JPH0716621A - 圧延油供給系統の洗浄方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 圧延油供給系統の詰まりを防止する。 【構成】 圧延油を使用する金属材料の圧延機におい
て、前記圧延油を噴射開始する直前あるいは噴射停止の
直後の少なくともいずれかの時期に、噴射ノズル内部に
温水のみを供給することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、圧延油を使用する金属
材料の圧延機における圧延油噴射ノズルなど圧延油供給
系統の洗浄方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】鋼帯、鋼管その他の金属材料を圧延する
際、ロールバイトに圧延油および冷却水を供給して被圧
延材およびロールの潤滑ならびに冷却を行うことが一般
に行われている。圧延油および冷却水の供給形態として
は、 １）両者を供給槽内で混合させ、安定したエマルション
の形で供給する方式 ２）両者を別系統で配管し、噴射ノズルの直前で混合さ
せて一時的にエマルション状として供給する方式 ３）両者を全くの別系統とし、異なるノズルから独立し
て供給する方式などがある。エマルション特性のうち圧
延潤滑性に大きく影響するプレートアウト性（エマルシ
ョンがロールや被圧延材に接触したとき、エマルション
が破壊され、油層のみが表面に吸着する性質）は、エマ
ルションの安定性とはうらはらの関係にあり、圧延荷重
がさほど大きくない圧延機では圧延油を回収して循環使
用できる第１の方式が一般的であるが、強圧下を行った
り、圧延性の悪いステンレス鋼などを圧延する圧延機の
場合は、圧延潤滑性にすぐれた圧延油を使用し、供給直
前に強制的に水と混合する第２の方式、あるいは水との
混合なしに直接供給する第３の方式が採用されることが
多い。

【０００３】特に第２の圧延油供給方式においては、エ
マルションとなりにくい油を一時的に強制混合させるた
め、混合器を使用する必要がある。また、混合器を使用
しない例としては、直接ヘッダ内で混合させる特開平5-
84508 号公報に記載されたものがある。図３によりこれ
を説明する。図３はこの引用発明のスプレイヘッダ50の
断面図である。スプレイヘッダは外管53、内管54の二重
管構造であり、外管53にはスプレイノズル57が開口して
いる。内管54内には数個の断面縮小部であるエゼクタ56
が設けられている。

【０００４】油供給配管51は内管54中央付近に開口して
おり、水供給配管52は内管54の両端に接続されている。
内管54の両端から進入した水は、エゼクタ56の断面縮小
部を通過しながら中央付近に到達し、油と混合してエマ
ルションとなり、連通孔55から外管53へ回り、スプレイ
ノズル57から噴出するが、一部のエマルションはエゼク
タ56の外側を通過する際、小孔58から内管54に吸い込ま
れ、水と再混合して再び循環し、これにより幅方向に並
んだ各スプレイノズル57からはほぼ均一濃度のエマルシ
ョンが噴出する。

【０００５】このようにこの方式では混合器やノズル、
ヘッダ等が複雑な構造となるため圧延油の凝固したもの
や圧延油中の異物などがあるとこれらに詰まり、一部の
ノズルからの圧延油の噴射が止まるなど、正常な供給が
できなくなり、圧延作業において潤滑不良となり、ロー
ルと被圧延材との焼き付き疵であるヒートストリークな
どの圧延欠陥が発生するため、ノズルやヘッダの手入
れ、交換等の作業が必要となり、作業者の負荷となりま
た圧延作業が停止して作業能率が低下するなどの問題点
がある。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
問題点を解消し、圧延油等による詰まりを防止する圧延
油供給系統の洗浄方法を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、圧延油の
詰まり事故の発生状況を子細に検討した結果、このよう
な詰まりは圧延油の噴射中にはほとんど発生せず、供給
開始のとき、あるいは供給停止時に発生することに着目
し、本発明を完成した。すなわち本発明は、圧延油を使
用する金属材料の圧延機において、前記圧延油を噴射開
始する直前あるいは噴射停止の直後の少なくともいずれ
かの時期に、噴射ノズル内部に温水のみを供給すること
を特徴とする圧延油供給系統の洗浄方法である。

