JPH07173017A - 松類の枯損防止用組成物及び防止方法 - Google Patents

松類の枯損防止用組成物及び防止方法

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JPH07173017A
JPH07173017A JP5343891A JP34389193A JPH07173017A JP H07173017 A JPH07173017 A JP H07173017A JP 5343891 A JP5343891 A JP 5343891A JP 34389193 A JP34389193 A JP 34389193A JP H07173017 A JPH07173017 A JP H07173017A
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Toshio Suzuki
敏雄 鈴木
Tomoyuki Soejima
智幸 副島
Kazuya Takai
一也 高井
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 低薬量で線虫及びカミキリの両者に対して殺
虫効果の安定した松類の枯損防止用組成物を提供する。 【構成】 次式のアベルメクチン系化合物を有効成分と
する松類の枯損防止用組成物であり、特に該化合物及び
界面活性剤を溶剤に溶解させた後、水を加える方法によ
り該化合物の水に対する溶解性を改善して、樹体内での
分散性を向上させたものである。 〔例えば、R:−CH,R:−OH,X:−CH=CH−〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マツ材線虫病による松
類の枯損防止用組成物に関し、当該組成物を用いる松類
の枯損防止方法にも関するものである。
【0002】
【従来の技術】夏から秋の初めにかけて松の葉が変色を
始め、その約1カ月後には樹冠全体が赤変して枯死する
マツ材線虫病は、線虫の一種であるマツノザイセンチュ
ウ( Bursaphelenchus xylophilus ) (以下線虫と略す
る)が病原とされている。また、この線虫はカミキリム
シの一種であるマツノマダラカミキリ(Monochamus alt
ernatus )(以下カミキリと略する)によって媒介され
る。5月中旬から7月末にかけて前年のマツ材線虫病の
被害木から羽化、脱出したカミキリは、その体内及び体
表に数千頭から数万頭の線虫を保持して健全な松の若枝
を後食(成熟のための摂食)する。このとき線虫はカミ
キリの体から離脱し、カミキリが後食して傷ついた部位
から松の樹体内に侵入し、増殖する。
【0003】線虫が侵入した松は、2〜3カ月すると外
見的な萎凋症状を呈し、葉が変色する。葉が変色を始め
た木を異常木というが、後食して成熟したカミキリは、
子孫を残すため交尾後、この異常木に産卵し、やがて異
常木は枯死する。一方、健全木では産卵されたカミキリ
の卵は、松の樹脂に巻かれるなどして孵化できなかった
り、孵化した幼虫も樹皮下を食害中に樹脂に巻かれて死
亡するためカミキリはほとんど成長できない。しかし、
線虫の侵入によって衰弱した異常木や枯死木に産卵され
たカミキリの卵は、樹脂に巻かれることなく孵化し、幼
虫は樹皮下を食害しながら成長する。
【0004】十分に成長したカミキリの幼虫は、晩秋か
ら初冬にかけて越冬のために松の材内深く蛹室を作り冬
の低温から身を守る。春になり気温が上昇すると蛹室で
越冬したカミキリの幼虫は蛹となり、やがて羽化して成
虫となり枯損木から脱出する。このとき蛹室の周囲に集
まってきた線虫は羽化したカミキリに乗り移り、カミキ
リとともに枯損木から運び出される。線虫は、線虫を保
持したカミキリが健全な松の若枝を後食する間にカミキ
リの体から離脱し、松の樹体内に侵入する。やがてこの
松は萎凋症状を呈し、葉が変色し始める。このようにし
て次々とマツ材線虫病により松の枯損が広がってゆく。
【0005】このようなマツ材線虫病による松の枯損を
防止するために次のような方法((1) 〜(4) )がとられ
ている。
【0006】(1) カミキリ幼虫の駆除 カミキリが羽化する以前に、主に幼虫期に駆除すること
