製造するための従来の製
造方法であるめっき・再加熱・ミスト冷却法での困難
性、操業性低下等の如き支障を招くことなく、ゼロスパ
ングル材を製造するための従来めっき・ミスト冷却法の
場合と同程度に容易に、鋼板エッジ部スパングル残りが
なくて表面外観均一性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板(完
全ゼロスパングル材)を製造し得るようになるという効
果を奏する。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ca:0.005 〜0.10wt%,Al:0.15〜0.60
    wt%を含有する溶融亜鉛合金めっき層を鋼板上に有し、
    該溶融亜鉛合金めっき層が加熱合金化されていることを
    特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 Ca:0.005 〜0.10wt%,Al:0.08〜0.22
    wt%を含有する溶融亜鉛合金めっき浴中に鋼板を浸漬し
    た後、ミスト冷却することを特徴とする溶融亜鉛めっき
    鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 Ca:0.005 〜0.10wt%,Al:0.08〜0.22
    wt%を含有し、更にPb:0.20wt%以下又はSb:0.20wt%
    以下を含有する溶融亜鉛合金めっき浴中に鋼板を浸漬し
    た後、ミスト冷却することを特徴とする溶融亜鉛めっき
    鋼板の製造方法。
JP32265193A 1993-12-21 1993-12-21 合金化溶融亜鉛めっき鋼板、及び、溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 Withdrawn JPH07173597A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019505666A (ja) * 2015-12-22 2019-02-28 ポスコPosco 表面品質及び低温脆性破壊抵抗性に優れた溶融亜鉛系めっき鋼板

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019505666A (ja) * 2015-12-22 2019-02-28 ポスコPosco 表面品質及び低温脆性破壊抵抗性に優れた溶融亜鉛系めっき鋼板
US11078564B2 (en) 2015-12-22 2021-08-03 Posco Hot-dip galvanized steel sheet with excellent surface quality and resistance to low temperature brittle fracture

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