【０００８】

【作 用】本発明によれば、圧延油の噴射を開始する直
前に、噴射ノズル内部にまず温水のみを供給してこれを
噴射し、ヘッダやノズルに付着している異物を除去し、
温水の供給を続けながらその中へ油を供給するようにす
ることにより、冷えたノズル内にいきなり油と水の混合
液を供給する場合に起こりやすい油分の凝固による詰ま
りを防止し、また、圧延油の供給を停止する際にも油分
の供給のみを停止して一定時間、たとえば５秒以上温水
のみを噴射することでヘッダやノズルに油分が残って付
着し、凝固して詰まることを防止することができる。

【０００９】

【実施例】本発明を鋼帯の冷間圧延機において実施した
一実施例を図１により説明する。この図は圧延油ならび
に温水の供給系統図で、１は油タンク、２は温水タン
ク、３は油ポンプ、４は温水ポンプ、５は油切替弁、６
は温水切替弁、７は混合器、８はヘッダ、９は噴射ノズ
ルである。圧延油ならびに温水はそれぞれ油タンク１、
温水タンク２で所定の濃度、温度に仕立てられ、油ポン
プ３、温水ポンプ４で圧送され、混合器７で強制的に混
合されて一時エマルション状となりヘッダ８を経て噴射
ノズル９から所定の部分へ噴射される。圧延油ならびに
温水の供給・停止は油切替弁５、温水切替弁６により行
う。

【００１０】圧延油ならびに温水の供給・停止手順を図
２に示す。図２（ａ）は圧延油噴射開始時、（ｂ）は圧
延油噴射停止時のもので、圧延油噴射を開始する場合
は、まず温水切替弁の開を指令し、温水切替弁の開を検
知した信号が戻ったら、温水が供給され噴射されている
状態で油切替弁を開き、エマルションに移行する。圧延
油噴射を停止する場合は、まず油切替弁の閉を指令し、
油切替弁の閉を検知したらそのまま温水だけの噴射を続
けて所定時間保持したのち、温水切替弁を閉じ、温水の
供給を停止する。ここで、温水噴射保持時間としては、
実験によれば最小限５秒が必要であり、事情が許せばそ
れ以上、たとえば60〜90秒とすることが望ましい。

【００１１】この圧延機では、従来ノズル手入れが月間
15回程度発生していたが、本発明実施により１／３の５
回程度に減少した。また、ヒートストリークの発生も、
生産量に対して従来の0.20％から0.01％にまで減少し、
生産性の向上に大きく寄与した。なお、この実施例で
は、前記の圧延油供給方式のうち、混合器を使用する第
２の方式の場合を説明したが、本発明は第３の方式にも
適用できる。この場合、油供給配管の切替弁とヘッダと
の中間に温水配管を接続することが必要である。

【００１２】また、温水のみを供給するタイミングとし
て、圧延油噴射開始時ならびに圧延油噴射停止時につい
て説明したが、この両方で実施することが最も好ましい
が、いずれか一方のみ実施しても現状よりはよいこと
は、いうまでもない。

【００１３】

【発明の効果】本発明によれば、圧延油噴射ノズルの詰
まりが防止され、ノズル手入れ作業が減少し、圧延可動
時間が増加するほか、ヒートストリークの発生も減少
し、生産性、品質のいずれもが大幅に向上するという、
すぐれた効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す配管系統図である。

【図２】本発明の実施例における操作手順を示すフロー
図である。

【図３】従来の技術を示す断面図である。

【符号の説明】

１ 油タンク ２ 温水タンク ３ 油ポンプ ４ 温水ポンプ ５ 油切替弁 ６ 温水切替弁 ７ 混合器 ８ ヘッダ ９ ノズル 50 スプレイヘッダ 51 油供給配管 52 水供給配管 53 外管 54 内管 55 連通孔 56 エゼクタ 57 スプレイノズル 58 小孔

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金谷 哲郎 千葉県千葉市中央区川崎町１番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 松本 正次 千葉県千葉市中央区川崎町１番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 金子 智弘 千葉県千葉市中央区川崎町１番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 圧延油を使用する金属材料の圧延機にお
   いて、前記圧延油を噴射開始する直前あるいは噴射停止
   の直後の少なくともいずれかの時期に、噴射ノズル内部
   に温水のみを供給することを特徴とする圧延油供給系統
   の洗浄方法。