が行われる。カミキリ幼虫の生息場所は枯損木に限られ
ており、枯損木を伐倒・剥皮・焼却あるいは薬剤処理す
ることにより、カミキリ幼虫を駆除することができる。
薬剤処理では有機リン系殺虫剤及びカーバメイト系殺虫
剤を散布する方法、またはカーバム系の薬剤によるくん
蒸等の方法がある。さらに、昆虫寄生性微生物や補食性
天敵利用等の方法も検討されている。
【0007】(2) カミキリ成虫の後食防止 カミキリ成虫の後食を阻止することにより、線虫の感染
を防止することができる。これには殺虫剤をカミキリの
羽化以前に散布する方法がとられており、地上からの散
布やヘリコプターによる空中からの散布が実施されてい
る。
【0008】(3) 単木薬剤処理による枯損防止方法 線虫の感染が予想される以前に、殺線虫作用のある薬剤
を松の樹体に注入、あるいは土壌に施用することによ
り、線虫を直接駆除する方法である。現在、樹幹注入用
薬剤として、メスルフェンホス、酒石酸モランテル、及
び塩酸レバミゾールが使用されている。土壌施用薬剤と
しては、エチルチオメトン、メソミル及びアルデイカル
ブ等が有効であったが、いずれも実用化はされていな
い。
【0009】(4) 抵抗性松の育種 線虫に感染しても枯れない抵抗性の松を作るため、選抜
育種や交雑育種あるいは弱毒性線虫による誘導抵抗性発
現等が検討されている。これらの方法は徐々に成果は挙
げられているものの、技術的に確立されるには相当の時
間を要するものと思われる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】前述したマツ材線虫病
の防除技術にはそれぞれ一長一短がある。カミキリ幼虫
の駆除を目的とした伐倒・剥皮・焼却及び薬剤処理につ
いては、処理を徹底させるに必要な労働力が不足してお
り問題を抱えている。また、カミキリ成虫の後食防止を
目的とした殺虫剤の予防散布は、効果的な防除法である
が、その実施に際しては、周辺の状況によっていろいろ
な制約を受けている。
【0011】樹幹注入剤による単木薬剤処理は、環境保
存上重要な神社、仏閣または公園の大径木や市街地内の
松、あるいは一般庭園の松等のカミキリの後食防止薬剤
の散布がしにくい場所、さらに、予防散布をしても感染
の可能性のある場合に実施されており有効な方法であ
る。しかしながら、樹幹注入剤による薬害の発生、効果
の安定性と持続性等の点で依然問題を抱えており、さら
なる検討が求められている。従って、本発明の目的は、
上記問題を克服し、効果の安定した松類の枯損防止用組
成物を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記構造式の
アベルメクチン系化合物にマツノザイセンチュウ及びマ
ツノマダラカミキリに対して強力な殺虫活性があること
を見い出した。
【0013】
【化3】
【0014】
【化4】
【0015】本発明において使用するアベルメクチン系
化合物としては、上記の化合物が挙げられるが、その中
でもアバメクチン及びイベルメクチンが、線虫及びカミ
キリの両者に対して卓越した殺虫活性がある点で好まし
い。従来の樹幹注入薬剤は、線虫に対する殺虫活性は認
められても、カミキリに対する殺虫活性は無いか有って
も弱いものであり、実質的には殺線虫作用のみで松類の
枯損防止に対処している。一方、アベルメクチン系化合
物は線虫及びカミキリの両者に対して卓越した殺虫活性
があり、より効果的に松類の枯損防止に対応することが
できるものである。
【0016】即ち、本発明の松類の枯損防止用組成物
は、当該化合物を有効成分とする組成物であり、これを
樹幹注入することにより、カミキリの後食を防止し、線
虫感染の危険を低減できるものである。さらに、本発明
の組成物は万一線虫感染が起きたとしても、線虫が樹体
内で活動を開始する以前に殺滅することができるもので
ある。
【0017】本発明において使用するアベルメクチン系
化合物は、静岡県下田の土壌より単離培養された菌 Str
eptomyces avermitilis の産生する代謝生産物であ
り、アベルメクチン類の菌と異なる菌から産生される殺
ダニ活性を有するミルベマイシン類及び駆虫活性を示す
LL−F28249類とは明確に異なるものである。
【0018】アベルメクチン系化合物はそれ自体公知の
ものであり、例えば、アベルメクチンB1a及びB1b
の混合物であるアバメクチンは農業用殺虫剤及び動物用
駆虫剤として、22−23ジヒドロアベルメクチンB1
a及びB1bの混合物であるイベルメクチンは動物用駆
虫剤として使用されている。しかしながら、これらの化
合物をマツ材線虫病の防除に利用して松類の枯損防止を
図ろうとした知見は全くない。一方、アベルメクチン系
化合物はいずれも、水に対する溶解度が非常に小さいた
め、有機溶剤に溶かして松の樹体に注入しても樹体内で
の分散性が悪く、線虫及びカミキリの駆除効果に問題が
あった。
【0019】本発明の組成物は、アベルメクチン系化合
物の水に対する溶解性を改善し、さらに松樹体内への注
入を容易にしたものであり、当該化合物の樹体内での分
散を良好にし安定な効果を発現させるものである。本発
明の組成物は、アベルメクチン系化合物を有効成分と
し、水又は/及び溶剤、及び界面活性剤等の少なくとも
一種またはその組み合わせより構成される。
【0020】本発明の組成物に使用する溶剤は、水と容
易に混和するものであればよい。例えば、メタノール、
エタノール等のような低級アルコール類、エチレングリ
コール、プロピレングリコール、ジエチレングリコー
ル、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコー
ル等のような多価アルコール類、アセトン、アセトニト
リル、テトラヒドロフラン等の極性溶剤、エチレングリ
コールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、
エチレングリコールモノアセテート等のようなグリコー
ルエステル類及びジオキサン等が挙げられる。
【0021】本発明の組成物に使用する界面活性剤に
は、例えば、陰イオン界面活性剤としてアルキル硫酸エ
ステル類、アルカンスルホン酸類、アルキルベンゼンス
ルホン酸類、アルキルリン酸エステル類、N−アシルサ
ルコシン塩類、N−アシルアラニン塩類及びコハク酸塩
類等が、陽イオン界面活性剤としてアルキルアミン類、
アルキルトリメチルアンモニウム塩類、ジアルキルジメ
チルアンモニウム塩類、アルキルジメチルベンジルアン
モニウム塩類及びアルキルピリジニウム塩類が、非イオ
ン界面活性剤としてポリオキシエチレンヒマシ油類、ポ
リオキシエチレン硬化ヒマシ油類、ポリオキシエチレン
アルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェ
ニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニル
エーテルホルムアルデヒド縮合物類、ポリエチレングリ
コール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシ
プロピレンアルキルエーテル類、ソルビタン脂肪酸エス
テル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル
類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸エ
ステル類及びプロピレングリコールモノ脂肪酸エステル
類等が、さらに両性界面活性剤としてアミノカルボン酸
類、カルボキシベタイン類及びスルホベタイン類等があ
る。
【0022】また、界面活性剤として非イオン界面活性
剤を含有することが必須の要件であり、上記非イオン界
面活性剤のうちポリオキシエチレン硬化ヒマシ油類、ポ
リオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチ
レンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオ
キシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシ
エチレンソルビトール脂肪酸エステル類、ポリグリセリ
ン脂肪酸エステル類及びショ糖脂肪酸エステル類等が特
に好適である。
【0023】本発明の組成物の各成分量は適宜変更でき
るが、活性成分(アベルメクチン系化合物)を0.1〜
50重量%、好ましくは1〜10重量%、界面活性剤を
1〜50重量%、好ましくは1〜20重量%、水を10
〜80重量%、好ましくは10〜70重量%、溶剤を1
0〜80重量%、好ましくは10〜70重量%、それぞ
れ含有することができる。また、本発明の組成物の各成
分の配合は任意の方法により行うことができるが、例え
ば、活性成分及び界面活性剤を溶剤に溶解させた後、水
を加える方法により活性成分の水に対する溶解性を改善
すると、樹体内での分散性に優れた本発明の組成物を容
易に製造することができる。
【0024】松類への施用に際して、本発明の組成物の
施用量は、目的、時期、樹齢及び被害の状況等によって
適当に変更できる。施用には、松類の樹幹にボーリング
により穴を開け、その穴より、本発明の組成物を注入す
る等の方法を採用することができる。
【0025】
【作用】本発明によれば、マツノザイセンチュウの感染
の可能性のある松類の樹体内に、本発明の組成物を樹幹
注入法により施用することにより、カミキリの後食を防
止し線虫の感染の危険を低減し、さらに、万一線虫の感
染が起きたとしても、線虫が樹体内で活動を開始する以
前に殺滅することによって、マツ材線虫病による松類の
枯損を防止することができる。
【0026】
【実施例】次に、実施例により本発明の内容を具体的に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0027】実施例 1 (抗マツノザイセンチュウ活性試験)アベルメクチン系
化合物の中より、アバメクチン及びイベルメクチンにつ
いて抗線虫活性の試験を以下の方法により行った。な
お、本発明の化合物と抗線虫活性を比較するため、酒石
酸モランテル、メスルフェンホス、塩酸レバミゾール及
びコントロールの場合についても同様の試験を行った。
試験結果を表1に示す。
【0028】試験方法 シャーレ内のポテトデキストロース寒天培地の全面に、
Botrytis cinerea菌叢を形成して、試験用シャーレと
した。試験用シャーレの中央に置いた綿球に、所定の濃
度の薬剤溶液を0.15ml添加し、さらにマツノザイ
センチュウ懸濁液(10000頭/ml)を0.15m
l添加して、25℃で5日間インキュベートした後に B
otrytis cinerea 菌叢の食痕部分の面積を測定した。
なお、薬剤溶液は、薬剤0.1gをPOE(50)硬化
ヒマシ油3g及びプロピレングリコール6gに溶解し、
水を加えて100mlとしたものを、所定の濃度に水で
稀釈したものである。
【0029】食痕部分の面積(S)は食痕部分が円状と
なるため、その直径(D)を測定し、S=πD2 /4の
式により算出した。抗線虫活性は次式により算出した。 抗線虫活性(%)=100−シャーレの内面積に対する
食痕部分の面積比率(%)
【0030】
【表1】
【0031】表1の試験結果から明らかなように、本発
明の化合物は、従来型の樹幹注入剤である酒石酸モラン
テル、メスルフェンホス及び塩酸レバミゾールより少な
い薬剤濃度で抗線虫活性が認められた。
【0032】実施例 2 (マツノマダラカミキリ殺虫試験)アベルメクチン系化
合物の中より、アバメクチン及びイベルメクチンについ
てマツノマダラキミキリ殺虫試験を以下の方法により行
った。なお、本発明の化合物と殺虫活性を比較するた
め、酒石酸モランテル、メスルフェンホス、塩酸レバミ
ゾール及びコントロールの場合についても同様の試験を
行った。試験結果を表2に示す。
【0033】試験方法 薬剤を50%メタノールに溶解し、所定の濃度の薬剤溶
液を調整する。当年生のマツ枝を30秒間薬剤溶液に浸
漬し風乾した後、試験検体とした。この試験検体にマツ
ノマダラカミキリ(10匹)を与え、累積死亡率及び後
食面積(S)を測定した。累積死亡率はマツノマダラカ
ミキリの累積死亡数を7日間(1日ごと)にわたって観
察し、次式により算出した。 累積死亡率(%)=累積死亡数×10 また、後食面積(S)は次式により算出した。 後食面積(S)=0.214+0.575S1 尚、S1は後食部分の長径及び短径を測定し、S1=Σ
(長径×短径)により算出した。
【0034】
【表2】
【0035】表2の試験結果から明らかなように、本発
明の化合物は、従来型の樹幹注入剤である酒石酸モラン
テル、メスルフェンホス及び塩酸レバミゾールと比較し
てマツノマダラカミキリに対する強力な殺虫活性が低薬
量で顕著に認められた。
【0036】実施例 3 (松苗木による枯損防止試験)アベルメクチン系化合物
の中より、アバメクチン及びイベルメクチンの可溶化製
剤及び非可溶化製剤について松苗木(5年生)による枯
損防止試験を以下の方法により実施した。なお、本発明
の化合物のと枯損防止効果を比較するため、酒石酸モラ
ンテル、メスルフェンホス、塩酸レバミゾール及びコン
トロールの場合についても同様の試験を行った。注入製
剤の組成を表3に、松苗木による枯損防止試験の結果を
表4に示す。
【0037】試験方法 マツ樹体内に表3の製剤、酒石酸モランテル製剤、メス
ルフェンホス製剤及び塩酸レバミゾール製剤を注入した
後、約2週間後に強毒性マツノザイセンチュウ(S6−
1)懸濁液(10000頭/ml)1mlを接種し、約
2ケ月後に枯損防止効果を判定した。
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】表4の試験結果から明らかなように、本発
明の化合物の可溶化製剤(非イオン界面活性剤を含有す
るもの)は該化合物の非可溶化製剤(界面活性剤を含有
しないもの、非イオン以外の界面活性剤を含有するも
の)、酒石酸モランテル製剤、メスルフェンホス製剤及
び塩酸レバミゾール製剤に比較して松苗木による枯損防
止効果が低薬量で顕著に認められた。
【0041】実施例 4 (樹幹注入法によるマツノマダラカミキリの後食防止試
験)アベルメクチン系化合物の中より、アバメクチン及
びイベルメクチンの可溶化製剤及び非可溶化製剤につい
て、松苗木(5年生)に樹幹注入法によるマツノマダラ
カミキリの後食防止試験を以下の方法により実施した。
なお、樹幹注入法による薬剤の対マツノマダラカミキリ
殺虫活性の試験結果を表5に示した。
【0042】試験方法 マツ樹体内に表3の製剤を注入した後、1カ月後に当年
生の若枝を切取り、この若枝をマツノマダラカミキリ
(10匹)に与え、累積死亡率及び後食面積(S)を測
定した。なお、累積死亡率及び後食面積は実施例2の試
験方法と同様の方法により算出した。
【0043】
【表5】
【0044】表5の試験結果から明らかなように、本発
明の化合物の可溶化製剤(非イオン界面活性剤を含有す
るもの)は該化合物の非可溶化製剤(界面活性剤を含有
しないもの、非イオン以外の界面活性剤を含有するも
の)に比較して、樹幹注入法によるマツノマダラカミキ
リの後食防止効果が低薬量で顕著に認められた。
【0045】実施例 5 (中径木による枯損防止試験)アベルメクチン系化合物
の中より、アバメクチン及びイベルメクチンの可溶化製
剤について中径木(10年生)による枯損防止試験を以
下の方法により実施した。なお、実施例1と同様、酒石
酸モランテル、メスルフェンホス、塩酸レバミゾール及
び薬剤非注入区についても同様の試験を行った。中径木
による枯損防止試験の結果を表6に示した。
【0046】試験方法 マツ樹体内に表3の可溶化製剤、酒石酸モランテル
製剤、メスルフェンホス製剤及び塩酸レバミゾール製剤
を注入した後、約2週間後に強毒性マツノザイセンチュ
ウ(S6−1)懸濁液(100000頭/ml)0.3
mlを接種し、約3カ月後に枯損防止効果を判定した。
【0047】
【表6】
【0048】表6の試験結果から明らかなように、本発
明の化合物の可溶化製剤は従来型の酒石酸モランテル製
剤、メスルフェンホス製剤及び塩酸レバミゾール製剤に
比較して低薬量で中径木による枯損防止効果が顕著に認
められた。
【0049】
【発明の効果】本発明の組成物は、他の樹幹注入製剤
(例えば、酒石酸モランテル、メスルフェンホス及び塩
酸レバミゾール))に比較して、低薬量で優れた抗線虫
活性を示し、しかもマツノマダラカミキリに対しても低
薬量で優れた殺虫活性を示して後食を防止するため、マ
ツ材線虫病による松類の枯損防止に極めて有効である。
また、本発明の組成物は該化合物の水に対する溶解性を
改善しているため、松類の樹体内に該化合物の薬効が行
きわたり、マツ材線虫病による松類の枯損防止が有効に
図れる。さらに、本発明の松類の枯損防止方法は該化合
物の有効量を松類の樹幹に注入し、樹体内に転流させて
行うため、線虫の駆除が容易である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年2月3日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正内容】
【0006】(1)カミキリ幼虫の駆除 カミキリが羽化する以前に、主に幼虫期に駆除すること
が行われる。カミキリ幼虫の生息場所は枯損木に限られ
ており、枯損本を伐倒・剥皮・焼却あるいは薬剤処理す
ることにより、カミキリ幼虫を駆除することができる。
薬剤処理では有機リン系殺虫剤及びカーバメイト系殺虫
剤を散布する方法、またはカーバム系の薬剤によるくん
蒸等の方法がある。さらに、昆虫寄生性微生物や食性
天敵利用等の方法も検討されている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【化1】
【化2】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】
【化4】

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記構造式で表わされる、アベルメクチ
    ン系化合物を有効成分とする松類の枯損防止用組成物。 【化1】 【化2】
  2. 【請求項2】 前記アベルメクチン系化合物がアバメク
    チン又はイベルメクチンである請求項1記載の松類の枯
    損防止用組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のアベルメクチン系化合
    物、及び非イオン界面活性剤を含有する界面活性剤を、
    水と混和しうる溶剤に溶解させた後、水を加える方法に
    より、アベルメクチン系化合物の水に対する溶解性を改
    善した、樹体内での分散性に優れた松類の枯損防止用組
    成物。
  4. 【請求項4】 前記非イオン界面活性剤としてポリオキ
    シエチレン硬化ヒマシ油類、ポリオキシエチレンアルキ
    ルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレ
    ンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンソルビタン
    脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂
    肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類及び
    ショ糖脂肪酸エステル類よりなる群から選ばれた少なく
    とも一種以上を含有することを特徴とする請求項3記載
    の松類の枯損防止用組成物。
  5. 【請求項5】 前記水と混和しうる溶剤がメタノール、
    エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコー
    ル、ジエチレングリコール、1,3−ブチレングリコー
    ル、イソプレングリコール、アセトン、アセトニトリ
    ル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、グリコールエー
    テル類及びグリコールエステル類よりなる群から選ばれ
    た少なくとも一種以上を含有することを特徴とする請求
    項3又は4記載の松類の枯損防止用組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5記載の松類の枯損防止用組
    成物の有効量を松類の樹幹に注入し、樹体内に転流さ
    せ、マツノマダラカミキリ(Monochamus alternatus)
    の後食を防止すること、及び/又はマツノザイセンチュ
    ウ( Bursaphelenchus xylophilus ) を駆除することか
    らなる、松類の枯損防止方法。
JP5343891A 1993-12-17 1993-12-17 松類の枯損防止用組成物及び防止方法 Pending JPH07173017A (ja)

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